説明

温熱振動装置

【課題】適正な温熱振動処理を行い得るようにする。
【解決手段】シート状のヒータ基板24、24Xと、これを挟むように設けられた発泡樹脂材料でなる内側マット21、21X及び外側マット22、22Xと、内蔵振動器45、45Xとを、防水材料でなる内布地35、35X及び外布地36、36Xによって袋状に包み込んで構成された薄い座布団状のカフ2、4を、被験者7の部位に巻き付け装着できるようにしたことによって、いろいろな体格の被験者7であっても、当該部位に対して簡便に温熱振動処理を付与することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は温熱振動装置に関し、例えば業務用美容役務において美容効果を高める場合に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、業務用美容役務においては、美容効果を高める方法として、温熱マッサージ装置(特許文献1参照)や、振動マッサージ装置(特許文献2参照)を使うことが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭55−66361号公報
【特許文献2】実用新案登録第3035087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、業務用美容役務における実績から見て、多様な体型の被験者について、一定の美容効果を得る有効な要素として、痩せ易い体にすることが必要であると考えられる。
【0005】
因に一般に、体についた脂肪は長い間には硬化する傾向にあり、これを一旦軟化させて体からとることができるような痩せ易い体にすることができれば、業務用美容役務における各種の美容コースにおける美容効果を向上できると考えられる。
【0006】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、当該痩せ易い体に改善できるようにした温熱振動装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため本発明においては、ヒータ線23、23Xを有するシート状のヒータ基板24、24Xと、発泡樹脂材でなり、上記ヒータ基板24、24Xを挟着保持する内側マット21、21X及び外側マット22、22Xと、上記外側マット22、22X内に設けられた内蔵振動器45、45Xと、防水材料でなり、上記内側マット21、21X及び上記外側マット22、22Xの外表面を覆うと共に、周縁部を互いに一体化することにより、上記ヒータ基板24、24X並びに上記内側マット21、21X及び上記外側マット22、22Xを袋状に包み込む内布地35、35X及び外布地36、36Xとを有するカフ2,3を具え、上記カフ2,3を被験者7の部位に巻き付け装着して上記ヒータ線23、23X及び上記内蔵振動器45、45Xによって温熱振動を付与することにより、上記内布地35、35X内への発汗を促すようにする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、シート状のヒータ基板と、これを挟むように設けられた発泡樹脂材料でなる内側マット及び外側マットと、内蔵振動器とを、防水材料でなる内布地及び外布地によって袋状に包み込んで構成された薄い座布団状のカフを、被験者の部位に巻き付け装着できるようにしたことによって、いろいろな体格の被験者であっても、当該部位に対して簡便に温熱振動処理をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施の形態による温熱振動装置を示す斜視図である。
【図2】図1のウエスト・ヒップ用カフ2の詳細構成を示す平面図である。
【図3(A)】図2のK1−K1断面構造を示す断面図である。
【図3(B)】図2のK2−K2断面構造を示す断面図である。
【図3(C)】図2のK3−K3断面構造を示す断面図である。
【図3(D)】図2のK4−K4断面構造を示す断面図である。
【図3(E)】図2のK5−K5断面構造を示す断面図である。
【図4】図1の右脚用カフ3Bの詳細構成を示す平面図である。
【図5(A)】図4のK11−K11断面構造を示す断面図である。
【図5(B)】図4のK12−K12断面構造を示す断面図である。
【図5(C)】図4のK13−K13断面構造を示す断面図である。
【図5(D)】図4のK14−K14断面構造を示す断面図である。
【図5(E)】図4のK15−K15断面構造を示す断面図である。
【図6】図1の右腕用カフ4Bの詳細構成を示す平面図である。
【図7(A)】図6のK21−K21断面構造を示す断面図である。
【図7(B)】図6のK22−K22断面構造を示す断面図である。
【図7(C)】図6のK23−K23断面構造を示す断面図である。
【図7(D)】図6のK24−K24断面構造を示す断面図である。
【図8】本発明の他の実施の形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0011】
(1)全体構成
図1において、1は全体として温熱振動装置を示し、ウエスト・ヒップ用カフ2と、左脚用カフ3A及び右脚用カフ3Bでなる脚用カフ3と、左腕用カフ4A及び右腕用カフ4Bでなる腕用カフ4と、これらのカフを駆動制御する制御装置5とで構成されている。
【0012】
図1の場合、温熱振動装置1の各カフは、美容役務における一例として、ベッド6上に上向きに寝ている被験者7に対して、装着されている。
【0013】
(2)ウエスト・ヒップ用カフ
ウエスト・ヒップ用カフ2は、図2に示すように、左右方向に横長な薄い座布団形状のウエスト・ヒップ当接部11を有し、その中央部分11Aの上側部分が締付保持部12の中央部分12Aと連接している。
【0014】
ウエスト・ヒップ用カフ2は、ウエスト・ヒップ当接部11をベッド6に寝ている被験者7のウエスト・ヒップ部位に背中側から当接させた状態で、左側延長部分11BL及び右側延長部11BRを当該被験者のウエスト・ヒップ部位に巻きつけるように折り曲げることにより、全体として被験者7のウエスト・ヒップ部位を中央部11Aと左及び右側延長部11BL及び11BRによって覆い被せるようになされている。
【0015】
この実施の形態の場合、左側延長部11BLの裏面には横方向に延長する2条のオス型マジックテープ13BL1及び13BL2が設けられていると共に、右側延長部11BRの表面に上下方向に延長する2条のメス型マジックテープ13BR1及び13BR2が設けられ、これにより先ず左側延長部11BLを被験者7に巻き付けた後、当該左側延長部11BLに重ねるように右側延長部11BRを巻き付けて、オス型マジックテープ13BL1及び13BL2並びにメス型マジックテープ13BR1及び13BR2を係止することにより、ウエスト・ヒップ当接部11を被験者のウエストヒップ部位に巻付け保持できるようになされている。
【0016】
締付保持部12は、中央部分12Aから左及び右側方向に延長するベルト状の左及び右側延長部分12BL及び12BRを有し、当該左及び右側延長部分12BL及び12BRを被験者7のウエスト部位に巻き付けて左側延長部分12BLの裏面に設けられたオス型マジックテープ14BLを右側延長部分12BRの表面に設けられたメス型マジックテープ14BRに係止することにより、締付保持部12によって被験者7のウエストを締付けて、ウエスト・ヒップ当接部11を当該当接位置からずれないように保持するようになされている。
【0017】
ウエスト・ヒップ当接部11の中央部分11Aは、図3(A)〜(C)に示すように、発泡ウレタンでなる内側マット21及び外側マット22間に、ヒータ線23及び配線コード27A及び27Bを保持するヒータ基板24を挟み込み積層した構成を有する。
【0018】
この実施の形態の場合、ヒータ基板24は、可撓性かつ絶縁性を有するポリエステル布でなるヒータシート24A及び24B間にヒータ線23及び配線コード27A及び27Bを挟んで耐熱性両面テープ24Cによって接着した構成を有し、これによりヒータ線23及び配線コード27A及び27Bを厚さ方向に湾曲できるように内側マット21及び外側マット22間に保持できるようになされている。
【0019】
ヒータ基板24は、ウエスト・ヒップ当接部11の左側延長部分11BLの左端部を残す位置から、右側延長部分11BRの右端部を残す位置までの中央領域に配設されていると共に、ヒータ基板24を構成するヒータ線23が、中央部分11Aにおいて、上下方向に波形状を呈するように配置され、これによりウエスト・ヒップ当接部11の両端にある左側延長部分11BL及び右側延長部分11BRの端部を除く中央部分11Aの全領域に亘ってヒータ線23によってジュール熱を発生するようになされている。
【0020】
この実施の形態の場合、ヒータ線23はヒータ基板24の左側下方位置に設けられた電源供給端子26A及び26B間に電源接続用配線コード27A及び27Bを介して接続されていると共に、当該配線コード27A及び27Bにそれぞれ温度制限素子28A及び28Bを設けることにより、ヒータ基板24における発熱量が過大にならないように制限している。
【0021】
ウエスト・ヒップ当接部11の内側マット21及び外側マット22は、図3(A)〜(C)に示すように、それぞれ防水性の軟質塩化ビニールシートでなる内布地35及び外布地36によって覆われており、これにより外部からの水分、例えば汗等を内側マット21及び外側マット22に浸透させないようになされている。
【0022】
内布地35及び外布地36の外周縁部は熱圧着により接合されており、これによりウエスト・ヒップ当接部11(図3(A)〜(C))及び締付保持部12(図3(D)及び図3(E))が全体として内布地35及び外布地36により形成された偏平な袋の中に、ヒータ基板24並びに内側マット21及び外側マット22を封入してなる薄い座布団構造となっている。
【0023】
この実施の形態の場合、ウエスト・ヒップ当接部11の中央部分11Aの中心位置には、温熱強化領域11AXが形成され、下側から上方に人形形状を呈するように配線密度を高めるためのヒータ線部分23Zが設けられると共に、図3(A)及び(B)に示すように、当該ヒータ線部分23Zを覆うようにアルミニウム板でなる5枚の熱緩和用放熱板41が設けられ、これによりヒータ線部分23Zから放熱された熱が、ヒータ線部分23Zの近傍に集中せずに熱緩和用放熱板41を介して周囲に拡散させ、これによりウエスト・ヒップ当接部11の表面に被験者7のウエスト及びヒップ部位が当接したとき、当該ヒータ線部分23Zから放出された熱が直接被験者7の皮膚に当たることにより赤化させるようなおそれを防止するようになされている。
【0024】
因に、温熱強化領域11AXには、中央部分11Aのうちでも、被験者7に対して温熱すべき熱容量が特に大きいヒップ(及びウエスト)が当接するため、ヒータ線部分23Xから発生すべき熱量を大きくする必要があることに加えて、ベッド6に上向きに寝ている被験者7の体重がヒップにかかるので当該ヒップの皮膚が温熱強化領域11AXに強く押しつけられるため、熱緩和用放熱板41が設けられていないと、ヒータ線部分23Xから発生される熱が集中的に被験者7の皮膚に当たることになるため熱赤化させるおそれがあるから、これを熱緩和用放熱板41による熱緩和ないし放熱効果により予防する。
【0025】
さらに、ウエスト・ヒップ当接部11の温熱強化領域11AXにおいて、マット21とヒータ基板24及び熱緩和用放熱板41との間には、不織布で構成された保護布42が両面テープ43によって熱緩和用放熱板41ないしヒータ基板24の表面に接着するように設けられ、これにより当該熱強化領域11AXに当接する被験者7のヒップ(及びウエスト)がその体重により強く押し付けられたとき、その当たりを柔らかく緩和するようになされている。
【0026】
かかる構成に加えて、ウエスト・ヒップ当接部11の温熱強化領域11AXの上方部分には4つの内蔵振動器45が配設されている。
【0027】
この内蔵振動器45は、図3(A)及び(B)に示すように、ヒータ基板24と外側マット22との間に設けられている。
【0028】
かくして内蔵振動器45が配設された温熱強化領域11AXが被験者7のウエスト(ヒップ)の皮膚に触れた状態で、ベット6上に寝たとき(図1)、内蔵振動器45がベッド6に当ってヒータ基板24を介して内側マット21を内側に押し上げることにより、内蔵振動器45の振動が内側マット21及び内布地35を介して被験者7のウエスト(ヒップ)の皮膚に伝達するようになされている。
【0029】
以上の構成のウエスト・ヒップ用カフ2において、そのウエスト・ヒップ当接部11を被験者7のウエスト(ヒップ)に当接させた状態において、ウエスト・ヒップ当接部11の左側延長部分11BL及び右側延長部分11BRを順次被験者のウエスト(ヒップ)部分に巻き付けてオス型マジックテープ13BL1及び13BL2の外側からメス型マジックテープ13BR1及び13BR2を係止することによってヒータ基板24が被験者7のウエスト(ヒップ)を後ろ側から前側までの全体を覆うように巻き付けられる。
【0030】
この状態において、締付保持部12の左端側延長部分12BL及び右側延長部分12BRを順次被験者7に巻き付けてオス型マジックテープ14BLに対してメス型マジックテープ14BRを係止すれば、ウエスト・ヒップ当接部11を全体として被験者7のウエスト(ヒップ)に巻き付けた状態に保持できる。
【0031】
この状態において、図1に示すように、被験者7が背中をベッド6に付けるように横たわって、制御装置5によってヒータ基板24の電源供給端子26A及び26Bに電源を供給すると共に、内蔵振動器45に振動電源を供給すれば、内蔵振動器45による振動がウエスト(ヒップ)に付与された状態で、ヒータ基板24のヒータ線23によって発生される温熱が、被験者7のウエスト(ヒップ)の周囲に与えられる。
【0032】
このときウエスト・ヒップ当接部11が発泡樹脂材料でなる内側及び外側マット21及び22を緩衝材としてその外側に防水性を有する内布地35及び外布地36によって覆われた構成を有することにより、被験者7のウエスト(ヒップ)に対する当たりが柔らかい状態において温熱をウエスト・ヒップ当接部11の内部に閉じ込めることにより、被験者7がリラックスした状態でウエスト(ヒップ)部から適度な発汗を生じさせることができる。
【0033】
このリラックスした状態において、被験者7のウエスト(ヒップ)には、その背後から内臓振動器45からの振動が与えられることにより、そのマッサージ効果によってウエスト・ヒップをさらに一段と適切なリラックス状態に引き込むことができる。
【0034】
この実施の形態の場合、締付保持部12の左側及び右側延長部分12BL及び12BRに設けられているオス型マジックテープ14BL及び14BRには、図3(D)及び(E)に示すように、その厚みを貫通するように細い通気孔P1が設けられていると共に、取り付けられている内布地35及び外布地36の厚みを貫通するように細い通気孔P2が設けられており、これによりウエスト・ヒップ当接部11及び締付保持部12において、内布地35及び外布地36によって形成された袋内の空間を通気孔P1及びP2を通じて外気に連通させることにより、当該袋内の圧力を、水分を内部に侵入させないように、外気圧と平衡させるようになされている。
【0035】
この結果温熱動作時に温度が上昇しても袋内の圧力が異常に高くならないように調整される。
【0036】
上述の構成によれば、薄い座布団状に開いたウエスト・ヒップ当接部11を被験者7の体型に応じて簡易に巻き付ける操作をするだけで、被験者7のウエスト(ヒップ)に適合するような柔らかさで、適度な温熱振動を与えることができるようなウエスト・ヒップ用カフ2を実現できる。
【0037】
このときの温熱振動による美容効果として、被験者7のウエスト(ヒップ)についた固い脂肪を、発汗作用及び振動によるマッサージにより軟化させることによりとり易くでき、その結果各種の美容コースにおいて美容効果を生じやすいような、いわゆる痩せ易い体にすることができる。
【0038】
(3)脚用カフ
左脚用カフ3A及び脚用カフ3Bを有する脚用カフ3は、温熱振動処理対象を、右脚及び左脚のももからふくらはぎを通って脚先までの範囲とする。
【0039】
右脚用カフ3Bは、図2及び図3との対応部分について同一符号に添字Xを付して、図4及び図5に示すように、ウエスト・ヒップ当接部11の場合と同様に、ヒータ基板24Xを内側マット21X及び内布地35Xと外側マット22X及び外布地36Xとによって挟み込み保持した構成の右脚当接部51を有する。
【0040】
右脚当接部51の中央部分51Aには、ヒータ線23Xのヒータ線部分23ZXを波形状に折り返して配設した温熱強化領域51AXが、被験者7のもも及びふくらはぎ部位に対応するように設けられていると共に、その下側端部(図4の左方部分)には脚先対応部51Bが設けられている。
【0041】
かくして温熱強化領域51AXは、被験者7の脚先よりも大きい熱量で、もも及びふくらはぎを温熱できるようになされている。
【0042】
温熱強化領域51AXにおいて、波形状のヒータ線部分23ZX上には、図5(A)及び(B)に示すように、アルミニウム板でなる熱緩和用放熱板41Xが設けられると共に、当該熱緩和用放熱板41X上に不織布でなる保護布42Xが両面テープ43Xを用いて接着され(図5(B))、かくしてヒータ線23Xに対して被験者7のもも及びふくらはぎが強く押し付けられたとき、温熱が、直接に、かつ部分的に、もも及びふくらはぎに与えられないように保護している。
【0043】
この場合も、電源供給端子26AX及び26BXからヒータ線23Xに対して電源を供給する配線コード27AX及び27BXに対して温度制限素子28AX及び28BXが設けられている。
【0044】
右脚当接部51には、図5(C)に示すように、被験者7のももの上側部分(図4の右方部分)に対応する位置に、1個の内蔵振動器45Xが設けられている。
【0045】
中央部分51Aの右脚外側(図4の上方側)部分における外布地36Xの表面には、メス型マジックテープ52A及び52Bが設けられていると共に、右脚内側(図4の下方側)部分における内布地35Xの内表面にオス型マジックテープ53A及び53Bが設けられ、これにより中央部分51Aの外側部分が被験者7の右脚外側部位に巻き付けられた状態において、中央部分51Aの内側部分を内側から右脚に巻き付けた状態で、マジックテープ52A及び52B並びに53A及び53Bを係止することにより、中央部分51Aを被験者7の右脚の、ももからふくらはぎの部位に巻き付け保持できるようになされている。
【0046】
右脚用カフ3Bのオス型マジックテープ53A及び53Bには、ウエスト・ヒップ用カフ2の場合と同様に、その厚みを貫通するように細い通気孔P1が設けられていると共に、取り付けられている内布地35Xの厚みを貫通するように細い通気孔P2が設けられ、これにより内布地35X及び外布地36Xによって形成された袋内の空気を、水分を内部に侵入させないように、外気と連通させるようになされている。
【0047】
以上の構成に加えて、脚先対応部51Bの中央部分には、被験者7が足を置くための足裏温熱部54が設けられ、ヒータ線23Xを折り曲げてなるヒータ線部分23ZYにより、脚先の温熱を強化できるようになされている。
【0048】
この実施の形態の場合、足裏温熱部54のヒータ線部分23ZYと内側マット21Xとの間には、図5(D)に示すように、硬い綿材料でなる保護板部材55が設けられ、ヒータ線部分23ZYの発熱温を保護板部材55を介して被験者7の足裏に与えることにより、脚先を柔らかく温熱するようになされている。
【0049】
この実施の形態の場合、脚先対応部51Bの外布地36Xの表面にはメス型マジックテープ56A及び56Bが設けられていると共に、内布地35Xの表面にオス型マジックテープ57A及び57Bが設けられ、これにより右脚当接部51の中央部分51Aを被験者7の右脚のもも及びふくらはぎに巻き付け保持した状態において、これとは別に脚先対応部51Bの脚先への巻き付け状態を必要に応じて調整できるようになされている。
【0050】
以上の構成において、図1に示すように、被験者7をベッド6に寝かせた状態で、右脚用カフ3Bを拡げて被験者7の右脚の下に差し込んで中央部分51Aの外側縁部を右脚に外側から巻き付けた状態で、内側縁部を右脚の内側から巻き付けると共に、オス型マジックテープ53A及び53Bをメス型マジックテープ52A及び52Bに係止し、この状態において制御装置5から電源供給端子26AX及び26BXに温熱電源を供給することにより、被験者7のもも及びふくらはぎを温熱することができる。
【0051】
このとき、右脚当接部51の内側マット21X及び外側マット22Xの周囲を耐水性の内布地36X及び外布地36Xによって覆うように構成したことにより、被験者7の右脚に適度な温熱を付与しながら発汗を促すことができる。
【0052】
これと共に、内蔵振動機45Xが被験者7のももの上部裏側に振動を与えることにより、被験者7のももを温熱マッサージすることができる。
【0053】
これに加えて、右脚当接部51の中央部分51Aを被験者7の右脚に巻き付けた状態で、被験者7の足裏が保護板部材55に適正に乗っていることを、当該保護板部材55上に付された足位置表示58を利用して確認しながら、マジックテープ56A及び56B並びに57A及び57Bを係止することにより、脚先に対して適度な温熱を与えることができる。
【0054】
この実施の形態の場合、脚先対応部51Bの脚先側(図4の左方向)の端縁部における外布地36Xの外表面には、図5(E)に示すように、脚先ベルト61の一端が固着されており、その遊端の内面に設けられたオス型マジックテープでなる脚先ベッド止具62が、少し離れた位置に固着されたメス型マジックテープでなる脚先ベッド止具63に係止することにより、当該遊端を少し折り畳めるようになされている。
【0055】
かくして、脚先ベッド止具62及び63によって脚先対応部51Bの先端部分を締め込むことにより、脚先対応部51B内の温熱状態を、必要に応じて閉じ込めることができるようになされている。
【0056】
以上の構成によれば、右脚用カフ3Bとして、薄い座布団状に開いた右脚当接部51を被験者7に対して位置決めした後、その中央部分51A及び脚先対応部51Bの側縁部を折り曲げる操作をするだけで、被験者7の体型(例えば右脚の太さや長さ)に適正に対応させながら温熱振動を与えることができる。
【0057】
このときの温熱振動による美容効果として、被験者7のウエスト(ヒップ)についた固い脂肪を、発汗作用及び振動によるマッサージにより軟化させることによりとり易くでき、その結果各種の美容コースにおいて美容効果を生じやすいような、いわゆる痩せ易い体にすることができる。
【0058】
(4)左脚用カフ
図4及び図5においては右脚用カフ3Bの構成について述べたが、左脚用カフ3Aは、右脚用カフ3Bを内側から見て(図4の下方向の位置から上方向を見て)線対称となるような構成を有し、これにより、上述の場合と同様の効果が得られる左脚用カフ3Aを実現できる。
【0059】
(5)右腕用カフ
右腕用カフ4Bは、図6及び図7において、図2及び図3との対応部分に同一符号に添字Yを付して示すように、ヒータシート24AY及び24BYがヒータ線23Y並びに配線コード27AY及び27BYを挟んで両面テープ24CYで接着保持してなるヒータ板24Yを、内側マット21Y及び外側マット22Yで挟み込み保持すると共に、その外側を袋状の内布地35Y及び外布地36Yで覆った薄い座布団構成の右腕当接部71を有する(図7(A))。
【0060】
この場合のヒータ基板24Yは、右腕当接部71の外側対応部72の領域において、1本のヒータ線23Yが、被験者7の右腕の外側部位について肩から手首までの範囲に、配設された構成を有する。
【0061】
これに対して右腕当接部71の内側対応部73には、被験者7の右腕の内側について、わきの下から手首までの範囲に2本のヒータ線23Yが配設されている。
【0062】
この場合、外側対応部72において、電源供給端子26AYから電源を供給する配線コード27AYには温度制限素子28AYが設けられていると共に、内側対応部73において、電源供給端子26BYから電源を供給する内側配線コード27BYには温度制限素子28BY(図7(D))が設けられている。
【0063】
この腕用カフ4Bの右腕当接部71には、ウエスト・ヒップ用カフ2において用いられていた熱緩和用放熱板41及びこれを保護する保護布地42に対応する構成は設けられていない。
【0064】
その理由は、右腕用カフ4Bの場合、被験者7の右腕には、それ自体の重量によってヒータ線23Yを強く押し付けるような力が働かず、この点はウエスト・ヒップ用カフ2の中央部分12Aに対して体重がかかるのとは異なるからである。
【0065】
外側対応部分72の内布地35Yの外側縁部の表面には、図7(B)に示すように、細い通気孔P1を有するメス型マジックテープ74A及び74Bが設けられている(対応する内布地35Yに細い通気孔P2が設けられている)のに対し、内側対応部73の外布地36Yの縁部裏面には、図7(C)に示すように、細い通気孔P1を有するオス型マジックテープ75A及び75Bが設けられている(対応する外布地36Yに細い通気孔P2が設けられている)。
【0066】
以上の構成において、図1に示すように、被験者7をベッド6に寝かせた状態において、右腕当接部71を座布団を拡げたような態様で被験者7の右腕及びベッド6の間に差し込み、外側対応部72を被験者7の右腕に外側から折り込むように巻き付けた後、内側対応部73を被験者7の右腕の内側から折り込むように巻き付けてオス型マジックテープ75A及び75Bをメス型マジックテープ74A及び74Bに係止させることにより、右腕当接部71の内布地35Yを被験者7の右腕に直接接触させるように右腕用カフ4Bを装着し、この状態において制御装置5によってヒータ基板24Yを用いて温熱を行なう。
【0067】
かくして内側マット21Y及び外側マット22Yを多孔性材料で構成したことにより被験者7の右腕に柔かく接触しながら温熱することにより右腕の発汗を促すと共に、当該発汗した汗を防水性材料でなる内布地35によって保持することにより、被験者7に対して快適かつ痩せ易い体に調整できるような温熱処理を施すことができる。
【0068】
かくするにつき、被験者7の右腕に対する装着や取り外しが簡便な右腕用カフ4Bを実現できる。
【0069】
(6)左腕用カフ
左腕用カフ4Aは、上述の右腕用カフ4Bに対して、その右腕当接部71の内側縁部を基準にして線対称になるように構成されている。
【0070】
かくして左腕用カフ4Aによっても、右腕用カフ4Bの場合と同様の作用効果が得られる。
【0071】
(7)他の実施の形態
(7−1) 上述の実施の形態においては、図1について上述したように、披験者7に対してウエスト・ヒップ用カフ2と、左脚用カフ3A及び右脚用カフ3Bと、左腕用カフ4A及び右腕用カフ4Bとを組み合わせて温熱振動付与処理を行なうようにした場合について述べたが、これに代え、図8に示すように、左腕用カフ4A及び右腕用カフ4Bを適用せずにウエスト・ヒップ用カフ2と左脚用カフ3A及び右脚用カフ3Bを用いて温熱振動付与処理を行なうようにしてもよい。
【0072】
さらにこれに限らず、ウエスト・ヒップ用カフ2や、左脚用カフ3A及び右脚用カフ3Bと、左腕用カフ4A及び右腕用カフ4Bとをそれぞれ単独に適用して温熱振動付与処理や温熱付与処理を行なうようにしても、上述の場合と同様の効果を得ることができる。
【0073】
(7−2) 上述の実施の形態のウエスト・ヒップ当接部11及び右脚当接部51(又は左脚当接部)においては、ヒータ基板24及び24Xに対して外側マット22及び22X側位置に内蔵振動器45及び45Xを設けるようにしたが、これに代え、内側マット21及び21X側に設けるようにしても、上述の場合と同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は温熱振動付与により美容効果を求める場合に利用することができる。
【符号の説明】
【0075】
1……温熱振動装置、2……ウエスト・ヒップ用カフ、3……脚用カフ、3A……左脚用カフ、3B……右脚用カフ、4……腕用カフ、4A……左腕用カフ、4B……右腕用カフ、5……制御装置、6……ベット、11……ウエスト・ヒップ当接部、11A……中央部分、11BL……左側延長部分、11BR……右側延長部分、12……締付保持部、12A……中央部分、12BL……左側延長部分、12BR……右側延長部分、21、21X、21Y……内側マット、22、22X、22Y……外側マット、23、23X、23Y……ヒータ線、24、24X、24Y……ヒータ基板、24A、24AX、24AY、24B、24BX、24BY……ヒータシート、26A、26AX、26AY、26B、26BX、26BY……電源供給端子、27A、27AX、27AY、27B、27BX、27BY……配線パターン、(13BL1、13BL2、13BR1、13BR2、14BL、14BR)、(52A、52B、53A、53B、56A,56B、57A、57B)、(74A、74B、75A、75B)……マジックテープ、28A、28AX、28AY、28B、28BX、28BY……温度制限素子、35、35X、35Y……内布地、36、36X、36Y……外布地、21、21X、21Y……内側マット、22、22X、22Y……外側マット、41、41X、41Y……熱緩和用放熱板、42、42X……保護布地、45、45X……内蔵振動器、51……右脚当接部、51A……中央部分、51B……脚先対応部、55……保護板部材、58……足位置表示、71……右腕当接部、72……外側対応部、73……内側対応部。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒータ線を有するシート状のヒータ基板と、
発泡樹脂材でなり、上記ヒータ基板を挟着保持する内側マット及び外側マットと、
上記外側マットに設けられた内蔵振動器と、
防水材料でなり、上記内側マット及び上記外側マットの外表面を覆うと共に、周縁部を互いに一体化することにより、上記ヒータ基板並びに上記内側マット及び上記外側マットを袋状に包み込む内布地及び外布地と
を有するカフを具え、上記カフを被験者の部位に巻き付け装着して上記ヒータ線及び上記内蔵振動器によって温熱振動を付与することにより、上記内布地内への発汗を促す
ことを特徴とする温熱振動装置。
【請求項2】
上記内布地及び上記外布地は防水材料でなる
ことを特徴とする請求項1に記載の温熱振動装置。
【請求項3】
上記内布地又は外布地は、上記袋状に包み込む空間を外気に連通する通気孔を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の温熱振動装置。
【請求項4】
上記カフとして、被験者のウエストないしヒップの部位に当接するウエスト・ヒップ当接部によって上記被験者のウエストないしヒップの部位に対して温熱振動を付与するウエスト・ヒップ用カフを具える
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の温熱振動装置。
【請求項5】
上記カフとして、被験者の右脚又は左脚に当接する右脚又は左脚当接部を有し、上記右脚又は左脚当接部によって、上記被験者の右脚又は左脚に対して温熱振動を付与する右脚又は左脚用カフを具える
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の温熱振動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3(A)】
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【図3(B)】
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【図3(C)】
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【図3(D)】
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【図3(E)】
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【図4】
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【図5(A)】
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【図5(B)】
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【図5(C)】
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【図5(D)】
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【図5(E)】
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【図6】
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【図7(A)】
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【図7(B)】
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【図7(C)】
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【図7(D)】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−92628(P2011−92628A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−252153(P2009−252153)
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
【出願人】(000105707)TBCグループ株式会社 (8)
【出願人】(391059159)株式会社ベステック (9)
【Fターム(参考)】