説明

温水暖房装置

【課題】熱源機の除霜運転により暖房運転能力の低下を抑える温水暖房装置を提供する。
【解決手段】
圧縮機2と、冷媒水熱交換器3と、減圧器4と、空気熱交換器5とが環状に接続された熱源機1を複数設け、循環ポンプユニット10には各熱源機1により加熱された循環液を熱動弁18を介して合流させる熱源側往きヘッダー11と、放熱器24から戻ってきた循環液を各熱源機1に分流させる熱源側戻りヘッダー14とを備えた温水暖房装置で、暖房運転中に除霜運転を行う熱源機1と接続されている熱動弁18を閉塞するので、除霜運転により温度の低下した循環液が放熱器24に流れる循環液と混ざって、放熱器に流れる循環液の温度が低下するのを防止して、暖房運転能力の低下を抑えることができるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、熱源機により加熱された循環液を暖房機が接続された暖房回路に循環させて暖房を行う温水暖房装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からこの種のものに於いては、室外の空気と冷媒との熱交換を行う空気熱交換器を備えたヒートポンプユニットからなる室外機により冷媒を加熱し、加熱された冷媒と室内の暖房回路を循環する循環液とを冷媒水熱交換器により熱交換することにより循環液を加熱し、加熱した循環液を暖房回路の放熱器等の暖房機に循環させて暖房を行っていた。
【0003】
ところでこの従来のものでは、冬期の暖房時に、暖房温度が高く設定された場合や室外の気温が低い場合には、空気熱交換器の温度が氷点を下回る場合があり、このような場合、空気熱交換器の表面が結霜し、空気熱交換器の熱交換効率が低下するという問題があった。
【0004】
そこで、空気熱交換器の表面における結霜を防止するために、暖房時であっても、結霜が生じる条件に達したときに、冷媒の循環方向を逆転させて一時的に室内冷房の冷凍サイクルを機能させて空気熱交換器を加温して除霜を行う除霜運転を行ったり、室内機に対して並列に冷媒管に接続され、遮断機能を有するバイパス管遮断弁を備えた除霜バイパス管を設け、温水暖房をしない室内機暖房運転時にバイパス管遮断弁を所定の開度で開弁する制御を行う除霜運転を行うものがあった。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−43012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところでこの従来のものでは、室外機を複数台設置し各室外機にて加熱された循環液を合流させて温水暖房運転を行う場合、そのうちの一台が除霜運転を行うと室内機に流れる循環液の温度が低下して、暖房能力が低下してしまう問題があった。
【0007】
また、その除霜運転による暖房性能の低下を抑えるために、各室外機に並列に冷媒管に接続され、遮断機能を有するバイパス管遮断弁を備えた除霜バイパス管を設け、温水暖房をしない室内機暖房運転時にバイパス管遮断弁を所定の開度で開弁する制御を行う除霜運転を行う場合、室外機の部品点数が多くなってコストアップする問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明はこの点に着目し上記課題を解決する為、特にその構成を請求項1では、冷媒を圧縮する圧縮機と、高温冷媒の熱で循環液を加熱するための冷媒水熱交換器と、高圧冷媒を減圧する減圧器と、低温低圧冷媒を蒸発させる蒸発器としての空気熱交換器とが環状に接続され、放熱器を循環する循環液を加熱する熱源機と、該熱源機により加熱された循環液を循環ポンプにより放熱器に送ると共に、放熱器から戻ってきた循環液を熱源機に戻す循環ポンプユニットとを備えた温水暖房装置に於いて、前記熱源機を複数設けると共に、前記循環ポンプユニットには各熱源機により加熱された循環液を熱動弁を介して合流させる熱源側往きヘッダーと、放熱器から戻ってきた循環液を各熱源機に分流させる熱源側戻りヘッダーとを備え、暖房運転中に除霜運転を行う熱源機と接続されている熱動弁を閉塞するものである。
【0009】
又請求項2に係る温水暖房装置では、特にその構成を請求項1に於いて、前記熱源機の除霜運転が複数台同時に行うことを禁止したものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明の請求項1によれば、暖房運転中に除霜運転を行う熱源機と接続されている熱動弁を閉塞するので、除霜運転により温度の低下した循環液が放熱器に流れる循環液と混ざって、それにより放熱器に流れる循環液の温度が低下するのを防止して、暖房運転能力の低下を抑えることができるものである。
【0011】
又、本発明の請求項2に記載の温水暖房装置によれば、熱源機の除霜運転が複数台同時に行うことを禁止したので、放熱器に流れる高温の循環液の流量が急激に減少するのを防止し、暖房運転能力の低下を抑えることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の一実施形態を示す給湯装置の概略図。
【図2】同除霜運転のフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係る発明の1実施形態を図面に基づいて説明する。
1は熱源機で、冷媒を圧縮する圧縮機2と高温冷媒の熱で循環液を加熱するための冷媒水熱交換器3と高圧冷媒を減圧する減圧器4と低温低圧冷媒を蒸発させる蒸発器としての空気熱交換器5とが環状に接続されたヒートポンプサイクル6と、圧縮機2からの吐出冷媒の温度を検出する冷媒温度センサ7と、空気熱交換器5に熱源となる空気を供給するための送風手段8と、該熱源機1を制御する熱源機制御部9を有しているものである。
【0014】
10は循環ポンプユニットで、熱源側往きヘッダー11と、該熱源側往きヘッダー11の下流側に接続されたシスターンタンク12と、該シスターンタンク12の下流側に接続された循環ポンプ13と、熱源側戻りヘッダー14とを備えたものである。
【0015】
前記熱源側往きヘッダー11は、開閉バルブ15を有する接続口16を複数備えると共に、各熱源機1の冷媒水熱交換器3により加熱された循環液が流入する各接続口16からの循環液を合流する合流口17を有し、熱源機1の冷媒水熱交換器3と接続口16との間に通電及び非通電により開閉する熱動弁18を設け、合流口16には循環液の気液分離を行うシスターンタンク12が接続され、該シスターンタンク12の下流側に循環ポンプ13が接続されているものであり、更にこの温水暖房装置全体を制御する制御部19を備えたものである。
【0016】
又前記熱源側戻りヘッダー14は、開閉バルブ15を有する接続口16を複数備えると共に、放熱して温度の低下した循環液が流入する合流口17と、該合流口17に流入した循環液を各熱源機1の冷媒水熱交換器3に戻す開閉バルブ15を有する接続口16を複数備えたものである。
【0017】
又前記熱源側往きヘッダー11及び熱源側戻りヘッダー14は、接続口16の数を設置される熱源機1の台数より少なくとも1つ多く備えたものである。
【0018】
20はヘッダーボックスで、負荷側往きヘッダー21及び負荷側戻りヘッダー22を備え、前記負荷側往きヘッダー21は、循環ポンプユニット10の循環ポンプ13からの高温の循環液が流入する合流口23と、その流入した高温の循環液を各放熱器24に送る接続口25を複数備えたものである。
【0019】
又負荷側戻りヘッダー22は、各放熱器24から放熱して温度の低下した循環液が流入する接続口25を複数備えると共に、各接続口25に流入した循環液を合流させて循環ポンプユニット10の熱源側戻りヘッダー14の合流口17に戻す合流口23を備えたものである。
【0020】
次に図1によりこの温水暖房装置の暖房運転について説明する。
リモコン等の運転スイッチ(図示せず)をオンすると、各熱源機1のヒートポンプサイクル6が動作し、ヒートポンプサイクル6内の冷媒を加熱する。
それと同時に、循環ポンプユニット10の熱動弁18を非通電状態から通電状態にして閉鎖状態から開放状態にすると共に、循環ポンプユニット10の循環ポンプ13を動作させるものである。
【0021】
それにより、熱源機1のヒートポンプサイクル6で加熱された冷媒と、低温の循環液が熱源機1の冷媒水熱交換器3にて熱交換を行い、それにより加熱された循環液は熱源機1の冷媒水熱交換器3から循環ポンプユニット10の熱源側往きヘッダー11の接続口16に流入し、合流した循環液は熱源側往きヘッダー11の合流口17からシスターンタンク12に流入し、更に循環ポンプ13を通過してヘッダーボックス20の負荷側往きヘッダー21の合流口23に流入する。
【0022】
ヘッダーボックス20の負荷側往きヘッダー21の合流口23に流入した高温の循環液は、負荷側往きヘッダー21の各接続口25から各放熱器24に流入して暖房を行い、放熱して温度の低下した循環液は、負荷側戻りヘッダー22の各接続口25に流入して合流し、負荷側戻りヘッダー22の合流口23から熱源側戻りヘッダー14の合流口17に戻り、更に熱源側戻りヘッダー14の各接続口16から各熱源機1の冷媒水熱交換器3に戻って再度加熱されるものである。
【0023】
次に図2の温水暖房装置の熱源機1の除霜運転について説明する。
まず複数の熱源機1の中の熱源機制御部9から除霜運転準備信号が循環ポンプユニット10の制御部19に発信されると(S1)、制御部19は今、暖房運転を行っているか確認し(S2)、今、暖房運転を行っていなければ、制御部19は除霜運転準備信号を発信した熱源機1の熱源機制御部9へ除霜運転許可信号を発信する。(S3)
【0024】
又、(S2)で今、暖房運転を行っていれば、次に既に除霜運転を行っている熱源機1があるか確認し(S4)、既に除霜運転を行っている熱源機1がなければ(S3)に進み、既に除霜運転を行っている熱源機1があれば、除霜運転準備信号を発信した熱源機1の中の熱源機制御部9への除霜運転許可信号の発信を保留して(S5)、(S4)に戻る。
【0025】
制御部19は、(S3)で除霜運転許可信号を発信した後、除霜運転許可信号を発信した熱源機1の冷媒水熱交換器3の下流側と接続している熱動弁18を閉塞する。(S6)
そして、除霜運転を行っていた熱源機1の熱源機制御部9から制御部19に除霜運転終了信号が発信されると(S7)、制御部19は除霜運転許可信号を発信した熱源機1の冷媒水熱交換器3の下流側と接続している熱動弁18を開放して(S8)、除霜運転を終了した熱源機1に暖房運転を再開させ、そして(S1)に戻るものである。
【0026】
以上のように、除霜運転を行う熱源機1の冷媒水熱交換器3の下流側と接続している熱動弁18を閉塞することにより、除霜運転により温度の低下した循環液が放熱器24に流れる循環液と混ざって、それにより放熱器24に流れる循環液の温度が低下するのを防止して、暖房運転能力の低下を抑えることができるものである。
【0027】
又、 同時に熱源機1が除霜運転を行うことを防止しているので、放熱器24に流れる高温の循環液の流量が急激に減少するのを防止し、暖房運転能力の低下を抑えることができるものである。
【符号の説明】
【0028】
1 熱源機
2 圧縮機
3 冷媒水熱交換器
4 減圧器
5 空気熱交換器
10 循環ポンプユニット
11 熱源側往きヘッダー
13 循環ポンプ
14 熱源側戻りヘッダー
18 熱動弁
24 放熱器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮する圧縮機と、高温冷媒の熱で循環液を加熱するための冷媒水熱交換器と、高圧冷媒を減圧する減圧器と、低温低圧冷媒を蒸発させる蒸発器としての空気熱交換器とが環状に接続され、放熱器を循環する循環液を加熱する熱源機と、該熱源機により加熱された循環液を循環ポンプにより放熱器に送ると共に、放熱器から戻ってきた循環液を熱源機に戻す循環ポンプユニットとを備えた温水暖房装置に於いて、前記熱源機を複数設けると共に、前記循環ポンプユニットには各熱源機により加熱された循環液を熱動弁を介して合流させる熱源側往きヘッダーと、放熱器から戻ってきた循環液を各熱源機に分流させる熱源側戻りヘッダーとを備え、暖房運転中に除霜運転を行う熱源機と接続されている熱動弁を閉塞することを特徴とする温水暖房装置。
【請求項2】
前記熱源機の除霜運転が複数台同時に行うことを禁止したことを特徴とする請求項1記載の温水暖房装置。

【図1】
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【図2】
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