説明

湯水混合水栓

【課題】配管作業性がよく、小型軽量の湯水混合水栓を提供する。
【解決手段】左右水平に延びる円筒状のコア部10の前後方向中央に、上下に貫通するシャワーホース挿通孔を設け、シャワーホース挿通孔とコア部10の右端部との間に、給湯路18と給水路15と湯水混合吐出路17と浄水器給水路16を設け、コア部10の右端部に、給湯路18に接続された湯入口ポート21と、給水路15に接続された第1水入口ポート22と、湯水混合吐出路17に接続された湯水混合出口ポート23を形成し、コア部10の右端部に設けた湯水バルブによって、これらポート21,22,23を連通遮断可能とし、コア部10の左端部に、浄水器給水路16に接続された浄水器給水ポート32と、給水路15に接続された第2水入口ポートを形成し、コア部10の左端部に設けた浄水バルブによって、浄水器給水ポート32と第2水入口ポートを連通遮断可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ハンドル操作により湯、水、湯水混合水、浄水を切り換えて吐出可能な湯水混合水栓に関するものである。
【背景技術】
【0002】
左右2つのハンドルを操作することにより、浄水器を通さない湯、水、湯水混合水、および浄水器を通して浄化した浄水を吐水可能とした湯水混合水栓が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来のこの種の湯水混合水栓100を図15から図17の図面を参照して説明する。
図15は従来の湯水混合水栓100を正面斜め左上から見た外観図であり、湯水混合水栓100は、鋳造又は鍛造により十の字形に一体成形された金属製の栓本体101を有し、この栓本体101において下方に延びる脚部102が流し台等に設置され、栓本体101において水平方向に延びる円筒状のアーム部103の左側に浄水バルブ104が取り付けられ、右側に湯水バルブ105が取り付けられ、栓本体101において上方に延びるネック部106に金属製パイプからなるホルダ107が左右に回動可能に取り付けられ、ホルダ107の先端にノズル108が離脱可能に取り付けられている。このノズル108はホルダ107内に収納されたシャワーホース(図示略)に接続されていて、ノズル108をホルダ107から外し、ノズル108に接続された前記シャワーホースをホルダ107から引き出して使用することができるようになっている。
【0004】
湯水バルブ105の操作レバー105aは、左右方向に傾転可能で且つ前後方向に回動可能になっている。図15は、操作レバー105aを左方に傾転して上方に真っ直ぐ起立させた状態を示しており、このように操作レバー105aを左方に傾転すると湯水バルブ105が閉弁され、水および湯および湯水混合水はノズル108から吐水されない。図15の状態から操作レバー105aを右方に傾転すると湯水バルブ105が開弁され、ノズル108から水または湯または湯水混合水原水を吐水することができ、さらにその右傾姿勢を保ちつつ操作レバー105aを前後方向に回転することにより湯水混合水の温度を調節することができるようになっている。例えば、操作レバー105aを手前側に50度回転すると水を吐水することができ、後方側に50度回転すると高温の湯を吐水することができ、その間における前後方向の回転角度を調整して水と湯との混合比を変えることで、所望の温度の湯水混合水を吐水することができる。
【0005】
浄水バルブ104の操作部104aは前後方向に回動可能になっている。図15は、操作部104aの突起部104bを上方に向けた状態を示しており、このように突起部104bを上方に向けると浄水用バルブ104は開弁されて、ノズル108から浄水が吐水される。なお、ノズル108から浄水を吐水するときには、湯水バルブ105の操作レバー105aを閉弁姿勢にしておく。そして、浄水を止水するときには、浄水バルブ104の操作部104aを図15の状態から奥側に90度回転させる。これにより、浄水バルブ104が閉弁され、ノズル108からの浄水は止水される。
【0006】
この湯水混合水栓100の栓本体101内部の流路構造を図16を参照して説明すると、栓本体101には脚部102からネック部106に貫通するシャワーホース挿通孔110が設けられていて、正面から見てシャワーホース挿通孔110よりも後方側に、右から左に順番に、湯水混合吐出路111、給湯路112、給水路113、浄水器給水路114がそれぞれ垂直方向に設けられている。
図17は、湯水混合水栓100を下方から見た底面図であり、脚部102の内側底部に、シャワーホース挿通孔110、湯水混合吐出路111、給湯路112、給水路113、浄水器給水路114が開口している。
【0007】
アーム部103の右側内部端面には湯水混合出口ポート115、湯入口ポート116、水入口ポート117が形成されている。湯水混合水出口ポー115は下側に配置され、湯入口ポート116と水入口ポート117は湯水混合出口ポート115よりも上側に位置し水平に並んで配置されていて、手前側が水入口ポート117、後方側が湯入口ポート116となっている。湯水混合出口ポート115は湯水混合吐出路111に接続され、湯入口ポート116は給湯路112に接続され、水入口ポート117は給水路113に接続されている。これら湯水混合出口ポート115、湯入口ポート116、水入口ポート117が湯水バルブ105によって接続・遮断および開度調節される。
【0008】
また、アーム部103の左側内部端面には、浄水器給水ポート118と、図16では浄水器給水ポート118の背部に隠れて図示されていない浄水器水入口ポートが形成されている。浄水器水入口ポートは給水路113に接続され、浄水器給水ポート118は浄水器給水路114に接続されている。浄水器水入口ポートと浄水器給水ポート118が前記浄水用バルブによって接続・遮断される。
【0009】
そして、流し台下において、湯水混合水栓100の湯水混合吐出路111は前記シャワーホースに接続され、給湯路112はフレキシブルホース等を介して建物の湯配管(いずれも図示略)に接続され、給水路113はフレキシブルホース等を介して建物の水配管(いずれも図示略)に接続され、浄水器給水路114はホース等を介して流し台下に設置された浄水器(いずれも図示略)に接続される。また、浄水器の浄水出口はホースおよびジョイント(いずれも図示略)等を介して前記シャワーホースに接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平7−98069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、一般に、水配管と湯配管を備える建物においては、正面から見て右側に水配管が配管され、左側に湯配管が配管されている。しかしながら、前述したように従来の湯水混合水栓100においては、正面から見て右側に給湯路112が設けられ、左側に給水路113が設けられている。そのため、給水路113を前記水配管にフレキシブルホースで接続し、給湯路112を前記湯配管にフレキシブルホースで接続すると、二つのフレキシブルホースが交差するようになり、極めて作業性が悪く、作業者の負担が大きかった。
【0012】
また、湯水混合水栓100においては、ホルダ107が連結されるネック部106をアーム部103の前後方向中央に配置する方が、前後の重量バランスが良く、また意匠上も好ましいが、従来の湯水混合水栓100では、正面から見てシャワーホース挿通孔110の後方側に、湯水混合吐出路111、給湯路112、給水路113、浄水器給水路114を配置しているので、シャワーホース挿通孔110(換言するとネック部106)をアーム部103の前後方向中央に配置するとアーム部103の直径を大きくせざるを得なくなり、その結果、重量が嵩み、コストアップとなってしまう。
【0013】
そのため、従来の湯水混合水栓100では、図15および図17に示すように、ネック部106(シャワーホース挿通孔110)をアーム部103の前後方向中央よりも手前側にオフセットして配置することで、アーム部103の直径を小さくしているが、これだと前後の重量バランスが悪くなり、また、意匠性も犠牲にせざるを得ないという課題がある。
【0014】
そこで、この発明は、配管作業性がよく、小型軽量で、意匠性にも優れた湯水混合水栓を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明に係る湯水混合水栓では、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
請求項1に係る発明は、上下方向に貫通する貫通孔を有する栓本体の左右に第1、第2切換部を備え、この第1、第2切換部を操作することにより浄水器を通さない湯、水、湯水混合水、および前記浄水器を通して浄化した浄水を、前記貫通孔に挿通された吐水管部を介して吐水可能な湯水混合水栓であって、
前記栓本体は、軸方向を水平にして左右に延びる円筒状のコア部を備え、該コア部の前後方向中央には上下方向に貫通する前記貫通孔が設けられ、
前記貫通孔と前記コア部の左右いずれか一方の端部との間に、軸線をいずれも上下方向に延ばした給湯路と給水路と湯水混合吐出路と浄水器給水路が設けられ、
前記コア部の前記一方の端部には、前記給湯路に接続された湯入口ポートと、前記給水路に接続された第1水入口ポートと、前記湯水混合吐出路に接続された湯水混合出口ポートが形成されていて、前記コア部の前記一方の端部側に設けられた前記第1切換部によって、前記第1水入口ポートと前記湯入口ポートの一方または両方を前記湯水混合出口ポートに連通可能および遮断可能であり、
前記コア部の他方の端部には、前記浄水器給水路に接続された浄水器給水ポートと、前記給水路に接続された第2水入口ポートが形成されていて、前記コア部の前記他方の端部側に設けられた前記第2切換部によって、前記浄水器給水ポートと前記第2水入口ポートが連通・遮断可能であり、
前記湯水混合吐出路および前記浄水器の浄水出口が前記吐水管部に接続される湯水混合水栓である。
【0016】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の発明において、前記給湯路と前記給水路と前記湯水混合吐出路と前記浄水器給水路は、前記貫通孔の外周に沿って配置されている湯水混合水栓である。
【0017】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記湯水混合吐出路と前記浄水器給水路は、前後方向において前記給湯路と前記給水路の間に配置されている湯水混合水栓である。
【0018】
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発明において、前記給湯路と前記湯入口ポートは直線通路によって接続され、前記給水路と前記第1水入口ポートは直線通路によって接続され、前記湯水混合吐出路と前記湯水混合出口ポートは直線通路によって接続され、前記浄水器給水路と前記浄水器給水ポートは直線通路によって接続されている湯水混合水栓である。
【0019】
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の発明において、前記吐水管部は前記貫通孔を挿通可能なホースであり、該ホースを挿通させる筒状のホルダが前記コア部に設置されている湯水混合水栓である。
【0020】
請求項6に係る発明は、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の発明において、前記第1切換部は前記コア部の軸回りに前後方向に回動操作するように構成されており、その回動操作範囲が後方側よりも前方側に大きい湯水混合水栓である。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に係る発明によれば、湯水混合水栓の給水路をフレキシブルホース等の接続配管で建物の水配管に接続し、給湯路をフレキシブルホース等の接続配管で建物の湯配管に接続するときに、接続配管を交差させないで配管することができるので、従来に比べて作業性が極めてよくなる。
また、貫通孔をコア部の前後方向中央に配置したので、湯水混合水栓の前後の重量バランスがよくなり、意匠性も向上する。さらに、貫通孔をコア部の前後方向中央に配置させつつ、コア部の直径を小さくすることができ、湯水混合水栓を小型、軽量にすることができる。
請求項2に係る発明によれば、コア部の直径をより小さくすることができる。
請求項3に係る発明によれば、給湯路と給水路の間に湯水混合吐出路と浄水器給水路を配置することで、給湯路と給水路を前後方向に離れて配置することができる。
請求項4に係る発明によれば、給湯路と湯入口ポート、および、給水路と第1水入口ポート、および、湯水混合吐出路と湯水混合出口ポート、および、浄水器給水路と浄水器給水ポートを、それぞれ最短距離で接続することができるとともに、加工が容易になる。
請求項5に係る発明によれば、ホースをホルダから引き出して使用することができ、使い勝手が向上する。
請求項6に係る発明によれば、第1切換部に操作レバーを設けた場合に、湯水混合水栓の後方側の設置スペースが狭い場所にも設置可能となるとともに、操作性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明に係る湯水混合水栓の実施例における外観斜視図である。
【図2】前記実施例の湯水混合水栓における要部の正面図である。
【図3】前記要部の右側面図である。
【図4】前記要部の左側面図である。
【図5】前記実施例の湯水混合水栓における栓本体のコア部の正面図である。
【図6】前記コア部の平面図である。
【図7】前記コア部の底面図である。
【図8】前記コア部の右側面図である。
【図9】前記コア部の左側面図である。
【図10】前記コア部を右斜め上から見た外観斜視図である。
【図11】前記コア部を右斜め下から見た外観斜視図である。
【図12】前記コア部の内部に形成された流路を説明するための図であって、コア部を斜め左上から見た透視図である。
【図13】前記コア部の内部に形成された流路を説明するための図であって、コア部を斜め左下から見た透視図である。
【図14】前記実施例の湯水混合水栓における流れ図である。
【図15】従来の湯水混合水栓の外観斜視図である。
【図16】前記従来の湯水混合水栓における内部に形成された流路の概略図である。
【図17】前記従来の湯水混合水栓の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明に係る湯水混合水栓の実施例を図1から図14の図面を参照して説明する。
図1は実施例における湯水混合水栓1を正面斜め右上から見た外観斜視図であり、図1において、矢印X1−X2は左右方向、矢印Y1−Y2は前後方向、矢印Z1−Z2は上下方向を示しており、以下の説明において方向についての記載はこれに準ずるものとする。
【0024】
湯水混合水栓1は、栓本体2と、栓本体2の上部に取り付けられたホルダ3と、栓本体2の右端部に設けられた湯水バルブ4と、栓本体2の左端部に設けられた浄水バルブ5と、ホルダ3の先端に配置されたノズル6とを主要な構成としている。
栓本体2は、軸方向を水平にして左右に延びる円筒状の金属製のコア部10と、このコア部10の下部における左右方向ほぼ中央に連結固定された中空筒状の金属製の脚部11とから構成されており、脚部11が例えば流し台の上に設置される。前述したホルダ3はコア部10の上部に取り付けられ、湯水バルブ4はコア部10の右端部に設けられ、浄水バルブ5はコア部10の左端部に設けられている。
【0025】
コア部10について、図5から図13の図面を参照して詳述する。図5はコア部10の正面図、図6は同平面図、図7は同底面図、図8は同右側面図、図9は同左側面図であり、図10はコア部10を斜め右上から見た外観斜視図、図11は斜め右下から見た外観斜視図である。
【0026】
コア部10の下面には、左右方向の中央で且つ前後方向の中央に、脚部11が螺合される有底の脚取付穴12が形成されており、コア部10の上面には、脚取付穴12よりも若干左寄りで前後方向の中央に、ホルダ3が挿入される有底のホルダ取付穴13が形成されている。
【0027】
コア部10には、ホルダ取付穴13から脚取付穴12に上下方向に貫通するシャワーホース挿通孔14が設けられている。シャワーホース挿通孔14の軸中心は、図6に示すようにホルダ取付穴13の軸中心と同軸上に配置されており、図7に示すように脚取付穴12の軸中心よりも左寄りに配置されている。
【0028】
コア部10には、脚取付穴12の底面における右半分の領域に開口する4つの通路がそれぞれ軸線を上下方向に延ばし、シャワーホース挿通孔14と干渉しないように配置されて設けられている。この4つの通路とは、給水路15、浄水器給水路16、湯水混合吐出路17、給湯路18であり、平面視では、シャワーホース挿通孔14の外周に沿って配置されていて、前方側から後方側へ順番に、給水路15、浄水器給水路16、湯水混合吐出路17、給湯路18と配置されている。すなわち、給水路15と給湯路18との間に浄水器給水路16と湯水混合吐出路17が配置されている。
【0029】
また、図10に示すように、コア部10の右端部には、湯水バルブ4が螺着される有底のバルブ取付穴20が形成されており、図8に示すように、バルブ取付穴20の底部には、湯入口ポート21と第1水入口ポート22と湯水混合出口ポート23が設けられている。湯水混合出口ポート23はバルブ取付穴20の中央やや斜め下後寄りに配置されており、湯入口ポート21は湯水混合出口ポート23の若干斜め上前寄りに配置されており、第1水入口ポート22は、上下方向において湯水混合出口ポート23と湯入口ポート21の間で、これらポート21,23よりも前方側に配置されている。なお、これは、図16に示される従来の湯水混合水栓100における湯入口ポート116、水入口ポート117、湯水混合出口ポート115の相互の位置関係を維持しつつ、右側面視において反時計回り方向に約40度回転した位置に対応する。
【0030】
そして、図12、図13の透視図に示すように、湯入口ポート21はコア部10の内部に直線状に設けられた直線路24を介して給湯路18に接続され、第1水入口ポート22はコア部10の内部に直線状に設けられた直線路25を介して給水路15に接続され、湯水混合出口ポート23はコア部10の内部に直線状に設けられた直線路26を介して湯水混合吐出路17に接続されている。なお、これら直線路24,25,26は、互いに干渉せず、且つ、シャワーホース挿通孔14とも干渉しないように配置されている。このように、直線路24,25,26を介して接続すると、最短距離で接続することができるとともに、ドリルなどを用いた切削加工により直線路24,25,26を形成することができるので、加工が容易になる。
【0031】
バルブ取付穴20には湯水バルブ4が螺着され、湯水バルブ4によって、湯入口ポート21と第1水入口ポート22の一方または両方を湯水混合出口ポート23に連通可能および遮断可能とされている。湯水バルブ4の構造は従来の周知のものと同じであるので説明を省略し、湯水バルブ4を機能的に説明すると、以下の通りである。
【0032】
湯水バルブ4の操作レバー4aは、左右方向に傾転可能で且つ前後方向に回動可能になっていて、湯水バルブの開閉および流量調節は操作レバー4aの左右方向の傾転により行うことができ、水と湯の混合割合(0:100、および100:0を含む)は操作レバー4aの前後方向の回動により行うことができる。図1から図4は、操作レバー4aを左方限界に傾転した状態を示しており、この状態では操作レバー4aの前後方向の回動位置に関わらず湯水バルブ4は閉弁状態となる。この閉弁状態から操作レバー4aを右側に傾転すると湯水バルブ4は開弁され、傾転角度が大きくなるほど弁開度が大きくなり、流量を増大することができる。
【0033】
操作レバー4aの前後方向の回動操作範囲は、図3において二点鎖線Aで示す位置(鉛直上方よりも後方に10度回転した位置)から、二点鎖線Bで示す位置(前方水平位置)までの100度の角度範囲となっている。すなわち、操作レバー4aの回動操作範囲は後方側よりも前方側が大きくなるように設定されている。
前述の如く湯水バルブ4を開弁するように操作レバー4aを右方に傾転させた状態を保持して、操作レバー4aを図3において二点鎖線Aで示す位置まで後方に回動すると、第1水入口ポート22が閉塞されて湯入口ポート21と湯水混合出口ポート23が連通し、図3において二点鎖線Bで示す位置まで前方に回動すると、湯入口ポート21が閉塞されて第1水入口ポート22と湯水混合出口ポート23が連通する。また、A,B間に操作レバー4aを位置させると、湯入口ポート21と第1水入口ポート22の両方が湯水混合出口ポート23と連通し、A,B間における停止位置に応じて湯と水の混合比を調節することができる。
【0034】
一方、コア部10の左端部には、図9に示すように、浄水バルブ5が螺合される有底のバルブ取付穴30が形成されており、バルブ取付穴30の底部には、第2水入口ポート31と浄水器給水ポート32が形成されている。図9、図12、図13に示すように、第2水入口ポート31は、バルブ取付穴30のほぼ中央に設けられており、浄水器給水ポート32はバルブ取付穴30の周囲に沿って環状に設けられている。そして、第2水入口ポート31はコア部10の内部に直線状に設けられた直線路33を介して前述した直線路25に接続されている。すなわち、第2水入口ポート31は直線路33,25を介して水供給路15に接続されている。浄水器給水ポート32はコア部10の内部に直線状に設けられた直線路34を介して浄水器給水路16に接続されている。なお、これら直線路33,34は、互いに干渉せず、且つ、コア部10内に形成された前述した他の総ての通路およびシャワーホース挿通孔14と干渉しないように配置されている。
【0035】
バルブ取付穴30には浄水バルブ5が螺着され、浄水バルブ5によって第2水入口ポート31と浄水器給水ポート32が連通・遮断される。
浄水バルブ5の操作部5aは前後方向に回動可能になっていて、操作部5aの突起部5bを図1に示すように上方に向けた状態において、第2水入口ポート31と浄水器給水ポート32とが連通されて浄水バルブ5は開弁となり、この状態から前方に90度回転して、突起部5bを図2、および図4において実線で示すように前方に向けると、第2水入口ポート31と浄水器給水ポート32とは遮断されて浄水バルブ5は閉弁となる。
【0036】
コア部10の脚取付穴12には脚部11が螺着され固定され、ホルダ取付穴13には、逆Jの字状をなす中空筒状のホルダ3が左右に回動可能に取り付けられている。そして、ホルダ3内には図14に示すようにシャワーホース40が移動可能に挿通されていて、シャワーホース40の先端に連結されたノズル6がホルダ3の先端に着脱可能に取り付けられており、このノズル6をホルダ3から外し、シャワーホース40をホルダ3から引き出して使用することができるようになっている。また、ノズル6は、吐水形態をストレートとシャワーに切り換えることができるように構成されている。
【0037】
このように構成された湯水混合水栓1は、水、湯、湯水混合水、浄水の経路を模式的に示した図14のように、給水路15をフレキシブルホース50、バルブ51等を介して建物の水配管52に接続し、給湯路18をフレキシブルホース53、バルブ54等を介して建物の湯配管55に接続し、浄水器給水路16を流し台下に設置された浄水器70の原水入口71にホース56等を介して接続し、湯水混合吐出路17を連結パイプ57等を介してシャワーホース40に接続し、浄水器70の浄水出口72をホース58、ジョイント59等を介して連結パイプ57に接続して使用される。
【0038】
この湯水混合水栓1の使い方は従来のものと同じである。
まず、浄水器70を通さずに水または湯または湯水混合水を吐水する場合には、浄水バルブ5を閉弁して、湯水バルブ4だけを開弁し、所望する吐水温度に応じて操作レバー4aを前後方向へ回動する。浄水バルブ5を閉弁すると、浄水バルブ5によって第2水入口ポート31と浄水器給水ポート32が遮断されるので、建物の水配管52から供給された水は浄水器70には供給されなくなる。
【0039】
そして、操作レバー4aを図3におけるB位置まで前方に回動すると、湯水バルブ4によって湯入口ポート21が閉塞されて第1水入口ポート22と湯水混合出口ポート23が連通するので、建物の水配管52から供給された水が、第1水入口ポート22から湯水混合出口ポート23に流れ、さらに直線路26、湯水混合吐出路17、連結パイプ57、シャワーホース40を順に通って、ノズル6から吐水される。
【0040】
また、操作レバー4aを図3におけるA位置まで後方に回動すると、湯水バルブ4によって第1水入口ポート22が閉塞されて湯入口ポート21と湯水混合出口ポート23が連通するので、建物の湯配管55から供給された湯が、湯入口ポート21から湯水混合出口ポート23に流れ、さらに直線路26、湯水混合吐出路17、連結パイプ57、シャワーホース40を順に通って、ノズル6から吐水される。
【0041】
また、操作レバー4aを図3におけるA位置とB位置の間の任意の位置に停止すると、湯水バルブ4によって第1水入口ポート22と湯入口ポート21の両方が湯水混合出口ポート23に連通するので、建物の水配管52から供給された水と建物の湯配管55から供給された湯が混合されて湯水混合出口ポート23へと流れ込み、さらに直線路26、湯水混合吐出路17、連結パイプ57、シャワーホース40を順に通って、ノズル6から吐水される。
【0042】
一方、浄水器70で浄化した水を吐水する場合には、湯水バルブ4を閉弁して、浄水バルブ5だけを開弁する。湯水バルブ4を閉弁すると、湯入口ポート21および第1水入口ポート22と、湯水混合出口ポート23とが遮断されるので、浄水器70を通らない水、および湯が連結パイプ57に流入することはない。その状態において浄水バルブ5を開弁すると、第2水入口ポート31と浄水器給水ポート32とが連通するので、建物の水配管52から供給された水が、第2水入口ポート31から浄水器給水ポート32に流れ、さらに直線路34、浄水器給水路16、ホース56を通って浄水器70に供給され、浄水器70によって浄化された浄水が、ホース58、ジョイント59、連結パイプ57、シャワーホース40を順に通って、ノズル6から吐水される。
【0043】
このように構成された湯水混合水栓1では、コア部10の脚取付穴12において、湯水バルブ4が装着されるコア部10の右側端部とシャワーホース挿通孔14との間に、シャワーホース挿通孔14の外周に沿って、給湯路18と給水路15と湯水混合吐出路17と浄水器給水路16が配置されているので、建物において正面右側に水配管52が配管され、正面左側に湯配管55が配管されていても、給水路15をフレキシブルホース50で建物の水配管52に接続し、給湯路18をフレキシブルホース53で建物の湯配管55に接続する際に、フレキシブルホース50,53を交差させないで配管することができ、作業性が極めてよい。特に、湯水混合吐出路17と浄水器給水路16を間に挟んで前方に給水路15、後方に給湯路18が配置されているので、給湯路18と給水路15とを前後方向に離れて配置することができる。
【0044】
また、シャワーホース挿通孔14をコア部10の前後方向中央に配置したので、湯水混合水栓1の前後方向の重量バランスが良くなるとともに、意匠性も向上する。
さらに、コア部10の右側端部とシャワーホース挿通孔14との間に、シャワーホース挿通孔14の外周に沿って、給湯路18と給水路15と湯水混合吐出路17と浄水器給水路16を配置しているので、シャワーホース挿通孔14をコア部10の前後方向中央に配置させつつ、コア部10の直径を小さくすることができ、湯水混合水栓を小型、軽量にすることができる。その結果、コストダウンを図ることができる。
【0045】
また、この湯水混合水栓1においては、円筒状のコア部10に、別部品として形成された脚部11とホルダ3を取り付ける構造を採用しているので、コア部10を切削加工によって形成することが可能となる。これにより、従来の湯水混合水栓100における栓本体101の加工に必要であった鋳造及び鍛造を用いないで済み、生産性が向上する。
【0046】
さらに、この湯水混合水栓1においては、湯水バルブ4の回動操作範囲が、後方10度から前方90度の範囲となっていて、後方側よりも前方側が大きく設定されているので、湯水混合水栓1の後方側の設置スペースが狭い場所にも設置可能となり、操作性も向上する。
【0047】
〔他の実施例〕
なお、この発明は前述した実施例に限られるものではない。
例えば、前述した実施例では、コア部の貫通孔をシャワーホース挿通孔とし、シャワーホースを挿通可能にガイドするホルダを設け、ホルダからシャワーホースを引き出して使用可能としているが、吐水管路にシャワーホースを用いず、屈曲不能な管路を用いることも可能である。
前述した実施例では、コア部の右端部に湯水バルブ、左端部に浄水バルブを配置したが、コア部の右端部に浄水バルブ、左端部に湯水バルブを配置することも可能である。
また、前述した実施例では、湯水バルブ4の回動操作範囲を、後方10度から前方90度の範囲としたが、この角度に限定されるものではなく、適宜の角度に設定可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 湯水混合水栓
2 栓本体
3 ホルダ
4 湯水バルブ(第1切換部)
5 浄水バルブ(第2切換部)
10 コア部
14 シャワーホース挿通孔(貫通孔)
15 給水路
16 浄水器給水路
17 湯水混合吐出路
18 給湯路
21 湯入口ポート
22 第1水入口ポート
23 湯水混合出口ポート
24,25,26 直線路(直線通路)
31 第2水入口ポート
32 浄水器給水ポート
34 直線路(直線通路)
40 シャワーホース(吐水管部、ホース)
70 浄水器
72 浄水出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に貫通する貫通孔を有する栓本体の左右に第1、第2切換部を備え、この第1、第2切換部を操作することにより浄水器を通さない湯、水、湯水混合水、および前記浄水器を通して浄化した浄水を、前記貫通孔に挿通された吐水管部を介して吐水可能な湯水混合水栓であって、
前記栓本体は、軸方向を水平にして左右に延びる円筒状のコア部を備え、該コア部の前後方向中央には上下方向に貫通する前記貫通孔が設けられ、
前記貫通孔と前記コア部の左右いずれか一方の端部との間に、軸線をいずれも上下方向に延ばした給湯路と給水路と湯水混合吐出路と浄水器給水路が設けられ、
前記コア部の前記一方の端部には、前記給湯路に接続された湯入口ポートと、前記給水路に接続された第1水入口ポートと、前記湯水混合吐出路に接続された湯水混合出口ポートが形成されていて、前記コア部の前記一方の端部側に設けられた前記第1切換部によって、前記第1水入口ポートと前記湯入口ポートの一方または両方を前記湯水混合出口ポートに連通可能および遮断可能であり、
前記コア部の他方の端部には、前記浄水器給水路に接続された浄水器給水ポートと、前記給水路に接続された第2水入口ポートが形成されていて、前記コア部の前記他方の端部側に設けられた前記第2切換部によって、前記浄水器給水ポートと前記第2水入口ポートが連通・遮断可能であり、
前記湯水混合吐出路および前記浄水器の浄水出口が前記吐水管部に接続される湯水混合水栓。
【請求項2】
前記給湯路と前記給水路と前記湯水混合吐出路と前記浄水器給水路は、前記貫通孔の外周に沿って配置されている請求項1に記載の湯水混合水栓。
【請求項3】
前記湯水混合吐出路と前記浄水器給水路は、前後方向において前記給湯路と前記給水路の間に配置されている請求項1または請求項2に記載の湯水混合水栓。
【請求項4】
前記給湯路と前記湯入口ポートは直線通路によって接続され、前記給水路と前記第1水入口ポートは直線通路によって接続され、前記湯水混合吐出路と前記湯水混合出口ポートは直線通路によって接続され、前記浄水器給水路と前記浄水器給水ポートは直線通路によって接続されている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の湯水混合水栓。
【請求項5】
前記吐水管部は前記貫通孔を挿通可能なホースであり、該ホースを挿通させる筒状のホルダが前記コア部に設置されている請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の湯水混合水栓。
【請求項6】
前記第1切換部は前記コア部の軸回りに前後方向に回動操作するように構成されており、その回動操作範囲が後方側よりも前方側に大きい請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の湯水混合水栓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−36611(P2012−36611A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176450(P2010−176450)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(504346204)三菱レイヨン・クリンスイ株式会社 (57)
【Fターム(参考)】