測位システム、測位装置、測位装置の制御方法、測位端末装置の制御プログラム
【課題】測位の命令を受けてから測位を完了するまでの時間を短縮することができる測位システム等を提供すること。
【解決手段】情報提供装置２０は、最新の衛星情報を継続的に放送する衛星情報放送手段を有し、測位装置４０は、情報提供装置２０が放送する衛星情報を受信する衛星情報放送受信手段と、情報提供装置２０から取得した衛星情報を格納する衛星情報格納手段と、情報提供装置２０から前回の衛星情報を取得した時刻から、あらかじめ規定した衛星情報受信間隔時間が経過したか否かを判断する受信間隔時間経過判断手段と、受信間隔時間経過判断手段の判断結果に基づいて、情報提供装置２０から衛星情報を取得する受信間隔時間衛星情報取得手段と、衛星情報格納手段に格納している衛星情報を使用して、測位を行う測位手段と、を有することを特徴とする測位システム１０。
【解決手段】情報提供装置２０は、最新の衛星情報を継続的に放送する衛星情報放送手段を有し、測位装置４０は、情報提供装置２０が放送する衛星情報を受信する衛星情報放送受信手段と、情報提供装置２０から取得した衛星情報を格納する衛星情報格納手段と、情報提供装置２０から前回の衛星情報を取得した時刻から、あらかじめ規定した衛星情報受信間隔時間が経過したか否かを判断する受信間隔時間経過判断手段と、受信間隔時間経過判断手段の判断結果に基づいて、情報提供装置２０から衛星情報を取得する受信間隔時間衛星情報取得手段と、衛星情報格納手段に格納している衛星情報を使用して、測位を行う測位手段と、を有することを特徴とする測位システム１０。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、衛星からの信号を利用する測位システム、測位装置、測位装置の制御方法、測位装置の制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、衛星航法システムである例えば、ＧＰＳ（Ｇｌｏｂａｌ Ｐｏｓｉｔｉｏｎｉｎｇ Ｓｙｓｔｅｍ）を利用してＧＰＳ受信機の現在位置を測位する測位システムが実用化されている。
このＧＰＳ受信機は、ＧＰＳ衛星の軌道を示す衛星情報（概略衛星軌道情報：アルマナック、精密軌道情報：エフェメリス）に基づいて、ＧＰＳ衛星からの信号を受信し、各ＧＰＳ衛星とＧＰＳ受信機の距離（擬似距離）を算出する。そして、ＧＰＳ受信機は、算出した擬似距離に基づいて、ＧＰＳ受信機の位置を測位するようになっている。
従って、ＧＰＳ受信機による測位のためには、上述の衛星情報が必要である。そして、
衛星情報を取得するための時間を短縮するために、ＧＰＳ受信機自身がＧＰＳ衛星の信号から衛星情報を取得するのではなくて、衛星情報を保持する外部装置から衛星情報を取得する技術が提案されている（例えば、特許文献１）。
【特許文献１】特開２００１−７４８２６号公報（図４等）
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
しかし、上述のシステムにおいては、ＧＰＳ受信機は、測位のたびに衛星情報を取得する必要があるため、ＧＰＳ受信機が測位の命令を受けてから測位を完了するまでの時間が長くなる場合があるという問題がある。
【０００４】
そこで、本発明は、測位の命令を受けてから測位を完了するまでの時間を短縮することができる測位システム、測位装置、測位装置の制御方法、測位装置の制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
前記目的は、第１の発明によれば、位置情報衛星の軌道を示す最新の衛星情報を提供する情報提供装置と、前記位置情報衛星からの位置関連信号に基づいて、現在位置の測位を行う測位装置と、を有する測位システムであって、前記情報提供装置は、前記最新の衛星情報を継続的に放送する衛星情報放送手段を有し、前記測位装置は、前記情報提供装置が放送する前記衛星情報を受信する衛星情報放送受信手段と、前記情報提供装置から取得した前記衛星情報を格納する衛星情報格納手段と、前記情報提供装置から前回の前記衛星情報を取得した時刻から、あらかじめ規定した衛星情報受信間隔時間が経過したか否かを判断する受信間隔時間経過判断手段と、前記受信間隔時間経過判断手段の判断結果に基づいて、前記情報提供装置から前記衛星情報を取得する受信間隔時間衛星情報取得手段と、前記衛星情報格納手段に格納している前記衛星情報を使用して、前記測位を行う測位手段と、を有することを特徴とする測位システムにより達成される。
【０００６】
第１の発明の構成によれば、前記情報提供装置は、前記衛星情報放送手段によって、前記最新の衛星情報を継続的に放送する。
そして、前記測位装置は、前記受信間隔時間経過判断手段によって、前記情報提供装置から前回の前記衛星情報を取得した時刻から、あらかじめ規定した衛星情報受信間隔時間が経過したか否かを判断することができ、前記受信間隔時間衛星情報取得手段によって、前記情報提供装置から前記衛星情報を取得することができる。
すなわち、前記測位装置は、前記測位を行うか否かにかかわらず、前記衛星情報受信間隔時間が経過した場合には、前記情報提供装置から最新の前記衛星情報を取得する。そして、その最新の前記衛星情報を前記衛星情報格納手段に格納する。
したがって、測位を行うときには、前記測位手段によって前記衛星情報格納手段に格納している前記衛星情報を使用して測位を行う。
このため、測位時に、衛星情報を更新する必要性を判断したり、衛星情報を外部から取得する必要がない。
これにより、測位の命令を受けてから測位を完了するまでの時間を短縮することができる測位システムを提供することができる。
【０００７】
前記目的は、第２の発明によれば、位置情報衛星からの位置関連信号に基づいて、現在位置の測位を行う測位装置であって、情報提供装置が継続的に放送する位置情報衛星の軌道を示す最新の衛星情報を受信する衛星情報放送受信手段と、前記情報提供装置から取得した前記衛星情報を格納する衛星情報格納手段と、前記情報提供装置から前回の前記衛星情報を取得した時刻から、あらかじめ規定した衛星情報受信間隔時間が経過したか否かを判断する受信間隔時間経過判断手段と、前記受信間隔時間経過判断手段の判断結果に基づいて、前記情報提供装置から前記衛星情報を取得する受信間隔時間衛星情報取得手段と、前記衛星情報格納手段に格納している前記衛星情報を使用して、前記測位を行う測位手段と、 を有することを特徴とする測位装置によって達成される。
【０００８】
第２の発明の構成によれば、第１の発明の構成と同様に、前記測位装置は、測位の命令を受けてから測位を完了するまでの時間を短縮することができる。
【０００９】
第３の発明は、第２の発明の構成において、前記衛星情報は、すべての前記位置情報衛星の概略の軌道を示す概略軌道情報、及び／又は、各前記位置情報衛星の精密な軌道を示す精密軌道情報であって、前記衛星放送受信間隔時間は、前記精密軌道情報の有効時間範囲内において規定することを特徴とする。
【００１０】
前記精密軌道情報は、一定の有効時間範囲内である例えば、前記精密軌道情報の基準となる時刻から前後２時間においては有効に使用することができる。ところが、有効時間範囲内を超えた場合には、前記精密軌道情報は不正確となり、測位に使用するために不適切な情報となる。
この点、第３の発明の構成によれば、前記受信間隔時間は、前記精密軌道情報の有効時間範囲内において規定するから、前記精密軌道情報が有効に使用することができる時間内に、最新の前記衛星情報を取得することができる。
このため、前記測位装置は、有効に使用することができる前記衛星情報を常に前記衛星情報格納手段に格納し、測位時には、前記衛星情報格納手段内の有効な前記衛星情報を使用することができる。
【００１１】
前記目的は、第４の発明によれば、位置情報衛星からの位置関連信号に基づいて、現在位置の測位を行う測位手段と、情報提供装置が継続的に放送する位置情報衛星の軌道を示す最新の衛星情報を受信する衛星情報放送受信手段と、前記情報提供装置から取得した前記衛星情報を格納する衛星情報格納手段と、を有する測位装置が、前記情報提供装置から前回の前記衛星情報を取得した時刻から、あらかじめ規定した衛星情報受信間隔時間が経過したか否かを判断する受信間隔時間経過判断ステップと、前記測位装置が、前記受信間隔時間経過判断ステップにおける判断結果に基づいて、前記情報提供装置から前記衛星情報を取得する受信間隔時間衛星情報取得ステップと、前記測位装置が、前記衛星情報格納手段に格納している前記衛星情報を使用して、前記測位を行う測位ステップと、を有することを特徴とする測位装置の制御方法によって達成される。
【００１２】
第４の発明の構成によれば、第１の発明の構成と同様に、前記測位装置は、測位の命令を受けてから測位を完了するまでの時間を短縮することができる。
【００１３】
前記目的は、第５の発明によれば、コンピュータに、位置情報衛星からの位置関連信号に基づいて、現在位置の測位を行う測位手段と、情報提供装置が継続的に放送する位置情報衛星の軌道を示す最新の衛星情報を受信する衛星情報放送受信手段と、前記情報提供装置から取得した前記衛星情報を格納する衛星情報格納手段と、を有する測位装置が、前記情報提供装置から前回の前記衛星情報を取得した時刻から、あらかじめ規定した衛星情報受信間隔時間が経過したか否かを判断する受信間隔時間経過判断ステップと、前記測位装置が、前記受信間隔時間経過判断ステップにおける判断結果に基づいて、前記情報提供装置から前記衛星情報を取得する受信間隔時間衛星情報取得ステップと、前記測位装置が、前記衛星情報格納手段に格納している前記衛星情報を使用して、前記測位を行う測位ステップと、を実行させることを特徴とする測位装置の制御プログラムによって達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１４】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【００１５】
（本発明の実施の形態）
図１は、本発明の実施の形態に係る測位システム１０を示す概略図である。
図１に示すように、測位システム１０は、位置情報衛星である例えば、ＧＰＳ衛星１２ａ，１２ｂ，１２ｃ，１２ｄ及び１２ｅの軌道を示す後述の基地局側衛星情報１５２（図４参照）を提供する情報提供装置である例えば、基地局２０を有する。基地局側衛星情報１５２は例えば、すべてのＧＰＳ衛星１２ａ等の概略の軌道を示すアルマナック（Ａｌｍａｎａｃ）及び各ＧＰＳ衛星１２ａ等の精密な軌道を示すエフェメリス（Ｅｐｈｅｍｅｒｉｓ）である。基地局側衛星情報１５２は衛星情報の一例である。そして、アルマナックは概略軌道情報の一例であり、エフェメリスは精密軌道情報の一例である。
【００１６】
図１に示すように、測位システム１０は、また、ＧＰＳ衛星１２ａ等からの位置関連信号である例えば、信号Ｓ１，Ｓ２，Ｓ３，Ｓ４及びＳ５に基づいて、現在位置の測位を行う測位装置である例えば、端末４０を有する。
この端末４０は例えば、携帯電話機、ＰＨＳ（Ｐｅｒｓｏｎａｌ Ｈａｎｄｙ−ｐｈｏｎｅ Ｓｙｓｔｅｍ）、ＰＤＡ（Ｐｅｒｓｏｎａｌ Ｄｉｇｉｔａｌ Ａｓｓｉｓｔａｎｃｅ）等であるが、これらに限らない。
なお、本実施の形態と異なり、基地局側衛星情報１５２は、アルマナック又はエフェメリスのいずれか一方でもよい。
【００１７】
端末４０は、端末ＧＰＳ装置５２によって、信号Ｓ１等を受信することができる。
また、端末４０は、放送受信装置５４によって、基地局２０が放送する基地局側衛星情報１５２を受信することができる。なお、基地側衛星情報１５２は電波に乗せられており、この電波は、アンテナ５４ａによって受信される。
なお、本実施の形態とは異なり、ＧＰＳ衛星１２ａ等は、４個以下でもよいし、６個以上でもよい。
【００１８】
（基地局２０の主なハードウエア構成について）
図２は基地局２０の主なハードウエア構成を示す概略図である。
図２に示すように、基地局２０は、コンピュータを有しており、コンピュータは、バス２２を有する。
このバス２２には、ＣＰＵ（Ｃｅｎｔｒａｌ Ｐｒｏｃｅｓｓｉｎｇ Ｕｎｉｔ）２４、記憶装置２６、外部記憶装置２８等が接続されている。記憶装置２６は例えば、ＲＡＭ（Ｒａｎｄｏｍ Ａｃｃｅｓｓ Ｍｅｍｏｒｙ）、ＲＯＭ（Ｒｅａｄ Ｏｎｌｙ Ｍｅｍｏｒｙ）等である。外部記憶装置２８は例えば、ＨＤ（Ｈａｒｄ Ｄｉｓｋ）である。
【００１９】
さらに、このバス２２には、各種情報等を入力するための入力装置３０、図１の端末４０と通信するための基地局通信装置３２、ＧＰＳ衛星１２ａ等から信号Ｓ１等を受信するための基地局ＧＰＳ装置３４が接続されている。
また、このバス２２には、上述の基地局側衛星情報１５２を放送するための放送装置３６が接続されている。
また、このバス２２には、各種情報等を表示するための基地局表示装置３８が接続されている。
【００２０】
（端末４０の主なハードウエア構成について）
図３は端末４０の主なハードウエア構成を示す概略図である。
図３に示すように、端末４０は、コンピュータを有しており、コンピュータは、バス４２を有する。
このバス４２には、ＣＰＵ４４、記憶装置４６等が接続されている。
【００２１】
さらに、このバス４２には、各種情報等を入力するための入力装置４８、端末通信装置５０、端末ＧＰＳ装置５２が接続されている。
また、このバス４２には、基地局２０が放送する基地局側衛星情報１５２を受信するための放送受信装置５４が接続されている。
また、このバス４２には、各種情報等を表示するための端末表示装置５６が接続されている。
【００２２】
（基地局２０の主なソフトウエア構成について）
図４は、基地局２０の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
図４に示すように、基地局２０は、各部を制御する基地局制御部１００、図２の基地局通信装置３２に対応する基地局通信部１０２、図２の基地局ＧＰＳ装置３４に対応する基地局ＧＰＳ部１０４、図２の放送装置３６に対応する放送部１０６等を有する。
図４に示すように、基地局２０は、また、各種プログラムを格納する基地局第１記憶部１１０、各種情報を格納する基地局第２記憶部１５０を有する。
【００２３】
図４に示すように、基地局２０は、基地局第１記憶部１１０に、衛星情報生成プログラム１１２を格納している。衛星情報生成プログラム１１２は、基地局制御部１００が、基地局ＧＰＳ部によって受信した信号Ｓ１等に基づいて、基地局側衛星情報１５２を生成するための情報である。
基地局側衛星情報１５２は上述のように、すべてのＧＰＳ衛星１２ａ等の概略軌道を示すアルマナック、及び、各ＧＰＳ衛星１２ａ等の精密軌道を示すエフェメリスを示す情報である。
基地局制御部１００は衛星情報生成プログラム１１２に基づいて、例えば、３０秒（ｓ）ごとに、基地局側衛星情報１５２を生成している。このため、基地局側衛星情報１５２は、常に最新の情報である。
基地局制御部１００は、生成した基地局側衛星情報１５２を基地局第２記憶部１５０に格納する。
【００２４】
図４に示すように、基地局２０は、基地局第１記憶部１１０に、衛星情報放送プログラム１１４を格納している。衛星情報放送プログラム１１４は、基地局制御部１００が、基地局側衛星情報１５２を、継続的に放送するための情報である。すなわち、衛星情報放送プログラム１１４と基地局制御部１００は、衛星情報放送手段の一例である。
基地局制御部１００は衛星情報放送プログラム１１４に基づいて、基地局側衛星情報１５２を継続的に放送する。
上述のように、基地局側衛星情報１５２は常に最新の情報であるから、基地局制御部１００は衛星情報放送プログラム１１４に基づいて、最新の基地局側衛星情報１５２を放送することができる。
【００２５】
（端末４０の主なソフトウエア構成について）
図５は、端末４０の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
図５に示すように、端末４０は、各部を制御する端末制御部２００、図３の端末通信装置５０に対応する端末通信部２０２、図３の端末ＧＰＳ装置５２に対応する端末ＧＰＳ部２０４、図３の放送受信装置５４に対応する放送受信部２０６を有する。
端末ＧＰＳ部２０４は、他の信号や雑音と区別して信号Ｓ１を受信する信号受信部２０４ａ、信号Ｓ１から元のデジタル符号を取得するベースバンド部２０４ｂを含む。
図５に示すように、端末４０は、各種プログラムを格納する端末第１記憶部２１０、各種情報を格納する端末第２記憶部２５０を有する。
【００２６】
図５に示すように、端末４０は、端末第２記憶部２５０に、放送周波数情報２５２を格納している。放送周波数情報２５２は、上述の基地局２０が基地局側衛星情報１５２を放送する放送の周波数を示す情報である。端末制御部２００は、放送受信部２０６においてこの放送周波数情報２５２に示される放送周波数と同期することによって、基地局側衛星情報１５２を受信する。すなわち、端末制御部２００と放送受信部２０６は、衛星情報放送受信手段の一例である。
正確には、端末制御部２００は放送受信部２０６によって、基地局側衛星情報１５２に対応する信号が乗せられた電波を受信し、その電波から信号を抽出し、その信号を解読することによって基地局側衛星情報１５２を取得する。
端末４０は、放送受信部２０６によって取得した基地局側衛星情報１５２を端末側衛星情報２５４として端末第２記憶部２５０に格納する。この端末側衛星情報２５４もまた、衛星情報の一例である。そして、端末第２記憶部２５０は、衛星情報格納手段の一例である。
【００２７】
図５に示すように、端末４０は、端末第１記憶部２１０に、衛星情報受信間隔時間経過判断プログラム２１２を格納している。衛星情報受信間隔時間経過判断プログラム２１２は、端末制御部２００が、前回の基地局側衛星情報１５２を取得した時刻から、あらかじめ規定した衛星情報受信間隔時間が経過したか否かを判断するための情報である。すなわち、衛星情報受信間隔時間経過判断プログラム２１２と端末制御部２００は、受信間隔時間経過判断手段の一例である。
【００２８】
衛星情報受信間隔時間は、端末側衛星情報２５４に含まれるエフェメリスの有効時間範囲内において規定されており、例えば、１時間（ｈ）である。
【００２９】
図５に示すように、端末４０は、端末第１記憶部２１０に、衛星情報受信プログラム２１４を格納している。衛星情報受信プログラム２１４は、端末制御部２００が、衛星情報受信間隔時間経過判断プログラム２１２による判断結果に基づいて、基地局２０から基地局側衛星情報１５２を取得するための情報である。すなわち、衛星情報受信プログラム２１４と端末制御部２００は、受信間隔時間衛星情報取得手段の一例である。
具体的には、端末制御部２００は、衛星情報受信間隔時間経過判断プログラム２１２によって、前回の基地側衛星情報１５２を取得した時刻から、衛星情報受信間隔時間である例えば、１時間（ｈ）が経過したと判断した場合に、基地局２０から新たに最新の基地側衛星情報１５２を取得する。
【００３０】
端末側衛星情報２５４に含まれるエフェメリスは、一定の有効時間範囲である例えば、エフェメリスの基準となる時刻から前後２時間においては有効に使用することができる。ところが、有効時間範囲を超えた場合には、エフェメリスは不正確となり、測位に使用するために不適切な情報となる。
この点、端末４０は、上述のように、衛星情報受信間隔時間を、エフェメリスの有効時間範囲内において規定しているから、エフェメリスを有効に使用することができる時間内に、最新のエフェメリスを含む基地局側衛星情報１５２を取得することができる。
このため、端末４０は、有効に使用することができるエフェメリスを含む端末側衛星情報２５４を常に端末第２記憶部２５０に格納しておき、測位時には、端末第２記憶部２５０内の有効な端末側衛星情報２５４を使用することができる。
【００３１】
図５に示すように、端末４０は、端末第１記憶部２１０に、測位プログラム２１６を格納している。測位プログラム２１６は、端末制御部２００が、端末第２記憶部２５０に格納している端末側衛星情報２５４を使用して、現在位置の測位を行うための情報である。すなわち、測位プログラム２１６と端末制御部２００は、測位手段の一例である。
具体的には、端末制御部２００は、端末側衛星情報２５４に含まれるアルマナックと前回測位位置情報２５６に示される前回の測位時の位置から、現在観測可能なＧＰＳ衛星１２ａ等（図１参照）を算出する。そして、端末側衛星情報２５４に含まれるエフェメリスを使用して観測可能な各ＧＰＳ衛星１２ａ等からの信号Ｓ１等を受信し、信号Ｓ１等に基づいて、現在位置の測位演算を実施する。
そして、端末４０は、測位演算によって生成した位置情報を、端末表示装置５６に表示するとともに、前回測位位置情報２５６として端末第２記憶部２５０に格納する。
【００３２】
上述のように、基地局２０は、最新の基地局側衛星情報１５２を継続的に放送している。
そして、端末４０は、基地局２０から前回の基地局側衛星情報１５２を取得した時刻から、あらかじめ規定した衛星情報受信間隔時間が経過したか否かを判断することができ、
衛星情報受信間隔時間が経過した場合に、基地局２０から最新の基地局側衛星情報１５２を取得することができる。
すなわち、端末２０は、測位を行うか否かにかかわらず、衛星情報受信間隔時間が経過した場合には、基地局２０から最新の基地局側衛星情報１５２を取得する。そして、その最新の基地局側衛星情報１５２を端末側衛星情報２５４として端末第２記憶部２５０に格納する。
したがって、測位を行うときには、端末第２記憶部２５０に格納している端末側衛星情報２５４を使用して測位を行う。
このため、端末４０は、測位時に、端末側衛星情報２５４を更新する必要性を判断したり、基地局側衛星情報１５２を改めて取得する必要がない。
これにより、測位システム１０によれば、端末４０が測位の命令を受けてから測位を完了するまでの時間を短縮することができる。
【００３３】
以上が本実施の形態に係る測位システム１０の構成であるが、以下、その動作例を主に図６を使用して説明する。
図６は本実施の形態に係る測位システム１０の動作例を示す概略フローチャートである。
【００３４】
端末４０は、既に、基地局２０から基地局側衛星情報１５２受信し、端末側衛星情報２５４として端末第２記憶部２５０（図５参照）に格納しているという前提で、以下の説明をする。
まず、端末４０は、前回の基地局側衛星情報１５２を受信した時刻から、衛星情報受信間隔時間である例えば、１時間（ｈ）が経過したか否かを判断する（図６のステップＳＴ１）。このステップＳＴ１は、受信間隔時間経過判断ステップの一例である。
【００３５】
ステップＳＴ１において、端末４０が、前回の基地局側衛星情報１５２を受信した時刻から、衛星情報受信間隔時間である例えば、１時間（ｈ）が経過したと判断した場合には、基地局側衛星情報１５２を取得する（ステップＳＴ２）。このステップＳＴ２は、受信間隔時間衛星情報取得ステップの一例である。
具体的には、端末４０は、放送されている基地局側衛星情報１５２が乗せられた信号を受信し、その信号を解読することによって最新の基地局側衛星情報１５２を取得する。そして、端末４０は、取得した基地局側衛星情報１５２を端末側衛星情報２５４として端末第２記憶部２５０に格納する。
上述のステップＳＴ１及びステップＳＴ２は、端末４０が測位を行うか否かに関わらず、実施される。
なおステップＳＴ１において、端末４０が、前回の基地局側衛星情報１５２を受信した時刻から、衛星情報受信間隔時間である例えば、１時間（ｈ）が経過していないと判断した場合には、端末側衛星情報２５４はまだ有効な情報であるから、基地局側衛星情報１５２を取得しない。
【００３６】
続いて、端末４０は、端末第２記憶部２５０に格納している端末側衛星情報２５４を使用して、ＧＰＳ衛星１２ａ等から信号Ｓ１等を受信し、現在位置の測位を行う（ステップＳＴ３）。このステップＳＴ３は、測位ステップの一例である。
続いて、端末４０は、測位結果を表示する（ステップＳＴ４）。
【００３７】
上述のように、端末４０は、測位とは無関係に端末側衛星情報２５４を有効な情報に更新するから、測位時に、端末側衛星情報２５４を更新する必要性を判断したり、基地局側衛星情報１５２を改めて取得する必要がない。
これにより、測位システム１０によれば、端末４０が測位の命令を受けてから測位を完了するまでの時間を短縮することができる。
【００３８】
（プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体等について）
コンピュータに上述の動作例の受信間隔時間経過判断ステップと、受信間隔時間衛星情報取得ステップと、測位ステップ等を実行させるための測位装置の制御プログラムとすることができる。
また、このような測位装置の制御プログラム等を記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体等とすることもできる。
【００３９】
これら測位装置の制御プログラム等をコンピュータにインストールし、コンピュータによって実行可能な状態とするために用いられるプログラム格納媒体は、例えばフロッピー（登録商標）のようなフレキシブルディスク、ＣＤ−ＲＯＭ（Ｃｏｍｐａｃｔ Ｄｉｓｃ Ｒｅａｄ Ｏｎｌｙ Ｍｅｍｏｒｙ）、ＣＤ−Ｒ（Ｃｏｍｐａｃｔ Ｄｉｓｃ−Ｒｅｃｏｒｄａｂｌｅ）、ＣＤ−ＲＷ（Ｃｏｍｐａｃｔ Ｄｉｓｃ−Ｒｅｗｒｉｔｅｒｂｌｅ）、ＤＶＤ（Ｄｉｇｉｔａｌ Ｖｅｒｓａｔｉｌｅ Ｄｉｓｃ）などのパッケージメディアのみならず、プログラムが一時的若しくは永続的に格納される半導体メモリ、磁気ディスクあるいは光磁気ディスクなどで実現することができる。
【００４０】
本発明は、上述の各実施の形態に限定されない。さらに、上述の各実施の形態は、相互に組み合わせて構成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【００４１】
【図１】本発明の実施の形態の測位システムを示す概略図である。
【図２】基地局の主なハードウエア構成を示す概略図である。
【図３】端末の主なハードウエア構成を示す概略図である。
【図４】基地局の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
【図５】端末の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
【図６】測位システムの動作例を示す概略フローチャートである。
【符号の説明】
【００４２】
１０・・・測位システム、１２ａ，１２ｂ，１２ｃ，１２ｄ，１２ｅ・・・ＧＰＳ衛星、２０・・・基地局、４０・・・端末、５０・・・端末通信装置、５２・・・端末ＧＰＳ装置、５４・・・放送受信装置、２１２・・・衛星情報受信間隔時間経過判断プログラム、２１４・・・衛星情報受信プログラム、２１６・・・測位プログラム
【技術分野】
【０００１】
本発明は、衛星からの信号を利用する測位システム、測位装置、測位装置の制御方法、測位装置の制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、衛星航法システムである例えば、ＧＰＳ（Ｇｌｏｂａｌ Ｐｏｓｉｔｉｏｎｉｎｇ Ｓｙｓｔｅｍ）を利用してＧＰＳ受信機の現在位置を測位する測位システムが実用化されている。
このＧＰＳ受信機は、ＧＰＳ衛星の軌道を示す衛星情報（概略衛星軌道情報：アルマナック、精密軌道情報：エフェメリス）に基づいて、ＧＰＳ衛星からの信号を受信し、各ＧＰＳ衛星とＧＰＳ受信機の距離（擬似距離）を算出する。そして、ＧＰＳ受信機は、算出した擬似距離に基づいて、ＧＰＳ受信機の位置を測位するようになっている。
従って、ＧＰＳ受信機による測位のためには、上述の衛星情報が必要である。そして、
衛星情報を取得するための時間を短縮するために、ＧＰＳ受信機自身がＧＰＳ衛星の信号から衛星情報を取得するのではなくて、衛星情報を保持する外部装置から衛星情報を取得する技術が提案されている（例えば、特許文献１）。
【特許文献１】特開２００１−７４８２６号公報（図４等）
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
しかし、上述のシステムにおいては、ＧＰＳ受信機は、測位のたびに衛星情報を取得する必要があるため、ＧＰＳ受信機が測位の命令を受けてから測位を完了するまでの時間が長くなる場合があるという問題がある。
【０００４】
そこで、本発明は、測位の命令を受けてから測位を完了するまでの時間を短縮することができる測位システム、測位装置、測位装置の制御方法、測位装置の制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
前記目的は、第１の発明によれば、位置情報衛星の軌道を示す最新の衛星情報を提供する情報提供装置と、前記位置情報衛星からの位置関連信号に基づいて、現在位置の測位を行う測位装置と、を有する測位システムであって、前記情報提供装置は、前記最新の衛星情報を継続的に放送する衛星情報放送手段を有し、前記測位装置は、前記情報提供装置が放送する前記衛星情報を受信する衛星情報放送受信手段と、前記情報提供装置から取得した前記衛星情報を格納する衛星情報格納手段と、前記情報提供装置から前回の前記衛星情報を取得した時刻から、あらかじめ規定した衛星情報受信間隔時間が経過したか否かを判断する受信間隔時間経過判断手段と、前記受信間隔時間経過判断手段の判断結果に基づいて、前記情報提供装置から前記衛星情報を取得する受信間隔時間衛星情報取得手段と、前記衛星情報格納手段に格納している前記衛星情報を使用して、前記測位を行う測位手段と、を有することを特徴とする測位システムにより達成される。
【０００６】
第１の発明の構成によれば、前記情報提供装置は、前記衛星情報放送手段によって、前記最新の衛星情報を継続的に放送する。
そして、前記測位装置は、前記受信間隔時間経過判断手段によって、前記情報提供装置から前回の前記衛星情報を取得した時刻から、あらかじめ規定した衛星情報受信間隔時間が経過したか否かを判断することができ、前記受信間隔時間衛星情報取得手段によって、前記情報提供装置から前記衛星情報を取得することができる。
すなわち、前記測位装置は、前記測位を行うか否かにかかわらず、前記衛星情報受信間隔時間が経過した場合には、前記情報提供装置から最新の前記衛星情報を取得する。そして、その最新の前記衛星情報を前記衛星情報格納手段に格納する。
したがって、測位を行うときには、前記測位手段によって前記衛星情報格納手段に格納している前記衛星情報を使用して測位を行う。
このため、測位時に、衛星情報を更新する必要性を判断したり、衛星情報を外部から取得する必要がない。
これにより、測位の命令を受けてから測位を完了するまでの時間を短縮することができる測位システムを提供することができる。
【０００７】
前記目的は、第２の発明によれば、位置情報衛星からの位置関連信号に基づいて、現在位置の測位を行う測位装置であって、情報提供装置が継続的に放送する位置情報衛星の軌道を示す最新の衛星情報を受信する衛星情報放送受信手段と、前記情報提供装置から取得した前記衛星情報を格納する衛星情報格納手段と、前記情報提供装置から前回の前記衛星情報を取得した時刻から、あらかじめ規定した衛星情報受信間隔時間が経過したか否かを判断する受信間隔時間経過判断手段と、前記受信間隔時間経過判断手段の判断結果に基づいて、前記情報提供装置から前記衛星情報を取得する受信間隔時間衛星情報取得手段と、前記衛星情報格納手段に格納している前記衛星情報を使用して、前記測位を行う測位手段と、 を有することを特徴とする測位装置によって達成される。
【０００８】
第２の発明の構成によれば、第１の発明の構成と同様に、前記測位装置は、測位の命令を受けてから測位を完了するまでの時間を短縮することができる。
【０００９】
第３の発明は、第２の発明の構成において、前記衛星情報は、すべての前記位置情報衛星の概略の軌道を示す概略軌道情報、及び／又は、各前記位置情報衛星の精密な軌道を示す精密軌道情報であって、前記衛星放送受信間隔時間は、前記精密軌道情報の有効時間範囲内において規定することを特徴とする。
【００１０】
前記精密軌道情報は、一定の有効時間範囲内である例えば、前記精密軌道情報の基準となる時刻から前後２時間においては有効に使用することができる。ところが、有効時間範囲内を超えた場合には、前記精密軌道情報は不正確となり、測位に使用するために不適切な情報となる。
この点、第３の発明の構成によれば、前記受信間隔時間は、前記精密軌道情報の有効時間範囲内において規定するから、前記精密軌道情報が有効に使用することができる時間内に、最新の前記衛星情報を取得することができる。
このため、前記測位装置は、有効に使用することができる前記衛星情報を常に前記衛星情報格納手段に格納し、測位時には、前記衛星情報格納手段内の有効な前記衛星情報を使用することができる。
【００１１】
前記目的は、第４の発明によれば、位置情報衛星からの位置関連信号に基づいて、現在位置の測位を行う測位手段と、情報提供装置が継続的に放送する位置情報衛星の軌道を示す最新の衛星情報を受信する衛星情報放送受信手段と、前記情報提供装置から取得した前記衛星情報を格納する衛星情報格納手段と、を有する測位装置が、前記情報提供装置から前回の前記衛星情報を取得した時刻から、あらかじめ規定した衛星情報受信間隔時間が経過したか否かを判断する受信間隔時間経過判断ステップと、前記測位装置が、前記受信間隔時間経過判断ステップにおける判断結果に基づいて、前記情報提供装置から前記衛星情報を取得する受信間隔時間衛星情報取得ステップと、前記測位装置が、前記衛星情報格納手段に格納している前記衛星情報を使用して、前記測位を行う測位ステップと、を有することを特徴とする測位装置の制御方法によって達成される。
【００１２】
第４の発明の構成によれば、第１の発明の構成と同様に、前記測位装置は、測位の命令を受けてから測位を完了するまでの時間を短縮することができる。
【００１３】
前記目的は、第５の発明によれば、コンピュータに、位置情報衛星からの位置関連信号に基づいて、現在位置の測位を行う測位手段と、情報提供装置が継続的に放送する位置情報衛星の軌道を示す最新の衛星情報を受信する衛星情報放送受信手段と、前記情報提供装置から取得した前記衛星情報を格納する衛星情報格納手段と、を有する測位装置が、前記情報提供装置から前回の前記衛星情報を取得した時刻から、あらかじめ規定した衛星情報受信間隔時間が経過したか否かを判断する受信間隔時間経過判断ステップと、前記測位装置が、前記受信間隔時間経過判断ステップにおける判断結果に基づいて、前記情報提供装置から前記衛星情報を取得する受信間隔時間衛星情報取得ステップと、前記測位装置が、前記衛星情報格納手段に格納している前記衛星情報を使用して、前記測位を行う測位ステップと、を実行させることを特徴とする測位装置の制御プログラムによって達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１４】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【００１５】
（本発明の実施の形態）
図１は、本発明の実施の形態に係る測位システム１０を示す概略図である。
図１に示すように、測位システム１０は、位置情報衛星である例えば、ＧＰＳ衛星１２ａ，１２ｂ，１２ｃ，１２ｄ及び１２ｅの軌道を示す後述の基地局側衛星情報１５２（図４参照）を提供する情報提供装置である例えば、基地局２０を有する。基地局側衛星情報１５２は例えば、すべてのＧＰＳ衛星１２ａ等の概略の軌道を示すアルマナック（Ａｌｍａｎａｃ）及び各ＧＰＳ衛星１２ａ等の精密な軌道を示すエフェメリス（Ｅｐｈｅｍｅｒｉｓ）である。基地局側衛星情報１５２は衛星情報の一例である。そして、アルマナックは概略軌道情報の一例であり、エフェメリスは精密軌道情報の一例である。
【００１６】
図１に示すように、測位システム１０は、また、ＧＰＳ衛星１２ａ等からの位置関連信号である例えば、信号Ｓ１，Ｓ２，Ｓ３，Ｓ４及びＳ５に基づいて、現在位置の測位を行う測位装置である例えば、端末４０を有する。
この端末４０は例えば、携帯電話機、ＰＨＳ（Ｐｅｒｓｏｎａｌ Ｈａｎｄｙ−ｐｈｏｎｅ Ｓｙｓｔｅｍ）、ＰＤＡ（Ｐｅｒｓｏｎａｌ Ｄｉｇｉｔａｌ Ａｓｓｉｓｔａｎｃｅ）等であるが、これらに限らない。
なお、本実施の形態と異なり、基地局側衛星情報１５２は、アルマナック又はエフェメリスのいずれか一方でもよい。
【００１７】
端末４０は、端末ＧＰＳ装置５２によって、信号Ｓ１等を受信することができる。
また、端末４０は、放送受信装置５４によって、基地局２０が放送する基地局側衛星情報１５２を受信することができる。なお、基地側衛星情報１５２は電波に乗せられており、この電波は、アンテナ５４ａによって受信される。
なお、本実施の形態とは異なり、ＧＰＳ衛星１２ａ等は、４個以下でもよいし、６個以上でもよい。
【００１８】
（基地局２０の主なハードウエア構成について）
図２は基地局２０の主なハードウエア構成を示す概略図である。
図２に示すように、基地局２０は、コンピュータを有しており、コンピュータは、バス２２を有する。
このバス２２には、ＣＰＵ（Ｃｅｎｔｒａｌ Ｐｒｏｃｅｓｓｉｎｇ Ｕｎｉｔ）２４、記憶装置２６、外部記憶装置２８等が接続されている。記憶装置２６は例えば、ＲＡＭ（Ｒａｎｄｏｍ Ａｃｃｅｓｓ Ｍｅｍｏｒｙ）、ＲＯＭ（Ｒｅａｄ Ｏｎｌｙ Ｍｅｍｏｒｙ）等である。外部記憶装置２８は例えば、ＨＤ（Ｈａｒｄ Ｄｉｓｋ）である。
【００１９】
さらに、このバス２２には、各種情報等を入力するための入力装置３０、図１の端末４０と通信するための基地局通信装置３２、ＧＰＳ衛星１２ａ等から信号Ｓ１等を受信するための基地局ＧＰＳ装置３４が接続されている。
また、このバス２２には、上述の基地局側衛星情報１５２を放送するための放送装置３６が接続されている。
また、このバス２２には、各種情報等を表示するための基地局表示装置３８が接続されている。
【００２０】
（端末４０の主なハードウエア構成について）
図３は端末４０の主なハードウエア構成を示す概略図である。
図３に示すように、端末４０は、コンピュータを有しており、コンピュータは、バス４２を有する。
このバス４２には、ＣＰＵ４４、記憶装置４６等が接続されている。
【００２１】
さらに、このバス４２には、各種情報等を入力するための入力装置４８、端末通信装置５０、端末ＧＰＳ装置５２が接続されている。
また、このバス４２には、基地局２０が放送する基地局側衛星情報１５２を受信するための放送受信装置５４が接続されている。
また、このバス４２には、各種情報等を表示するための端末表示装置５６が接続されている。
【００２２】
（基地局２０の主なソフトウエア構成について）
図４は、基地局２０の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
図４に示すように、基地局２０は、各部を制御する基地局制御部１００、図２の基地局通信装置３２に対応する基地局通信部１０２、図２の基地局ＧＰＳ装置３４に対応する基地局ＧＰＳ部１０４、図２の放送装置３６に対応する放送部１０６等を有する。
図４に示すように、基地局２０は、また、各種プログラムを格納する基地局第１記憶部１１０、各種情報を格納する基地局第２記憶部１５０を有する。
【００２３】
図４に示すように、基地局２０は、基地局第１記憶部１１０に、衛星情報生成プログラム１１２を格納している。衛星情報生成プログラム１１２は、基地局制御部１００が、基地局ＧＰＳ部によって受信した信号Ｓ１等に基づいて、基地局側衛星情報１５２を生成するための情報である。
基地局側衛星情報１５２は上述のように、すべてのＧＰＳ衛星１２ａ等の概略軌道を示すアルマナック、及び、各ＧＰＳ衛星１２ａ等の精密軌道を示すエフェメリスを示す情報である。
基地局制御部１００は衛星情報生成プログラム１１２に基づいて、例えば、３０秒（ｓ）ごとに、基地局側衛星情報１５２を生成している。このため、基地局側衛星情報１５２は、常に最新の情報である。
基地局制御部１００は、生成した基地局側衛星情報１５２を基地局第２記憶部１５０に格納する。
【００２４】
図４に示すように、基地局２０は、基地局第１記憶部１１０に、衛星情報放送プログラム１１４を格納している。衛星情報放送プログラム１１４は、基地局制御部１００が、基地局側衛星情報１５２を、継続的に放送するための情報である。すなわち、衛星情報放送プログラム１１４と基地局制御部１００は、衛星情報放送手段の一例である。
基地局制御部１００は衛星情報放送プログラム１１４に基づいて、基地局側衛星情報１５２を継続的に放送する。
上述のように、基地局側衛星情報１５２は常に最新の情報であるから、基地局制御部１００は衛星情報放送プログラム１１４に基づいて、最新の基地局側衛星情報１５２を放送することができる。
【００２５】
（端末４０の主なソフトウエア構成について）
図５は、端末４０の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
図５に示すように、端末４０は、各部を制御する端末制御部２００、図３の端末通信装置５０に対応する端末通信部２０２、図３の端末ＧＰＳ装置５２に対応する端末ＧＰＳ部２０４、図３の放送受信装置５４に対応する放送受信部２０６を有する。
端末ＧＰＳ部２０４は、他の信号や雑音と区別して信号Ｓ１を受信する信号受信部２０４ａ、信号Ｓ１から元のデジタル符号を取得するベースバンド部２０４ｂを含む。
図５に示すように、端末４０は、各種プログラムを格納する端末第１記憶部２１０、各種情報を格納する端末第２記憶部２５０を有する。
【００２６】
図５に示すように、端末４０は、端末第２記憶部２５０に、放送周波数情報２５２を格納している。放送周波数情報２５２は、上述の基地局２０が基地局側衛星情報１５２を放送する放送の周波数を示す情報である。端末制御部２００は、放送受信部２０６においてこの放送周波数情報２５２に示される放送周波数と同期することによって、基地局側衛星情報１５２を受信する。すなわち、端末制御部２００と放送受信部２０６は、衛星情報放送受信手段の一例である。
正確には、端末制御部２００は放送受信部２０６によって、基地局側衛星情報１５２に対応する信号が乗せられた電波を受信し、その電波から信号を抽出し、その信号を解読することによって基地局側衛星情報１５２を取得する。
端末４０は、放送受信部２０６によって取得した基地局側衛星情報１５２を端末側衛星情報２５４として端末第２記憶部２５０に格納する。この端末側衛星情報２５４もまた、衛星情報の一例である。そして、端末第２記憶部２５０は、衛星情報格納手段の一例である。
【００２７】
図５に示すように、端末４０は、端末第１記憶部２１０に、衛星情報受信間隔時間経過判断プログラム２１２を格納している。衛星情報受信間隔時間経過判断プログラム２１２は、端末制御部２００が、前回の基地局側衛星情報１５２を取得した時刻から、あらかじめ規定した衛星情報受信間隔時間が経過したか否かを判断するための情報である。すなわち、衛星情報受信間隔時間経過判断プログラム２１２と端末制御部２００は、受信間隔時間経過判断手段の一例である。
【００２８】
衛星情報受信間隔時間は、端末側衛星情報２５４に含まれるエフェメリスの有効時間範囲内において規定されており、例えば、１時間（ｈ）である。
【００２９】
図５に示すように、端末４０は、端末第１記憶部２１０に、衛星情報受信プログラム２１４を格納している。衛星情報受信プログラム２１４は、端末制御部２００が、衛星情報受信間隔時間経過判断プログラム２１２による判断結果に基づいて、基地局２０から基地局側衛星情報１５２を取得するための情報である。すなわち、衛星情報受信プログラム２１４と端末制御部２００は、受信間隔時間衛星情報取得手段の一例である。
具体的には、端末制御部２００は、衛星情報受信間隔時間経過判断プログラム２１２によって、前回の基地側衛星情報１５２を取得した時刻から、衛星情報受信間隔時間である例えば、１時間（ｈ）が経過したと判断した場合に、基地局２０から新たに最新の基地側衛星情報１５２を取得する。
【００３０】
端末側衛星情報２５４に含まれるエフェメリスは、一定の有効時間範囲である例えば、エフェメリスの基準となる時刻から前後２時間においては有効に使用することができる。ところが、有効時間範囲を超えた場合には、エフェメリスは不正確となり、測位に使用するために不適切な情報となる。
この点、端末４０は、上述のように、衛星情報受信間隔時間を、エフェメリスの有効時間範囲内において規定しているから、エフェメリスを有効に使用することができる時間内に、最新のエフェメリスを含む基地局側衛星情報１５２を取得することができる。
このため、端末４０は、有効に使用することができるエフェメリスを含む端末側衛星情報２５４を常に端末第２記憶部２５０に格納しておき、測位時には、端末第２記憶部２５０内の有効な端末側衛星情報２５４を使用することができる。
【００３１】
図５に示すように、端末４０は、端末第１記憶部２１０に、測位プログラム２１６を格納している。測位プログラム２１６は、端末制御部２００が、端末第２記憶部２５０に格納している端末側衛星情報２５４を使用して、現在位置の測位を行うための情報である。すなわち、測位プログラム２１６と端末制御部２００は、測位手段の一例である。
具体的には、端末制御部２００は、端末側衛星情報２５４に含まれるアルマナックと前回測位位置情報２５６に示される前回の測位時の位置から、現在観測可能なＧＰＳ衛星１２ａ等（図１参照）を算出する。そして、端末側衛星情報２５４に含まれるエフェメリスを使用して観測可能な各ＧＰＳ衛星１２ａ等からの信号Ｓ１等を受信し、信号Ｓ１等に基づいて、現在位置の測位演算を実施する。
そして、端末４０は、測位演算によって生成した位置情報を、端末表示装置５６に表示するとともに、前回測位位置情報２５６として端末第２記憶部２５０に格納する。
【００３２】
上述のように、基地局２０は、最新の基地局側衛星情報１５２を継続的に放送している。
そして、端末４０は、基地局２０から前回の基地局側衛星情報１５２を取得した時刻から、あらかじめ規定した衛星情報受信間隔時間が経過したか否かを判断することができ、
衛星情報受信間隔時間が経過した場合に、基地局２０から最新の基地局側衛星情報１５２を取得することができる。
すなわち、端末２０は、測位を行うか否かにかかわらず、衛星情報受信間隔時間が経過した場合には、基地局２０から最新の基地局側衛星情報１５２を取得する。そして、その最新の基地局側衛星情報１５２を端末側衛星情報２５４として端末第２記憶部２５０に格納する。
したがって、測位を行うときには、端末第２記憶部２５０に格納している端末側衛星情報２５４を使用して測位を行う。
このため、端末４０は、測位時に、端末側衛星情報２５４を更新する必要性を判断したり、基地局側衛星情報１５２を改めて取得する必要がない。
これにより、測位システム１０によれば、端末４０が測位の命令を受けてから測位を完了するまでの時間を短縮することができる。
【００３３】
以上が本実施の形態に係る測位システム１０の構成であるが、以下、その動作例を主に図６を使用して説明する。
図６は本実施の形態に係る測位システム１０の動作例を示す概略フローチャートである。
【００３４】
端末４０は、既に、基地局２０から基地局側衛星情報１５２受信し、端末側衛星情報２５４として端末第２記憶部２５０（図５参照）に格納しているという前提で、以下の説明をする。
まず、端末４０は、前回の基地局側衛星情報１５２を受信した時刻から、衛星情報受信間隔時間である例えば、１時間（ｈ）が経過したか否かを判断する（図６のステップＳＴ１）。このステップＳＴ１は、受信間隔時間経過判断ステップの一例である。
【００３５】
ステップＳＴ１において、端末４０が、前回の基地局側衛星情報１５２を受信した時刻から、衛星情報受信間隔時間である例えば、１時間（ｈ）が経過したと判断した場合には、基地局側衛星情報１５２を取得する（ステップＳＴ２）。このステップＳＴ２は、受信間隔時間衛星情報取得ステップの一例である。
具体的には、端末４０は、放送されている基地局側衛星情報１５２が乗せられた信号を受信し、その信号を解読することによって最新の基地局側衛星情報１５２を取得する。そして、端末４０は、取得した基地局側衛星情報１５２を端末側衛星情報２５４として端末第２記憶部２５０に格納する。
上述のステップＳＴ１及びステップＳＴ２は、端末４０が測位を行うか否かに関わらず、実施される。
なおステップＳＴ１において、端末４０が、前回の基地局側衛星情報１５２を受信した時刻から、衛星情報受信間隔時間である例えば、１時間（ｈ）が経過していないと判断した場合には、端末側衛星情報２５４はまだ有効な情報であるから、基地局側衛星情報１５２を取得しない。
【００３６】
続いて、端末４０は、端末第２記憶部２５０に格納している端末側衛星情報２５４を使用して、ＧＰＳ衛星１２ａ等から信号Ｓ１等を受信し、現在位置の測位を行う（ステップＳＴ３）。このステップＳＴ３は、測位ステップの一例である。
続いて、端末４０は、測位結果を表示する（ステップＳＴ４）。
【００３７】
上述のように、端末４０は、測位とは無関係に端末側衛星情報２５４を有効な情報に更新するから、測位時に、端末側衛星情報２５４を更新する必要性を判断したり、基地局側衛星情報１５２を改めて取得する必要がない。
これにより、測位システム１０によれば、端末４０が測位の命令を受けてから測位を完了するまでの時間を短縮することができる。
【００３８】
（プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体等について）
コンピュータに上述の動作例の受信間隔時間経過判断ステップと、受信間隔時間衛星情報取得ステップと、測位ステップ等を実行させるための測位装置の制御プログラムとすることができる。
また、このような測位装置の制御プログラム等を記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体等とすることもできる。
【００３９】
これら測位装置の制御プログラム等をコンピュータにインストールし、コンピュータによって実行可能な状態とするために用いられるプログラム格納媒体は、例えばフロッピー（登録商標）のようなフレキシブルディスク、ＣＤ−ＲＯＭ（Ｃｏｍｐａｃｔ Ｄｉｓｃ Ｒｅａｄ Ｏｎｌｙ Ｍｅｍｏｒｙ）、ＣＤ−Ｒ（Ｃｏｍｐａｃｔ Ｄｉｓｃ−Ｒｅｃｏｒｄａｂｌｅ）、ＣＤ−ＲＷ（Ｃｏｍｐａｃｔ Ｄｉｓｃ−Ｒｅｗｒｉｔｅｒｂｌｅ）、ＤＶＤ（Ｄｉｇｉｔａｌ Ｖｅｒｓａｔｉｌｅ Ｄｉｓｃ）などのパッケージメディアのみならず、プログラムが一時的若しくは永続的に格納される半導体メモリ、磁気ディスクあるいは光磁気ディスクなどで実現することができる。
【００４０】
本発明は、上述の各実施の形態に限定されない。さらに、上述の各実施の形態は、相互に組み合わせて構成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【００４１】
【図１】本発明の実施の形態の測位システムを示す概略図である。
【図２】基地局の主なハードウエア構成を示す概略図である。
【図３】端末の主なハードウエア構成を示す概略図である。
【図４】基地局の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
【図５】端末の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
【図６】測位システムの動作例を示す概略フローチャートである。
【符号の説明】
【００４２】
１０・・・測位システム、１２ａ，１２ｂ，１２ｃ，１２ｄ，１２ｅ・・・ＧＰＳ衛星、２０・・・基地局、４０・・・端末、５０・・・端末通信装置、５２・・・端末ＧＰＳ装置、５４・・・放送受信装置、２１２・・・衛星情報受信間隔時間経過判断プログラム、２１４・・・衛星情報受信プログラム、２１６・・・測位プログラム
【特許請求の範囲】
【請求項１】
位置情報衛星の軌道を示す最新の衛星情報を提供する情報提供装置と、
前記位置情報衛星からの位置関連信号に基づいて、現在位置の測位を行う測位装置と、
を有する測位システムであって、
前記情報提供装置は、
前記最新の衛星情報を継続的に放送する衛星情報放送手段を有し、
前記測位装置は、
前記情報提供装置が放送する前記衛星情報を受信する衛星情報放送受信手段と、
前記情報提供装置から取得した前記衛星情報を格納する衛星情報格納手段と、
前記情報提供装置から前回の前記衛星情報を取得した時刻から、あらかじめ規定した衛星情報受信間隔時間が経過したか否かを判断する受信間隔時間経過判断手段と、
前記受信間隔時間経過判断手段の判断結果に基づいて、前記情報提供装置から前記衛星情報を取得する受信間隔時間衛星情報取得手段と、
前記衛星情報格納手段に格納している前記衛星情報を使用して、前記測位を行う測位手段と、
を有することを特徴とする測位システム。
【請求項２】
位置情報衛星からの位置関連信号に基づいて、現在位置の測位を行う測位装置であって、
情報提供装置が継続的に放送する位置情報衛星の軌道を示す最新の衛星情報を受信する衛星情報放送受信手段と、
前記情報提供装置から取得した前記衛星情報を格納する衛星情報格納手段と、
前記情報提供装置から前回の前記衛星情報を取得した時刻から、あらかじめ規定した衛星情報受信間隔時間が経過したか否かを判断する受信間隔時間経過判断手段と、
前記受信間隔時間経過判断手段の判断結果に基づいて、前記情報提供装置から前記衛星情報を取得する受信間隔時間衛星情報取得手段と、
前記衛星情報格納手段に格納している前記衛星情報を使用して、前記測位を行う測位手段と、
を有することを特徴とする測位装置。
【請求項３】
前記衛星情報は、すべての前記位置情報衛星の概略の軌道を示す概略軌道情報、及び／又は、各前記位置情報衛星の精密な軌道を示す精密軌道情報であって、
前記衛星情報受信間隔時間は、前記精密軌道情報の有効時間範囲内において規定することを特徴とする請求項２に記載の測位装置。
【請求項４】
位置情報衛星からの位置関連信号に基づいて、現在位置の測位を行う測位手段と、情報提供装置が継続的に放送する位置情報衛星の軌道を示す最新の衛星情報を受信する衛星情報放送受信手段と、前記情報提供装置から取得した前記衛星情報を格納する衛星情報格納手段と、を有する測位装置が、前記情報提供装置から前回の前記衛星情報を取得した時刻から、あらかじめ規定した衛星情報受信間隔時間が経過したか否かを判断する受信間隔時間経過判断ステップと、
前記測位装置が、前記受信間隔時間経過判断ステップにおける判断結果に基づいて、前記情報提供装置から前記衛星情報を取得する受信間隔時間衛星情報取得ステップと、
前記測位装置が、前記衛星情報格納手段に格納している前記衛星情報を使用して、前記測位を行う測位ステップと、
を有することを特徴とする測位装置の制御方法。
【請求項５】
コンピュータに、
位置情報衛星からの位置関連信号に基づいて、現在位置の測位を行う測位手段と、情報提供装置が継続的に放送する位置情報衛星の軌道を示す最新の衛星情報を受信する衛星情報放送受信手段と、前記情報提供装置から取得した前記衛星情報を格納する衛星情報格納手段と、を有する測位装置が、前記情報提供装置から前回の前記衛星情報を取得した時刻から、あらかじめ規定した衛星情報受信間隔時間が経過したか否かを判断する受信間隔時間経過判断ステップと、
前記測位装置が、前記受信間隔時間経過判断ステップにおける判断結果に基づいて、前記情報提供装置から前記衛星情報を取得する受信間隔時間衛星情報取得ステップと、
前記測位装置が、前記衛星情報格納手段に格納している前記衛星情報を使用して、前記測位を行う測位ステップと、
を実行させることを特徴とする測位装置の制御プログラム。
【請求項１】
位置情報衛星の軌道を示す最新の衛星情報を提供する情報提供装置と、
前記位置情報衛星からの位置関連信号に基づいて、現在位置の測位を行う測位装置と、
を有する測位システムであって、
前記情報提供装置は、
前記最新の衛星情報を継続的に放送する衛星情報放送手段を有し、
前記測位装置は、
前記情報提供装置が放送する前記衛星情報を受信する衛星情報放送受信手段と、
前記情報提供装置から取得した前記衛星情報を格納する衛星情報格納手段と、
前記情報提供装置から前回の前記衛星情報を取得した時刻から、あらかじめ規定した衛星情報受信間隔時間が経過したか否かを判断する受信間隔時間経過判断手段と、
前記受信間隔時間経過判断手段の判断結果に基づいて、前記情報提供装置から前記衛星情報を取得する受信間隔時間衛星情報取得手段と、
前記衛星情報格納手段に格納している前記衛星情報を使用して、前記測位を行う測位手段と、
を有することを特徴とする測位システム。
【請求項２】
位置情報衛星からの位置関連信号に基づいて、現在位置の測位を行う測位装置であって、
情報提供装置が継続的に放送する位置情報衛星の軌道を示す最新の衛星情報を受信する衛星情報放送受信手段と、
前記情報提供装置から取得した前記衛星情報を格納する衛星情報格納手段と、
前記情報提供装置から前回の前記衛星情報を取得した時刻から、あらかじめ規定した衛星情報受信間隔時間が経過したか否かを判断する受信間隔時間経過判断手段と、
前記受信間隔時間経過判断手段の判断結果に基づいて、前記情報提供装置から前記衛星情報を取得する受信間隔時間衛星情報取得手段と、
前記衛星情報格納手段に格納している前記衛星情報を使用して、前記測位を行う測位手段と、
を有することを特徴とする測位装置。
【請求項３】
前記衛星情報は、すべての前記位置情報衛星の概略の軌道を示す概略軌道情報、及び／又は、各前記位置情報衛星の精密な軌道を示す精密軌道情報であって、
前記衛星情報受信間隔時間は、前記精密軌道情報の有効時間範囲内において規定することを特徴とする請求項２に記載の測位装置。
【請求項４】
位置情報衛星からの位置関連信号に基づいて、現在位置の測位を行う測位手段と、情報提供装置が継続的に放送する位置情報衛星の軌道を示す最新の衛星情報を受信する衛星情報放送受信手段と、前記情報提供装置から取得した前記衛星情報を格納する衛星情報格納手段と、を有する測位装置が、前記情報提供装置から前回の前記衛星情報を取得した時刻から、あらかじめ規定した衛星情報受信間隔時間が経過したか否かを判断する受信間隔時間経過判断ステップと、
前記測位装置が、前記受信間隔時間経過判断ステップにおける判断結果に基づいて、前記情報提供装置から前記衛星情報を取得する受信間隔時間衛星情報取得ステップと、
前記測位装置が、前記衛星情報格納手段に格納している前記衛星情報を使用して、前記測位を行う測位ステップと、
を有することを特徴とする測位装置の制御方法。
【請求項５】
コンピュータに、
位置情報衛星からの位置関連信号に基づいて、現在位置の測位を行う測位手段と、情報提供装置が継続的に放送する位置情報衛星の軌道を示す最新の衛星情報を受信する衛星情報放送受信手段と、前記情報提供装置から取得した前記衛星情報を格納する衛星情報格納手段と、を有する測位装置が、前記情報提供装置から前回の前記衛星情報を取得した時刻から、あらかじめ規定した衛星情報受信間隔時間が経過したか否かを判断する受信間隔時間経過判断ステップと、
前記測位装置が、前記受信間隔時間経過判断ステップにおける判断結果に基づいて、前記情報提供装置から前記衛星情報を取得する受信間隔時間衛星情報取得ステップと、
前記測位装置が、前記衛星情報格納手段に格納している前記衛星情報を使用して、前記測位を行う測位ステップと、
を実行させることを特徴とする測位装置の制御プログラム。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２００６−１３２９５３（Ｐ２００６−１３２９５３Ａ）
【公開日】平成１８年５月２５日（２００６．５．２５）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００４−３１８９２４（Ｐ２００４−３１８９２４）
【出願日】平成１６年１１月２日（２００４．１１．２）
【出願人】（０００００２３６９）セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１８年５月２５日（２００６．５．２５）
【国際特許分類】
【出願日】平成１６年１１月２日（２００４．１１．２）
【出願人】（０００００２３６９）セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Ｆターム（参考）】
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