説明

測位装置、測位装置の制御方法及び測位装置の制御プログラム

【課題】閾値を決定して衛星電波を選択する方法では、衛星電波の新規の選択条件となる
閾値を更に追加しようとした場合、閾値の設定及び判定に関わる条件式が複雑になってし
まう可能性がある。
【解決手段】観測ベクトル生成部16が、受信した衛星電波の観測情報に基づいて観測ベ
クトル20aを生成する。次に、判定部17が、この観測ベクトル20aと、記憶部20
に予め記憶されている受信状態の良否を判定する複数の基準ベクトル20bと、に基づい
て受信状態の良否を判定する。そして、測位部18が、判定された受信状態の良否に基づ
いて測位処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測位装置、測位装置の制御方法及び測位装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
位置情報衛星を利用して測位装置の現在位置を測位するGPS(Global Positioning S
ystem)が広く利用されている。しかし、位置情報衛星からの衛星電波が、測位装置に直
接波として到達しないで、建物等に反射した間接波(以下、マルチパスと称する。)とし
て到達した場合、このマルチパス等による影響のため、測位処理において誤差が発生して
測位精度が大きく低下してしまう問題がある。このため、マルチパス等による悪影響を排
除するための様々な技術が提案されている。例えば、下記の特許文献1では、測位装置の
受信環境に応じて測位演算に用いることができる受信CNの閾値を決定する。そして、こ
の閾値に基づいて、受信した衛星電波がマルチパス等による悪影響を受けているか否かの
判定を行っている。また、下記の特許文献2では、受信中の位置情報衛星のうち、仰角が
所定角度以上の位置情報衛星の受信信号レベルに基づいて、測位演算に用いる衛星電波を
選択するための閾値を決定している。
【0003】
【特許文献1】特開2003−139843号公報
【特許文献2】特開2003−149315号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の特許文献1及び特許文献2に記載されるような、受信CNや位置
情報衛星の仰角に基づいて閾値を決定して衛星電波を選択する方法では、前記した閾値に
加えて衛星電波の新規の選択条件となる閾値を更に追加しようとした場合、閾値の設定及
び判定に関わる条件式が複雑になってしまう可能性がある。このことから、測位装置の受
信環境に応じて衛星電波の選択条件となる有効な閾値を柔軟に付加し、これによって測位
精度の向上を図る対応を行うことが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の
形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]
位置情報衛星の衛星電波を受信して測位処理を行う測位装置であって、前記受信した衛
星電波に基づいた観測情報を要素とする観測ベクトルを生成する観測ベクトル生成部と、
前記受信した衛星電波についての受信状態の良否を判定する基準となる、予め定められた
複数の基準情報を記憶する記憶部と、前記生成された観測ベクトル及び前記記憶されてい
る複数の基準情報に基づいて、前記受信状態の良否を判定する判定部と、前記判定された
受信状態の良否に基づいて、前記衛星電波を選択して前記測位処理を行う測位部と、を有
することを特徴とする測位装置。
【0007】
上記した測位装置によれば、観測ベクトル生成部が、受信した衛星電波の観測情報に基
づいて観測ベクトルを生成する。次に、判定部が、この観測ベクトルと、記憶部に予め記
憶されている受信状態の良否を判定する複数の基準情報と、に基づいて受信状態の良否を
判定する。そして、測位部が、判定された受信状態の良否に基づいて衛星電波を選択して
測位処理を行う。
測位装置は、受信した観測情報に基づく観測ベクトルと、予め記憶されている複数の基
準情報とに基づいて受信状態の良否を判定することから、観測情報の要素及び各基準情報
に対して変更等の対応を行うことで、受信状態の良否の判定条件の変更等に容易に対処す
ることができる。また、予め記憶されている各基準情報を、例えば、測位装置の様々な受
信環境に応じた内容に設定することで、各種の受信環境における受信状態の良否の判定を
実現することができる。これにより、測位装置の受信環境に応じて衛星電波の選択条件を
柔軟に設定することができ、測位精度の向上を図ることができる。
【0008】
[適用例2]
前記複数の基準情報のそれぞれは、前記観測情報と同一の要素からなる基準ベクトルで
あって、前記判定部は、前記観測ベクトル及び前記それぞれの基準ベクトルの類似度を算
出する類似度算出部と、前記算出された類似度が最も高く、且つ所定の閾値よりも当該類
似度が高い前記基準ベクトルを前記それぞれの基準ベクトルの中から選択し、当該選択さ
れた基準ベクトルに対応する受信環境情報に基づいて前記受信状態の良否を判定する受信
環境判断部と、を有することを特徴とする上記測位装置。
【0009】
上記した測位装置によれば、類似度算出部が、観測ベクトルと、各基準ベクトルとの類
似度を算出する。そして、受信環境判断部が、最も高くて且つ所定の閾値よりも高い類似
度の基準ベクトルを選択して、その受信環境情報に基づいて受信状態の良否を判定する。
測位装置は、観測ベクトルに対して最も高い類似度の基準ベクトルを選択することから
、受信した衛星電波の観測情報に最も適合する基準ベクトルの受信環境情報を取得するこ
とができる。また、所定の閾値よりも高い類似度とすることで、観測情報に対して適合性
の低い基準ベクトルの選択を回避することができる。
【0010】
[適用例3]
前記類似度算出部は、前記観測ベクトル及び前記それぞれの基準ベクトルの内積を用い
て前記類似度を算出することを特徴とする上記測位装置。
【0011】
上記した測位装置によれば、観測ベクトルと、各基準ベクトルとの内積を用いて類似度
を算出することにより、少ない演算量で容易に類似度を算出することができる。
【0012】
[適用例4]
前記受信環境情報は、オープンスカイ環境、インドア環境及びマルチパス環境のうち、
少なくとも1つの環境における情報を含むことを特徴とする上記測位装置。
【0013】
上記した測位装置によれば、受信環境情報は、オープンスカイ環境、インドア環境及び
マルチパス環境のうち、少なくとも1つの環境における情報を含むことにより、測位装置
の様々な受信環境における情報を取得することができる。
【0014】
[適用例5]
前記受信環境情報は、前記受信状態が良い旨を示す情報及び悪い旨を示す情報のいずれ
かを含むことを特徴とする上記測位装置。
【0015】
上記した測位装置によれば、受信環境情報は、受信状態が良い旨を示す情報及び悪い旨
を示す情報のいずれかを含むことにより、受信状態の良否を容易に取得することができる

【0016】
[適用例6]
前記複数の基準情報のそれぞれは、基準となる前記観測情報の特徴を表現した確率モデ
ルであって、前記判定部は、前記観測ベクトルについて、前記それぞれの確率モデルにお
ける出力確率を算出する出力確率算出部と、前記算出された出力確率が最も高く、且つ所
定の閾値よりも当該出力確率が高い前記確率モデルを前記それぞれの確率モデルの中から
選択し、当該選択された確率モデルに対応する受信環境情報に基づいて前記受信状態の良
否を判定する受信環境判断部と、を有することを特徴とする上記測位装置。
【0017】
上記した測位装置によれば、出力確率算出部が、観測ベクトルについて各確率モデルに
おける出力確率を算出する。そして、受信環境判断部が、最も高くて且つ所定の閾値より
も高い出力確率の確率モデルを選択して、その受信環境情報に基づいて受信状態の良否を
判定する。
測位装置は、観測ベクトルについて最も高い出力確率の確率モデルを選択することから
、受信した衛星電波の観測情報に最も適合する確率モデルの受信環境情報を取得すること
ができる。また、所定の閾値よりも高い出力確率とすることで、観測情報に対して適合性
の低い確率モデルの選択を回避することができる。
【0018】
[適用例7]
前記確率モデルは、多次元正規分布により表現されることを特徴とする上記測位装置。
【0019】
上記した測位装置によれば、多次元正規分布により表現される確率モデルを適用するこ
とができる。
【0020】
[適用例8]
前記観測情報は、前記位置情報衛星の仰角、前記衛星電波の信号強度、当該観測情報の
連続性及び鮮度の情報のうち、少なくとも1つの情報を含むことを特徴とする上記測位装
置。
【0021】
[適用例9]
位置情報衛星の衛星電波を受信して測位処理を行う測位装置の制御方法であって、前記
受信した衛星電波についての受信状態の良否を判定する基準となる、予め定められた複数
の基準情報が記憶されている状態において、前記受信した衛星電波に基づいた観測情報を
要素とする観測ベクトルを生成する観測ベクトル生成工程と、前記生成された観測ベクト
ル及び前記記憶されている複数の基準情報に基づいて、前記受信状態の良否を判定する判
定工程と、前記判定された受信状態の良否に基づいて、前記衛星電波を選択して前記測位
処理を行う測位工程と、を有することを特徴とする測位装置の制御方法。
【0022】
上記した測位装置の制御方法によれば、観測ベクトル生成工程において、受信した衛星
電波の観測情報に基づいて観測ベクトルを生成する。次に、判定工程において、この観測
ベクトルと、予め記憶されている受信状態の良否を判定する複数の基準情報と、に基づい
て受信状態の良否を判定する。そして、測位工程において、判定された受信状態の良否に
基づいて衛星電波を選択して測位処理を行う。
測位装置は、受信した観測情報に基づく観測ベクトルと、予め記憶されている複数の基
準情報とに基づいて受信状態の良否を判定することから、観測情報の要素及び各基準情報
に対して変更等の対応を行うことで、受信状態の良否の判定条件の変更等に容易に対処す
ることができる。また、予め記憶されている各基準情報を、例えば、測位装置の様々な受
信環境に応じた内容に設定することで、各種の受信環境における受信状態の良否の判定を
実現することができる。これにより、測位装置の受信環境に応じて衛星電波の選択条件を
柔軟に設定することができ、測位精度の向上を図ることができる。
【0023】
[適用例10]
位置情報衛星の衛星電波を受信して測位処理を行う測位装置の制御プログラムであって
、前記受信した衛星電波についての受信状態の良否を判定する基準となる、予め定められ
た複数の基準情報が記憶されている状態において、前記受信した衛星電波に基づいた観測
情報を要素とする観測ベクトルを生成する観測ベクトル生成機能と、前記生成された観測
ベクトル及び前記記憶されている複数の基準情報に基づいて、前記受信状態の良否を判定
する判定機能と、前記判定された受信状態の良否に基づいて、前記衛星電波を選択して前
記測位処理を行う測位機能と、を有することを特徴とする測位装置の制御プログラム。
【0024】
上記した測位装置の制御プログラムによれば、観測ベクトル生成機能により、受信した
衛星電波の観測情報に基づいて観測ベクトルを生成する。次に、判定機能により、この観
測ベクトルと、予め記憶されている受信状態の良否を判定する複数の基準情報と、に基づ
いて受信状態の良否を判定する。そして、測位機能により、判定された受信状態の良否に
基づいて衛星電波を選択して測位処理を行う。
測位装置は、受信した観測情報に基づく観測ベクトルと、予め記憶されている複数の基
準情報とに基づいて受信状態の良否を判定することから、観測情報の要素及び各基準情報
に対して変更等の対応を行うことで、受信状態の良否の判定条件の変更等に容易に対処す
ることができる。また、予め記憶されている各基準情報を、例えば、測位装置の様々な受
信環境に応じた内容に設定することで、各種の受信環境における受信状態の良否の判定を
実現することができる。これにより、測位装置の受信環境に応じて衛星電波の選択条件を
柔軟に設定することができ、測位精度の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態に係る測位装置について図面を参照して説明する。
【0026】
<測位装置の概略>
最初に、第1実施形態に係る測位装置の概略について説明する。
図1は、第1実施形態に係る測位装置10の例を示す概略図である。同図に示す測位装
置10は、例えば、ユーザに携帯されて移動可能な携帯型電話装置である。測位装置10
は、位置情報衛星としての各GPS衛星1a,1b,1c,1d,1e,1f,1g,1
h等から、それぞれの衛星電波となる信号S1,S2,S3,S4,S5,S6,S7,
S8等を受信し、各信号に含まれる航法メッセージを解析して測位処理を行う。
【0027】
このとき、測位装置10は、GPS衛星1a等からの信号S1等を、図1に示すような
例えばオープンスカイ環境、インドア環境、マルチパス環境等の様々な受信環境において
受信する。ここで、オープンスカイ環境は、信号S1等を遮蔽する障害物が測位装置10
の周囲に存在しない環境を示している。インドア環境は、測位装置10が建物2a内に位
置する屋内における環境を示している。また、マルチパス環境は、測位装置10の周囲に
ビル2b等が位置しており、マルチパスを受信する可能性の高い環境を示している。
【0028】
測位装置10は、このような様々な受信環境下において受信した信号S1等の受信状態
の良否を判定し、利用可能なGPS衛星1a等を選択する機能を備えている。なお、測位
装置10は、携帯型電話装置に限られず、例えば、PHS(Personal Handy-phone Syste
m)、PDA(Personal Digital Assistance)、携帯ナビゲーション、カーナビゲーショ
ン等でも良い。
【0029】
次に、測位装置10における測位方法について説明する。
図2は、測位方法の例を示す概念図である。同図に示すように、例えばGPS衛星1a
と測位装置10との間には、GPS測位の基本単位であるC/A(Coarse/Access)コー
ドの長さ(約300キロメートル(km))の整数倍の部分と、端数部分とが存在する。
これらのC/Aコードの整数倍の部分の長さと、端数部分の長さとの合計が擬似距離とな
る。測位装置10は、3個以上のGPS衛星1a等についての擬似距離を使用して測位を
行う。ここでは、C/Aコードの端数部分となるコード端数C/Aaをコードフェーズと
称す。コードフェーズは、例えば、C/Aコードの1,023あるチップの何番目かで示
すこともできるし、距離に換算して示すこともできる。擬似距離を算出するときには、コ
ードフェーズを距離に換算している。
【0030】
ここで、測位装置10では、図2に示すレプリカC/Aコードの位相を、例えば矢印X
1方向に移動させながら相関処理を行う。このとき、測位装置10は、同期用周波数も変
動させながら相関処理を行う。この相関処理は、後述するコヒーレント処理及びインコヒ
ーレント処理で構成される。相関積算値が最大になった位相がコードフェーズとなる。
【0031】
図3は、相関処理の説明図である。コヒーレントは、測位装置10が受信したC/Aコ
ードとレプリカC/Aコードとの相関をとる処理である。レプリカC/Aコードは、測位
装置10において発生する符号である。例えば、図3に示すように、コヒーレント時間が
5ミリ秒(msec)であれば、5ミリ秒(msec)の時間において同期積算したC/
AコードとレプリカC/Aコードとの相関値等を算出する。このコヒーレント処理の結果
、相関をとった位相(コードフェーズ)と、相関値が出力される。インコヒーレントは、
コヒーレント結果の相関値を積算することによって、相関積算値(インコヒーレント値)
を算出する処理である。相関処理の結果、コヒーレント処理で出力されたコードフェーズ
と相関積算値とが出力される。
【0032】
図4は、相関積算値PとコードフェーズCPとの関係の例を示す図である。同図に示す
相関積算値Pの最大値Pmaxに対応するコードフェーズCP1が、レプリカC/Aコー
ドのコードフェーズ、即ち、C/Aコードのコードフェーズである。そして、測位装置1
0は、例えば、コードフェーズCP1から2分の1チップ離れたコードフェーズのうち、
相関積算値が小さい方の相関積算値をノイズの相関積算値Pnoiseとする。本実施形
態では、測位装置10において、PmaxとPnoiseとの差分をPmaxで除した値
を信号強度XPRとして規定する。
【0033】
<測位装置の機能構成>
次に、第1実施形態に係る測位装置10の機能構成について説明する。
図5は、測位装置10の機能構成例を示すブロック図である。同図に示すように、測位
装置10は、制御部11、表示部12、操作部13、計時部14、衛星受信部15、観測
ベクトル生成部16、判定部17、測位部18、記憶部20等を備えて構成されている。
【0034】
制御部11は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Acce
ss Memory)及びROM(Read Only Memory)等を備え、測位装置10における各部を統
括的に制御する。
表示部12は、各種の情報等を例えばLCD(Liquid Crystal Display)等に表示する

操作部13は、測位装置10のユーザからの操作指示を、例えばボタン等により受け付
け、操作指示に応じた信号を制御部11に供給する。
計時部14は、計時機構を備えており、時刻や所定の時間の間隔等を計時する。
衛星受信部15は、図示しないアンテナを介して、各GPS衛星1a等からの信号S1
等を受信する。
【0035】
観測ベクトル生成部16は、衛星受信部15が受信した信号S1等に基づく観測情報と
してのメジャメントを要素とする観測ベクトル20aを生成する。この観測ベクトル20
aは、受信した各信号S1等について生成されて記憶部20に記憶される。本実施形態で
は、観測ベクトル20aの要素となるメジャメントの種類として「XPR」、「仰角」及
び「MeasAge」の3つの項目を用いている。XPRは、前述したように擬似距離を
算出するときの相関積算値から求めた信号強度の値である。仰角は、測位装置10の現在
位置を基準としたGPS衛星1a等の仰角を示す。MeasAgeは、コードフェーズの
実測値と予測値との比較による測位精度に関してのメジャメントの鮮度を示す。Meas
Ageの数値が小さい程メジャメントの鮮度が高くなる。
なお、観測情報としてのメジャメントの種類は、「XPR」、「仰角」及び「Meas
Age」の項目に限られず、例えば、「XPR」、「仰角」及び「MeasAge」の項
目の一部を削除したり、コードフェーズの実測値と予測値との比較による測位精度に関し
てのメジャメントの連続性の項目を付加する等、GPS衛星からの信号に関わる別の項目
を追加したり等してメジャメントの構成を変更しても良い。
【0036】
判定部17は、類似度算出部17aと受信環境判断部17bとにより構成される。判定
部17は、観測ベクトル生成部16において生成された観測ベクトル20aと、複数の基
準ベクトル20bとを比較することにより受信環境情報20cを取得する。そして、この
受信環境情報20cに基づいて、受信した信号S1等の受信状態の良否を判定する。なお
、基準ベクトル20b及び受信環境情報20cは、記憶部20に予め記憶されている。
【0037】
判定部17における類似度算出部17aは、観測ベクトル20aと各基準ベクトル20
bとの類似度を算出する。
ここで、類似度を算出する処理の例について説明する。1つの観測ベクトル20aをn
次元ベクトルX、1つの基準ベクトル20bをn次元ベクトルYとした場合、これらの2
つのベクトル間の内積は数1のように定義される。
【0038】
【数1】

ここで、θは2つのベクトルのなす角を表し、|X|及び|Y|は各ベクトルX、Yの
ノルムを表す。
【0039】
数1より、2つのベクトルのなす角θは数2で表すことができる。
【0040】
【数2】

【0041】
つまり、ここでのθが0に近づく程、観測ベクトル20aと基準ベクトル20bとの類
似度は高くなる。逆に、θがπに近づく程、観測ベクトル20aと基準ベクトル20bと
の類似度は低くなる。
【0042】
判定部17における受信環境判断部17bは、類似度算出部17aにおいて算出された
各基準ベクトル20bとの類似度に基づいて、各基準ベクトル20bの中から類似度が最
も高く且つ当該類似度が所定の閾値よりも高い基準ベクトル20bを選択する。
【0043】
図6(a)は、1つの観測ベクトル20aの例を示す図であり、(b)は、複数の基準
ベクトル20bの例を示す図である。図6(b)では、説明のために、(a)に示す観測
ベクトル1と(b)に示す基準ベクトル1〜6との類似度が記載してある。図6(b)で
は、基準ベクトル1〜6の中で、基準ベクトル3の類似度「0.025587」が最も0
に近いことから最も類似度が高いことになる。また、ここで、所定の閾値として例えば「
0.3」を設定した場合、基準ベクトル3の類似度「0.025587」は閾値「0.3
」よりも0に近いことから閾値よりも類似度が高いことになる。
【0044】
この結果、受信環境判断部17bは、各基準ベクトル20bの中から類似度が最も高く
且つ当該類似度が所定の閾値よりも高い基準ベクトル20bとして、基準ベクトル3を選
択する。そして、受信環境判断部17bは、選択した基準ベクトル3に対応する受信環境
情報20cに基づいて、観測ベクトル1の受信信号について受信状態の良否を判定する。
【0045】
図7は、基準ベクトル20bに対応する受信環境情報20cの例を示す図である。同図
では、基準ベクトル1〜3が「良い受信状態」であることを示し、基準ベクトル4〜6が
「悪い受信状態」であることを示す。また、「良い受信状態」及び「悪い受信状態」の基
準ベクトルのそれぞれは、「オープンスカイ環境」、「インドア環境」及び「マルチパス
環境」に分かれている。
同図において基準ベクトル3が選択された場合、受信環境判断部17bは、基準ベクト
ル3に対応する「(良い受信状態)マルチパス環境」を示す受信環境情報20cを取得す
る。そして、受信環境判断部17bは、観測ベクトル1の受信信号がマルチパスの環境下
において良い受信状態で受信された信号であると判定する。
なお、基準ベクトル20b及び受信環境情報20cの種類は、これに限られず、受信状
態の良否に関わる情報や受信環境に関わる情報等を更に細分化したり、逆に省略化等して
構成しても良い。
【0046】
測位部18は、受信環境判断部17bにより判定された各観測ベクトル20aの受信状
態の良否の情報に基づいて、利用するGPS衛星を選択して当該GPS衛星からの信号に
含まれる航法メッセージを解析して測位処理を行う。
記憶部20は、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only
Memory)やフラッシュメモリのような不揮発性メモリであり、上述した各観測ベクトル
20a、基準ベクトル20b、受信環境情報20c等を記憶する。
【0047】
<測位装置における動作>
次に、第1実施形態に係る測位装置10における動作について説明する。
図8は、第1実施形態に係る測位装置10における動作例を示すフローチャートである
。同図に示すフローチャートは、測位処理開始の操作指示を操作部13がユーザから受け
付けることにより開始される。
【0048】
先ず、ステップS110では、測位装置10は、衛星受信部15により、各GPS衛星
1a等からの信号S1等を受信する。
【0049】
ステップS120では、測位装置10は、観測ベクトル生成部16により、ステップS
110において受信した信号S1等の1つについて観測ベクトル20aを生成して記憶部
20に記憶する。
【0050】
ステップS130では、測位装置10は、判定部17における類似度算出部17aによ
り、ステップS120において生成された観測ベクトル20aの1つと、記憶部20に記
憶されている各基準ベクトル20bとの類似度を算出する。
【0051】
ステップS140では、測位装置10は、判定部17における受信環境判断部17bに
より、ステップS130において算出された各類似度の中から、最も高く且つ所定の閾値
よりも高い類似度を検索して、その基準ベクトル20bを選択する。
【0052】
ステップS150では、測位装置10は、受信環境判断部17bにより、ステップS1
40において選択された基準ベクトル20bに対応する受信環境情報20cを取得する。
そして、この受信環境情報20cに基づいて、ステップS120において生成された観測
ベクトル20aの受信信号について受信状態の良否を判定する。
【0053】
ステップS160では、測位装置10は、ステップS110において受信した信号S1
等の全てについての処理が終了したか否かを判定する。終了した場合は、次のステップS
170へ進む。他方、終了していない場合、即ち未処理の信号がある場合は、ステップS
120〜S150の処理を繰り返す。
【0054】
ステップS170では、測位装置10は、測位部18により、ステップS150におい
て判定された各観測ベクトル20aの受信状態の良否の情報に基づいて、利用するGPS
衛星を選択して測位処理を行う。
【0055】
なお、上記ステップS120は、観測ベクトル生成工程及び観測ベクトル生成機能に相
当する。また、上記ステップS130〜S150は、判定工程及び判定機能に相当する。
また、上記ステップS170は、測位工程及び測位機能に相当する。
【0056】
上述したように、本実施形態における測位装置10では、各GPS衛星1a等からの信
号S1等について受信状態の良否を判断するときに、観測ベクトル20aと基準ベクトル
20bとの類似度を基にして判断する。本実施形態では、受信状態の良否の判断条件とし
て、観測ベクトル20a及び基準ベクトル20bの要素となる「XPR」、「仰角」及び
「MeasAge」の項目を用いている。ここで、これらの判断条件を別の項目に変更し
ようとした場合、ベクトルの要素の構成を変更する対応によって容易に対処することがで
きる。また、類似度を算出する対象となる基準ベクトル20bについて、例えば、「良い
受信状態」、「悪い受信状態」等の受信状態の良否や、「オープンスカイ環境」、「イン
ドア環境」、「マルチパス環境」等の各種受信環境に応じた様々な組合わせを提供するこ
とにより、測位装置10の受信環境に応じて、木目細かく且つ正確に受信状態の良否を判
定することができる。
【0057】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態に係る測位装置について図面を参照して説明する。
【0058】
第2実施形態に係る測位装置50は、図1〜図4に示す第1実施形態に係る測位装置1
0の場合と同様な概略及び測位方法が適用できる。
【0059】
図9は、第2実施形態に係る測位装置50の機能構成例を示すブロック図である。同図
に示すように、測位装置50は、図5に示す第1実施形態に係る測位装置10と同様に、
制御部11、表示部12、操作部13、計時部14、衛星受信部15、観測ベクトル生成
部16、判定部17、測位部18、記憶部20等を備えて構成されている。なお、測位装
置50の場合、第1実施形態に係る測位装置10とは、判定部17及び記憶部20におけ
る構成が異なっている。
【0060】
測位装置50における判定部17は、出力確率算出部17cと受信環境判断部17bと
により構成される。ここでの判定部17は、観測ベクトル生成部16において生成された
観測ベクトル20aと、複数の確率モデル20dとを比較することにより受信環境情報2
0cを取得する。そして、この受信環境情報20cに基づいて、受信した信号S1等の受
信状態の良否を判定する。確率モデル20d及び受信環境情報20cは、記憶部20に予
め記憶されている。なお、本実施形態では、確率モデル20dは、観測ベクトル20aに
おける各メジャメントの要素からなる多次元正規分布で表現されるが、これには限られな
い。
【0061】
判定部17における出力確率算出部17cは、各確率モデル20dにおける観測ベクト
ル20aの出力確率を算出する。
ここで、出力確率を算出する処理の例について説明する。1つの観測ベクトル20aを
n次元ベクトルX、出力確率を算出する確率モデル20dを確率モデルiとした場合、ベ
クトルXが確率モデルiから出力される出力確率P(X)は数3のように定義される。
【0062】
【数3】

【0063】
判定部17における受信環境判断部17bは、出力確率算出部17cにおいて算出され
た各確率モデル20dでの出力確率に基づいて、各確率モデル20dの中から出力確率が
最も高く且つ当該出力確率が所定の閾値よりも高い確率モデル20dを選択する。そして
、受信環境判断部17bは、選択した確率モデル20dに対応する受信環境情報20cに
基づいて、該当する観測ベクトル20aの受信信号について受信状態の良否を判定する。
【0064】
図10は、確率モデル20dに対応する受信環境情報20cの例を示す図である。同図
では、確率モデル1〜3が「良い受信状態」であることを示し、確率モデル4〜6が「悪
い受信状態」であることを示す。また、「良い受信状態」及び「悪い受信状態」の確率モ
デルのそれぞれは、「オープンスカイ環境」、「インドア環境」及び「マルチパス環境」
に分かれている。また、図10では、説明のために、各確率モデル1〜6における出力確
率が記載してある。同図では、確率モデル1〜6の中で、確率モデル3の出力確率「20
%」が最も高いことになる。また、ここで、所定の閾値として例えば「10%」を設定し
た場合、確率モデル3の出力確率「20%」は閾値「10%」よりも高いことになる。
図10において確率モデル3が選択された場合、受信環境判断部17bは、確率モデル
3に対応する「(良い受信状態)マルチパス環境」を示す受信環境情報20cを取得する
。そして、受信環境判断部17bは、観測ベクトル1の受信信号がマルチパスの環境下に
おいて良い受信状態で受信された信号であると判定する。
なお、確率モデル20d及び受信環境情報20cの種類は、これに限られず、受信状態
の良否に関わる情報や受信環境に関わる情報等を更に細分化したり、逆に省略化等して構
成しても良い。
【0065】
<測位装置における動作>
次に、第2実施形態に係る測位装置50における動作について説明する。
図11は、第2実施形態に係る測位装置50における動作を示すフローチャートである
。図11に示すフローチャートでは、図8に示す第1実施形態に係る測位装置10のフロ
ーチャートにおけるステップS130,S140,S150の動作が、それぞれステップ
S130A,S140A,S150Aの動作に置き換わっている。
【0066】
ステップS110,S120では、測位装置50は、各GPS衛星1a等からの信号S
1等を受信し、観測ベクトル20aを生成して記憶部20に記憶する。
【0067】
ステップS130Aでは、測位装置50は、判定部17における出力確率算出部17c
により、ステップS120において生成された観測ベクトル20aの1つについて、記憶
部20に記憶されている各確率モデル20dにおける出力確率を算出する。
【0068】
ステップS140Aでは、測位装置50は、判定部17における受信環境判断部17b
により、ステップS130Aにおいて算出された各出力確率の中から、最も高く且つ所定
の閾値よりも高い出力確率を検索して、その確率モデル20dを選択する。
【0069】
ステップS150Aでは、測位装置50は、受信環境判断部17bにより、ステップS
140Aにおいて選択された確率モデル20dに対応する受信環境情報20cを取得する
。そして、この受信環境情報20cに基づいて、ステップS120において生成された観
測ベクトル20aの受信信号についての受信状態の良否を判定する。
【0070】
ステップS160,S170では、測位装置50は、ステップS110において受信し
た信号S1等の全てについての処理が終了した場合、各観測ベクトル20aの受信状態の
良否の情報に基づいて、利用するGPS衛星を選択して測位処理を行う。
【0071】
なお、上記ステップS120は、観測ベクトル生成工程及び観測ベクトル生成機能に相
当する。また、上記ステップS130A〜S150Aは、判定工程及び判定機能に相当す
る。また、上記ステップS170は、測位工程及び測位機能に相当する。
【0072】
上述したように、本実施形態における測位装置50では、各GPS衛星1a等からの信
号S1等について受信状態の良否を判断するときに、各確率モデル20dにおける観測ベ
クトル20aの出力確率を基にして判断する。本実施形態では、受信状態の良否の判断条
件として、観測ベクトル20a及び確率モデル20dの要素となる「XPR」、「仰角」
及び「MeasAge」の項目を用いている。ここで、これらの判断条件を別の項目に変
更しようとした場合、ベクトル及び確率モデルの要素の構成を変更する対応によって容易
に対処することができる。また、出力確率を算出する対象となる確率モデル20dについ
て、例えば、「良い受信状態」、「悪い受信状態」等の受信状態の良否や、「オープンス
カイ環境」、「インドア環境」、「マルチパス環境」等の各種受信環境に応じた様々な組
合わせを提供することにより、測位装置50の受信環境に応じて、木目細かく且つ正確に
受信状態の良否を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】第1実施形態に係る測位装置の例を示す概略図。
【図2】測位方法の例を示す概念図。
【図3】相関処理の説明図。
【図4】相関積算値とコードフェーズとの関係の例を示す図。
【図5】測位装置の機能構成例を示すブロック図。
【図6】(a)は観測ベクトル例を示す図であり、(b)は基準ベクトルの例を示す図。
【図7】基準ベクトルに対応する受信環境情報の例を示す図。
【図8】第1実施形態に係る測位装置における動作例を示すフローチャート。
【図9】第2実施形態に係る測位装置の機能構成例を示すブロック図。
【図10】確率モデルに対応する受信環境情報の例を示す図。
【図11】第2実施形態に係る測位装置における動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0074】
1a,1b,1c,1d,1e,1f,1g,1h…GPS衛星、2a…建物、2b…
ビル、10,50…測位装置、11…制御部、12…表示部、13…操作部、14…計時
部、15…衛星受信部、16…観測ベクトル生成部、17…判定部、17a…類似度算出
部、17b…受信環境判断部、17c…出力確率算出部、18…測位部、20…記憶部、
20a…観測ベクトル、20b…基準ベクトル、20c…受信環境情報、20d…確率モ
デル、S1,S2,S3,S4,S5,S6,S7,S8…信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置情報衛星の衛星電波を受信して測位処理を行う測位装置であって、
前記受信した衛星電波に基づいた観測情報を要素とする観測ベクトルを生成する観測ベ
クトル生成部と、
前記受信した衛星電波についての受信状態の良否を判定する基準となる、予め定められ
た複数の基準情報を記憶する記憶部と、
前記生成された観測ベクトル及び前記記憶されている複数の基準情報に基づいて、前記
受信状態の良否を判定する判定部と、
前記判定された受信状態の良否に基づいて、前記衛星電波を選択して前記測位処理を行
う測位部と、を有することを特徴とする測位装置。
【請求項2】
前記複数の基準情報のそれぞれは、前記観測情報と同一の要素からなる基準ベクトルで
あって、
前記判定部は、
前記観測ベクトル及び前記それぞれの基準ベクトルの類似度を算出する類似度算出部と

前記算出された類似度が最も高く、且つ所定の閾値よりも当該類似度が高い前記基準ベ
クトルを前記それぞれの基準ベクトルの中から選択し、当該選択された基準ベクトルに対
応する受信環境情報に基づいて前記受信状態の良否を判定する受信環境判断部と、を有す
ることを特徴とする請求項1に記載の測位装置。
【請求項3】
前記類似度算出部は、前記観測ベクトル及び前記それぞれの基準ベクトルの内積を用い
て前記類似度を算出することを特徴とする請求項2に記載の測位装置。
【請求項4】
前記受信環境情報は、オープンスカイ環境、インドア環境及びマルチパス環境のうち、
少なくとも1つの環境における情報を含むことを特徴とする請求項2又は3に記載の測位
装置。
【請求項5】
前記受信環境情報は、前記受信状態が良い旨を示す情報及び悪い旨を示す情報のいずれ
かを含むことを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の測位装置。
【請求項6】
前記複数の基準情報のそれぞれは、基準となる前記観測情報の特徴を表現した確率モデ
ルであって、
前記判定部は、
前記観測ベクトルについて、前記それぞれの確率モデルにおける出力確率を算出する出
力確率算出部と、
前記算出された出力確率が最も高く、且つ所定の閾値よりも当該出力確率が高い前記確
率モデルを前記それぞれの確率モデルの中から選択し、当該選択された確率モデルに対応
する受信環境情報に基づいて前記受信状態の良否を判定する受信環境判断部と、を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の測位装置。
【請求項7】
前記確率モデルは、多次元正規分布により表現されることを特徴とする請求項6に記載
の測位装置。
【請求項8】
前記観測情報は、前記位置情報衛星の仰角、前記衛星電波の信号強度、当該観測情報の
連続性及び鮮度の情報のうち、少なくとも1つの情報を含むことを特徴とする請求項1か
ら7のいずれか一項に記載の測位装置。
【請求項9】
位置情報衛星の衛星電波を受信して測位処理を行う測位装置の制御方法であって、
前記受信した衛星電波についての受信状態の良否を判定する基準となる、予め定められ
た複数の基準情報が記憶されている状態において、
前記受信した衛星電波に基づいた観測情報を要素とする観測ベクトルを生成する観測ベ
クトル生成工程と、
前記生成された観測ベクトル及び前記記憶されている複数の基準情報に基づいて、前記
受信状態の良否を判定する判定工程と、
前記判定された受信状態の良否に基づいて、前記衛星電波を選択して前記測位処理を行
う測位工程と、を有することを特徴とする測位装置の制御方法。
【請求項10】
位置情報衛星の衛星電波を受信して測位処理を行う測位装置の制御プログラムであって

前記受信した衛星電波についての受信状態の良否を判定する基準となる、予め定められ
た複数の基準情報が記憶されている状態において、
前記受信した衛星電波に基づいた観測情報を要素とする観測ベクトルを生成する観測ベ
クトル生成機能と、
前記生成された観測ベクトル及び前記記憶されている複数の基準情報に基づいて、前記
受信状態の良否を判定する判定機能と、
前記判定された受信状態の良否に基づいて、前記衛星電波を選択して前記測位処理を行
う測位機能と、を有することを特徴とする測位装置の制御プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate