説明

測定装置及び方法

【課題】スイッチ・モード電力変換器からのノイズ及び干渉に影響されることなく、高感度測定を行う。
【解決手段】主電源102からの電力は、スイッチ・モード電力変換器108に供給される。スイッチ・モード電力変換器は、エネルギー蓄積装置110及び電源安定器112を介して測定回路114に結合される。スイッチ・モード電力変換器が電源オンのときに、スイッチ・モード電力変換器がエネルギー蓄積装置を充電する。スイッチ・モード電力変換器が電源オフのときに、エネルギー蓄積装置が測定回路に電力を供給して、被測定装置の電気的パラメータを測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、測定装置に関し、特に、クワイエット高感度測定回路用に蓄積電気エネルギーを用いる測定装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気的ノイズ及び相互干渉は、電気測定、特に、高感度測定回路による測定精度に影響を与える。例えば、測定システムにおける過度のノイズは、電圧又は電流などの電気的パラメータの測定値が時間経過に伴ってランダムになる。高感度測定回路において、パラメータの小さな変化が測定されて、わずかな量のノイズが現れても、測定の信頼性を損なう。測定装置内にノイズを生じる1つの既知の原因は、電源である。例えば、直流電源の如き主電源がシステムにノイズを導入することが知られている。ここでは、測定回路を主電源に電気的に結合する長い電線がシステムに干渉を起こす。よって、主電源が高感度測定回路の制度に影響を及ぼすことが知られている。
【0003】
アナログ・デジタル変換を行う他の測定装置は、スイッチ・モード電力変換器を用いて、測定回路に電力を供給している。典型的には、スイッチ・モード電力変換器を用いて、必要で適切な電圧を提供して、測定回路に電力を供給し、且つ/又は、接地の分離も行っている。一般的には、測定装置は、スイッチ・モード電力変換器に結合された直流電源又は交流/直流電源の如き主電源を含んでいる。残念なことに、スイッチング電源は、本質的にノイズを発生し、大量のノイズを測定システムに与えて、高感度測定回路による測定の精度に影響を与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−62333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、高感度測定回路に入るノイズの影響を更に軽減した測定装置及び方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
課題を解決する本発明の態様は、次の通りである。
(1)電気的パラメータを測定可能な測定回路と;該測定回路に結合されたエネルギー蓄積装置と;該エネルギー蓄積装置に結合され、入力端の電力を受けるスイッチ・モード電力変換器と;該スイッチ・モード電力変換器に結合され、上記スイッチ・モード電力変換器の入力端に電力を結合して上記スイッチ・モード電力変換器を電源オンにする第1スイッチとを具え;上記スイッチ・モード電力変換器が電源オンのときに、上記スイッチ・モード電力変換器が上記エネルギー蓄積装置を充電でき;上記第1スイッチは、上記スイッチ・モード電力変換器の入力端から電力を切り離して、上記スイッチ・モード電力変換器を電源オフにでき;上記スイッチ・モード電力変換器が電源オフのときに、上記エネルギー蓄積装置が上記測定回路に電力を供給できる測定装置。
(2)マイクロプロセッサ制御回路を更に具え;該マイクロプロセッサ制御回路は、上記第1スイッチに第1制御信号を供給でき;上記第1スイッチは、上記マイクロプロセッサ制御回路からの上記第1制御信号の受信に応答して上記スイッチ・モード電力変換器の入力端に電力を結合でき;上記第1スイッチは、更に、上記マイクロプロセッサ制御器からの第2制御信号の受信に応答して上記スイッチ・モード電力変換器の入力端への電力を切り離せる態様1の測定装置。
(3)上記測定回路が上記電気的パラメータを測定するとき、上記マイクロプロセッサ制御回路は、更に、測定タイミング信号を上記測定回路に供給し、上記第2制御信号を上記第1スイッチに供給して、上記スイッチ・モード電力変換器の入力端から電力を切り離す態様2の測定装置。
(4)上記スイッチ・モード電力変換器が直流・直流変換器を有する態様1の測定装置。
(5)上記エネルギー蓄積装置がコンデンサ又はバッテリを有する態様1の測定装置。
(6)上記スイッチ・モード電力変換器が更に主電源を有し、該主電源が直流電源又は交流/直流電源である態様1の測定装置。
(7)上記スイッチ・モード電力変換器の出力端に結合された第2スイッチを更に具え、該第2スイッチが上記エネルギー蓄積装置から上記スイッチ・モード電力変換器を切り離せる態様1の測定装置。
(8)上記エネルギー蓄積装置及び上記測定回路に結合された電源安定器を更に具え、該電源安定器が上記測定回路へ供給される電力を安定化させる態様1の測定装置。
(9)電気的パラメータを測定可能な測定回路と;スイッチ・モード回路を有するスイッチ・モード電力変換器と;上記測定回路及び上記スイッチ・モード電力変換器に結合されたエネルギー蓄積装置とを具え;上記スイッチ・モード電力変換器が2つのモードで機能し;該2つのモードの内の第1モードがアクティブ・モードであり、上記スイッチ・モード電力変換器が上記スイッチ・モード回路に電力を供給して上記スイッチ・モード電力変換器を電源オンにし;上記2つのモードの内の第2モードが非アクティブ・モードであり、上記スイッチ・モード電力変換器が上記スイッチ・モード回路に電力を供給することを停止して上記スイッチ・モード電力変換器を電源オフにし;上記スイッチ・モード電力変換器が上記第2モードで機能するときに、上記エネルギー蓄積装置が上記測定回路に電力を供給でき;上記スイッチ・モード電力変換器が上記第1モードで機能するときに、上記スイッチ・モード電力変換器が上記エネルギー蓄積装置を充電できる測定装置。
(10)上記スイッチ・モード電力変換器に結合されたマイクロプロセッサ制御回路を更に具え、上記マイクロプロセッサ制御回路が上記スイッチ・モード電力変換器にイネーブル制御信号を供給でき、該イネーブル制御信号が上記スイッチング電源を第1モードで機能させる態様9の測定装置。
(11)上記マイクロプロセッサ制御回路が上記スイッチ・モード電力変換器にディスエーブル制御信号を供給でき、上記ディスエーブル制御信号により上記スイッチング電源が上記第2モードで機能する態様10の測定装置。
(12)上記スイッチ・モード電力変換器が直流・直流変換器を有する態様9の測定装置。
(13)上記エネルギー蓄積装置がコンデンサ又はバッテリを有する態様9の測定装置。
(14)主電源を更に具え、該主電源が直流電源又は交流/直流電源である態様9の測定装置。
(15)上記スイッチ・モード電力変換器が上記第1モードで機能するとき、上記測定回路が被試験装置の電気的パラメータを測定する態様9の測定装置。
(16)上記エネルギー蓄積装置及び上記測定回路に結合された電源安定器を更に具え、上記電源安定器は、上記測定回路に供給する電力を安定化する態様9の測定装置。
(17)被試験装置の電気的パラメータを測定する方法であって;スイッチ・モード電力変換器に電力を供給し;上記スイッチ・モード電力変換器に供給される電力を用いて、エネルギー蓄積装置を充電し;上記スイッチ・モード電力変換器からの電力を停止し;上記スイッチ・モード電力変換器からの電力が停止している間、上記エネルギー蓄積装置からの電力を用いて上記被測定装置の第1電気的パラメータを測定し;上記スイッチ・モード電力変換器へ電力を再供給する測定方法。
(18)上記スイッチ・モード電力変換器に電力を再供給した後、上記エネルギー蓄積装置への2度目の充電を更に行う態様17の測定方法。
(19)更に、上記エネルギー蓄積装置から上記スイッチ・モード電力変換器を切り離す態様18の測定方法。
(20)上記被試験装置の電気的パラメータの測定は、上記スイッチ・モード電力変換器が上記エネルギー蓄積装置から切り離されたときに、上記電気的パラメータを測定する態様19の測定方法。
(21)上記スイッチ・モード電力変換器が2つのモードで機能し;該2つのモードの内の第1モードは、アクティブ・モードであり、上記スイッチ・モード電力変換器が上記エネルギー蓄積装置に結合され;上記2つのモードの内の第2モードが非アクティブ・モードであり、上記スイッチ・モード電力変換器が上記エネルギー蓄積装置から切り離される態様17の測定方法。
(22)更に測定値を表示し;上記測定値は、測定された上記第1及び第2電気的パラメータからの一部で決定される態様17の測定方法。
(23)電気的パラメータを測定可能な測定回路と;該測定回路に結合されたエネルギー蓄積装置と;該エネルギー蓄積装置に結合された主電源と;該主電源に結合されたスイッチとを具え;上記スイッチが上記測定回路に結合された上記エネルギー蓄積装置から上記主電源を切り離しでき;上記主電源が上記エネルギー蓄積装置から切り離されている間、上記エネルギー蓄積装置が上記測定回路に電力を供給して、電気的パラメータを測定し;上記スイッチが上記主電源を上記エネルギー蓄積装置に再結合でき;上記主電源が上記エネルギー蓄積装置に再結合されている間、上記主電源が上記エネルギー蓄積装置を充電できる測定装置。
(24)上記エネルギー蓄積装置がコンデンサ又はバッテリを有する態様23の測定装置。
(25)上記主電源が交流・直流変換器又はバッテリを有する態様23の測定装置。
【発明の効果】
【0007】
よって、本発明は、クワイエット高感度測定回路に対して蓄積電気エネルギーを用いる装置及び方法を提供できる。本発明の1つの概念において、装置は、エネルギー蓄積装置に結合された測定回路を有する。この装置は、エネルギー蓄積装置に結合されたスイッチ・モード電力変換器を更に含む。スイッチ・モード電力変換器は、入力端にて電力を受ける。測定回路は、電気的パラメータを測定できる。スイッチがスイッチ・モード電力変換器に結合されている。一実施例において、このスイッチは、スイッチ・モード電力変換器の入力端に電力を結合(供給)して、スイッチ・モード電力変換器を電源オンにする。スイッチ・モード電力変換器が電源オンのとき、スイッチ・モード電力変換器がエネルギー蓄積装置を充電できる。このスイッチは、更に、スイッチ・モード電力変換器の入力端から電力を切り離して、スイッチ・モード電力変換器を電源オフにできる。スイッチ・モード電力変換器が電源オフのとき、エネルギー蓄積装置が測定回路に電力を供給できる。
【0008】
本発明の他の概念において、装置は、電気的パラメータを測定できる測定回路を含んでいる。この装置は、更に、2つのモードで機能するスイッチ・モード電力変換器を含んでいる。第1モードは、アクティブ・モードであり、スイッチ・モード電力変換器が電力を出力端に供給する。第2モードは、非アクティブ・モードであり、スイッチ・モード電力変換器が出力端への電力供給を切り離す。この装置は、更に、測定回路及びスイッチ・モード電力変換器に結合されたエネルギー蓄積装置を含んでいる。スイッチ・モード電力変換器が第2モードで機能しているとき、エネルギー蓄積装置が測定回路に電力を供給できる。スイッチ・モード電力変換器が第1モードで機能しているとき、スイッチ・モード電力変換器がエネルギー蓄積装置を充電できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施例によるブロック図である。
【図2】本発明の一実施例によるタイミング図である。
【図3】本発明の他の実施例によるブロック図である。
【図4】本発明の更に他の実施例によるブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
測定回路により本発明の実施例について説明するが、特に、本発明の1つ以上の実施例は、高感度測定回路に電力を供給するための蓄積電気エネルギーを用いることに関する。以下に説明する詳細は、本発明の実施例を充分に理解するためのものである。しかし、これら特定の細部によらずに、本発明の種々の実施例を実現できることが当業者には明らかであろう。
【0011】
図1は、本発明の実施例による高感度測定回路を用いて電気的パラメータを測定する装置100のブロック図である。この実施例において、装置100は、主電源(ユニット)102、オプションとしての(必要に応じて用いる)スイッチ104、スイッチ105、マイクロプロセッサ制御回路106、スイッチ・モード電力変換器108、エネルギー蓄積装置110、オプションとしての測定用電源安定器(レギュレータ)112、測定回路114を含んでいる。主電源102は、装置100に電気エネルギーを供給する任意適切な電源でよい。一実施例において、主電源102は、バッテリの如き直流電源である。他の実施例において、主電源102は、交流/直流電源である。主電源102の出力端は、スイッチ105の入力端に結合される。スイッチ105の出力端は、スイッチ・モード電力変換器108の入力端に結合される。図1に示す如く、スイッチ・モード電力変換器108の出力端は、スイッチ104の入力端に結合してもよい。スイッチ・モード電力変換器108は、スイッチング安定器(スイッチング・レギュレータ)を組み込んだ電気的電力変換器の如き任意のスイッチ・モード電力変換器でよい。一実施例において、スイッチ・モード電力変換器108は、直流・直流変換器である。
【0012】
オプションのスイッチ104を含んだ場合、スイッチ104の出力端がエネルギー蓄積装置110の入力端に結合される。オプションのスイッチ104がない場合、スイッチ・モード電力変換器108の出力端がエネルギー蓄積装置110の入力端に直接結合される。エネルギー蓄積装置110は、バッテリ又はコンデンサの如く、限定された量の電気エネルギーを蓄積できる。特に、エネルギー蓄積装置110は、測定回路114に一時的に電力を供給するのに充分な量のエネルギーを蓄積できる。エネルギー蓄積装置110の出力端は、測定用電源安定器112の入力端に結合される。測定用電源安定器112は、測定回路114の供給する電力を安定化する。測定用電源安定器112の出力端は、測定回路114の入力端に結合される。測定回路114は、電圧又は電流などの電気的パラメータを測定できる任意の回路でよい。例えば、一実施例において、測定回路114は、アナログ・デジタル変換器である。マイクロプロセッサ制御器回路106の出力端は、測定回路114の出力端に結合される。別の一実施例において、装置100は、測定用電源安定器112を含んでいない。この場合、エネルギー蓄積装置110の出力端を測定回路114の入力端に結合する。詳細に後述するように、スイッチ・モード電力変換器108は、エネルギー蓄積装置110を蓄積できる。例えば、一実施例において、直流・直流変換器の如きスイッチ・モード電力変換器108は、コンデンサの如きエネルギー蓄積装置110を充電するが、それには、電圧をコンデンサに供給する。
【0013】
マイクロプロセッサ制御回路(ユニット)106は、スイッチ105及びオプションのスイッチ104の入力端に結合される。詳細に後述するように、スイッチ105は、マイクロプロセッサ制御回路106からの1つ以上の制御信号の受信に応答して、スイッチ・モード電力変換器108の入力端に供給されている電力を切り離すことができる。スイッチ105がスイッチ・モード電力変換器108への電力を切り離すと、スイッチ・モード電力変換器108が電源オフとなり、エネルギー蓄積装置110は、測定用電源安定器112(もし含まれていれば)及び測定回路114に電力を供給する。特に、エネルギー蓄積装置110は、被試験装置の電気的パラメータを測定するために少なくとも測定回路114に電力を供給するのに充分なエネルギーを提供できる。
【0014】
測定期間中又はアナログ・デジタル変換期間中にスイッチ・モード電力変換器108を電源オフにすることにより、測定に及ぼすノイズ及び干渉の量を大幅に低減する。特に、スイッチ・モード電力変換器108は、測定期間中、電気磁気干渉を行わないし、発生しないし、及び/又は放射しない。したがって、測定回路114は、スイッチ・モード電力変換器108に固有のノイズの影響を生じることなく、高感度測定を行える。
【0015】
上述の如く、一実施例において、装置100は、更にスイッチ104を含んでいる。しかし、多くの実施例では、このスイッチ104を含んでいない。スイッチ104は、マイクロプロセッサ制御回路106からの1つ以上の制御信号に応答して、エネルギー蓄積装置110からスイッチ・モード電力変換器108を切り離す。本実施例において、測定回路114が測定を行う前に、スイッチ・モード電力変換器108がエネルギー蓄積装置110からスイッチ104により切り離される。エネルギー蓄積装置110からスイッチ・モード電力変換器108を切り離すことによって、エネルギー蓄積装置110から電力をスイッチ・モード電力変換器108が奪うことを防止する。本実施例において、スイッチ・モード電力変換器108を電源オフにし、スイッチ・モード電力変換器108をエネルギー蓄積装置110から切り離す。他の実施例においては、スイッチ105を装置100に含まれず、スイッチ104が装置100に含まれる。よって、スイッチ105によりスイッチ・モード電力変換器108の電源を切るのではなく、スイッチ104がスイッチ・モード電力変換器108をエネルギー蓄積装置110から切り離す。
【0016】
上述の如く、マイクロプロセッサ制御回路106は、測定回路114に結合される。マイクロプロセッサ制御回路106は、測定タイミング信号を測定回路114に供給できる。特に、スイッチ・モード電力変換器108が電源オフの間に、測定回路114が電気的パラメータを測定できるように、マイクロプロセッサ制御回路106は、測定タイミング信号を測定回路114に供給する。測定が完了した後、スイッチ・モード電力変換器108は、マイクロプロセッサ制御回路106からの1つ以上の制御信号の受信に応答して、電源オンになる。スイッチ・モード電力変換器108が電源オンになった後、スイッチ・モード電力変換器108がエネルギー蓄積装置110を再充電する。スイッチ・モード電力変換器108がエネルギー蓄積装置110を再充電した後のある時点で、スイッチ・モード電力変換器108は、マイクロプロセッサ制御回路106がスイッチ105に供給した次の制御信号に応答して、再び、電源オフとなる。上述の如く、スイッチ・モード電力変換器108が電源オフの間、エネルギー蓄積装置110は、測定用電源安定器112及び測定回路114に電力を供給する。この時点で、他の測定又は測定の設定が行われる。これは、特定回数の測定が行われるまで繰り返す。マイクロプロセッサ制御回路106が供給する制御信号及び測定タイミング信号のタイミングを図2のタイミング図に示す。時点T0において、電力がスイッチ・モード電力変換器108の入力端に結合されるので、スイッチ・モード電力変換器が電源オンとなる。さらに、スイッチ・モード電力変換器108がエネルギー蓄積装置110に結合される。この期間中、スイッチ・モード電力変換器108は、エネルギー蓄積装置110を充電するか、又は、エネルギー蓄積装置110が既に充電されている。時点T1にて、スイッチ105は、マイクロプロセッサ制御回路106からの制御信号に応答して、スイッチ・モード電力変換器108の入力端に供給されている電力を切り離す。この期間中、エネルギー蓄積装置110は、測定用電源安定器112及び測定回路114に電力を供給する。上述の如く、一実施例において、スイッチ104は、エネルギー蓄積装置110からスイッチ・モード電力変換器108を切り離す。時点T1の前から時点T2の前のある時点までの間のある時点で、この動作が典型的に行われる。
【0017】
時点T1及びT4の間のある時点で、測定回路114は、マイクロプロセッサ制御回路106からのタイミング信号に応答して、被試験装置の電気的パラメータを測定する。例えば、時点T2において、測定回路114は、被試験装置の電気的パラメータの測定を開始する。上述の如く、測定回路114が高感度測定を行っている間、本来的にノイズを生じるスイッチ・モード電力変換器108が電源オフなので、測定は非常に正確に行える。時点T3において、測定回路114は、電気的パラメータの測定を停止する。時点T4にて、スイッチ・モード電力変換器108の入力端に電力が再供給される。
【0018】
時点T4及び時点T5の前のある時点で、スイッチ・モード電力変換器108がエネルギー蓄積装置110を再充電する。時点T5にて、スイッチ・モード電力変換器108から電力が切り離されるので、スイッチ・モード電力変換器が再び電源オフとなり、エネルギー蓄積装置110が測定用電源安定器112及び測定回路114に電力を供給する。時点T6にて、測定回路114は、マイクロプロセッサ制御回路106からの次のタイミング信号に応答して、被測定装置の電気的パラメータの測定を開始する。図2のタイミング図から判るように、4つの測定を行うまで、上述の処理が続く。時点T7にて、測定回路114は、行った測定値の平均を計算し、その平均測定値を表示する。当業者には理解できるように、1つの測定を含む測定値を表示する前に、任意の回数の測定を行ってもよい。
【0019】
図3は、本発明の他の実施例により、高感度測定回路を用いて電気的パラメータを測定する装置300のブロック図である。装置300の多くの要素は、図1に示す装置100に用いたものであり、同じように動作する。よって、説明を簡単にするため、各要素の構成及び機能の説明を繰り返さない。装置300は、スイッチ104及びスイッチ105を具えない点で、図1の装置100と異なる。さらに、装置300は、スイッチ・モード電力変換器118を具えており、マイクロプロセッサ制御回路106から夫々受けるディスエーブル(減勢)制御信号及びイネーブル(付勢)制御信号に応答してスイッチ・モード電力変換器118を電源オフ及び電源オンにできる制御入力端をこのスイッチ・モード電力変換器118に有する。特に、スイッチ・モード電力変換器118の制御入力端がマイクロプロセッサ制御回路106からのイネーブル制御信号を受けると、スイッチ・モード電力変換器118は、このスイッチ・モード電力変換器118内のスイッチ・モード回路に電力を供給し、スイッチ・モード電力変換器118を電源オンにする。スイッチ・モード電力変換器118は、マイクロプロセッサ制御回路106からのディスエーブル制御信号を受けると、スイッチ・モード電力変換器118は、スイッチ・モード回路への電力を切り離して、スイッチ・モード電力変換器を電源オフにする。
【0020】
図1を参照して説明した実施例と同様に、スイッチ・モード電力変換器118が電源オフのときに、装置300内のエネルギー蓄積装置110は、測定用電源案的118(含まれている場合)及び測定回路114に電力を供給するので、測定の影響を与えるスイッチ・モード電力変換器118からのノイズ及び干渉がなく、高感度測定を行える。スイッチ・モード電力変換器118に電力を再度供給するために、マイクロプロセッサ制御回路106がイネーブル制御信号をスイッチ・モード電力変換器(ユニット)118に供給する。イネーブル制御信号の受信に応答して、スイッチ・モード電力変換器118が電源オンになる。図1を参照して上述した実施例と同様に、スイッチ・モード電力変換器118が電源オンになると、スイッチ・モード電力変換器118は、エネルギー蓄積装置110を再充電する。
【0021】
図4は、本発明の更に他の実施例により、高感度測定回路を用いて電気的パラメータを測定する装置400のブロック図である。装置400のほとんどの要素は、図1に示した装置100に用いており、同じように動作する。よって、説明を簡単にするため、各要素の構成及び機能の説明を繰り返さない。装置400は、スイッチ・モード電力変換器、スイッチ104、スイッチ105を含んでいない点で、図1の装置と異なる。この実施例において、主電源102がエネルギー蓄積装置110を充電する。主電源102は、バッテリの如き線形電源や、交流/直流スイッチング電源の如きスイッチング電源でもよい。
【0022】
装置400は、スイッチ107を含んでいる。一実施例において、スイッチ107は、主電源102をディスエーブルできる。この実施例において、主電源102がディスエーブルされたとき、エネルギー蓄積装置110又は他の装置がマイクロプロセッサ制御回路106に電力を供給できる。他の実施例において、スイッチ107は、更に、エネルギー蓄積装置110からの主電源102を切り離すことができる。さらに別の実施例において、このスイッチ107は、エネルギー蓄積装置110から主電源102を切り離すことができるが、主電源102の電源を切らない。主電源102がディスエーブルされるか、及び/又はエネルギー蓄積装置110から切り離されている間、エネルギー蓄積装置110が測定回路114に電力を供給する。この期間中、測定回路114は、主電源102からのノイズ及び干渉を受けることなく、高感度測定を行える。
【0023】
当業者に理解できる如く、上述の実施例は、複数の測定回路114、複数のエネルギー蓄積装置110、複数のスイッチ・モード電力変換器108、118を含んで、複数の測定をほぼ同時に又は異なる時点に実行してもよい。
【0024】
実施例を参照して本発明を説明したが、本発明の要旨を逸脱することなく形式及び細部において種々の変更を可能なことが当業者には理解できよう。かかる変更は、当業者には理解できよう。よって、本発明は、特許請求の範囲に基づくものであり、実施例に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0025】
100、300、400 測定装置
102 主電源(ユニット)
104、105、107 スイッチ
106 マイクロプロセッサ制御回路
108、118 スイッチ・モード電力変換器
110 エネルギー蓄積装置
112 電源安定器
114 測定回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的パラメータを測定可能な測定回路と、
該測定回路に結合されたエネルギー蓄積装置と、
該エネルギー蓄積装置に結合され、入力端の電力を受けるスイッチ・モード電力変換器と、
該スイッチ・モード電力変換器に結合され、上記スイッチ・モード電力変換器の入力端に電力を結合して上記スイッチ・モード電力変換器を電源オンにするスイッチとを具え、
上記スイッチ・モード電力変換器が電源オンのときに、上記スイッチ・モード電力変換器が上記エネルギー蓄積装置を充電でき、
上記スイッチは、上記スイッチ・モード電力変換器の入力端から電力を切り離して、上記スイッチ・モード電力変換器を電源オフにでき、
上記スイッチ・モード電力変換器が電源オフのときに、上記エネルギー蓄積装置が上記測定回路に電力を供給できる測定装置。
【請求項2】
電気的パラメータを測定可能な測定回路と、
スイッチ・モード回路を有するスイッチ・モード電力変換器と、
上記測定回路及び上記スイッチ・モード電力変換器に結合されたエネルギー蓄積装置とを具え、
上記スイッチ・モード電力変換器が2つのモードで機能し、
該2つのモードの内の第1モードがアクティブ・モードであり、上記スイッチ・モード電力変換器が上記スイッチ・モード回路に電力を供給して上記スイッチ・モード電力変換器を電源オンにし、
上記2つのモードの内の第2モードが非アクティブ・モードであり、上記スイッチ・モード電力変換器が上記スイッチ・モード回路に電力を供給することを停止して上記スイッチ・モード電力変換器を電源オフにし、
上記スイッチ・モード電力変換器が上記第2モードで機能するときに、上記エネルギー蓄積装置が上記測定回路に電力を供給でき、
上記スイッチ・モード電力変換器が上記第1モードで機能するときに、上記スイッチ・モード電力変換器が上記エネルギー蓄積装置を充電できる測定装置。
【請求項3】
被試験装置の電気的パラメータを測定する方法であって、
スイッチ・モード電力変換器に電力を供給し、
上記スイッチ・モード電力変換器に供給される電力を用いて、エネルギー蓄積装置を充電し、
上記スイッチ・モード電力変換器からの電力を停止し、
上記スイッチ・モード電力変換器からの電力が停止している間、上記エネルギー蓄積装置からの電力を用いて上記被測定装置の電気的パラメータを測定し、
上記スイッチ・モード電力変換器へ電力を再供給する測定方法。
【請求項4】
電気的パラメータを測定可能な測定回路と、
該測定回路に結合されたエネルギー蓄積装置と、
該エネルギー蓄積装置に結合された主電源と、
該主電源に結合されたスイッチとを具え、
上記スイッチが上記測定回路に結合された上記エネルギー蓄積装置から上記主電源を切り離しでき、
上記主電源が上記エネルギー蓄積装置から切り離されている間、上記エネルギー蓄積装置が上記測定回路に電力を供給して、電気的パラメータを測定し、
上記スイッチが上記主電源を上記エネルギー蓄積装置に再結合でき、
上記主電源が上記エネルギー蓄積装置に再結合されている間、上記主電源が上記エネルギー蓄積装置を充電できる測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−281817(P2010−281817A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125058(P2010−125058)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(509233459)フルークコーポレイション (9)
【氏名又は名称原語表記】Fluke Corporation
【住所又は居所原語表記】6920 Seaway Boulevard, Everett, Washington 98203 U.S.A.
【Fターム(参考)】