測定結果の信頼性向上の方法及びシステム
【課題】測定機器の校正経路(国家標準への遡源性)を明らかにし、測定値の中心値とその測定値がもつ不確かさを見積ることによって、測定機器の表示する数値に意味を持たせて、信頼性を確保する。
【解決手段】本発明は、測定機器内蔵の基準器の校正を、上位校正機関に依頼して行う。測定機器が双方向通信機能を備えて、上位校正機関による遠隔校正を受け入れる機能を持ち、遠隔校正によって測定機器内蔵の基準器を校正する機能を有する。
【解決手段】本発明は、測定機器内蔵の基準器の校正を、上位校正機関に依頼して行う。測定機器が双方向通信機能を備えて、上位校正機関による遠隔校正を受け入れる機能を持ち、遠隔校正によって測定機器内蔵の基準器を校正する機能を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定機器内蔵の基準器の校正を、上位校正機関に依頼して行う測定結果の信頼性向上方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、測定結果を保証するためには
1)国家計量標準機関の国際比較
2)国家計量標準機関から、校正事業者の認定スキーム(例えばJCSS; Japan Calibration Service Systemなど)で登録した校正事業者への計量標準供給
3)供給された計量標準に基づく校正機器の内蔵標準器の校正
4)校正された校正機器による測定機器の校正
というそれぞれ独立した手順で行われてきた(図12参照)。
【0003】
この計量標準供給体系には、
1)一般に、校正期間(計量標準の量目によって1, 3, 5, 10年など)の終わりに近いほど、初期校正値からの変動が大きくなる。(不確かさが大きくなる。)
2)一般に、計量標準器は下位の標準機関(あるいは最終顧客)から上位の校正機関に持ち込んで校正される。(持ち込み校正)
3)上位の校正機関で実施された校正結果はその場所、およびその環境の下での値であって、その場所・環境を離れた場合にはその値を保証しない。上位機関から下位機関へ計測標準器を輸送する場合、輸送中の環境変化や振動などによって校正値に変動を来たす(不確かさが増大する)場合がある。
4)海外進出工場においては、原則として進出先の国家標準にトレース(遡源)すべきであるが、進出先の国家標準が十分に整備されているとは限らない。
5)日本国内から海外進出先の工場への計量標準供給は、輸送環境変化が大きいこと、輸送日程がかかること(電源バッテリーがもたないことが多い)などから困難がある。
という問題点を抱えている。
【0004】
一方で、産業分野によっては生産拠点工場を世界各地に展開し、ある機種を世界同時立ち上げということも普通に行われるようになって来ており、品質を確保するために生産拠点工場の生産ツールを一定にそろえること、即ちその管理のための測定機器の校正が重要視されつつある。
【0005】
また、企業系列の崩壊により系列以外の企業からの部品材料調達も普通になり、納入する側は自社の製品の品質、信頼性を客観的に証明することが求められるようになってきた。例えば、米国自動車業界ビッグスリーは2006年12月15日以降の納品にはISO/TS 16949「品質マネジメントシステム---自動車供給業者および関連業務部門組織へのISO 9001:2000適用のための特定要求事項」を満たすことを要求している。ISO/TS16949を満たそうとする製造業者は、使用する計測機器の校正を社内で実施するか、ISO/IEC17025に基づく認定(登録)校正機関に依頼することが必要である。
【0006】
すなわち、ここに見られるのは旧態依然とした計量標準供給体系と、グローバルな生産体制を構築し、不特定多数の企業から部品材料を調達する流れの中で品質・信頼性を確保しようとする産業界の流れである。具体例を挙げると、アメリカの自動車業界のビッグスリーが品質に対する要求事項を規定したQS-9000が存在していたが、2006年12月15日以降はISO/TS 16949「品質マネジメントシステム---自動車供給業者および関連業務部門組織へのISO 9001:2000適用のための特定要求事項」に統合されることになった。ISO/TS 16949では、製品に関する測定および試験を行う装置はトレーサビリティーが要求され、不確かさが分かっていることが求められる。
【0007】
このようなギャップを打破するために、本発明者らは計量標準の遠隔校正プロジェクト(図13参照)を実施してきた。遠隔校正は、最新の光通信技術、GPS技術、インターネットなどの通信技術を駆使して計測標準供給を迅速に、低コストで、正確に行うことを目指しており、さらに校正依頼者のいる場所までの校正値を保証する(校正点の延長)。遠隔校正の実施は法運用上も整備され、日本の試験所認定機関(校正事業者を認定する機関)である独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の「ASNITE国家計量研究所認定サブプログラム」、「ASNITE校正事業者認定サブプログラム」の認定の一般要求事項の付属書[2]として「遠隔校正を行う場合の特定要求事項」として織り込まれている。すなわち、日本国内では既に社会システムとしての運用が始まっている。さらに、日本国内だけでなくISO/IEC17025(試験所認定国際規格)のもとで国際的運用できることを目指してNITEからILAC(International Laboratory Accreditation Cooperation=国際試験所認定機関)に提案し、2006年11月の第10回総会で正式議案に採択された。今後、ILACの作業委員会で遠隔校正のガイドラインが制定され、世界的運用が可能になるものと期待されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本来、測定機器は校正経路(国家標準への遡源性)を明らかにし、測定値の中心値とその測定値がもつ不確かさを見積ることによって測定機器の表示する数値に意味があり、信頼性を確保出来る。現代の測定機器もそういうことが出来る仕組みになってはいるが、持込校正であったり、手動校正であったりで電子情報化されていない部分が多く産業界の現代的なニーズ(迅速、低コスト、国境を越えた供給など)に現状の標準供給体系は応じきれなくなりつつある。
【0009】
本発明は測定機器で測定した値の信頼性を向上させるために、以下の課題を解決しようとするものである。
1)測定の信頼性のボトルネックであった、持込み校正の場合の上位校正機関から下位機関へ計量標準器の運搬にかかわる環境変化、振動などによる校正値の変動による不確かさの知られていない領域を可能な限り小さくしなければならない。(この点は、遠隔校正が校正点の拡張として主張している。すなわち、上位校正機関は遠隔校正技術によって被校正依頼者の場所での校正値を保証する。)
2)固定した校正周期であれば、計量標準器の校正直後は不確かさが小さく、時間が経過するにつれて不確かさが増大していく。それにつれて測定の不確かさも増大するので、“校正”から“測定”までの時間は短ければ短いほど良い。すなわち、測定に必要な時(最も望ましいのは測定の直前と直後の2回)に校正すれば測定の不確かさは小さい。必要な時、すなわちオン・デマンドで校正できることが望ましい。
3)測定結果には不確かさを付与できる機能を備えることが望ましい。
4)国家計量標準機関から最終顧客まで何段階かの階層の校正事業者を経て計量標準が供給(校正の連鎖)されれば、その都度不確かさが増大する。必要に応じて校正経路を選択する自由度があっても良い。例えば、最終顧客が直接国家標準機関から校正を受けることがあっても良い。また、JCSSの場合のトレーサビリティー(国家標準への遡源性)は、日本の国家標準への遡源が求められるが、顧客の要望(例えば、取引証明に必要な相手側からのトレーサビリティー要求に応えるため)によっては別の校正経路も有り得るので任意の校正経路を選択可能にする。
5)トレーサビリティーはいつでも表示可能でなければならない認定の要件である。
6)測定機器を使用する顧客の要求する規制、規格、仕様の測定値の不確かさやトレーサビリティー要求に応えられなければならない。
【0010】
以上は、測定機器の示す表示値の信頼性確保のための課題であるが、測定機器を実際に品質保証のために使う場合には下記の課題が想定される。
7)ある品物の納入をめぐって納入業者と購入業者の品質管理上の測定値が食い違って裁判に持ち込まれた場合、上記要件をみたすことが公正な裁判の判断基準となる。
8)生産ライン、出荷検査、あるいは受け入れ検査などで、ある品物の合否を判定する基準となる規制、規格、仕様の数値特性および測定手順をデータファイルとして所持し、上記要件を満たす測定機器でそれに応じて実行して合否判定する。
9)不合格の場合は、何故不合格であったかを分析することにより、品質の改善につながる。
10)合格の場合は、どのように合格であったかを分析することにより過剰品質によるコスト削減につながる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の測定結果の信頼性向上方法及びシステムは、測定機器内蔵の基準器の校正を、上位校正機関に依頼して行う。測定機器が双方向通信機能を備えて、上位校正機関による遠隔校正を受け入れる機能を持ち、遠隔校正によって測定機器内蔵の基準器を校正する機能を有する。
また、本発明の測定結果の信頼性向上方法及びシステムは、測定機器を校正する校正機器が、双方向通信機能を備え、上位校正機関による遠隔校正を受け入れる機能を持ち、遠隔校正によって校正機器が内蔵する基準器を校正し、それに基づいて測定機器を校正する機能を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、測定機器は校正経路(国家標準への遡源性)を明らかにし、測定値の中心値とその測定値がもつ不確かさを見積ることによって、測定機器の表示する数値に意味を持たせて、信頼性を確保出来る。
本発明は、従来の持込校正に替わって測定機器内蔵基準器あるいは校正機器内蔵基準器の校正に遠隔校正を取り入れることにより、校正点が被校正者側まで拡大され、かつ、オン・デマンド要求に応えられる。また、双方向通信機能を備えることにより、速やかに校正にかかわる計量標準の遡源性を明らかにし、校正証明書の発行が出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、例示に基づき本発明を説明する。ここでは、実施形態として二つの方法を提案する。
[第一の方法]:測定機器内蔵の基準器の遠隔校正+直線性自己校正(セルフキャリブレーション)
図1は、測定結果の信頼性を向上させる方法及び機器(1−1)を説明する図である。測定機器が双方向通信機能を備え、遠隔校正を受け入れる機能(上位校正機関との通信・制御機能、基準器の自動校正機能)を持ち、測定機器内蔵の基準器を校正する。基準器は、測定の基準を与えるものである(例えば、周波数カウンタの場合、10 MHzの水晶発振器)。校正事業者(上位校正機関)に校正を依頼し、或いは、校正事業者を経由せずに直接国家計量標準機関に校正を依頼することも可能である。測定機器は周囲環境を測定する機能を持ち、その環境条件におけるオフセットを除去(測定の零点を自己補正)する機能を持ち、実施する。また、測定機器は、測定範囲全体にわたる直線性(基準値と測定値の比)の自己校正(セルフキャリブレーション)機能をもち、実施する。
【0014】
図2は、測定結果の信頼性を向上させる方法及び機器(1−2)を説明する図である。図2の測定機器は、図1に示した機能に加えて、不確かさ算出機能及びトレーサビリティー表示機能を有している。不確かさ算出機能は、測定機器の測定結果として、測定中心値および測定値の統計処理、および図1を参照して上記した種々の機能による機器依存性不確かさを加えた不確かさを算出する。トレーサビリティー表示機能は、校正のトレーサビリティーを明らかにする。
【0015】
図3は、測定結果の信頼性を向上させる方法及び機器(1−3)を説明する図である。図3の測定機器は、図2に示した機能に加えて、合否判定機能を有している。合否判定機能は、単に測定値のみでなく、測定値の不確かさやトレーサビリティーも要求する規制、規格、仕様のデータベースを持ち、その条件を満たすように測定手順を実行し、合否を判定する。
【0016】
図4は、測定結果の信頼性を向上させる方法及び機器(1−4)を説明する図である。図4の測定機器は、図3に示した機能に加えて、合格、不合格分析および報告機能を有している。この不合格分析及び合格分析について、それぞれ図9及び図10を参照して説明する。
【0017】
図9は、不合格分析を例示する図である。合否を判定した結果、不合格であった場合は、規制、規格、仕様などのどの項目が不合格であったかを分析し、必要があればその不合格項目を細分して構成要素にまで遡ることが出来、その結果を測定者あるいは顧客に報告する機能を備える。製造業者の品質改善につながる重要情報を提供することになる。更に、不合格項目の参照欄を起動すれば不合格結果に誤りはないかを監視できる。
【0018】
図10は、合格分析を例示する図である。合否を判定した結果、合格と判定された場合、合格の中でも規制、規格、仕様などの求められる数値特性に近い(優れた)順にクラス分けして、その結果を測定者あるいは顧客に報告する機能を備える。製造業者に過剰品質によるコスト削減につながる重要情報を提供することになる。更に、合格欄のある項目を起動すれば、測定値の分布により合格であっても過剰品質でないかどうかが分かり、品質とコストのバランスを監視できる。
【0019】
図11は、製造プロセス監視を説明する図である。上述した機能は、製造プロセスの監視にも適用できる。すなわち、ある製品の認証に際して、その製品を製造する工程毎の監視を、上述した機能をもつ測定機器で行うことにより、認証を簡素化する事ができる。
以上に説明した第一の方法は、測定機器の中に校正機能を組み込むものであり、測定の前に迅速な校正が可能である。しかし、第一の方法ではその測定機器のもつ精度以上の精度で自己校正(セルフキャリブレーション)出来ないという欠点を有する。
【0020】
[第ニの方法]:校正機器内蔵の基準器の遠隔校正+測定機器校正
図5は、測定結果の信頼性を向上させる方法及び機器(2−1)を説明する図である。校正事業者の持つ校正機器が双方向通信機能を備え、遠隔校正を受け入れる機能(上位校正機関との通信・制御機能、基準器の自動校正機能)を持ち、測定機器を校正する。この校正機器により測定機器の全測定範囲を校正する。
【0021】
図6は、測定結果の信頼性を向上させる方法及び機器(2−2)を説明する図である。測定機器は、図5に示す機能に加えて、不確かさ算出機能及びトレーサビリティー表示機能を有している。不確かさ算出機能は、測定機器の測定結果として、測定中心値および測定値の統計処理、および図5に示した機能による機器依存性不確かさを加えた不確かさを算出する。トレーサビリティー表示機能は、校正のトレーサビリティーを明らかにする。
【0022】
図7は、測定結果の信頼性を向上させる方法及び機器(2−3)を説明する図である。図7に示す測定機器は、さらに、合否判定機能を有している。合否判定機能は、単に測定値のみでなく、測定値の不確かさやトレーサビリティーも要求する規制、規格、仕様のデータベースを持ち、その条件を満たすように測定手順を実行し、合否を判定する。
【0023】
図8は、測定結果の信頼性を向上させる方法及び機器(2−4)を説明する図である。図8に示す測定機器は、さらに、合格、不合格分析および報告機能を有している。
不合格であった場合は、上述した図9に示すように、規制、規格、仕様などのどの項目が不合格であったかを分析し、必要があればその不合格項目を細分して構成要素にまで遡ることが出来、その結果を測定者あるいは顧客に報告する機能を備える。製造業者の品質改善につながる重要情報を提供することになる。更に、不合格項目の参照欄を起動すれば不合格結果に誤りはないかを監視できる。
【0024】
合格と判定された場合、上述した図10に示すように、合格の中でも規制、規格、仕様などの求められる数値特性に近い(優れた)順にクラス分けして、その結果を測定者あるいは顧客に報告する機能を備える。製造業者に過剰品質によるコスト削減につながる重要情報を提供することになる。更に、合格欄のある項目を起動すれば、測定値の分布により合格であっても過剰品質でないかどうかが分かり、品質とコストのバランスを監視できる。
【0025】
上記機能は、製造プロセスの監視にも適用できる。すなわち、ある製品の認証に際して、図11に示すように、製品を製造する工程の監視を上記した機能をもつ測定機器で行うことにより、認証を簡素化する事ができる。
以上説明した第二の方法は、測定機器の持つ精度より1桁以上高精度の校正を行うことが出来る。ただ、校正機器のある場所に測定機器を持ち込んで校正しなければならないという不便さがある。第一と第二のどちらの方法も、従来の持込校正に替わって測定機器内蔵基準器あるいは校正機器内蔵基準器の校正に遠隔校正を取り入れている。これは、遠隔校正による以下の特徴を有している。
【0026】
1)校正点が被校正者側まで拡大される。
(上位校正機関の校正に対する保証責任が被校正者側まで拡大される。すなわち、上位校正機関から被校正者までの仲介標準器の輸送、環境変化にかかわる不確かさの増大までを含めて上位校正機関が校正値を保証する。)
【0027】
2)オン・デマンド要求に応えられる。すなわち、校正周期ごとに校正するのではなく、校正の必要が生ずる度ごとに校正することにより、基準器の経時ドリフトを最小にできる。
・周波数に関連する量目(周波数、時間、時刻、直流電圧、長さのうち周波数に関連付けられるものなど)は、信号(GPS信号など)を仲介標準器と見做すことが出来るのでリアルタイム性がある。
・周波数に関連付けられない量目は、要求に応じてコンパクトかつ安定性のある物理的あるいは化学的仲介標準器を上位校正機関から顧客に宅急便などで迅速に輸送する。)
を生かすものである。遠隔校正の一つの具体的事例がe-traceである。
【0028】
3)上記の第一、第二の方法とも双方向通信機能を備えており、速やかに校正にかかわる計量標準の遡源性を明らかにし、校正証明書の発行が出来る。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】測定結果の信頼性を向上させる方法、及び機器(1−1)を説明する図である。
【図2】測定結果の信頼性を向上させる方法、及び機器(1−2)を説明する図である。
【図3】測定結果の信頼性を向上させる方法、及び機器(1−3)を説明する図である。
【図4】測定結果の信頼性を向上させる方法、及び機器(1−4)を説明する図である。
【図5】測定結果の信頼性を向上させる方法、及び機器(2−1)を説明する図である。
【図6】測定結果の信頼性を向上させる方法、及び機器(2−2)を説明する図である。
【図7】測定結果の信頼性を向上させる方法、及び機器(2−3)を説明する図である。
【図8】測定結果の信頼性を向上させる方法、及び機器(2−4)を説明する図である。
【図9】不合格分析を例示する図である。
【図10】合格分析を例示する図である。
【図11】製造プロセス監視を説明する図である。
【図12】従来の測定結果の信頼性保証法を説明する図である。
【図13】遠隔校正の技術的概念を説明する図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定機器内蔵の基準器の校正を、上位校正機関に依頼して行う測定結果の信頼性向上方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、測定結果を保証するためには
1)国家計量標準機関の国際比較
2)国家計量標準機関から、校正事業者の認定スキーム(例えばJCSS; Japan Calibration Service Systemなど)で登録した校正事業者への計量標準供給
3)供給された計量標準に基づく校正機器の内蔵標準器の校正
4)校正された校正機器による測定機器の校正
というそれぞれ独立した手順で行われてきた(図12参照)。
【0003】
この計量標準供給体系には、
1)一般に、校正期間(計量標準の量目によって1, 3, 5, 10年など)の終わりに近いほど、初期校正値からの変動が大きくなる。(不確かさが大きくなる。)
2)一般に、計量標準器は下位の標準機関(あるいは最終顧客)から上位の校正機関に持ち込んで校正される。(持ち込み校正)
3)上位の校正機関で実施された校正結果はその場所、およびその環境の下での値であって、その場所・環境を離れた場合にはその値を保証しない。上位機関から下位機関へ計測標準器を輸送する場合、輸送中の環境変化や振動などによって校正値に変動を来たす(不確かさが増大する)場合がある。
4)海外進出工場においては、原則として進出先の国家標準にトレース(遡源)すべきであるが、進出先の国家標準が十分に整備されているとは限らない。
5)日本国内から海外進出先の工場への計量標準供給は、輸送環境変化が大きいこと、輸送日程がかかること(電源バッテリーがもたないことが多い)などから困難がある。
という問題点を抱えている。
【0004】
一方で、産業分野によっては生産拠点工場を世界各地に展開し、ある機種を世界同時立ち上げということも普通に行われるようになって来ており、品質を確保するために生産拠点工場の生産ツールを一定にそろえること、即ちその管理のための測定機器の校正が重要視されつつある。
【0005】
また、企業系列の崩壊により系列以外の企業からの部品材料調達も普通になり、納入する側は自社の製品の品質、信頼性を客観的に証明することが求められるようになってきた。例えば、米国自動車業界ビッグスリーは2006年12月15日以降の納品にはISO/TS 16949「品質マネジメントシステム---自動車供給業者および関連業務部門組織へのISO 9001:2000適用のための特定要求事項」を満たすことを要求している。ISO/TS16949を満たそうとする製造業者は、使用する計測機器の校正を社内で実施するか、ISO/IEC17025に基づく認定(登録)校正機関に依頼することが必要である。
【0006】
すなわち、ここに見られるのは旧態依然とした計量標準供給体系と、グローバルな生産体制を構築し、不特定多数の企業から部品材料を調達する流れの中で品質・信頼性を確保しようとする産業界の流れである。具体例を挙げると、アメリカの自動車業界のビッグスリーが品質に対する要求事項を規定したQS-9000が存在していたが、2006年12月15日以降はISO/TS 16949「品質マネジメントシステム---自動車供給業者および関連業務部門組織へのISO 9001:2000適用のための特定要求事項」に統合されることになった。ISO/TS 16949では、製品に関する測定および試験を行う装置はトレーサビリティーが要求され、不確かさが分かっていることが求められる。
【0007】
このようなギャップを打破するために、本発明者らは計量標準の遠隔校正プロジェクト(図13参照)を実施してきた。遠隔校正は、最新の光通信技術、GPS技術、インターネットなどの通信技術を駆使して計測標準供給を迅速に、低コストで、正確に行うことを目指しており、さらに校正依頼者のいる場所までの校正値を保証する(校正点の延長)。遠隔校正の実施は法運用上も整備され、日本の試験所認定機関(校正事業者を認定する機関)である独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の「ASNITE国家計量研究所認定サブプログラム」、「ASNITE校正事業者認定サブプログラム」の認定の一般要求事項の付属書[2]として「遠隔校正を行う場合の特定要求事項」として織り込まれている。すなわち、日本国内では既に社会システムとしての運用が始まっている。さらに、日本国内だけでなくISO/IEC17025(試験所認定国際規格)のもとで国際的運用できることを目指してNITEからILAC(International Laboratory Accreditation Cooperation=国際試験所認定機関)に提案し、2006年11月の第10回総会で正式議案に採択された。今後、ILACの作業委員会で遠隔校正のガイドラインが制定され、世界的運用が可能になるものと期待されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本来、測定機器は校正経路(国家標準への遡源性)を明らかにし、測定値の中心値とその測定値がもつ不確かさを見積ることによって測定機器の表示する数値に意味があり、信頼性を確保出来る。現代の測定機器もそういうことが出来る仕組みになってはいるが、持込校正であったり、手動校正であったりで電子情報化されていない部分が多く産業界の現代的なニーズ(迅速、低コスト、国境を越えた供給など)に現状の標準供給体系は応じきれなくなりつつある。
【0009】
本発明は測定機器で測定した値の信頼性を向上させるために、以下の課題を解決しようとするものである。
1)測定の信頼性のボトルネックであった、持込み校正の場合の上位校正機関から下位機関へ計量標準器の運搬にかかわる環境変化、振動などによる校正値の変動による不確かさの知られていない領域を可能な限り小さくしなければならない。(この点は、遠隔校正が校正点の拡張として主張している。すなわち、上位校正機関は遠隔校正技術によって被校正依頼者の場所での校正値を保証する。)
2)固定した校正周期であれば、計量標準器の校正直後は不確かさが小さく、時間が経過するにつれて不確かさが増大していく。それにつれて測定の不確かさも増大するので、“校正”から“測定”までの時間は短ければ短いほど良い。すなわち、測定に必要な時(最も望ましいのは測定の直前と直後の2回)に校正すれば測定の不確かさは小さい。必要な時、すなわちオン・デマンドで校正できることが望ましい。
3)測定結果には不確かさを付与できる機能を備えることが望ましい。
4)国家計量標準機関から最終顧客まで何段階かの階層の校正事業者を経て計量標準が供給(校正の連鎖)されれば、その都度不確かさが増大する。必要に応じて校正経路を選択する自由度があっても良い。例えば、最終顧客が直接国家標準機関から校正を受けることがあっても良い。また、JCSSの場合のトレーサビリティー(国家標準への遡源性)は、日本の国家標準への遡源が求められるが、顧客の要望(例えば、取引証明に必要な相手側からのトレーサビリティー要求に応えるため)によっては別の校正経路も有り得るので任意の校正経路を選択可能にする。
5)トレーサビリティーはいつでも表示可能でなければならない認定の要件である。
6)測定機器を使用する顧客の要求する規制、規格、仕様の測定値の不確かさやトレーサビリティー要求に応えられなければならない。
【0010】
以上は、測定機器の示す表示値の信頼性確保のための課題であるが、測定機器を実際に品質保証のために使う場合には下記の課題が想定される。
7)ある品物の納入をめぐって納入業者と購入業者の品質管理上の測定値が食い違って裁判に持ち込まれた場合、上記要件をみたすことが公正な裁判の判断基準となる。
8)生産ライン、出荷検査、あるいは受け入れ検査などで、ある品物の合否を判定する基準となる規制、規格、仕様の数値特性および測定手順をデータファイルとして所持し、上記要件を満たす測定機器でそれに応じて実行して合否判定する。
9)不合格の場合は、何故不合格であったかを分析することにより、品質の改善につながる。
10)合格の場合は、どのように合格であったかを分析することにより過剰品質によるコスト削減につながる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の測定結果の信頼性向上方法及びシステムは、測定機器内蔵の基準器の校正を、上位校正機関に依頼して行う。測定機器が双方向通信機能を備えて、上位校正機関による遠隔校正を受け入れる機能を持ち、遠隔校正によって測定機器内蔵の基準器を校正する機能を有する。
また、本発明の測定結果の信頼性向上方法及びシステムは、測定機器を校正する校正機器が、双方向通信機能を備え、上位校正機関による遠隔校正を受け入れる機能を持ち、遠隔校正によって校正機器が内蔵する基準器を校正し、それに基づいて測定機器を校正する機能を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、測定機器は校正経路(国家標準への遡源性)を明らかにし、測定値の中心値とその測定値がもつ不確かさを見積ることによって、測定機器の表示する数値に意味を持たせて、信頼性を確保出来る。
本発明は、従来の持込校正に替わって測定機器内蔵基準器あるいは校正機器内蔵基準器の校正に遠隔校正を取り入れることにより、校正点が被校正者側まで拡大され、かつ、オン・デマンド要求に応えられる。また、双方向通信機能を備えることにより、速やかに校正にかかわる計量標準の遡源性を明らかにし、校正証明書の発行が出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、例示に基づき本発明を説明する。ここでは、実施形態として二つの方法を提案する。
[第一の方法]:測定機器内蔵の基準器の遠隔校正+直線性自己校正(セルフキャリブレーション)
図1は、測定結果の信頼性を向上させる方法及び機器(1−1)を説明する図である。測定機器が双方向通信機能を備え、遠隔校正を受け入れる機能(上位校正機関との通信・制御機能、基準器の自動校正機能)を持ち、測定機器内蔵の基準器を校正する。基準器は、測定の基準を与えるものである(例えば、周波数カウンタの場合、10 MHzの水晶発振器)。校正事業者(上位校正機関)に校正を依頼し、或いは、校正事業者を経由せずに直接国家計量標準機関に校正を依頼することも可能である。測定機器は周囲環境を測定する機能を持ち、その環境条件におけるオフセットを除去(測定の零点を自己補正)する機能を持ち、実施する。また、測定機器は、測定範囲全体にわたる直線性(基準値と測定値の比)の自己校正(セルフキャリブレーション)機能をもち、実施する。
【0014】
図2は、測定結果の信頼性を向上させる方法及び機器(1−2)を説明する図である。図2の測定機器は、図1に示した機能に加えて、不確かさ算出機能及びトレーサビリティー表示機能を有している。不確かさ算出機能は、測定機器の測定結果として、測定中心値および測定値の統計処理、および図1を参照して上記した種々の機能による機器依存性不確かさを加えた不確かさを算出する。トレーサビリティー表示機能は、校正のトレーサビリティーを明らかにする。
【0015】
図3は、測定結果の信頼性を向上させる方法及び機器(1−3)を説明する図である。図3の測定機器は、図2に示した機能に加えて、合否判定機能を有している。合否判定機能は、単に測定値のみでなく、測定値の不確かさやトレーサビリティーも要求する規制、規格、仕様のデータベースを持ち、その条件を満たすように測定手順を実行し、合否を判定する。
【0016】
図4は、測定結果の信頼性を向上させる方法及び機器(1−4)を説明する図である。図4の測定機器は、図3に示した機能に加えて、合格、不合格分析および報告機能を有している。この不合格分析及び合格分析について、それぞれ図9及び図10を参照して説明する。
【0017】
図9は、不合格分析を例示する図である。合否を判定した結果、不合格であった場合は、規制、規格、仕様などのどの項目が不合格であったかを分析し、必要があればその不合格項目を細分して構成要素にまで遡ることが出来、その結果を測定者あるいは顧客に報告する機能を備える。製造業者の品質改善につながる重要情報を提供することになる。更に、不合格項目の参照欄を起動すれば不合格結果に誤りはないかを監視できる。
【0018】
図10は、合格分析を例示する図である。合否を判定した結果、合格と判定された場合、合格の中でも規制、規格、仕様などの求められる数値特性に近い(優れた)順にクラス分けして、その結果を測定者あるいは顧客に報告する機能を備える。製造業者に過剰品質によるコスト削減につながる重要情報を提供することになる。更に、合格欄のある項目を起動すれば、測定値の分布により合格であっても過剰品質でないかどうかが分かり、品質とコストのバランスを監視できる。
【0019】
図11は、製造プロセス監視を説明する図である。上述した機能は、製造プロセスの監視にも適用できる。すなわち、ある製品の認証に際して、その製品を製造する工程毎の監視を、上述した機能をもつ測定機器で行うことにより、認証を簡素化する事ができる。
以上に説明した第一の方法は、測定機器の中に校正機能を組み込むものであり、測定の前に迅速な校正が可能である。しかし、第一の方法ではその測定機器のもつ精度以上の精度で自己校正(セルフキャリブレーション)出来ないという欠点を有する。
【0020】
[第ニの方法]:校正機器内蔵の基準器の遠隔校正+測定機器校正
図5は、測定結果の信頼性を向上させる方法及び機器(2−1)を説明する図である。校正事業者の持つ校正機器が双方向通信機能を備え、遠隔校正を受け入れる機能(上位校正機関との通信・制御機能、基準器の自動校正機能)を持ち、測定機器を校正する。この校正機器により測定機器の全測定範囲を校正する。
【0021】
図6は、測定結果の信頼性を向上させる方法及び機器(2−2)を説明する図である。測定機器は、図5に示す機能に加えて、不確かさ算出機能及びトレーサビリティー表示機能を有している。不確かさ算出機能は、測定機器の測定結果として、測定中心値および測定値の統計処理、および図5に示した機能による機器依存性不確かさを加えた不確かさを算出する。トレーサビリティー表示機能は、校正のトレーサビリティーを明らかにする。
【0022】
図7は、測定結果の信頼性を向上させる方法及び機器(2−3)を説明する図である。図7に示す測定機器は、さらに、合否判定機能を有している。合否判定機能は、単に測定値のみでなく、測定値の不確かさやトレーサビリティーも要求する規制、規格、仕様のデータベースを持ち、その条件を満たすように測定手順を実行し、合否を判定する。
【0023】
図8は、測定結果の信頼性を向上させる方法及び機器(2−4)を説明する図である。図8に示す測定機器は、さらに、合格、不合格分析および報告機能を有している。
不合格であった場合は、上述した図9に示すように、規制、規格、仕様などのどの項目が不合格であったかを分析し、必要があればその不合格項目を細分して構成要素にまで遡ることが出来、その結果を測定者あるいは顧客に報告する機能を備える。製造業者の品質改善につながる重要情報を提供することになる。更に、不合格項目の参照欄を起動すれば不合格結果に誤りはないかを監視できる。
【0024】
合格と判定された場合、上述した図10に示すように、合格の中でも規制、規格、仕様などの求められる数値特性に近い(優れた)順にクラス分けして、その結果を測定者あるいは顧客に報告する機能を備える。製造業者に過剰品質によるコスト削減につながる重要情報を提供することになる。更に、合格欄のある項目を起動すれば、測定値の分布により合格であっても過剰品質でないかどうかが分かり、品質とコストのバランスを監視できる。
【0025】
上記機能は、製造プロセスの監視にも適用できる。すなわち、ある製品の認証に際して、図11に示すように、製品を製造する工程の監視を上記した機能をもつ測定機器で行うことにより、認証を簡素化する事ができる。
以上説明した第二の方法は、測定機器の持つ精度より1桁以上高精度の校正を行うことが出来る。ただ、校正機器のある場所に測定機器を持ち込んで校正しなければならないという不便さがある。第一と第二のどちらの方法も、従来の持込校正に替わって測定機器内蔵基準器あるいは校正機器内蔵基準器の校正に遠隔校正を取り入れている。これは、遠隔校正による以下の特徴を有している。
【0026】
1)校正点が被校正者側まで拡大される。
(上位校正機関の校正に対する保証責任が被校正者側まで拡大される。すなわち、上位校正機関から被校正者までの仲介標準器の輸送、環境変化にかかわる不確かさの増大までを含めて上位校正機関が校正値を保証する。)
【0027】
2)オン・デマンド要求に応えられる。すなわち、校正周期ごとに校正するのではなく、校正の必要が生ずる度ごとに校正することにより、基準器の経時ドリフトを最小にできる。
・周波数に関連する量目(周波数、時間、時刻、直流電圧、長さのうち周波数に関連付けられるものなど)は、信号(GPS信号など)を仲介標準器と見做すことが出来るのでリアルタイム性がある。
・周波数に関連付けられない量目は、要求に応じてコンパクトかつ安定性のある物理的あるいは化学的仲介標準器を上位校正機関から顧客に宅急便などで迅速に輸送する。)
を生かすものである。遠隔校正の一つの具体的事例がe-traceである。
【0028】
3)上記の第一、第二の方法とも双方向通信機能を備えており、速やかに校正にかかわる計量標準の遡源性を明らかにし、校正証明書の発行が出来る。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】測定結果の信頼性を向上させる方法、及び機器(1−1)を説明する図である。
【図2】測定結果の信頼性を向上させる方法、及び機器(1−2)を説明する図である。
【図3】測定結果の信頼性を向上させる方法、及び機器(1−3)を説明する図である。
【図4】測定結果の信頼性を向上させる方法、及び機器(1−4)を説明する図である。
【図5】測定結果の信頼性を向上させる方法、及び機器(2−1)を説明する図である。
【図6】測定結果の信頼性を向上させる方法、及び機器(2−2)を説明する図である。
【図7】測定結果の信頼性を向上させる方法、及び機器(2−3)を説明する図である。
【図8】測定結果の信頼性を向上させる方法、及び機器(2−4)を説明する図である。
【図9】不合格分析を例示する図である。
【図10】合格分析を例示する図である。
【図11】製造プロセス監視を説明する図である。
【図12】従来の測定結果の信頼性保証法を説明する図である。
【図13】遠隔校正の技術的概念を説明する図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定機器内蔵の基準器の校正を、上位校正機関に依頼して行う測定結果の信頼性向上方法において、
測定機器が双方向通信機能を備えて、上位校正機関による遠隔校正を受け入れる機能を持ち、
遠隔校正によって測定機器内蔵の基準器を校正することを特徴とする測定結果の信頼性向上方法。
【請求項2】
前記測定機器は周囲環境を測定する機能を持ち、その環境条件におけるオフセットを除去して、測定の零点を自己補正する請求項1に記載の測定結果の信頼性向上方法。
【請求項3】
前記測定機器は、測定範囲全体にわたる基準値と測定値の比の直線性を自己校正する請求項2に記載の測定結果の信頼性向上方法。
【請求項4】
前記測定機器は、測定値の統計的不確かさおよび測定機器依存性不確かさを加えた総合的不確かさを算出する請求項3に記載の測定結果の信頼性向上方法。
【請求項5】
国家計量標準に至る計量標準のトレーサビリティー履歴を記録し、求めに応じて出力できることによって測定結果の信頼性を明示する請求項1〜4のいずれかに記載の測定結果の信頼性向上方法。
【請求項6】
顧客の要望に応じて任意の校正経路および測定精度を設定する請求項1〜4のいずれかに記載の測定結果の信頼性向上方法。
【請求項7】
測定値のみでなく測定値の不確かさやトレーサビリティーも要求する規制、規格、仕様のデータを格納し、その条件を満たすように測定手順を実行し、測定対象の数値特性の合否を判定する請求項1〜6のいずれかに記載の測定結果の信頼性向上方法。
【請求項8】
前記合否の判定が不合格とされた場合、規制、規格、仕様などのどの項目が不合格であったかを分析し、必要があればその不合格項目を細分して構成要素にまで遡ることが出来、その結果を報告する請求項7に記載の測定結果の信頼性向上方法。
【請求項9】
前記合否の判定が合格とされた場合、合格の中でも規制、規格、仕様などの求められる数値特性に近い順にクラス分けして、その結果を報告する請求項7に記載の測定結果の信頼性向上方法。
【請求項10】
測定機器内蔵の基準器の校正を、上位校正機関に依頼して行う測定結果の信頼性向上方法において、
測定機器を校正する校正機器が、双方向通信機能を備え、上位校正機関による遠隔校正を受け入れる機能を持ち、
遠隔校正によって校正機器が内蔵する基準器を校正し、それに基づいて測定機器を校正することを特徴とする測定結果の信頼性向上方法。
【請求項11】
測定値の統計的不確かさおよび校正結果の不確かさを加えた総合的不確かさを算出する請求項10に記載の測定結果の信頼性向上方法。
【請求項12】
国家計量標準に至る計量標準のトレーサビリティー履歴を記録し、求めに応じて出力できることによって測定結果の信頼性を明示できる請求項10又は11に記載の測定結果の信頼性向上方法。
【請求項13】
顧客の要望に応じて任意の校正経路および測定精度を設定する請求項10〜12のいずれかに記載の測定結果の信頼性向上方法。
【請求項14】
測定値のみでなく測定値の不確かさやトレーサビリティーも要求する規制、規格、仕様のデータを格納し、その条件を満たすように測定手順を実行し、合否を判定する請求項10〜13のいずれかに記載の測定結果の信頼性向上方法。
【請求項15】
前記合否の判定が不合格とされた場合、規制、規格、仕様などのどの項目が不合格であったかを分析し、必要があればその不合格項目を細分して構成要素にまで遡ることが出来、その結果を報告する請求項14に記載の測定結果の信頼性向上方法。
【請求項16】
前記合否の判定が合格とされた場合、合格の中でも規制、規格、仕様などの求められる数値特性に近い順にクラス分けして、その結果を報告する請求項14に記載の測定結果の信頼性向上方法。
【請求項17】
測定機器内蔵の基準器の校正を、上位校正機関に依頼して行う測定結果の信頼性向上システムにおいて、
測定機器が双方向通信機能を備えて、上位校正機関による遠隔校正を受け入れる機能を持ち、
遠隔校正によって測定機器内蔵の基準器を校正する機能を有することを特徴とする測定結果の信頼性向上システム。
【請求項18】
測定機器内蔵の基準器の校正を、上位校正機関に依頼して行う測定結果の信頼性向上システムにおいて、
測定機器を校正する校正機器が、双方向通信機能を備え、上位校正機関による遠隔校正を受け入れる機能を持ち、
遠隔校正によって校正機器が内蔵する基準器を校正し、それに基づいて測定機器を校正する機能を有することを特徴とする測定結果の信頼性向上システム。
【請求項1】
測定機器内蔵の基準器の校正を、上位校正機関に依頼して行う測定結果の信頼性向上方法において、
測定機器が双方向通信機能を備えて、上位校正機関による遠隔校正を受け入れる機能を持ち、
遠隔校正によって測定機器内蔵の基準器を校正することを特徴とする測定結果の信頼性向上方法。
【請求項2】
前記測定機器は周囲環境を測定する機能を持ち、その環境条件におけるオフセットを除去して、測定の零点を自己補正する請求項1に記載の測定結果の信頼性向上方法。
【請求項3】
前記測定機器は、測定範囲全体にわたる基準値と測定値の比の直線性を自己校正する請求項2に記載の測定結果の信頼性向上方法。
【請求項4】
前記測定機器は、測定値の統計的不確かさおよび測定機器依存性不確かさを加えた総合的不確かさを算出する請求項3に記載の測定結果の信頼性向上方法。
【請求項5】
国家計量標準に至る計量標準のトレーサビリティー履歴を記録し、求めに応じて出力できることによって測定結果の信頼性を明示する請求項1〜4のいずれかに記載の測定結果の信頼性向上方法。
【請求項6】
顧客の要望に応じて任意の校正経路および測定精度を設定する請求項1〜4のいずれかに記載の測定結果の信頼性向上方法。
【請求項7】
測定値のみでなく測定値の不確かさやトレーサビリティーも要求する規制、規格、仕様のデータを格納し、その条件を満たすように測定手順を実行し、測定対象の数値特性の合否を判定する請求項1〜6のいずれかに記載の測定結果の信頼性向上方法。
【請求項8】
前記合否の判定が不合格とされた場合、規制、規格、仕様などのどの項目が不合格であったかを分析し、必要があればその不合格項目を細分して構成要素にまで遡ることが出来、その結果を報告する請求項7に記載の測定結果の信頼性向上方法。
【請求項9】
前記合否の判定が合格とされた場合、合格の中でも規制、規格、仕様などの求められる数値特性に近い順にクラス分けして、その結果を報告する請求項7に記載の測定結果の信頼性向上方法。
【請求項10】
測定機器内蔵の基準器の校正を、上位校正機関に依頼して行う測定結果の信頼性向上方法において、
測定機器を校正する校正機器が、双方向通信機能を備え、上位校正機関による遠隔校正を受け入れる機能を持ち、
遠隔校正によって校正機器が内蔵する基準器を校正し、それに基づいて測定機器を校正することを特徴とする測定結果の信頼性向上方法。
【請求項11】
測定値の統計的不確かさおよび校正結果の不確かさを加えた総合的不確かさを算出する請求項10に記載の測定結果の信頼性向上方法。
【請求項12】
国家計量標準に至る計量標準のトレーサビリティー履歴を記録し、求めに応じて出力できることによって測定結果の信頼性を明示できる請求項10又は11に記載の測定結果の信頼性向上方法。
【請求項13】
顧客の要望に応じて任意の校正経路および測定精度を設定する請求項10〜12のいずれかに記載の測定結果の信頼性向上方法。
【請求項14】
測定値のみでなく測定値の不確かさやトレーサビリティーも要求する規制、規格、仕様のデータを格納し、その条件を満たすように測定手順を実行し、合否を判定する請求項10〜13のいずれかに記載の測定結果の信頼性向上方法。
【請求項15】
前記合否の判定が不合格とされた場合、規制、規格、仕様などのどの項目が不合格であったかを分析し、必要があればその不合格項目を細分して構成要素にまで遡ることが出来、その結果を報告する請求項14に記載の測定結果の信頼性向上方法。
【請求項16】
前記合否の判定が合格とされた場合、合格の中でも規制、規格、仕様などの求められる数値特性に近い順にクラス分けして、その結果を報告する請求項14に記載の測定結果の信頼性向上方法。
【請求項17】
測定機器内蔵の基準器の校正を、上位校正機関に依頼して行う測定結果の信頼性向上システムにおいて、
測定機器が双方向通信機能を備えて、上位校正機関による遠隔校正を受け入れる機能を持ち、
遠隔校正によって測定機器内蔵の基準器を校正する機能を有することを特徴とする測定結果の信頼性向上システム。
【請求項18】
測定機器内蔵の基準器の校正を、上位校正機関に依頼して行う測定結果の信頼性向上システムにおいて、
測定機器を校正する校正機器が、双方向通信機能を備え、上位校正機関による遠隔校正を受け入れる機能を持ち、
遠隔校正によって校正機器が内蔵する基準器を校正し、それに基づいて測定機器を校正する機能を有することを特徴とする測定結果の信頼性向上システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−275328(P2008−275328A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−115614(P2007−115614)
【出願日】平成19年4月25日(2007.4.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.宅急便
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月25日(2007.4.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.宅急便
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】
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