説明

湯水供給装置

【課題】 他の湯水供給モードからミストモードへ切換える際に、当該他の湯水供給モードにおける湯温とは無関係に、ミストモードにおいて予め定めた適切な規定温度のミストを噴出させること。
【解決手段】 湯水をミスト状に噴出するミストモードと、湯水をミスト以外の異なる水流で噴出する別の湯水供給モードとに切り換え自在とされ、切換え手段の切換えでミストモードを含む複数種類の湯水供給モードのいずれか1つのモードを選択できるようにした湯水供給装置4である。ミストモードの選択時にその直前に選択されていた別の湯水供給モード時の湯温とは無関係に、ミストノズルに供給される湯温を予め設定された規定温度に設定するための規定温度設定手段34gを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湯水供給装置に関し、詳しくは切換え手段の切換えでミストモードを含む複数種類の湯水供給モードのいずれか1つのモードを選択できるようにした湯水供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数種類の吐水口を備えたシャワー装置であるシャワー装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このシャワー装置は図10に示すようなもので、正面中央に鏡40を設置した収納ユニット41の両側部にシャワー用吐水口42である複数のシャワー用吐水口2aを備えたアーム43を垂直な回転軸を介して横方向に回転するように設置し、また、収納ユニット41の一側方には収納棚45を設置し、他方には通常のハンドシャワー46を設置し、更に、収納ユニット41の下方に洗い場用吐水口47を有する水栓を備えたカウンターを設置すると共に、洗い場用吐水口47の下方に洗面器を載置する可倒式の洗面器台48を設置した構成となっており、着座してシャワー浴を行うときは洗面器台48を倒した状態で、収納ユニット41の前に置いた椅子に着座してシャワーを浴びるものである。また、洗面等の洗面器を使用する入浴作業を行う時は洗面器台48を起こし、その上に洗面器を載置して入浴作業を行うようになっている。更に、通常のハンドシャワー46を使用する時はハンドシャワー46のシャワーヘッドを手に持ってシャワー浴等を行うようになっている。
【0003】
図11には前記従来例の配管ブロック図であり、図中50は水を供給する給水管、51は湯を供給する給湯管であり、52は給水管50、給湯管51からの水と湯を混合する温度調節ハンドル53を備えたサーモバルブであり、図11の従来例ではサーモバルブ52で混合した湯水を止水弁54を介してシャワー用吐水口42に供給するようにし、また、サーモバルブ52で混合した湯水を別経路で切換え弁55側に供給し、切換え弁55を介してハンドシャワー46のハンドシャワー用吐水口56と洗い場用吐水口47とに選択的に切換えて供給できるようになっている。
【0004】
しかしながら前記特許文献1に示されるシャワー装置では、着座してシャワー用吐水口42からのシャワー浴、ハンドシャワー46によるシャワー浴、洗い場用吐水口47から洗面器台48の湯水の供給に限られていた。
【0005】
そこで最近は、浴室内に湯水をミスト状に噴出することによって、浴室においてサウナ効果を得ることができるようにしたシャワー装置が開発されている。これは、ミストノズルより少量の水をミスト状に噴霧することで、浴室内でミストサウナ浴ができるようにしたものであり、人為操作式のスイッチなどによる起動指令に基づいて、シャワーモードとミストモードとの切換えを行なうものである。
【0006】
ところで、シャワー浴においては、シャワーノズルから噴出される湯水は粒径が大きいことから、その温熱エネルギーの殆どを人体に与えることが可能であり、早期に温熱効果が得られるのが特徴である。一方、ミストサウナ浴においては、ミストノズルから噴出される湯水は粒径が小さいため、その温熱エネルギーの一部を浴室空間に放出し、周囲の空気を温めながら人体の体表面に対して相対的にゆっくりと温熱効果を与えるのが特徴である。このため、例えばシャワーモードからミストモードへ切り換えた場合、シャワー運転時の湯温と同じ温度でミスト運転が行なわれることになり、この場合、ミストの体感温度がシャワーと比較して低いため、身体にひんやり感を与えてしまい、発汗作用を促すどころか、かえって不快になることがある。特に冬季に湯温を高くしてシャワー浴をした後でミストモードに切り換えた時に使用者は最初に予期しない高温ミストが出てしまうこともある。そのため、ミスト温度を適切な温度に制御することはミストサウナ浴を快適に実施するうえできわめて重要である。
【特許文献1】特開2001−204644号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、他の湯水供給モードからミストモードへ切換える際に、常に適切な規定温度のミストを噴出させることができ、快適なミストサウナ浴ができるようにした湯水供給装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために本発明にあっては、湯水をミスト状に噴出するミストモードと、湯水をミスト以外の異なる水流で噴出する別の湯水供給モードとを備えると共に、切換え手段1の切換えでミストモードを含む複数種類の湯水供給モードのいずれか1つのモードを選択できるようにした湯水供給装置において、前記ミストモードの選択時にその直前に選択されていた別の湯水供給モード時の湯温とは無関係に、ミストノズルに供給される湯温を予め設定された規定温度に設定するための規定温度設定手段34gを設けたことを特徴としている。
【0009】
このような構成とすることで、他の湯水供給モードからミストモードへ切換える際に規定温度設定手段34gの働きによって、当該他の湯水供給モードにおける湯温とは無関係に、ミストモードにおいて予め定めた適切な規定温度のミストを噴出させることができる。従って、特に冬季に湯温を高くしてシャワー浴をしたり、或いは夏季で湯温を低くしてシャワー浴をした後に、ミストモードに切り換えた時でも、常に一定温度のミストが噴出するようになるため、使用者が驚いたり、不快感を持つことがなくなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る湯水供給装置にあっては、他の湯水供給モードからミストモードへ切換える際に、直前の他の湯水供給モードにおける湯温とは無関係に、ミストモードにおいて予め定めた適切な規定温度のミストを噴出させることができるので、快適なミストサウナ浴ができる効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0012】
本発明の湯水供給装置4は、湯水をミスト状に噴出するミストモードと、湯水をミスト以外の異なる水流で噴出する別の湯水供給モードとに切り換え自在とされ、切換え手段1の切換えでミストモードを含む複数種類の湯水供給モードのいずれか1つのモードを選択できるように構成されている。切換え手段1として手動で切換える場合と、自動で切換える場合とに分けて説明する。
【0013】
先ず、ハンドルによる手動切換え操作を行なう場合の一例を説明する。
【0014】
添付図面には本発明の湯水供給装置4の一実施形態としてシャワー装置の例が示してある。添付図面に示す湯水供給装置4であるシャワー装置は、浴室の壁7に取付けられるもので、図1に示すように、両側部に合成樹脂により略直方形状に成形されたノズルユニット8が配置してあり、右左のノズルユニット8の前面上部には、使用者の主に肩に向かって衝撃的な水流を噴出するマッサージ用吐水口2dが配置してあり、前面下部には使用者の主に腰部に向かって微細水流(シャワー)を噴出するシャワー用吐水口2aがそれぞれ配置してある。
【0015】
左右のノズルユニット8の外側部には上端部を支点として略上下方向に回動自在で且つ任意の角度で保持が可能なように略直方体形状のノズルアーム9がそれぞれ設置してある。左右のノズルアーム9は連結バー(図示せず)で連結することにより一方のノズルアーム9を回動すれば他方のノズルアーム9も同時に連動して回動するような構成となっている。
【0016】
ノズルアーム9の裏面には微細水流(シャワー)を人体を包み込むように噴出する複数のシャワー用吐水口2aと、ミスト状の水流を人体全体を包み込むように噴出するミスト用吐水口2eとがノズルアーム9のほぼ全長にわたり所定の間隔で交互に配設してある。
【0017】
ここで、シャワーノズルに設けられるシャワー用吐水口2aは概ね粒径が1mm以下の湯水を噴出するものであり、一方、ミストノズルに設けられるミスト用吐水口2eは概ね粒径が300μm以下の微細な霧状のミストを噴出するものである。
【0018】
上記シャワー用吐水口2a、マッサージ用吐水口2d、ミスト用吐水口2eは個々に水流の噴出方向を変更できる調整機能を備えている。
【0019】
左右のノズルユニット8の間に位置する開放面12の前面に左右のノズルユニット8の上下端部に枢支し、左右に開閉自在な背もたれカバー10が設置してある。
【0020】
図2に示すように左右に開閉自在な背もたれカバー10を開いた状態にすると、左右のノズルユニット8の間に位置する開放面12の上部には鏡13が設置してあり、鏡13の下端部には下方に向かって吐水する洗い場用吐水口2bが設置してある。また、背もたれカバー10を開いた状態にすると、図2に示すように左右のノズルユニット8、左右のノズルアーム9が背もたれカバー10で覆われ、この状態では左右のノズルユニット8、左右のノズルアーム9に設けたシャワー用吐水口2a、マッサージ用吐水口2d、ミスト用吐水口2eからの吐水による本来の使用はしない非使用状態である。このように、カバー10の開閉によりシャワー用吐水口2a、マッサージ用吐水口2d、ミスト用吐水口2eの使用が区別できるようになっている。
【0021】
シャワー浴(つまり微細水流浴)を行うときは開放面12を閉じることにより鏡13のほぼ全面と洗い場用吐水口2bを背もたれカバー10で隠蔽することができ、この状態ではノズルユニット8の前面と背もたれカバー10の前面とがほぼ面一となるように構成してある。
【0022】
図1において開放面12の下方にはノズルユニット8の下端とほぼ等しい高さの着座手段14が設置してある。着座手段14の上面14aはほぼフラットな形状をしていてシャワー浴で使用する場合は使用者が着座手段14に着座し、通常の入浴作業の時は図2に示すように洗面器15等の入浴用品を載置するカウンター機能として使用できる。
【0023】
また、本例の湯水供給装置4であるシャワー装置にはハンドシャワー5が設けてあり、図1に示す実施形態ではハンドシャワー5のフレキシブルなシャワーホース5aが着座手段14に設けた所定のハンドシャワー接続口16に接続してあり、該ハンドシャワー5のヘッドは一方のノズルユニット8の外側方の浴室の壁7に設けた引掛け手段(図示せず)に着脱自在に引掛け係止してある。該ハンドシャワー5のヘッドにはハンドシャワー用吐水口2cが設けてある。
【0024】
着座手段14の一方の側面には上記シャワー用吐水口2a、洗い場用吐水口2b、ハンドシャワー用吐水口2c、マッサージ用吐水口2d、ミスト用吐水口2eという複数種類の吐水口2(添付図面に示す実施形態では5種類の吐水口2)に供給する湯水の止水と流量を制御する流量制御手段17が設置してあり、ハンドル17aの操作で吐水停止及び流量を制御することができるようになっている。また、着座手段14の他方の側面には湯温を制御する混合弁のような温度制御手段18が設置してあり、ハンドル18aを操作することで給湯管19から供給される湯と給水管20から供給される水とを混合して目的とする任意の混合温度に設定することができるようになっている。
【0025】
また、温度制御手段18の後方には温度制御手段18で混合した湯水の供給先を選択する切換え手段1が設置してあり、切換え手段1のハンドル1aを操作することで上記した複数種類の吐水口2(図の実施形態では5箇所の供給先であるシャワー用吐水口2a、洗い場用吐水口2b、ハンドシャワー用吐水口2c、マッサージ用吐水口2d、ミスト用吐水口2e)のうち1箇所を選択して湯水を供給できるようになっている。
【0026】
図3、図4に示すように、湯を供給する給湯管19と水を供給する給水管20とが温度制御手段18に連通接続してあり、更に温度制御手段18の下流側に配管21を介して流量制御手段17を連通接続してあり、流量制御手段17の下流側に配管22を介して切換え手段1を連通接続してある。切換え手段1の下流側にはそれぞれ複数の分岐水路3(添付図面に示す実施形態ではシャワー用分岐水路3a、洗い場用分岐水路3b、ハンドシャワー用分岐水路3c、マッサージ用分岐水路3d、ミスト用分岐水路3e)が連通接続してあり、各分岐水路3の先端にはそれぞれ前述の複数種類の吐水口2(添付図面に示す実施形態ではシャワー用吐水口2a、洗い場用吐水口2b、ハンドシャワー用吐水口2c、マッサージ用吐水口2d、ミスト用吐水口2e)が設けてある。
【0027】
ここで、シャワー用分岐水路3aはノズルユニット8とノズルアーム9の内部に通した配管により構成してあって、ノズルユニット8とノズルアーム9に設けた複数のシャワー用吐水口2aが連通している。
【0028】
また、ハンドシャワー用分岐水路3cの大部分は前述のシャワーホース5aにより構成してある。
【0029】
図5に示すように切換え手段1は、切換えバルブ本体23、軸ユニット26、ハンドル1a、カラー部31とで主体が構成してある。
【0030】
切換えバルブ本体23は着座手段14に固定されており、この切換えバルブ本体23は筒状をしていて一端部に流量制御手段17側から湯水が流入する流入口11が設けてあり、側面部に軸方向に沿って複数の分岐水路3(添付図面に示す実施形態ではハンドシャワー用分岐水路3c、洗い場用分岐水路3b、マッサージ用分岐水路3d、シャワー用分岐水路3a、ミスト用分岐水路3e)にそれぞれ連通する複数の流出口25(添付図面に示す実施形態ではハンドシャワー用流出口25c、洗い場用流出口25b、マッサージ用流出口25d、シャワー用流出口25a、ミスト用流出口25e)が切換えバルブ本体23の側面部に軸方向に順に設けてある。
【0031】
切換えバルブ本体23内には一端が開口となり他端が閉じた有底筒状をした軸ユニット26が回動自在に嵌合してあり、該軸ユニット26は一端の開口が切換えバルブ本体23の上記流入口11と連通しており、他端がハンドル1aに固着してある。この有底筒状の軸ユニット26の側面部には軸方向及び周方向にそれぞれずれて複数の通水口27(添付図面に示す実施形態では軸ユニット26の一方の回転方向に向けてハンドシャワー用通水口27c、洗い場用通水口27b、マッサージ用通水口27d、シャワー用通水口27a、ミスト用通水口27e)が順に設けてある。
【0032】
切換え手段1のハンドル1aには解除釦28が設けてあり、図6に示す主ストッパ29と副ストッパ30とを内蔵したカラー部31(図5)を間にはさみ軸ユニット26と固定してある。カラー部31は切換えバルブ本体23に固定してある。ハンドル1aとカラー部31には吐水位置を示す表示(図示せず)が施してある。
【0033】
図6に示すように、ハンドル1aに設けた解除釦28には当たり部28a、ガイド部28bが設けてあり、当たり部28aが主ストッパ29に当たることでハンドル1aの回転が阻止される。解除釦28をハンドル1aの中心方向に指で押すことができて一定の範囲で移動できるようになっており、また、ばね材32により解除釦28をハンドル1aの外面側に突出させようとする付勢力が付与してある。
【0034】
副ストッパ30はハンドル1aの回転範囲内に設けられた傾斜面30aとストッパ面30bとを有する略三角形の形状をしており、ハンドル1aを一方方向に回転した場合、ハンドル1aに取付けた解除釦28のガイド部28bが副ストッパ30の傾斜面30aに沿って移動することで解除釦28をハンドル1aの中心側に引き込みながらハンドル1aが移動でき、傾斜面30aを乗り越えると解除釦28がばね材32のばね力でハンドル1aの外面側に突出する方向に移動するため傾斜面30aを乗り越えた後はハンドル1aを逆方向に回転しようとしても解除釦28の当たり部28aが副ストッパ30のストッパ面30bに当たって回転できないようになっており、この場合、解除釦28を押し込むことで、当たり部28aがストッパ面30bに対向しない位置まで内側に移動するので、この状態でハンドル1aを逆方向に回転すると当たり部28aが副ストッパ30を通過して逆方向に回転することができる。
【0035】
なお、主ストッパ29は解除釦28を最大限押し込んだ場合でも当たり部28aが乗り越えられない構成となっている。なお、図6に示すハンドシャワー用通水口27cとハンドシャワー用流出口25cとが連通する状態となる「ハンドシャワー」位置から、ハンドル1aを左に一区間回せば、洗い場用通水口27bと洗い場用流出口25bとが連通する状態となる「洗い場吐水口」位置となり、更に、左に一区間回せば、マッサージ用通水口27dとマッサージ用流出口25dとが連通する状態となる「マッサージ」位置となり、更に、左に一区間回せば、シャワー用通水口27aとシャワー用流出口25aとが連通する状態となる「座シャワー」位置となり、更に、左に一区間回せば、副ストッパ30を乗り越えた後、解除釦28の当たり部28aが主ストッパ29の左側の側面に当たって停止し、この位置がミスト用通水口27eとミスト用流出口25eとが連通する「ミスト」位置となる。
【0036】
「座シャワー」位置と「ミスト」位置との間には副ストッパ30があるが、左回り回転は前述のようにガイド部28bが傾斜面30aに沿って移動して乗り越えることで左回りの回転は副ストッパ30部分で停止することなく回転できる。
【0037】
一方、「ミスト」位置で左回りに回転しても、当たり部28aがストッパ面30bに対向しているので左回りの回転が阻止されるが、解除釦28を押し込むことで前述のようにハンドル1aを左回りに回転することができる。
【0038】
しかして、上記ハンドル1aの回転操作によって「座シャワー」位置、「洗い場吐水口」位置、「マッサージ」位置、「ハンドシャワー」位置のいずれか1つを選択した場合は、温度制御手段18のハンドル18aを操作して湯温を手動で調整することができる。このときハンドル17aによって湯量を手動で調整することができる。
【0039】
一方、「ミスト」位置を選択した場合は、図6に示す当たり部28aが主ストッパ29に当たった段階でミストモードに設定されるが、このとき図示省略した切換えスイッチ(例えばリミットスイッチ等)がオンになり、その信号が図3に示した規定温度設定手段34gに送られる。規定温度設定手段34gでは、その直前に選択されていた他のモード時の湯温とは全く無関係に、ミストノズルに供給される湯温を予め設定された規定温度に設定してある。この規定温度となるように温度制御手段18では給湯管19から供給される湯と給水管20から供給される水とを混合して目的とする温度を得る。規定温度として、例えば、夏季では43〜44℃のうちのいずれかの温度、冬季では45〜48℃のうちのいずかの温度が好ましい。なお規定温度のミストが噴出している途中でミストをもっと熱くしたいとか、或いはもっと冷たくしたいときは、ハンドル18aを操作して微調整すればよい。またミスト噴霧量をもっと増やしたいとか、或いはもっと減らしたいときは、ハンドル17aを操作して微調整すればよい。また夏季であるか冬季であるかは、例えば、専用の季節選択スイッチを設け、該スイッチを操作して夏季又は冬季に手動で切換えるようにしてもよいし、或いは、カレンダー機能を有するタイマーを設け、夏季又は冬季に自動で切換わるようにしてもよい。
【0040】
さらに、他のモードの実行中、例えばシャワーモード実行中にハンドル1aを回転操作して、ミストモードに切換えることができるが、この場合においても、規定温度設定手段34gにて当該シャワーモード時の湯温とは全く無関係に、ミストノズルに供給される湯温を予め設定された規定温度でミストを噴出させることができる。一例として、他のモードがシャワーモードである場合、シャワー側電磁弁33aが閉じ、ミスト側電磁弁33eが開く。このとき、電磁弁33a→33eの切換時間のため図8に示すように、若干のインターバルを設けて切換える。切換え後は、ノズルアーム9のミスト用吐水口2eからミストが噴出する。このときも規定温度設定手段34gで予め設定されている前記規定温度となるようにミスト温度が設定される。従って、ミストモードへ切換えられた際に、シャワー浴後に不快感のない温度で自動的にミストを噴出させることができる。特に冬季に湯温を高くしてシャワー浴後にミストモードに切り換える場合、或いは夏季で湯温を低くしてシャワー浴後にミストモードに切り換わる場合のいずれにおいても、常に一定温度のミストが噴出することになるため、使用者が驚いたり、不快感を持つことがなくなり、結果、快適なミストサウナ浴を行なえるものである。なおミストモード直前の他のモードとしてシャワーモードに限らず、ハンドシャワーモード、洗い場吐水口モード、マッサージモードのいずれかであってもよい。
【0041】
なお、着座してのシャワー浴においては、シャワーノズルから噴出される湯水は粒径が大きいことから、その温熱エネルギーの殆どを人体に与えることが可能であり、しかも湯水が供給されるノズルアーム9の先端の複数個所に湯水噴出手段となる複数種類のノズルが設けられているため、例えばノズルアーム9を前下がりに回転させて着座姿勢にて首から下の人体部分に一度にシャワーを浴びるようにすれば、雨が当たっているような感触で全身一度に湯水を浴びることにより早期に温熱効果が得られる。さらに、着座している人体の腰の後ろにもシャワー用ノズルを設けた場合は、着座姿勢にて背部を効果的に温めることができるようになる。
【0042】
一方、ミストサウナ浴においては、ミスト用吐水口2eから噴出される湯水は粒径が小さいため、その温熱エネルギーの一部を浴室空間に放出し、周囲の空気を温めながら人体の体表面に対して相対的にゆっくりと温熱効果を与えることができ、これにより、ミストの設定温度をシャワー温度よりも高めることが可能であり、しかも粒径が小さいことから霧雨に全身が包まれているような感触を生み出し、人体の周囲温度と一緒に温めることから、スチームサウナのような入浴感が得られ、発汗促進作用があると考えられる。
【0043】
前記実施形態では、ミスト温度をシャワー温度よりも高く設定する場合を説明したが、入浴でほてった体を低温ミストで冷やしてクールダウンすることにより、入浴後の快適性を向上させることも有効である。つまり、シャワー浴を浴びたままで出浴するよりも、一旦クールダウンしてから出浴したほうが、入浴後の継続発汗や蒸暑感を抑制できる点で有効である。実験では、クールダウンに適した温度として、平静時の体温よりもやや低めの温度、36℃ぐらいが適切であることがわかった。なお、30℃ぐらいまで下げた場合は体温より低くなりすぎて、冷たすぎて不快となり、心臓負担も大きくなる。また、ゆっくりとミスト温度を下げていくよりも、すぐに36℃まで下げた方が好ましい。その理由は、体が既に発汗等でほてっている状態なので、ミスト温度をゆっくり下げるとかえって不快となり、すぐに下げた方が体感上よいことがわかった。また、すぐに下げても36℃ぐらいまでであるため、負担は体感上感じられないので、問題はない。またクールダウンは夏季に限らず、冬季でも体感上好ましいことが実験からもわかった。図9はクールダウン用の低温ミストを噴出させる場合の一例を示している。このときシャワー運転後に、ゆっくりとミスト温度を下げていくよりも、すぐに36℃まで下げた方が好ましい。その理由は、体が既に発汗等でほてっている状態なので、ミスト温度をゆっくり下げるとかえって不快となり、すぐに下げた方が体感上よいことがわかった。また、すぐに下げても36℃ぐらいまでであるため、負担は体感上感じられないので、問題はない。またクールダウンは夏季に限らず、冬季でも体感上好ましいことが実験からもわかった。
【0044】
次に、リモコンにより自動切換え操作を行なう場合の一例を説明する。
【0045】
本例では、図7に示すように、湯を供給する給湯管19と水を供給する給水管20とが温度制御手段18に連通接続してあり、更に温度制御手段18の下流側に配管21を介して流量制御手段17を連通接続してあり、流量制御手段17の下流側に配管22を介して、複数の分岐水路3(添付図面に示す実施形態ではシャワー用分岐水路3a、洗い場用分岐水路3b、ハンドシャワー用分岐水路3c、マッサージ用分岐水路3d、ミスト用分岐水路3e)が連通接続してあり、各分岐水路3の先端にはそれぞれシャワー用吐水口2a(図1)、洗い場用吐水口2b(図2)、ハンドシャワー用吐水口2c(図1)、マッサージ用吐水口2d(図1)、ミスト用吐水口2e(図1)という複数種類の吐水口2が設けられている。
【0046】
さらに上記各分岐水路3a〜eには、それぞれ、シャワー側電磁弁33a、洗い場用電磁弁33b、ハンドシャワー側電磁弁33c、マッサージ側電磁弁33d、ミスト側電磁弁33eが介在されている。各電磁弁33a〜33eは、切換え手段1からの制御信号によって開閉制御されるようになっている。切換え手段1には、座シャワー用制御回路34a、洗い場吐水口用制御回路34b、ハンドシャワー用制御回路34c、マッサージ用制御回路34d、ミスト用制御回路34e、シャワーモードからミストモードへ自動切換機能を有する自動切換用制御回路34f、及び、規定温度設定用制御回路34gとが設けられている。規定温度設定用制御回路34gは、シャワーモードからミストモードへの切換時に湯温を規定温度まで上昇又は下降させるための規定温度設定手段を構成する。
【0047】
また、浴室の壁7にはリモコン6が引掛け手段(図示せず)に着脱自在に引掛け係止してある。リモコンコード6aは着座手段14の背後に設けた接続口(図示せず)を介して切換え手段1に接続してある。図7に示すように、リモコン6には、上記各制御回路34a〜34gにそれぞれ信号を送るためのマッサージスイッチ35d、ハンドシャワースイッチ35c、洗い場吐水口スイッチ35b、座シャワースイッチ35a、ミストスイッチ35e、自動切換スイッチ35f、温度調整スイッチ35g、流量調整スイッチ35hが設けられている。これらスイッチ35a〜35hを操作することで、前記複数種類の吐水口2(図7の実施形態では、シャワー用吐水口2a、洗い場用吐水口2b、ハンドシャワー用吐水口2c、マッサージ用吐水口2d、ミスト用吐水口2e)のうち1つを選択して湯水を供給できるようになっている。
【0048】
ここで、リモコン6の「マッサージスイッチ35d」、「ハンドシャワースイッチ35c」、「洗い場吐水口スイッチ35b」、「座シャワースイッチ35a」のいずれか1つを押したときは、温度調整スイッチ35gにて湯温を調整できる。また温量は流量調整スイッチ35hにて調整できる。
【0049】
一方、リモコン6の「ミストスイッチ35e」を押したときは、ミスト側電磁弁33eが開き、ノズルアーム9のミスト用吐水口2eからミストが噴出するが、このとき規定温度設定手段34gで予め設定されている前記規定温度でミストが噴出するので、前記手動による実施形態と同様な作用効果(例えば冬季に湯温を高くしてシャワー浴をしたり、或いは夏季で湯温を低くしてシャワー浴をした後に、ミストモードに切り換えた時でも、常に一定温度のミストが噴出する効果)が得られる。なおミストモード実行中においてミストの流量は流量調整スイッチ35hにて調整できる。
【0050】
さらに、リモコン6の「自動切換スイッチ35f」を押したときは、最初にシャワーモードとなり且つ一定時間経過後に自動的にミストモードに切換えられるようになる。先ずタイマーが作動すると共に、座シャワー用制御回路34aがシャワー側電磁弁33aをONし、ノズルユニット8とノズルアーム9のシャワー吐水口2bから微細水流が人体の肩、腰、手の先から足の先までを包み込むように噴出するシャワーモードが実行され、その後、一定時間が経過すると、タイマー、切換え手段1によりシャワー側電磁弁33aが閉じ、ミスト側電磁弁33eが開く。このとき、電磁弁33a→33eの切換時間のため若干のインターバルを設けて切換える。切換え後は、ノズルアーム9のミスト用吐水口2eからミストが噴出する。このときも規定温度設定手段34gで予め設定されている前記規定温度でミストが噴出するので、前記手動による実施形態と同様作用効果(例えば冬季に湯温を高くしてシャワー浴をしたり、或いは夏季で湯温を低くしてシャワー浴をした後に、ミストモードに切り換えた時でも、常に一定温度のミストが噴出する効果)が得られる。なおミストモード切換え後におけるミストの流量は流量調整スイッチ35hにて調整できる。また本例では切換え手段1の自動切換機能によりシャワーモードからミストモードへの切換えが自動化されるので、最初のシャワーモードでは高い温熱効果が得られ、その後のミストモードではスチームサウナ的な入浴感が得られ、発汗作用が促進され、入浴後の快適性を高めることができる。しかも2種類のノズルから得られる人体への効果特性を、手動による複雑な切換操作をすることなく、十分に発揮することができるものであり、そのうえ、切換え手段1の自動切換機能は複数の分岐水路3を自動的に切換えるものであるから、異なる2種類の入浴環境を簡便且つ安価につくりだすことができる効果もある。
【0051】
なお、前記「自動切換スイッチ35f」を押した場合のミスト温度として、予め定めた規定温度(基準温度)ではなく、温度検知部からの温度情報に基づいてシャワー温度に対して相対的な温度(例えば、シャワー温度よりも数℃高い温度、或いはシャワー温度よりも数℃低い温度)に設定することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の湯水供給装置の一実施形態であるシャワー装置の着座使用状態の斜視図である。
【図2】同上のシャワー装置の通常使用状態の斜視図である。
【図3】同上の配管ブロック図である。
【図4】同上のシャワーモードからミストモードへの切換操作を手動で行なう場合の配管図である。
【図5】同上の切換え手段の分解斜視図である。
【図6】は同上の切換え手段の作用説明図である。
【図7】同上のシャワーモードからミストモードへの切換操作を自動で行なう場合の配管図である。
【図8】同上のシャワーモードからミストモードへの切換え時に、湯温をシャワー運転時よりも高い温度まで上昇させる場合のタイムチャートである。
【図9】同上のシャワーモードからミストモードへの切換え時に、湯温をシャワー運転時よりも低い温度まで低下させる場合のタイムチャートである。
【図10】従来例のシャワー装置の正面図である。
【図11】従来例のシャワー装置の配管ブロック図である。
【符号の説明】
【0053】
1 切換え手段
4 湯水供給装置
34g 規定温度設定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水をミスト状に噴出するミストモードと、湯水をミスト以外の異なる水流で噴出する別の湯水供給モードとを備えると共に、切換え手段の切換えでミストモードを含む複数種類の湯水供給モードのいずれか1つのモードを選択できるようにした湯水供給装置において、前記ミストモードの選択時にその直前に選択されていた別の湯水供給モード時の湯温とは無関係に、ミストノズルに供給される湯温を予め設定された規定温度に設定するための規定温度設定手段を設けたことを特徴とする湯水供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−349325(P2006−349325A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−179739(P2005−179739)
【出願日】平成17年6月20日(2005.6.20)
【出願人】(505154956)松下電工バス&ライフ株式会社 (306)
【Fターム(参考)】