説明

測位方法、測位装置及び測位プログラム

【課題】GPSのマルチパス誤差を推定し、その結果からしきい値を用いて判定し、マルチパスの存在する人工衛星を使用しない従来のマルチパス誤差の除去方法は、測位に使用可能な人工衛星の数が十分でない場合、測位不能となる可能性がある。
【解決手段】サイクルスリップ検知手段100は、GNSS衛星などから送信された信号の搬送波位相の値の連続性の有無を判定し、連続性がないときサイクルスリップが発生したと検知する。マルチパス誤差計算手段110は、サイクルスリップ検知手段100からサイクルスリップが発生していないという検知情報が入力されるときに、擬似距離と搬送波位相の距離差を取ると共に、電離層の影響を取り除くことで、マルチパス誤差を計算する。擬似距離算出手段120は、マルチパス誤差計算手段110で計算されたマルチパス誤差を擬似距離から差し引いてマルチパス誤差を除去した擬似距離を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は測位方法、測位装置及び測位プログラムに係り、特に衛星航法システムなどの人工衛星から送信された信号に基づいて測位を行うシステムのマルチパス誤差を算出して、マルチパス誤差を除去した擬似距離を算出する測位方法、測位装置及び測位プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
図3は衛星航法システムの一例のシステム構成図を示す。同図において、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星11は、米国で開発された全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)や、ロシアで開発されたGLONASS(Global Orbiting Navigation Satellite System)に代表される衛星航法システムで用いられる人工衛星である。また、SBAS(Satellite Based Augmentation System)衛星12は、GNSS航法補強システムで使用される人工衛星である。
【0003】
この全地球測位衛星航法システム(GNSS)は、複数のGNSS衛星11から同時刻に放射した電波(GNSS信号)を同一の地上局で受信して得られた受信信号の時間差(距離)と電波を放射したGNSS衛星11の位置とから、地上局における位置と時刻を提供するシステムである。この時間差を距離に換算したものを擬似距離といい、その誤差は主に、GNSS衛星11の時計、電離層、対流圏、マルチパス、受信機の時計などに起因して発生する。その複数のGNSS衛星11からの距離を基に位置が計算され、その精度は10m以下である。
【0004】
現在、このGNSSを航空機であるユーザー13の離着陸などのターミナル領域まで使用することを視野にシステム開発されており、GNSSの精度と信頼性を補強する補助システムがGNSS航法補強システムである。特にSBAS衛星12を使用し、広域の補強を目的としたシステムがSBASである。SBASは補強情報として、(1)SBAS衛星12とユーザー13の距離補正情報、(2)信頼性情報、(3)SBAS衛星12とユーザー13との距離情報(GNSS衛星11と同様の時刻差情報)を提供する。
【0005】
SBASはGPS等の航法衛星から受信した観測データを、多数の地上局であるGMS(Ground Monitoring System)15−1〜15−nで受信し、その情報をマスター制御局(MCS:Master Control Station)14に集め、上記3つの情報を作り出す。この3つの情報がメッセージとしてSBAS衛星12を経由してユーザー13に提供される。
【0006】
このような衛星航法システムでは、精度を向上するために衛星11、12とユーザー13の距離補正情報をより正確に算出する必要があり、補正情報を作成するデータの提供元であるGMS15−1〜15−nのマルチパス誤差を取り除くことが必要となる。
【0007】
このマルチパス誤差(マルチパスに起因する位置誤差)を低減する方法としては、GPSのマルチパス誤差を推定し、その結果からしきい値を用いて判定し、マルチパスの存在する衛星を使用しないことにより、マルチパスの影響を除去した測位結果を得る測位方法及び測位装置が知られている。
【0008】
また、測位衛星から送信された信号を基準局で受信し、その受信信号に基づいて、受信位置の擬似距離と受信位置とを算出し、その擬似距離から受信位置で予め求めたマルチパスに起因する位置誤差を差し引いて受信位置を補正する測位方法も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
【特許文献1】特開2005−49147号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかるに、GPSのマルチパス誤差を推定し、その結果からしきい値を用いて判定し、マルチパスの存在する人工衛星を使用しない従来のマルチパス誤差の除去方法は、測位に使用可能な人工衛星の数が十分でない場合、人工衛星数が4未満となり、測位不能となる可能性がある。
【0011】
また、特許文献1記載の従来の測位方法では、事前に24時間のマルチパスによる位置誤差を算出することを前提としているため、固定点かつマルチパスの状況が事前測定と同一という条件が必要であり、マルチパス誤差の推定に制限がある。また、この特許文献1記載の従来の測位方法では、電離層誤差が考慮されていないため、十分なマルチパス誤差の除去ができない。
【0012】
本発明は以上の点に鑑みなされたもので、電離層誤差をも含めたマルチパス誤差をリアルタイムで算出し、マルチパス誤差を除去した擬似距離を算出し得る測位方法、測位装置及び測位プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するため、本発明の測位方法は、複数の人工衛星が同時刻で送信した信号を地上局で受信した時間差を距離に換算した擬似距離を算出する測位方法において、人工衛星が送信した信号を受信して得られた信号の搬送波位相のサイクルスリップを検知する第1のステップと、第1のステップでサイクルスリップの発生が検知されないときに、地上局で算出した擬似距離と搬送波位相とからマルチパス誤差を計算する第2のステップと、第2のステップで計算されたマルチパス誤差を擬似距離から算出した値を最終的な擬似距離として算出する第3のステップとを含むことを特徴とする。
【0014】
ここで、人工衛星が送信する信号は、第1の擬似距離用周波数と第2の擬似距離用周波数の搬送波を、それぞれコードと呼ばれる変調信号で変調した被変調波信号であり、コードを基にした距離を擬似距離として算出し、コードに依存しない本来の搬送波を基にした距離を搬送波位相として算出する測位方法において、上記の第2のステップは、第1の擬似距離用周波数及び搬送波位相と第2の擬似距離用周波数及び搬送波位相とに基づいて距離差を算出する距離差算出ステップと、今回算出された距離差から過去の予め定めた一定回数計算した距離差の平均値を差し引いた値をマルチパス誤差として算出するマルチパス誤差算出ステップとからなることを特徴とする。
【0015】
また、上記の目的を達成するため、本発明の測位装置は、複数の人工衛星が同時刻で送信した信号を地上局で受信した時間差を距離に換算した擬似距離を算出する測位装置において、人工衛星が送信した信号を受信して得られた信号の搬送波位相のサイクルスリップを検知するサイクルスリップ検知手段と、サイクルスリップ検知手段によりサイクルスリップの発生が検知されないときに、擬似距離と搬送波位相とからマルチパス誤差を計算するマルチパス誤差計算手段と、マルチパス誤差計算手段で計算されたマルチパス誤差を擬似距離から算出した値を最終的な擬似距離として算出する擬似距離算出手段とを有することを特徴とする。
【0016】
ここで、人工衛星が送信する信号は、第1の擬似距離用周波数と第2の擬似距離用周波数の搬送波を、それぞれコードと呼ばれる変調信号で変調した被変調波信号であり、コードを基にした距離を擬似距離として算出し、コードに依存しない本来の搬送波を基にした距離を搬送波位相として算出する測位装置において、上記のマルチパス誤差計算手段は、第1の擬似距離用周波数及び搬送波位相と第2の擬似距離用周波数及び搬送波位相とに基づいて距離差を算出する距離差算出手段と、今回算出された距離差から過去の予め定めた一定回数計算した距離差の平均値を差し引いた値をマルチパス誤差として算出するマルチパス誤差算出手段とからなることを特徴とする。
【0017】
また、上記の目的を達成するため、本発明の測位プログラムは、コンピュータに、人工衛星が送信した信号を受信して得られた信号の搬送波位相のサイクルスリップを検知する第1のステップと、第1のステップでサイクルスリップの発生が検知されないときに、地上局で算出した擬似距離と搬送波位相とからマルチパス誤差を計算する第2のステップと、第2のステップで計算されたマルチパス誤差を擬似距離から算出した値を最終的な擬似距離として算出する第3のステップとを実行させることを特徴とする。
【0018】
本発明の測位方法、測位装置及び測位プログラムでは、複数の人工衛星が同時刻で送信した信号を受信する地上局でそれらの受信信号の時間差を距離に換算した擬似距離と、受信信号の搬送配送のサイクルスリップが発生していないときに、受信信号の搬送波位相とに基づいて電離層誤差も考慮したマルチパス誤差を計算し、そのマルチパス誤差を地上局で算出した擬似距離から差し引くことで擬似距離からマルチパス誤差を除去することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、電離層誤差も考慮したマルチパス誤差を除去した精度の良い擬似距離を計算することができるため、マルチパス誤差の大きい人工衛星を排除することなく、最終的に得られた擬似距離を使用して位置計算することによって、精度の良い測位結果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は本発明になる測位装置の一実施の形態のブロック図を示す。同図に示すように、本実施の形態の測位装置は、図3に示した衛星航法システムにおけるマスター制御局(MCS)14内に設けられており、例えば図3のGNSS衛星11から送信された擬似距離算出のための情報をのせる信号の搬送波位相のサイクルスリップを検知するサイクルスリップ検知手段100と、擬似距離と上記搬送波位相とからマルチパス誤差を計算するマルチパス誤差計算手段110と、マルチパス誤差を除去した擬似距離を算出する擬似距離算出手段120とから構成されている。なお、本実施の形態では、図3のSBAS衛星12から送信された擬似距離算出のための情報を載せる信号の搬送波位相のサイクルスリップを検知する事も可能である。
【0021】
これらの手段100、110及び120はそれぞれ概略次のように動作する。サイクルスリップ検知手段100は、前記GNSS衛星11やSBAS衛星12から送信された信号の搬送波位相の値の連続性の有無を判定し、連続性がないときサイクルスリップが発生したと検知し、マルチパス誤差を計算するために必要なサイクルスリップ情報としてマルチパス誤差計算手段110に供給する。
【0022】
ここで、前記GNSS衛星11やSBAS衛星12から送信される信号は、L1擬似距離用周波数とL2擬似距離用周波数の搬送波を、コードと呼ばれる変調信号で変調した被変調波信号である。コードと呼ばれる変調信号を基にした距離を擬似距離と呼び、コードに依存しない本来の搬送波(電波信号)から求められる距離を搬送波位相という。擬似距離と搬送波位相とは同じ電波の信号を基に、例えば図3のGMS15−1〜15−nのそれぞれの内部に設けられている受信機で得られるが、性格が異なるものである。
【0023】
一般的にコードはメートルの単位で受信機から出力されるが、搬送波位相はサイクルという単位で出力される。コードは繰り返しの単位が1msと長く、1つの繰り返しが電波の速度である光速をかけた約300kmであるのに対し、搬送波位相は電波の波長が1つの繰り返しのため、L1擬似距離用周波数の場合、約19cmになる。現在受信している信号の1波長の割合を特定して距離を求める仕組みになっており、例えば153波長+0.1波長という値を測定して、波長をかけて距離に換算する。波長が長い擬似距離は簡単に153波長の部分を求められるが、波長が短い搬送波位相は153波長の部分を求めるのが困難である。
【0024】
搬送波位相は擬似距離と同様に衛星との距離を示すデータであるが、波長が上記のように19cm程度と短いため、何波長目を示しているか不確定である。通常、図3のGMS15−1〜15−nのそれぞれの内部に設けられている受信機はその不確定さを含んだまま搬送波位相をサイクル数として出力する。衛星の捕捉が中断するなどの事象があった場合、そのサイクル数が何波長分も飛んでしまう現象があり、その現象がサイクルスリップと呼ばれている。正確なマルチパス誤差を計算するためには、サイクルスリップを正確に検知し、不確定さが変化しない搬送波位相を計算する必要がある。
【0025】
マルチパス誤差計算手段110は、サイクルスリップ検知手段100からサイクルスリップが発生していることを示すサイクルスリップ検知情報が入力されないとき、換言すると、サイクルスリップが発生していないという検知情報が入力されるときに、擬似距離と搬送波位相の距離差を取ると共に、電離層の影響を取り除くことで、マルチパス誤差を計算する。擬似距離算出手段120は、マルチパス誤差計算手段110で計算されたマルチパス誤差を擬似距離から差し引いてマルチパス誤差を除去した擬似距離を算出する。
【0026】
次に、本発明の測位方法について説明する。図2は本発明になる測位方法の一実施の形態のフローチャートを示す。この本実施の形態の測位方法は、図1の測位装置による測位方法であり、まず、サイクルスリップ検知手段100でL1擬似距離用周波数(例えば、1575.42MHz)とL2擬似距離用周波数(例えば、1227.6MHz)の搬送波位相のサイクルスリップを検知し(ステップS1)、それにより得られたサイクルスリップ検知情報がマルチパス誤差計算手段110に供給される。
【0027】
マルチパス誤差計算手段110は、マルチパス誤差を正確に計算するためには前述の通りサイクルスリップしていないことが条件として必要であるため、上記のサイクルスリップ検知情報に基づいて、サイクルスリップが発生しているかどうかを判定し(ステップS2)、サイクルスリップが起こっていると判断した場合、ステップS1に戻り処理を最初からやり直し、他方、サイクルスリップが起こっていないと判断した場合には、継続回数iを加算し、L1擬似距離ρL1、L2擬似距離ρL2、L1搬送波位相ΦL1、L2搬送波位相ΦL2を使用して、L1距離差CCDIFL1、L2距離差CCDIFL2を次式により計算する。
【0028】
CCDIFL1(ti)=ρL1(ti)−[(1+2k)λL1ΦL1(ti)−2kλL2ΦL2(ti)] (1)
CCDIFL2(ti)=ρL2(ti)−[(2+2k)λL1ΦL1(ti)−(1+2k)λL2ΦL2(ti)] (2)
ただし、(1)式及び(2)式中、定数kはL1擬似距離用周波数fL1とL2擬似距離用周波数fL2とから次式で表される。また、L1擬似距離ρL1とL2擬似距離ρL2は前述したようにGMS内で算出されており、それがMCS14に入力されている。
【0029】
k=fL2/(fL1−fL2) (3)
なお、(1)式及び(2)式の右辺第2項と第3項は、搬送波位相から算出される距離とバイアス(固定誤差)と電離層誤差の合わさった値を示す。
【0030】
距離差CCDIFL1、CCDIFL2を計算する際には電離層の影響も取り除く必要があるため、距離差CCDIFL1、CCDIFL2で計算方法が異なる。この時点で距離差CCDIFL1、CCDIFL2にはマルチパス誤差、ノイズ、バイアス偏差が含まれている。バイアス偏差は上述の不確定さのことであり、サイクルスリップが発生しない限り、一定の値である。また、ノイズはマルチパス誤差よりも値が小さいため、この距離差CCDIFL1、CCDIFL2からバイアス偏差を排除するとマルチパス誤差が算出されることになる。
【0031】
そこで、マルチパス誤差計算手段110は、(1)式と(2)式で算出した距離差CCDIFL1、CCDIFL2から次式によりバイアス偏差を差し引くことにより、マルチパス誤差μL1とμL2を算出する(ステップS4)。
【0032】
【数1】

ここで、(4)式及び(5)式中、右辺第2項は過去に予め定めた一定回数計算したCCDIFの平均値であり、これは上記のバイアス偏差に相当する。
【0033】
そして、最後に、擬似距離算出手段120は上記(4)式及び(5)式で算出されたマルチパス誤差を、次式によりL1擬似距離ρL1、L2擬似距離ρL2から減算することでマルチパス誤差を取り除いた擬似距離ρL1MT、ρL2MTを算出する(ステップS5)。
【0034】
ρL1MT(ti)=ρL1(ti)−μL1(ti) (6)
ρL2MT(ti)=ρL2(ti)−μL2(ti) (7)
上記のステップS1〜S5の処理をプログラムが終了するまで繰り返し計算する(ステップS6)。これにより、本実施の形態によれば、電離層誤差をも含めたマルチパス誤差をリアルタイムで算出し、マルチパス誤差を除去した擬似距離を算出することができる。
【0035】
なお、本発明は以上の実施の形態に限定されるものではなく、例えば、リアルタイムの処理ではなく、データを予め保存した上でマルチパス誤差を計算する場合には、平均を計算する際の継続回数iを最大継続回数nに変更するとより精度の良いマルチパス誤差を算出できる。
【0036】
また、本発明は、図1のブロック構成や図2の各ステップをコンピュータのソフトウェアにより実行させる測位プログラムも包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の測位装置の一実施の形態のブロック図である。
【図2】本発明の測位方法の一実施の形態のフローチャートである。
【図3】本発明が適用される衛星航法システムの一例のシステム構成図である。
【符号の説明】
【0038】
11 GNSS衛星
12 SBAS衛星
13 ユーザー
14 マスター制御局(MCS)
15−1〜15−n GMS
100 サイクルスリップ検知手段
110 マルチパス誤差計算手段
120 擬似距離算出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の人工衛星が同時刻で送信した信号を地上局で受信した時間差を距離に換算した擬似距離を算出する測位方法において、
前記人工衛星が送信した信号を受信して得られた信号の搬送波位相のサイクルスリップを検知する第1のステップと、
前記第1のステップで前記サイクルスリップの発生が検知されないときに、前記地上局で算出した前記擬似距離と前記搬送波位相とからマルチパス誤差を計算する第2のステップと、
前記第2のステップで計算された前記マルチパス誤差を前記擬似距離から算出した値を最終的な擬似距離として算出する第3のステップと
を含むことを特徴とする測位方法。
【請求項2】
前記人工衛星が送信する信号は、第1の擬似距離用周波数と第2の擬似距離用周波数の搬送波を、それぞれコードと呼ばれる変調信号で変調した被変調波信号であり、前記コードを基にした距離を前記擬似距離として算出し、前記コードに依存しない本来の搬送波を基にした距離を前記搬送波位相として算出する測位方法において、
前記第2のステップは、前記第1の擬似距離用周波数及び搬送波位相と前記第2の擬似距離用周波数及び搬送波位相とに基づいて距離差を算出する距離差算出ステップと、
今回算出された前記距離差から過去の予め定めた一定回数計算した距離差の平均値を差し引いた値をマルチパス誤差として算出するマルチパス誤差算出ステップと
からなることを特徴とする請求項1記載の測位方法。
【請求項3】
複数の人工衛星が同時刻で送信した信号を地上局で受信した時間差を距離に換算した擬似距離を算出する測位装置において、
前記人工衛星が送信した信号を受信して得られた信号の搬送波位相のサイクルスリップを検知するサイクルスリップ検知手段と、
前記サイクルスリップ検知手段により前記サイクルスリップの発生が検知されないときに、前記擬似距離と前記搬送波位相とからマルチパス誤差を計算するマルチパス誤差計算手段と、
前記マルチパス誤差計算手段で計算された前記マルチパス誤差を前記擬似距離から算出した値を最終的な擬似距離として算出する擬似距離算出手段と
を有することを特徴とする測位装置。
【請求項4】
前記人工衛星が送信する信号は、第1の擬似距離用周波数と第2の擬似距離用周波数の搬送波を、それぞれコードと呼ばれる変調信号で変調した被変調波信号であり、前記コードを基にした距離を前記擬似距離として算出し、前記コードに依存しない本来の搬送波を基にした距離を前記搬送波位相として算出する測位装置において、
前記マルチパス誤差計算手段は、前記第1の擬似距離用周波数及び搬送波位相と前記第2の擬似距離用周波数及び搬送波位相とに基づいて距離差を算出する距離差算出手段と、
今回算出された前記距離差から過去の予め定めた一定回数計算した距離差の平均値を差し引いた値をマルチパス誤差として算出するマルチパス誤差算出手段と
からなることを特徴とする請求項3記載の測位装置。
【請求項5】
複数の人工衛星が同時刻で送信した信号を地上局で受信した時間差を距離に換算した擬似距離を、コンピュータのソフトウェアにより算出する測位プログラムであって、
前記コンピュータに、
前記人工衛星が送信した信号を受信して得られた信号の搬送波位相のサイクルスリップを検知する第1のステップと、
前記第1のステップで前記サイクルスリップの発生が検知されないときに、前記地上局で算出した前記擬似距離と前記搬送波位相とからマルチパス誤差を計算する第2のステップと、
前記第2のステップで計算された前記マルチパス誤差を前記擬似距離から算出した値を最終的な擬似距離として算出する第3のステップと
を実行させることを特徴とする測位プログラム。
【請求項6】
前記人工衛星が送信する信号は、第1の擬似距離用周波数と第2の擬似距離用周波数の搬送波を、それぞれコードと呼ばれる変調信号で変調した被変調波信号であり、前記コードを基にした距離を前記擬似距離として算出し、前記コードに依存しない本来の搬送波を基にした距離を前記搬送波位相として算出する測位プログラムにおいて、
前記第2のステップは、前記第1の擬似距離用周波数及び搬送波位相と前記第2の擬似距離用周波数及び搬送波位相とに基づいて距離差を算出する距離差算出ステップと、
今回算出された前記距離差から過去の予め定めた一定回数計算した距離差の平均値を差し引いた値をマルチパス誤差として算出するマルチパス誤差算出ステップと
からなることを特徴とする請求項5記載の測位プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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