説明

測定値を同期させる方法

本発明は、走行中の車両に装着されているタイヤの耐える応力と関連した特性の測定値を収集する多数の測定値収集手段から所与の期間にわたり得られた測定値を同期させる方法に関する。本発明によれば、測定値収集手段を互いに別個独立に動作させ、測定値収集手段の各々からの測定値の所与の時点での少なくとも1つのインデックスを時間測定の基準手段に対して作る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行車両、例えば重量物を運搬するようになった車両に装着されているタイヤの耐える応力と関連した特性の測定値を所与の期間にわたって収集する多数の収集手段から得られた測定値を同期させる方法に関する。
【0002】
本発明は、この種の車両には限定されないが、本発明を特に、「土木工学」型の車両、例えば採鉱に用いられるようになったダンプ車に関して説明する。本発明は、最大能力で走行し、かくして鉱山生産性に関する理由で鉱山内で永続的に走行することが必要な場合のある車両に関する。
【背景技術】
【0003】
これら車両は、通常、2本の操舵輪を含む舵取りフロントアクスルシステム及び各側に1対ずつに分けられた4本の駆動輪を含む剛性である場合の多いリヤアクスルシステムを有する。アクスルシステムは、車両の固定構造体を路面に結合する1組の要素として定義される。
【0004】
特に積み荷を運搬するために鉱山又は採石場で用いられるようになったこれら車両の場合、接近の困難性及び効率上の要件により、これら車両の製造業者は、これらの許容荷重又は積載能力を向上させざるを得なくなっている。当然のことながら、車両は、ますます大型になり、従ってこれら自体ますます重くなり、ますます重い積み荷を運搬することができるようになっている。これら車両の現在の重量は、数百トンという重い重量である場合があり、同じことは、運搬されるべき積み荷についても当てはまり、全体的重量は、600トンという重いものになっている。
【0005】
車両の許容荷重は、タイヤの許容荷重に直接関連しているので、タイヤの設計は、使用上の応力に耐えることができるタイヤを提供するようこれら技術動向に適合されなければならない。
【0006】
したがって、これらタイヤのサイズは、大きい。その結果、車輪のサイズも又大きく、タイヤの底部領域の剛性は、車輪がタイヤをリムに装着することができるよう数個の部品に分けて製作しなければならないようなものである。交換又は点検整備中に行われるタイヤの脱着は、長くて単調な取り扱い作業を要する。これら作業中に取り扱われなければならない締結部品の数は、200を超える場合があり、この場合、これら部品と関連した締め付けトルクが甚だしく大きい。したがって、これら作業は、長い時間を要し、これは、これら鉱山での操業で求められる生産性にとって有害である。
【0007】
現在の要求が常にこれら車両の許容荷重の増大に向けられている状態では、タイヤの設計者は、特にタイヤの使用状況を考慮に入れてタイヤを最適化せざるを得ない。
【0008】
特に鉱山で用いられる運搬車両の許容荷重の更なる増大を望む使用者の要求に合うようにするためには、タイヤの効率を向上させることが必要である。
【0009】
このために、走行中のタイヤに装着されているタイヤの耐える応力と関連した特性を測定する測定手段を一時的に関連させる必要のある場合があり、これら特性は、タイヤについて直接測定された特性及び/又は車両が走行しているときにタイヤの耐える応力に影響を及ぼす特性である。これら測定手段により、かかる車両に装着されているタイヤが何を受けているかを追跡することができ、かくしてタイヤの設計者は、タイヤを現実の使用状況に良好に適合させて特に運搬される積載量の観点でユーザの要求に応じることができる。
【0010】
かかる測定手段は、例えば、圧力及び温度を測定する手段、速度、加速度を測定する手段等である。
【0011】
これら測定手段は、一時的に定位置に配置され、車両の作動停止時間は、生産性にとって有害なので、測定手段は、容易且つ迅速に取り付けられ又は取り外されるよう設計されている。
【0012】
このために、これら測定手段は又、容易に運搬可能であるように控えめなサイズ及び重量のものであるよう設計される。
【0013】
これら測定手段は又、自律的に動作するよう設計され、従って、各測定手段は、関連のエネルギー源を備えている。
【0014】
このエネルギー源は、重量を一段と制限するために、重量及び嵩の観点から見て最大限減らされ、その結果、動力の面で限られている。
【0015】
その結果、走行中の車両に装着されているタイヤの耐える応力と関連した特性を測定する測定手段の一時的相互関連付けにより、測定手段は、一方において、これら測定手段の輸送、取り付け及びその次の取り外しを単純化するために互いに結合されず又はそれどころかワイヤードリンクによってエネルギー源に結合されることがなく、確かに、車両の作動停止時間を制限し、従って、できるだけ簡単且つ迅速な取り付け及び取り外しを可能にすることが必要不可欠である。他方、上述の一時的相互関連付けにより、ワイヤレスリンク及びかくして電波による測定手段相互間の通信が行われず、かかる通信技術は、エネルギーの大口需要手段である。また、電波による通信原理で動作するローミングシステムを設計することは、この種の通信手段が規制されていること、そして規則、特に周波数が国ごとに変化する場合があるということを念頭に置くと、困難である。
【0016】
この場合、タイヤの受ける応力に関連したデータを得ようとするには、できるだけ包括的な情報を得るために、複数の測定手段が必要である。また、かかるデータの分析のため、測定値を全て組み合わせ、かくしてこれらを同期させることが可能でなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
かくして、本発明者は、走行中の車両に装着されているタイヤの耐える応力と関連した特性の測定値を収集する多くの測定値収集手段によって得られた測定値を分析することができるようにすることを開発目的とし、かかる測定手段は、互いに結合されず又は任意他のシステムに結合されず、測定値収集手段は、上述したように重量、嵩及びエネルギー消費量の面で制限される。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この目的は、本発明によれば、走行中の車両に装着されているタイヤの耐える応力と関連した特性の測定値を所与の期間にわたって収集する多数の測定値収集手段から得られた測定値を同期させる方法であって、測定値収集手段を互いに別個独立に動作させ、測定値収集手段の各々からの測定値の所与の時点での少なくとも1つのインデックスを時間測定の基準手段に対して作成することを特徴とする方法によって達成された。
【0019】
本発明によれば、時間測定基準手段は、測定値収集手段によって経時的に記録される信号の各々についてインデックスを作成する上での基準としての役目を果たす。本発明者は、信号の各々へのインデックスの作成と組み合わせて単一の時間測定ベンチマークを用いることにより、測定値収集手段の各々によって得られた種々の信号の同期化が可能になるということを明らかにすること1できた。かくして、時間測定基準手段に特有の時間的起点に対する収集手段のうちの1つによる測定値の獲得を時間的に特定することが可能である。この作業を種々の信号について繰り返し実施すると、これら信号を同期させることができ、かくしてこれら信号の全ての分析が可能であり、これらの組み合わせにより、タイヤの耐える応力を良好に規定し、場合によってはこれら応力を説明することができる。
【0020】
有利には、本発明によれば、所与の時点での少なくとも1つのインデックスを除き、測定値収集手段は、互いに絶えず別個独立であり、測定値収集手段は、測定値を自律的に収集する。
【0021】
本発明のこの有利な実施形態によれば、場合によっては収集手段の各々の所与の時点における少なくとも1つのインデックス作成中を除き、測定値収集手段は、全て互いに別個独立であり且つ自律的である。収集手段は、互いに又は任意他の装置と通信する必要がないので、これらのエネルギー消費量は、制限されたままであり、従って、これら収集手段を重要なエネルギー源に関連させず又はこれに結合する必要もない。
【0022】
本発明の第1の実施形態によれば、基準手段は、測定収集手段のうちの1つである。
【0023】
本発明の第2の実施形態によれば、基準手段は、独立の追加手段である。この第2の実施形態により、本発明の方法の具体化を単純化することができる。確かに、オペレータは、かくして、時間測定基準手段を有することができ、そして直接的な接続か信号の伝送かのいずれかによって収集手段の各々についてインデックスを作成することができ、収集手段は、この情報を受け取るよう設計されている。この基準手段は、クロックを含む装置であり、このクロックは、種々の測定手段のインデックス作成に必要な期間中、この装置に動力を供給することができるエネルギー源と関連しており、この装置は、種々の測定手段と対話するよう設計された通信システムを備えている。通信は、例えば情報の交換を可能にするプラグインコネクタによる接続か電波によるかのいずれかで行われるのが良く、この場合、測定手段は、ほんの僅かなエネルギーしか必要としない受信器として働くに過ぎない。例えば、かかる基準手段は、RS232リンクを備えたコンピュータ又はPDA(携帯型情報端末)であるのが良い。
【0024】
有利には、本発明によれば、測定値収集手段の各々からの測定値の所与の時点におけるインデックスの作成は、他の測定値収集手段に対して時間がずらされた状態で実施される。事実、本発明により、互いに異なる収集手段により生じた信号の各々について同時にはインデックスを作成しないようにする可能性が提供される。かくして、本発明の方法は、収集手段について次々にインデックス作成する可能性を提供することができ、後者は、これらのそれぞれの測定収集を既に開始している。次に、信号の各々をそれ自体のインデックス作成まで基準手段によって測定された時間に対して同期させ、この場合、これら信号は、これらの分析のために互いに容易に同期される。
【0025】
本発明の変形例では、測定値の各々は、関連の測定値収集手段の時間的ドリフトを考慮に入れることにより補正される。事実、時間測定装置は、時間のドリフトを示す場合があることが知られている。収集が長い持続時間にわたって行われる場合、かかるドリフトが或る1つの収集手段と別の収集手段とでは様々な場合があるので、ドリフトは、提案された同期化にもかかわらず、得られる信号の分析を妨害する場合がある。かくして、本発明は、本発明の同期化を実施する前に収集手段の各々のドリフトを補正することを提案している。このために、予備研究によって収集手段の各々のドリフトを特定し、そのドリフトに起因した作用効果をなくすために、得られた信号の処理を行うことが必要である。一時的ドリフトの規定及び補正は、当業者に知られている任意の手段によって実施される。例えば、温度の影響は、まず最初に各測定手段をオーブンに通すことによって求められ、これを3次多項式によってモデル化することができる。
【0026】
また、種々の収集手段の一時的ドリフト現象をなくすため、信号収集期間を種々のドリフトが無視できるほど十分に短い時間に制限することが可能である。また、長い持続時間にわたるが、一定温度で行われる測定により、これら一時的ドリフト現象をなくすことができる。
【0027】
また、本発明の好ましい実施形態によれば、測定値収集手段の各々の測定の開始時の所与の時点におけるインデックスを時間測定基準手段に対して作成し、測定値収集手段の各々の測定の終了時の所与の時点におけるインデックスを時間測定手段に対して作成することが可能である。本発明のこの実施形態により、信号の収集の開始時と終了時に2重同期化を実施することができ、それにより、収集期間が無視できないほどの一時的ドリフト現象に対応している場合、かかる一時的ドリフト現象を少なくとも平均してなくすことが可能な場合がある。
【0028】
また、収集期間が長い場合、本発明により、有利には、測定値収集手段の各々の測定の所与の期間における一定間隔での所与の時点におけるインデックスが時間測定手段に対して作成される。本発明のかかる変形実施形態の結果として、多数回の同期が行われ、その回数は、種々の収集手段の一時的ドリフト現象をなくすことができる必要な信号収集持続時間により定められる。
【0029】
また、本発明の別の実施形態によれば、時間測定基準手段に対する測定値収集手段の各々の測定値の多数回のインデックス作成を組み合わせ、問題の収集手段の一時的ドリフトを考慮に入れて測定値の各々を補正することができる。
【0030】
上述の測定手段は、本発明によれば、任意形式のものであって良く、走行中の車両に装着されているタイヤの耐える応力と関連した特性の測定向きに設計される。
【0031】
測定される特性は、まず最初に、タイヤと直接関連した特性、例えばその圧力又はその温度であるのが良い。また、車両と直接関連した特性、例えば、荷重、走行距離、取る方向、縦揺れか横揺れかのいずれかの車両の傾き等があり、これらは、車両に装着されているタイヤの受ける応力に対する影響をもち又はこれに影響を及ぼす場合がある。
【0032】
また、タイヤの環境と関連した特性、例えば温度、地面の状態等が挙げられ、これらは、タイヤの使用中、変化する場合があると共にタイヤの挙動に対する影響を有する。
【0033】
事実、使用状態か使用モードかのいずれかと関連したかかる使用上の特性は、車両の所与のタイヤの受ける応力に対して直接的な影響をもつ。
【0034】
車両の辿るレーン又は軌道の勾配は、特に、かくタイヤに関する荷重の分布状態を変更する。例えば、車両が下り坂方向に走行することにより、フロントアクスルシステムへの荷重の移動が生じ、これに対し、同じ車両が上り坂方向に走行すると、その結果として、車両のリヤアクスルシステムへの荷重の移動が生じることになる。
【0035】
同様に、曲がりくねった経路の結果として、荷重の分布状態は、車両の取るカーブの方向に応じて車両の左側と右側とでは様々である。右側又は左側に回ると、タイヤ相互間の荷重分布状態が効果的に変化する。
【0036】
車両の使用条件及びかくしてタイヤの使用条件と考えられる場合のある幾つかの環境上のパラメータは、かかるタイヤの耐える応力を変える場合がある。
【0037】
例えば、温度は、タイヤの挙動、及びかくしてタイヤに加わる応力に対するその反応に作用する。路面の性状は、路面が例えば砂利道であるか場合によっては砂質又は粘土質のテレーンであるにせよ、いずれにせよ、タイヤに加わる応力に直接的な影響を及ぼす。
【0038】
測定手段は、例えば、タイヤと直接関連し又は車両のサスペンションシステムに結合された圧力センサ、温度センサ、速度及び加速度の測定手段、GPS型装置等である。
【0039】
測定手段の各々は、本発明によれば、一方において、この測定手段を動作させることができるエネルギー源と関連し、他方において、測定期間中に収集される測定値を記憶するメモリ素子と関連している。
【0040】
本発明の他の有利な細部及び特性は、図1〜図3を参照して行われる本発明の例示の実施形態の説明から以下において明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明を具体化する測定値収集手段の略図である。
【図2】測定値を同期させる本発明の第1の実施形態の略図。
【図3】測定値を同期させる本発明の第2の実施形態の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下に説明する実施例では、6本のサイズ又はタイプ59/80R63のタイヤを装着し、露天掘り鉱山の軌道上を走行するダンプ車型車両に対して測定を行った。
【0043】
用いた種々の測定値収集手段は次の通りであった。
‐各々がタイヤの各々の圧力を測定するために車両に装着されているタイヤと関連した6個のゲージブリッジ型圧力センサ。この種のセンサにより、0〜10バールの測定値の収集が可能である。
‐懸架圧力を測定する4個のゲージブリッジ型圧力センサ。この種のセンサにより、0〜300バールの測定値の収集が可能である。
‐シャーシと関連していて、シャーシと路面との間の距離を測定する4つの超音波距離計。この種のセンサにより、0〜3メートルの測定値の収集が可能である。
‐横加速度及び縦加速度を測定する2つのMEMS(微小電気機械システム)型加速度計。
【0044】
図1は、タイヤ又は車両に固定されていて、これらセンサ2のうちの1つを有する装置又はモジュール1を概略的に示している。このモジュール1上において、センサ2は、まず最初に、その自律性を提供するバッテリ3及びクロック4と関連している。センサにより得られた測定値は、調整セル5を通り、この調整セルは、メモリユニット7内に設けられていて、適切に処理された測定値を記憶するマイクロプロセッサ6によって記憶されるべき測定値に対応した信号を増幅すると共にこれをフィルタリングする。
【0045】
これらセンサ及びモジュールの全ては、第1に、例えば飛行機で容易に輸送することができると共に現場、例えば鉱山まで送ることができるスーツケースに入れてこれらセンサ及びモジュールを容易に運搬することができる限られた容積のものであるという利点を提供する。
【0046】
この利点は、発明の対象が或る1つの現場から別の現場まで運搬可能であり、対に結果の分析のために戻されなければならない可搬式装置である限り、顕著である。
【0047】
次に、これらセンサを約1時間という比較的短い時間で車両に取り付けることができた。かかる時間により、車両の作動停止時間を最も良く制限することができる。
【0048】
センサの各々は、車両に取り付けられた後、手動で動作状態にされ、測定値の記録を開始する。
【0049】
この装置は、センサの各々の測定値にインデックスを付けるために用いられるクロックを備えた追加の要素を有する。この追加の要素は、RS232接続によりセンサの各々の測定値についてインデックスを作成する単純なコンピュータである。
【0050】
図2は、測定の開始時における3つのセンサの測定値の同期化を概略的に示している。時間スケールRで表された追加の要素は、時間を測定し、時間スケールA,B,Cにより表された3つのセンサの測定値についてインデックスを作成するために用いられる。これらスケールの各々では、センサの始動及びかくしてセンサの各々による測定値の収集の開始に対応した開始時点が存在する。これら開始時点は、時間スケールA,B,Cの各々にそれぞれ対応した時刻t0(A)、t0(B)、t0(C)で表されている。
【0051】
センサを始動させた後、追加の要素からインデックスを作成する。これらインデックスは、センサの各々のそれぞれの時間スケールA,B,C上で測定され、タイムスケールR上で測定された時刻t1,t2,t3にそれぞれ対応した時刻A,tA,tB,tCによって時間スケールA,B,C上に示されている。
【0052】
次に、時間スケールA上に測定されると共にセンサAからの測定信号に対応した時刻ti(A)をセンサAの測定値と他のセンサの測定値の同期化を目的として次のように補正するのが良い。
〔数1〕
i(A)corrected=ti(A)−tA+t1
【0053】
同様に、以下が当てはまる。
〔数2〕
i(B)corrected=ti(B)−tB+t2
〔数3〕
i(C)corrected=ti(C)−tC+t3
【0054】
上述したように、測定は、センサの一時的ドリフトが無視できないようになる持続時間にわたって行われる場合、補正された値は、センサの各々について前もって定められたドリフト因子dXを含む場合がある。
【0055】
この場合、補正された値は、次のように表される。
〔数4〕
i(X)corrected=(ti(X).dX+tu
上式において、uは、1〜3である。
【0056】
また、センサの測定値の各々について周期的インデックスを作成することによってセンサの一時的ドリフト現象をなくし、これら種々のインデックスに従って値を補正することが可能である。
【0057】
図3は、種々の時間スケールの第2のインデックス作成方法を概略的に示している。
【0058】
第2のインデックス又はn番目のインデックスの第1の使用可能性は、各インデックス相互間では一時的ドリフトが無視可能であるということを仮定したうえで上述したのと同一のコンピュータ計算を実施することにある。この場合、補正された値を例えば次の形式で表すことができる。
〔数5〕
j(X)corrected=tj(X)−tX+tv
上式において、vは、例えば図3では4〜6である。
【0059】
また、同様に、一時的ドリフトを考慮に入れることが可能であり、この場合、公式は次のように書き表せる。
〔数6〕
j(X)corrected=(tj(X)−tX).dX+tv
【0060】
図3の場合におけるもう1つの可能性は、2つの連続したインデックスを用いてセンサのうちの一方を基準として、又は具体的にその時間スケールとして採用することにより一方のセンサの他方のセンサに対する一時的ドリフト因子を求めることにある。かかる因子の決定により、センサの一時的ドリフトに起因した同期上の誤差を半減することが可能である。
【0061】
センサAが基準として選択された場合、次のように表される補正された値が得られる。 〔数7〕
i(A)corrected=ti(A)−tA+t1
〔数8〕
i(B)corrected=[(tA′−t4+t5)−(tA−t1+t2)]/
(tB′−tB)×(ti(B)−tB)+t2、及び
〔数9〕
i(C)corrected=[(tA′−t4+t6−(tA−t1+t3)]/
(tC′−tC×(ti(C)−tC)+t3
【0062】
2つの公式[(tA′−t4+t5)−(tA−t1+t2)]/(tB′−tB)及び[(tA′−t4+t6)−(tA−t1+t3)]/(tC′−tC)は、それぞれ、時間スケールAに対応したセンサに対する時間スケールB,Cに対応したセンサの一時的ドリフト因子である。
【0063】
センサのうちの1つを基準として採用したが、抽象的な基準、例えばセンサ全ての平均に対応した基準を用いることも可能である。
【0064】
また、この最後の同期化モードによれば、センサの各々の一時的ドリフトをまず最初に求め、これらを種々の値の補正のために公式に入れることによってセンサの各々の一時的ドリフトを考慮に入れることが可能である。
【0065】
かくして、本発明は又、上述したように、多くのインデックスの効果を組み合わせ、種々の測定値の同期化を実施するために測定値の補正のためにセンサの各々の一時的ドリフトを考慮に入れることを提案している。
【0066】
2種類の測定を実施した。第1の測定では、約1時間の期間にわたり、即ち、測定値の所望の解釈を行う場合にセンサの一時的ドリフト現象が無視できる期間にわたり、収集を実施した。種々の測定値相互間の同期化を上述したように値の補正を可能にする期間の開始時に測定値を単にインデックス付けすることによって実施した。このような形式の測定は、或る特定の場合には関心のあるものである。というのは、この測定は、車両の繰り返し使用における一サイクルに対応するからである。それにより、或る特定の使用パラメータに関する指標を与えることができる。
【0067】
第2の測定では、約20時間の期間、即ち、センサの一時的ドリフト現象をもはや無視できない期間にわたり収集を実施した。次に、種々の測定値の同期化を測定値の多くのインデックスの組み合わせにより、具体的に言えば、センサの各々の一時的ドリフト因子を考慮に入れることと関連した8時間ごとに実施した。この種の測定により、この場合タイヤの挙動に影響を及ぼす場合のあるパラメータの全てに遭遇するので車両の使用中にタイヤの受ける応力の概観が与えられ、この場合特に考慮に入れられる因子は、例えば運転手の交代、日中と夜間の運転の仕方の変化等のような要因である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行中の車両に装着されているタイヤの耐える応力と関連した特性の測定値を所与の期間にわたって収集する多数の測定値収集手段から得られた測定値を同期させる方法において、前記測定値収集手段を互いに別個独立に動作させ、前記測定値収集手段の各々からの測定値の所与の時点での少なくとも1つのインデックスを時間測定の基準手段に対して作成する、方法。
【請求項2】
所与の時点での前記少なくとも1つのインデックスを除き、前記測定値収集手段は、互いに絶えず別個独立であり、前記測定値収集手段は、測定値を自律的に収集する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記基準手段は、前記測定収集手段のうちの1つである、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記基準手段は、独立の追加の手段である、請求項1又は2記載の方法。
【請求項5】
前記測定値収集手段の各々からの測定値の所与の時点における前記インデックスの作成は、他の前記測定値収集手段に対して時間がずらされた状態で実施される、請求項1〜4のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項6】
前記測定値の各々は、関連の前記測定値収集手段の時間的ドリフトを考慮に入れることにより補正される、請求項1〜5のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項7】
前記測定値収集手段の各々の測定の開始時の所与の時点におけるインデックスが前記時間測定基準手段に対して作成され、前記測定値収集手段の各々の測定の終了時の所与の時点におけるインデックスが前記時間測定手段に対して作成される、請求項1〜6のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項8】
前記測定値収集手段の各々の測定の前記所与の期間における一定間隔での所与の時点におけるインデックスが前記時間測定手段に対して作成される、請求項1〜7のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項9】
各測定値収集手段は、クロック、記憶素子及びエネルギー源と関連している、請求項1〜8のうちいずれか一に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−524249(P2012−524249A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−505155(P2012−505155)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【国際出願番号】PCT/EP2010/054895
【国際公開番号】WO2010/119066
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(599093568)ソシエテ ド テクノロジー ミシュラン (552)
【出願人】(508032479)ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム (499)