説明

測定装置および方法

【課題】確実に対象物を検知する。
【解決手段】2周波CWレーダ1は、高速測定モードの測定処理を実行することで、高速測定結果Shを出力し、低速測定モードの測定処理を実行することで、低速測定結果Slを出力する。処理演算装置2は、2周波CWレーダ1からの高速測定結果Shを用いて所定の処理を実行し、受信信号の干渉が発生したと判断したとき、高速測定結果Shの代わりに、低速測定結果Slを参照して、所定の処理を続行することで、確実に測定対象物3を検知することができるようになる。本発明は、プリクラッシュシステム等の高応答システムに適用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置および方法に関し、特に、確実に対象物を検知することができるようにした測定装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自車と他車との間の相対速度や距離を測定するセンサとして、2周波CW(Continuous Wave)方式のセンサ(以下、2周波CWレーダと称する)が知られている(例えば特許文献1,2参照)。即ち、この2周波CWレーダは、送信信号の対象物での反射信号についてのドップラ信号の周波数(以下、ドップラ周波数と称する)や位相を検出し、その検出結果を用いて他車の相対速度や距離を測定する。
【0003】
自動車(自車)には、このような2周波CWレーダ等のセンサを用いて先行車(他車)との車間距離を一定に保ちながら自動追従できるACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)システムが搭載されている。また、近年では、このような2周波CWレーダ等のセンサを用いて自車と他車に衝突しそうであること(プリクラッシュ)を検知して衝突時に衝撃を軽減するためのプリクラッシュシステムが搭載されてきた。
【0004】
このように、自動車にはセンサからの信号を利用した用途の異なるシステムが複数搭載されるようになってきている。
【特許文献1】特許第3203600号公報
【特許文献2】特開2004−69693号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、車載レーダで対象物をとらえていると、路面からのマルチパスや対象物の表面形状による干渉により、電力が大きく変動する現象が発生する。対象物の相対位置を追跡しようとするとき、この電力変動が原因で追跡していた対象物の情報が見落とされ、対象物を見失ってしまう可能性がある。
【0006】
また、車載レーダを危険検知に用いる際には、例えば危険な領域に車両が存在し、危険であるとの判定をしなければならない状況にあっても、受信電力がフェージングや干渉により小さくなり、対象物に関する情報が得られなくなるという事態も発生していた。
【0007】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、例えば車両表面形状や路面によるマルチパス等により干渉が発生しても、確実に対象物を検知することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面の測定装置は、送信信号の対象物での反射信号についてのドップラ信号を用いるドップラ方式により前記対象物の測定を行う測定装置において、前記反射信号から採取された採取データに対して周波数解析を行い、その周波数解析結果を用いてドップラ方式による対象物の測定を行う測定モードとして、前記反射信号から前記採取データを取得する採取時間が第1の時間である第1の測定モードと、採取時間が第1の時間よりも長い第2の時間である第2の測定モードとを有し、前記第1の測定モードの測定処理を実行する第1の測定処理手段と、前記第2の測定モードの測定処理を実行する第2の測定処理手段と、前記第1の測定モードによる第1の測定結果を用いて所定の処理を実行する処理演算手段とを備え、前記第1の測定モードの測定処理と、前記第2の測定モードの測定処理とは、独立して並行して実行されており、前記処理演算手段は、前記反射信号の干渉が発生したと判断したとき、前記第1の測定結果の代わりに、前記第2の測定モードによる第2の測定結果を用いて所定の処理を実行する。
【0009】
これにより、例えば車両表面形状や路面によるマルチパス等により干渉が発生しても、ドップラ方式による測定処理の高速応答と精度とを両立させることができるようになり、その測定結果を利用する後段の処理を適切に実行できるようになる。
【0010】
例えば、ドップラ方式としては、2周波CW方式や、モノパルス方式等を採用できる。
【0011】
例えば、第1の測定処理手段と、第2の測定処理手段は、2周波CWレーダやモノパルス式レーダ(両方式の機能を含むレーダを含む)等で構成され、処理演算手段はマイクロコンピュータ等で構成される。
【0012】
前記処理演算手段は、前記反射信号の収束が発生したと判断したとき、前記第2の測定結果の代わりに、前記第1の測定結果を用いて所定の処理を実行する。
【0013】
前記処理演算手段は、前記第1の測定結果を用いて前記対象物の追跡処理を行い、追跡していた前記対象物の追跡ができなくなったとき、前記第1の測定結果の代わりに、前記第2の測定結果を用いて追跡処理を行う。
【0014】
前記処理演算手段は、測定された前記対象物の相対速度および距離に基づいて、前記対象物の追跡処理を行い、前記距離の変化の幅が所定の閾値より大きいとき、前記第1の測定結果の代わりに、前記第2の測定結果を用いて追跡処理を行う。
【0015】
これにより、例えば、通常の信号処理で得られた対象情報を基に追跡処理をする中で、急に対象物が検知できなくなった際には、検出性能の高い低速測定モードの演算結果または追跡結果を参照することで、対象物を見失うことなく追跡し続けることができる。
【0016】
前記処理演算手段は、前記反射信号の電力が所定の閾値を下回ったとき、前記第1の測定結果の代わりに、前記第2の測定結果を用いて所定の処理を実行する。
【0017】
これにより、例えば車両表面形状や路面のマルチパス等により干渉が発生し、電力が大きく変動する現象が発生しても、確実に対象物に関する情報を得ることができる。
【0018】
本発明の一側面の測定方法は、送信信号の対象物での反射信号についてのドップラ信号を用いるドップラ方式により前記対象物の測定を行う測定装置の測定方法において、前記反射信号から採取された採取データに対して周波数解析を行い、その周波数解析結果を用いてドップラ方式による対象物の測定を行う測定モードとして、前記反射信号から前記採取データを取得する採取時間が第1の時間である第1の測定モードと、採取時間が第1の時間よりも長い第2の時間である第2の測定モードとを有しており、前記第1の測定モードの測定処理を実行し、前記第2の測定モードの測定処理を実行し、前記第1の測定モードによる第1の測定結果を用いて所定の処理を実行するステップを含み、前記第1の測定モードの測定処理と、前記第2の測定モードの測定処理とは、独立して並行して実行され、前記反射信号の干渉が発生したと判断したとき、前記第1の測定結果の代わりに、前記第2の測定モードによる第2の測定結果を用いて所定の処理を実行する。
【0019】
これにより、例えば車両表面形状や路面によるマルチパス等により干渉が発生しても、ドップラ方式による測定処理の高速応答と精度とを両立させることができるようになり、その測定結果を利用する後段の処理を適切に実行できるようになる。
【0020】
例えば、ドップラ方式としては、2周波CW方式や、モノパルス方式等を採用できる。
【発明の効果】
【0021】
以上の如く、本発明の一側面によれば、例えば車両表面形状や路面によるマルチパス等により干渉が発生しても、確実に対象物を検知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0023】
ところで、本発明の発明者は、上述した従来の課題が発生する原因について解析し、その解析結果に基づいて、従来の課題を解決することが可能な測定システム(測定装置)を発明した。そこで、本実施の形態を説明する前に、その解析結果、即ち、従来の課題が発生する原因について説明する。
【0024】
はじめに、従来の課題が発生する原因の理解が容易なものとなるように、図1を参照して、車載レーダによる干渉の発生原因について説明する。
【0025】
図1の上側の模式図で示すように、車両(自車)に設けられたレーダ1は、自車の前方を走行する車両(他車)に対して送信する所定の周波数の送信信号と、その送信信号が他車から反射された反射信号(受信信号)とを利用して他車を認識するが、図中の複数の直線で表わしているように、他車の表面形状によって干渉が発生することがある。
【0026】
また、図1の下側の模式図で示すように、車両の走行している路面によるマルチパス等によっても、受信信号が互いに干渉することがある。
【0027】
ここで、これらの干渉が発生したときの受信信号の電力変動に注目すると、レーダ1により受信された受信信号による電圧値の時系列での変化は、図2に示すようになり、これを電力換算すると、図3に示すようになる。即ち、図3においては、他車の表面形状や、路面からのマルチパスによる干渉により、電力が大きく変動する現象が生じている。
【0028】
例えば、対象物を追跡する処理を行っているとき、受信信号の電力が大きく変動する現象が発生すると、この電力変動が原因で追跡している対象物の情報を見失ってしまう可能性がある。つまり、図1乃至図3を参照して説明したように、レーダ1により他車からの受信信号を取得する際、車両表面形状やマルチパスによる反射波間の干渉が原因となり、電力が変動する。電力が干渉により極小になる場合にはSN比(Signal to Noise ratio)が低下し、ターゲット情報を得ることができずに、対象物を見失ってしまうことがあった。即ち、従来の課題が発生してしまう。
【0029】
そこで、本発明の発明者は、このような従来の課題を解決するべく、次のような手法を発明した。即ち、本発明では、電力変動が時間軸に沿って起こることに着目し、電力変動が発生した際には、信号のサンプリング時間を長くとることで、電力が極小になる時間のデータのみを使用した演算を行わないようにする、という手法である。
【0030】
つまり、本発明では、応答性を重視した短時間サンプリングデータを用いた演算と同時に、長時間のサンプリングデータを用いた演算を行っておき、短時間サンプリングデータによる演算結果でSN比の低下によってターゲット情報を見失った際には、長時間サンプリングによる演算結果を用いて補完することとした。
【0031】
従って、以下、図4以降の図面を参照して、このような手法を適用した測定システムについて説明する。
【0032】
なお、かかる測定システムにおいて用いられるレーダ1としては、様々なレーダを用いることが可能であるが、本実施の形態では、2周波CW方式による測定を行うレーダ(以下、2周波CWレーダ1という)を採用した場合について説明する。
【0033】
図4は、本発明を適用した測定システムの一実施の形態の構成例を示している。
【0034】
図4の測定システムは、2周波CWレーダ1と、処理演算装置2とから構成されている。この処理演算装置2は、例えばマイクロコンピュータ等で構成することができる。
【0035】
2周波CWレーダ1は、その名称の如く、2周波CW方式による測定を行うことができる。
【0036】
ここで、2周波CW方式による測定の概略について説明する。
【0037】
2周波CWレーダ1は、周波数f1のCW(Continuous Wave)と、周波数f2のCWとを時分割で切り替えた結果得られる信号(以下、2周波CWと称する)を生成し、その2周波CWを送信信号Ssとして出力する。
【0038】
この送信信号Ssは測定対象物3において反射し、その反射信号が受信信号Srとして2周波CWレーダ1に受信される。
【0039】
このとき、2周波CWレーダ1と測定対象物3との間に相対速度vが存在すれば、送信信号Ssの周波数f1,f2のそれぞれに対してドップラ周波数△f1,△f2のそれぞれが発生し、その結果、受信信号Srの周波数は、周波数f1+△f1,f2+△f2となる。換言すると、2つの周波数f1+△f1,f2+△f2を有する2周波CWが、受信信号Srと等価な信号となる。
【0040】
そこで、2周波CWレーダ1は、この受信信号Srからドップラ周波数△f1または△f2を検出して、次の式(1)または式(2)の演算を行うことで、2周波CWレーダ1に対する測定対象物3の相対速度vを求めることができる。
【0041】
v = c × △f1 / (2 × f1) ・・・(1)
v = c × △f2 / (2 × f2) ・・・(2)
なお、cは光速を表している。
【0042】
また、2周波CWレーダ1は、ドップラ周波数△f1であるドップラ信号の位相φ1と、ドップラ周波数△f2であるドップラ信号の位相φ2とを、受信信号Srから検出して、次の式(3)の演算を行うことで、2周波CWレーダ1と測定対象物3との間の距離Lを求めることができる。
【0043】
L = c × (φ1 − φ2) / (4π × (f1 − f2)) ・・・(3)
【0044】
このような一連の処理により行われる測定が、2周波CW方式による測定である。
【0045】
また、上述したように、2周波CW方式では、ドップラ周波数△f1,△f2の検出や、それらに対応する位相φ1,φ2の検出が必要になる。この検出は、対応するドップラ信号に対して周波数解析処理、例えば、FFT(Fast Fourier Transform)解析処理(以下、単にFFTと称する)を施すことにより実現される。
【0046】
このFFTの精度を決定するひとつの要素は、FFTの対象となる波形(以下、処理対象波形と称する)のデータ量(アナログ波形で考えると波の個数)である。即ち、処理対象波形のデータ量が多くなるほど、FFTの精度は良くなることが知られている。換言すると、処理対象波形のデータ量が少なくなると、FFTの精度は悪くなるとも言える。
【0047】
そこで、本実施の形態では、2周波CW方式により相対速度や距離の測定処理を行う測定モードとして、FFTの処理時間がそれぞれ異なる複数の測定モード、即ち、FFTの処理対象波形(ドップラ周波数△f1,△f2のドップラ信号)からデータを採取する採取時間がそれぞれ異なる測定モードを設け、複数の測定モードの各測定処理とは独立して並行して実行させる手法(以下、複数FFTモード手法と称する)を採用している。
【0048】
なお、この複数FFTモード手法の発明については、本出願人は、特願2006−310603号として既に特許出願している。
【0049】
ところで、この場合における複数の測定モードの応答速度と精度は、FFTの各処理時間に依存する。即ち、FFTの処理時間が短い測定モードは、高速応答であるが低精度であるという特徴を有する。一方、FFTの処理時間が長い測定モードは、低速応答であるが高精度であるという特徴を有する。
【0050】
本実施の形態では、測定モードとして、次の第1の測定モードと第2の測定モードとを設けている。第1の測定モードとは、短時間の採取データから測定処理を行う測定モード、即ち、FFTの処理時間が短時間の測定モードをいう。一方、第2の測定モードとは、長時間の採取データから測定処理を行う測定モード、即ち、FFTの処理時間が長時間の測定モードをいう。
【0051】
以下、第1の測定モードを高速測定モードと称し、第2の測定モードを低速測定モードと称する。
【0052】
この高速測定モードと低速測定モードを使用する2周波CWレーダの一例が、図4の2周波CWレーダ1である。
【0053】
即ち、2周波CWレーダ1は、高速測定モードの測定処理として、受信信号Srからの短時間採取データを用いて測定対象物3の相対速度Vh、距離Lh、および電力Phを測定し、それらを含む信号Sh(以下、高速測定結果Shと称する)を生成して出力するまでの一連の処理を実行する。この高速モードの測定処理と並行して、2周波CWレーダ1は、低速測定モードの測定処理として、受信信号Srからの長時間採取データを用いて測定対象物3の相対速度Vl、距離Ll、および電力Plを測定し、それらを含む信号Sl(以下、低速測定結果Slと称する)を生成して出力するまでの一連の処理を実行する。
【0054】
図4に示されるように、この高速測定結果Shと低速測定結果Slとは、処理演算装置2に提供される。ただし、高速測定結果Shと低速測定結果Slとは必ずしも同時に処理演算装置2に提供される訳ではなく、それぞれ独立して、高速測定モードの毎回の測定処理毎に、高速測定結果Shがその都度処理演算装置2に提供され、また、低速測定モードの毎回の測定処理毎に、低速測定結果Slがその都度処理演算装置2に提供される。即ち、1つの低速測定結果Slが処理演算装置2に提供される間には、より多くの高速測定結果Shが処理演算装置2に提供されることになる。
【0055】
従って、処理演算装置2は、高速測定結果Shを用いて高速処理を実行する一方、低速測定結果Slを用いて高精度処理を実行することができる。
【0056】
このように、測定システムは、2周波CWレーダ1と処理演算装置2とから構成されるが、まず、図5乃至図7を用いて2周波CWレーダ1の一連の処理例の詳細について説明し、処理演算装置2の一連の処理例の詳細については、その後、図8乃至図14を用いて説明する。
【0057】
はじめに、図5を参照して、2周波CWレーダ1の詳細な構成について説明する。
【0058】
図5の例の2周波CWレーダ1は、発振部11乃至演算制御部24を含むように構成されている。
【0059】
発振部11は、演算制御部24の制御に基づいて、周波数f1のCWと周波数f2のCWとを交互に切り替えて発振する。即ち、周波数f1,f2を有する2周波CWが発振部11から出力され、増幅部12に提供される。
【0060】
増幅部12は、この2周波CWに対して増幅処理等の各種処理を適宜施して、分岐部13に提供する。
【0061】
分岐部13は、増幅部12からの2周波CW、即ち、周波数f1,f2を有する2周波CWを、増幅部14と混合部18とのそれぞれに提供する。
【0062】
増幅部14は、分岐部13からの2周波CW、即ち、周波数f1,f2を有する2周波CWを、増幅処理等の各種処理を適宜施し、その結果得られる信号を出力信号としてアンテナ部15に提供する。この増幅部14の出力信号が送信信号Ssとして、電波の形態でアンテナ部15から出力される。
【0063】
なお、2周波CWは、必要に応じて、所定の変調方式により変調された上で、送信信号Ssとして、アンテナ部15から出力される。この変調処理は、例えば増幅部14において実行されるとする。
【0064】
送信信号Ssは測定対象物3で反射し、その反射信号が受信信号Srとしてアンテナ部16に受信される。
【0065】
なお、図5の例では、送信用のアンテナ部15と受信用のアンテナ部16とが別個に設けられているが、送信用と受信用とを併用する1つのアンテナ部を設けるようにしてもよい。
【0066】
増幅部17は、アンテナ部16に受信された受信信号Srに対して、増幅処理等の各種処理を適宜施し、その結果得られる2周波CWを出力信号として混合部18に提供する。なお、増幅部14が変調処理を実行している場合には、増幅部17は、さらに、上述した2周波CWを得るために、その変調処理に対応する復調処理を実行する。
【0067】
この増幅部17から出力される2周波CW、即ち、受信信号Srから得られた2周波CWは、上述したように、周波数f1+△f1と、周波数f2+△f2とを有する。即ち、増幅部17からは、あたかも、周波数f1+△f1のCWと、周波数f2+△f2のCWとが時分割で交互に切り替えられて順次出力されることになる。
【0068】
混合部18は、この増幅部17から出力される2周波CW(周波数f1+△f1,f2+△f2を有する2周波CW)と、分岐部13から出力される2周波CW(周波数f1,f2を有する2周波CW)とを混合し、その結果得られる混合信号Smix、具体的には例えば図6に示される波形を有する混合信号Smixを、スイッチ部20に出力する。
【0069】
スイッチ部20は、切り替えタイミング部19の制御に基づいて、その出力先を、増幅部21−1と増幅部21−2とのうちの一方から他方へ切り替える。即ち、切り替えタイミング部19は、演算制御部24による発振部11の発振周波数f1,f2の切り替えタイミングを監視し、周波数がf2からf1に切り替えられるタイミングで、スイッチ部20の出力先を増幅部21−1側に切り替え、また、周波数がf1からf2に切り替えられるタイミングで、スイッチ部20の出力先を増幅部21−2側に切り替える。
【0070】
即ち、混合信号Smixのうちの、発振部11が周波数f1のCWを発振している間に混合部18から出力された信号は、スイッチ部20を介して増幅部21−1に提供されて増幅処理等の各種処理が適宜施され、さらに、ローパスフィルタ部22−1により高域成分(ノイズ等)が除去された上で、信号S△f1としてA/D変換部23に提供される。この信号S△f1が、ドップラ周波数△f1を有するドップラ信号である。
【0071】
一方、混合信号Smixのうちの、発振部11が周波数f2のCWを発振している間に混合部18から出力された信号は、スイッチ部20を介して増幅部21−2に提供されて増幅処理等の各種処理が適宜施され、さらに、ローパスフィルタ部22−2により高域成分(ノイズ等)が除去された上で、信号S△f2としてA/D変換部23に提供される。この信号S△f2が、ドップラ周波数△f2を有するドップラ信号である。
【0072】
即ち、図6に示されるように、混合部18から出力された混合信号Smixは、切り替えタイミング部19乃至ローパスフィルタ部22−2により、ドップラ周波数△f1を有するドップラ信号S△f1と、ドップラ周波数△f2を有するドップラ信号S△f2とのそれぞれに分離されて、A/D変換部23にそれぞれ提供される。
【0073】
A/D変換部23は、ドップラ周波数△f1を有するドップラ信号S△f1と、ドップラ周波数△f2を有するドップラ信号S△f2とのそれぞれに対して、A/D変換(Analog to Digital変換)処理を施し、その結果得られるデジタルのドップラ信号S△f1とドップラ信号S△f2とのそれぞれを演算制御部24に提供する。
【0074】
この演算制御部24の詳細な構成例が図7に示されている。図7の例では、演算制御部24は、制御部51乃至低速測定モード測定処理部54を含むように構成されている。
【0075】
制御部51は、演算制御部24内の制御を行う他、2周波CWレーダ1全体の制御、例えば上述したように、発振部11が発振するCWの周波数をf1とf2のうちの一方から他方へ切り替える制御等を行う。
【0076】
データ取得保持部52は、A/D変換部23からデジタルデータの形態で順次提供されてくる、ドップラ周波数△f1を有するドップラ信号S△f1と、ドップラ周波数△f2を有するドップラ信号S△f2とのそれぞれを個別に取得して保持する。なお、データ取得保持部52におけるデータの保持量は、後述する低速測定モード測定処理部54の1回の測定処理に必要なデータ量以上であれば、特に限定されない。
【0077】
高速測定モード測定処理部53は、時間TH(例えば50msec)の間にデータ取得保持部52に保持されたデータを利用して、測定処理を1回実行して、その結果得られる高速測定結果Shを出力する。このため、高速測定モード測定処理部53には、高速FFT部61と高速速度距離演算部62とが設けられている。
【0078】
高速FFT部61は、採取時間THの間にデータ取得保持部52に保持されたデータを採取する。即ち、ドップラ周波数△f1を有するドップラ信号S△f1と、ドップラ周波数△f2を有するドップラ信号S△f2とのそれぞれのデータのうちの、その直前の採取時間THの間にデータ取得保持部52により取得されて保持された分のデータが、高速FFT部61により採取される。
【0079】
すると、測定処理時間(演算時間)TCの間に、次のような測定処理が、高速FFT部61と高速速度距離演算部62とにより実行される。
【0080】
即ち、高速FFT部61は、この採取データ(採取時間TH分のドップラ信号S△f1やドップラ信号S△f2のそれぞれのデータ)に対して例えばFFT解析処理等を施すことで、ドップラ周波数△f1とその位相φ1を検出するとともに、ドップラ周波数△f2とその位相φ2を検出し、それぞれ高速速度距離演算部62に提供する。
【0081】
高速速度距離演算部62は、高速FFT部61からのドップラ周波数△f1を用いて上述した式(1)を演算するか、または、高速FFT部61からのドップラ周波数△f2を用いて上述した式(2)を演算し、その演算結果を測定対象物3の相対速度Vhとする。
【0082】
また、高速速度距離演算部62は、高速FFT部61からの位相φ1と位相φ2との差、即ち、位相差φ1−φ2を算出し、この位相差φ1−φ2を用いて上述した式(3)を演算し、その演算結果を測定対象物3の距離Lhとする。
【0083】
さらに、高速速度距離演算部62は、高速FFT部61によるFFT解析処理結果を用いて、下記の式(4)を演算し、その演算結果を電力Phとする。
【0084】
P = √ (R2+I2) ・・・(4)
なお、Pは電力、Rは実部、Iは虚部を表している。
【0085】
即ち、FFT解析処理により得られる値における、実部Rの2乗値と虚部Rの2乗値との和の平方根が、電力Phとなる。
【0086】
そして、高速速度距離演算部62は、相対速度Vh、距離Lh、および電力Phを含む高速測定結果Shを生成して、出力する。
【0087】
一方、低速測定モード測定処理部54は、時間THよりも長い時間TL(例えば450msec)の間にデータ取得保持部52に保持されたデータを利用して、測定処理を1回実行して、その結果得られる低速測定結果Slを出力する。このため、低速測定モード測定処理部54には、低速FFT部71と低速速度距離演算部72とが設けられている。
【0088】
低速FFT部71は、採取時間TLの間にデータ取得保持部52に保持されたデータを採取する。即ち、ドップラ周波数△f1を有するドップラ信号S△f1と、ドップラ周波数△f2を有するドップラ信号S△f2とのそれぞれのデータのうちの、その直前の採取時間TLの間にデータ取得保持部52により取得されて保持された分のデータが、低速FFT部71により採取される。
【0089】
すると、測定処理時間(演算時間)TCの間に、次のような測定処理が、低速FFT部71と低速速度距離演算部72とにより実行される。
【0090】
即ち、低速FFT部71は、この採取データ(採取時間TL分のドップラ信号S△f1やドップラ信号S△f2のそれぞれのデータ)に対して例えばFFT解析処理等を施すことで、ドップラ周波数△f1とその位相φ1を検出するとともに、ドップラ周波数△f2とその位相φ2を検出し、それぞれ低速速度距離演算部72に提供する。
【0091】
低速速度距離演算部72は、低速FFT部71からのドップラ周波数△f1を用いて上述した式(1)を演算するか、または、低速FFT部71からのドップラ周波数△f2を用いて上述した式(2)を演算し、その演算結果を測定対象物3の相対速度Vlとする。
【0092】
また、低速速度距離演算部72は、低速FFT部71からの位相φ1と位相φ2との差、即ち、位相差φ1−φ2を算出し、この位相差φ1−φ2を用いて上述した式(3)を演算し、その演算結果を測定対象物3の距離Llとする。
【0093】
さらに、低速速度距離演算部72は、低速FFT部71によるFFT解析処理結果を用いて、上述した式(4)を演算し、その演算結果を電力Plとする。
【0094】
そして、低速速度距離演算部72は、相対速度Vl、距離Ll、および電力Plを含む低速測定結果Slを生成して、出力する。
【0095】
その結果、処理演算装置2には、高速速度距離演算部62からの高速測定結果Shと、低速速度距離演算部72からの低速測定結果Slとが入力される。処理演算装置2においては、高速処理を実行したい場合には高速測定結果Shが用いられ、高精度処理を実行したい場合には低速測定結果Slが用いられる。
【0096】
ところで、上述したように、本発明では、車両表面形状等によって発生する干渉の影響を取り除くために、電力変動が時間軸に沿って起こることに着目し、応答性を重視した高速測定結果Shの演算と同時に、精度を重視した低速測定結果Slの演算も行っておき、高速測定結果ShでSN比の低下によって、追跡している測定対象物3の情報を見失った際には低速測定結果Slを用いて補完することとしている。
【0097】
ここで、時間軸(図8では横軸の実際の距離(m)で表わしている)に沿って、高速測定結果Shでの距離出力(距離Lh)および低速測定結果Slでの距離出力(距離Ll)、並びに、高速測定結果Shでの電力比(電力Ph)および低速測定結果Slでの電力比(電力Pl)を描画すると、図8に示すようになる。
【0098】
図8において、縦軸には左右両方の軸に目盛りがついているが、右側の縦軸は、2周波CWレーダ1により測定された距離出力、即ち、距離Lhと距離Llの長さ(m)を表わし、左側の縦軸は、2周波CWレーダ1により測定された電力比、即ち、電力Phと電力Plの大きさ(dB)を表わす。左右の縦軸は、共に、図中下から上方向に向かうほど、その値が大きくなる。また、横軸は2周波CWレーダ1と測定対象物3との間の実際の距離(m)を表わし、図中右から左方向に向かうほど、両者の距離は遠ざかる。
【0099】
即ち、はじめに、図中上側の距離出力(距離Lh,距離Ll)について説明すると、それらのグラフでは、横軸の実際の距離(m)と、右側の縦軸の距離出力(m)とが同じ値となって、比例関係となるのが理想である。しかし、測定結果は実際の距離と異なることがあり、さらに、高速測定モードは、低速測定モードと比べて高速応答であるが低精度であるという特徴を有しているので、距離Lhは、距離Llよりも理想の比例関係とは離れたグラフとなる。
【0100】
また、マルチパスや車両表面での反射波間の干渉が発生すると、高速測定結果Shに含まれる距離Lhでは波形が大きく変動してしまうため、例えば、実際の距離が23(m)(図中の横軸の23(m)付近)であるのにも関わらず、測定される距離出力は、9(m)(図中の縦軸の9(m)付近)や31(m)(図中の縦軸の31(m)付近)等となり、実際の距離とはほど遠い値となる。一方、低速測定結果Slに含まれる距離Llでは、距離Lhよりも精度が高いので、距離Lhほど実際の距離とかけ離れた値とはならない。
【0101】
このとき、図中下側の電力比(電力Ph,電力Pl)であるが、測定対象物3との実際の距離が離れるほどその値は小さくなるが、干渉が発生すると電力変動が大きくなる(図中の横軸の23(m)付近での電力Ph)。
【0102】
以上のように、干渉が発生すると、距離出力(距離Lh,距離Ll)や電力比(電力Ph,電力Pl)は特徴的な値をとるので、本実施の形態では、それらの値に注目して、干渉が発生した場合に、精度の低い高速測定結果Shの代わりに、精度の高い低速測定結果Slを用いることとしている。
【0103】
かかる機能を有しているのが、処理演算装置2である。
【0104】
具体的には、処理演算装置2において、高速測定結果Shに基づいた信号処理で得られた情報(例えば、相対速度Vhや距離Lh等)に基づいて追跡処理を行う中で、今まで追跡していた測定対象物3が急に検知できなくなったとき(例えば、図8では距離Lhが急峻になる横軸の23(m)付近)、検出性能の高い低速測定結果Slに基づいた演算結果または追跡結果を参照することで、測定対象物3を見失うことなく、追跡し続けることができる。
【0105】
また、処理演算装置2において、高速測定処理Shに基づいた信号処理で得られた情報(例えば、相対速度Vhや距離Lh等)に基づいて所定の処理を行う中で、電力Phまたは電力Plと、あらかじめ定められた閾値とを比較し、電力が閾値を下回ったとき(例えば、図8では電力変動の大きくなる横軸の23(m)付近)、検出性能の高い低速測定結果Slに基づいた演算結果を参照することで、測定対処物3に関する情報を確実に得ることができる。
【0106】
以下、処理演算装置2においては、前者の動作を第1の処理演算モードと称し、後者の動作を第2の処理演算モードと称する。
【0107】
かかる第1の処理演算モードと第2の処理演算モードとで動作する処理演算装置2の詳細な構成について、図9のブロック図を参照して説明する。
【0108】
図9の例の処理演算装置2は、高速トラッキング処理部81乃至後段処理部87を含むようにして構成される。
【0109】
処理演算装置2には、2周波CWレーダ1から、高速測定結果Shと低速測定結果Slとが入力される。処理演算装置2は、高速処理を実行する場合には高速測定結果Shを用いて処理を実行し、高精度処理を実行する場合には低速測定結果Slを用いて処理を実行する。
【0110】
処理演算装置2は、第1の処理演算モードで動作する場合、高速トラッキング処理部81乃至後段処理部87のうち、高速トラッキング処理部81、低速トラッキング処理部82、トラッキング部83、および危険判定処理部86によって、その機能を実現する。ただし、第1の処理演算モードを実現する各ブロックの説明については、ここでは省略し、後述する図10乃至図13において処理演算装置2の動作を説明する際に併せて説明することにする。
【0111】
また、処理演算装置2は、第2の処理演算モードで動作する場合、高速トラッキング処理部81乃至後段処理部87のうち、高速トラッキング処理部81、低速トラッキング処理部82、電力値判定部84、スイッチ部85、および後段処理部87によって、その機能を実現する。ただし、第2の処理演算モードを実現する各ブロックの説明については、ここでは省略し、後述する図14において処理演算装置2の動作を説明する際に併せて説明することにする。
【0112】
次に、図10乃至図14のフローチャートを参照して、図9の処理演算装置2の動作例について説明する。
【0113】
まず、図10乃至図13のフローチャートを参照して、第1の処理演算モードで動作する処理演算装置2について説明する。
【0114】
図10は、高速トラッキング処理部81によって実行される、高速トラッキング処理について説明するフローチャートである。
【0115】
高速トラッキング処理部81は、ステップS11において、2周波CWレーダ1から出力される高速測定結果Shをサーチし、ステップS12において、高速測定結果Shを検出したと判定された場合、処理は、ステップS13に進む。一方、ステップS12において、高速測定結果Shが検出されなかったと判定された場合、高速測定結果Shを検出する処理が繰り返される。
【0116】
高速トラッキング処理部81は、ステップS13において、検出された高速測定結果Shのターゲット(測定対象物3)を抽出し、ステップS14およびステップS15において、抽出されたターゲットの相対速度Vhと、距離Lhを検出する。そして、ステップS16において、高速測定結果Shのサーチが終了したと判定されるまで、上述した、ステップS12乃至ステップS16の処理が繰り返される。
【0117】
即ち、ステップS12乃至ステップS16の処理が繰り返されることで、2周波CWレーダ1により測定された測定対象物3の相対速度Vhと、距離Lhとが検出される。
【0118】
続いて、ステップS16において、高速測定結果Shのサーチが終了したと判定された場合、高速トラッキング処理部81は、ステップS17において、トラッキング部83から、追跡している測定対象物3の追跡履歴を記録しているトラッキング履歴を取得し、ステップS18において、検知ターゲット(検出された相対速度Vhと距離Lhとなる測定対象物3)が、トラッキング履歴に記録されている既検知対象物(検知範囲内に存在し、既に測定されている測定対象物3)に該当するか否かを判定する。
【0119】
高速トラッキング処理部81は、ステップS18において、検知ターゲットが既検知対象物に該当すると判定された場合、検知ターゲットを既検知対象物のIDに対応付けし、一方、検知ターゲットが既検知対象物に該当しないと判定された場合、検知ターゲットに新規IDを対応付ける。そして、ステップS21において、検知範囲外に移動した既検知対象物を除いた全ての既検知対象物に対して、IDの対応付けが終了したと判定されるまで、上述した、ステップS12乃至ステップS21の処理が繰り返される。
【0120】
即ち、ステップS12乃至ステップS21の処理が繰り返されることで、検知範囲内における、全ての既検知対象物に対してIDが対応付けられるとともに、新たに検知された測定対象物に対しても新規IDが付与される。
【0121】
そして、ステップS21において、検知範囲外に移動した既検知対象物を除いた既検知対象物の全てに対して、IDの対応付けが終了したと判定された場合、ステップS22において、高速トラッキング処理部81は、高速処理結果をトラッキング部83に出力する。ここで、この高速処理結果には、既検知対象物に対応付けられたIDと、新たに検知された測定対象物に付与されたIDのそれぞれに関連付けられた相対速度Vhおよび距離Lhが含まれている。
【0122】
その後、処理はステップS11に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0123】
以上のように、高速トラッキング処理部81においては、2周波CWレーダ1から低速測定結果Slよりも速いタイミングで順次出力されてくる高速測定結果Shから、検知範囲外に移動した既知対象物を除いた全ての測定対象物に対するIDの対応付けと、検知範囲内に新たに移動してきた測定対象物に対する新たなIDの付与が行われ、それらのIDと、相対速度Vhおよび距離Lhとを関連付けたデータとして、高速処理結果を出力する。
【0124】
次に、図11のフローチャートを参照して、低速トラッキング処理部82によって実行される、低速トラッキング処理について説明する。
【0125】
なお、低速トラッキング処理部82で行われる処理は、高速トラッキング処理部81で行われる処理と基本的に同様であるので、その説明は適宜省略して説明する。つまり、低速トラッキング処理部82では、高速トラッキング処理部81と比べると、高速測定結果Shの代わりに、低速測定結果Slが入力され、その低速測定結果Slに対して処理を施す点と、トラッキング履歴を基に測定対象物とIDとを関連付ける処理(図10のステップS18乃至ステップS21の処理)を行わない点が異なっている。
【0126】
従って、図11のステップS31乃至ステップS37の処理は、図10のステップS11乃至ステップS16およびステップS22の処理に対応している。
【0127】
即ち、図11のステップS31乃至ステップS37の処理が行われることで、低速トラッキング処理部82は、低速処理結果をトラッキング部83に出力する。ここで、低速処理結果には、測定対象物の相対速度Vlおよび距離Llが含まれている。
【0128】
以上のように、低速トラッキング処理部82においては、2周波CWレーダ1から高速測定結果Shよりも遅いタイミングで順次出力されてくる低速測定結果Slから、測定対象物の相対速度Vlおよび距離Llを含むデータとして、低速処理結果を出力する。
【0129】
そして、高速トラッキング処理部81における高速処理結果を演算する処理と、低速トラッキング処理部82における低速処理結果を演算する処理とは、独立して並行して実行され、トラッキング部83には、高速トラッキング処理部81からの高速処理結果と、低速トラッキング処理部82からの低速処理結果とが順次入力される。
【0130】
図12は、トラッキング部83によって実行される、トラッキング処理について説明するフローチャートである。
【0131】
ステップS51において、トラッキング部83は、高速トラッキング処理部81から供給される高速処理結果に基づいて、検知範囲内に存在する測定対象物の追跡処理を行う。即ち、高速処理結果には、測定対象物のIDと、相対速度Vhおよび距離Lhとが関連付けられて格納されているので、トラッキング部83によって、高速トラッキング処理部81から順次入力される測定対象物ID毎に、相対速度Vhおよび距離Lhに基づいた追跡処理が行われる。
【0132】
ステップS52において、トラッキング部83は、追跡処理を行っている測定対象物を見失ったか否かを判定する。即ち、測定対象物ID毎に追跡処理を行っていると、あるとき、追跡していた測定対象物を見失ってしまう場合がある。これは、上述したように、マルチパス等による干渉により電力変動が発生することで、追跡していた測定対象物の情報が欠落してしまうことに起因している。
【0133】
具体的には、上述したように、例えば、高速トラッキング処理部81では、各測定対象物にIDを付与していくが、電力変動が発生するとそれが原因となり、本来、既検知対象物に該当するとして、既検知対象物のIDを対応付けなければならない検知ターゲットに対して、誤って新規IDを付与してしまうことがある。例えば、高速トラッキング処理部81では、相対速度Vhが同じであるのに距離Lhの変化が急峻であると(例えば、上述した、図8では距離Lhが急峻になる横軸の23(m)付近)、既検知対象物ではなく、新たに移動してきた測定対象物であると判別してしまう(図10のステップS18乃至ステップS20の処理)。
【0134】
すると、トラッキング部83では、順次送られてくる高速処理結果に含まれる測定対象物IDに従って、ある測定対象物の追跡を行っていたが、突然、その測定対象物に該当する測定対象物IDが送られて来なくなり、測定対象物を見失うことになる。
【0135】
ステップS52において、測定対象物を見失ったと判定された場合、ステップS53において、トラッキング部83は、高速処理結果の代わりに、低速処理結果を参照する。具体的には、トラッキング部83は、見失った測定対象物については、例えば、相対速度Vhおよび距離Lhの代わりに、相対速度Vlおよび距離Llを参照し、トラッキング履歴に基づいて、誤って付与していた新規IDの代わりに、本来、その測定対象物に対応付けるべき既検知対象物IDを付与する。
【0136】
即ち、トラッキング部83には、高速トラッキング処理部81からの高速処理結果と、低速トラッキング処理部82からの低速処理結果が順次入力されるが、低速処理結果は、高速処理結果と比べて、サンプリング時間を長く取っているので低速応答であるが高精度であるという特徴を有している。従って、この低速処理結果を利用することで、応答時間の遅れは生ずるものの、電力が極小となった信号のみで構成されたデータとなる確率が低下し、かつ、一般的に分解能も高くなる。即ち、測定対象物の検出性能が向上することになる。
【0137】
ステップS55において、トラッキング部83は、トラッキング結果を危険判定処理部86に出力し、処理は、ステップS51に戻り、上述した処理が繰り返される。即ち、ステップS52において、見失っていた測定対象物が再度検知されたと判定された場合、トラッキング部83は、ステップS54において、低速処理結果の代わりに、再度、高速処理結果を参照し、ステップS55において、高速処理結果に基づいたトラッキング結果を出力する。
【0138】
以上のように、例えば、通常(高速測定モード)の信号処理で得られた高速処理結果を基に追跡処理を行う中で、急に測定対象物が検知できなくなった際には、検出性能の高い低速測定モードの低速処理結果を参照することで、測定対象物を見失うことなく追跡し続けることが可能となる。また、通常の処理で測定対象物を検知できれば再び通常の応答速度で追跡することができる。
【0139】
そして、危険判定処理部86には、トラッキング部83からのトラッキング結果が順次入力される。
【0140】
図13は、危険判定処理部86によって実行される、危険判定処理について説明するフローチャートである。
【0141】
危険判定処理部86は、ステップS71において、トラッキング部83からのトラッキング結果を取得し、ステップS72において、そのトラッキング結果に対して所定の解析処理を施し、ステップS73において、解析結果に基づいて、測定対象物の移動経路から危険であると判定できるか否かを判定する。
【0142】
ステップS73において、解析結果から危険であると判定された場合、例えば、ドライバに対する危険提示または安全動作を指示するための信号を出力する。これにより、この信号を検出した車載装置は、例えば、ドライバに対して危険を提示する処理を行う。一方、ステップS73において、解析結果から安全であると判定された場合、ステップS74の処理をスキップし、処理は、ステップS71に戻り、上述した、ステップS71乃至ステップS74の処理が繰り返される。
【0143】
これにより、例えば、高速応答を要する処理を実行するシステム、例えば測定対象物が自身に衝突しそうであること(プリクラッシュ)の検出処理を実行するプリクラッシュシステムにおいて、例えばマルチパスや車両表面での反射波間の干渉が発生したときでも、高精度のデータを用いて測定対象物の追跡を続けることができるので、より確実にドライバに対して危険を提示することが可能となる。
【0144】
以上のようにして、処理演算装置2は、第1の処理演算モードで動作する。
【0145】
次に、図14のフローチャートを参照して、第2の処理演算モードで動作する処理演算装置2について説明する。
【0146】
なお、第2の処理演算モードで動作する処理演算装置2において、高速トラッキング処理部81および低速トラッキング処理部82で実行される処理は、第1の処理演算モードで動作する場合と基本的に同様である。即ち、上述した、図10および図11のフローチャートで説明したように、スイッチ部85には、高速トラッキング処理部81からの高速処理結果と、低速トラッキング処理部82からの低速処理結果が入力される。
【0147】
即ち、スイッチ部85は、電力値判定部84の制御に基づいて、その入力先を、高速トラッキング処理部81と低速トラッキング処理部82とのうちの一方から他方に切り替える。つまり、電力値判定部84は、2周波CWレーダ1からの高速測定結果Shに含まれる電力Phまたは低速測定結果Slに含まれる電力Plを監視し、その監視結果に応じて、スイッチ部85のスイッチング動作を制御している。
【0148】
図14は、電力値判定部84によって実行される、電力値判定処理について説明するフローチャートである。
【0149】
電力値判定部84は、ステップS91において、2周波CWレーダ1から出力される高速測定結果Shまたは低速測定結果Slから、電力Phまたは電力Plを検出し、ステップS92において、それらの電力(電力Ph,電力Pl)と、あらかじめ定められた閾値とを比較する。
【0150】
ステップS92において、電力が閾値を超えると判定された場合、ステップS93において、電力値判定部84は、高速トラッキング処理部81からの高速処理結果が後段処理部87に出力されるように、スイッチ部85を切り替える。一方、ステップS92において、電力が閾値を下回ると判定された場合、ステップS94において、電力値判定部84は、低速トラッキング処理部82からの低速処理結果が後段処理部87に出力されるように、スイッチ部85を切り替える。
【0151】
即ち、例えば、後段の後段処理部87において、電力値判定部84からの高速処理結果に基づいて所定の処理が行われているときに、車両表面形状や路面のマルチパス等により干渉が発生し、電力が大幅に変動する現象が生じたとすると(上述した、図8では電力変動の大きくなる横軸の23(m)付近)、電力値判定部84においては、電力が閾値を下回ると判定され、検出性能の高い低速測定結果Slに基づいた低速処理結果が出力される。その結果、後段処理部87では、測定対象物に関する正確な情報を確実に得ることができる。
【0152】
以上のようにして、処理演算装置2は、第2の処理演算モードで動作する。
【0153】
なお、図9の処理演算装置2は、第1の処理演算モードと第2の処理演算モードの両方のモードを説明するために、高速トラッキング処理部81乃至後段処理部87から構成されているとして説明したが、第1の処理演算モードまたは第1の処理演算モードのいずれかのみを実行する処理演算装置2においては、そのモードを実現するためのブロックのみを有していればよい。即ち、第1の処理演算モードのみを実行する処理演算装置2は、高速トラッキング処理部81、低速トラッキング処理部82、トラッキング部83、および危険判定処理部86から構成される。一方、第2の処理演算モードのみを実行する処理演算装置2は、高速トラッキング処理部81、低速トラッキング処理部82、電力値判定部84、スイッチ部85、および後段処理部87から構成される。
【0154】
以上のように、通常のレーダ信号処理と同時に、通常のサンプリング時間よりも長い時間を用いたレーダ信号処理(低速モード)を行っておくと、サンプリング時間を長くとることで、応答時間の遅れは生じるが、電力が極小になった信号のみで構成されたデータとなる確率が低下し、かつ、一般的に分解能も高くなる。即ち、測定対象物の検出性能も向上し、さらに、その出力を用いた追跡処理でも同様の効果がある。
【0155】
また、例えば、通常(高速測定モード)の信号処理で得られた高速処理結果を基に追跡処理を行う中で、急に測定対象物が検知できなくなった際には、検出性能の高い低速測定モードの演算結果または追跡結果を参照することで、測定対象物を見失うことなく追跡し続けることが可能となる。また、通常の処理で測定対象物を検知できれば再び通常の応答速度で追跡することができる。
【0156】
ところで、上述した本発明の構成は、図4や図5の構成のシステムのみならず、様々な構成の装置やシステムに適用可能である。
【0157】
なお、ここに、システムとは、複数の処理装置や処理部により構成される装置全体を表すものである。換言すると、図5のシステムは、図15に示されるように、1つの測定装置101であると捉えることもできる。即ち、図15の例の測定装置101とは、2周波CWレーダ1に対応する一処理部としての2周波CWレーダ部111と、処理演算装置2に対応する一処理部としての処理演算部112とからなる1つの装置である。
【0158】
また、上述した例では、2周波CWレーダ1は、測定対象物3の相対速度vと距離Lとのみを測定したが、さらに別の物理量、例えば測定対象物3の角度等を測定するようにしてもよい。この場合の角度の測定手法も、特に限定されず、例えば、図5の受信用のアンテナ部16を2つのアンテナで構成することで、それらの2つのアンテナの受信信号の和と差の振幅比を用いて角度を算出する手法、即ち、いわゆるモノパルス方式を採用することもできる。
【0159】
さらに、図7の演算処理部24の高速測定モード測定処理部53および低速測定モード測定処理部54で行っているFFT解析処理を、処理演算部2側で行うようにすることも可能である。その場合には、例えば、図9の高速トラッキング処理部81によって、時間TH(例えば50msec)の間に演算制御部24に保持されたデータを利用した測定処理が1回実行され、高速測定結果Shが得られる。同様にまた、図9の低速トラッキング処理部82によって、時間TL(例えば450msec)の間にデータ取得保持部52に保持されたデータを利用した測定処理が1回実行され、低速測定結果Slが得られる。
【0160】
ところで、上述した一連の処理(或いはそのうちの一部分の処理)は、ハードウエアにより実行させることもできるが、ソフトウエアにより実行させることもできる。
【0161】
この場合、その一連の処理を実行する装置(上述した定義のシステム)またはその一部分は、例えば、図16に示されるようなコンピュータで構成することができる。
【0162】
図16において、CPU(Central Processing Unit)201は、ROM(Read Only Memory)202に記録されているプログラム、または記憶部208からRAM(Random Access Memory)203にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM203にはまた、CPU201が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0163】
CPU201、ROM202、およびRAM203は、バス204を介して相互に接続されている。このバス204にはまた、入出力インタフェース205も接続されている。
【0164】
入出力インタフェース205には、キーボード、マウスなどよりなる入力部206、ディスプレイなどよりなる出力部207、ハードディスクなどより構成される記憶部208、および、モデム、ターミナルアダプタなどより構成される通信部209が接続されている。通信部209は、インターネットを含むネットワークを介して他の装置との通信処理を行う。さらにまた、通信部209は、必要に応じて、図4等でいう測定対象物3を測定するための送信信号Ssや受信信号Srの送受信処理も行う。
【0165】
入出力インタフェース205にはまた、必要に応じてドライブ210が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどよりなるリムーバブルメディア211が適宜装着され、それらから読み出されたコンピュータプログラムが、必要に応じて記憶部208にインストールされる。
【0166】
一連の処理をソフトウエアにより実行させる場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、ネットワークや記録媒体からインストールされる。
【0167】
このようなプログラムを含む記録媒体は、図16に示されるように、装置本体とは別に、ユーザにプログラムを提供するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク(CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini-Disk)を含む)、もしくは半導体メモリなどよりなるリムーバブルメディア(パッケージメディア)211により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される、プログラムが記録されているROM202や、記憶部208に含まれるハードディスクなどで構成される。
【0168】
なお、本明細書において、記録媒体に格納されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0169】
また、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
【0170】
さらに、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0171】
【図1】受信信号による干渉を説明する図である。
【図2】受信信号の波形図である。
【図3】受信信号の電力換算値を示す図である。
【図4】本発明が適用される測定システムの構成例を示すブロック図である。
【図5】図4の2周波CWレーダの詳細な構成例を示すブロック図である。
【図6】2つのドップラ周波数△f1,△f2を有するドップラ信号の分離手法の一例を説明する図である。
【図7】図5の演算制御部の詳細な構成例を示すブロック図である。
【図8】距離および電力比について高速測定結果と低速測定結果とで比較したグラフである。
【図9】処理演算装置の詳細な構成例を示すブロック図である。
【図10】高速トラッキング処理を説明するフローチャートである。
【図11】低速トラッキング処理を説明するフローチャートである。
【図12】トラッキング処理を説明するフローチャートである。
【図13】危険判定処理を説明するフローチャートである。
【図14】電力値判定処理を説明するフローチャートである。
【図15】本発明が適用される測定装置の構成例を示すブロック図である。
【図16】本発明が適用される測定システムや測定装置の全部または一部の構成の別の例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0172】
1 2周波CWレーダ
2 処理演算装置
3 測定対象物
11 発振部
12 増幅部
13 分岐部
14 増幅部
15 アンテナ部
16 アンテナ部
17 増幅部
18 混合部
19 切り替えタイミング部
20 スイッチ部
21−1,21−2 増幅部
22−1,22−2 ローパスフィルタ
23 A/D変換部
24 演算制御部
51 制御部
52 データ取得保持部
53 高速測定モード測定処理部
54 低速測定モード測定処理部
61 高速FFT部
62 高速速度距離演算部
71 低速FFT部
72 低速速度距離演算部
81 高速トラッキング処理部
82 低速トラッキング処理部
83 トラッキング部
84 電力値判定部
85 スイッチ部
86 危険判定処理部
87 後段処理部
101 測定装置
111 2周波CWレーダ部
112 処理演算部
201 CPU
202 ROM
203 RAM
204 バス
205 入出力インタフェース
206 入力部
207 出力部
208 記憶部
209 通信部
210 ドライブ
211 リムーバブルメディア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信信号の対象物での反射信号についてのドップラ信号を用いるドップラ方式により前記対象物の測定を行う測定装置において、
前記反射信号から採取された採取データに対して周波数解析を行い、その周波数解析結果を用いてドップラ方式による対象物の測定を行う測定モードとして、前記反射信号から前記採取データを取得する採取時間が第1の時間である第1の測定モードと、採取時間が第1の時間よりも長い第2の時間である第2の測定モードとを有し、
前記第1の測定モードの測定処理を実行する第1の測定処理手段と、
前記第2の測定モードの測定処理を実行する第2の測定処理手段と、
前記第1の測定モードによる第1の測定結果を用いて所定の処理を実行する処理演算手段と
を備え、
前記第1の測定モードの測定処理と、前記第2の測定モードの測定処理とは、独立して並行して実行されており、
前記処理演算手段は、前記反射信号の干渉が発生したと判断したとき、前記第1の測定結果の代わりに、前記第2の測定モードによる第2の測定結果を用いて所定の処理を実行する
測定装置。
【請求項2】
前記処理演算手段は、前記反射信号の収束が発生したと判断したとき、前記第2の測定結果の代わりに、前記第1の測定結果を用いて所定の処理を実行する
請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記処理演算手段は、前記第1の測定結果を用いて前記対象物の追跡処理を行い、追跡していた前記対象物の追跡ができなくなったとき、前記第1の測定結果の代わりに、前記第2の測定結果を用いて追跡処理を行う
請求項1に記載の測定装置。
【請求項4】
前記処理演算手段は、測定された前記対象物の相対速度および距離に基づいて、前記対象物の追跡処理を行い、前記距離の変化の幅が所定の閾値より大きいとき、前記第1の測定結果の代わりに、前記第2の測定結果を用いて追跡処理を行う
請求項3に記載の測定装置。
【請求項5】
前記処理演算手段は、前記反射信号の電力が所定の閾値を下回ったとき、前記第1の測定結果の代わりに、前記第2の測定結果を用いて所定の処理を実行する
請求項1に記載の測定装置。
【請求項6】
送信信号の対象物での反射信号についてのドップラ信号を用いるドップラ方式により前記対象物の測定を行う測定装置の測定方法において、
前記反射信号から採取された採取データに対して周波数解析を行い、その周波数解析結果を用いてドップラ方式による対象物の測定を行う測定モードとして、前記反射信号から前記採取データを取得する採取時間が第1の時間である第1の測定モードと、採取時間が第1の時間よりも長い第2の時間である第2の測定モードとを有しており、
前記第1の測定モードの測定処理を実行し、
前記第2の測定モードの測定処理を実行し、
前記第1の測定モードによる第1の測定結果を用いて所定の処理を実行する
ステップを含み、
前記第1の測定モードの測定処理と、前記第2の測定モードの測定処理とは、独立して並行して実行され、
前記反射信号の干渉が発生したと判断したとき、前記第1の測定結果の代わりに、前記第2の測定モードによる第2の測定結果を用いて所定の処理を実行する
測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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