説明

測定量を検出するための装置および方法

【課題】複数のセンサないしサテライトステーションを、制御機器での個々の線路接続によって作動させること。
【解決手段】供給電流源(1)の電圧を検出するための装置を有しており、抵抗Rおよび電流ドレインから成る直列回路が設けられており、直列回路はデータバスに対して並列に配置されており、電流ドレインは、電流Iを排出するように設けられており、当該電流は


によってあらわされる、ことを特徴とする、少なくとも1つの測定量を検出するように構成されている装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの測定量を検出するための装置に関する。ここで、前記装置によって少なくとも1つのデータバスが供給される。このデータバスは、測定量を検出するための少なくとも1つのセンサと接続される。ここでこのセンサには、データバスを介して、供給電流源によって供給電流が供給される。この装置は、データバス上に設定された信号形状を有する問い合わせ信号を形成することができる装置を含んでいる。
【背景技術】
【0002】
この種の装置は例えば、自動車の制御機器内で使用される。ここでこの制御機器はデータバスを供給し、このデータバスを介して、複数のセンサがシリアルに制御機器に接続される。これらのセンサによって検出された測定量を用いて制御機器は、自動車の機能を開ループ制御するないしは閉ループ制御する。この機能は例えばシートベルトプリテンショナー、エアバック、エンジンの動作状態等である。
【0003】
DE19859178C1号から、自動車内でデータを伝送するための方法が知られている。ここではサテライトステーション、例えば衝突センサが、間接的な電流インタフェースを用いて、中央制御機器に接続されている。データ伝送線路はここでワイヤ接続式インタフェースである。このワイヤ接続式インタフェースは一方では、サテライトステーションに電気的エネルギーを供給するために用いられる。さらに、サテライトステーションから中央ステーションへ伝送されるべきデータが、サテライトステーションの既存の静電流に電流パルスの形で重畳される。
【0004】
しかしこのような従来技術で欠点となるのは、データが、間接的にしか、サテライトステーションから制御機器へ伝送されないことである。さらに各サテライトステーションは、固有のワイヤ接続式インタフェースを必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許第19859178号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来技術から出発して、本発明の課題は、複数のセンサないしサテライトステーションを、制御機器での個々の線路接続によって作動させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題は、少なくとも1つの測定量を検出するように構成されている装置であって、当該装置によって少なくとも1つのデータバス(6)が供給され、当該データバスは、前記測定量を検出するための少なくとも1つのセンサ(5)と接続可能であり、ここで当該センサ(5)には、前記データバス(6)を介して、内部抵抗Rを備えた供給電流源(1)によって供給電流IBUSが供給され、前記装置は、前記データバス(6)上に設定可能な信号形状を有する問い合わせ信号を形成することができる装置(2、3)を含んでいる形式のものにおいて、前記装置は、前記供給電流源(1)の電圧を検出するための装置(R1、12、R2、9、7)を有しており、ここで抵抗Rおよび電流ドレイン(9)から成る直列回路が設けられており、ここで当該直列回路はデータバス(6)に対して並列に配置されており、前記電流ドレイン(9)は、電流Iを排出するように設けられており、当該電流は
【数1】

によってあらわされる、ことを特徴とする、少なくとも1つの測定量を検出するように構成されている装置によって解決される。さらに上述の課題は、少なくとも1つのセンサを用いた測定量の検出方法であって、当該センサは、測定量を転送するためのデータバス(6)と接続されており、当該センサに、内部抵抗Rを有する供給電流源(1)を用いて、供給電流IBusを前記データバスを介して供給し、ここで前記測定量の検出を、前記データバス(6)上の設定可能な信号形状を有する問い合わせ信号によってトリガする形式の方法において、抵抗Rと電流ドレイン(9)から成る直列回路を設けることによって前記供給電流源(1)の電圧を定め、前記直列回路をデータバス(6)に対して並列に配置し、前記電流ドレイン(9)を介して電流Iを排出し、当該電流は
【数2】

によってあらわされる、ことを特徴とする、少なくとも1つのセンサを用いた測定量の検出方法によって解決される。さらに上述の課題は、プログラムコードを有するコンピュータプログラムであって、機械読み出し可能な担体上に格納されており、コンピュータ上で当該コンピュータプログラムが実施される場合に、上述の方法を実施する、ことを特徴とする、プログラムコードを有するコンピュータプログラムによって解決される。さらに上述の課題は、上述の装置を有する集積回路によって解決される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明による回路の1つの実施形態のブロック回路図
【図2】問い合わせ信号の所望の電圧経過特性
【図3】放電電流ドレインが早期にスイッチオフされる場合の、問い合わせ信号の時間的な経過特性
【図4】放電電流ドレインが後で分離される場合の問い合わせ信号の信号経過特性
【発明を実施するための形態】
【0009】
前述の課題は本発明に従って、少なくとも1つの測定量を検出するように構成されている装置によって解決される。ここで、この装置によって少なくとも1つのデータバスが供給される。このデータバスは、測定量を検出するための少なくとも1つのセンサと接続される。ここでこのセンサには、データバスを介して、内部抵抗Rを有する供給電流源によって、供給電流IBusが供給可能である。この装置は、所定の信号形状を有している問い合わせ信号をデータバス上に生成する装置を含んでいる。ここでこの装置は、供給電流源の電圧を検出するための装置を有しており、ここでは抵抗Rと電流ドレイン(Stromsenke)から成る直列回路が設けられている。ここでこの直列回路は、データバスに対して並列に配置されており、電流ドレインは電流Iを排出するように設けられている。この電流I
【数3】

によってあらわされる。
【0010】
さらに、この課題の解決方法は、少なくとも1つのセンサを用いた測定量の検出方法である。ここでこのセンサは、測定量を転送するためのデータバスと接続されており、このセンサには、内部抵抗Rを有する供給電流源を用いて、供給電流IBusがデータバスを介して供給される。ここで測定量の検出は、データバス上の所定の信号形状の問い合わせ信号によってトリガされる。ここで供給電流源の電圧が定められる。ここでは抵抗Rと電流ドレインから成る直列回路が設けられている。ここでこの直列回路はデータバスに対して並列に配置されており、この電流ドレインを介して電流Iが排出される。この電流I
【数4】

によってあらわされる。
【0011】
本発明による装置は例えば、車両内の内燃機関のエンジン制御機器である。択一的または付加的に、この装置はセーフティ機能を制御する。これは例えば、エアバック装置またはパイロ技術によるシートベルトプリテンショナーのトリガである。本発明の別の実施形態ではこの装置は、コンフォート機能を担う。これは例えば、電気的パワーウィンドウ、スライディングルーフまたは補助ヒータの駆動制御である。
【0012】
測定量を検出するために、少なくとも1つのセンサが設けられている。これは例えば温度センサ、圧力センサ、加速度センサ、ヨーレートセンサ等である。このセンサには電子回路が備えられている。この電子回路はセンサデータを処理し、センサデータを、データバスを介したデータ伝送に適した形に変形する。
【0013】
このために、電子回路は例えばA/D変換器、コンパレータ、メモリ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ等を有している。この電子回路は、センサ部材とともにモノリシックに、半導体基板上に集積される。択一的にこの電子回路を、センサと別個に構成することもできる。この場合には、この電子回路とセンサ部材は、回路担体上で相互に接続される。これは例えば導体プレートまたはボンディングワイヤによって行われる。その他に、この回路は別の機能を実施する。これは例えばデータの妥当性検査またはセンサの自己テストである。
【0014】
提案した装置は、データバスを供給する。このデータバスは少なくとも2つの電気導体を有している。ここでこの電気導体が車体金属板によって構成されてもよい。電気導体は一方ではセンサを給電するために用いられ、属する電子回路に電気エネルギーを供給する。従って、この装置の作動開始後に、データバス上に静電流IBUSが流れる。これは、使用されているセンサの数および種類に依存する。
【0015】
センサから本発明による装置へのデータ伝送は、問い合わせ信号によって開始される。この問い合わせ信号は、データバス上のこのために設定されている装置によって出力される。問い合わせ信号は符号化を有し得る。ここでこの符号化によって、センサのサブグループが、バスに接続されている全てのセンサから選択される。
【0016】
例えば、問い合わせ信号は矩形パルスを含む。この矩形パルスはセンサによって受信される。センサは例えば、矩形パルスの立上がりエッジまたは立下がりエッジによってトリガされる。従ってこれは、データバス上の生成されたデータを出力する。ここで、各センサには、矩形パルスの受信後に時間窓が割り当てられる。この時間窓内でセンサはデータを送信する。このようにして、種々のセンサデータが重畳するのが阻止される。
【0017】
データバスに接続されているセンサの数によってデータバスの容量は変化し、センサの数によってデータバスの静電流が変化するので、矩形パルスのエッジ急峻性および/または最大振幅は、矩形パルスの所定の電流強度のもとで変化する。従って本発明では、立下がりエッジを生成するためにバス容量を、放電電流ドレインを介して定めて放電することを提案する。ここでさらに、センサでの電圧崩壊を回避するために、矩形信号が生成される直前の値まで供給電流源の出力電圧が低減されると、放電電流ドレインを適時にスイッチオフすることが必要である。
【0018】
本発明の発展形態では、矩形パルスの電圧振幅も、所定の許容公差内に保証されるべきである。矩形パルスの電圧振幅はここで、矩形パルス生成の直前の供給電流源の出力電圧と矩形パルスの最大電圧との間での電圧差で定められる。
【0019】
矩形パルスを生成する前の供給電流源の電圧を測定するのに本発明では、抵抗Rと電流ドレインから成る直列回路を用いることを提案する。ここでこの直列回路はデータバスに対して並列に配置されている。直列回路の抵抗Rはここで、供給電流源の内部抵抗Rよりも所定のファクタだけ大きい。内部抵抗Rはここで、少なくとも1つのトランジスタの抵抗によって構成される。このトランジスタは供給電流を閉ループ制御するために使用される。さらに測定抵抗Rは内部抵抗Rに分類される。これは、供給電流を測定する、および/またはデータストリームを検出するためにデータバス内に配置されている。
【0020】
ここで電流ドレインは次のように閉ループ制御される。すなわち電流ドレインを介して電流Iが排出するように閉ループ制御される。ここでこの電流は、抵抗Rが供給電流源の内部抵抗Rを上回っているファクタと同じ、設定可能なファクタぶんだけ低い。従って電流ドレインを介して電圧が設定される。これは測定精度の枠内で、供給電流源の電圧に相応する。
【0021】
ここで電流ドレインを介した電圧は基準電圧として使用される。これによって、放電電流ドレインは適切な時点で閉成され、センサの供給電圧における下方振動が回避される。択一的または付加的に、電圧は、電流ドレインを介して、矩形パルスの振幅に対する基準として使用される。本発明の実施形態ではこのために、電流ドレインを介して電圧に付加的な基準電圧が加えられる。
【0022】
電流ドレインを閉ループ制御するために、これには、供給電流源の測定された供給電流が供給される。これはデジタル測定値またはアナログ測定値として生じる。供給電流の所望の部分での電流ドレインのこの調整は、例えばPI調整器またはPID調整器を介して行われる。しかし当然ながら、別の閉ループ制御コンセプトも当業者には公知であり、本発明の目的のために使用可能である。
【0023】
本発明の装置は、本発明の1つの実施形態において、集積回路の形状で存在する。この集積回路はここで例えば電気抵抗、コンデンサ、トランジスタおよびダイオードを含む。これらは、本発明で提案された機能が実現されるように協働する。
【0024】
本発明の別の実施形態では、本発明の装置はマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラを有しており、この上には、提案された回路の少なくとも1つの機能が、少なくとも部分的にソフトウェアの形状で後から構成される。ソフトウェアはここで、各機能がマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラによって実現されるように構成されている。ソフトウェアを格納するために、殊にEPROMメモリまたはフラッシュメモリが適している。しかし当然ながら、別のコンピュータ読み出し可能な記憶媒体も当業者に公知であり、本発明の目的のために使用可能である。
【実施例】
【0025】
以下で本発明を、図面に基づいてより詳細に説明する。しかし一般的な本発明の考えはこれによって制限されない。
【0026】
図1には本発明による装置のブロック回路図が示されている。この装置は、供給電流源1を有している。この供給電流源1には、動作電圧が接続端子13を介して供給される。この動作電圧は例えば、車両の搭載電源網のことである。従って、動作電圧13は、その時々の車両の動作状態によって変動する。本発明の別の実施形態では、動作電圧13が、開放された電流網のネットワーク部分または変圧器によって供給されてもよい。
【0027】
さらに、供給電流源1にはデータバル6が接続されている。データバス6はここで少なくとも2つの電気的導体を含んでいる。場合によっては1つの導体は車体金属板によって構成される。
【0028】
データバス6には少なくとも1つのセンサ5が接続される。場合によっては、複数のセンサが設けられる。これは例えば2〜20個である。センサ5の数はここで、異なる製造者の異なる車両、または同じ車両の異なる構成バリエーションにおいて異なる。
【0029】
センサ5の各々は、測定量を検出するためのセンサ部材を含んでおり、この測定量は例えば温度、加速度、ヨーレート、回転角度、速度等である。付加的に各センサ5は評価回路を含んでいる。これは例えばA/D変換器を含んでいる。さらに、センサの自己テスト、データの妥当性検査、較正、データ領域またはさらなる機能の低減のための構造グループがセンサ5内に組み込まれる。各センサは、その作動のために必要な静電流5を検出する。さらに各センサは、データバス6のバス線路と同じように電気容量を有している。この寄生容量は、図1では、容量16によってあらわされている。
【0030】
センサ5は、問い合わせ信号を受信するように構成されている。問い合わせ信号の受信後、センサは、データをデータバス6を介して、供給電流源1へ供給する。このデータはここで例えば初期化信号、エラー信号または測定値を含んでいる。ここでこのデータは電流パルスの形状で、既存の静電流に重畳される。異なるセンサの異なるデータの重畳を回避するために、各センサは、固定されて時間窓を得る。センサはこの時間窓内で、問い合わせ信号の受信後に自身のデータを送出する。
【0031】
供給電流源1内では、データバス6内に、電気抵抗Rが位置している。この電気抵抗で電圧が降下する。この電圧は、バス6上の静電流IBusに比例する。さらに抵抗Rで電圧が下降する。これは、センサ5から出力された電流パルスに依存して変調される。抵抗Rで下降する電圧は、測定装置11によって測定される。ここでこの測定装置11は、変調された信号成分、すなわち、静電流IBUSに由来する電圧成分を上回る、ないしは下回る、抵抗Rでの電圧成分の測定に用いられる。信号電圧のこのような成分は、測定装置11から、データ信号Data_outとして、後続の回路部分に転送される。後続の回路分は例えばマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、メモリ、デジタル信号プロセッサまたはアクチュエータを含む。これによって、センサ5の測定信号に依存して、車両内または車両内燃機関の機能が実施される。
【0032】
測定装置11が静電流IBUSを上回っているないしは下回っている成分を確実に求めることができるように、静電流IBUSの成分が、別の測定装置12によって求められる。この静電流成分IBUSは、測定装置11でのトリガ閾値を特定するために供給される。さらにこの測定装置12によって測定された静電流IBUSは、静電流IBUSを設定可能な目標値に調整するために用いられる。測定装置11および/または12としては例えば、コンパレータまたは演算増幅器が使用される。
【0033】
静電流IBUSは、センサの電流受容および供給電圧に依存して設定される。本発明の別の実施形態では、静電流IBUSの目標値は、データバス6に接続されているセンサ5の数およびタイプに依存して設定され、調整装置17によって調整される。調整装置17はここで例えば、PI調整器またはPID調整器を含んでいる。調整装置17は、ハードウェアとしてまたはソフトウェアとして実現される。後者の場合にはマイクロコントローラまたはマイクロプロセッサが使用可能であり、このマイクロコントローラまたはマイクロプロセッサ上で、調整装置17のソフトウェアが実施される。実際値に影響を与えるために、可変抵抗部材が供給される。これは例えば、電界効果トランジスタ10である。これは、供給電流源1からバス線路6に供給された電流に次のように影響を与える。すなわち、供給電流IBUSの所望の目標値が設定されるように影響を与える。
【0034】
データバス6上に問い合わせ信号を生成するために、電流源2と電流ドレイン3が使用される。電流源2はここでより高い電位15と接続されている。これは、バス線路6上の、供給電流に基づいて設定される供給電圧よりも高い。
【0035】
電流ドレイン3はより低い電位と接続されており、例えばアース電位と接続されている。
【0036】
問い合わせ信号は例えば矩形パルス、正弦波信号、三角信号または鋸歯状信号であってよい。以下では模範例として、問い合わせ信号としての矩形パルスの生成を説明する。
【0037】
供給電流源1の供給電圧上にポジティブな矩形信号を生成するために第1の電流源2は、バス線路6を、電流源1の電位よりも高い電位と接続する。これによって電流は電流源2からバス線路6内に流れる。この電流はバス容量16を充電し、これをより高い電位にする。このようにして、矩形パルスの立ち上がりエッジが生じる。
【0038】
矩形パルスの長さに相応する所定の持続時間の後、より高い電位15を有する電流源2が、バス線路6から別個にされる。バス線路6の容量16はここで、リーク電流および電流負荷を介して、これが再び供給電流源1の電位を有するまでセンサ5を放電させる。しかしこのように生成された立下がりエッジは、一定のエッジ急峻性を有していない。むしろ、エッジ急峻性はバス線路6の容量およびセンサ5の電流需要によって変化する。所定のエッジ急峻性と、立下がりエッジの形状との差を補償するために、電流ドレイン3が設けられている。電流ドレイン3は低い電位、例えばアース電位と接続されている。
【0039】
電流ドレイン3を介して流出する電流は次のように選択される。すなわち、バス線路6の容量16がより高い電位から元来の電位まで、所定時間内で、すなわち所定のエッジ急峻性で放電されるように選択される。
【0040】
センサでの電圧崩壊を回避するために、供給電流源1の電圧に到達した時に、電流ドレイン3をバス線路6から分離することが必要である。供給電流源1の電圧を介して矩形パルスの所定の最大振幅を保証するために、電流源2は、所定の最大振幅に達したときに、バス線路6から分離されなければならない。このために、電流供給源1の調整装置17による供給電流IBUSの調整に基づいて設定される、データバス6上の電圧を測定することが必要である。
【0041】
このために抵抗R並びに電流ドレイン9が使用される。抵抗Rはここで、所定のファクタだけ、供給電流源1の内部抵抗よりも大きい。供給電流源1の内部抵抗はここで殊に、測定抵抗Rの大きさおよび調整素子10のスイッチオン抵抗、すなわち使用される電界効果トランジスタ10のソース・ドレイン抵抗によって形成される。本発明の有利な実施形態では、抵抗Rの電気抵抗は、供給電流源1の内部抵抗の約10〜100倍である。
【0042】
抵抗Rを介して排出される電流は、調整可能な電流ドレイン9によってコントロールされる。バス線路6上で流れる供給電流に依存した、電流ドレイン9の開ループ制御および/または閉ループ制御を保証するために、供給電流の実際値の測定値はコンパレータ12を介して求められ、電流ドレイン9の線路18を介して供給される。従ってバス線路6上の供給電流の変化時にも、電流ドレイン9を通って流れる電流が常に整合される。従って、電流ドレイン9を通って流れる電流は、バス線路6内のセンサ5の供給電流の設定可能部分に相応する。このような部分はファクタの逆数に相応する。このファクタぶんだけ、抵抗Rは電流源1の内部抵抗Rよりも大きい。従って、電流ドレイン9内を流れる電流Iは、データバス6上の静電流IBUSに等しく、抵抗の比と乗算される。
【0043】
本発明では、この場合には電流ドレイン9を介して次のような電圧が下降することが知られている。すなわち、供給電流源1からの供給電流IBUSが流れると、データバス6上で設定される電圧である。
【0044】
データ信号による電流ドレイン9を介した電流の変調を阻止するため、または、低減するために、本発明の発展形態において次のことを提案する。すなわちコンパレータ12を通って流れる静電流を時定数で走査することを提案する。この時定数は、データバス6上のデータ信号の象徴的な持続(Symboldauer)時間よりも大きい。
【0045】
コンパレータないし調整装置7はここで、線路14とデータバス6との間の電圧差が所定の値、例えば0に達すると、バス線路6に対する電流ドレイン3の接続を中断するために使用される。このようにして、データバス6のバス容量16が、電流ドレイン3を介して、センサ5の供給電圧が許容値を下回って低下するまで放電される。電流ドレイン3のスイッチング時間を考慮するために、本発明の発展形態において、電位が0と異なるときに既に、コンパレータ7によって、電流ドレイン3の接続を分離するための信号がトリガされてもよい。この場合には、バス容量は、スイッチング遅延の間にさらに放電され、その後、バス線路6と電流ドレイン3との間のスイッチング部材の開放時に、設定された目標値に達する。
【0046】
択一的または付加的に、線路14の電位が基準電圧源8によって高められ、この電位がコンパレータ4に供給される。このようなケースにおいてコンパレータ4は、バス線路6が供給電圧と基準電圧源8の電圧との総計に相応する電位を有している場合に、電流源2をバス線路6から分断するために使用される。このようにして、基準電圧源8によって、問い合わせ信号の最大振幅が監視される。当然ながら、コンパレータ4のスイッチング時間を補償するために、信号が、データバス6と電流源2の間の線路接続を開放するためにトリガされる。これは、コンパレータ7との関連においてあらわされている。
コンパレータ12と電流ドレイン9との間のデータ交換並びに、コンパレータ7と電流ドレイン3の間のデータ交換およびコンパレータ4と電流ドレイン2との間のデータ交換は、本発明の実施形態に応じて、デジタルデータストリームまたはアナログ調節信号として行われる。
【0047】
図2には、矩形信号の時間的経過が示されている。これは図1に示された、本発明の装置によって生成されたものである。時間tに対する、データバス6上の電圧VBUSが示されている。
【0048】
図2では、静電流に基づいて設定された電圧は値Vを有している。供給電流源1はデータバス6上にセンサ5を給電するためにこれを出力する。時点tで電流源2は、バス線路6と接続される。これによってバス容量16は、より高い電位にまで充電される。
【0049】
時点tで、バス容量は、所望の電圧レベルに達する。これは、供給電圧V0と基準電圧源8の基準電圧VAの総計から成る。このような電位に達すると、コンパレータ4によって電流源2は次のように調整される。すなわち、バス線路6の電位が、所望のレベルで保持されるように調整される。時点tで、問い合わせ信号の立下がりエッジが形成される。従って、時点tで電流源2はバス線路6から分離される。同時に電流ドレイン3が、バス線路6と接続される。このようにしてバス線路6のバス容量16は、電流ドレイン3を介して放電される。
【0050】
時点tではバス容量16は、供給電圧レベルV0まで放電される。このことはコンパレータ7によって識別される。なぜなら、線路14とデータバス6との間の電圧差はほぼ0だからである。従って、時点tで電流ドレイン3はバス線路6から分離される。バス線路6はここで再び、供給電圧レベルV0を有する。これは、センサ部材5の供給電流に基づいて設定される。
【0051】
図3は比較のために信号経過特性を示している。この信号経過はコンパレータ7の介入無しに、かつ抵抗Rおよび電流ドレイン9による、本発明の電圧検出なしに生成されたものである。まずはバス線路6は、既に図2に関して説明された電位V0にある。同じように、立上がりエッジが時点tとtの間で生成される。時点tまで、バス容量16は所望の電位に留まる。バス容量を放電するために、電流ドレイン3は、tとtとの間の所定の時間期間の間、バス線路6と接続される。この時間期間はここで、経験的にこれが、電圧レベルV0までのバス容量の放電に十分であるように選択される。
【0052】
しかし図3から分かるように、時点tとtの間の放電時間はこの場合には十分ではない。これは例えば、バス容量が元来想定されていたものよりも大きいことが原因である。しかし供給電流と供給電圧V0の変動が原因で、図3に示された状況は次のことによっても生じてしまう。すなわち、供給電圧V0が時点tで想定されていたものよりも低いことによっても生じてしまう。最後に、図3内に示された信号経過特性の原因は、センサ5の電流需要または電流ドレイン3の放電電流が、元来想定されていたものよりも低いということでもある。
【0053】
この場合にはバス電荷は、時点tでのバス線路6からの電流ドレイン3の分断後に、不所望の高い電位に留まってしまう。これは、以降で、リーク電流およびセンサ5による電流受容によって放電される。時点tになってはじめて、バス線路は、所望の電位に設定される。
【0054】
図4は、別の信号形状を示している。これは従来技術に即しており、コンパレータ7を用いずに形成されたものである。この場合にも、矩形パルスの生成は時点tまでは、図2および3に関連して説明したように延在する。時点tでは電流ドレイン3は、所定の持続時間の間、バス線路6と接続される。
【0055】
しかし図4に示されているように、tとtの間の放電時間は過度に長く選択されている。これは例えば次のことと関連している。すなわちバス容量16が元来、想定されていたものよりも小さい、または供給電圧レベルV0が元来想定していたものよりも大きいことと関連している。さらに、図4に示された信号経過特性の原因は、センサ5の電流需要または電流ドレイン3の放電電流が、元来想定されていたものよりも大きいということでもあり得る。この場合にはバス容量16は、時点tまで、電位V0を下回って放電される。これによって、センサ5の供給電圧の電圧崩壊が生じ、センサの機能にエラーが生じる。時点t後にはじめて、電流ドレイン3がバス線路6から分断されると、供給電流源1は、バス線路6を再び、所望の電圧レベルまで充電する。従って矩形パルス生成前の電圧レベルV0に、時点tではじめて達する。
【0056】
当然ながら当業者には、本発明が図示の実施例に制限されないことが自明である。むしろ、本発明の転換時には、本発明自体を実質的に変えることなく、修正および変更が行われ得る。従ってこの明細書は本発明を制限するものとして見なされるべきではなく、本発明を説明するものとして見なされるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの測定量を検出するように構成されている装置であって、
当該装置によって少なくとも1つのデータバス(6)が供給され、
当該データバスは、前記測定量を検出するための少なくとも1つのセンサ(5)と接続可能であり、ここで当該センサ(5)には、前記データバス(6)を介して、内部抵抗Rを備えた供給電流源(1)によって供給電流IBUSが供給され、
前記装置は、前記データバス(6)上に設定可能な信号形状を有する問い合わせ信号を形成することができる装置(2、3)を含んでいる形式のものにおいて、
前記装置は、前記供給電流源(1)の電圧を検出するための装置(R1、12、R2、9、7)を有しており、ここで抵抗Rおよび電流ドレイン(9)から成る直列回路が設けられており、
ここで当該直列回路はデータバス(6)に対して並列に配置されており、
前記電流ドレイン(9)は、電流Iを排出するように設けられており、当該電流は
【数1】

によってあらわされる、
ことを特徴とする、少なくとも1つの測定量を検出するように構成されている装置。
【請求項2】
少なくとも1つのコンパレータ(4、7)が設けられており、これによって、前記電流ドレイン(9)の端子(14)と前記データバス(6)の導体との間の電位差が測定され、
前記問い合わせ信号を形成するための装置(2、3)は、前記コンパレータ(4、7)の出力に依存して開ループ制御および/または閉ループ制御される、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記電流ドレイン(9)の端子(14)と、前記コンパレータ(4)の入力側との間に、基準電圧源(8)が配置されている、請求項2記載の装置。
【請求項4】
抵抗(R)が設けられており、当該抵抗はデータバス(6)の導体と直列接続され、 前記供給電流源(1)の作動時に当該抵抗(R)を介して降下する電圧は、少なくとも、前記電流ドレイン(9)を閉ループ制御するために設けられている、請求項1から3までのいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
A/D変換器(12)が設けられており、当該A/D変換器は、前記抵抗(R)を介して降下した電圧をデジタル化し、
前記電流ドレイン(9)は目標値設定をデジタルに受信するように構成されている、請求項4記載の装置。
【請求項6】
少なくとも1つのセンサを用いた測定量の検出方法であって、
当該センサは、測定量を転送するためのデータバス(6)と接続されており、当該センサに、内部抵抗Rを有する供給電流源(1)を用いて、供給電流IBusを前記データバスを介して供給し、
ここで前記測定量の検出を、前記データバス(6)上の設定可能な信号形状を有する問い合わせ信号によってトリガする形式の方法において、
抵抗Rと電流ドレイン(9)から成る直列回路を設けることによって前記供給電流源(1)の電圧を定め、
前記直列回路をデータバス(6)に対して並列に配置し、前記電流ドレイン(9)を介して電流Iを排出し、当該電流は
【数2】

によってあらわされる、
ことを特徴とする、少なくとも1つのセンサを用いた測定量の検出方法。
【請求項7】
少なくとも1つのコンパレータ(4、7)によって、前記電流ドレイン(9)の端子(14)と前記データバス(6)の導体との間の電位差を測定し、
前記問い合わせ信号を形成するための装置(2、3)を、前記コンパレータ(4、7)の出力に依存して開ループ制御および/または閉ループ制御する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記電流ドレイン(9)の端子(14)と、前記コンパレータ(7)の入力側との間に、基準電圧(8)を印加する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記供給電流IBUSを測定するために、抵抗(R)での電圧降下を特定し、
当該抵抗を前記データバス(6)の導体と直列接続し、
前記電圧降下を少なくとも、前記電流ドレイン(9)の閉ループ制御のために用いる、請求項8記載の方法。
【請求項10】
プログラムコードを有するコンピュータプログラムであって、
機械読み出し可能な担体上に格納されており、
コンピュータ上で当該コンピュータプログラムが実施される場合に、請求項6から9までのいずれか1項に記載された方法を実施する、
ことを特徴とする、プログラムコードを有するコンピュータプログラム。
【請求項11】
請求項1から5までのいずれか1項に記載された装置を有する集積回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−40049(P2010−40049A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−183075(P2009−183075)
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】