説明

測位装置および測位方法

【課題】複数の測位方式の中から、要求される測定精度を満たし、かつ消費電力の小さい測位方式を、測位環境に応じて適応的に選択すること。
【解決手段】測位装置は、複数の測位手段と、複数の測位手段に測位を実行させる測位制御部と、複数の測位手段による測位が実行される際に消費される電力を測定する消費電力測定部と、複数の測位手段により測位が実行される際に取得されるべき測位精度と、消費電力に基づいて、測位に使用すべき測位手段を設定する測位手段設定部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の測位手段を備える測位装置における測位技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話の位置情報を活用したサービスが高い関心を集めている。携帯電話の測位方式として、GPS(Global Positioning System)が代表的である。GPSは、測位環境が良好であれば、誤差半径数メートルの高い精度で測位可能である。
【0003】
しかし、GPSには、高層ビル街で測位精度が劣化することや、屋内で測位できない問題がある。このため、無線LANや携帯電話の基地局を利用した、GPS以外の測位方式も実用化されている。無線LANや基地局を利用した測位技術は、既存の通信インフラを活用できる。また、無線LANや基地局を利用した測位技術は、携帯電話に通信以外の特別な機能を必要とせずに利用できるため、市場に普及している携帯端末で利用可能である。
【0004】
測位装置に関して、消費電力を低減しつつ、所要の精度で測位を行う技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、複数の測位システムのうち、1の測位システムで測位できなかった場合に、他の測位システムに切替える技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-139321号公報
【特許文献2】再表2005/086375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
位置情報の応用範囲は広く、携帯電話の位置情報を活用した多数のアプリケーションが登場している。これらのアプリケーションの利用頻度が高まると、測位に要する電力量が増加する。測位に要する電力量が増加することにより、携帯電話のバッテリーの消費が早まる。特に、短い時間間隔で繰り返し測位を要求するアプリケーションは、激しくバッテリーを消費する。バッテリーの消費が激しくなることにより、携帯電話の利便性が損なわれる。従って、アプリケーションにより要求される測位精度を満たし、かつ消費電力の小さい測位方式を選択して測位することが重要となる。
【0008】
一般的に、GPS測位方式は測定精度が高いが、消費電力が大きい。一方、基地局や無線LANを利用した測位方式は、GPS測位方式より測定精度は低いが、消費電力が小さい特性を有する。
【0009】
しかし、測位方式の特性は測位環境に応じて変化するため、静的な特性のみに基づいて測位方式を選択したのでは、測定精度など期待する結果が得られない場合がある。期待する結果が得られない場合には、再測定が行われることもある。再測定が行われることにより、結果的に、消費電力が増加する可能性がある。すなわち、測位環境に応じて、消費電力が最も小さくなる測位方式を適応的に選択することが必要となる。
【0010】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、複数の測位方式の中から、要求される測定精度を満たし、かつ消費電力の小さい測位方式を、測位環境に応じて適応的に選択するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本測位装置は、複数の測位手段と、前記複数の測位手段に測位を実行させる測位制御部と、前記測位制御部により前記複数の測位手段による測位が実行される際に消費される電力を測定する消費電力測定部と、前記複数の測位手段により測位が実行される際に取得されるべき測位精度と、前記消費電力測定部により測定されるべき消費電力とに基づいて、測位に使用すべき測位手段を設定する測位手段設定部とを有する、測位装置として達成される。
【0012】
前記測位手段設定部は、例えば、要求されるべき測位精度を満たす測位手段のうち、消費電力が最も小さい測位手段を選択するように構成してもよい。
【0013】
また、前記測位手段設定部により設定されるべき測位手段を連続して使用する使用回数を設定する使用回数設定部を有するように構成してもよい。
【0014】
前記使用回数設定部は、例えば、前記測位手段設定部により設定されるべき測位手段が前回設定された測位手段と同じである場合、使用回数を増加させるように構成してもよい。
【0015】
前記使用回数設定部は、例えば、前記測位手段設定部により設定されるべき測位手段が前回設定された測位手段と同じである回数に従って、前記使用回数を設定するように構成してもよい。
【0016】
前記使用回数設定部は、例えば、前記測位制御部により前記測位手段設定部により設定されるべき測位手段に測位を実行させた際に取得されるべき測位精度が、要求される測位精度を満たさない場合、使用回数を初期化するように構成してもよい。
【0017】
前記測位手段設定部は、例えば、前記測位手段設定部により設定されるべき測位手段が前回設定された測位手段と異なる場合であり、かつ、測位精度の差が所定の閾値以内である場合、前記前回設定された測位手段を設定するように構成してもよい。
【0018】
前記使用回数設定部は、例えば、前記測位手段設定部により設定されるべき測位手段が前記複数の測位手段の中で消費電力が最小でない場合に、前記使用回数を設定するように構成してもよい。
【0019】
また、上記測位装置が実行する測位方法として構成することもできる。
【発明の効果】
【0020】
開示された測位装置によれば、複数の測位方式の中から、要求される測定精度を満たし、かつ消費電力の小さい測位方式を、測位環境に応じて適応的に選択するための技術を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】無線通信システムの一実施例を示す図である。
【図2】測位装置の一実施例を示す図である。
【図3】測位装置の一実施例を示す機能ブロック図である。
【図4】測位装置の測位手段を設定する処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図5】測位装置の測位の一実施例を示すフローチャートである。
【図6】測位装置の測位の一実施例を示すフローチャートである。
【図7】測位装置の測位の一実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に基づいて、実施例を説明する。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
【0023】
<実施例>
<無線通信システム>
図1は、無線通信システムの一実施例を示す。
【0024】
無線通信システムには、アクセスポイント(Access Point)200(oは、o>0の整数)が含まれる。アクセスポイントは、「親機」、「基地局」、「ステーション」等と呼ばれてもよい。
【0025】
無線通信システムには、GPS衛星300−300(qは、q>3の整数)が含まれる。GPS衛星300−300は、測位信号を送信する。
【0026】
無線通信システムには、測位装置10が含まれる。測位装置10は、発見できたアクセスポイント200との間の距離に基づいて、測位を行う。図1には、一例として、o=3の場合が示される。oは、2以下であっても、4以上であってもよい。例えば、o=1、2の場合には、アクセスポイント200と測位装置10との間の距離から、測位装置100が位置すると想定される領域を求めることができる。また、oの値が大きくなるほど測位精度が向上する。
【0027】
測位装置10は、ユーザ端末に搭載されてもよい。ユーザ端末は、ユーザが通信することができる適切な如何なる端末でもよく、例えば、携帯電話、情報端末、パーソナルディジタルアシスタント、携帯用パーソナルコンピュータ等が含まれるが、これらに限定されない。ユーザ端末には、アプリケーションがインストールされる。ユーザは、該アプリケーションを起動させ、利用することができる。アプリケーションには、測位装置10による位置の測位結果を利用するものが含まれる。位置の測位結果を利用するアプリケーションが起動された場合、測位装置10に、該アプリケーションから、測位要求と、測位結果に要求される測定精度(以下、「要求精度」という)が入力されてもよい。
【0028】
本測位装置10がユーザ端末に搭載され、発見できたアクセスポイント200との間の距離に基づいて測位を行うことにより、屋内においても位置情報を取得できる。屋内においても位置情報を取得できるため、屋内における位置情報に基づいてサービスを提供できる。
【0029】
また、本測位装置10は、GPS衛星300−300により送信される測位信号に基づいて、当該測位装置10の位置を測位する。位置情報は、経度、緯度により表されてもよい。さらに、高度により示されてもよい。
【0030】
例えば、本測位装置10は、自立測位方式により測位を行うようにしてもよい。自立測位方式では、測位信号をデコードすることにより、測位演算に必要となる情報を取得する。現在、約30個のGPS衛星が高度約20,000kmの上空で地球を一周しており、55度ずつ傾いた6つの地球周回軌道面があり、各々の軌道面に4個以上のGPS衛星が均等に配置されている。従って、天空が開けている場所であれば、地球上のどの場所にいても、常時、少なくとも5個以上のGPS衛星が観測可能である。
【0031】
また、例えば、本測位装置10は、アシステッドGPS(A-GPS: Assisted-GPS)方式により測位を行うようにしてもよい。A-GPSでは、ネットワーク(図示無し)から測位装置10が測位を行うために必要とされるデータが配信される。該データは、アシスト情報とよばれてもよい。該データには、例えば、基地局のエリア情報やGPS衛星300の軌道情報などが含まれる。該基地局のエリア情報には、測位装置10の概略位置情報、該概略位置の誤差に関する情報などが含まれる。該データにより、測位信号をデコードする処理を省略できる。
【0032】
<測位装置10>
図2は、測位装置10の一実施例を示す。図2には、主にハードウェア構成が示される。
【0033】
本測位装置10は、m個の測位手段12−12と、中央演算処理装置(CPU: Central Processing Unit)26と、消費電力測定部16と、記憶部28と、無線部21と、出力部22と、通信制御部24とを有する。各機能ブロックは、バス150により接続される。測位手段の数mは、1以上の任意の数である。複数の測位手段から、アプリケーションによる要求精度を満たし、かつ消費電力の低い測位手段を選択する観点からは、mは2以上であるのが好ましい。
【0034】
測位手段12−12には、それぞれGPS、無線LANを利用した測位システム、基地局を利用した測位システム、無線LANや基地局を利用した測位システムのいずれかが搭載される。無線LANを利用した測位システムは、無線LANのアクセスポイントの位置を利用した測位システムであってもよい。基地局を利用した測位システムは、携帯電話の基地局の位置を利用した測位システムであってもよい。これら以外の測位システムが搭載されてもよい。これらのシステムは、重複して搭載されてもよい。つまり、異なる測位手段に、同じ種類の測位システムが搭載されてもよい。搭載される位置に応じて測定精度が異なる場合があるからである。
【0035】
例えば、GPSが搭載された測位手段(以下、「GPS測位手段」という)は、中央演算処理装置26により入力されるべき制御信号(測位命令)に従って、当該測位装置10の位置を測定する。例えば、GPS測位手段は、自立測位方式により、複数のGPS衛星300−300からの電波を受信することによって、該複数のGPS衛星300−300から当該GPS測位手段までの距離(擬似距離)をそれぞれ算出する。該GPS測位手段は、該擬似距離に基づいて当該GPS測位手段が搭載された測位装置10の測位を行う。GPS衛星300−300により発射された信号は、GPS衛星300−300とGPS測位手段との間の距離を電波が伝搬する時間だけ遅れてGPS測位手段に到達する。従って、複数のGPS衛星300−300について電波伝搬に要する時間を求めれば、測位演算によってGPS測位手段の位置を求めることができる。例えば、複数のGPS衛星300−300により発射された電波は、GPS測位手段の測距部において、各GPS衛星300−300からGPS測位手段までの距離が求められる。そして、測位演算部において、測距部において求められた距離に基づいて、GPS測位手段の位置が求められる。
【0036】
例えば、無線LANを利用した測位システムが搭載された測位手段(以下、「無線LAN測位手段」という)は、発見できたアクセスポイント200との間の距離に基づいて、測位を行う。
【0037】
例えば、基地局を利用した測位システムが搭載された測位手段は、発見できた基地局(図示なし)との間の距離に基づいて、測位を行う。
【0038】
例えば、無線LANや基地局を利用した測位システムが搭載された測位手段(以下、「A-GPS測位手段」という)は、A-GPS方式により測位を行うようにしてもよい。A-GPS方式では、ネットワーク(図示無し)からA-GPS測位手段が測位を行うために必要とされるデータが配信される。該データには、例えば、基地局のエリア情報やGPS衛星300の軌道情報などが含まれる。該基地局のエリア情報には、測位装置10の概略位置情報、該概略位置の誤差に関する情報などが含まれる。測位結果は、経度、緯度により表されてもよい。さらに、高度により表されてもよい。
【0039】
測位手段12−12は、中央演算処理装置26に、位置情報を入力する。
【0040】
中央演算処理装置26は、測位手段12−12、消費電力測定部16、記憶部28、無線部21、出力部22、通信制御部24の制御を行う。中央演算処置装置14は、記憶部28に記憶されたプログラムに従って機能し、所定の処理を行う。
【0041】
消費電力測定部16は、測定手段12−12のうち、測位が実行されている測定手段により消費される電力を測定する。消費電力測定部16は、中央演算処理装置26に、消費電力を表す情報を入力する。
【0042】
無線部21は、中央演算処理装置26による制御により、アクセスポイント200との間で、所定の無線通信方式により無線通信を行う。該無線通信方式には、無線LANが含まれる。無線LANの規格には、IEEE802.11、IEEE802.15が含まれるが、どの規格に従ったものでもよい。また、無線部21は、通信制御部24により生成された情報を無線信号に変換して送信する。また、アクセスポイント200からの無線信号をベースバンド信号に変換する。
【0043】
記憶部28は、アプリケーションを有する。アプリケーションは、測位装置10上で実行する作業を実施する機能を有するソフトウェアである。また、記憶部28は、当該測位装置10に設定可能なアクセスポイント200の識別子を記憶する。該識別子には、サービスセットID(SSID: Service Set ID)、ESSID(Extended SSID)が含まれる。アクセスポイントを識別可能な識別子であれば、サービスセットID(SSID: Service Set ID)、ESSID(Extended SSID)に限られない。
【0044】
出力部22は、当該測位装置10により算出された位置情報を出力する。例えば、当該測位装置10を搭載する装置に対して出力するようにしてもよい。つまり、当該測位装置10を搭載したユーザ端末にインストールされたアプリケーションに出力するようにしてもよい。当該測位装置10を搭載する装置に対して出力することにより、該装置は入力された位置情報に基づいてサービスを提供することができる。例えば、ユーザの現在位置・時間に適した様々な情報を配信することが挙げられる。
【0045】
通信制御部24は、当該測位装置10がアクセスポイントを発見する際に送信すべき情報を生成し、また、発見されたアクセスポイントから受信されるべき信号を解析する。例えば、アクセスポイントを発見する際に送信すべき情報には、アクティブスキャンを行う場合におけるプローブリクエスト(Probe Request)が含まれる。該プローブリクエストには、発見すべきアクセスポイントの識別子が含まれてもよいし、当該測位装置10の近傍に位置するアクセスポイントからの応答を要求するための情報が含まれてもよい。また、例えば、アクセスポイントを発見する際に送信すべき信号には、アクティブスキャン及びパッシブスキャンにおけるリアソシエーションリクエスト(Reassociation Request)が含まれてもよい。
【0046】
例えば、発見されたアクセスポイントから受信されるべき信号には、アクティブスキャンを行う場合におけるプローブレスポンス(Probe Response)が含まれる。該プローブレスポンスには、該プローブレスポンスを送信するアクセスポイントの識別子が含まれてもよい。また、例えば、発見されたアクセスポイントから受信されるべき信号には、パッシブスキャンにおけるビーコン(Beacon)が含まれる。該ビーコンには、該ビーコンを送信するアクセスポイントの識別子が含まれてもよい。
【0047】
また、通信制御部24は、アクティブスキャンを行う場合には、チャネル毎にプローブリクエストが送信されるように、無線部21を制御する。また、通信制御部24は、パッシブスキャンを行う場合には、チャネル毎にビーコン信号を検出できるように、周波数帯をスキャンするように無線部21を制御する。
【0048】
<測位装置10の機能>
図3は、測位装置10の一実施例を示す。
【0049】
測位装置10は、m個の測位手段12−12と、測位制御部14と、消費電力測定部16と、測位手段設定部18と、連続使用回数設定部20とを有する。測位制御部14と、測位手段設定部18と、連続使用回数設定部20は、中央演算処理装置26により実行される機能である。
【0050】
測位制御部14は、アプリケーションから与えられる測位要求に応じて、測位手段12−12から1つの測位手段12(i =1,2,・・・m)を順次選択し、測位を実行させる。具体的には、測位制御部14は、測位要求に応じて、測位手段12−12から1つの測位手段12を順次選択し、測位を実行させる。
【0051】
また、測位制御部14は、測位手段設定部18により設定されるべき測位手段に、連続使用回数設定部20により設定されるべき連続使用回数に応じて測位を実行させる。ここで、連続使用回数とは、アプリケーションにより入力される測位要求に応じて連続して実行される測位の回数であってもよい。また、連続使用回数とは、測位装置10が所定の時間間隔でアプリケーションの測位結果を連続して通知する回数であってもよい。
【0052】
測位手段12−12は、測位制御部14と接続される。測位制御部14により選択された測位手段は、測位制御部14による制御に従って現在地の測位を実行する。測位手段12−12は、測位手段設定部18に、測位により取得されるべき測位結果を表す情報、測位精度を表す情報を入力する。測位精度は、数値(例えば100メートルなど)として入力してもよいし、「高い」「低い」といった精度の目安を表す情報として入力しても良い。精度の目安を表す情報として入力する場合は、測位手段設定部18で、当該情報を基に数値に換算される。換算方法としては、例えば、「高い」であれば精度100m未満とし、「低い」であれば100m以上とすることができる。
【0053】
測位手段設定部18は、測定手段12−測位手段12と、消費電力測定部16と接続される。測位手段設定部18は、アプリケーションから与えられるべき要求精度と、測定手段12−12により入力されるべき測位結果、測位精度と、消費電力測定部16により入力されるべき消費電力とに基づいて、使用すべき測位手段を設定する。測位手段設定部18は、使用すべき測位手段として、測位手段12−測位手段12による測位結果の測位精度が要求精度を満たし、かつ消費電力が最も小さい測位手段を選択する。つまり、測位手段設定部18は、測位結果の測位精度が要求精度を満たす測位手段のうち、消費電力が最も小さい測位手段を選択する。以下、選択された測位手段を「選択測位手段」という。測位手段設定部18は、測位制御部14と、連続使用回数設定部20に、選択測位手段を表す情報を入力する。また、測位手段設定部18は、アプリケーションに、測位手段12−測位手段12から得られた測位結果の中で最も測定精度の高い測位結果を返す。
【0054】
また、測位手段設定部18は、選択測位手段が前回設定された測位手段と異なる場合に、測位精度の差が所定の閾値以内である場合には、前回設定された測位手段を設定するようにしてもよい。測位手段を切替えるのに要する消費電力を低減するため、同じ測位手段を使用し続ける方が好ましいためである。
【0055】
連続使用回数設定部20は、測位手段設定部18と接続される。連続使用回数設定部20は、測位手段設定部18により入力されるべき測位手段を表す情報に基づいて、連続して該測位手段を使用する回数(以下、「連続使用回数」という)を設定する。具体的には、連続使用回数設定部20は、前回入力された選択測位手段を表す情報と同じ選択測位手段を表す情報が入力されたかどうかに応じて、連続して選択された回数を表す指標(以下、「連続選択回数」という)を設定する。連続使用回数設定部20は、前回入力された選択測位手段を表す情報と同じ選択測位手段を表す情報が入力された場合には連続選択回数を増加させ、前回入力された測位手段を表す情報と異なる選択測位手段を表す情報が入力された場合には連続選択回数を1に設定するようにしてもよい。連続使用回数設定部20は、連続選択回数に基づいて、連続使用回数を設定する。連続使用回数設定部20は、連続選択回数に基づいて、連続使用回数を増減させる。連続使用回数設定部20は、連続選択回数に基づいて、連続使用回数を単調増加させるようにしてもよいし、指数関数的に増加させるようにしてもよい。連続使用回数設定部20は、測位制御部14に、連続使用回数を表す情報を入力する。
【0056】
<測位装置10の動作(その1)>
図4は、測位装置10の動作の一実施例を示す。図4には、測位装置10により、使用すべき測位手段と、該使用すべき測位手段の連続使用回数とが設定される処理が示される。図4において、「12」は測位手段12を表し、「12cur」は選択測位手段を設定する際に選択された測位手段を表し、「SIN」は要求精度を満たす測位手段の集合を表す。また、「12prev」は前回使用された測位手段を表す。
【0057】
測位装置10は、測位が未実行の測位手段を選択する(ステップS402)。つまり、測位制御部14は、測位手段12−12のうち、測位が未実行の測位手段を選択する。
【0058】
測位装置10は、ステップS402により選択された測位手段により測位を実行する(ステップS404)。つまり、測位制御部14は、測位が未実行の測位手段に、測位を実行させる。測位が未実行の測位手段は、測位制御部14による指示に従って、測位を実行する。測位を実行した測位手段は、測位手段設定部18に、測位結果と、測位精度とを入力する。
【0059】
測位装置10は、測位が成功したかどうかを判定する(ステップS406)。つまり、測位手段設定部18は、測位を実行した測位手段による測位が成功したかどうかを判定する。測位手段設定部18は、測位を実行した測位手段から、測位結果、測位精度が入力される場合には測位が成功したと判断し、入力されない場合には測位が失敗したと判断するようにしてもよい。具体的には、測位手段設定部18は、タイマーを起動し、該タイマーが満了するまでに、測位結果、測位精度が入力された場合には測位が成功したと判定し、入力されない場合には、測位が失敗したと判断するようにしてもよい。
【0060】
測位が成功したと判定された場合(ステップS406:YES)、測位装置10は、測位精度が要求精度を満たすかどうかを判定する(ステップS408)。つまり、測位手段設定部18は、測位を実行した測位手段により入力されるべき測位結果の測位精度が、アプリケーションから入力されるべき要求精度を満たすかどうかを判定する。
【0061】
要求精度を満たすと判定された場合(ステップS408:YES)、測位装置10は、要求精度を満たす測位手段の集合SINに、該測位手段を追加する(ステップS410)。つまり、測位手段設定部18は、測位精度が要求精度を満たすと判定した場合、要求精度を満たす測位手段の集合SINに、該測位を実行した測位手段を追加する。
【0062】
ステップS406において測位が失敗したと判定された場合(ステップS406:NO)、ステップS408において測位精度が要求精度を満たさないと判定された場合(ステップS408:NO)、又はステップS410において要求精度を満たす測位手段の集合SINに、該測位を実行した測位手段を追加した後、測位装置10は、当該測位装置10により利用できる全測位手段について、ステップS402−S410の処理が実行されたかどうかを判定する(ステップS412)。つまり、測位手段決定部18は、測位手段12−測位手段12について、同様の処理が実行されたかどうかを判定する。
【0063】
当該測位装置10により利用できる全測位手段について、ステップS402−S410の処理が実行されていないと判定された場合(ステップS412:NO)、ステップS402に戻る。測位装置10は、測位が未実行の測位手段について、同様の処理を実行する。
【0064】
当該測位装置10により利用できる全測位手段について、ステップS402−S410の処理が実行されたと判定された場合(ステップS412:YES)、測位装置10は、使用すべき測位手段を決定する(ステップS414)。具体的には、測位手段設定部18は、要求精度を満たす測位手段の集合SINに含まれる測位手段から、最も消費電力の低い測位手段(選択測位手段)を選択する。
【0065】
測位装置10は、選択測位手段の消費電力が最小であるかどうかを判定する(ステップS416)。具体的には、測位手段設定部18は、選択測位手段の消費電力が、他の測位手段による消費電力と比べて最小であるかどうかを判定する。
【0066】
消費電力が最小であると判定されない場合(ステップS416:NO)、測位装置10は、選択測位手段が、前記選択された測位手段と同じかどうか、つまり、連続して選択されたかどうかを判定する(ステップS422)。具体的には、測位手段設定部18は、選択測位手段の消費電力が最小であると判定されない場合、該選択測位手段が、前記選択された測位手段と同じかどうかを判定する。
【0067】
連続して選択されたと判定された場合(ステップS422:YES)、測位装置10は、連続選択回数lを増加させる(ステップS424)。具体的には、連続使用回数設定部20は、連続して同じ測位手段が選択されたと判定した場合、連続選択回数lを増加させる。
【0068】
連続して選択されたと判定されない場合(ステップS422:NO)、測位装置10は、連続選択回数lを初期化する(ステップS428)。具体的には、連続使用回数設定部20は、連続して同じ測位手段が選択されたと判定されない場合、連続選択回数lを1に設定する。
【0069】
測位装置10は、連続使用回数nを決定する(ステップS426)。具体的には、連続使用回数設定部20は、ステップS424により設定されるべき連続選択回数、又はステップS428により設定されるべき連続選択回数に基づいて、連続使用回数nを設定する。例えば、連続使用回数設定部20は、連続使用回数nをNl (Nは、N>1の整数)に従って設定してもよい。ここで、Nは予め設定されてもよい。
【0070】
ステップS416により消費電力が最小であると判定された場合(ステップS416:YES)、又はステップS426により連続使用回数nが設定された後、測位装置10は、前回選択された測位手段(以下、「前回測位手段」という)として、選択測位手段を設定する(ステップS418)。具体的には、測位手段設定部18は、消費電力が最小であると判定した場合、前回測位手段として、選択測位手段を設定する。
【0071】
測位装置10は、最も精度の高い測位結果をアプリケーションに返す(ステップS420)。具体的には、測位手段設定部18は、アプリケーションに、測位手段12−12から入力されるべき測位結果のうち、最も測位精度の高い測位結果を入力する。
【0072】
<測位装置10の動作(その2)>
図5は、測位装置10の動作の一実施例を示す。図5には、測位装置10の有する測位手段のうち、消費電力が最小である測位手段により測位を実行する処理が示される。
【0073】
測位装置10は、選択測位手段の消費電力が、当該測位装置10の有する測位手段の中で最小であるかどうかを判定する(ステップS502)。具体的には、測位手段設定部18は、消費電力測定部16により入力されるべき測位手段12−12の消費電力に基づいて、選択測位手段の消費電力が最小であるかどうかを判定する。
【0074】
選択測位手段の消費電力が最小でないと判定した場合(ステップS502:NO)、ステップS402に遷移する。つまり、使用すべき測位手段と、該使用すべき測位手段の連続使用回数とが設定される処理が実行される。
【0075】
選択測位手段の消費電力が最小であると判定した場合(ステップS502:YES)、測位装置10は、該選択測位手段により測位を実行する(ステップS504)。具体的には、測位制御部14は、選択測位手段に、測位を実行させる。
【0076】
測位装置10は、測位が成功したかどうかを判定する(ステップS506)。つまり、測位手段設定部18は、ステップS504による測位が成功したかどうかを判定する。
【0077】
測位が成功しないと判定した場合(ステップS506:NO)、ステップS402に遷移する。つまり、使用すべき測位手段と、該使用すべき測位手段の連続使用回数とが設定される処理が実行される。
【0078】
測位が成功したと判定した場合(ステップS506:YES)、測位装置10は、測位結果の測位精度が要求精度を満たすかどうかを判定する(ステップS508)。具体的には、測位手段決定部18は、ステップS504による測位結果の測位精度が要求精度を満たすかどうかを判定する。
【0079】
要求精度を満たさないと判定した場合(ステップS508:NO)、ステップS402に遷移する。つまり、使用すべき測位手段と、該使用すべき測位手段の連続使用回数とが設定される処理が実行される。
【0080】
要求精度を満たすと判定した場合(ステップS508:YES)、アプリケーションに測位結果を返す。具体的には、測位手段設定部18は、測位結果の測位精度が要求精度を満たすと判定した場合、アプリケーションに、測位結果を返す。
【0081】
<測位装置10の動作(その3)>
図6は、測位装置10の動作の一実施例を示す。図6には、全測位手段の中で消費電力が最小でない測位手段を用いて測位が実行される際の処理が示される。
【0082】
測位装置10は、選択測位手段の連続使用回数が、1以上であるかどうかを判定する(ステップS602)。具体的には、測位制御部14は、選択測位手段の連続測位回数が、1以上であるかどうかを判定する。
【0083】
選択測位手段の連続使用回数が1以上でない、つまり連続使用回数が1未満と判定される場合(ステップS602:NO)、ステップS402に遷移する。つまり、使用すべき測位手段と、該使用すべき測位手段の連続使用回数とが設定される処理が実行される。
【0084】
選択測位手段の連続使用回数が、1以上であると判定された場合(ステップS602:YES)、連続使用回数を減少させる(ステップS604)。具体的には、測位制御部14は、連続使用回数が1以上であると判定した場合、連続使用回数を減少させる
測位装置10は、測位を実行する(ステップS606)。具体的には、測位制御部14は、測位手段に測位を実行させる。
【0085】
測位装置10は、測位が成功したかどうかを判定する(ステップS608)。つまり、測位手段設定部18は、ステップS606による測位が成功したかどうかを判定する。
【0086】
測位が成功しないと判定した場合(ステップS608:NO)、ステップS402に遷移する。つまり、使用すべき測位手段と、該使用すべき測位手段により連続して実行されるべき測位回数とが設定される処理が実行される。
【0087】
測位が成功したと判定した場合(ステップS608:YES)、測位装置10は、測位結果の測位精度が要求精度を満たすかどうかを判定する(ステップS610)。具体的には、測位手段決定部18は、ステップS606による測位結果の測位精度が要求精度を満たすかどうかを判定する。
【0088】
要求精度を満たさないと判定した場合(ステップS610:NO)、ステップS402に遷移する。つまり、使用すべき測位手段と、該使用すべき測位手段により連続して実行されるべき測位回数とが設定される処理が実行される。
【0089】
例えば、要求精度を満たさないと判定された選択測位手段がこれまで2回連続して選択されていた場合には、連続使用回数はN回である。該選択測位手段による測位結果、測位精度が要求精度を満たさないと判定された場合、ステップS402以降の処理により、これまでは異なる測位手段が選択される。このため、ステップS422でNOとなり、連続使用回数は初期化されることによりN回となる。従って、連続使用回数設定部20は、連続使用回数を、N回からN回へと減少させる。
【0090】
要求精度を満たさないと判定された選択測位手段が3回以上連続して選択されていた場合についても同様であり、連続使用回数設定部20は、連続使用回数を減少させる。
【0091】
但し、要求精度を満たさないと判定された選択測位手段がこれまで連続して選択されていない場合には、連続使用回数は同じとなる。
【0092】
要求精度を満たすと判定した場合(ステップS610:YES)、アプリケーションに測位結果を返す(ステップS612)。具体的には、測位手段設定部18は、測位結果の測位精度が要求精度を満たすと判定した場合、アプリケーションに、測位結果を返す。
【0093】
<測位装置10の動作(その4)>
図7は、測位装置10の動作の一実施例を示す。
【0094】
測位装置10は、3個の測位手段12、12、12を具備すると仮定する。また、測位手段12、12、12の測位精度は、測位手段12、12、12の順に高い。つまり、測位手段12の測位精度が一番高く、該測位手段12に測位手段12が続き、測位手段12の測位精度が一番低い。また、測位手段12、12、12の消費電力は、消費電力は12、12、12の順に小さいものと仮定する。つまり、測位手段12の消費電力が一番低く、該測位手段12に測位手段12が続き、測位手段12の消費電力が一番高い。さらに、測位手段12、12、12の消費電力は時間によって不変であると仮定する。
【0095】
図7は、時刻t(j=1、2、・・・、18)において、測位制御部14により測位が実行される測位手段と、アプリケーションに返却される測位結果X(i=1、2、3)との関係を示す。ここで、iは、測位手段の識別番号を表す。つまり、測位手段12から測位結果Xが出力され、測位手段12から測位結果Xが出力され、測位手段12から測位結果Xが出力される。
【0096】
図7において「○」が付された測位手段は、「○」が付された時刻以降で使用されるものを示す。図7において「×」が付された測位手段は、測位に失敗したか、測位結果の測位精度が要求精度を満たさなかったものを示す。
【0097】
例えば、図7に示される例では、時刻tにおいて、測位制御部14により測位手段12、12、12の測位が実行される。測位の結果、測位手段12には、「×」が付されているため、測位は失敗したか、あるいは測位結果の測位精度が要求精度を満たさない。測位手段12、及び12は、「×」が付されていないため、測位に成功し、かつ測位結果の測位精度が要求精度を満たす。測位手段12は、「○」が付されているため、使用すべき測位手段に設定される。また、最も測位精度が高い測位結果Xがアプリケーションに返される。図7を参照して測位装置10の動作が説明される際に、図4−図6のフローチャートが適宜参照される。本例では、図4のS426で使用されるパラメータNを2と仮定する。
【0098】
測位制御部14は、アプリケーションから測位要求を受けると、使用すべき測位手段を設定する処理を開始する。
【0099】
<測位手段設定処理>
(1)時刻t
測位制御部14は、測位が未実行の測位手段12を選択する(ステップS402)。測位制御部14は、測位手段12に測位を実行させる(ステップS404)。
【0100】
測位手段設定部18は、測位手段12の測位が成功したか否かを判定する(ステップS406)。図7に示される例では、測位手段12の測位が成功したと仮定される。従って、判定結果は肯定的となる。
【0101】
測位手段設定部18は、測位結果の測位精度が要求精度を満たすかどうかを判定する(ステップS408)。図7に示される例では、測位手段12の測位結果の測位精度が要求精度を満たすと仮定される。従って、判定結果は肯定的となる。
【0102】
測位手段設定部18は、要求精度を満たす測位手段の集合SINに、測位手段12を追加する(ステップS410)。
【0103】
測位制御部14は、測位が未実行の測位手段があるかどうかを判定する(ステップS412)。測位手段12、12の測位が実行されていないため、判定結果は否定的となる。測位制御部14は、測位手段12と同様に、測位手段12、12に測位を実行させ、測位が成功したか否かを判定し、測位結果の測位精度が要求精度を満たすかどうかを判定する。図7に示される例では、測位手段12、12に測位を実行させた結果、測位が成功したと判定され、測位結果の測位精度が要求精度を満たすと判定される。測位手段設定部18は、要求精度を満たす測位手段の集合SINに、測位手段12、測位手段12を追加する。要求精度を満たす測位手段の集合SINに、測位手段12、測位手段12が追加された結果、要求精度を満たす測位手段の集合SINに含まれる測位手段は、測位手段12、測位手段12、測位手段12となる。
【0104】
測位制御部14は、測位が未実行の測位手段があるかどうかを判定する(ステップS412)。全ての測位手段12−12の測位が実行されているため、判定結果は肯定的となる。
【0105】
測位手段設定部18は、要求精度を満たす測位手段の集合SINに含まれる測位手段から、消費電力が最小となる測位手段を選択する。該測位手段は、以降で使用される測位手段とされる。消費電力は測位手段12、12、12の順に小さいものと仮定されるため、測位手段12が選択される。
【0106】
測位手段設定部18は、測位手段12の消費電力が、全ての測定手段12−12の中で最小かどうか判定する。測位手段12は全ての測位手段12−12の中で消費電力が最小であるため、判定結果は肯定的となる。測位手段設定部18は、最も測定精度の高い測位結果をアプリケーションに返す(ステップS420)。測位精度は測位手段12、12、12の順に高いものと仮定されるため、測位手段12による測位結果Xが、アプリケーションに返される。
【0107】
時刻tでは、以降の測位で使用する測位手段として、測位手段12が設定される。測位手段12を用いて測位が実行される。
【0108】
(2)時刻t
測位手段設定部18は、測位手段12により測位されることにより消費される電力が、全ての測位手段の中で最小かどうかを判定する(ステップS502)。図7に示される例では、測位手段12の消費電力は、全ての測位手段の中で最小であるため、判定結果は肯定的となる。測位制御部14は、測位手段12に測位を実行させる。測位手段設定部18は、測位手段12の測位が成功したかどうかを判定する(ステップS506)。測位は成功したと仮定するため、判定結果は肯定的となる。測位手段設定部18は、測位結果が要求精度を満たすかどうかを判定する(ステップS508)。測位結果は要求精度を満たすと仮定するため、判定結果は肯定的となる。測位手段決定部18は、アプリケーションに、測位手段12による測位結果Xを返す(ステップS510)。
【0109】
(3)時刻t−t
時刻t2と同様に、測位制御部14は、測位手段12に測位を実行させる。測位制御部14は、測位手段12に測位を実行させる。測位手段設定部18は、測位手段12の測位が成功したと判定し、測位結果が要求精度を満たすと判定する。測位手段決定部18は、アプリケーションに、測位手段12による測位結果Xを返す。
【0110】
(4)時刻t
測位手段設定部18は、測位手段12により測位されることにより消費される電力が、全ての測位手段の中で最小かどうかを判定する(ステップS502)。図7に示される例では、測位手段12の消費電力は、全ての測位手段の中で最小であるため、判定結果は肯定的となる。測位制御部14は、測位手段12に測位を実行させる。時刻tでは、測位手段12による測位に失敗したか(ステップS506:NO)、測位結果の測定精度が要求精度を満たさない(ステップS508:NO)と仮定される。測位手段12による測位に失敗したか、測位結果の測定精度が要求精度を満たさない場合、測位手段設定部18は、測位手段を再設定する。
【0111】
測位制御部14は、測位が未実行の測位手段12を選択する(ステップS402)。測位制御部14は、測位手段12に測位を実行させる(ステップS404)。
【0112】
測位手段設定部18は、測位手段12の測位が成功したか否かを判定する(ステップS406)。図7に示される例では、測位手段12の測位が成功したと仮定される。従って、判定結果は肯定的となる。
【0113】
測位手段設定部18は、測位結果の測位精度が要求精度を満たすかどうかを判定する(ステップS408)。図7に示される例では、測位手段12の測位結果の測位精度が要求精度を満たすと仮定される。従って、判定結果は肯定的となる。
【0114】
測位手段設定部18は、要求精度を満たす測位手段の集合SINに、測位手段12を追加する(ステップS410)。
【0115】
測位制御部14は、測位が未実行の測位手段があるかどうかを判定する(ステップS412)。測位手段12の測位が実行されていないため、判定結果は否定的となる。測位制御部14は、測位手段12と同様に、測位手段12に測位を実行させ、測位が成功したか否かを判定し、測位結果の測位精度が要求精度を満たすかどうかを判定する。図7に示される例では、測位手段12に測位を実行させた結果、測位が成功したと判定され、測位結果の測位精度が要求精度を満たすと判定される。測位手段設定部18は、要求精度を満たす測位手段の集合SINに、測位手段12を追加する。要求精度を満たす測位手段の集合SINに、測位手段12が追加された結果、要求精度を満たす測位手段の集合SINに含まれる測位手段は、測位手段12、測位手段12となる。
【0116】
測位制御部14は、測位が未実行の測位手段があるかどうかを判定する(ステップS412)。全ての測位手段12−12の測位が実行されているため、判定結果は肯定的となる。
【0117】
測位手段設定部18は、要求精度を満たす測位手段の集合SINに含まれる測位手段から、消費電力が最小となる測位手段を選択する。該測位手段は、以降で使用される測位手段とされる。消費電力は測位手段12、12、12の順に小さいものと仮定されるが測位手段12による測位が失敗しているため、測位手段12が選択される。
【0118】
測位手段設定部18は、測位手段12の消費電力が、全ての測定手段12−12の中で最小かどうか判定する(ステップS416)。測位手段12は全ての測位手段12−12の中で消費電力が最小ではないため、判定結果は否定的となる。
【0119】
連続使用回数設定部20は、測位手段12が連続して選択されたかどうかを判定する(ステップS422)。前回は、測位手段12が選択されていたため、判定結果は否定的となる。連続使用回数設定部20は、測位手段12の連続選択回数を1に設定する(ステップS428)。連続使用回数設定部20は、該連続選択回数を用いて、連続使用回数を2に決定する(ステップS426)。
【0120】
測位手段設定部18は、前回の測位手段として、測位手段12を記憶する(ステップS418)。測位手段設定部18は、最も測定精度の高い測位結果をアプリケーションに返す(ステップS420)。測位精度は測位手段12、12、12の順に高いものと仮定されるため、測位手段12による測位結果Xが、アプリケーションに返される。
【0121】
時刻tでは、以降の測位で使用する測位手段として、測位手段12が決定される。また、連続使用回数が2に決定される。時刻t8、t9では、測位手段12を用いて測位が実行される。
【0122】
(5)時刻t
測位制御部14は、測位手段12の連続使用回数nが1以上であるかどうかを判定する(ステップS602)。連続使用回数nは2であるため、判定結果は肯定的となる。測位制御部14は、連続使用回数nを1減少させる(ステップS604)。測位制御部14は、測位手段12に測位を実行させる(ステップS606)。
【0123】
測位手段設定部18は、測位手段12の測位が成功したかどうかを判定する(ステップS608)。測位は成功したと仮定するため、判定結果は肯定的となる。測位手段設定部18は、測位結果が要求精度を満たすかどうかを判定する(ステップS610)。測位結果は要求精度を満たすと仮定するため、判定結果は肯定的となる。測位手段決定部18は、アプリケーションに、測位手段12による測位結果Xを返す(ステップS612)。
【0124】
(6)時刻t
時刻tと同様に、測位制御部14は、測位手段12に測位を実行させる。測位手段設定部18は、アプリケーションに、測位手段12による測位結果Xを返す(ステップS612)。
【0125】
(7)時刻t10
測位制御部14は、測位手段12の連続使用回数nが1以上であるかどうかを判定する(ステップS602)。測位手段12による測位はt、tと既に2回実施されているため、連続使用回数nは0である。連続使用回数nが0であるため、判定結果は否定的となる。測位手段設定部18は、使用すべき測位手段を再決定する。
【0126】
測位制御部14は、測位手段12−12に測位を実行させ、測位が成功したか否かを判定し、測位結果の測位精度が要求精度を満たすかどうかを判定する。図7に示される例では、測位手段12−12に測位を実行させた結果、測位手段12、12により測位が成功したと判定され、測位結果の測位精度が要求精度を満たすと判定される。測位手段設定部18は、要求精度を満たす測位手段の集合SINに、測位手段12、12を追加する。要求精度を満たす測位手段の集合SINに、測位手段12、12が追加された結果、要求精度を満たす測位手段の集合SINに含まれる測位手段は、測位手段12、12となる。
【0127】
測位制御部14は、測位が未実行の測位手段があるかどうかを判定する(ステップS412)。全ての測位手段12−12の測位が実行されているため、判定結果は肯定的となる。
【0128】
測位手段設定部18は、要求精度を満たす測位手段の集合SINに含まれる測位手段から、消費電力が最小となる測位手段を選択する。該測位手段は、以降で使用される測位手段とされる。消費電力は測位手段12、12、12の順に小さいものと仮定されるが消費電力が最も低い測位手段12による測位は失敗しているため、測位手段12が選択される。
【0129】
測位手段設定部18は、測位手段12の消費電力が、全ての測定手段12−12の中で最小かどうか判定する。測位手段12は全ての測位手段12−12の中で消費電力が最小ではないため、判定結果は否定的となる。
【0130】
連続使用回数設定部20は、測位手段12が連続して選択されたかどうかを判定する(ステップS422)。前回は測位手段12が選択されていたため、判定結果は肯定的となる。連続使用回数設定部20は、測位手段12の連続選択回数を1増加させる(ステップS424)。連続使用回数設定部20は、該連続選択回数を用いて、連続使用回数を4に決定する(ステップS426)。
【0131】
測位手段設定部18は、前回の測位手段として、測位手段12を記憶する(ステップS418)。測位手段設定部18は、最も測定精度の高い測位結果をアプリケーションに返す(ステップS420)。測位精度は測位手段12、12、12の順に高いものと仮定されるため、測位手段12による測位結果Xが、アプリケーションに返される。
【0132】
時刻t10では、以降の測位で使用する測位手段として、測位手段12が決定される。また、連続使用回数が4に決定される。時刻t11では、測位手段12を用いて測位が実行される。
【0133】
(8)時刻t11−t14
時刻t10と同様に、測位制御部14は、測位手段12に測位を実行させる。
【0134】
(9)時刻t15
測位制御部14は、測位手段12の連続使用回数nが1以上であるかどうかを判定する(ステップS602)。測位手段12による測位はt11−t14と既に4回実施されているため、連続使用回数nは0である。連続使用回数nが0であるため、判定結果は否定的となる。測位手段設定部18は、使用すべき測位手段を再決定する。
【0135】
測位制御部14は、測位手段12−12に測位を実行させ、測位が成功したか否かを判定し、測位結果の測位精度が要求精度を満たすかどうかを判定する。図7に示される例では、測位手段12−12に測位を実行させた結果、測位手段12により測位が成功したと判定され、測位結果の測位精度が要求精度を満たすと判定される。測位手段設定部18は、要求精度を満たす測位手段の集合SINに、測位手段12を追加する。要求精度を満たす測位手段の集合SINに、測位手段12が追加された結果、要求精度を満たす測位手段の集合SINに含まれる測位手段は、測位手段12となる。
【0136】
測位制御部14は、測位が未実行の測位手段があるかどうかを判定する(ステップS412)。全ての測位手段12−12の測位が実行されているため、判定結果は肯定的となる。
【0137】
測位手段設定部18は、要求精度を満たす測位手段の集合SINに含まれる測位手段から、消費電力が最小となる測位手段を選択する。該測位手段は、以降で使用される測位手段とされる。消費電力は測位手段12、12、12の順に小さいものと仮定されるが消費電力が最も低い測位手段12、12による測位は失敗しているため、測位手段12が選択される。
【0138】
測位手段設定部18は、測位手段12の消費電力が、全ての測定手段12−12の中で最小かどうか判定する。測位手段12は全ての測位手段12−12の中で消費電力が最小ではないため、判定結果は否定的となる。
【0139】
連続使用回数設定部20は、測位手段12が連続して選択されたかどうかを判定する(ステップS422)。前回は測位手段12が選択されていたため、判定結果は否定的となる。
【0140】
連続使用回数設定部20は、測位手段12の連続選択回数を1に設定する(ステップS428)。連続使用回数設定部20は、該連続選択回数を用いて、連続使用回数を2に決定する(ステップS426)。
【0141】
測位手段設定部18は、前回の測位手段として、測位手段12を記憶する(ステップS418)。測位手段設定部18は、最も測定精度の高い測位結果をアプリケーションに返す(ステップS420)。測位精度は測位手段12、12、12の順に高いものと仮定されるため、測位手段12による測位結果Xが、アプリケーションに返される。
【0142】
時刻t15では、以降の測位で使用する測位手段として、測位手段12が決定される。また、連続使用回数が2に決定される。時刻t16では、測位手段12を用いて測位が実行される。
【0143】
(10)時刻t16−t17
時刻t15と同様に、測位制御部14は、測位手段12に測位を実行させる。
【0144】
(11)時刻t18
測位制御部14は、測位手段12の連続使用回数nが1以上であるかどうかを判定する(ステップS602)。測位手段12による測位はt16−t17と既に2回実施されているため、連続使用回数nは0である。連続使用回数nが0であるため、判定結果は否定的となる。測位手段設定部18は、使用すべき測位手段を再決定する。
【0145】
測位制御部14は、測位手段12−12に測位を実行させ、測位が成功したか否かを判定し、測位結果の測位精度が要求精度を満たすかどうかを判定する。図7に示される例では、測位手段12−12に測位を実行させた結果、測位手段12−12により測位が成功したと判定され、測位結果の測位精度が要求精度を満たすと判定される。測位手段設定部18は、要求精度を満たす測位手段の集合SINに、測位手段12−12を追加する。要求精度を満たす測位手段の集合SINに、測位手段12−12が追加された結果、要求精度を満たす測位手段の集合SINに含まれる測位手段は、測位手段12−12となる。
【0146】
測位制御部14は、測位が未実行の測位手段があるかどうかを判定する(ステップS412)。全ての測位手段12−12の測位が実行されているため、判定結果は肯定的となる。
【0147】
測位手段設定部18は、要求精度を満たす測位手段の集合SINに含まれる測位手段から、消費電力が最小となる測位手段を選択する。該測位手段は、以降で使用される測位手段とされる。消費電力は測位手段12、12、12の順に小さいものと仮定されるため、測位手段12が選択される。
【0148】
測位手段設定部18は、測位手段12の消費電力が、全ての測定手段12−12の中で最小かどうか判定する。測位手段12は全ての測位手段12−12の中で消費電力が最小であるため、判定結果は肯定的となる。
【0149】
以上に示したとおり、本実施例によれば、連続的な測位を利用する形態において、複数の測位方式の中から、アプリケーションにより要求される測位精度を満たし、かつ消費電力の小さい測位手段を選択できる。
【0150】
つまり、全ての測位手段を用いて測位を実行し、要求精度を満たし、かつ消費電力の最も小さい測位手段を次回以降使用する測位手段に選択する。現在使用している測位手段よりも消費電力の小さい測位手段が存在する場合、それらの測位方式を用いた測位をある間隔で行い、要求精度を満たすか検査する。同じ測位手段が選択された場合は、この間隔を延長することにより、所望の測位手段を選択するために要する電力量を抑制する。
【0151】
連続して測位を行うことを要求するアプリケーションが使用される場合に、測位装置が搭載された携帯電話のバッテリーを従来よりも長く持たせることができる。
【0152】
さらに、本実施例によれば、現在の測位結果に基づいて使用すべき測位手段を決定できるため、測位手段を選択する処理を実行する際のメモリや、CPU使用量が小さくでき、追加的な電力消費が発生しない。
【0153】
説明の便宜上、発明の理解を促すため具体的な数値例を用いて説明されるが、特に断りのない限り、それらの数値は単なる一例に過ぎず適切な如何なる値が使用されてよい。
【0154】
以上、本発明は特定の実施例を参照しながら説明されてきたが、各実施例は単なる例示に過ぎず、当業者は様々な変形例、修正例、代替例、置換例等を理解するであろう。説明の便宜上、本発明の実施例に係る装置は機能的なブロック図を用いて説明されたが、そのような装置はハードウエアで、ソフトウエアで又はそれらの組み合わせで実現されてもよい。本発明は上記実施例に限定されず、本発明の精神から逸脱することなく、様々な変形例、修正例、代替例、置換例等が包含される。
【符号の説明】
【0155】
10 測位装置
12−12(mは、m>0の整数) 測位手段
14 測位制御部
16 消費電力測定部
18 測位手段設定部
20 連続使用回数設定部
21 無線部
22 出力部
24 通信制御部
26 中央演算処理装置
28 記憶部
150 バス
200(oは、o>0の整数) アクセスポイント
300q(qは、q>2の整数) GPS衛星

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の測位手段と、
前記複数の測位手段に測位を実行させる測位制御部と、
前記測位制御部により前記複数の測位手段による測位が実行される際に消費される電力を測定する消費電力測定部と、
前記複数の測位手段により測位が実行される際に取得されるべき測位精度と、前記消費電力測定部により測定されるべき消費電力とに基づいて、測位に使用すべき測位手段を設定する測位手段設定部と
を有する、測位装置。
【請求項2】
請求項1に記載の測位装置において、
前記測位手段設定部は、要求されるべき測位精度を満たす測位手段のうち、消費電力が最も小さい測位手段を選択する、測位装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の測位装置において、
前記測位手段設定部により設定されるべき測位手段を連続して使用する使用回数を設定する使用回数設定部
を有する、測位装置。
【請求項4】
請求項3に記載の測位装置において、
前記使用回数設定部は、前記測位手段設定部により設定されるべき測位手段が前回設定された測位手段と同じである場合、使用回数を増加させる、測位装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の測位装置において、
前記使用回数設定部は、前記測位手段設定部により設定されるべき測位手段が前回設定された測位手段と同じである回数に従って、前記使用回数を設定する、測位装置。
【請求項6】
請求項3乃至5に記載の測位装置において、
前記使用回数設定部は、前記測位制御部により前記測位手段設定部により設定されるべき測位手段に測位を実行させた際に取得されるべき測位精度が、要求される測位精度を満たさない場合、使用回数を初期化する、測位装置。
【請求項7】
請求項3乃至6に記載の測位装置において、
前記測位手段設定部は、前記測位手段設定部により設定されるべき測位手段が前回設定された測位手段と異なる場合であり、かつ、測位精度の差が所定の閾値以内である場合、前記前回設定された測位手段を設定する、測位装置。
【請求項8】
請求項3乃至7に記載の測位装置において、
前記使用回数設定部は、前記測位手段設定部により設定されるべき測位手段が前記複数の測位手段の中で消費電力が最小でない場合に、前記使用回数を設定する、測位装置。
【請求項9】
測位装置における測位方法であって、
複数の測位手段に測位を実行させる測位制御ステップと、
前記測位制御ステップにより前記複数の測位手段による測位が実行される際に消費される電力を測定する消費電力測定ステップと、
前記複数の測位手段により測位が実行される際に取得されるべき測位精度と、前記消費電力測定ステップにより測定されるべき消費電力とに基づいて、測位に使用すべき測位手段を設定する測位手段設定ステップと
を有する、測位装置における測位方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−251936(P2012−251936A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126408(P2011−126408)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】