説明

測定装置

【課題】ホース継手金具の小径筒部の外径を正確かつ簡単に測定する上で有利な測定装置を提供する。
【解決手段】ストッパ60が筒状部材42に当接することによりピストン部52が移動限界位置に位置した状態で、ホース継手金具10の環状空間Sに筒状部材42を挿入すると、小径筒部18の先端が凹部52Aに係止する。ホース継手金具10を筒状部材42方向に移動させると、ホース継手金具10の移動に追従して軸部54が移動し、この軸部54の移動に追従して検出手段48の検出子48Bも移動する。やがて筒状部材42の先端が底壁30に当接すると、ホース継手金具10の移動が停止される。ホース継手金具10の移動が停止したと判定されたならば、算出手段50は、検出手段48で検出された軸部54の移動量に基づいて小径筒部18の外径を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はホース継手金具の測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
機器にホースを接続するためのホース継手金具として、該ホース継手金具をかしめによってホースの端部に連結するものが提供されている(特許文献1、2、3)。
このようなホース継手金具は、小径筒部を有するニップルと、ニップルに取着され小径筒部の半径方向外側に位置する大径筒部を有するソケットとを備えている。そして、小径筒部と大径筒部との間にそれらの長手方向の一端が開口部とされ、長手方向の他端が閉塞された環状空間を有している。
ホース継手金具のホース端部への取り付けは、開口部から環状空間にホースの端部を挿入し、かしめダイスにより大径筒部をかしめることにより、大径筒部とホースの端部と小径筒部とを一体的に取り付けることでなされる。
【0003】
ところで、ホースの内径および外径、ホース継手金具の小径筒部の外径はそれぞれ許容公差の範囲内におけるばらつきを有していることから、大径筒部をかしめる際のかしめ径を一定とすると、かしめ率にばらつきが生じる。
ここで、かしめ率とは、かしめ前後におけるホースの肉厚の差を、かしめる前のホースの肉厚で割った割合を示すものである。
したがって、かしめ率のばらつきを抑えることが、ホース継手金具とホースとを連結した状態の最終製品としての品質の向上を図る上で重要である。
そこで、予めホースの内径および外径、ホース継手金具の小径筒部の外径を測定しておき、それら測定値に基づいて大径筒部をかしめる際のかしめ径を制御することによりかしめ率のばらつきを抑制することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−340200号公報
【特許文献2】特開2008−75695号公報
【特許文献3】特開平10−94845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ホース継手金具の小径筒部は、その半径方向外側に大径筒部が位置していることから、小径筒部の外径をノギスあるいは非接触式の外径測定器によって測定することは困難である。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、その目的はホース継手金具の小径筒部の外径を正確かつ簡単に測定する上で有利な測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するため、本発明は、小径筒部と、前記小径筒部の半径方向外側に位置する大径筒部とを有し、前記小径筒部と前記大径筒部との間にそれらの長手方向の一端が開口部とされ、前記長手方向の他端が閉塞された環状空間を有するホース継手金具の前記小径筒部の外径を測定する測定装置であって、前記開口部から前記環状空間に挿入可能な筒状部材と、前記筒状部材の内部に該筒状部材の長手方向に移動可能に挿入された移動部材とを備え、前記筒状部材は長手方向の一端が開放されており、前記移動部材は前記筒状部材の内部に移動可能に挿入されるピストン部と、前記ピストン部から突設され前記筒状部材の長手方向の他端から突出する軸部とを有し、前記ピストン部には、前記小径筒部の挿入を可能とする円錐面からなる凹部が、前記ピストン部と同軸上で前記筒状部材の長手方向の一端寄りに位置する前記ピストン部の先端面から前記軸部側に向かって延在形成され、前記先端面が前記筒状部材の長手方向の一端に向かうように前記移動部材を付勢する付勢手段が設けられ、前記軸部の移動量を検出する検出手段が設けられ、前記検出された移動量から前記小径部の外径を算出する算出手段が設けられている。
【発明の効果】
【0007】
移動部材に設けた円錐面からなる凹部にホース継手金具の小径筒部を挿入することにより移動された移動部材の移動量に基づいて小径筒部の外径を算出する。したがって、小径筒部の外径を正確かつ簡単に測定する上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】ホース継手金具10の構成を示す側面図である。
【図2】ホース継手金具10がホース2に取り付けられた状態を示す説明図である。
【図3】本実施の形態の測定装置の構成を示す断面図である。
【図4】(A)は測定装置40の要部拡大図、(B)は測定装置40によるホース継手金具10の測定状態の説明図である。
【図5】ホース継手金具10の測定状態を示す説明図である。
【図6】ホース継手金具10の測定状態を示す説明図である。
【図7】ホース継手金具10の測定状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明の実施の形態を図1乃至図7を参照して説明する。
まず、本発明の測定装置40の測定対象となるホース継手金具10について説明する。
図1に示すように、ホース継手金具10は、ホース2の端部2Aに連結されるものである。
図1に示すように、ホース継手金具10は、ニップル12と、ソケット14とを含んで構成されている。
【0010】
ニップル12は金属製で、小径筒部18と、鍔部20と、基部22と、ナット部24とを有している。
小径筒部18は、円筒状を呈している。
小径筒部18は、ホース2の内周面2A(図2)に挿入される部分であり、小径筒部18の外周面には、周方向に沿って複数の係止用溝部1802が軸方向(ホース継手金具10の長手方向)に間隔をおいて形成されている。
複数の係止用溝部1802は、小径筒部18がホース2に挿入された状態で溝部1802がホース2の内周面2Aに係止する。
【0011】
鍔部20は、小径筒部18の基端に位置し小径筒部18よりも大径である。
基部22は、鍔部20よりも小径で、鍔部20に続いている。
ナット部24は、鍔部20よりも大径で、基部22に続いている。
ナット部24の基部22と反対側にはナット部24よりも小径の筒部2402が膨出形成されている。
筒部2402には、該筒部2402の小径部2404を介してナット16が回転可能かつ軸方向に移動不能に結合されている。
本実施の形態では、筒部2402とナット16によりホース2が機器の取り付け部に着脱可能に接続される機器用取り付け部が構成されている。
【0012】
ソケット14は、金属製で円筒状を呈している。
ソケット14は大径筒部26を有し、大径筒部26は、ニップル12に取着され小径筒部18の半径方向外側に位置している。
ソケット14は、大径筒部26の先端部が基部22にかしめられて取着されている。
【0013】
大径筒部26の内部にはホース2の端部が挿入される環状空間Sが形成されている。
より詳細には、環状空間Sは、小径筒部18と大径筒部26との間に形成されている。
環状空間Sは、それら小径筒部18と大径筒部26の長手方向の一端が開口部28とされ、長手方向の他端が底壁30により閉塞されている。
本実施の形態では、底壁30は鍔部20により構成されている。
なお、ホース継手金具10は多種のものが存在し、本発明の測定装置40は、小径筒部18と大径筒部26とを有するホース継手金具10の全てに適用可能である。
【0014】
図2は、ホース2がホース継手金具10に取り付けられた状態を示している。
ホース2は、その端部が環状空間Sに挿入され、その先端が底壁30に当て付けられている。
その状態で、大径筒部26がかしめられ、大径筒部26とホースの端部と小径筒部18とが一体的に取り付けられている。
したがって、小径筒部18の外径を測定することが、かしめ率のばらつきを抑える上で重要となる。
【0015】
次に本実施の形態の測定装置40について説明する。
図3、図4(A)に示すように、測定装置40は、筒状部材42と、移動部材44と、付勢手段46と、検出手段48と、算出手段50とを備えている。
筒状部材42は、図1に示す開口部28から環状空間Sに挿入可能な筒状を呈している。
筒状部材42は長手方向の一端が開放された開口部42Aとなっている。
筒状部材42の長手方向の他端に、該他端を閉塞する底壁42Bが設けられている。
筒状部材42の先端は、図4(B)に示すように、ホース継手金具10の底壁30に当接し、筒状部材42の環状空間Sの内部への移動限界位置を規制するストッパとして機能する。
【0016】
移動部材44は、ピストン部52と、軸部54とを有している。
ピストン部52は、筒状部材42の内部に移動可能に挿入される。
ピストン部52には、小径筒部18の挿入を可能とする円錐面からなる凹部52Aが、ピストン部52と同軸上で筒状部材42の長手方向の一端寄りに位置するピストン部52の先端面52Bから軸部54側に向かって延在形成されている。
ピストン部52の外周面には、Oリング56が装着され筒状部材42の内部でのピストン部52の移動が気密に行われるように構成されている。
【0017】
軸部54は、ピストン部52から突設され、底壁42Bを貫通して筒状部材42の長手方向の他端から突出している。
軸部54が貫通する底壁42Bの孔の内周にはOリング58が装着され底壁42Bにおける軸部54の移動が気密に行われるように構成されている。
軸部54に、筒状部材42に当接して筒状部材42の長手方向の一端に向かう方向へのピストン部52の移動限界位置を決定するストッパ60が設けられている。
本実施の形態では、底壁42Bから筒状部材42の外側に突出する軸部54の部分に、外壁に当接可能な環状部材62が取着され、ストッパ60はこの環状部材62で構成されている。
ピストン部52が移動限界位置に位置した状態で、ピストン部52の先端面52Bと筒状部材42の長手方向の一端とは同一面上に位置している。
【0018】
付勢手段46は、先端面52Bが筒状部材42の長手方向の一端に向かうように移動部材44を付勢するものである。
付勢手段46は、本実施の形態では、シリンダ室64と不図示の空圧手段により構成されている。
シリンダ室64は、底壁42Bと、筒状部材42の内周面と、筒状部材42の内部に位置する軸部54の外周面部分と、先端面52Bと反対に位置するピストン部52の背面とにより形成されている。
前記空圧手段は、シリンダ室64に圧縮空気を供給するものである。
【0019】
検出手段48は、軸部54の移動量を検出するものである。
検出手段48による軸部54の移動量の検出は、筒状部材42の先端が、ホース継手金具10の底壁30に当接した状態で行われる。また、ピストン部52が移動限界位置に位置した状態における軸部54の位置を基準とし、この基準位置からどれだけ移動したかを検出することで行なわれる。
本実施の形態では、検出手段48は、細長状のケース48Aと、ケース48Aの長手方向の一端に、ケース48Aの長手方向に沿ってスライド可能に設けられ図3に示す突出位置に付勢された接触子48Bとを備えている。
検出手段48は、接触子48Bが突出位置から付勢方向と反対方向に移動されると、その移動量を検出して出力するように構成されている。
検出手段48は、ケース48Aの長手方向を軸部54の長手方向と合致させた状態で接触子48Bの先端が軸部54の一端に当接するように配置されている。
したがって、軸部54に追従して接触子48Bが移動し、これにより、検出手段48によって軸部54の移動量が検出されることになる。
【0020】
算出手段50は、検出手段48により検出された移動量から小径筒部18の外径を算出するものである。
ここで、小径筒部18の外径の算出方法について説明する。
小径筒部18の外径寸法が大きくなるほど、小径筒部18の先端が係止する凹部52Aの位置は凹部52Aの先端寄りとなり、したがって、軸部54の移動量は大きくなる。
また、小径筒部18の外径寸法が小さくなるほど、小径筒部18の先端が係止する凹部52Aの位置は凹部52Aの奥部となり、したがって、軸部54の移動量は小さくなる。
すなわち、軸部54の移動量は、小径筒部18の外径寸法に正比例することになり、したがって、軸部54の移動量に対して予め定められた定数を乗ずることにより小径筒部18の外径寸法を算出することができる。
本実施の形態では、算出手段50は、検出部により検出された移動量と上記の定数とを乗算することにより小径筒部18の外径寸法を算出する。
このような算出手段50は、例えば、マイクロコンピュータなど従来公知の演算装置や演算回路を用いて構成することができる。
【0021】
次に、測定装置40の使用方法について説明する。
なお、測定装置40は、自動機に組み込まれ、多数のホース継手金具10の小径筒部18の外径を次々に測定していくものである。
本実施の形態では、例えば、ホース継手金具10が自動機により移動され、筒状部材42および検出手段48のケース48Aが移動不能に支持されているとする。なお、ホース継手金具10と筒状部材42(検出手段48のケース48A)の双方を移動させてもよく、あるいは、ホース継手金具10を移動不能に支持し、筒状部材42および検出手段48のケース48Aを自動機により移動させてもよい。
【0022】
予め測定装置40は、図4(A)に示すように、付勢手段46の付勢によってストッパ60が筒状部材42に当接することによりピストン部52が移動限界位置に位置している。
この状態で、図4(B)に示すように、ホース継手金具10の環状空間Sに筒状部材42を挿入すると、小径筒部18の先端が凹部52Aに係止する。
さらに、ホース継手金具10を筒状部材42方向に移動させると、ホース継手金具10の移動に追従して軸部54が移動し、この軸部54の移動に追従して検出手段48の検出子48Bも移動する。
やがて筒状部材42の先端が底壁30に当接すると、筒状部材42は環状空間Sの内部への移動限界位置に到達し、したがって、ホース継手金具10の移動が停止される。
図5、図6、図7は、小径筒部18の外径寸法が次第に大きくなっている場合の測定状態を示す説明図であり、図5乃至図7で明らかなように、小径筒部18の外径寸法が大きくなるほど、軸部54の移動量が大きくなる。
【0023】
ホース継手金具10の移動が停止したと判定されたならば、算出手段50は、検出手段48で検出された軸部54の移動量に基づいて小径筒部18の外径を算出する。
なお、筒状部材42が移動限界位置に到達したか否かの判定は、ホース継手金具10および筒状部材42の相対的な移動が停止したことをもって判定するなど任意である。
算出手段50によって検出された移動量は、例えば、ホース継手金具10の大径筒部26をかしめる際のかしめ量を決定するために供される。
【0024】
以上説明したように、本実施の形態の測定装置40によれば、移動部材44に設けた円錐面からなる凹部52Aに小径筒部18を挿入することにより移動された移動部材44の移動量に基づいて小径筒部18の外径を算出するようにした。
したがって、従来測定することが困難であった小径筒部18の外径を正確かつ簡単に測定する上で有利となる。
また、測定装置40で得られた小径筒部18の外径に基づいて、ホース継手金具10の大径筒部をかしめる際のかしめ径を制御するようにすれば、かしめ率のばらつきを抑制する上で有利となる。
そのため、ホース継手金具10とホース2とを連結した状態の最終製品としての品質の向上を図る上でも有利となる。
【符号の説明】
【0025】
2……ホース、10……ホース継手金具、18……小径筒部、26……大径筒部、
40……測定装置、42……筒状部材、44……移動部材、52……ピストン部、52A……凹部、54……軸部、46……付勢手段、48……検出手段、50……算出手段、S……環状空間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小径筒部と、前記小径筒部の半径方向外側に位置する大径筒部とを有し、前記小径筒部と前記大径筒部との間にそれらの長手方向の一端が開口部とされ、前記長手方向の他端が閉塞された環状空間を有するホース継手金具の前記小径筒部の外径を測定する測定装置であって、
前記開口部から前記環状空間に挿入可能な筒状部材と、
前記筒状部材の内部に該筒状部材の長手方向に移動可能に挿入された移動部材とを備え、
前記筒状部材は長手方向の一端が開放されており、
前記移動部材は前記筒状部材の内部に移動可能に挿入されるピストン部と、前記ピストン部から突設され前記筒状部材の長手方向の他端から突出する軸部とを有し、
前記ピストン部には、前記小径筒部の挿入を可能とする円錐面からなる凹部が、前記ピストン部と同軸上で前記筒状部材の長手方向の一端寄りに位置する前記ピストン部の先端面から前記軸部側に向かって延在形成され、
前記先端面が前記筒状部材の長手方向の一端に向かうように前記移動部材を付勢する付勢手段が設けられ、
前記軸部の移動量を検出する検出手段が設けられ、
前記検出された移動量から前記小径部の外径を算出する算出手段が設けられている、
測定装置。
【請求項2】
前記軸部に、前記筒状部材に当接して前記筒状部材の長手方向の一端に向かう方向への前記ピストン部の移動限界位置を決定するストッパが設けられ、
前記検出手段による前記軸部の移動量の検出は、前記ピストン部が前記移動限界位置に位置した状態における前記軸部の位置を基準として行なわれる、
請求項1記載の測定装置。
【請求項3】
前記ホース継手金具または前記筒状部材の一方に、前記ホース継手金具または前記筒状部材の他方に当接し、前記筒状部材の前記環状空間の内部への移動限界位置を規制するストッパが設けられている、
請求項1記載の測定装置。
【請求項4】
前記筒状部材の長手方向の他端に、該他端を閉塞する底壁が設けられ、
前記軸部は前記底壁を貫通して配設され、
前記底壁と、前記筒状部材の内周面と、前記筒状部材の内部に位置する前記軸部の外周面部分と、前記先端面と反対に位置する前記ピストン部の背面とにより、シリンダ室が形成され、
前記シリンダ室に圧縮空気を供給する空圧手段が設けられ、
前記付勢手段は、前記シリンダ室と前記空圧手段により構成されている、
請求項1記載の測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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