説明

温度応動弁

【課題】 弁ケーシングを分解せずに弁口に付着堆積した異物を掃除できる温度応動弁を提供する。
【解決手段】 入口1と出口2を有する本体3に蓋4をねじ結合して内部に弁室5を有する弁ケーシングを形成する。弁室5と出口2の間に弁口8を開けた球形弁座部材10を設ける。球形弁座部材10に対面して外気に連通する開口14を本体3に設ける。弁室5内に感温部材としてのバイメタル積層体26を配置する。バイメタル積層体26の変形作用で駆動され弁口8を開閉する弁体13を弁室5内に配置する。開口14が弁室5及び出口2から遮断され弁室5と出口2とが弁口8を通して連通される位置と弁室5と出口2とが遮断され弁口8が開口14に連通する位置とに球形弁座部材10を回転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被制御流体で加熱冷却され、その温度に応じて変形する感温部材により弁口を開閉する温度応動弁に関する。本発明の温度応動弁は所定温度以上あるいは以下の流体を系外に排出したり、複数の流体を混合して所定温度の流体にしたりする場合に用いられ、特に所定温度以下の復水を自動的に排出する温調トラップとして用いる場合に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来の温度応動弁は、弁ケーシングで入口と弁室と出口を形成し、弁室と出口の間に弁口を開けた弁座部材を設け、弁室内に感温部材と弁体を配置し、感温部材の変形作用で弁体を駆動して弁口を開閉するものである。
【0003】
上記従来の温度応動弁は、流体中のゴミやスケール等の異物が弁口に付着堆積し、弁口が次第に狭められて排出流量の減少、ひいては弁口が詰まってしまうという問題点があった。そして、この弁口に付着堆積した異物を掃除する場合、ケーシングを分解しなければならなかった。
【特許文献1】実公平3−28225号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする課題は、弁ケーシングを分解せずに弁口に付着堆積した異物を掃除できる温度応動弁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、弁ケーシングで入口と弁室と出口を形成し、弁室と出口の間に弁口を開けた弁座部材を設け、弁室内に感温部材と弁体を配置し、感温部材の変形作用で弁体を駆動して弁口を開閉するものにおいて、弁座部材を球形に形成し、弁座部材に対面して外気に連通する開口を弁ケーシングに設け、開口が弁室及び出口から遮断され弁室と出口とが弁口を通して連通される位置と弁室と出口とが遮断され弁口が開口に連通する位置とに弁座部材を回転させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、弁座部材を弁室と出口とが遮断され弁口が開口に連通する位置に回転させ、開口からブラシ等の掃除部材を挿入することにより、弁ケーシングを分解せずに弁口に付着堆積した異物を掃除することができるという優れた効果を生じる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、弁座部材を球形に形成し、弁座部材に対面して外気に連通する開口を弁ケーシングに設け、開口が弁室及び出口から遮断され弁室と出口とが弁口を通して連通される位置と弁室と出口とが遮断され弁口が開口に連通する位置とに弁座部材を回転させるものである。そのため、弁座部材を弁室と出口とが遮断され弁口が開口に連通する位置に回転させることにより、開口からブラシ等の掃除部材を挿入して弁口に付着堆積した異物を掃除することができる。
【実施例1】
【0008】
上記の技術的手段の具体例を示す実施例を説明する(図1参照)。入口1と出口2を有する本体3に蓋4をねじ結合して内部に弁室5を有する弁ケーシングを形成する。弁室5には入口1が通孔6を通して連通し、出口2が弁体嵌合孔7と弁口8と通孔9を通して連通する。弁口8は弁体嵌合孔7と通孔9の間に配置した球形弁座部材10に形成する。弁室5内に入口1から流入する流体の流れ方向を規制し、流体中の異物を捕捉するスクリーン11を配置する。弁口8に対向して弁軸12を配置する。弁軸12の下端には弁口8を開閉する円錐状の弁体13を一体に設ける。球形弁座部材10に対面して外気に連通する開口14を本体3に設ける。球形弁座部材10を回転せしめる操作軸(図示せず)を紙面の手前側に本体3を貫通して球形弁座部材10に連結する。図示の状態は、弁室5側と出口2側とが弁口8を通して連通し開口14が弁室5側及び出口2側から遮断された状態を示している。この状態から操作軸を回転させて球形弁座部材10を時計回り方向に90度あるいは180度回転させると、弁室5側と出口2側とが遮断され弁口8が開口14に連通された状態となる。
【0009】
弁軸12の上端側は蓋4に気密用のOリング16を介して進退調節可能にねじ結合した調節棒17の弁軸嵌合孔18に変位自在に嵌合する。弁体嵌合孔7と弁軸嵌合孔18は同一軸上に形成する。調節棒17の上部は蓋4から突出し、その上端面にドライバー等の工具の先端が嵌る切割19を設ける。調節棒17の突出部にはロックナット20を取付けて緩み止めを行い、キャップ21で覆う。弁軸12の中央部にばね受け24を固定し、断面ほぼU字状で中央孔と上端の外側に鍔部を設けた中間部材25を、中央孔を弁軸12に変位自在にばね受け24の下端面に当接させて嵌合する。弁軸12の周りで、調節棒17の下端面と中間部材25の鍔部の間に感温部材としてのバイメタル積層体26と平座金27を配置する。バイメタル積層体26はバイメタルディスクを湾曲方向を変えて組み合わせた2枚で一対とし、それを複数対重ねたものである。ばね受け24の上端面と平座金27の下端面の間にばね受け24を弁口8方向に付勢する弁体付勢ばね28を配置する。中間部材25の鍔部と弁室5の底壁の間に復帰ばね29を配置する。
【0010】
通常は、球形弁座部材10により弁室5側と出口2側とが弁口8を通して連通し開口14が弁室5側及び出口2側から遮断された図示の状態で使用する。流体は入口1から通孔6を通って弁室5に入り、バイメタル積層体26の周りを流れ、弁体嵌合孔7と弁口8から通孔9を通って出口2に流出する。バイメタル積層体26は周囲の流体の温度が上昇して高温に加熱されると、各バイメタルディスクが湾曲してその度合が大きくなり、平座金27と中間部材25を介して復帰ばね29を圧縮しながら積層方向に伸張する。これに伴い、中間部材25と弁軸12が弁口8方向に変位し、次第に弁口8の開度が小さくなり、終わりには弁体13が弁口8を閉じる。弁体13が弁口8を閉じた後、更に高温の流体が弁室5に流入すると、バイメタル積層体26は復帰ばね29と弁体付勢ばね28を圧縮しながら更に伸張する。このとき、中間部材25は弁口8方向に変位するが、弁軸12は変位しない。弁室5の流体の温度が低下すれば、バイメタル積層体26は湾曲力が小さくなり、復帰ばね29で中間部材25を介して押し戻される。これに伴い、中間部材25と弁軸12が弁口8から離れる方向に変位し、弁口8が開けられて弁室5の流体が出口2に排出される。
【0011】
弁口8に異物が付着堆積して排出流量が減少すると、弁室5の流体の温度が低下し、弁体13が弁口8から離れるので、操作軸により球形弁座部材10を回転させて弁室5側と出口2側とが遮断され弁口8が開口14に連通された状態にすることにより、開口14からブラシ等の掃除部材を挿入して弁口8に付着堆積した異物を掃除する。また、排出すべき流体の温度を変更する場合、キャップ21を取外して調節棒17を回転させる。調節棒17をねじ込めば排出すべき流体の温度が低くなり、調節棒17をねじ上げれば排出すべき流体の温度が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の温度応動弁の断面図。
【符号の説明】
【0013】
1 入口
2 出口
3 本体
4 蓋
5 弁室
7 弁体嵌合孔
8 弁口
10 球形弁座部材
12 弁軸
13 弁体
14 開口
17 調節棒
18 弁軸嵌合孔
26 バイメタル積層体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁ケーシングで入口と弁室と出口を形成し、弁室と出口の間に弁口を開けた弁座部材を設け、弁室内に感温部材と弁体を配置し、感温部材の変形作用で弁体を駆動して弁口を開閉するものにおいて、弁座部材を球形に形成し、弁座部材に対面して外気に連通する開口を弁ケーシングに設け、開口が弁室及び出口から遮断され弁室と出口とが弁口を通して連通される位置と弁室と出口とが遮断され弁口が開口に連通する位置とに弁座部材を回転させることを特徴とする温度応動弁。


【図1】
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【公開番号】特開2006−83908(P2006−83908A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−267777(P2004−267777)
【出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【出願人】(000133733)株式会社テイエルブイ (913)
【Fターム(参考)】