説明

湯水混合装置

【課題】吐水温度の偏差の補正を可能にしながら、使用者に与える違和感、不快感を抑制することができる湯水混合装置を提供する。
【解決手段】本発明は、供給された湯及び水を混合して吐出させる湯水混合装置(1)であって、吐水温度を設定するための温度設定操作部(6)と、湯及び水を混合して吐出させる混合弁(12)と、湯水の温度を検出する温度センサ(28)と、混合弁を制御するコントローラ(26)と、を有し、このコントローラは、温度設定値と温度センサによる検出温度の差に基づいて、各温度設定値に対する制御信号の補正量を計算する温度補正部(26a)を備え、この補正は、次に吐水が開始されたときから、又は、他の温度設定値から補正量が計算された温度設定値に設定温度が変更されたときから、実際に吐水される湯水の温度に反映されることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湯水混合装置に関し、特に、供給された湯及び水を混合し、所定温度の湯水に調整して吐出させる湯水混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特公平7−18508号公報(特許文献1)には、湯水混合装置が記載されている。この湯水混合装置は、混合弁体、ワックスサーモ、及びモータを有する混合弁と、混合湯温設定器と、混合弁から吐出される湯水の温度を検出する混合湯温検出器と、制御器と、を有する。制御器は、混合湯温検出器により検出された湯水の温度と、混合湯温設定器により設定された温度を時々刻々比較し、検出される温度が設定された温度に一致するようにモータを随時、駆動する。これにより、吐出される湯水の温度は補正され、吐出される湯水の温度と設定温度の偏差が減少される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平7−18508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特公平7−18508号公報に記載の湯水混合装置においては、混合湯温検出器によって検出された温度をフィードバックして制御する際の制御の遅れや、オーバーシュート、ハンチング等により、吐水中の湯水の温度が大きく変動したり、振動的に変化するという問題がある。即ち、使用者が設定温度を変更していないにもかかわらず、吐出される湯水の温度がフィードバック制御により変動すると、使用者に違和感や不快感を与えてしまうという問題がある。
【0005】
従って、本発明は、設定温度と実際に吐出される湯水の温度の偏差の補正を可能にしながら、使用者に与える違和感、不快感を抑制することができる湯水混合装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、供給された湯及び水を混合し、所定温度の湯水に調整して吐出させる湯水混合装置であって、複数段階の温度設定値に吐水温度を設定するための温度設定操作部と、流入した湯及び水を所定の割合で混合して吐出させる混合弁と、この混合弁から流出した湯水の温度を検出する温度センサと、温度設定操作部により設定された温度の湯水が吐出されるように、混合弁に制御信号を出力し、混合弁を制御するコントローラと、を有し、このコントローラは、温度設定操作部により設定された温度設定値と温度センサによって検出された温度の間の差に基づいて、温度の差を減少させるように、各温度設定値に対する制御信号の補正量を計算する温度補正部を備え、この温度補正部による補正は、次に吐水が開始されたときから、又は、他の温度設定値から補正量が計算された温度設定値に設定温度が変更されたときから、実際に吐水される湯水の温度に反映されることを特徴としている。
【0007】
このように構成された本発明においては、コントローラは、温度設定操作部により設定された吐水温度に基づいて、混合弁に制御信号を出力し、混合弁は、供給された湯及び水を混合して所定温度の湯水に調整して吐出させる。吐出される湯水の温度は、温度センサによって検出される。また、コントローラは温度補正部を備えており、温度補正部は、温度設定操作部により設定された温度設定値と温度センサによって検出された温度の間の差に基づいて、温度の差を減少させるように、各温度設定値に対する制御信号の補正量を計算する。この温度補正部による補正は、次に吐水が開始されたときから、又は、他の温度設定値から補正量が計算された温度設定値に設定温度が変更されたときから、実際に吐水される湯水の温度に反映される。
【0008】
このように構成された本発明によれば、温度補正部による補正が、次に吐水が開始されたときから、又は、他の温度設定値から補正量が計算された温度設定値に設定温度が変更されたときから、実際に吐水される湯水の温度に反映されるので、吐水中に吐出される湯水の温度が大きく変動したり、設定温度を変更していないにもかかわらず吐水中に吐出される湯水の温度が変化する等の、使用者に与える違和感、不快感を抑制することができる。
【0009】
また、本発明は、供給された湯及び水を混合し、所定温度の湯水に調整して吐出させる湯水混合装置であって、吐水温度を設定するための温度設定操作部と、主弁体、及び混合された湯水の温度に応じて主弁体に付勢力を作用させ、主弁体を駆動する感温付勢部を備え、流入した湯及び水を混合して複数の温度設定領域に亘る温度の湯水を吐出させることができる混合弁と、この混合弁から流出した湯水の温度を検出する温度センサと、温度設定操作部により設定された温度の湯水が吐出されるように、混合弁に制御信号を出力し、混合弁を制御するコントローラと、を有し、このコントローラは、温度設定操作部により設定された温度設定値と温度センサによって検出された温度の間の差に基づいて、温度の差を減少させるように、各温度設定領域に対する制御信号の補正量を計算する温度補正部を備え、この温度補正部による補正は、次に吐水が開始されたときから、又は、他の温度設定領域から補正量が計算された温度設定領域内に設定温度が変更されたときから、実際に吐水される湯水の温度に反映されることを特徴としている。
【0010】
このように構成された本発明によれば、感温付勢部を備えた混合弁を有する湯水混合装置にも、本発明を適用することができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、温度補正部は、温度設定値と温度センサによって検出された温度の間の差に関する情報を、温度設定値が上昇方向に変更された際に生じた温度差に関する情報と、温度設定値が下降方向に変更された際に生じた温度差に関する情報とを区別して記憶しており、温度設定値が上昇方向に変更されて設定された場合と、下降方向に変更されて設定された場合で、異なる補正量を算出する。
【0012】
このように構成された本発明によれば、温度設定値が上昇方向に変更された際に生じた温度差に関する情報と、温度設定値が下降方向に変更された際に生じた温度差に関する情を区別しいるので、ヒステリシス特性を有する混合弁に対しても、有効に補正を行うことができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、さらに、混合弁に流入する湯の温度を検出する供給湯温センサを有し、温度補正部は、供給湯温センサ及び温度センサによって検出される湯温の時間当たりの変化量が所定値以下になった場合における、温度設定値と温度センサによる検出温度の差に基づいて補正量を算出する。
【0014】
このように構成された本発明によれば、混合弁に流入する湯の温度及び混合弁から流出する湯水の温度が安定していない状態におけるデータを基に、不適切な補正が行われるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の湯水混合装置によれば、設定温度と実際に吐出される湯水の温度の偏差の補正を可能にしながら、使用者に与える違和感、不快感を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態による湯水混合装置全体を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態による湯水混合装置の構成を示すブロック図である。
【図3】湯水混合装置に使用されている温調バルブの構造を模式的に示す断面図である。
【図4】湯水混合装置に使用されている温調バルブの特性の一例を示すグラフである。
【図5】本発明の第1実施形態による湯水混合装置の作用の一例を示すタイムチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態による湯水混合装置全体を示すブロック図である。
【図7】本発明の第2実施形態による湯水混合装置の作用の一例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
まず、図1乃至図5を参照して、本発明の第1実施形態による湯水混合装置を説明する。図1は、本実施形態による湯水混合装置全体を示す斜視図である。図2は、本実施形態による湯水混合装置の構成を示すブロック図である。図3は、本実施形態の湯水混合装置に使用されている温調バルブの構造を模式的に示す断面図である。
【0018】
図1に示すように、湯水混合装置1は、吐水口2aが設けられたスパウト部である水栓本体2と、洗面カウンタ8に取り付けられた操作部6と、洗面ボウル4が配置された洗面カウンタ8の下側に配置された水栓機能部10と、を有する。
【0019】
本実施形態による湯水混合装置1は、操作部6を操作することにより、水栓機能部10に電気信号が送られ、各機能を実行することができる。即ち、湯水混合装置1は、操作部6を押圧操作することにより、水栓本体2の吐水口2aからの吐水、止水の切り換え及び吐水流量の調整を行うことができ、操作部6を回転操作することにより、吐水温度の調整を行うことができるように構成されている。即ち、操作部6は温度設定操作部として機能する。
【0020】
図2に示すように、水栓機能部10は、給湯管12a及び給水管12bに接続された混合弁である温調バルブ12と、3つの電磁弁14、16、18と、各電磁弁と水栓本体2の間に夫々接続された3つの定流量弁20、22、24と、温調バルブ12及び各電磁弁を制御するコントローラ26と、吐水される湯水の温度を測定する温度検出手段である温度センサ28と、温調バルブ12に流入する湯の温度を検出する供給湯温センサ29と、を有する。
【0021】
温調バルブ12の出口管路には、3つの電磁弁、即ち、小流量用電磁弁14、中流量用電磁弁16、及び大流量用電磁弁18が並列に接続されている。さらに、各電磁弁の出口側には、定流量弁が夫々直列に接続されている。即ち、小流量用電磁弁14の出口側には小流量の定流量弁20が、中流量用電磁弁16の出口側には中流量の定流量弁22が、大流量用電磁弁18の出口側には大流量の定流量弁24が夫々接続されている。さらに、各定流量弁の出口側は合流され、水栓本体2に接続されている。
【0022】
この構成により、小流量用電磁弁14が開放されると、温調バルブ12から流出した湯水は小流量用電磁弁14を通って小流量の定流量弁20に流入し、ここで所定の小流量に流量が制限されて水栓本体2の吐水口2aから吐出される。同様に、中流量用電磁弁16が開放されると湯水は中流量用電磁弁16を通って中流量の定流量弁22に流入し、ここで所定の中流量に流量が制限され、大流量用電磁弁18が開放されると湯水は大流量用電磁弁18を通って大流量の定流量弁24に流入し、ここで所定の大流量に流量が制限されて水栓本体2の吐水口2aから吐出される。
【0023】
次に、図3を参照して、温調バルブ12の構成を説明する。
図3に示すように、温調バルブ12は、温度設定を変更するためのモータ12cを備えており、さらに、混合弁本体32と、この混合弁本体32の内部に摺動可能に配置された主弁体34と、この主弁体34に付勢力を加えるバイアスバネ36と、主弁体34にバイアスバネ36とは反対の方向に付勢力を加える感温付勢部である形状記憶合金バネ38と、を有する。さらに、温調バルブ12は、設定温度に応じて混合弁本体32内で摺動されるバネ押さえ40と、このバネ押さえ40を移動させるための送りねじ42を有し、送りねじ42はモータ12cの出力軸に直結されている。
【0024】
また、図3に示すように、混合弁本体32には給湯管12a及び給水管12bが接続されており、混合弁本体32内で主弁体34が摺動されることにより、混合弁本体32に流入する湯と水の割合が変化する。温調バルブ12は、混合弁本体32内に流入した湯と水が混合され、形状記憶合金バネ38の内部を通って流出されるように構成されている。バイアスバネ36は、主弁体34が湯の流入量を増大させ、水の流入量を減少させる方向に移動されるように、主弁体34に付勢力を加えている。また、形状記憶合金バネ38は、逆に、主弁体34が湯の流入量を減少させ、水の流入量を増大させる方向に移動されるように、主弁体に付勢力を加えている。
【0025】
さらに、形状記憶合金バネ38は、温度が高くなると発生する付勢力が増大されるように構成されている。このため、混合された湯水の温度が高くなると、伸張して、湯の流入量を減じ、水の流入量を増大させ、混合された湯水の温度を低下させる。逆に、混合された湯水の温度が低くなると、縮小して、湯の流入量を増大させ、水の流入量を減じて、混合された湯水の温度を上昇させる。これにより、湯水混合弁8から流出する湯水の温度が設定温度に維持される。
【0026】
また、バネ押さえ40が送りねじ42によって移動され、図3における右方向に移動されると、湯の流入量が増加し、水の流入量が減少するので、湯水の温度は上昇する。逆に、バネ押さえ40が左方向に移動されると、水の流入量が増加し、湯の流入量が減少するので、湯水の温度は低下する。従って、モータ12cによって送りねじ42を回転させることにより、設定温度が変更される。
【0027】
次に、図2に示すように、コントローラ26は、操作部6から入力された電気信号に基づいて、各電磁弁及び温調バルブ12に制御信号を送って、これらを制御するように構成されている。また、コントローラ26は、温度補正部26aを内蔵しており、温度補正部26aは、吐水口2aから実際に吐出される湯水の温度が操作部6によって設定された設定温度に近づくように、温調バルブ12に送る制御信号を補正するように構成されている。具体的には、コントローラ26及び温度補正部26aは、操作部6、温度センサ28、供給湯温センサ29からの信号を入力するための入力インターフェイス、制御プログラム、設定温度、設定流量等を記憶する記憶手段であるメモリ、プログラムを実行するマイクロプロセッサ、各電磁弁及び温調バルブ12に制御信号を送るための出力インターフェイス(以上、図示せず)等から構成される。コントローラ26、温度補正部26aによる制御の詳細は、後述する。
【0028】
温度センサ28は、各定流量弁からの湯水が合流する部分よりも下流側の管路に配置されており、吐水口2aから吐出される湯水の温度を検出し、検出値をコントローラ26に送るように構成されている。
供給湯温センサ29は、給湯管12aに配置されており、温調バルブ12に供給される湯の温度を検出し、検出値をコントローラ26に送るように構成されている。
【0029】
次に、図4及び図5を参照して、本発明の第1実施形態による湯水混合装置1の作用を説明する。
図4は、湯水混合装置1に使用されている温調バルブ12の特性の一例を示すグラフである。図5は、上段から順に、吐水/止水状態、設定温度、温度センサ28による検出温度、モータ12cの回転角を示したタイムチャートである。
【0030】
図4は温調バルブ12の特性を示したグラフであり、横軸が送りねじ42の回転角θ、縦軸が流出する湯水の温度Tを表している。図4に示すように、温調バルブ12は、送りねじ42の回転角θと流出する湯水の温度Tが概ね折れ線状の関係となる。この図4に示す関係はコントローラ26の温度補正部26aに記憶されている。本実施形態においては、高温領域におけるグラフの傾きが、低温領域におけるグラフの傾きよりも小さくなっている。また、本実施形態において、高温領域におけるグラフの傾きは1/α、低温領域におけるグラフの傾きは1/βであり、低温領域を温度設定領域1、温度設定領域2に区分し、高温領域を温度設定領域3、温度設定領域4に区分している。これらの温度設定領域は、温調バルブの特性に応じて、任意に定めることができる。
【0031】
次に、図4を参照して、温度補正部26aによる温度の補正原理を説明する。
まず、湯水混合装置1の初期状態において、操作部6により温度設定値が温度T0に設定されると、コントローラ26は、予め記憶されている送りねじ42の所定の回転角θ0までモータ12cを回転させる。この状態で温調バルブ12から流出した湯水の温度が温度センサ28によって検出される。この温度センサ28によって検出された温度が温度T0よりも高いT1である場合には、送りねじ42の回転角θに対して実際に温調バルブ12から流出する湯水の温度は、図4に破線で示す直線Iに従うと考えられる。
【0032】
このため、温度補正部26aは、コントローラ26に予め記憶されている直線を平行移動した直線Iに基づいて、送りねじ42の回転角θを補正する。具体的には、回転角θと温度Tの関係が直線Iに従う場合、温度T0の湯水を流出させるために必要な回転角θ0’は、θ0’=θ0+α(T0−T1)により計算される。
【0033】
一方、送りねじ42を回転角θ0まで回転させた際に流出した湯水の温度が温度T0よりも低いT2である場合には、実際に温調バルブ12から流出する湯水の温度は、図4に破線で示す直線IIに従うと考えられ、温度T0の湯水を流出させるために必要な回転角θ0’’は、θ0’’=θ0+α(T0−T2)により計算される。
【0034】
本実施形態においては、温度補正部26aは、このような原理に基づき、コントローラ26から出力される制御信号を補正し、実際に吐水される湯水の温度が、温度設定値に近くなるようにしている。また、吐出される湯水の温度が低い温度設定領域1、2においては、回転角θと温度Tの関係を表す傾き1/βの直線を平行移動させることにより、必要な回転角の値を補正している。
【0035】
さらに、上記の説明では回転角θと温度Tの関係は、1本の折れ線により表されていたが、厳密には、温調バルブ12はヒステリシス特性を持っている。このため、送りねじ42が、回転角が増大する方向に回転された場合と、減少する方向に回転された場合では、送りねじ42が同一の回転角に設定されていても、主弁体34が静止する位置が異なり、吐出される湯水の温度も異なる。即ち、温調バルブ12から吐出される湯水の温度は、吐出温度を上昇させながら調整した場合と、下降させながら調整した場合では、夫々異なる折れ線に従って変化する。
【0036】
本実施形態に使用されている温調バルブ12では、温度設定領域1、2において温度設定値を上昇させた場合の直線の傾きは1/βU、下降させた場合の傾きは1/βD、温度設定領域3、4において温度設定値を上昇させた場合の直線の傾きは1/αU、下降させた場合の傾きは1/αDであり、これらの値がコントローラ26に予め記憶されている。
【0037】
次に、図5を参照して、本発明の第1実施形態による湯水混合装置1の具体的な作用の一例を説明する。
まず、図5の時刻t0において、使用者が操作部6を押圧操作すると、コントローラ26は電磁弁に信号を送り、これを開放させる。これにより吐水が開始される。吐水が開始されると、温調バルブ12に湯を供給する給湯装置(図示せず)が着火され、給湯管12aを介して温調バルブ12に供給される湯の温度が上昇する(図5の上から3段目のグラフの破線)。また、時刻t0において、温度設定値は温度設定領域1に属する温度TAにされているので、コントローラ26は、送りねじ42の回転角を温度設定値TAに対応したθAのまま保持する。なお、時刻t0においては、コントローラ26に、回転角θAに対する実際の吐水温度が記憶されていないため、温度補正部26aによる補正は実行されない。
【0038】
吐水開始後、温調バルブ12に供給される湯の温度は上昇し、時刻t1において安定する。これに伴い、温調バルブ12から吐出される湯水の温度も上昇し、時刻t2においてほぼ一定の温度になる。これらの温度は、供給湯温センサ29及び温度センサ28によって時々刻々検出され、コントローラ26に送られる。コントローラ26は、供給湯温センサ29による検出温度の時間当たりの変化量、及び温度センサ28による検出温度の時間当たりの変化量が共に所定の値以下になると、そのときの温度センサ28による検出温度TA1を、回転角θAに対する実際の吐出温度としてメモリ(図示せず)に記憶する。しかしながら、温度センサ28による検出温度TA1は、即座に吐水温度の補正に使用されることはなく、後述するように、所定の時期に吐水温度の補正に利用される。
【0039】
次に、時刻t3において、使用者が操作部6を回転操作し、温度設定値を温度設定領域2に属する温度TBに変更すると、コントローラ26は、モータ12cに制御信号を送り、送りねじ42の回転角を温度設定値TBに対応したθBまで移動させる。なお、時刻t3においては、温度設定領域2における送りねじ42の回転角と実際の吐出温度の関係がコントローラ26に記憶されていないため、温度補正部26aによる補正は実行されない。さらに、コントローラ26は、温度センサ28による検出温度の時間当たりの変化量が所定の値以下になると、そのときの温度センサ28による検出温度TB1を、回転角θBに対する実際の吐出温度としてメモリ(図示せず)に記憶する。記憶された吐出温度は、後に吐水温度の補正に利用される。
【0040】
時刻t4において、温度設定値が温度設定領域3に属する温度TCに変更されると、コントローラ26は、モータ12cに制御信号を送り、送りねじ42の回転角を温度設定値TCに対応したθCまで移動させる。なお、時刻t4においては、温度設定領域3における送りねじ42の回転角と実際の吐出温度の関係が、コントローラ26に記憶されていないため、温度補正部26aによる補正は実行されない。コントローラ26は、温度センサ28による検出温度の時間当たりの変化量が所定の値以下になると、そのときの温度センサ28による検出温度TC1を、回転角θCに対する実際の吐出温度としてメモリ(図示せず)に記憶する。記憶された吐出温度は、後に吐水温度の補正に利用される。
【0041】
次に、時刻t5において、温度設定値が温度設定領域4に属する温度TDに変更されると、コントローラ26は、モータ12cに制御信号を送り、送りねじ42の回転角を温度設定値TDに対応したθDまで移動させる。なお、時刻t5においては、温度設定領域4における送りねじ42の回転角と実際の吐出温度の関係が、コントローラ26に記憶されていないため、温度補正部26aによる補正は実行されない。さらに、コントローラ26は、温度センサ28による検出温度の時間当たりの変化量が所定の値以下になると、そのときの温度センサ28による検出温度TD1を、回転角θDに対する実際の吐出温度としてメモリ(図示せず)に記憶する。記憶された吐出温度は、後に吐水温度の補正に利用される。
【0042】
次に、時刻t6において、温度設定値が再び温度TCに変更されると、コントローラ26は、モータ12cに制御信号を送り、送りねじ42の回転角を温度設定値TCに対応したθCまで移動させる。なお、この時刻t6においては、回転角を減少方向に変更した場合において、温度設定領域3における回転角と実際の吐出温度の関係が、コントローラ26に記憶されていないため、温度補正部26aによる補正は実行されない。さらに、コントローラ26は、温度センサ28による検出温度の時間当たりの変化量が所定の値以下になると、そのときの温度センサ28による検出温度TC2を、回転角を減少方向に変更して回転角θCとした場合における実際の吐出温度としてメモリ(図示せず)に記憶する。記憶された吐出温度は、後に吐水温度の補正に利用される。
【0043】
なお、図5において、時刻t4〜t5間、時刻t6〜t7間は、何れも送りねじ42の回転角がθCに設定されているが、温調バルブ12のヒステリシス特性により、回転角を増大させてθCとした場合の温度TC1と、回転角を減少させてθCとした場合の温度TC2は異なるものとなっている。
【0044】
さらに、時刻t7において、温度設定値が再び温度TBに変更されると、コントローラ26は、モータ12cに制御信号を送り、送りねじ42の回転角を温度設定値TBに対応したθBまで移動させる。なお、この時刻t7においては、回転角を減少方向に変更した場合において、温度設定領域2における回転角と実際の吐出温度の関係が、コントローラ26に記憶されていないため、温度補正部26aによる補正は実行されない。さらに、コントローラ26は、温度センサ28による検出温度の時間当たりの変化量が所定の値以下になると、そのときの温度センサ28による検出温度TB2を、回転角を減少方向に変更して回転角θBとした場合における実際の吐出温度としてメモリ(図示せず)に記憶する。記憶された吐出温度は、後に吐水温度の補正に利用される。
【0045】
なお、図5において、時刻t3〜t4間、時刻t7〜t8間は、何れも送りねじ42の回転角がθBに設定されているが、温調バルブ12のヒステリシス特性により、温度TB1と温度TB2は異なるものとなっている。
【0046】
次いで、時刻t8において、温度設定値が再び温度TAに変更されると、コントローラ26は、モータ12cに制御信号を送り、送りねじ42の回転角を温度設定値TAに対応したθAまで移動させる。なお、この時刻t8においては、回転角を減少方向に変更した場合において、温度設定領域1における回転角と実際の吐出温度の関係が、コントローラ26に記憶されていないため、温度補正部26aによる補正は実行されない。さらに、コントローラ26は、温度センサ28による検出温度の時間当たりの変化量が所定の値以下になると、そのときの温度センサ28による検出温度TA2を、回転角を減少方向に変更して回転角θAとした場合における実際の吐出温度としてメモリ(図示せず)に記憶する。記憶された吐出温度は、後に吐水温度の補正に利用される。
【0047】
なお、図5において、時刻t2〜t3間、時刻t8〜t9間は、何れも送りねじ42の回転角がθAに設定されているが、温調バルブ12のヒステリシス特性により、温度TA1と温度TA2は異なるものとなっている。
【0048】
次に、時刻t9において、温度設定値が再び温度TBに変更されると、コントローラ26に内蔵された温度補正部26aは、コントローラ26から出力される制御信号を補正して、実際に吐出される湯水の温度を温度設定値TBに近づける。即ち、温度補正部26aは、回転角を増大させることにより、温度設定値を温度設定領域2に属する温度に設定した直近のデータである回転角θBと実際の吐出温度TB1の関係に基づいて補正する。具体的には、温度補正部26aにより補正された送りねじ42の回転角θB’は、θB’=θB+βU×(TB−TB1)により計算される。このように、温度補正部26aによる補正は、他の温度設定領域から補正量が計算された温度設定領域内に設定温度が変更されたときから、実際に吐出される湯水の温度に反映される。この補正により、実際に吐出される湯水の温度はTB3となり、設定温度TBに極めて近いものとなる。
【0049】
さらに、時刻t10において、温度設定値が温度TCに変更されると、温度補正部26aは、回転角を増大させることにより、温度設定値を温度設定領域3に属する温度に設定した直近のデータである回転角θCと実際の吐出温度TC1の関係に基づいて補正する。即ち、送りねじ42の回転角は、θC’=θC+αU×(TC−TC1)に補正される。
【0050】
次に、時刻t11において、温度設定値が温度TDに変更されると、温度補正部26aは、回転角を増大させることにより、温度設定値を温度設定領域4に属する温度に設定した直近のデータである回転角θDと実際の吐出温度TD1の関係に基づいて補正する。即ち、送りねじ42の回転角は、θD’=θD+αU×(TD−TD1)に補正される。
【0051】
さらに、時刻t12において、温度設定値が温度TCに変更されると、温度補正部26aは、回転角を減少させることにより、温度設定値を温度設定領域3に属する温度に設定した直近のデータである回転角θCと実際の吐出温度TC2の関係に基づいて補正する。即ち、送りねじ42の回転角は、θC’’=θC+αD×(TC−TC2)に補正される。このように、温度設定領域3に属する温度に設定された場合でも、回転角を増大させて設定された場合と、回転角を減少させて設定された場合では、補正に使用するデータ及び補正値は異なるものとなる。
【0052】
次に、時刻t13において、温度設定値が温度TBに変更されると、温度補正部26aは、回転角を減少させることにより、温度設定値を温度設定領域2に属する温度に設定した直近のデータである回転角θBと実際の吐出温度TB2の関係に基づいて補正する。即ち、送りねじ42の回転角は、θB’’=θB+βD×(TB−TB2)に補正される。
【0053】
さらに、時刻t14において、温度設定値が温度TAに変更されると、温度補正部26aは、回転角を減少させることにより、温度設定値を温度設定領域1に属する温度に設定した直近のデータである回転角θAと実際の吐出温度TA2の関係に基づいて補正する。即ち、送りねじ42の回転角は、θA’’=θA+βD×(TA−TA2)に補正される。
【0054】
以後、温度設定値が異なる温度設定領域に属する温度に変更された場合には、温度補正部26aにより、直近のデータを使用して送りねじ42の回転角が補正される。
【0055】
次に、図5の時刻t15において湯水混合装置1は止水状態とされ、時刻t16において、温度設定値が温度TCに変更される。さらに、時刻t17において吐水状態とされると、温調バルブ12に湯を供給する給湯装置(図示せず)が再び着火され、給湯管12aを介して温調バルブ12に供給される湯の温度が上昇する。また、温度補正部26aは、回転角を増大させることにより、温度設定値を温度設定領域3に属する温度に設定した直近のデータである回転角θCと実際の吐出温度TC3の関係に基づいて、送りねじ42の回転角を、θC’’’=θC+αU×(TC−TC3)に補正する。このように、温度補正部26aによる温度補正は、吐水開始時から反映される。
【0056】
本発明の第1実施形態の湯水混合装置によれば、次に吐水が開始されたとき、及び、他の温度設定領域から補正量が計算された温度設定領域内に設定温度が変更されたときに、温度補正部による補正が実際に吐水される湯水の温度に反映されるので、吐水中に吐出される湯水の温度が大きく変動したり、設定温度を変更していないにもかかわらず吐水中に吐出される湯水の温度が変化する等の、使用者に与える違和感、不快感を抑制することができる。
【0057】
また、本実施形態の湯水混合装置によれば、温度設定値が上昇方向に変更された際に生じた温度差と、温度設定値が下降方向に変更された際に生じた温度差を区別しているので、ヒステリシス特性を有する温調バルブに対しても、有効に補正を行うことができる。
【0058】
さらに、本実施形態の湯水混合装置によれば、供給湯温センサ及び温度センサによって検出される湯温の時間当たりの変化量が所定値以下になったときの吐出温度に基づいて補正が行われるので、温調バルブに流入する湯の温度及び温調バルブから流出する湯水の温度が安定していない状態におけるデータを基に、不適切な補正が行われるのを防止することができる。
【0059】
次に、図6及び図7を参照して、本発明の第2実施形態による湯水混合装置を説明する。本実施形態の湯水混合装置は、使用する温調バルブが、形状記憶合金バネを利用したものでない点、設定温度が複数の段階に段階的に変更される点が上述した第1実施形態とは異なる。従って、ここでは、本実施形態の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様の構成については説明を省略する。
【0060】
図6は、本実施形態による湯水混合装置全体を示すブロック図である。図7は、上段から順に、吐水/止水状態、設定温度、温度センサによる検出温度、モータの回転角を示したタイムチャートである。
【0061】
図6に示すように、本実施形態の湯水混合装置100は、吐水口102aが設けられたスパウト部である水栓本体102と、水栓本体102に設けられた操作部106と、水栓機能部110と、を有する。また、水栓機能部110は、給湯管12a及び給水管12bに接続された混合弁である温調バルブ112と、3つの電磁弁14、16、18と、3つの定流量弁20、22、24と、温調バルブ112及び各電磁弁を制御するコントローラ126と、温度検出手段である温度センサ28と、供給湯温センサ29と、を有する。
【0062】
操作部106は、押しボタン106aを押圧操作することにより吐水、止水を切り換えることができ、押しボタン106b、106c、106dを押圧操作することにより3段階の流量を選択することができるように構成されている。さらに、操作部106の温度設定用ボタン106e、106fを押圧操作することにより4段階に温度設定値を変更することができるように構成されている。また、設定されている設定温度は、温度表示部106gに表示される。従って、温度設定用ボタン106e、106fは温度設定操作部として機能する。
【0063】
温調バルブ112は、混合弁本体(図示せず)と、この混合弁本体内で摺動可能に配置された主弁体(図示せず)と、この主弁体を駆動するモータ112cとを有する。温調バルブ112は、モータ112cにより、主弁体を混合弁本体内で摺動させることにより、混合弁本体内に流入する湯と水の割合を変化させ、流出する湯水の温度を変化させるように構成されている。即ち、本実施形態においては、温調バルブ112の主弁体の位置は、モータ112cの回転角により一意的に決定される。
【0064】
コントローラ126は、操作部106から入力された電気信号に基づいて、各電磁弁及び温調バルブ112に制御信号を送って、これらを制御するように構成されている。また、コントローラ126は、温度補正部126aを内蔵しており、温度補正部126aは、吐水口102aから実際に吐出される湯水の温度が温度設定用ボタン106e、106fによって設定された設定温度に近づくように、温調バルブ112に送る制御信号を補正するように構成されている。
【0065】
次に、図7を参照して、本発明の第2実施形態による湯水混合装置100の具体的な作用の一例を説明する。
まず、図7の時刻t100において、使用者が押しボタン106aを押圧操作すると、コントローラ126は電磁弁に信号を送り、これを開放させる。これにより吐水が開始される。吐水が開始されると、給湯管12aを介して温調バルブ12に供給される湯の温度が上昇する。また、時刻t100において、温度設定値は温度TCにされているので、コントローラ126は、モータ112cの回転角を温度設定値TCに対応したθCのまま保持する。なお、時刻t100においては、コントローラ126に、回転角θCに対する実際の吐水温度が記憶されていないため、温度補正部126aによる補正は実行されない。
【0066】
温調バルブ112に供給される湯の温度、温調バルブ112から吐出される湯水の温度は、供給湯温センサ29及び温度センサ28によって検出され、コントローラ126に送られる。コントローラ126は、供給湯温センサ29による検出温度の時間当たりの変化量、及び温度センサ28による検出温度の時間当たりの変化量が共に所定の値以下になると、そのときの温度センサ28による検出温度TC1を、回転角θCに対する実際の吐出温度としてメモリ(図示せず)に記憶する。しかしながら、温度センサ28による検出温度TC1は、即座に吐水温度の補正に使用されることはなく、所定の時期に吐水温度の補正に利用される。
【0067】
次に、時刻t101において、使用者が押しボタン106aを押圧操作すると、コントローラ126は、電磁弁に制御信号を送ってこれを閉鎖させ、止水状態にする。さらに、時刻t102において、使用者が再び押しボタン106aを押圧操作すると、吐水状態となる。
【0068】
コントローラ126に内蔵された温度補正部126aは、先に検出され記憶されている検出温度TC1に基づいて、制御信号を補正する。具体的には、温度補正部126aは、補正されたモータ112cの回転角をθC’=θC+β×(TC−TC1)により計算する。なお、定数βは、モータ112cの回転角に対する吐出温度の比例係数の逆数である。設定温度TCに対応するモータ112cの回転角をθC’に補正することにより、温度センサ28により検出される吐水温度は、設定温度TCに極めて近い温度TC2となる。この温度TC2は、コントローラ126に記憶される。
【0069】
次に、時刻t103において、使用者が温度設定用ボタン106fを押圧操作して温度設定値をTCからTDに上昇させると、コントローラ126は、モータ112cに制御信号を送り、モータ112cの回転角を温度設定値TDに対応した回転角θDに移動させる。なお、時刻t103においては、モータ112cの回転角θDに対応した実際の吐水温度のデータがコントローラ126に記憶されていないため、温度補正部126aによる補正は実行されない。温度センサ28により検出された、回転角θDに対する実際の吐水温度TD1は、コントローラ126に記憶される。
【0070】
さらに、時刻t104において、使用者が温度設定用ボタン106eを押圧操作して、温度設定値をTDからTCに下降させると、コントローラ126はモータ112cに制御信号を送り、モータ112cの回転角を先に計算された設定温度TCに対応した回転角θC’まで回転させる。なお、回転角θC’に対する実際の吐出温度TC2は、温度設定値TCに完全に一致していないが、極めて設定温度に近いため、温度補正部126aによる再度の補正は行われない。即ち、温度補正部126aは、温度設定値と実際の吐出温度の差が所定の閾値以下であった場合には、次回の温度補正は実行されない。また、本実施形態においては、温調バルブ112の主弁体がモータ112cにより直接駆動されるため、温調バルブのヒステリシスが小さく、設定温度を上昇させた場合、下降させた場合とも同様の温度補正が行われる。
【0071】
次に、時刻t105において、使用者が温度設定用ボタン106fを押圧操作して、温度設定値を再びTCからTDに上昇させると、温度補正部126aは、先に検出され記憶されている検出温度TD1に基づいて、制御信号を補正する。具体的には、温度補正部126aは、補正されたモータ112cの回転角をθD’=θD+β×(TD−TD1)により計算する。設定温度TDに対応するモータ112cの回転角をθD’に補正することにより、温度センサ28により検出される吐水温度は、設定温度TDに極めて近い温度TD2となる。この温度TD2は、コントローラ126に記憶される。
【0072】
さらに、時刻t106において、使用者が押しボタン106aを押圧操作すると、止水状態となる。時刻t107において、温度設定用ボタン106eが2回押圧されると、設定温度は2段階下降してTBとなる。さらに、時刻t108において、押しボタン106aが押圧操作されると、吐水状態となる。吐水状態とされると、コントローラ126は、モータ112cに制御信号を送り、モータ112cの回転角を温度設定値TBに対応した回転角θBに移動させる。なお、時刻t108においては、モータ112cの回転角θBに対応した実際の吐水温度のデータがコントローラ126に記憶されていないため、温度補正部126aによる補正は実行されない。温度センサ28により検出された、回転角θBに対する実際の吐水温度TB1は、コントローラ126に記憶される。
【0073】
なお、止水状態で設定温度が変更された場合において、本実施形態では再び吐水状態とされた時点でモータが回転され、変更された温度設定値に対応した位置(補正された位置を含む)に主弁体が移動されるが、変形例として、設定温度が変更された時点で温度設定値に対応した位置まで主弁体を移動させても良い。
【0074】
さらに、時刻t109において止水状態とされ、時刻t110において再び吐水状態とされると、温度補正部126aは、モータ112cの回転角をθB’=θB+β×(TB−TB1)に補正する。
【0075】
本発明の第2実施形態の湯水混合装置によれば、主弁体をアクチュエータによって直接駆動するタイプの温調バルブにも、本発明を適用することができる。また、本実施形態のように、ヒステリシスが少ない特性を有する温調バルブを使用した場合には、設定温度を変更した方向を区別することなく、正確な補正を実行することができる。これにより、補正制御のアルゴリズムを単純化することができる。
【0076】
さらに、本実施形態の湯水混合装置によれば、温度設定値と実際の吐出温度の差が所定の閾値以下であった場合には、次回の温度補正が実行されないので、微小な補正が頻繁に行われるのを防止することができる。
【0077】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。特に、上述した実施形態においては、設定温度(温度設定領域)が変更されたとき、及び吐水が開始されたときに補正が実行されたが、何れか一方の場合のみ補正が実行されるように湯水混合装置を構成することもできる。
【0078】
また、上述した本発明の実施形態においては、実際の吐水温度が温度補正部に記憶され、演算されているが、実際に温度補正部に記憶し、演算する情報として温度に関する任意の情報を用いることができ、このような情報を使用しても、温度設定値と検出された温度の間の差に基づく補正を行うことができる。例えば、温度に関する情報として、設定温度に対する、補正するバルブの回転角度や、補正後のバルブ回転角度を使用して、本発明を実施することができる。
【符号の説明】
【0079】
1 本発明の第1実施形態による湯水混合装置
2 水栓本体
2a 吐水口
4 洗面ボウル
6 操作部
8 洗面カウンタ
10 水栓機能部
12 温調バルブ
12a 給湯管
12b 給水管
12c モータ
14、16、18 電磁弁
20、22、24 定流量弁
26 コントローラ
26a 温度補正部
28 温度センサ
29 供給湯温センサ
32 混合弁本体
34 主弁体
36 バイアスバネ
38 形状記憶合金バネ
40 バネ押さえ
42 送りねじ
100 本発明の第2実施形態による湯水混合装置
102 水栓本体
102a 吐水口
106 操作部
106a 押しボタン
106b、106c、106d 押しボタン
106e、106f 温度設定用ボタン
106g 温度表示部
110 水栓機能部
112 温調バルブ
126 コントローラ
126a 温度補正部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給された湯及び水を混合し、所定温度の湯水に調整して吐出させる湯水混合装置であって、
複数段階の温度設定値に吐水温度を設定するための温度設定操作部と、
流入した湯及び水を所定の割合で混合して吐出させる混合弁と、
この混合弁から流出した湯水の温度を検出する温度センサと、
上記温度設定操作部により設定された温度の湯水が吐出されるように、上記混合弁に制御信号を出力し、上記混合弁を制御するコントローラと、を有し、
このコントローラは、上記温度設定操作部により設定された温度設定値と上記温度センサによって検出された温度の間の差に基づいて、温度の差を減少させるように、各温度設定値に対する上記制御信号の補正量を計算する温度補正部を備え、
この温度補正部による補正は、次に吐水が開始されたときから、又は、他の温度設定値から補正量が計算された温度設定値に設定温度が変更されたときから、実際に吐水される湯水の温度に反映されることを特徴とする湯水混合装置。
【請求項2】
供給された湯及び水を混合し、所定温度の湯水に調整して吐出させる湯水混合装置であって、
吐水温度を設定するための温度設定操作部と、
主弁体、及び混合された湯水の温度に応じて上記主弁体に付勢力を作用させ、上記主弁体を駆動する感温付勢部を備え、流入した湯及び水を混合して複数の温度設定領域に亘る温度の湯水を吐出させることができる混合弁と、
この混合弁から流出した湯水の温度を検出する温度センサと、
上記温度設定操作部により設定された温度の湯水が吐出されるように、上記混合弁に制御信号を出力し、上記混合弁を制御するコントローラと、を有し、
このコントローラは、上記温度設定操作部により設定された温度設定値と上記温度センサによって検出された温度の間の差に基づいて、温度の差を減少させるように、各温度設定領域に対する上記制御信号の補正量を計算する温度補正部を備え、
この温度補正部による補正は、次に吐水が開始されたときから、又は、他の温度設定領域から補正量が計算された温度設定領域内に設定温度が変更されたときから、実際に吐水される湯水の温度に反映されることを特徴とする湯水混合装置。
【請求項3】
上記温度補正部は、温度設定値と上記温度センサによって検出された温度の間の差に関する情報を、温度設定値が上昇方向に変更された際に生じた温度差に関する情報と、温度設定値が下降方向に変更された際に生じた温度差に関する情報とを区別して記憶しており、温度設定値が上昇方向に変更されて設定された場合と、下降方向に変更されて設定された場合で、異なる補正量を算出する請求項2記載の湯水混合装置。
【請求項4】
さらに、上記混合弁に流入する湯の温度を検出する供給湯温センサを有し、上記温度補正部は、上記供給湯温センサ及び上記温度センサによって検出される湯温の時間当たりの変化量が所定値以下になった場合における、温度設定値と上記温度センサによる検出温度の差に基づいて補正量を算出する請求項1乃至3の何れか1項に記載の湯水混合装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−196404(P2010−196404A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−44181(P2009−44181)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】