説明

測定装置、中継装置、遠隔制御システムおよび測定方法

【課題】患者に装着され、測定データに対して複数種類の演算を行う測定装置の演算処理を遠隔操作により変更する。
【解決手段】測定端末4は、患者の動作または健康状態についての測定データを生成するセンサー41と、予め設定された複数種類の演算のうちの少なくとも1つを示す演算命令を設定端末から受信する通信部47と、センサー41が生成した測定データに対して複数種類の演算を行うことにより複数種類の演算結果を出力でき、演算命令が示す演算を測定データに対して行う演算部44とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者に装着された測定装置を遠隔制御する遠隔制御システム、および遠隔制御可能な測定装置、遠隔制御システムに含まれる中継装置に関する。
【背景技術】
【0002】
加速度センサーを有する振動測定機器では、例えばゼロクロス、活動量、歩数、バランスなどの計測が可能であり、LED(Light Emitting Diode)、PD(Photodiode)などの光測定機器では、たとえば脈拍、血圧、SpO2などの計測が可能である。このように、加速度センサーやLED、PDなどの測定装置を適切に患者に装着し、当該測定装置の測定データに対する演算処理方法を複数設定すれば、測定装置の測定データから複数の健康指標の項目を出力することができる。
【0003】
このような測定装置を患者に装着させ、医師等が患者の様子を遠隔から確認するシステムが提案されている。例えば、特許文献1に記載の身体動作センシング装置では、患者の身体に装着された運動センシングモジュールによって、身体各部の動作を検出し、消費カロリー、歩数や歩行距離などを算出する。そして、身体動作センシング装置は、算出した情報に基づいて、多数の中から適切な指示信号を抽出し、その指示信号を医師用モニターなどに出力する。
【0004】
この身体動作センシング装置によって、患者は、自身の身体を動かすことにより自分の意思を医師等に伝えることが可能になるとともに、医師等は、遠隔地から患者の異常を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−198110号公報(2001年7月24日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記従来の構成では、医師等が必要な情報を得るために測定装置の演算処理を遠隔地より選択することはできないため利便性が低いという問題が生ずる。特許文献1には、消費カロリーのみを演算して出力するか、歩数のみを演算して出力するかを医師等が指定できる構成は記載されていない。
【0007】
また、患者に装着した測定装置の測定結果から、すべての項目の健康指標を算出すれば、患者の健康状態がより網羅的に把握可能である。しかし、すべての項目を算出すると、測定装置から取得するデータの計算処理アルゴリズムが異なったり、フィルタの種類が異なったりして、最大で、その項目数に相当する演算を並行して行うことになり、消費電力が増す。このため一度の充電によって計測可能な時間が少なくなるという問題が生じる。
【0008】
また、一般的に上述の測定装置は、人体等に装着して計測を行い続けるために小型化され、そのデータ蓄積能力(データ保存領域)が低く抑えられているため、あまり重要でない項目も記録すれば、蓄積データが増えることで最大測定期間が短縮されるという問題が生じる。
【0009】
なお、特許文献1の発明では、多数の指示信号の中から適切な1つまたは複数の指示信号を所定のプログラムによって出力するため、診断に必要な詳細な時系列情報が破棄されるという問題も生じる。
【0010】
このような問題を解決するために、健康指標の項目を患者が自由に変更選択できる構成とすると、医師等が必要とするデータの取得が中止されたり変更されたりする恐れがある。少なくとも医師等がそのデータを必要とする期間は、患者によって設定が変更されることを防ぎたいという要求がある。また、患者が測定装置の取り扱いに不慣れな高齢者等である場合、医師等によって指示されたように設定しようとしても、その設定を誤る場合がある。
【0011】
また、医師等が、個別の項目を専用に計測する測定装置(例えばゼロクロスのみ計測可能)を患者毎に配布して診断をする形態では、途中で測定項目を変更するとき、患者は、来院する必要が生じ、患者宅が病院から離れていれば負担が大きい。定期的な通院でも測定装置の取替え作業が発生し、医師等の負担が増大する。
【0012】
また、別の解決策として、測定項目を自動で切り換えるアルゴリズムを用いることも考えられるが、アルゴリズムの作成が困難な場合や、アルゴリズムに基づいて算出される項目以外の項目を医師等が計測したい場合も有り得る。
【0013】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、患者に装着され、測定データに対して複数種類の演算を行う測定装置の演算処理を遠隔操作により変更することができる遠隔制御システム、測定装置および中継装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る測定装置は、上記の課題を解決するために、患者に装着される測定装置であって、上記患者の動作または健康状態についての測定データを生成する測定部と、予め設定された複数種類の演算のうちの少なくとも1つを示す演算命令を外部の装置から受信する演算命令受信部と、上記測定部が生成した測定データに対して上記複数種類の演算を行うことにより複数種類の演算結果を出力でき、上記演算命令受信部が受信した演算命令が示す演算を上記測定部が生成した測定データに対して行う演算部とを備えることを特徴としている。
【0015】
本発明に係る測定方法は、上記の課題を解決するために、患者に装着される測定装置における測定方法であって、上記患者の動作または健康状態についての測定データを生成する測定工程と、予め設定された複数種類の演算のうちの少なくとも1つを示す演算命令を外部の装置から受信する演算命令受信工程と、上記複数種類の演算のうち、上記演算命令受信工程において受信した演算命令が示す演算を上記測定工程において生成した測定データに対して行う演算工程とを含むことを特徴としている。
【0016】
上記の構成によれば、測定装置は患者に装着されるものであり、測定部は、その患者の動作または健康状態についての測定データを生成する。演算命令受信部は、予め設定された複数種類の演算のうちの少なくとも1つを示す演算命令を外部の装置から受信する。演算部は、測定部が生成した測定データに対して予め設定された複数種類の演算を行うことにより複数種類の演算結果を出力できるものであり、演算命令受信部が受信した演算命令が示す演算を測定データに対して行う。
【0017】
それゆえ、測定装置において可能な演算のうち、必要な演算のみを行わせるように外部の装置から当該測定装置を制御することができる。その結果、測定装置において不要な演算処理が行われることを防止でき、測定装置における処理量および電力消費量を低減できるとともに、測定装置において演算結果を格納する記憶部が短期間で容量不足になることを防止できる。
【0018】
上記測定部は、加速度センサーを備え、上記演算部は、上記加速度センサーの測定データに対して複数種類の演算を行うことが好ましい。
【0019】
上記複数種類の演算には、上記加速度センサーの出力波形のゼロクロスを算出する演算、上記患者の活動量を算出する演算、上記患者の歩数を算出する演算および上記患者のバランス状態を算出する演算のうちの少なくとも一部が含まれていることが好ましい。
【0020】
上記の構成によれば、測定部が加速度センサーを備えていることにより、患者の動作に伴う加速度データを取得でき、その加速度データを解析することができる。この加速度データに対する演算として、加速度センサーの出力波形のゼロクロスを算出する演算、患者の活動量を算出する演算、患者の歩数を算出する演算および患者のバランス状態を算出する演算のうちの少なくとも一部が行われる。
【0021】
それゆえ、1つの加速度データに対して複数種類の演算を行うことにより、出力波形のゼロクロス、患者の活動量、患者の歩数、患者のバランス状態のうち、必要な健康指標を得ることができる。
【0022】
本発明に係る中継装置は、上記測定装置と上記外部の装置とを中継する中継装置であって、上記演算命令を上記外部の装置から受信する演算命令受信部と、上記演算命令受信部が受信した演算命令を上記測定装置へ送信する演算命令送信部とを備えることを特徴としている。
【0023】
上記の構成によれば、演算命令受信部は、演算命令を外部の装置から受信し、演算命令送信部は、演算命令受信部が受信した演算命令を測定装置へ送信する。
【0024】
それゆえ、外部の装置から送信された演算命令を測定装置へ転送できる。
【0025】
また、上記中継装置は、上記演算結果を上記測定装置から受信する演算結果受信部と、上記演算結果受信部が受信した演算結果を上記外部の装置へ送信する演算結果送信部とをさらに備えることが好ましい。
【0026】
上記の構成によれば、演算結果受信部は、演算結果を測定装置から受信し、演算結果送信部は、演算結果受信部が受信した演算結果を外部の装置へ送信する。
【0027】
それゆえ、測定装置から送信された演算結果を外部の装置へ転送できる。
【0028】
また、上記中継装置は、上記演算結果通信部が受信した演算結果を表示する表示部をさらに備えることが好ましい。
【0029】
上記の構成により、中継装置が備える表示部により、測定装置の演算結果を表示することができる。それゆえ、測定装置が装着された患者に測定装置の演算結果を示すことができる。
【0030】
本発明に係る遠隔制御システムは、上記測定装置と、上記演算命令を上記測定装置へ送信する、上記外部の装置としての設定装置とを含むことを特徴としている。
【0031】
上記の構成により、測定装置において可能な演算のうち、必要な演算のみを行わせるように設定装置から当該測定装置を制御することができる。
【0032】
また、上記測定装置は、上記演算部の演算結果を上記設定装置へ送信する演算結果送信部をさらに備え、上記設定装置は、上記演算結果送信部が送信した演算結果を受信する演算結果受信部を備えることを特徴としている。
【0033】
上記の構成によれば、設定装置から測定装置へ演算命令が送信され、測定装置において複数種類の演算のうちの少なくとも1つを行うように当該測定装置が設定装置によって制御される。測定装置の演算結果送信部は、演算部の演算結果を設定装置へ送信し、設定装置の演算結果受信部は、その演算結果を受信する。
【0034】
それゆえ、測定装置の演算結果を設定装置において取得することができ、測定装置が装着された患者の健康状態を遠隔から観察することができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明に係る測定装置は、以上のように、患者の動作または健康状態についての測定データを生成する測定部と、予め設定された複数種類の演算のうちの少なくとも1つを示す演算命令を外部の装置から受信する演算命令受信部と、上記測定部が生成した測定データに対して上記複数種類の演算を行うことにより複数種類の演算結果を出力でき、上記演算命令受信部が受信した演算命令が示す演算を上記測定部が生成した測定データに対して行う演算部とを備える構成である。
【0036】
本発明に係る測定方法は、患者に装着される測定装置における測定方法であって、上記患者の動作または健康状態についての測定データを生成する測定工程と、予め設定された複数種類の演算のうちの少なくとも1つを示す演算命令を外部の装置から受信する演算命令受信工程と、上記複数種類の演算のうち、上記演算命令受信工程において受信した演算命令が示す演算を上記測定工程において生成した測定データに対して行う演算工程とを含む構成である。
【0037】
それゆえ、測定装置において可能な演算のうち、必要な演算のみを行わせるように外部の装置から当該測定装置を制御することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態に係る測定端末の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る遠隔制御システムの構成を示す図である。
【図3】測定端末が加速度センサーを備える場合に算出可能な項目の一例とその算出方法を示す図である。
【図4】上記遠隔制御システムに含まれる中継端末の構成を示すブロック図である。
【図5】上記遠隔制御システムに含まれる設定サーバーの構成を示す図である。
【図6】上記設定サーバーのデータベースに格納されているユーザー情報および測定端末の設定情報を示す図である。
【図7】上記遠隔制御システムに含まれる設定端末の構成を示すブロック図である。
【図8】上記遠隔制御システムにおいて、測定端末の算出項目を変更する処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【図9】中継端末における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図10】設定端末の表示部に表示されるGUIの一例を示す図である。
【図11】中継端末および測定端末として機能する携帯電話の外観を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の実施の一形態について図1〜図11に基づいて説明すれば、以下のとおりである。本発明は、人体のバイタルデータや生体活動に係るデータを取得可能なセンサーを有する測定端末の機能の選択を医者等が遠隔から行い、患者の健康状態の把握に役立たせることを目的としている。本実施の形態では、患者の様態を観察する医師、看護士または医療従事者(以下、医師等と称する)が、遠隔の患者に装着された測定端末における演算処理を切り換えることにより、必要な健康状態の指標を取得する遠隔制御システム100について説明する。
【0040】
(遠隔制御システム100の構成)
図2は、本実施の形態の遠隔制御システム100の構成を示す図である。同図に示すように、遠隔制御システム100は、設定端末(設定装置)1、設定サーバー2、中継端末(中継装置)3、測定端末(測定装置)4、配布サーバー5を備えている。
【0041】
測定端末4は、患者の身体に装着され、当該患者の動作または健康状態を測定し、得られた1つの測定データに対して複数種類の演算を行うことにより複数種類の演算結果(算出結果)を出力できる測定装置である。換言すれば、測定端末4は、単一のセンサーを保有している場合でも、取得した生データに対して所定の異なる複数の信号処理を行うことで、異なる複数の健康指標を算出可能なものである。
【0042】
この測定端末4は、中継端末3との間で測定データなどの情報交換が可能であり、特に、自装置における測定データに対する演算処理の種類を指定または変更する設定変更命令(演算命令)を中継端末3から受信する。最初に測定端末4の設定を行うときに送信される命令は、「設定命令」と称する方が好ましいが、以下では、主に設定の変更を行う場合の処理について説明するため、「設定変更命令」という名称を用いることにする。
【0043】
中継端末3は、測定端末4と設定端末1とを、設定サーバー2を介して中継する中継装置であり、通信ネットワーク6に接続されている。この中継端末3は、例えば、設定サーバー2から送信された設定変更命令を測定端末4へ転送するとともに、測定端末4から送信された演算結果(および測定データ)を設定サーバー2へ転送する。中継端末3は、患者(換言すれば、測定端末4)の周辺に配置される装置であり、例えば、携帯電話やテレビである。
【0044】
設定端末1は、医師等によって操作される端末装置であり、設定サーバー2が保持する測定端末4の情報を閲覧でき、測定端末4の設定を行うことができるものである。この設定端末1は、設定変更命令を、設定サーバー2および中継端末3を介して測定端末4へ送信することにより、測定端末4における演算処理の種類を設定または変更する。
【0045】
図2には、測定端末4は1つ示されているが、1つの設定端末1によって複数の測定端末4の設定を行ってもよい。
【0046】
設定サーバー2は、通信ネットワーク6に接続することにより、設定端末1から送信された設定変更命令を中継端末3へ転送するとともに、中継端末3から送信された演算結果(および測定データ)を設定端末1へ転送する。
【0047】
通信ネットワーク6としては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。
【0048】
配布サーバー5は、中継端末3において実行されるアプリケーション、および中継端末3および測定端末4のファームウェアを保持し、Web(World Wide Web)サーバーやFTP(File Transfer Protocol)サーバーとして機能する。この配布サーバー5は、中継端末3から要求されたアプリケーションおよびファームウェアを当該中継端末3へ送信する。
【0049】
なお、配布サーバー5と設定サーバー2とは同一のサーバーでもよい。また、測定端末4によって生成された測定データおよび演算データを保存する蓄積サーバーを設け、蓄積サーバーと設定端末1、中継端末3および測定端末4とを通信可能に接続してもよい。この構成により、設定端末1、中継端末3および測定端末4から比較的容易に測定データおよび演算データを閲覧または利用することができる。
【0050】
また、測定端末4の設定の制御を行うためのソフトウェアを設定端末1にインストールすることで、設定サーバー2を介さずに測定端末4の設定を行う構成にしてもよい。
【0051】
(測定端末4の構成)
図1は、測定端末4の構成を示すブロック図である。同図に示すように、測定端末4は、センサー(測定部)41、主制御部42、記憶部46、通信部(演算命令受信部、演算結果送信部)47を備えている。これら各部は、バスによって通信可能に接続されている。
【0052】
センサー41は、患者の動作または健康状態についての測定データ(計測データ)を生成する測定部であり、例えば、加速度センサー、角速度センサーまたは光測定機器である。
【0053】
センサー41が加速度センサーの場合には、センサー41は、患者の胸ポケット、腰、手首または足首に装着され、患者の動作によって生じる加速度を測定する。センサー41は、重力加速度を測定できるものでもよい。
【0054】
センサー41が、患者の脈拍、SpO2および血圧を測定可能な光測定機器の場合には、センサー41は患者の指、腕等に装着される。光測定機器としてのセンサー41は、LED(発光素子)およびPD(受光素子)(不図示)を備えており、LEDから検出光を出射し、指または腕の動脈を透過、および反射した検出光をPDで受光し、受光量を示す測定データを生成する。
【0055】
なお、SpO2の計測には2つのLED(例えば、波長が940nmと660nmとのLED)が必要となる。また、血圧に関しては、一般に2点の検出光から脈波伝播速度を求め、この速度から血圧を推定できる。また、特開2003−10139号公報に記載されているように1点においても、血圧の推定が可能な技術も知られている。
【0056】
主制御部42は、測定端末4における各種の処理を制御するプロセッサであり、センサー41および通信部47に対して制御命令を送信する。この主制御部42は、設定情報取得部43、演算部44、測定データ取得部45を備えている。
【0057】
設定情報取得部43は、通信部47を介して中継端末3から設定変更命令(演算命令)を受信すると、その設定変更命令を記憶部46に格納するとともに、当該設定変更命令を受信した旨を演算部44に通知する。
【0058】
演算部44は、センサー41が生成した測定データに対して複数種類の演算を行うことにより複数種類の演算結果を出力できるものであり、通信部47が受信した設定変更命令が示す演算を上記測定データに対して行う。センサー41が加速度センサーの場合、演算部は、加速度センサーの測定データに対して複数種類の演算を行う。この場合、上記複数種類の演算には、加速度センサーの出力波形のゼロクロスを算出する演算、測定端末4が装着された患者の活動量を算出する演算、上記患者の歩数を算出する演算および上記患者のバランス状態を算出する演算のうちの少なくとも一部が含まれている。
【0059】
この演算部44は、演算結果を記憶部46に格納するとともに、通信部47を介して、当該演算結果を中継端末3へ送信する。この演算結果は、例えば、グラフ、数値、文字、表またはそれらの組み合わせとして表現されている。それゆえ、中継端末3へ送信される演算結果は、例えば、グラフを示す画像データ、数値または文字を示すテキストデータ、テーブル形式のデータまたはそれらの組み合わせである。
【0060】
センサー41が光測定機器の場合には、演算部44は、受光量(またはその変化)を示す測定データを解析することにより脈拍、SpO2、血圧のうち、設定変更命令が示す項目(すなわち、設定端末1で指定された項目)のみを算出する。
【0061】
測定データ取得部45は、センサー41が格納した測定データを記憶部46から取得し、演算部44へ出力する。
【0062】
記憶部46は、センサー41で生成された測定データおよび演算部44が利用する計算処理プログラムを保持し、演算部44による演算結果(演算データ)を格納する。この記憶部46は、ハードディスク、フラッシュメモリなどの不揮発性の記憶装置によって構成される。
【0063】
通信部47は、中継端末3との通信を行うソフトウェアおよびハードウェアであり、通信機構モジュール(ドライバを含む)である。この通信部47は、特に、予め設定された複数種類の演算のうちの少なくとも1つを示す設定変更命令(演算命令)を、中継端末3を介して設定端末1から受信するとともに、演算部44の演算結果を、中継端末3を介して設定端末1へ送信する。この通信部47は、インターネットへの接続が可能なものでもよいし、Bluetooth(登録商標)通信、IEEE802.11無線やZigBee(登録商標)などの無線通信を行えるものでもよいし、中継端末3とUSB(universal serial bus)接続などの有線接続ができる有線通信部であってもよい。なお、通信部47は、外部の装置との通信制御を行うI/Oコントローラとしての機能も備えている。
【0064】
(演算処理の種類)
次に、センサー41が、重力加速度の測定が可能な加速度センサーである場合に、演算部44が行う演算処理について説明する。図3は、測定端末4が加速度センサーを備える場合に算出可能な項目の一例とその算出方法を示す図である。
【0065】
同図に示すように、1つ目の算出項目はゼロクロスである。例えば0.0g(重力加速度)付近に閾値を設けて、加速度センサーからの出力波形がこの閾値を単位時間当たりに交差する回数をゼロクロスとする。この場合、演算部44は、単位時間内に生波形が閾値を交差する回数をカウントする演算を行う。
【0066】
2つ目の算出項目は、活動量である。同様に0.0gを示す横軸と加速度センサーの波形とで囲まれた領域の面積を活動量とする。この場合、演算部44は、単位時間内の生波形の絶対値の積分値(すなわち、上記領域の面積)を算出する。
【0067】
3つ目の算出項目は歩数である。人間の足が地面に着地したときの衝撃振動の回数を歩数とする。この場合、演算部44は、衝撃振動時に生じる生波形のピークを特定し、そのピークの出現回数をカウントする。
【0068】
4つ目の算出項目はバランスである。この場合、演算部44は、前後方向および左右方向の生波形を単位時間ごとに抽出し、抽出した生波形を、前後方向および左右方向のそれぞれについて平均し、前後方向および左右方向のDC成分の強度をそれぞれ示す2軸によって規定される平面に、平均したDC成分の値をプロットする。演算部44は、DC成分の値がプロットされた座標平面を示す図を演算結果として中継端末3へ送信する。
【0069】
第1〜3算出項目は、加速度センサーの波形のAC(交流)成分に対する演算を行うことで算出可能であるが、第4算出項目はDC(直流)成分が対象となる。また、第1〜3算出項目は、それぞれ、適切な帯域の波形に対して演算するため、個別のフィルタを用いることになる。例えばゼロクロスについては、米国A.M.I社製アクティグラフの例を用いると、睡眠と覚醒とを判定可能なCole式(Cole RJ, Kripke DF, Gruen W, Mullaney DJ, Gillin JC. Automatic sleep/wake identification from wrist activity. Sleep. 1992 Oct;15(5):461-9)が適用可能な2-3Hzのフィルタを用いることができる。また、第3算出項目の歩数の算出には、より高周波数成分を通過可能なフィルタが必要となる。歩数の算出には種々のアルゴリズムが考案されているが、発明の本質とは直接関係がないため、ここでは詳細については述べない。
【0070】
(中継端末3の構成)
図4は、中継端末3の構成を示すブロック図である。同図に示すように中継端末3は、主制御部31、第1通信部(演算命令受信部、演算結果送信部)36、第2通信部(演算命令送信部、演算結果受信部)37、記憶部38、表示部39、操作部40を備えている。
【0071】
(主制御部31)
主制御部31は、中継端末3の機能ブロックをそれぞれ制御するものであり、記憶部38に格納されたOS(Operating System)プログラムを実行することにより、中継端末3において実行されるソフトウェアの実行環境を提供する。OSとしては、一般的なWindows(登録商標)、Linuxなどを利用可能であり、OS上にJava(登録商標)(Sun Microsystems社)などの仮想実行環境のプラットフォームを設けてもよいし、Widget Engine(ウィジェットエンジン)などの環境を設けてもよい。
【0072】
この主制御部31は、設定情報管理部32、アプリケーション・ファームウェア取得部33、アプリケーション実行部34、演算データ管理部35を備えている。
【0073】
(設定情報管理部32)
設定情報管理部32は、所定の時間に、または所定の時間間隔で設定サーバー2に対して、測定端末4における算出項目に変更がないかどうかの問い合わせを行う。算出項目に変更がある場合、設定情報管理部32は、算出項目の変更を示す設定変更情報を、第1通信部36を介して受信し、当該設定変更情報が示す設定の変更を命じる設定変更命令を、第2通信部37を介して測定端末4へ送信する。なお、設定端末1から設定変更命令が送信された場合、設定情報管理部32は、送信された設定変更命令そのものを受信し、当該設定変更命令を、第2通信部37を介して測定端末4へ送信してもよい。
【0074】
設定情報管理部32は、設定変更情報または設定変更命令を記憶部38に格納する。
【0075】
(アプリケーション・ファームウェア取得部33)
アプリケーション・ファームウェア取得部33は、配布サーバー5から、アプリケーション実行部34が実行するアプリケーションおよび測定端末4のファームウェアを取得する。例えば配布サーバー5は、Web(Word Wide Web)サーバーやFTP(File Transfer Protocol)サーバーとして稼動する場合は、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)のクライアントコマンド、またはFTPのクライアントコマンドを発行する。アプリケーション・ファームウェア取得部33は、これらクライアントコマンドを利用して個別のアプリケーションファイルまたはファームウェアファイルを取得する。
【0076】
取得するアプリケーションおよびファームウェアは、設定端末1で選択されるので、アプリケーション・ファームウェア取得部33は、設定端末1からの命令を取得する機能も備えている。
【0077】
すなわち、アプリケーション・ファームウェア取得部33は、設定端末1からの命令に従って配布サーバー5からアプリケーションファイルまたはファームウェアファイルを取得する。アプリケーション・ファームウェア取得部33は、取得したアプリケーションファイルまたはファームウェアファイルを記憶部38に格納する。
【0078】
測定端末4のファームウェアを取得した場合には、アプリケーション・ファームウェア取得部33は、取得したファームウェアを、第2通信部37を介して測定端末4へ書き込み転送する。それゆえ、アプリケーション・ファームウェア取得部33は、ファームウェア転送部としても機能する。
【0079】
なお、アプリケーション・ファームウェア取得部33は、設定端末1のユーザーである医師等ではなく、患者である測定端末4のユーザーの指示に従って配布サーバー5からアプリケーションファイルまたはファームウェアファイルを取得してもよい。この場合の患者の指示は、中継端末3に対して入力されてもよいし、測定端末4に対して入力されてもよい。
【0080】
また、アプリケーションファイルおよびファームウェアファイルの取得に関して、専用の演算を可能にする一群のファイルをまとめて取得できるように、取得モードを予め設定しておいてもよい。取得モードとして、例えば、一般ユーザーモード、健保モード、病院患者モード、研究用実験モードなどを挙げることができる。これらのモードは、測定端末4において専用の演算を行う演算モードでもある。
【0081】
一般ユーザーモードは、健康に関心を持つ一般の人が、自身の運動状態などを把握するために利用するモードであり、比較的単純な解析(歩数や活動量などの算出)を行うモードである。健保モードは、歩数など日常の健康維持に有用な情報を得るためのモードである。病院患者モードは、通院している患者が、自身が患っている疾患の治療に利用する情報を得るためのモードである。研究用実験モードは、研究者が実験データを得るためのモードであり、生波形を高頻度で送信し続けるモードである。
【0082】
病院患者モードまたは健保モードでは、ゼロクロスから推測される活動パターンを躁鬱の診断などに用いることができる。一般ユーザーが通院を始めると、一般ユーザーモードを病院患者モード、健保モードまたは研究用実験モードに変更して、医師のもと研究用や診断用のデータを得ることができる。
【0083】
このようにモード毎に複数のファイルをまとめて取得することにより、各モードで動作する測定端末4を容易に実現できる。また、測定端末4において実行される演算処理のモードを切り換えることで、コードが減りメモリ使用量を削減できる。
【0084】
ただし、患者が測定端末4の演算モードを切り換えることにより、医師等が必要する演算が行われなくなることを避けなければならない。そのため、特定の演算(必須演算と称する)が行われなくなる演算モードへの切り換えを禁じるために、測定端末4の設定情報取得部43が中継端末3から取得する設定変更命令に、必須演算を指定する情報を含めておくことが好ましい。そして、測定端末4のユーザーが演算モードを切り換える操作を行ったときに、設定情報取得部43は、ユーザーが実行することを命じた演算モードによって、設定変更命令が示す必須演算が行えるかどうかを判定し、必須演算を行えないと判定した場合に、演算モードの切り換えを中止することが好ましい。この場合、設定情報取得部43は、ユーザーが指定した演算モードへの切り換えを許可するかどうかを判定する演算モード切り換え判定部として機能する。
【0085】
また、患者が中継端末3に対して演算モードの切り換え指示を入力する場合には、演算モードの切り換えを許可するかどうかの判定をアプリケーション・ファームウェア取得部33が行ってもよい。すなわち、アプリケーション・ファームウェア取得部33を演算モード切り換え判定部として機能させてもよい。
【0086】
測定端末4の演算モードを切り換えた場合には、その旨を示す情報を測定端末4(または中継端末3)から設定サーバー2へ送信し、後述する設定サーバー2の設定情報管理部23は、当該情報に基づいて、データベース25に格納されている測定端末4の設定情報を変更する。
【0087】
(アプリケーション実行部34)
アプリケーション実行部34は、記憶部38に格納されたアプリケーションファイルを読み出して実行する。アプリケーション実行部34で実行されるアプリケーションは、測定端末4において行われる測定および演算に特化したアプリケーションである。
【0088】
測定端末4がセンサー41として加速度センサーを有する場合、アプリケーション実行部34は、図3で示した各算出項目についての演算結果を示すグラフ等を表示部39に表示する。
【0089】
例えば、ゼロクロスを表示する場合には、長期の生活リズムを可視化するためにダブルプロットが用いられる。ダブルプロットは概日時計(体内時計)の研究に使用され、活動の変化が見やすいように二日分のデータが一日目と同じX軸上に描画される。歩数を示す場合には、折れ線グラフや棒グラフが用いられる。測定端末4がLED,PDを備えており、脈拍やSPO2を測定するものである場合は、歩数と同じように折れ線グラフや棒グラフが用いられる。グラフのほかにメッセージを表示したり、カレンダーなどを表示したりしてもよい。
【0090】
このように、アプリケーション実行部34は、自装置と通信可能な測定端末4における測定結果および演算結果を中継端末3において表示するために特化したアプリケーションを実行する。
【0091】
上述したように記憶部38には、設定変更情報または設定変更命令が格納されており、アプリケーション実行部34は、この設定変更情報または設定変更命令を参照し、設定変更情報または設定変更命令が示す演算処理に対応するアプリケーションを実行する。1つのアプリケーションで複数種類の演算結果を表示可能な場合には、アプリケーション実行部34は、設定変更情報または設定変更命令が示す演算処理に対応する演算結果(算出項目)を表示するための表示設定を行う。これにより例えば、ゼロクロスのみ表示してその他の算出項目は表示しないなどとすることが可能となる。
【0092】
(演算データ管理部35)
演算データ管理部35は、測定端末4から送信された演算結果(算出結果)を、第2通信部37を介して取得し、記憶部38に格納するとともに、当該演算結果を、第1通信部36および設定サーバー2を介して設定端末1へ送信する。
【0093】
第1通信部36は、設定サーバー2および配布サーバー5との間で通信を行うソフトウェアおよびハードウェアであり、通信機構モジュール(ドライバを含む)である。この第1通信部36は、例えば、インターネットへの接続が可能なものであるが、通信部47と同様に、その他の無縁/有線通信部であってもよい。
【0094】
(その他の機能ブロック)
第2通信部37は、測定端末4との間で通信を行うソフトウェアおよびハードウェアであり、通信機構モジュール(ドライバ含む)である。各アプリケーションから測定端末4への通信命令等はドライバが提供する関数を通して行う。この第2通信部37は、例えば、Bluetooth(登録商標)通信を行うものであるが、第1通信部36と同様に、その他の無縁/有線通信部であってもよい。
【0095】
第1通信部36と第2通信部37とは、別々の通信部であってもよいし、これらを同種の通信部とする場合には、1つの通信部に統合してもよい。
【0096】
記憶部38は、ハードディスク、フラッシュメモリなどの不揮発性の記憶装置によって構成される。
【0097】
表示部39は、測定端末4の測定データおよび演算結果を表示可能な表示装置であり、例えば、液晶ディスプレイである。
【0098】
操作部40は、ユーザーが中継端末3の種々の設定を行うための部材であり、例えば、操作ボタンである。
【0099】
(設定サーバー2の構成)
図5は、設定サーバー2の構成を示す図である。同図に示すように、設定サーバー2は、主制御部21、通信部24、データベース25を備えている。
【0100】
通信部24は、設定端末1および中継端末3との通信を行う通信装置であり、例えば、インターネットへの接続が可能なものであるが、その他の無縁/有線通信部であってもよい。
【0101】
データベース25は、測定端末4が装着された患者の情報であるユーザー情報と、当該測定端末4の設定情報とを対応付けて格納する記憶部である。測定端末4の設定情報には、当該測定端末4で算出可能な算出項目の全ての情報と、その時点で測定端末4において有効とされている算出項目を示す情報とが含まれている。
【0102】
主制御部21は、設定サーバー2の各部を制御するものであり、インターフェース構築部22および設定情報管理部23を備えている。
【0103】
インターフェース構築部22は、設定端末1に対してユーザーインターフェースを提供する。ユーザーインターフェースを構築するためのコンポーネントは、予めデータベース25に格納されている。
【0104】
設定情報管理部23は、通信部24を介して設定端末1から設定変更命令を受信すると、受信した設定変更命令に従って、データベース25に格納された測定端末4の設定情報を書き換える。具体的には、設定情報管理部23は、設定変更命令が示す演算処理の種類に対応するように、設定情報に含まれている演算処理の種類を書き換える。
【0105】
なお、設定情報管理部23は、設定端末1から設定変更命令を受信すると、受信した設定変更命令を中継端末3へ転送してもよい。
【0106】
(ユーザー情報・設定情報の詳細)
図6は、データベース25に格納されているユーザー情報および測定端末4の設定情報を示す図である。同図に示すように、ユーザー情報および測定端末4の設定情報は、測定端末管理テーブルとしてデータベース25に格納されている。この測定端末管理テーブルには、測定端末4が装着されるユーザーの名前、測定端末4の名称(デバイス名)、測定端末4と接続されている中継端末3のアドレスおよび測定端末4の設定情報が含まれている。測定端末4の設定情報は、図6では、「機能と設定」の欄に記載されている。
【0107】
中継端末3のアドレスとは、各中継端末3に固有のアドレスであり、設定端末1および設定サーバー2から中継端末3へ設定変更命令などの情報を送信するときの送信先を示すアドレスである。中継端末3には、当該中継端末3に接続されている測定端末4のアドレスが格納されているため、中継端末3へ設定変更命令を送信すれば、最終的に測定端末4へその設定変更命令が送信される。
【0108】
なお、1つの中継端末3に複数の測定端末4が接続されている場合には、測定端末管理テーブルに、中継端末3のアドレスに加え、測定端末4を識別可能な情報(例えば、測定端末4に固有のアドレスまたは識別子)を登録しておけばよい。
【0109】
設定端末1の設定者(医師等)は、これらユーザー情報および測定端末4の情報を、設定端末1の表示部14に表示されたブラウザを通して閲覧可能であり、機能と設定の項目に記載のように、それぞれの算出項目が有効か無効かの状態を確認でき、ラジオボタンによって、有効か無効かの状態を変更可能である。
【0110】
患者である測定端末4のユーザーは、その健康状態によってグルーピングされ、このグループに属するユーザーにそれぞれ装着された複数の測定端末4の設定を一度にまとめて設定・変更可能である。ユーザー名は、個人を特定できるものであればよく、ユーザーIDを用いてもよい。
【0111】
中継端末3の設定情報管理部32は、所定の時間に、または所定の時間間隔で、設定サーバー2に対して、測定端末4の設定情報に変更があったかどうかの問い合わせを行う。この場合、中継端末3は、ユーザー名またはユーザーIDを用いて問合せを行ってもよいし、自身または測定端末4のIDを用いて問合せを行ってもよい。
【0112】
また、測定端末管理テーブルには、測定端末4を装着した患者によって、演算処理を有効にするか無効にするかの設定の変更(ON/OFF)ができない演算処理を特定する情報(設定変更無効情報)が記録されていてもよい。この設定変更無効情報は、設定端末1のユーザーによって書き換え可能である。
【0113】
この場合、中継端末3は、患者が中継端末3を操作することにより演算処理の設定を変更しようとしたとき(特に、無効にしようとしたとき)、当該演算処理の設定の変更(特に、無効化)が認められているかどうかを設定サーバー2に問い合わせる。設定サーバー2の設定情報管理部23は、測定端末管理テーブルに含まれる設定変更無効情報を参照し、当該演算処理の設定の変更(特に、無効化)が認められていなければ、その設定の変更を許可しない旨の命令を中継端末3へ送信する。
【0114】
中継端末3は、設定の変更を許可しない旨の命令を受け取ると、表示部39に設定の変更ができないことを示すメッセージを表示する。
【0115】
なお、このような設定変更無効情報を設定端末1から測定端末4へ予め送信しておき、測定端末4の設定情報取得部43は、測定端末4のユーザーが、測定端末4に対して演算処理を無効にする操作を行った場合に、その演算処理の無効化を行うかどうかを、記憶部46に格納されている設定変更無効情報を参照することにより判定してもよい。
【0116】
このような構成により、測定端末4のユーザーが特定の演算処理の変更を行うことを防止することができ、設定端末1のユーザーである医師等は、必要な演算結果を確実に得ることができる。
【0117】
(設定端末1の構成)
図7は、設定端末1の構成を示すブロック図である。同図に示すように、設定端末1は、主制御部11、表示部14、通信部(演算結果受信部)15、操作部16、記憶部17を備えている。
【0118】
主制御部11は、設定端末1の各機能ブロックを制御するものであり、表示制御部12、設定変更命令生成部13を備えている。
【0119】
表示制御部12は、設定サーバー2から送信されたユーザーインターフェース構築用のデータを用いて、測定端末4の設定を行うためのユーザーインターフェースを表示部14に表示する。
【0120】
設定変更命令生成部13は、操作部16を用いて入力された指示に従って、測定端末4の設定を変更することを命じる設定変更命令を生成し、生成した設定変更命令を、通信部15を介して設定サーバー2へ送信する。
【0121】
表示部14は、測定端末4の設定を行うためのユーザーインターフェースを表示する表示装置であり、例えば、液晶ディスプレイである。
【0122】
通信部15は、設定サーバー2との通信を行うソフトウェアおよびハードウェアであり、通信機構モジュール(ドライバを含む)である。この通信部15は、特に、設定変更命令を送信するとともに、演算部44の演算結果を受信するものであり、例えば、インターネットへの接続が可能なものであるが、その他の無縁/有線通信部であってもよい。
【0123】
操作部16は、ユーザーの指示を受け付ける入力装置であり、例えば、マウスおよびキーボートである。
【0124】
記憶部17は、主制御部11が実行する(1)各部の制御プログラム、(2)OSプログラム、(3)アプリケーションプログラム、および、(4)これらプログラムを実行するときに読み出す各種データを記録するものである。記憶部17は、ハードディスク、フラッシュメモリなどの不揮発性の記憶装置によって構成される。
【0125】
(遠隔制御システム100における処理の流れ)
図8は、遠隔制御システム100において、測定端末4の算出項目を変更する処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0126】
設定端末1のユーザーが、測定端末4およびそのユーザーの情報を設定サーバー2に要求する場合、設定端末1から設定サーバー2へ上記情報を要求する命令が送信される。
【0127】
この要求を受信すると、設定サーバー2の設定情報管理部23は、データベース25に格納された測定端末管理テーブルを参照し、要求された情報を、通信部24を介して設定端末1へ送信する。
【0128】
中継端末3の設定情報管理部32は、所定の時間間隔で設定サーバー2に対して、測定端末4の設定情報に変更がないかどうかの問い合わせを行う。
【0129】
設定サーバー2の設定情報管理部23は、データベース25に格納された測定端末管理テーブルを参照し、測定端末4の設定情報に変更があるかどうかを示す情報を中継端末3へ送信する。
【0130】
設定端末1のユーザー(設定者)が、特定の患者に装着された測定端末4における算出項目を変更(例えば、歩数からゼロクロスへ変更)するための入力操作を操作部40を用いて行った場合、設定変更命令生成部13は、ユーザーの指示に従って設定変更命令を生成し、設定サーバー2へ送信する。設定サーバー2は、その設定変更命令に従い測定端末管理テーブルに含まれる、算出項目に関する設定情報を変更する。
【0131】
中継端末3の設定情報管理部32は、設定サーバー2に対して問い合わせを行ったときに、測定端末4の設定情報に変更がある旨の情報を取得すると、設定変更の対象となる測定端末4にその変更を命じる設定変更命令を送信する。このとき、設定情報管理部32は、設定端末1からの設定変更命令の内容を確認するために、設定変更命令の内容を示す情報(設定変更情報)または設定変更命令そのものを設定サーバー2の設定情報管理部23から取得する。
【0132】
設定変更命令は、例えば、歩数を算出する演算からゼロクロスを算出する演算へ変更することを命じるものである。
【0133】
中継端末3から設定変更命令を受信すると、測定端末4の設定情報取得部43は、設定変更命令を受信した旨を演算部44に通知する。演算部44は、受信した設定変更命令が示す演算をセンサー41の測定データに対して行えるように、演算のためのアルゴリズムを変更する。例えば、演算部44は、歩数を算出する演算からゼロクロスを算出する演算へ変更する。
【0134】
この変更が完了すると、設定情報取得部43は、演算方法の変更が終了したことを示す設定変更完了通知を、通信部47を介して中継端末3へ送信する。
【0135】
中継端末3のアプリケーション実行部34は、設定変更完了通知を受信すると、表示部39に表示するグラフを、設定変更後の算出項目に適したものに変更する。例えば、算出項目が歩数からゼロクロスへ変更された場合には、アプリケーション実行部34は、表示部39に表示するグラフを、歩数用のグラフからゼロクロスのグラフ表示に切り換える。
【0136】
(中継端末3における処理の流れ)
図9は、中継端末3における処理の流れの一例を示すフローチャートである。同図に示すように、設定情報管理部32は、定期的に設定サーバー2に対して、測定端末4の設定情報に変更がないかどうかの問い合わせを行う。設定情報に変更があれば(S1にて、YES)、中継サーバーは、設定変更の対象となる測定端末4に演算方法の変更を命じる設定変更命令を送信する(S2)。
【0137】
設定情報に変更がない場合は(S1にて、NO)、設定情報管理部32は、所定の時間待機し(S9)、再度設定サーバー2に対して問合せを行う(S1に戻る)。
【0138】
設定変更命令を送信した後、アプリケーション実行部34は、表示部39に表示するグラフを、設定変更後の算出項目に適したものに変更する(S3)。すなわち、アプリケーション実行部34は、算出項目の結果を可視化するグラフを、設定変更後の算出項目の結果(演算データ)が測定端末4から送信される前に、設定変更後の算出項目に適したものに最適化しておく。
【0139】
なお、グラフの表示様式の変更は、図8に示すように、設定変更完了通知を受信した後に行ってもよい。
【0140】
測定端末4から設定変更完了通知を受け取ると(S4にて、YES)、設定情報管理部32は、測定端末4の設定変更が完了した旨を示す情報を、第1通信部36および設定サーバー2を介して設定端末1へ送信する(S5)。
【0141】
一方、設定変更完了通知を所定の時間内に受け取れない場合は(S4にて、NO)、設定情報管理部32は、測定端末4の設定変更ができなかった旨を示す情報を、第1通信部36および設定サーバー2を介して設定端末1へ送信する(S6)。
【0142】
測定端末4から設定変更後の演算結果を受け取ると(S7にて、YES)、その演算結果を、予め最適化しておいたグラフを用いて、表示部39に表示する(S8)。
【0143】
(設定端末1の表示画面の一例)
図10は、設定端末1の表示部14に表示されるグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)の一例を示す図である。図10に示す「項目数」は、その測定端末4が同時に並行して取得可能な算出項目の数であり、プルダウンを選択することにより、「機能と設定」の欄で選択できる算出項目の数が決まる。
【0144】
「機能と設定」の欄では、何を計測するかの選択をグラフなどを見ながら選択できる。設定ボタンを押すことで、測定端末4に設定変更命令が送信され、測定端末4における演算方法が変更される。設定ボタンを押したが測定端末4の設定が行われなかった場合には、その旨を示すメッセージ等が表示される。
【0145】
また、算出項目がゼロクロスであればダブルプロットのグラフ、算出項目が歩数であれば棒グラフ、算出項目がバランスであればX―Y座標グラフが、表示部14に簡易的に表示される。例えば、ゼロクロスと歩数とを計測している場合は、そのうちの一方(例えば、ゼロクロス)を代表して表示する。このグラフをクリックすると、詳細なグラフ画面が出現する。複数の種類の測定データがある場合には、この出現した画面で表示するグラフを切り換えればよい。
【0146】
なお、設定端末1を操作して測定端末4が装着されるユーザー(患者)を追加する処理については本発明の本質でないため、詳細な説明は省くが、設定端末1から設定サーバー2に対してユーザーを追加する命令を送信すればよい。
【0147】
(測定端末4および中継端末3の変更例)
中継端末3と測定端末4とを同一の端末装置として実現してもよい。この場合、上記同一の端末装置は、例えば、携帯電話、携帯ゲーム機、PDA(personal digital assistant)である。ここでは、上記同一の端末装置として、3軸の加速度センサーが組み込まれた携帯電話50について説明する。
【0148】
図11は、携帯電話50の外観を示す概略図である。携帯電話50aでは、歩数およびカロリーの演算処理が有効化され、歩数(棒グラフ)およびカロリー(折れ線グラフ)のグラフが表示部51に表示されている。
【0149】
一方、携帯電話50bでは、バランスの演算処理が有効化され、バランス用のグラフが表示部51に表示されている。
【0150】
中継端末3と測定端末4とを同一の端末装置として実現する場合には、通信部47および第2通信部37は不要であり、主制御部42と主制御部31とを統合すればよい。
【0151】
(遠隔制御システム100の効果)
以上のように、測定端末4における測定方法は、測定端末4が装着された患者の動作または健康状態についての測定データを生成する測定工程と、予め設定された複数種類の演算のうちの少なくとも1つを示す演算命令を設定端末1から受信する演算命令受信工程と、上記複数種類の演算のうち、上記演算命令受信工程において受信した演算命令が示す演算を上記測定工程において生成した測定データに対して行う演算工程とを含んでいる。
【0152】
それゆえ、遠隔制御システム100では、患者は自ら測定端末4の設定を変更する必要が無くなり、医者等は遠隔から測定端末4の設定を変更し、所望の健康指標(算出項目)を即時に得ることができる。また、測定端末4は、複数の算出項目のうち、指定された算出項目のみを算出すればよいため、複数の算出項目の全てを算出する場合よりも演算に伴う処理量を低減でき、消費電力を低減できる。
【0153】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0154】
また、上述した設定端末1、設定サーバー2、中継端末3および測定端末4の各ブロック、特に主制御部11、主制御部21、主制御部31、主制御部42は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0155】
すなわち、設定端末1、設定サーバー2、中継端末3および測定端末4は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである設定端末1、設定サーバー2、中継端末3および測定端末4の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記設定端末1、設定サーバー2、中継端末3および測定端末4に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0156】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0157】
また、設定端末1、設定サーバー2、中継端末3および測定端末4を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR(high data rate)、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0158】
なお、本発明は、以下のようにも表現できる。
【0159】
すなわち、本発明の遠隔制御システムは、センサーを備え演算処理の違いによって複数の項目として出力可能な測定器と、通信媒体を介して測定器の演算処理を選択できる設定器とを有する構成であって、設定器によって演算処理が選択された後、その演算結果が設定器に表示されることを特徴としている。
【0160】
また、前記測定器に接続可能で表示部を備える計算処理機をさらに備え、前記計算処理機は、設定器からの設定文を測定器に伝達すると共に、設定文によって表示を変更し、測定器から受信したデータをその表示部に表示することが好ましい。
【0161】
また、前記測定器は、加速度センサーを備えることが好ましい。
【0162】
また、加速度センサーの出力が演算処理の違いによって少なくともゼロクロス、活動量、歩数、バランスのうち一つに変換されることができることが好ましい。
【0163】
また、測定器は、中継器の内部に含まれることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0164】
本発明は、患者に装着された測定装置を医師等が遠隔操作する医療用遠隔操作システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0165】
1 設定端末(設定装置)
3 中継端末(中継装置)
4 測定端末(測定装置)
15 通信部(演算結果受信部)
36 第1通信部(演算命令受信部、演算結果送信部)
37 第2通信部(演算命令送信部、演算結果受信部)
39 表示部
41 センサー(測定部)
44 演算部
47 通信部(演算命令受信部、演算結果送信部)
51 表示部
100 遠隔制御システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に装着される測定装置であって、
上記患者の動作または健康状態についての測定データを生成する測定部と、
予め設定された複数種類の演算のうちの少なくとも1つを示す演算命令を外部の装置から受信する演算命令受信部と、
上記測定部が生成した測定データに対して上記複数種類の演算を行うことにより複数種類の演算結果を出力でき、上記演算命令受信部が受信した演算命令が示す演算を上記測定部が生成した測定データに対して行う演算部とを備えることを特徴とする測定装置。
【請求項2】
上記測定部は、加速度センサーを備え、
上記演算部は、上記加速度センサーの測定データに対して複数種類の演算を行うことを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
上記複数種類の演算には、上記加速度センサーの出力波形のゼロクロスを算出する演算、上記患者の活動量を算出する演算、上記患者の歩数を算出する演算および上記患者のバランス状態を算出する演算のうちの少なくとも一部が含まれていることを特徴とする請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の測定装置と上記外部の装置とを中継する中継装置であって、
上記演算命令を上記外部の装置から受信する演算命令受信部と、
上記演算命令受信部が受信した演算命令を上記測定装置へ送信する演算命令送信部とを備えることを特徴とする中継装置。
【請求項5】
上記演算結果を上記測定装置から受信する演算結果受信部と、
上記演算結果受信部が受信した演算結果を上記外部の装置へ送信する演算結果送信部とをさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の中継装置。
【請求項6】
上記演算結果受信部が受信した演算結果を表示する表示部をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の中継装置。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の測定装置と、
上記演算命令を上記測定装置へ送信する、上記外部の装置としての設定装置とを含むことを特徴とする遠隔制御システム。
【請求項8】
上記測定装置は、上記演算部の演算結果を上記設定装置へ送信する演算結果送信部をさらに備え、
上記設定装置は、上記演算結果送信部が送信した演算結果を受信する演算結果受信部を備えることを特徴とする請求項7に記載の遠隔制御システム。
【請求項9】
患者に装着される測定装置における測定方法であって、
上記患者の動作または健康状態についての測定データを生成する測定工程と、
予め設定された複数種類の演算のうちの少なくとも1つを示す演算命令を外部の装置から受信する演算命令受信工程と、
上記複数種類の演算のうち、上記演算命令受信工程において受信した演算命令が示す演算を上記測定工程において生成した測定データに対して行う演算工程とを含むことを特徴とする測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−142966(P2011−142966A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−4430(P2010−4430)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】