説明

港湾構造物診断方法

【課題】測定により得られる周波数スペクトルと波形プロファイルから自動的に空洞の存在状態を、高い信頼性を以て、検知することができる港湾構造物診断方法を提供する。
【解決手段】診断対象である港湾構造物に対してその表面から、連続波方式の電磁波を放射して、その港湾構造物から反射された反射波を受信する。その反射波に含まれている周波数スペクトルのうち着目する周波数範囲における周波数スペクトルのレベルが、所定のレベルを越え、その周波数スペクトルのピーク周波数が着目する周波数範囲のどの位置にあるかにより、港湾構造物内にどの程度の厚みの空洞が存在するかを予測することができる。さらに、反射波の時間波形の位相により、空洞内が海水か空気かを判定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーソン防波堤の空洞や空隙を診断することが可能な港湾構造物診断方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
防波堤は波浪,高潮,津波から港湾,都市,産業施設などの活動拠点を防護する目的で建設されている。防波堤によって港内を静穏に保ち、船舶の安全航行,停泊,荷役の円滑を図ることができる。我が国の防波堤は、図15に示すように海底地盤100上に石材によるマウンド11を設け、その上に直立堤体(ケーソン:caisson はフランス語で函を意味する)10を据え付ける混成堤が多い。図15(a)はケーソンの平面図であり、同(b)は、(a)における断面(H−H)に沿うケーソン10の断面図である。
【0003】
波浪の大きい地点では、波力を低減する目的でケーソン10の前面に消波ブロック(図示せず)を置く消波ブロック被覆堤もある。以下、防波堤200と総称する。ケーソン10の内部には砂12を詰め(これを中詰砂という)、その上に蓋コンクリート13(無筋)で蓋をし、さらにその上に上部コンクリート14を配置する構造を有している。蓋コンクリート13と上部コンクリート14とは密着して形成されている。
【0004】
通常、防波堤用ケーソン10は隔壁16により適宜の小区画に分割され、平面では12m×15mであり、高さは水深によって異なる。長年の波浪侵蝕によって、消波ブロックがケーソン10の側壁を削り、中詰砂12が流出することがある。また、マウンド11の洗堀や基礎地盤100の不同沈下によってケーソン10自体が割れることもある。ケーソン10の中詰砂12が流出した場合、相対的に上部が重くなるため力学的に不安定になる。中詰砂12の流出量によっては、ケーソン10自体の移動,滑動が生じ、最悪の場合は破壊することもある。
【0005】
このように、ケーソン10内に空隙や空洞15が発生した場合には、防波堤200が破壊することがあるため、防波堤200を安定した正常状態に維持管理するには、ケーソン10の内部に空洞15や空隙が生じていないかを調査し確認する必要がある。
【0006】
防波堤200内の空洞や空隙を調査するには、上部コンクリート14の表面からボーリング孔を掘削し、中詰砂22までの高さを、防水カメラを挿入して観察するなどの方法が行われ、調査に多くの費用及び時間を要していた。
【0007】
また、コンクリート構造物背面(図15(b)では、蓋コンクリートの下面)の空洞を非破壊的に、効率よく調査するために、パルス波を用いた地中レーダが用いられているが、その調査可能深度は1m程度であり、防波堤200内のコンクリート厚は4m以上であるため、従来のパルス波地中レーダでは探査することができない。
【0008】
このような従来技術の欠点を解消するために、例えば、周波数変調(FM:Frequency Modulation)された連続波(CW:Continuous Wave )を電磁波パルスと同じように扱うことができる連続波(FM−CW)方式の地中レーダを応用し、コンクリート厚4m以上の空洞を調査することが行われている。
【0009】
その他の例は、本願発明者が提案した構造物診断装置である(非特許文献1参照)。また、ここに用いられている連続波方式の地中レーダ探査については、本願発明者等が既に提案している(非特許文献2参照)。
【非特許文献1】(株)光電製作所から、2002年7月31日に発行された「光電技報」第18号、P2〜4「港湾構造物診断装置の開発」
【非特許文献2】1999年5月1日に、工業技術院地質調査所から発行された「地質ニュース537号」44〜52頁「ステップ式連続波レーダ探査装置を用いた地中レーダ探査」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、このような地中レーダにより港湾構造物内の空洞の有無を判断する場合には、地中レーダ技術者の経験や実績の差異により、大きい個人差が存在している。例えば、「空洞有り」との担当技術者による判断に基づき、その空洞の存在を実際に確認するために、対象の防波堤に対するボーリング調査などを行うと、空洞が存在しないこともある。また、不慣れの技術者の判断によっては、空洞を見失う可能性もある。
【0011】
本発明の目的は、測定により得られる周波数スペクトルと波形プロファイルから自動的に空洞の存在状態を、高い信頼性を以て、検知することができる港湾構造物診断方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的を達成するために、本発明による港湾構造物診断方法は、診断対象である港湾構造物の表面から、該港湾構造に対して放射された連続波方式の電磁波が、該港湾構造物から反射された反射波を受信し、
該反射波に含まれている周波数スペクトルを算出し、
該周波数スペクトルのうち着目する周波数範囲(例えば、5〜18MHz)における周波数スペクトルのレベルが、所定のレベルを越え、かつ、該周波数スペクトルのピーク周波数が前記着目する周波数範囲の略中央値(例えば、10MHz)より低くかつそのピーク幅が予め定めた周波数幅(例えば、4.2MHzの近傍の周波数幅)より広いと判断されたときに、前記港湾構造物内に予め定めた厚み(例えば、厚さ30cm)以上の厚い空洞が存在する可能性ありと判定するように構成されている。
【0013】
また、診断対象である港湾構造物の表面から、該港湾構造に対して放射された連続波方式の電磁波が、該港湾構造物から反射された反射波を受信し、
該反射波に含まれている周波数スペクトルを算出し、
該周波数スペクトルのうち着目する周波数範囲(例えば、5〜18MHz)における周波数スペクトルのレベルが、所定のレベルを越え、かつ、該周波数スペクトルのピーク周波数が前記着目する周波数範囲の略中央値(例えば、10MHz)より高いと判断されたとき、または該周波数スペクトルのピーク周波数が前記着目する周波数範囲の略中央値より低くかつそのピーク幅が予め定めた周波数幅(例えば、4.2MHzの近傍の周波数幅)より狭いと判断されたときに、前記港湾構造物内に予め定めた厚み(例えば、厚さ30cm)未満の薄い空洞が存在する可能性ありと判定するように構成されている。
さらに、前記反射波の時間波形の位相に反転があるか否かを判断し、該時間波形の位相に「反転あり」のときに空洞内は空気で満たされており、該時間波形の位相に「反転なし」のときに空洞内は海水で満たされていると判定するように構成することができる。
また、前記反射波の時間波形の位相に「反転あり」のときであって、前記港湾構造物が海面以下に存在しているときに、該港湾構造物の上部コンクリート内部に空隙が存在する可能性ありと判定するように構成することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、防波堤内に生じる空洞の検出能力を大幅に向上させることができる。
判断の結果は、結果レポートをデータベース化し、ケーソン内部状態の経年変化を把握することができる。
本発明により、ケーソン防波堤を中心とした港湾構造物の維持管理を定量的に行うことが可能であり、その実用的効果は極めて大である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明について図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明に用いる測定装置の配置例を示す系統図である。この測定装置は、ケーソン10の上部に配置された上部コンクリート14の表面に配置されている。ここで、送信機(Tx)1の内部には、送信アンテナ,送信器,AF(Audio Fraquency )帯域への周波数変換回路,E/O・O/E(電気/光・光/電気)変換器,A/D・D/A変換器、及びそれらを駆動するためのバッテリが内蔵されている。受信部(Rx)2の内部には受信アンテナ2−1,2−2,受信部,E/O・O/E変換器,及びバッテリが内蔵されている。測定装置の制御は、測定装置に接続されたパソコン(図示せず)により行うことができる。図1に示すように空洞15からの反射波を重ね合わせることによってS/Nを向上させるために2台の受信アンテナ2−1,2−2が用いられているが、これは必須要件ではなく、単一又は3台の受信アンテナ等を用いることも可能である。
各アンテナ間は誘導ノイズを避けるためE/O変換器,O/E変換器の出力に接続された光ファイバケーブル(アナログリンク)で結線される。パソコンからの制御信号及び収録データの伝送にも光ケーブル(ディジタルリンク)を使用する。各アンテナの上部には、上方に放射された電磁波を吸収し、外来ノイズを遮断するためにフェライトによる遮蔽処理を施している。
【0017】
図2は地中レーダの測定結果を判断するために、計算機シミュレーション用に設定した数値モデルである。このモデルにおいて、図1に示した上部コンクリート14と蓋コンクリート13との合計の厚みは4.3mであり、この上部コンクリート14の上部に示されている空気層の厚み0.1mは送信アンテナ1−1と受信アンテナ2−1,2−2の各々と上部コンクリート14との間に設ける空隙の厚みである。空気または海水に充填された空洞の厚みの例として50cm,100cm,200cmが示されている。ケーソンの幅は24mである。
【0018】
図1に示す測定系において、ケーソン10の上側に配置されている上部コンクリート14の表面に置いた送信部1の送信アンテナ1−1から連続波方式の電磁波を放射すると、コンクリート(13,14)中を伝搬した電磁波は、コンクリート13と中詰砂12、またはコンクリート13,14と空洞15との境界で反射する。
電磁波の反射波形は、電磁波波動方程式に基づき、計算する。
反射した電磁波は、上部コンクリート13,14の表面に置いた受信部2の各受信アンテナ2−1,2−2でとらえられる。
受信部2では、地中レーダの測定と同じように波形を並べ、波形プロファイルを作成する。
同時にフーリエ変換を用いて振幅スペクトルを計算し、スペクトルプロファイルを作成する。
【0019】
図3は、空洞がない場合の、計算機シミュレーションによる周波数スペクトルである。周波数12〜40MHzに、出力が現れている。
図4は、空洞の内部が空気の場合の、計算機シミュレーションによる周波数スペクトルである。
図5は、空洞の内部が海水の場合の、計算機シミュレーションによる周波数スペクトルである。
以上3つの場合を比較すると、空洞15がある図4の場合には、5〜18MHz間に出力が現れることが認められる。
空洞15の厚さを変えると空洞内の物質によらず、空洞の厚さが厚くなると振幅スペクトルのピークがその周波数範囲(5〜18MHz)の略中央値(約10MHz)より低い周波数に移行する。
【0020】
一方、計算機シミュレーションによる波形は、図6に示す空洞15内が空気の場合と、図7に示す空洞15内が海水の場合とで、位相が反転する。
これらの現象を組み合わせて判断することにより、空洞の有無、空洞内の物質、及び空洞のある程度の大きさを判定することができる。
【0021】
計算機シミュレーションの結果から、空洞がある場合には、5〜18MHz間に周波数スペクトルの出力が現れ、空洞が厚くなると、周波数スペクトルのピークがその周波数範囲(5〜18MHz)の略中央値(約10MHz)より低い周波数側に移行することが認められる。このように、測定結果から、測定対象の正否判断に直接影響すると思われる周波数範囲が周波数スペクトルの着目する周波数範囲となる。
一方、波形プロファイルでは、反射波の位相が空気の場合と海水の場合とで反転することが認められる。
【0022】
次に、実測データについて、説明する。
図8は、実際の防波堤で得られた連続波地中レーダの振幅スペクトルであり、10MHz以下にピークを持つため、空洞が存在する可能性がある。この図8の場合には、10MHz以下のピーク幅は、ピーク値(約6.7)の70%値(約4.7)におけるピーク幅でみると約5MHzである。
この個所を掘削してみると、海水に満たされた空洞が検出された。
【0023】
図9は、図8と同様であるが、周波数スペクトルの5〜18MHz間のピーク幅は、図8と同様の規準でみると約3.5MHzであるから、図8の場合(5MHz)より狭い周波数幅になっている。
この個所を掘削してみると空気で満たされた空隙がコンクリート内に検出された。
従って、図8と図9の測定結果から判断すると、前記の規準でみたときのピーク幅が5MHzでは海水に満たされた薄い空洞であり、ピーク幅が3.5MHzでは空気で満たされた薄い空洞であるから、その中間のピーク幅(例えば、4.25MHz近傍のピーク幅)より広いか狭いかにより、その空洞が海水で満たされているか又は空気で満たされているかを判断することができる。この規準は、規定対象物についての現場での測定結果を検討して、適切に判断すればよい。
【0024】
図10及び図11は、図8と図9に対応する反射出力波形である。
図10と図11では、波形の位相が反転しており、計算機シミュレーションの結果と一致する。
【実施例1】
【0025】
以上の判断を診断フローとしてまとめたのが、図12である。
この場合の動作フローは、大略次の通りである。
動作開始後(S0)、スペクトルプロファイルを参照して5〜18MHzの周波数のスペクトル出力に着目し(S1)、そのスペクトル出力が予め設定されたレベル(例えば、最大スペクトル値の10%程度)に達しているかのピークの検出テストを行う(S2)。このS2でのテストがYESのときには、さらに周波数スペクトルのピーク周波数が高いか低いかに従って次の処理を行う(S3−1,S3−2))。このテストにおいて、ピーク周波数が着目した周波数帯域(5〜18MHz)内の略中央値(10MHz)より低い(5〜10MHz)の範囲であって「低い」と判断されたときには(S3−1)、さらに、そのピーク幅が、例えば、予め定めた4.25MHz近傍のピーク幅より広いか狭いかのテストを行う(S4)。そのステップS4のテストにおいて、「ピーク幅が広い」と判定されたときには、次に、反射波の波形を参照して(S5−1)、反射波位相は正(反転なし)か負(反転あり)かのテストを行う(S6−1)。また、S2のテストがYESであって、ピーク周波数が着目した周波数帯域(5〜18MHz)内の略中央値(10MHz)より高い(10〜18MHz)の範囲であって「高い」と判断されたとき(S3−2)、およびステップS4のテストにおいて「ピーク幅が狭い」と判定されたときには、さらに、反射波の波形を参照して(S5−2)、反射波の波形の位相は「反転なし(正)」か「反転あり(負)」かのテストをする(S6−2)。ケーソン天端が海水面より上であれば、空洞は空気で満たされている(図15参照)。ケーソン天端が海水面以下であれば空洞は海水で満たされている。しかし、ケーソン天端が海水面以下であるにもかかわらず、波形の位相が反転していることがある。ここを堀削してみると、上部コンクリート内部に(海水面より上の空気で満たされた)空隙が発見され、これが波形の位相反転の原因であると考えられる。この事実から、ケーソン天端が海水面以下でも波形の位相が反転する場合には、上部コンクリート内部の空隙であると診断される。この事実を確認するために、ケーソンが海面以上であるか以下であるかのテストをする(S7−1),(S7−2)。
【0026】
以上のテストの結果に基づき、空洞の状態について、次のように判定する(S8)。
(S8−1−1) ピーク周波数が着目した周波数帯域(5〜18MHz)内の略中央値より低い周波数の範囲にあって、S6−1におけるテストにおいて、反射波の位相が正であると判断されたときには、「海水で充填された厚い空洞(厚さ30cm以上)の可能性あり」と判定される。
(S8−1−2) ピーク周波数が着目した周波数帯域(5〜18MHz)内の略中央値より低い周波数の範囲にあって、S6−1におけるテストにおいて、反射波の位相が負であると判断されたときには、「空気で充填された厚い空洞(厚さ30cm以上)の可能性あり」と判定される。
(S8−2−1) ピーク周波数が着目した周波数帯域(5〜18MHz)内の略中央値より高い周波数の範囲にあって、S6−2におけるテストにおいて、反射波の位相には「反転なし(正)」と判断されたときには、「海水で充填された薄い空洞(厚さ30cm未満)の可能性あり」と判定される。
(S8−2−2) ピーク周波数が着目した周波数帯域(5〜18MHz)内の略中央値より高い周波数の範囲にあって、S6−2におけるテストにおいて、反射波の位相に「反転あり(負)」と判断されたときには、「空気で充填された薄い空隙(厚さ30cm未満)の可能性あり」と判定する。
(S8−3) S7−1,S7−2のテストにおいて、ケーソンが海面以下であることが判明したときには、「上部コンクリート内部に空隙あり」と判定される。
(S8−4) S2におけるテストにおいて、5〜18MHzの周波数帯での周波数スペクトルが、所定のレベルに達していないことが判明したときには(S3−3)、「空洞なし」と判定される。
【0027】
以上のことから、波形プロファイルでは、空洞からの反射波の位相を判定することにより、空洞内部が海水で満たされているか、空気で満たされているかを判定することができる。
【実施例2】
【0028】
この診断フローを自動化するために、図13に示す解析手順に従って、計算機により計算させる。
この場合の動作概要は、次の通りである。
初めに作業を行うフォルダ(作業領域を設定する)(S11)。
入力ファイル,入出力パラメータ(上部コンクリート厚,電磁波速度,ケーソン桝数)を測定する(S12)。
これらのデータは、同一画面上で一括処理で入力することができる(S13)。
次に、その入力された入出力パラメータの確認をする(S14)。
振幅については、標準偏差を用いて、しきい値を決定する(S15)。
次に、データの平均化と正規化を行う(S16)。
ここで、1)スペクトルピークレベルの算出,2)スペクトルピーク周波数の算出,3)スペクトルピーク幅の算出,4)波形の位相検出をする(S17)。
S17における算出結果に基づき、図12を参照して説明した診断フローに沿った診断を行う(S18)。
次に、診断結果レポートの表示・格納をして(S19)、動作を終了する(S20)。
【0029】
計算した結果は、測定場所・日時等のコメントを入力し、図14に例示する結果表示レポートに出力し、格納する。ここで、下段の別枠には、数値的なデータ(診断パラメータ,診断結果数値,結果図)などが示されている。
なお、上部の枠の最後の段の「帳票ファイル名」は、結果レポートのうち主要な結果を、データベース化できるようにテキスト形式で保存するためのファイル名である。
【産業上の利用可能性】
【0030】
防波堤の如き港湾構造物内に生じる空洞の所在と大きさ及び海水の浸入状態等を高い信頼性を以て検知可能であるから、港湾構造物の維持管理のための重要な手段として適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明方法を実施するための装置配置を説明するための断面略図である。
【図2】本発明に適用される計算機シミュレーションのモデルを示す断面図である。
【図3】空洞がない場合の、計算機シミュレーションによる周波数スペクトル特性例図である。
【図4】空気が充填された空洞が存在する場合の、計算機シミュレーションによる周波数スペクトル特性例図である。
【図5】海水が充填された空洞が存在する場合の、計算機シミュレーションによる周波数スペクトル特性例図である。
【図6】空気が充填された空洞が存在する場合の、計算機シミュレーションによる反射波形例図である。
【図7】海水が充填された空洞が存在する場合の、計算機シミュレーションによるの反射波形例図である。
【図8】空気が充填された空洞が存在する場合の、実測データによる周波数スペクトル特性例図である。
【図9】海水が充填された空洞が存在する場合の、実測データによる周波数スペクトル特性例図である。
【図10】空気が充填された空洞が存在する場合の、実測データによる反射波形例図である。
【図11】海水が充填された空洞が存在する場合の、実測データによる反射波形例図である。
【図12】本発明方法による空洞診断フロー例図である。
【図13】本発明方法による解析手順例を示すフロー図である。
【図14】本発明方法により得られる診断結果レポートの表示例図である。
【図15】本発明方法の診断対象である防波堤ケーソンの構造例を示す平面図(a)と縦断面図(b)である。
【符号の説明】
【0032】
1 送信機(Tx)
1−1 送信アンテナ
2 受信機(Rx)
2−1,2−2 受信アンテナ
10 ケーソン
11 マウンド
12 中詰砂
13 蓋コンクリート
14 上部コンクリート
15 空洞
16 隔壁
100 海底地盤
200 防波堤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
診断対象である港湾構造物の表面から、該港湾構造に対して放射された連続波方式の電磁波が、該港湾構造物から反射された反射波を受信し、
該反射波に含まれている周波数スペクトルを算出し、
該周波数スペクトルのうち着目する周波数範囲における周波数スペクトルのレベルが、所定のレベルを越え、かつ、該周波数スペクトルのピーク周波数が前記着目する周波数範囲の略中央値より低くかつそのピーク幅が予め定めた周波数幅より広いと判断されたときに、前記港湾構造物内に予め定めた厚み以上の厚い空洞が存在する可能性ありと判定する
ことを特徴とする港湾構造物診断方法。
【請求項2】
診断対象である港湾構造物の表面から、該港湾構造に対して放射された連続波方式の電磁波が、該港湾構造物から反射された反射波を受信し、
該反射波に含まれている周波数スペクトルを算出し、
該周波数スペクトルのうち着目する周波数範囲における周波数スペクトルのレベルが、所定のレベルを越え、かつ、該周波数スペクトルのピーク周波数が前記着目する周波数範囲の略中央値より高いと判断されたとき、または該周波数スペクトルのピーク周波数が前記着目する周波数範囲の略中央値より低くかつそのピーク幅が予め定めた周波数幅より狭いと判断されたときに、前記港湾構造物内に予め定めた厚み未満の薄い空洞が存在する可能性ありと判定する
ことを特徴とする港湾構造物診断方法。
【請求項3】
さらに、前記反射波の時間波形の位相に反転があるか否かを判断し、該時間波形の位相に「反転あり」のときに空洞内は空気で満たされており、該時間波形の位相に「反転なし」のときに空洞内は海水で満たされていると判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の港湾構造物診断方法。
【請求項4】
前記反射波の時間波形の位相に「反転あり」のときであって、前記港湾構造物が海面以下に存在しているときに、該港湾構造物の上部コンクリート内部に空隙が存在する可能性ありと判定することを特徴とする請求項3に記載の港湾構造物診断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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