説明

温度調節機構を付与したペレット造粒機

【課題】本発明は、バイオマス原料を圧縮成型してペレットを製造する温度調節機構を付与したペレット造粒機において、ダイス及びその周辺の温度を制御する温度調節機構を付与したペレット造粒機を提供する。
【解決手段】本発明の温度調節機構を付与したペレット造粒機は、バイオマス原料を圧縮成型してペレットを製造する温度調節機構を付与したペレット造粒機において、ペレット成型温度を保つために、ダイス又はダイス保持機構に冷却機構を設けたものであり、前記冷却機構として、ダイスに冷却水循環装置を設けたもの、ダイス入口の成型室に冷却空気を送り込むと同時に余剰空気を廃棄する機構を装備したもの、ダイスのペレット出口面に冷却用空気又は冷却ガスを吹き付ける冷風吹付け装置を設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマス原料を圧縮成型してペレットを製造する温度調節機構を付与したペレット造粒機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、木材廃棄物等のバイオマス原料を粉砕・乾燥したもの、又はこれに合成樹脂を混合したもの、を造粒機によって圧縮成形してペレット化する燃料ペレットの製造方法が知られている(特許文献1を参照)。
この公知技術では、造粒機の上流の原料供給部及び下流のペレット排出部にそれぞれ設けたロータリバルブ等により造粒機を気密状態とし、原料供給部側のロータリバルブ等と造粒機との間に水蒸気又は高温の空気を吹き込むことにより、この間の飽和水蒸気圧を0.5〜10kg/cm(ケージ圧)とした状態において造粒を行う燃料ペレットの製造方法である。
また、蒸煮したバイオマスを5%〜100%含んだ材料を圧縮成形してペレット化するペレットの製造方法が知られている(特許文献2を参照)。
この公知技術では、粉砕されたチップ状、粉状のバイオマス原料を蒸煮装置に投入し、飽和蒸気にて180℃以上の温度にて処理し、水蒸気により細胞壁成分(ホロセルロース、リグニン)が加水分解されヘミセルロース、セルロース、リグニンへの低分子化へ進行させ、蒸煮した材料をペレタイザーにより圧縮成形して切断し、ペレットを製造するものである。
バイオマスペレットの造粒は、材料によって成型の最適温度が異なることが知られている。木質の多くは120℃以上に最適温度がある。連続的に材料を投入する場合、ローラーとダイスの摩擦・圧力変形による発熱や材料がダイホールを通過する際の発熱により、成型材料やダイスの温度上昇を発現するが、金属で構成されるダイス他への放熱と材料中の水分に蒸発によりダイス温度は、ほぼ一定範囲漸近する。しかし、最適成型温度が100℃未満の場合、水分の蒸発潜熱による熱放散が期待できないためダイス温度が上がり続けやがて適正成型温度を越してしまい、成型不良を引き起こす。
ダイホールのL/D(穴径に対する孔長さ)の値を小さくする方法でダイホール通過時の摩擦による発熱は小さくできるが、材料の圧縮変形による発熱は制御できない。また、L/Dはダイスの強度の確保の観点から自ずと限界が有る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭59−102989号公報
【特許文献2】特開2007−153684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、バイオマス原料を圧縮成型してペレットを製造するペレット造粒機において、ダイス及びその周辺の温度を制御する温度調節機構を付与したペレット造粒機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の温度調節機構を付与したペレット造粒機は、バイオマス原料を圧縮成型してペレットを製造するペレット造粒機において、ペレット成型温度を保つためにダイスまたはダイス保持機構に冷却機構を設けたものである。
前記冷却機構として、ダイスに冷却水循環装置を設けたものである。
前記冷却機構として、ダイス入口の成型室に冷却空気を送り込むと同時に余剰空気を廃棄する機構を装備したものである。
前記冷却機構として、ダイスのペレット出口面に冷却用空気又は冷却ガスを吹き付けるものである。
前記ペレット成型温度を100℃以下に維持するものである。
フラットダイ方式の温度調節機構を付与したペレット造粒機のダイスのペレット出口面に冷却用空気を吹き付ける構造を備えたものである。
リングダイ方式の温度調節機構を付与したペレット造粒機のダイスのペレット出口面にペレット及びダイスに冷却用空気を吹き付ける構造を備えたものである。
冷却用空気又は冷却ガスは予め冷却機により冷却し、冷却水に水のほかに不凍液、冷媒を用いて外部に冷凍機を取り付けて冷却効果を増強したものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の温度調節機構を付与したペレット造粒機は、ペレット成型温度を保つためにダイス又はダイス保持機構に冷却機構を設けたものであるため、同一ダイスで温度変化した場合に対応できる効果がある。
本発明の温度調節機構を付与したペレット造粒機は、難成型材料を容易に成型できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の温度調節機構を付与したペレット造粒機のフラットダイ方式の説明図である。
【図2】ペレット造粒部分を拡大して示す拡大説明図である。
【図3】図2のA部拡大詳細断面図である。
【図4】リングダイの底面図である。
【図5】リングダイと冷風吹付け装置を示す説明斜視図である。
【図6】本発明の温度調節機構を付与したペレット造粒機のリングダイ方式の説明図である。
【図7】リングダイと冷風吹付け装置を示す概略図である。
【図8】リングダイとローラーを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の温度調節機構を付与したペレット造粒機の一実施例を添付図面に基づいて、以下に説明する。
図1にフラットダイ方式の温度調節機構を付与したペレット造粒機を示す。図1に示すように機台1に回転電動機2が設置され、該回転電動機2の出力軸の先端に小径スプロケット3が固定され、前記回転電動機1に隣接して回転軸4が垂設され、該回転軸4には大径スプロケット5が固定される。前記スプロケット3,5間には2本のベルト6が掛け渡され、前記回転電動機2の回転が前記回転軸4に減速されて伝達される。
【0009】
前記機台1の上部には、円筒状のホッパー7が設けられ、該ホッパー7の底部はダイス保持部材8により支持された円盤状のダイス9が固定され、該ダイス9には図2に示すように多数のダイホール10が開けられている。
前記回転軸4のメインシャフト11が前記ダイス9の中心を貫通して上方に延び、該メインシャフト11の先端にはローラー取付部材12が設けられ、該ローラー取付部材12に一対のローラー13が回転自在に設けられる。
前記回転軸4が回転すると、前記ローラー13はメインシャフト11を中心に回転すると共にローラー13自体も回転を行う構造となっている。
【0010】
図2〜図4に示すように、ペレット成型温度を100℃以下に維持するために、ダイス9に冷却用空気を供給するための冷却用空気通路14を形成し、該冷却用空気通路14の噴射口15を多数のダイホール10の排出面の外周に多数個配置して排出面に冷却用空気を噴射させる。
さらに、図5に示すように、ダイス9に冷却水循環装置16を設けたり、ダイス入口の成型室に冷却空気を送り込むと同時に余剰空気を廃棄する機構を装備したり、ダイス9のペレット出口面に冷却用空気又は冷却ガスを吹き付ける冷風吹付け装置17を設ける。
【0011】
次に、本発明の温度調節機構を付与したペレット造粒機のフラットダイ方式の操作動作を添付図面に基づいて、以下に説明する。
図1に示す円筒状のホッパー7に粉砕したバイオマス原料を投入し、回転電動機2を駆動すると小径スプロケット3が回転し、ベルト6を介して大径スプロケット6が減速回転する。
前記大径スプロケット6の回転により回転軸4のメインシャフト11が回転して一対のローラー13がメインシャフト11の周りを回転すると、ホッパー7の底部のダイス9には多数のダイホール10が開けてあり、回転するローラー13の作用で粉砕したバイオマス原料が順次にダイホール10へ圧入され、前記ダイホール10の出口面からは棒状のペレットが連続排出される。排出された連続状のペレットはカッター(図示せず)により所定長さに切断される。
図2〜図4に示すように、ペレット成型温度を100℃以下に維持するために、ダイス9に冷却用空気を供給するための冷却用空気通路14を形成し、該冷却用空気通路14の噴射口15を多数のダイホール10の排出面の外周に多数個配置して排出面に冷却用空気を噴射させる。
又は、図5に示すように、ダイス9に冷却水循環装置16を設けたり、ダイス入口の成型室に冷却空気を送り込むと同時に余剰空気を廃棄する機構を装備したり、ダイス9のペレット出口面に冷却用空気又は冷却ガスを吹き付ける冷風吹付け装置17を設けているので、ペレット成型温度を100℃以下に維持することができる。
【0012】
次いで、図6にリングダイ方式の温度調節機構を付与したペレット造粒機を示す。
図6に示すように、大径スプロケット18に接続された回転ドラム19に円環状のリングダイ20が連結され、該リングダイ20には図7に示すように多数のダイホール21が開けられており、ベルト22の駆動により大径スプロケット18が回転するとリングダイ20が回転する。
また、図8に示すように前記リングダイ20の中心部に位置するローラー取付部材23が設けられ、該ローラー取付部材23に一対のローラー24が回転自在に設けられる。
さらに、ペレット成型温度を100℃以下に維持するために、図7に示すようにリングダイ20のペレット出口面に冷却用空気又は冷却ガスを吹き付ける冷風吹付け装置25を設けて冷却空気を送り込んだりする。
【0013】
次に、本発明の温度調節機構を付与したペレット造粒機のリングダイ方式の操作動作を添付図面に基づいて、以下に説明する。
図6に示す円筒状のリングダイ20に粉砕したバイオマス原料を投入し、回転電動機を駆動すると小径スプロケットが回転し、ベルト22を介して大径スプロケット18が減速回転する。
前記大径スプロケット18の回転によりリングダイ20が回転して一対のローラー24の周りを回転すると、リングダイ20には多数のダイホール21が開けてあり、回転するローラー24の作用で粉砕したバイオマス原料が順次にダイホール21へ圧入され、前記ダイホール21の出口面からは棒状のペレットが連続排出される。排出された連続状のペレットはカッター(図示せず)により所定長さに切断される。
図7に示すようにリングダイ20のペレット出口面に冷却用空気又は冷却ガスを吹き付ける冷風吹付け装置25を設けて冷却空気を送り込んだりするので、ペレット成型温度を100℃以下に維持することができる。
【符号の説明】
【0014】
1 機台
2 回転電動機
3 小径スプロケット
4 回転軸
5 大径スプロケット
6 ベルト
7 ホッパー
8 ダイス保持部材
9 ダイス
10 ダイホール
11 メインシャフト
12 ローラー取付部材
13 ローラー
14 冷却用空気通路
15 噴射口
16 冷却水循環装置
17 冷風吹付け装置
18 大径スプロケット
19 回転ドラム
20 リングダイ
21 ダイホール
22 ベルト
23 ローラー取付部材
24 ローラー
25 冷風吹付け装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイスまたはダイス保持機構周辺にダイス冷却のための冷却機構を設けたことを特徴とする温度調節機構を付与したペレット造粒機。
【請求項2】
前記冷却機構のうち、ダイスに冷却水循環装置を設けたことを特徴とする請求項1記載の温度調節機構を付与したペレット造粒機。
【請求項3】
前記冷却機構のうち、ダイス入口の成型室に冷却空気を送り込むと同時に余剰空気を廃棄する機構を装備したことを特徴とする請求項1記載の温度調節機構を付与したペレット造粒機。
【請求項4】
前記冷却機構のうち、ダイスのペレット排出面に冷却用空気または冷却ガスを吹き付ける構造を有することを特徴とする請求項1記載の温度調節機構を付与したペレット造粒機。
【請求項5】
ペレット成型温度を100℃以下で造粒することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の温度調節機構を付与したペレット造粒機。
【請求項6】
フラットダイ方式のペレット造粒機のダイスのペレット出口面に冷却用空気を吹き付ける構造または、ダイス内部より冷却用空気を噴射する機構を有することを特徴とする請求項1記載の温度調節機構を付与したペレット造粒機。
【請求項7】
リングダイ方式のペレット造粒機のダイスのペレット出口面にペレット及びダイスに冷却用空気を吹き付ける構造を備えたことを特徴とする請求項1記載の温度調節機構を付与したペレット造粒機。
【請求項8】
冷却用空気又は冷却ガスは予め冷却機により冷却したことを特徴とする請求項3,4,6又は7記載の温度調節機構を付与したペレット造粒機。
【請求項9】
冷却水に水のほかに不凍液、冷媒を用いて外部に冷凍機を取り付けて冷却効果を増強したことを特徴とする請求項1記載の温度調節機構を付与したペレット造粒機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−172840(P2010−172840A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−19279(P2009−19279)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(508158584)株式会社エコ・マテリアル (2)
【出願人】(597104994)北進産業機械株式会社 (4)
【出願人】(509031811)
【Fターム(参考)】