説明

温水洗浄便座装置

【課題】温水洗浄便座において、洗浄開始スイッチの端子部材間が結露水によって短絡し
た状態において、便座に着座したとき着座検出スイッチが動作するため、便座に着座した
途端に、洗浄ノズルが作動して洗浄ノズルから洗浄水が噴出する事態が生じる。本発明は
、このような洗浄開始スイッチの端子部材間短絡が生じた場合には、便座に着座しても洗
浄水が噴出する事態が生じないようにする。
【解決手段】制御部は、着座検出装置の着座検出状態において洗浄開始スイッチによる洗
浄指令が発せられたときは、弁装置を開いて洗浄ノズルから洗浄水を噴出する通常モード
とし、着座検出装置が着座未検出状態であり洗浄開始スイッチの端子部材間が短絡した場
合には、弁装置を閉じたままとし、且つ警報装置にて異常を報知する異常モードとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道水配管に接続された導水管を通って供給される水道水が、水道水のまま
または加熱された温水となって洗浄ノズルから噴出して、便座に着座した人の部位を洗浄
する温水洗浄便座装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の温水洗浄便座装置として、洗浄ノズル61、62による洗浄開始、洗浄停止等を
行うスイッチ37を取り付けた絶縁性基板36を内蔵し、前記スイッチ37の手動操作部
20、21、22を上面に備えた本体10が、便座81の側方に配置された温水洗浄便座
装置がある。(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−181860号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このようにスイッチ37を取り付けた基板36を内蔵した本体10内は、温水供給源等
の温度によって加温されるため、この本体10内部の温度に比してその周囲温度が低い場
合には、その両方の温度差によって、本体10内部に結露を生じることがある。基板36
にはスイッチ37が取り付けられており、本体10内部面の結露水がこの基板に滴下して
、基板に取り付けたスイッチの接点から延びる端子部材間が短絡し、スイッチが操作され
ないにも拘わらず、このスイッチが操作されたことと同じ状況が発生し、所謂、誤動作の
原因となる。この誤動作の一つとして、前記スイッチが洗浄開始スイッチであれば、この
洗浄開始スイッチの端子部材間が結露水によって短絡した状態において、便座に着座した
とき着座検出スイッチが動作するため、便座に着座した途端に、洗浄ノズルが作動して洗
浄ノズルから洗浄水が噴出する事態が生じることとなる。
【0004】
防水対策として、スイッチと基板全体をエポキシ樹脂等でモールドする防水対策がある
が、これはかなりのコストアップになる問題がある。このため、基板全体をプラスチック
フィルムでカバーする対策が採用されるが、周囲温度が低い場合にプラスチックフィルム
内の空気中の湿気が水滴となり、この水滴が基板に滴下して、基板に取り付けたスイッチ
の接点から延びる端子部材間が短絡する虞がある。
【0005】
このように防水対策を行なった場合にも、他の要因(例えば、可動接点部材が固定接点
部材に当接したままの短絡状態、または、基板が吸湿した状態での短絡等)によって、万
一洗浄開始スイッチの端子部材間短絡が生じた場合、または防水対策を行わなかった場合
において結露水によって洗浄開始スイッチの端子部材間短絡が生じた場合、上記のように
、便座に着座した途端に、洗浄ノズルが作動して洗浄ノズルから洗浄水が噴出する事態が
生じることとなる。
【0006】
本発明は、このような洗浄開始スイッチの端子部材間短絡が生じた場合には、便座に着
座しても洗浄水が噴出する事態が生じないようにするものである。また、この異常状態が
発生していることを使用者に報知して、異常解決を促すようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明は、水道水配管に接続された導水管を通って水道水がそのまままたは電気ヒー
タで加熱されて洗浄水として洗浄ノズルから噴出し便座に着座した人の部位を洗浄する温
水洗浄便座装置において、前記便座に着座したことを検出する着座検出装置と、前記洗浄
ノズルから洗浄水を噴出させるように洗浄指令する手動操作式洗浄開始スイッチと、前記
洗浄ノズルから洗浄水を噴出するように前記導水管を開閉する弁装置と、異常状態を報知
する警報装置と、前記着座検出装置及び前記洗浄開始スイッチの動作に基づき前記弁装置
及び前記警報装置を制御する制御部を備え、前記制御部は、着座検出装置の着座検出状態
において前記洗浄開始スイッチによる洗浄指令が発せられたときは、前記弁装置を開いて
前記洗浄ノズルから洗浄水を噴出する通常モードとし、前記着座検出装置が着座未検出状
態であり前記洗浄開始スイッチの端子部材間が短絡した場合には前記弁装置を閉じたまま
とし、且つ前記警報装置にて異常を報知する異常モードとすることを特徴とする。
【0008】
第2発明は、第1発明において、前記警報装置は、前記洗浄開始スイッチの操作部近傍
に配置されたLED(発光ダイオード)を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
第1発明によって、通常モードでは、使用者が便座に着座して着座検出装置が検出した
状態において洗浄開始スイッチを操作すれば、弁装置が開いて洗浄ノズルから洗浄水が噴
出されて、所望の洗浄が行われる。しかし、使用者が便座に着座していない着座未検出状
態において、洗浄開始スイッチの端子部材間が何らかの要因によって短絡した状態になっ
ておれば、この状態で使用者が便座に着座しても、弁装置を閉じたままであり、使用者が
便座に着座した途端に洗浄水が噴出することもなくなる。また、この状態は異常状態であ
ることを警報装置にて報知するため、使用者はそれによって異常解決の対策をとることが
できるものとなる。
【0010】
第2発明によって、使用者が便座に着座したとき洗浄開始スイッチの端子部材間が短絡
しておれば、使用者が洗浄開始スイッチを操作しても洗浄ノズルから洗浄水が噴出されず
、この故障状態は、LED(発光ダイオード)の発光状態によって把握できる。しかも、
このLED(発光ダイオード)は、洗浄開始スイッチの操作部近傍に配置されているため
、使用者が目視し易く、異常解決を促す効果として好ましいものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の温水洗浄便座装置は、水道水配管に接続された導水管を通って水道水がそのま
ままたは電気ヒータで加熱されて洗浄水として洗浄ノズルから噴出し便座に着座した人の
部位を洗浄する温水洗浄便座装置において、前記便座に着座したことを検出する着座検出
装置と、前記洗浄ノズルから洗浄水を噴出させるように洗浄指令する手動操作式洗浄開始
スイッチと、前記洗浄ノズルから洗浄水を噴出するように前記導水管を開閉する弁装置と
、異常状態を報知する警報装置と、前記着座検出装置及び前記洗浄開始スイッチの動作に
基づき前記弁装置及び前記警報装置を制御する制御部を備え、前記制御部は、着座検出装
置25の着座検出状態において前記洗浄開始スイッチによる洗浄指令が発せられたときは
、前記弁装置を開いて前記洗浄ノズルから洗浄水を噴出する通常モードとし、前記着座検
出装置が着座未検出状態であり前記洗浄開始スイッチの端子部材間が短絡した場合には前
記弁装置を閉じたままとし、且つ前記警報装置にて異常を報知する異常モードとするもの
であり、本発明の実施例を以下に記載する。
【実施例1】
【0012】
本発明の実施形態について説明する。図1は本発明に係る温水洗浄便座装置の蓋が閉ま
った状態の斜視図、図2は本発明に係る温水洗浄便座装置の蓋と機能部分のカバーを取り
外した状態の機能部分と制御ボックスを示す正面斜視図、図3は本発明に係る温水洗浄便
座装置の着座検出スイッチ装置部分の断面図、図4は本発明に係る温水洗浄便座装置の待
機モードを示す構成図、図5は本発明に係る温水洗浄便座装置のおしり洗浄モードを示す
構成図、図6は本発明に係る温水洗浄便座装置のビデ洗浄モードを示す構成図、図7は本
発明に係る温水洗浄便座装置の制御装置の構成図である。
【0013】
図において、1は本発明の温水洗浄便座装置を示しており、裏側から絶縁被覆されたコ
ードヒータ(図示せず)で加温される便座2と、便座2の上面を覆う開閉蓋3と、便座2
及び開閉蓋3の後方に位置して後述の機能部10を配置すると共に便座2及び開閉蓋3を
開閉回動可能に支持する基材部8を備えている。基材部8には、洗浄ノズルとして便座2
の後部下側へ延びるおしり(肛門)洗浄用ノズル4Aとビデ洗浄用ノズル4B、温水タン
ク5、及び電装部6等の機能部10が配設され、この機能部10を覆うようにカバー7が
基材部8に着脱自在に取り付けられている。カバー7の一部がパネル7Aになっている。
蓋3の後端部の駆動側(図では右側)は、基材部8に支持部材を介して取り付けた電動機
装置9によって往復回転する回転軸11に取り付けられて、蓋3が上方に開閉回動可能で
ある。
【0014】
また、便座2の後端部の駆動側(図では左側)は、基材部8に取り付けた電動機装置1
2によって往復回転する回転軸13に取り付けられて、便座2が上方に開閉回動可能であ
る。また、便座2の後端部の従動側(図では右側)は、便座2の後端部から水平方向に外
向きに突出した円筒状軸部24が一体に形成され、この円筒状軸部24が後述の着座検出
装置25のタクトスイッチ28の作動部として作用する。なお、この円筒状軸部24へ緩
く進入するように基材部8から延びた水平方向軸によって、回動可能且つ上下動可能に支
持するようにしてもよい。また、円筒状軸部24が基材部8の軸受け部に上下動可能に支
持される構成でもよい。
【0015】
洗浄水として温水タンク5へ供給される水道水は、パイプジョイント装置14によって
水道水配管に接続された導水管19に取り付けたごみ取り用のストレーナ62と逆止弁6
3を通過した後、電磁弁40と減圧弁41を順次通り、後述の開閉弁47を経て温水タン
ク5内の底部へ供給される。19Aは温水タンク5へ供給される水道水路の途中に設けた
接続部である。図示していないが、機能部10は温風用電気ヒータを内蔵した温風供給装
置を備えており、これが基材部8に取り付けられていて、便座2の後部下側へ延びる温風
ノズルから温風を供給して、洗浄後のお尻を乾燥するようにしている。
【0016】
基材部8には、便座2の側方(図では右側)に配置した上面開口の制御ボックス80が
連結されており、機能部10を覆うカバー7に一体または別体に制御ボックス80の上面
を覆うカバー84が設けられている。制御ボックス80内には、おしり(肛門)洗浄用ノ
ズル4Aとビデ洗浄用ノズル4Bによる洗浄開始、洗浄停止等を行うスイッチSWを取り
付けた絶縁性基板81を内蔵している。制御ボックス80の上面開口は、カバー84で覆
われ、カバー84の上面はスイッチSWの手動操作部83を構成する可撓性薄板85で覆
われている。手動操作部83を押すことによって、スイッチSWが作動する。
【0017】
前記スイッチSWは絶縁性基板81に取り付けられており、このスイッチSWは、実施
例では、おしり(肛門)洗浄開始スイッチ43A、ビデ洗浄開始スイッチ43B、洗浄停
止スイッチ44、温水タンク5の加熱用シーズヒータ42のON−OFFスイッチ45、
洗浄水の水勢調節スイッチ49A、49B、温水タンク5の温水温度可変スイッチ64等
である。絶縁性基板81には、これらのスイッチSWが接続された制御部60(制御回路
部60と称してもよい)と、後述の異常を報知する警報装置82としてのLED(発光ダ
イオード)82が取り付けられている。LED(発光ダイオード)82の発光が制御ボッ
クス80の上面から目視できるように、LED(発光ダイオード)82の光は、カバー8
4を貫通した透孔から可撓性薄板85の透明部に照射される。
【0018】
温水タンク5内の水を加熱するための温水ヒータとして、通電にて発熱するシーズヒー
タ42が温水タンク5内の底部に配設されている。シーズヒータ42を通電する温水モー
ドとするか、非通電の冷水モード(供給される水道水温)とするかは、プッシュ・プッシ
ュ式の温水ヒータスイッチ45によって制御される。温水タンク5の上壁には、温水タン
ク5内の異常温度を検知してシーズヒータ42への通電回路を遮断する温度検知部21と
、温水タンク5内の洗浄水レベルを検知して電磁弁40を開閉制御して、温水タンク5内
の洗浄水レベルを所定レベルに制御するフロートスイッチ22と、温水タンク5内の圧力
が外気圧よりも低くなったとき温水タンク5内と外気を連通する負圧弁23Aを備えた気
圧調整用パイプ23Bの取り付け部23が設けられている。また温水タンク5内には、温
水タンク5内の温水温度は、温水モードにおいて温水温度可変スイッチ64によって使用
者が任意の設定温度に設定できる。温水モードにおいてシーズヒータ42への通電を制御
して、温水タンク5内の温水温度を前記設定温度に維持するため、温水タンク5内の温水
温度を検知するサーミスタ61が設けられている。
【0019】
おしり洗浄用ノズル4Aとビデ洗浄用ノズル4Bは、温水タンク5内の洗浄水の水圧に
よって進出するようにするために、洗浄モードに入る前の待機モードでは、おしり洗浄用
ノズル4Aとビデ洗浄用ノズル4Bは、図4のように、それぞれコイルバネ4A2、4B
2によって、ノズルカバー4A1、4B1内に収容された状態であり、洗浄モードにおい
て、おしり洗浄用ノズル4Aとビデ洗浄用ノズル4Bは、それぞれコイルバネ4A2、4
B2を圧縮しつつ前方へ進出する仕組みである。
【0020】
組み立てのし易さ等を考慮して、図に示すように、コイルバネ4A2、4B2及びノズ
ルカバー4A1、4B1を含むおしり洗浄用ノズル4Aとビデ洗浄用ノズル4Bの機構、
ステッピングモータ46を含む開閉弁47機構とノズル通路切り替え弁48機構は、1つ
の洗浄ノズルユニットNUを構成している。
【0021】
導水管19によって温水タンク5へ供給される水道水の給水路には、この給水路を開閉
する開閉弁47が設けられている。導水管19は、電磁弁40または開閉弁47のいずれ
かの弁装置によって開閉するものでもよいが、実施例では電磁弁40と開閉弁47の二つ
弁装置によって開閉されるようにしているのは、一方の弁装置が導水管19を開いたまま
で故障しても、他方の弁装置が導水管19を閉じておれば、水道水圧が温水タンク5へ掛
かることが無いための安全を考慮したものである。
【0022】
温水タンク5内の洗浄水をおしり洗浄用ノズル4Aへ供給するか、ビデ洗浄用ノズル4
Bへ供給するかを切り替えるノズル通路切り替え弁48が、おしり洗浄用ノズル4A側の
入口通路74Aとビデ洗浄用ノズル4B側の入口通路74Bの分岐部72に設けられてい
る。開閉弁47とノズル通路切り替え弁48は、1つのステッピングモータ46によって
正転・逆転する回動軸70と、この回動軸70を収容した筒体71によって構成されてい
る。開閉弁47機構は、回動軸70の回転によって水入口通路ETと水出口通路XTを連
通する構成である。また、ノズル通路切り替え弁48の機構は、回動軸70の先端から軸
方向へ形成した有底の中空通路73と、この中空通路73に連通するように回動軸70の
一部を貫通した連通路48Aが形成されていて、回動軸70の回転によっておしり洗浄用
ノズル4A側へ洗浄水を流すか、ビデ洗浄用ノズル4B側へ洗浄水を流すかの切り替えを
行なう構成である。
【0023】
洗浄モードに入る前の待機モードにおいては、図4に示すように、開閉弁47機構では
、水入口通路ETと水出口通路XTを連通しない位置にあり、開閉弁47が閉じた状態で
ある。また、ノズル通路切り替え弁48機構では、通路48Aが筒体71によって塞がれ
た状態であり、中空通路73がおしり洗浄用ノズル4A側の入口通路74Aとビデ洗浄用
ノズル4B側の入口通路74Bのいずれにも連通していない状態である。このため、図4
に示すように、おしり洗浄用ノズル4Aとビデ洗浄用ノズル4Bが、それぞれコイルバネ
4A2、4B2によって、ノズルカバー4A1、4B1内に収容された状態である。
【0024】
温水タンク5内の洗浄水レベルは、待機モードでは、図4に示すようにタンク水送出パ
イプ75の上端開口よりも若干低いWLラインに維持されており、後述のようにおしり洗
浄モード及びビデ洗浄モードのいずれかの洗浄モードになれば、水道水の水圧によってW
Lラインよりも高い水位となり、タンク水送出パイプ75の上端開口からタンク水送出パ
イプ75内へ洗浄水が流入する状態となる。
【0025】
便座2は、その裏側に間隔を存して複数個の弾性脚部が設けられ、便器上面フランジ部
に便座2を倒した状態で、この弾性脚部が便器上面フランジ部に当接する。この弾性脚部
によって、便座2に着座した使用者の体重によって軸部24側が下降する構成であり、軸
部24が下降することによって、スイッチカバー34がコイルバネ35を圧縮して、着座
検出装置25のタクトスイッチ28の作動部29が下方へ押され、タクトスイッチ28が
作動する仕組みである。また、着座状態の便座2から人が離れることによって、タクトス
イッチ28が復帰する。
【0026】
便座2に人が着座してタクトスイッチ28が閉じた(ONした)状態で、おしり洗浄開
始スイッチ43Aまたはビデ洗浄開始スイッチ43Bを便座2の使用者がON操作するこ
とによって、洗浄モードとなり、制御部60が作動して、おしり洗浄用ノズル4Aまたは
ビデ洗浄用ノズル4Bが進出してその進出したノズルから洗浄水が噴出する。この噴出は
、洗浄停止スイッチ44を便座2の使用者がON操作することによって停止する。
【0027】
このように、おしり洗浄開始スイッチ43Aまたはビデ洗浄開始スイッチ43Bの操作
によって、制御部60が作動し、温水タンク5内の洗浄水(シーズヒータ42が通電モー
ドによる温水と、シーズヒータ42が非通電モードによる水道水そのままの場合がある)
が、おしり洗浄用ノズル4Aまたはビデ洗浄用ノズル4Bから噴出する制御について説明
する。
【0028】
水道水は、後述のように、水道水配管に接続された導水管19に取り付けた電磁弁40
と減圧弁41を順次通り、開閉弁47を経て温水タンク5へ供給される。通常使用状態に
おいて洗浄モードに入る前の待機モードでは、電磁弁40と開閉弁47が導水管19を閉
じており、予め供給されている温水タンク5内の洗浄水レベルは、図4に示すWLライン
に維持されている。温水タンク5の水は、シーズヒータ42が通電モードになっておれば
温水となり、シーズヒータ42が非通電モードであれば水道水そのままである。洗浄モー
ドでない待機モードでは、おしり洗浄用ノズル4Aとビデ洗浄用ノズル4Bは、図4のよ
うにそれぞれコイルバネ4A2、4B2によって、ノズルカバー4A1、4B1内に収容
された退避状態(後退状態)である。
【0029】
便座2に人が着座してタクトスイッチ28が閉じた(ONした)状態で、おしり洗浄開
始スイッチ43Aまたはビデ洗浄開始スイッチ43Bを便座2の使用者がON操作するこ
とによって、制御部60が作動し洗浄モードとなる。即ち、タクトスイッチ28による着
座検出と、おしり洗浄開始スイッチ43Aまたはビデ洗浄開始スイッチ43BのONの両
方が整ったとき(AND状態)によって、洗浄モードとなる。
【0030】
この洗浄モードは、おしり洗浄モードとビデ洗浄モードがある。先ず、おしり洗浄モー
ドについて説明する。おしり洗浄開始スイッチ43Aに対応する手動操作部83を押して
おしり洗浄開始スイッチ43AをONすることにより、制御部60の動作によって、通電
によって電磁弁40が開くと共に、ステッピングモータ46が制御部60からのパルス信
号によってステップ作動して回動軸70が正回転し、開閉弁47機構では、水入口通路E
Tと水出口通路XTを連通するように開閉弁47が開いた状態となり、水道水圧が温水タ
ンク5内へ掛かる状態となる。また、このステッピングモータ46の動作によって、ノズ
ル通路切り替え弁48機構では、連通路48Aがおしり洗浄用ノズル4A側の入口通路7
4Aに連通した状態となる。このため、水道水圧が温水タンク5内に掛かることにより、
温水タンク5内の洗浄水がおしり洗浄用ノズル4Aへ供給され、図5のように、その水圧
によっておしり洗浄用ノズル4Aがコイルバネ4A2をそのバネ力に抗して圧縮しつつ、
前方へ進出し、先端のノズルから洗浄水が噴出する。
【0031】
次に、ビデ洗浄モードについて説明する。ビデ洗浄開始スイッチ43Bに対応する手動
操作部83を押してビデ洗浄開始スイッチ43BをONすることにより、制御部60の動
作によって、通電によって電磁弁40が開くと共に、ステッピングモータ46が制御部6
0からのパルス信号によってステップ作動して回動軸70が逆回転し、開閉弁47機構で
は、水入口通路ETと水出口通路XTを連通するように開閉弁47が開いた状態となり、
水道水圧が温水タンク5内へ掛かる状態となる。また、このステッピングモータ46の動
作によって、ノズル通路切り替え弁48機構では、連通路48Aがビデ洗浄用ノズル4B
側の入口通路74Bに連通した状態となる。このため、水道水圧が温水タンク5内に掛か
ることにより、温水タンク5内の洗浄水がビデ洗浄用ノズル4Bへ供給され、図6のよう
に、その水圧によってビデ洗浄用ノズル4Bがコイルバネ4B2をそのバネ力に抗して圧
縮しつつ、前方へ進出し、先端のノズルから洗浄水が噴出する。
【0032】
おしり洗浄モードまたはビデ洗浄モードのいずれにおいても、噴出する洗浄水の流量は
、流量可変スイッチ49A、49Bによって行なう。待機モードから洗浄モードになった
ときは、最大流量と最小流量の中間流量に設定されるようになっており、この状態から使
用者が水勢を強くするときは水勢調節スイッチ87をON操作し、水勢を弱くするときは
水勢調節スイッチ88をON操作することによって、制御部60によってステッピングモ
ータ46が作動して回動軸70が回動し、それによってノズル通路切り替え弁48の開度
(連通路48Aが筒体71によって塞がれる範囲)が変わり、選択されたおしり洗浄用ノ
ズル4Aまたはビデ洗浄用ノズル4Bから噴出する洗浄水の流量を可変できる。
【0033】
おしり洗浄モードまたはビデ洗浄モードのいずれにおいても、洗浄停止スイッチ44を
便座2の使用者がON操作することによって停止する。洗浄停止スイッチ44をON操作
することにより、制御部60の動作によって、電磁弁40が非通電となって導水管路を閉
じると共に、ステッピングモータ46が制御部60からのパルス信号によってステップ作
動し、開閉弁47機構では、水入口通路ETと水出口通路XTを非連通状態とし、開閉弁
47が閉じた状態に復帰し、また、ノズル通路切り替え弁48機構も、連通路48Aが入
口通路74A、74Bのいずれにも連通しない状態に復帰する。このようにして、おしり
洗浄用ノズル4Aまたはビデ洗浄用ノズル4Bへ水道水圧が掛からなくなるため、磁弁4
0と開閉弁47が閉じることにより、水道水圧が温水タンク5内へ掛からなくなるため、
おしり洗浄用ノズル4Aまたはビデ洗浄用ノズル4Bは、それぞれ対応するコイルバネ4
A2、4B2によって、図4のように、ノズルカバー4A1、4B1内に収容された状態
に復帰する。
【0034】
上記において、使用者が便座2に着座していない状態、即ち、着座検出装置25が着座
未検出状態において、洗浄指令する手動操作式洗浄開始スイッチ43Aの端子部材間が、
何らかの要因によって短絡した場合には、手動操作式洗浄開始スイッチ43AがON状態
であるため、この状態で使用者が便座2に着座して着座検出装置25が着座検出状態とな
れば、上記のように、着座検出装置25による着座検出と、おしり洗浄開始スイッチ43
AのONの両方が整う状態(AND状態)となり、使用者が便座2に着座した途端に洗浄
ノズル4Aから洗浄水が噴出する状態となる。これは異常状態である。また、使用者が便
座2に着座していない状態、即ち、着座検出装置25が着座未検出状態において、洗浄指
令する手動操作式洗浄開始スイッチ43Bの端子部材間が、何らかの要因によって短絡し
た場合には、この状態で使用者が便座2に着座して着座検出装置25が着座検出状態とな
れば、上記のように、着座検出装置25による着座検出と、ビデ洗浄開始スイッチ43B
のONの両方が整う状態(AND状態)となり、洗浄ノズル4Bから洗浄水が噴出する異
常状態となる。
【0035】
このような異常状態は、使用者の意図しないものであり、好ましくない。このため、本
発明は、このような洗浄開始スイッチ43Aまたは43Bの端子部材間短絡が生じた場合
には、便座2に着座しても洗浄水が噴出する事態が生じないようにするものである。また
、この異常状態が発生していることを警報装置にて使用者に報知して、異常解決を促すよ
うにするものである。以下、この具体的な構成を説明する。
【0036】
本発明では、水道水配管に接続された導水管19を通って水道水がそのまままたは電気
ヒータ42で加熱されて洗浄水として洗浄ノズル(上記実施例では4A、4B)から噴出
し便座2に着座した人の部位を洗浄する温水洗浄便座装置において、便座2に着座したこ
とを検出する着座検出装置25と、前記洗浄ノズル(上記実施例では4A、4B)から洗
浄水を噴出させるように洗浄指令する手動操作式洗浄開始スイッチ(上記実施例では43
A、43B)と、前記洗浄ノズル(上記実施例では4A、4B)から洗浄水を噴出するよ
うに導水管19を開閉する弁装置(上記実施例では電磁弁40、開閉弁47)と、異常状
態を報知する警報装置82と、前記着座検出装置及び記洗浄開始スイッチの動作に基づき
前記弁装置及び前記警報装置を制御する制御部60を備えている。
【0037】
通常動作を行なう通常モードでは、上記のように、使用者が便座2に着座して着座検出
装置25が着座検出状態であるとき、前記洗浄開始スイッチ(上記実施例では43A、4
3B)により洗浄指令が発せられたときは、制御部60が動作して、水道水圧が洗浄ノズ
ル(上記実施例では4A、4B)へ掛かるように、前記弁装置(上記実施例では電磁弁4
0、開閉弁47)を開いて、洗浄ノズル(上記実施例では4A、4B)から洗浄水を噴出
するように動作する。
【0038】
一方、着座検出装置25が着座未検出状態であり、上記のように、洗浄開始スイッチ(
上記実施例では43A、43B)の端子部材間が短絡した場合には、使用者が便座2に着
座して着座検出装置25が着座検出状態になったときは、前記弁装置(上記実施例では電
磁弁40、開閉弁47)を閉じたままとし、且つ警報装置82にて異常を報知するよう制
御部60が動作する。これが異常モードである。
【0039】
このような制御を達成するために、制御部60は、着座検出装置25の着座検出状態に
おいて洗浄開始スイッチ(上記実施例では43A、43B)による洗浄指令が発せられた
ときは、前記弁装置(上記実施例では電磁弁40、開閉弁47)を開いて前記洗浄ノズル
(上記実施例では4A、4B)から洗浄水を噴出する通常モードとし、前記着座検出装置
25が着座未検出状態であり前記洗浄開始スイッチ(上記実施例では43A、43B)の
端子部材間が短絡した状態において前記着座検出装置25が着座検出状態になったときは
、前記弁装置(上記実施例では電磁弁40、開閉弁47)を閉じたままとし、且つ前記警
報装置82にて異常を報知する異常モードとする。
【0040】
このように、制御部60は、着座検出装置25の着座検出した後に、洗浄開始スイッチ
(上記実施例では43A、43B)による洗浄指令が発せられたか、着座検出装置25の
着座検出する前に、洗浄開始スイッチ(上記実施例では43A、43B)による洗浄指令
が発せられているか(端子が短絡している状態)によって、正常モードか異常モードかを
判定する判定手段を備えており、この判定によって、前記弁装置(上記実施例では電磁弁
40、開閉弁47)の開閉制御を行うものである。そして、異常モードでは、警報装置8
2として、LED(発光ダイオード)82が連続赤色発光または点滅して警告を発する。
なお、警報装置82は、ブザーであってもよい。
【0041】
これによって、洗浄開始スイッチ(上記実施例では43A、43B)の端子部材間が何
らかの要因によって短絡した状態になっておれば、この状態で使用者が便座2に着座して
も、弁装置(上記実施例では電磁弁40、開閉弁47)を閉じたままであり、使用者が便
座2に着座した途端に洗浄水が噴出することもなくなる。また、この状態は異常状態であ
ることを警報装置82にて報知するため、使用者はそれによって異常解決の対策をとるこ
とができるものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、上記実施例に示した構成に限定されず、種々の形態の温水洗浄便座装置に適
用できるものであり、本発明の技術範囲において種々の形態を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る温水洗浄便座装置の蓋が閉まった状態の斜視図である。
【図2】本発明に係る温水洗浄便座装置の蓋と機能部分のカバーを取り外した状態の機能部分と制御ボックスを示す正面斜視図である。
【図3】本発明に係る温水洗浄便座装置の着座検出スイッチ装置部分の断面図である。
【図4】本発明に係る温水洗浄便座装置の待機モードを示す構成図である。
【図5】本発明に係る温水洗浄便座装置のおしり洗浄モードを示す構成図である。
【図6】本発明に係る温水洗浄便座装置のビデ洗浄モードを示す構成図である。
【図7】本発明に係る温水洗浄便座装置の制御装置の構成図である。
【符号の説明】
【0044】
1・・・・・温水洗浄便座
2・・・・・便座
3・・・・・開閉蓋
4A・・・・おしり洗浄用ノズル
4B・・・・ビデ洗浄用ノズル
5・・・・・温水タンク
7・・・・・カバー
8・・・・・基材部
9・・・・・電動機装置
10・・・・機能部
12・・・・電動機装置
24・・・・便座の軸部
25・・・・着座検出装置
28・・・・タクトスイッチ
40・・・・電磁弁
41・・・・減圧弁
43A・・・おしり洗浄開始スイッチ
43B・・・ビデ洗浄開始スイッ
44・・・・洗浄停止スイッチ
46・・・・ステッピングモータ
47・・・・開閉弁
48・・・・ノズル通路切り替え弁
48A・・・連通路
60・・・・制御部
70・・・・回動軸
71・・・・筒体
72・・・・分岐部
73・・・・中空通路
74A・・・おしり洗浄用ノズル4A側の入口通路
74B・・・ビデ洗浄用ノズル4B側の入口通路
75・・・・タンク水送出パイプ
80・・・・制御ボックス
81・・・・絶縁性基板
82・・・・警報装置
83・・・・手動操作部
84・・・・カバー
85・・・・可撓性薄板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道水配管に接続された導水管を通って水道水がそのまままたは電気ヒータで加熱され
て洗浄水として洗浄ノズルから噴出し便座に着座した人の部位を洗浄する温水洗浄便座装
置において、前記便座に着座したことを検出する着座検出装置と、前記洗浄ノズルから洗
浄水を噴出させるように洗浄指令する手動操作式洗浄開始スイッチと、前記洗浄ノズルか
ら洗浄水を噴出するように前記導水管を開閉する弁装置と、異常状態を報知する警報装置
と、前記着座検出装置及び前記洗浄開始スイッチの動作に基づき前記弁装置及び前記警報
装置を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記着座検出装置の着座検出状態において
前記洗浄開始スイッチによる洗浄指令が発せられたときは、前記弁装置を開いて前記洗浄
ノズルから洗浄水を噴出する通常モードとし、前記着座検出装置が着座未検出状態であり
前記洗浄開始スイッチの端子部材間が短絡した場合には前記弁装置を閉じたままとし、且
つ前記警報装置にて異常を報知する異常モードとすることを特徴とする温水洗浄便座装置

【請求項2】
前記警報装置は、前記洗浄開始スイッチの操作部近傍に配置されたLED(発光ダイオ
ード)を含むことを特徴とする請求項1に記載の温水洗浄便座装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−221656(P2009−221656A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−63936(P2008−63936)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(302071092)テガ三洋工業株式会社 (244)
【Fターム(参考)】