説明

温水式床暖房パネル

【課題】ヒートポンプを温水供給源として用いる温水式床暖房パネルにおいて、温水供給時の圧損抵抗を低減する。
【解決手段】温水式床暖房パネル1は、長方形板状のパネル本体2を有している。パネル本体2には、ヒートポンプ11から供給された温水を放熱する2本の銅製の温水パイプ6、7が配設され、これらの温水パイプ6、7に温水を並行流で供給しうるように構成されている。2本の温水パイプ6、7に温水を並行流で供給することにより、温水供給時の圧損抵抗を低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ヒートポンプを温水供給源として用いるのに好適な温水式床暖房パネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の温水式床暖房パネルとしては、合板、中比重繊維板(MDF)、パーティクルボード等の木質材からなる基板に凹溝を形成し、その凹溝内に1本の温水パイプを収容した構造を有するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4045012号公報(段落〔0026〕〜〔0030〕の欄、図1〜4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、こうした構造の温水式床暖房パネルでは、次のような課題があった。
【0005】
第1に、温水式床暖房パネルに内蔵された温水パイプが1本であるため、とりわけ温水式床暖房パネルのサイズが大きい場合、この温水パイプにヒートポンプから温水を供給するときに、その圧損(圧力損失)抵抗が大きくなる。その結果、ヒートポンプの負荷が増大し、ひいてはヒートポンプの耐久性が低下する。
【0006】
第2に、温水式床暖房パネルが主に木質材料から構成されているため、温水式床暖房パネル全体が重い。例えば、幅900mm、長さ1800mm、厚さ12mmの温水式床暖房パネルの場合、約15〜20kgの重量がある。したがって、この温水式床暖房パネルでは、施工性やハンドリング性に劣り、工期が長引く。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑み、温水供給時の圧損抵抗を低減するとともに、軽量化を実現することが可能な温水式床暖房パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、板状のパネル本体を有し、このパネル本体に、温水供給源から供給された温水を放熱する温水パイプが配設された温水式床暖房パネルであって、前記温水パイプを複数とし、これら複数の温水パイプに前記温水を並行流で供給しうるように構成されている温水式床暖房パネルとしたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記各温水パイプの出口側の端部同士を管継手で接続して、これらの温水パイプを互いに連通接続することにより、これらの温水パイプに前記温水を対向流で供給しうるように構成されていることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の構成に加え、前記パネル本体は、互いに平行に配置されたアルミニウム板およびアルミニウム蒸着紙を有し、前記アルミニウム板と前記アルミニウム蒸着紙との間には、放熱空間および断熱空間が形成され、前記放熱空間には前記温水パイプが配設されているとともに、前記断熱空間には、硬質発泡ウレタンからなる断熱材が充填されていることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の構成に加え、前記放熱空間は、前記アルミニウム板にほぼ接すると同時に前記アルミニウム蒸着紙から離れた状態で形成されていることを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に記載の発明は、請求項3または4に記載の構成に加え、前記アルミニウム板の裏面には、中比重繊維板が取り付けられていることを特徴とする。
【0013】
また、請求項6に記載の発明は、請求項3乃至5のいずれかに記載の構成に加え、前記アルミニウム板の表面には、セラミックスコーティングが施されていることを特徴とする。
【0014】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の構成に加え、前記パネル本体は、厚さが約12mmであることを特徴とする。
【0015】
さらに、請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載の構成に加え、前記温水供給源がヒートポンプであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、温水供給源から複数の温水パイプに温水を並行流で供給することにより、温水供給時の圧損抵抗を低減することができる。したがって、温水供給源の負荷を減少させ、その耐久性を向上させることが可能となる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、温水を並行流と対向流のいずれでも供給することが可能となるため、温水式床暖房パネルの汎用性を高めることができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、パネル本体が主に硬質発泡ウレタンからなる断熱材から構成されているため、温水式床暖房パネルを軽量化することができる。その結果、温水式床暖房パネルの施工性やハンドリング性を高め、その工期を短縮することが可能となる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、放熱空間がアルミニウム板にほぼ接すると同時にアルミニウム蒸着紙から離れているため、熱伝導率を高めるとともに、断熱材の充填作業をパネル本体の全体にわたって均等かつ円滑に行うことができる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、アルミニウム板の裏面に中比重繊維板が取り付けられているため、温水式床暖房パネルに対して床仕上げ材を強固に固定することが可能となる。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、アルミニウム板の表面にセラミックスコーティングが施されているため、セラミックスから放出される遠赤外線により、体感温度を高めることができる。
【0022】
請求項7に記載の発明によれば、パネル本体の厚さが約12mmであるため、温水式床暖房パネルの施工性を向上させることができる。
【0023】
請求項8に記載の発明によれば、温水供給源がヒートポンプであるため、省エネルギーにつながるとともに、地球温暖化防止に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態1に係る温水式床暖房パネルを示す図であって、(a)はその平面図、(b)はその正面図である。
【図2】同実施の形態1に係る温水式床暖房パネルの内部構造を示す平面図である。
【図3】本発明の実施の形態2に係る温水式床暖房パネルを示す図であって、(a)はその平面図、(b)はその正面図である。
【図4】同実施の形態2に係る温水式床暖房パネルの内部構造を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
[発明の実施の形態1]
【0026】
図1および図2には、本発明の実施の形態1を示す。
【0027】
実施の形態1に係る温水式床暖房パネル1は、図1に示すように、長方形板状のパネル本体2を有している。このパネル本体2は、幅W1が900mm、長さL1が1800mm、厚さT1が12mmに形成されており、長方形板の2つの隅角部が切り欠かれた板状の中央片2aと、これらの隅角部の切り欠き形状に合致した板状の2つの隅角片2bとから構成されている。
【0028】
このパネル本体2の中央片2aは、図2中の拡大図に示すように、互いに平行に配置されたアルミニウム板3およびアルミニウム蒸着紙5を有している。アルミニウム板3の裏面には、複数枚の中比重繊維板(MDF)9が所定の枠形状を形成するように接着されており、これらの中比重繊維板9は、アルミニウム蒸着紙5から所定の距離D1だけ離れている。また、アルミニウム板3とアルミニウム蒸着紙5との間には、中比重繊維板9が設けられている部分を除いて、放熱空間S1および断熱空間S2が形成されている。ここで、放熱空間S1は、アルミニウム板3にほぼ接すると同時に、アルミニウム蒸着紙5から所定の距離D2だけ離れている。
【0029】
なお、図2に示すように、複数枚の中比重繊維板9のうち、パネル本体2の一方(図2右側)の長辺に位置する2枚の中比重繊維板9の間には、パネル本体2の中央片2aの内外を連通するウレタン注入口12が形成されており、このウレタン注入口12は、パネル本体2の一方の長辺のほぼ中央部に位置している。複数枚の中比重繊維板9のうち、パネル本体2の対角線上に位置する2つの隅角部の近傍にある2枚の中比重繊維板9には、それぞれセンサ挿入孔13が穿設されており、各センサ挿入孔13にはそれぞれ温度センサ(図示せず)が挿入されている。
【0030】
そして、放熱空間S1には、図2に示すように、2本の銅製の温水パイプ6、7が所定の配管経路に沿って配設されており、これらの温水パイプ6、7の入口側の端部6a、7aおよび出口側の端部6b、7bはヒートポンプ(温水供給源)11に接続可能に構成されている。なお、2本の温水パイプ6、7は、直線状のパイプを所定の配管経路に合うように折り曲げて形成されたものであり、互いに同一の形状になっている。すなわち、これらの温水パイプ6、7はいずれも、大小2種類の曲率で湾曲した2箇所の湾曲部6c、6d、7c、7dを有する略S字状に形成されており、温水パイプ6の曲率の大きい湾曲部6dが温水パイプ7の曲率の小さい湾曲部7cの内側に位置すると同時に、温水パイプ7の曲率の大きい湾曲部7dが温水パイプ6の曲率の小さい湾曲部6cの内側に位置するように配置されている。また、これらの温水パイプ6、7はいずれも、図2中の拡大図に示すように、長円形断面を有し、その長軸方向がパネル本体2の厚さ方向に直交するように配設されている。
【0031】
また、断熱空間S2には、図2に示すように、硬質発泡ウレタンからなる断熱材10が充填されている。
【0032】
次に、このような構造の温水式床暖房パネル1を製造する方法について説明する。
【0033】
まず、温水式床暖房パネル1の構成部品(アルミニウム板3、アルミニウム蒸着紙5、中比重繊維板9、温水パイプ6、7その他)を用意する。
【0034】
ここで、温水パイプ6と温水パイプ7とは、上述したとおり、互いに同一の形状になっているので、1種類のものを作れば足り、生産性が向上する。
【0035】
次に、アルミニウム板3を裏返しに設置し、その上、つまりアルミニウム板3の裏面に、中比重繊維板9を接着するとともに、この中比重繊維板9と干渉しないように2本の温水パイプ6、7を所定の配管経路に沿って載置する。
【0036】
その後、これらの中比重繊維板9および温水パイプ6、7の上方にアルミニウム蒸着紙5を設置する。このとき、アルミニウム板3とアルミニウム蒸着紙5との上下間隔が12mmになるように調整する。
【0037】
この状態で、ウレタン注入口12からパネル本体2の中央片2aの内部へウレタンを注入することにより、断熱空間S2にウレタンを充填して発泡させる。
【0038】
このとき、ウレタン注入口12は、上述したとおり、パネル本体2の一方の長辺のほぼ中央部に設けられているため、ウレタンの充填作業をパネル本体2の全体にわたって均等に行うことができる。しかも、図2に示すように、中比重繊維板9とアルミニウム蒸着紙5との間には距離D1に相当する隙間があるとともに、温水パイプ6、7とアルミニウム蒸着紙5との間には距離D2に相当する隙間があるので、ウレタンの流路を確保することができる。したがって、ウレタンの充填作業をパネル本体2の中央片2aの全体にわたって均等かつ円滑に行うことができる。
【0039】
最後に、全体をひっくり返して上下反転させる。
【0040】
ここで、温水式床暖房パネル1が完成し、温水式床暖房パネル1の製造工程が終了する。
【0041】
そして、この温水式床暖房パネル1を使用する際には、まず、暖房すべき面積に応じて所定枚数の温水式床暖房パネル1を施工し、これらの温水式床暖房パネル1の2本の温水パイプ6、7を直列に接続する。そして、最初の温水式床暖房パネル1の温水パイプ6、7の入口側の端部6a、7aおよび最後の温水式床暖房パネル1の温水パイプ6、7の出口側の端部6b、7bをヒートポンプ11に接続し、ヒートポンプ11を駆動して各温水式床暖房パネル1の2本の温水パイプ6、7に温水を供給する。すると、この温水は、各温水式床暖房パネル1において、2本の温水パイプ6、7の入口側の端部6a、7aから流入し、これらの温水パイプ6、7内を所定の配管経路に沿って同じ向き、つまり並行流で供給された後、2本の温水パイプ6、7の出口側の端部6b、7bから流出する。このとき、この温水の熱は、温水パイプ6、7の周囲へ放出されようとするが、温水パイプ6、7の下方および側方には、図2に示すように、断熱材10が充填されているため、主に上方放出されることになる。その結果、温水式床暖房パネル1の上面が暖かくなる。
【0042】
このとき、上述したとおり、放熱空間S1がアルミニウム板3にほぼ接しているので、温水パイプ6、7の上面がアルミニウム板3にほぼ接することになる。そのため、温水パイプ6、7内を流れる温水の熱は、損失がほとんどない状態でアルミニウム板3に伝わり、したがって、熱伝導率を高めることができる。
【0043】
また、温水式床暖房パネル1の上面温度は、2つのセンサ挿入孔13に挿入された2個の温度センサの出力に基づいてフィードバック制御が行われる。そのため、温水式床暖房パネル1の上面温度を所定の温度範囲内に保つことができ、快適さが向上する。
【0044】
このように、ヒートポンプ11から供給された温水は、2本の温水パイプ6、7内を並行流で供給されるので、温水パイプが1本である従来の温水式床暖房パネルに比べて、温水供給時の圧損抵抗を低減することができる。したがって、その分だけヒートポンプ11の負荷を減少させ、その耐久性を向上させることが可能となる。特に、温水式床暖房パネル1のサイズが大きい場合には、この効果は顕著なものとなる。
【0045】
また、この温水式床暖房パネル1は、パネル本体2が主に硬質発泡ウレタンからなる断熱材10から構成されているため、主に木質材料から構成されている従来の温水式床暖房パネルに比べて、大幅に軽量化することができる。その結果、温水式床暖房パネル1の施工性やハンドリング性を高め、その工期を短縮することが可能となる。
【0046】
さらに、温水式床暖房パネル1では、アルミニウム板3の裏面に中比重繊維板9が取り付けられているため、この温水式床暖房パネル1の上側にフローリングなどの床仕上げ材(図示せず)を施工するときに、この床仕上げ材および温水式床暖房パネル1の中比重繊維板9に釘を貫通させて打ち込むことにより、温水式床暖房パネル1に対して床仕上げ材を強固に固定することができる。
【0047】
しかも、この温水式床暖房パネル1は、パネル本体2の厚さT1が12mm、つまり、床下地材に多用される合板の厚さと同じであるため、温水式床暖房パネル1の施工性が向上する。
【0048】
その上、この温水式床暖房パネル1では、温水供給源としてヒートポンプ11を用いているので、空気中の熱などの環境熱を利用し、省エネルギーにつながるとともに、炭酸ガスを削減し、地球温暖化防止に役立つ。
【0049】
また、温水式床暖房パネル1では、2本の温水パイプ6、7がいずれも銅製であるため、合成樹脂製の温水パイプに比べて堅牢で耐久性が高いばかりか、湯水の抗菌作用があり、さらに、廃棄時のリサイクルも可能である。
[発明の実施の形態2]
【0050】
図3および図4には、本発明の実施の形態2を示す。
【0051】
実施の形態2に係る温水式床暖房パネル1は、図3および図4に示すように、上述した実施の形態1に係る温水式床暖房パネル1に比べて、パネル本体2のサイズ(幅W1および長さL1)を縮小化するとともに、パネル本体2の形状を正方形板状にしたこと(具体的には、パネル本体2は、幅W1が600mm、長さL1が600mm、厚さT1が12mmに形成されていること)と、2本の温水パイプ6、7の形状を変更したこと(具体的には、温水パイプ6が曲率の小さい湾曲部6cを有する略U字状に形成されているとともに、温水パイプ7が曲率の大きい湾曲部7dを有する略U字状に形成されており、温水パイプ7の湾曲部7dが温水パイプ6の湾曲部6cの内側に位置するように配置されていること)と、2本の温水パイプ6、7の出口側の端部6b、7bにU字管(管継手)8を着脱自在に取り付けたことを除き、上述した実施の形態1と同じ構成を有している。なお、実施の形態1と同一の部材については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0052】
したがって、この温水式床暖房パネル1では、U字管8を使わなければ、上述した実施の形態1に比べて、パネル本体2のサイズ(幅W1および長さL1)の縮小化に伴って2本の温水パイプ6、7の長さが短くなっているものの、基本的に同様の構成を有しているので、実施の形態1と同様の効果(主に、2本の温水パイプ6、7に温水を並行流で供給することにより、圧損抵抗を低減できること)を奏する。
【0053】
また、この温水式床暖房パネル1を使用する際には、まず、暖房すべき面積に応じて所定枚数の温水式床暖房パネル1を施工し、これらの温水式床暖房パネル1の2本の温水パイプ6、7を直列に接続する。ただし、折り返しとなる温水式床暖房パネル1については、図3および図4に実線で示すように、2本の温水パイプ6、7の出口側の端部6b、7bにU字管8を取り付ける。すると、この温水式床暖房パネル1では、2本の温水パイプ6、7がU字管8を介して互いに連通接続されるため、ヒートポンプ11からの温水は、一方の温水パイプ6の入口側の端部6aから流入し、この温水パイプ6内を所定の配管経路に沿って出口側の端部6bまで供給された後、U字管8を経て他方の温水パイプ7の出口側の端部7bから流入し、この温水パイプ7内を所定の配管経路に沿って逆向き、つまり対向流で供給された後、入口側の端部7aから流出する。その結果、すべての温水式床暖房パネル1において、ヒートポンプ11からから供給される温水を対向流で供給することが可能となる。
【0054】
なお、パネル本体2のサイズが小さい場合、温水パイプ6、7の長さも短くて済むので、必然的に各温水パイプ6、7の入口と出口との温度差(温度勾配)も小さくなる。したがって、2本の温水パイプ6、7をU字管8で1本につなげても、パネル本体2をほぼ均等に暖めることができる。
【0055】
このように、この温水式床暖房パネル1は、2本の温水パイプ6、7と、着脱自在のU字管8とを備えているので、温水式床暖房パネル1の施工状況などに応じて、温水を並行流と対向流のいずれでも供給することができる。その結果、温水式床暖房パネル1の汎用性を高めることが可能となる。
[発明のその他の実施の形態]
【0056】
なお、上述した実施の形態1、2では、2本の温水パイプ6、7を備えた温水式床暖房パネル1について説明した。しかし、3本以上の温水パイプを備えた温水式床暖房パネルに本発明を同様に適用することも可能である。
【0057】
また、上述した実施の形態1、2では、2本の温水パイプ6、7、中比重繊維板9および断熱材10をアルミニウム板3とアルミニウム蒸着紙5とで挟み込んだ構造の温水式床暖房パネル1について説明した。しかし、スクリーン印刷などの手法により、このアルミニウム板3の表面にセラミックスコーティングを施しても構わない。この場合、セラミックスから遠赤外線が放出されるため、体感温度が高くなる利点がある。
【0058】
また、上述した実施の形態1、2では、温水供給源としてヒートポンプ11を採用した温水式床暖房パネル1について説明したが、ヒートポンプ11以外の温水供給源(例えば、深夜電力温水器石油ボイラー、ガス瞬間湯沸かし器、太陽熱温水器、ガスエンジン発電機廃熱ボイラー、燃料電池廃熱ボイラーなど)を代用または併用することもできる。
【0059】
さらに、上述した実施の形態2では、管継手としてU字管8を採用した温水式床暖房パネル1について説明したが、U字管8以外の管継手(例えば、C字管、L字管など)を代用または併用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の温水式床暖房パネルは、新築の建物の床暖房のみならず建物のリフォーム時の床暖房にも適用することができる。
【符号の説明】
【0061】
1……温水式床暖房パネル
2……パネル本体
2a……中央片
2b……隅角片
3……アルミニウム板
5……アルミニウム蒸着紙
6、7……温水パイプ
6a、7a……入口側の端部
6b、7b……出口側の端部
6c、6d、7c、7d……湾曲部
8……U字管(管継手)
9……中比重繊維板
10……断熱材
11……ヒートポンプ(温水供給源)
12……ウレタン注入口
13……センサ挿入孔
S1……放熱空間
S2……断熱空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のパネル本体を有し、このパネル本体に、温水供給源から供給された温水を放熱する温水パイプが配設された温水式床暖房パネルであって、
前記温水パイプを複数とし、これら複数の温水パイプに前記温水を並行流で供給しうるように構成されていることを特徴とする温水式床暖房パネル。
【請求項2】
前記各温水パイプの出口側の端部同士を管継手で接続して、これらの温水パイプを互いに連通接続することにより、これらの温水パイプに前記温水を対向流で供給しうるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の温水式床暖房パネル。
【請求項3】
前記パネル本体は、互いに平行に配置されたアルミニウム板およびアルミニウム蒸着紙を有し、前記アルミニウム板と前記アルミニウム蒸着紙との間には、放熱空間および断熱空間が形成され、前記放熱空間には前記温水パイプが配設されているとともに、前記断熱空間には、硬質発泡ウレタンからなる断熱材が充填されていることを特徴とする請求項1または2に記載の温水式床暖房パネル。
【請求項4】
前記放熱空間は、前記アルミニウム板にほぼ接すると同時に前記アルミニウム蒸着紙から離れた状態で形成されていることを特徴とする請求項3に記載の温水式床暖房パネル。
【請求項5】
前記アルミニウム板の裏面には、中比重繊維板が取り付けられていることを特徴とする請求項3または4に記載の温水式床暖房パネル。
【請求項6】
前記アルミニウム板の表面には、セラミックスコーティングが施されていることを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の温水式床暖房パネル。
【請求項7】
前記パネル本体は、厚さが約12mmであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の温水式床暖房パネル。
【請求項8】
前記温水供給源がヒートポンプであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の温水式床暖房パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−92300(P2013−92300A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234518(P2011−234518)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(500029464)株式会社エコテック (3)
【Fターム(参考)】