説明

温水暖房装置

【課題】循環液の注水及び排水作業が容易な温水暖房装置を提供する。
【解決手段】
熱源側往きヘッダー10と熱源側戻りヘッダー13とに、熱源機1に接続される接続口15と熱源機1に接続されない接続口15とを設け、その熱源機1と接続されない接続口15に開閉バルブ14を設けたので、循環液の注入及び排水作業は、循環ポンプユニット9の熱源側往きヘッダー10と熱源側戻りヘッダー1315の接続口で配管がされていない接続口15を使用して循環液の注入及び排水作業が簡単に行うことができ、又温水暖房装置を設置する際に循環液の循環路に充填バルブを設けると共に該充填バルブの流入側と流出側とに接続部を設けずに、循環液の循環路を配管できるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、熱源機により加熱された循環液を暖房機が接続された暖房回路に循環させて暖房を行う温水暖房装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からこの種のものに於いては、室外機内に熱源機と熱交換器を内蔵し、該熱交換器の流入側に接続されている流入バルブと、熱交換器の流出側に接続されている流出バルブと、熱源機で加熱されて流出バルブを通過した熱流体を循環させる循環ポンプと、該循環ポンプの流入側に設けた安全弁とを内蔵していた。
【0003】
更に室外機内には、循環路内の圧力を検知して表示する圧力計と、循環路内の熱流体に空気が混入していた場合その空気と熱流体を分離するエアーセパレータと、該エアーセパレータの上部に接続して設けられ分離された空気を循環路外へ排出する空気抜き弁と、エアーセパレータの下部に接続して設けられその内部はダイアフラムにより上下に分割され、空気が分離された熱流体をタンク内に溜める密閉式膨張タンクとを内蔵し、この室外機に室内に設けた放熱器を接続して温水暖房システムを構成していた。
【0004】
そしてこの温水暖房システムの設置時や熱流体の交換時等循環路内に熱流体を充填するときは、循環路に設けられ充填時に閉じられる充填バルブの流入側に設けられた接続部と流出側に設けられた接続部に、熱流体を入れるタンクと、その熱流体を循環路内に圧送する充填ポンプと、タンクの上流に設けられた流入側バルブと、充填ポンプの下流に設けられた流出側バルブからなるパワーシスターンを接続して動作させて熱流体を充填していた。
【0005】
ところでこの従来のものでは、循環路に充填バルブを設けると共に該充填バルブの流入側と流出側とに接続部を設ける必要があり、そのため室外機内に充填バルブ及び該充填バルブの流入側と流出側とに接続部を設けたり、場合によっては室外機と放熱器の配管の途中に現場で施工して充填バルブ及び該充填バルブの流入側と流出側とに接続部を設けたりして作業が大変であった。
【0006】
そこで、パワーシスターンを使用せずに循環路内に熱流体を充填できるように、循環ポンプの流入側で該循環ポンプより高い位置に注入バルブを備えた注入口を設け、循環路にパワーシスターンを使用せずに熱媒体を充填できるものがあった。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭平9−53833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところでこの従来のものでは、パワーシスターンを使用せずに循環路内に熱流体を充填できるように、循環ポンプの流入側で該循環ポンプより高い位置に注入バルブを備えた注入口を設ける必要があった。
【0009】
また、放熱器が複数で暖房負荷が大きく、熱源機も複数設置することが必要な場合、この循環ポンプの流入側で該循環ポンプより高い位置に注入バルブを備えた注入口を設けたものでは対応できず、又、循環路に充填バルブを設けると共に該充填バルブの流入側と流出側とに接続部を設けるものでは、一旦設置した後に放熱器を増設して熱源機も増設する場合、増設する熱源機を循環路に設置するための配管工事が必要であった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明はこの点に着目し上記課題を解決する為、特にその構成を請求項1では、放熱器を循環する循環液を加熱する熱源機と、該熱源機により加熱された循環液を放熱器に送ると共に放熱器から戻ってきた循環液を熱源機に戻す循環ポンプユニットとを備えた温水暖房装置に於いて、前記循環ポンプユニットは、熱源機に接続されて熱源機により加熱された循環液が流入する接続口と熱源機に接続されない接続口とを備えた熱源側往きヘッダーと、該熱源側往きヘッダーに流入した循環液が流入するシスターンタンクと、該シスターンタンク内の循環液を放熱器に送る循環ポンプと、熱源機に接続されて放熱器により戻ってきた循環液を熱源機に戻す接続口と熱源機に接続されない接続口とを備えた熱源側戻りヘッダーと有し、前記熱源側往きヘッダーと熱源側戻りヘッダーの熱源機と接続されない接続口には開閉バルブを設けたものである。
【0011】
又請求項2に係る温水暖房装置では、特にその構成を請求項1に於いて、前記熱源側往きヘッダーと熱源側戻りヘッダーに、開閉バルブを有した接続口を複数設けたものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明の請求項1によれば、熱源側往きヘッダーと熱源側戻りヘッダーとに、熱源機に接続される接続口と熱源機に接続されない接続口とを設け、その熱源機と接続されない接続口に開閉バルブを設けたので、循環液の注入及び排水作業は、循環ポンプユニットの熱源側往きヘッダーと熱源側戻りヘッダーの接続口で配管がされていない接続口を使用するので、循環液の注入及び排水作業が簡単に行うことができ、又温水暖房装置を設置する際に循環液の循環路に充填バルブを設けると共に該充填バルブの流入側と流出側とに接続部を設けずに、循環液の循環路を配管できるものである。
【0013】
又、本発明の請求項2に記載の温水暖房装置によれば、前記熱源側往きヘッダーと熱源側戻りヘッダーに、開閉バルブを有した接続口を複数設けたので、温水暖房装置の設置後に熱源機を増やしたい場合でも、増設する熱源機の冷媒水熱交換器3の配管を熱源側往きヘッダーと熱源側戻りヘッダーの接続口の配管がされていない接続口に接続して、その接続口の開閉バルブを開放するだけで簡単に熱源機を増やすことができ、又逆に熱源機を減らしたい場合でも、取り外す熱源機の冷媒水熱交換器の配管を熱源側往きヘッダーと熱源側戻りヘッダーの接続口の配管がされていない接続口から取り外して、その接続口の開閉バルブを閉鎖するだけで簡単に熱源機を減らすことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の一実施形態を示す給湯装置の概略図。
【図2】同注水作業時の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明に係る発明の1実施形態を図面に基づいて説明する。
1は熱源機で、冷媒を圧縮する圧縮機2と高温冷媒の熱で循環液を加熱するための冷媒水熱交換器3と高圧冷媒を減圧する減圧器4と低温低圧冷媒を蒸発させる蒸発器としての空気熱交換器5とが環状に接続されたヒートポンプサイクル6と、圧縮機2からの吐出冷媒の温度を検出する冷媒温度センサ7と、空気熱交換器5に熱源となる空気を供給するための送風手段8とを有しているものである。
【0016】
9は循環ポンプユニットで、熱源側往きヘッダー10と、該熱源側往きヘッダー10の下流側に接続されたシスターンタンク11と、該シスターンタンク11の下流側に接続された循環ポンプ12と、熱源側戻りヘッダー13とを備えたものである。
【0017】
前記熱源側往きヘッダー10は、開閉バルブ14を有する接続口15を複数備えると共に、各熱源機1の冷媒水熱交換器3により加熱された循環液が流入する各接続口15からの循環液を合流する合流口16を有し、熱源機1の冷媒水熱交換器3と接続口15との間に通電及び非通電により開閉する熱動弁17を設け、合流口16には循環液の気液分離を行うシスターンタンク11が接続され、該シスターンタンク11の下流側に循環ポンプ12が接続されているものである。
【0018】
又前記熱源側戻りヘッダー13は、開閉バルブ14を有する接続口15を複数備えると共に、放熱して温度の低下した循環液が流入する合流口16と、該合流口16に流入した循環液を各熱源機1の冷媒水熱交換器3に戻す開閉バルブ14を有する接続口15を複数備えたものである。
【0019】
又前記熱源側往きヘッダー10及び熱源側戻りヘッダー13は、接続口15の数を設置される熱源機1の台数より少なくとも1つ多く備えたものである。
【0020】
18はヘッダーボックスで、負荷側往きヘッダー19及び負荷側戻りヘッダー20を備え、前記負荷側往きヘッダー19は、循環ポンプユニット9の循環ポンプ12からの高温の循環液が流入する合流口21と、その流入した高温の循環液を各放熱器23に送る接続口22を複数備えたものである。
又負荷側戻りヘッダー20は、各放熱器23から放熱して温度の低下した循環液が流入する接続口22を複数備えると共に、各接続口22に流入した循環液を合流させて循環ポンプユニット9の熱源側戻りヘッダー13の合流口16に戻す合流口21を備えたものである。
【0021】
24はパワーシスターンで、温水暖房装置の循環液の注入作業時に循環ポンプユニット9の熱源側往きヘッダー10と熱源側戻りヘッダー13に接続して使用するもので、その注入側25を熱源側戻りヘッダー13で配管がされていない接続口15に接続し、更にその戻り側26を熱源側往きヘッダー10で配管がされていない接続口15に接続し、パワーシスターン24に備えられた注入ポンプ27を動作することにより、パワーシスターン24に充填した循環液を熱源側戻りヘッダー13に供給するものである。
【0022】
次に図1によりこの温水暖房装置の暖房運転について説明する。
リモコン等の運転スイッチ(図示せず)をオンすると、各熱源機1のヒートポンプサイクル6が動作し、ヒートポンプサイクル6内の冷媒を加熱する。
それと同時に、循環ポンプユニット9の熱動弁17を非通電状態から通電状態にして閉鎖状態から開放状態にすると共に、循環ポンプユニット9の循環ポンプ12を動作させるものである。
【0023】
それにより、熱源機1のヒートポンプサイクル6で加熱された冷媒と、低温の循環液が熱源機1の冷媒水熱交換器3にて熱交換を行い、それにより加熱された循環液は熱源機1の冷媒水熱交換器3から循環ポンプユニット9の熱源側往きヘッダー10の接続口15に流入し、合流した循環液は熱源側往きヘッダー10の合流口16からシスターンタンク11に流入し、更に循環ポンプ12を通過してヘッダーボックス18の負荷側往きヘッダー19の合流口21に流入する。
【0024】
ヘッダーボックス18の負荷側往きヘッダー19の合流口21に流入した高温の循環液は、負荷側往きヘッダー19の各接続口22から各放熱器23に流入して暖房を行い、放熱して温度の低下した循環液は、負荷側戻りヘッダー20の各接続口22に流入して合流し、負荷側戻りヘッダー20の合流口21から熱源側戻りヘッダー13の合流口16に戻り、更に熱源側戻りヘッダー13の各接続口15から各熱源機1の冷媒水熱交換器3に戻って再度加熱されるものである。
【0025】
次に図2の温水暖房装置の循環液の注入作業について説明する。
熱源機1、循環ポンプユニット9、ヘッダーボックス18、放熱器23を設置し、全ての配管を終了した時点で、熱源側往きヘッダー10と熱源側戻りヘッダー13の各接続口15の開閉バルブ14及び熱動弁17を全て開放状態にし、熱源側戻りヘッダー13で配管がされていない接続口15がひとつあるので、そこに移動自在のパワーシスターン24の注入側25を接続し、また、熱源側往きヘッダー10で配管がされていない接続口15がひとつあるので、そこにパワーシスターン24の戻り側26を接続する。
【0026】
その状態でパワーシスターン24に循環液を充填し、パワーシスターン24に備えられた注入ポンプ27を動作すると、パワーシスターン24内の循環液が注入ポンプ27により熱源側戻りヘッダー13に供給される。
【0027】
熱源側戻りヘッダー13に供給された循環液の一部は、熱源側戻りヘッダー13の合流口16から負荷側戻りヘッダー20の合流口21に流入し、更に負荷側戻りヘッダー20のから各接続口22から各放熱器23に流入していく。
【0028】
各放熱器23を通過した循環液は、負荷側往きヘッダー19にて合流し、合流した循環液は更に循環ポンプ12を通過してシスターンタンク11に流入して、シスターンタンク11から熱源側往きヘッダー10でパワーシスターン24の戻り側26が接続されている接続口15よりパワーシスターン24内に戻り、これにより負荷側の注水が行われるものである。
【0029】
また、パワーシスターン24から熱源側戻りヘッダー13に供給された循環液の一部は、熱源側戻りヘッダー13の熱源機1の冷媒水熱交換器3の一端が接続されている接続口15に流入し、冷媒水熱交換器3を通過して更に熱動弁17を通過して熱源側往きヘッダー10で冷媒水熱交換器3の他端が接続されている接続口15に流入し、熱源側往きヘッダー10内で負荷側の配管から戻ってきた循環液と一緒にパワーシスターン24の戻り側26が接続されている接続口15よりパワーシスターン24内に戻り、これにより熱源機側の注水が行われるものである。
【0030】
そして注入を開始すると、負荷側及び熱源機側の配管内の空気が注入される循環液により押し出されて、循環液と一緒にパワーシスターン24の戻り側26が接続されている接続口15よりパワーシスターン24内に戻り、それにより配管内の空気抜きも行い、パワーシスターン24内に循環液が戻ってくることで空気抜きも完了するものである。
【0031】
パワーシスターン24内に循環液が戻ってくる状態が続くようになったら、温水暖房装置の循環液の注入が完了したと判断して、パワーシスターン24に備えられた注入ポンプ27を停止し、熱源側往きヘッダー10と熱源側戻りヘッダー13の各接続口15の開閉バルブ14及び熱動弁17を全て閉鎖にし、熱源側戻りヘッダー13でパワーシスターン24の注入側25が接続されている接続口15からパワーシスターン24の注入側25を取り外し、更に熱源側往きヘッダー10でパワーシスターン24の戻り側26が接続されている接続口15からパワーシスターン24の戻り側26を取り外して温水暖房装置の循環液の注入作業が完了するものである。
【0032】
次にこの温水暖房装置の循環液の排水作業について説明する。
循環液の入れかえなどのため、一端負荷側及び熱源機側の配管内の循環液を排水する場合、まず熱源側往きヘッダー10と熱源側戻りヘッダー13の各接続口15で配管がされていない接続口15がそれぞれひとつあるので、その接続口15の開閉バルブ14及び熱動弁17を閉鎖状態から開放状態にして、その状態で循環ポンプ12を動作させる。
【0033】
それにより熱源側往きヘッダー10の配管がされていない接続口15から空気が熱源側往きヘッダー10内に流入すると共に、熱源側戻りヘッダー13の配管がされていない接続口15から配管内の循環液が排水される。
又、循環ポンプ12を動作させることで熱源機側の配管内の循環液が引っぱられて、熱動弁17を通過して熱源側往きヘッダー10内に流入して排水される。
【0034】
そして熱源側戻りヘッダー13の配管がされていない接続口15から循環液が排水されなくなったら、温水暖房装置の循環液の排水が完了したと判断して、循環ポンプ12を停止し、熱源側往きヘッダー10と熱源側戻りヘッダー13の各接続口15で配管がされていない接続口15の開閉バルブ14及び熱動弁17を開放状態から閉鎖状態にして温水暖房装置の循環液の排水作業を完了するものである。
【0035】
このように、循環液の注入及び排水作業は、循環ポンプユニット9の熱源側往きヘッダー10と熱源側戻りヘッダー13の接続口15で配管がされていない接続口15を使用するので、循環液の注入及び排水作業が簡単に行うことができ、又温水暖房装置を設置する際に循環液の循環路に充填バルブを設けると共に該充填バルブの流入側と流出側とに接続部を設けずに、循環液の循環路を配管できるものである。
【0036】
又、熱源側往きヘッダー10と熱源側戻りヘッダー13の接続口15で、配管がされていない接続口15を複数設けるようにすれば、温水暖房装置の設置後に熱源機1を増やしたい場合でも、増設する熱源機1の冷媒水熱交換器3の配管を熱源側往きヘッダー10と熱源側戻りヘッダー13の接続口15の配管がされていない接続口15に接続してその接続口15の開閉バルブ14を開放するだけで簡単に熱源機1を増やすことができ、又逆に熱源機1を減らしたい場合でも、取り外す熱源機1の冷媒水熱交換器3の配管を熱源側往きヘッダー10と熱源側戻りヘッダー13の接続口15の配管がされていない接続口15から取り外して、その接続口15の開閉バルブ14を閉鎖するだけで簡単に熱源機1を減らすことができるものである。
【符号の説明】
【0037】
1 熱源機
9 循環ポンプユニット
10 熱源側往きヘッダー
11 シスターンタンク
12 循環ポンプ
13 熱源側戻りヘッダー
14 開閉バルブ
15 接続口
23 放熱器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放熱器を循環する循環液を加熱する熱源機と、該熱源機により加熱された循環液を放熱器に送ると共に放熱器から戻ってきた循環液を熱源機に戻す循環ポンプユニットとを備えた温水暖房装置に於いて、前記循環ポンプユニットは、熱源機に接続されて熱源機により加熱された循環液が流入する接続口と熱源機に接続されない接続口とを備えた熱源側往きヘッダーと、該熱源側往きヘッダーに流入した循環液が流入するシスターンタンクと、該シスターンタンク内の循環液を放熱器に送る循環ポンプと、熱源機に接続されて放熱器により戻ってきた循環液を熱源機に戻す接続口と熱源機に接続されない接続口とを備えた熱源側戻りヘッダーと有し、前記熱源側往きヘッダーと熱源側戻りヘッダーの熱源機と接続されない接続口には開閉バルブを設けたことを特徴とする温水暖房装置。
【請求項2】
前記熱源側往きヘッダーと熱源側戻りヘッダーに、開閉バルブを有した接続口を複数設けたことを特徴とする請求項1記載の温水暖房装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−154571(P2012−154571A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14769(P2011−14769)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)
【Fターム(参考)】