説明

湾曲基板上に高品質画像を印刷するための方法

プラスティック製の窓等の3次元(3−D)物品の湾曲された表面上に印刷するための方法。印刷方法は、概して、所望の画像を伴う3−D表面を生成するステップと、印刷ヘッドの経路を定義するステップと、仮想2次元印刷表面を計算するステップと、仮想2次元印刷表面上に所望の画像を投影するステップと、投影された画像の失われている部分を検査し、訂正するステップと、投影された画像の較正および調整を行うステップと、仮想2次元印刷表面を通じて投影された画像を印刷し、それによって3−D物品の表面上に所望の画像を作成するステップとを包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して3次元物体上への印刷に関する。より詳しく述べれば、本発明は、インクジェット装置を使用して湾曲基板に高品質の画像を適用する印刷の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスティック成型品は、金属およびガラス物品の置換品として広く受け入れられるようになってきた。たとえばポリカーボネート・プラスティック製パネルは、現在、多様な自動車の適用において従来のガラス窓および金属本体パネルの置換品として使用されている。プラスティック成型品に関連付けされた1つの利点は、いくつかの構成要素を1つの物品に統合できることであり、それによって組み立て作業の数が低減される。言い替えると、これまでいくつかの構成要素が互いに接合または結合されて構成されていた物品を、今は1つのステップ、すなわち成形作業で製造することができる。この実践の出現の結果としてもたらされる1つの本質的な問題は、結果としてもたらされる物品の複雑な(凹状、凸状等々)表面形状の上に画像を印刷する能力が限られることである。印刷は、複雑な3次元物品の表面上に画像を作成するためのそのほかの手段では長時間を要することから、望ましい。残念ながら、スクリーン印刷およびパッド印刷等の一般的な2次元印刷方法は、限られた結果を伴ってのみこの必要性を満たすことができる。
【0003】
特許文献1(2000年)は、物体のコンピュータ援用設計(CAD)画像に従ってカラフルな3次元物体を加工するためのプロセスを述べている。それに加えて特許文献2(2000年)は、異なる色材を含む複数の液体組成を供給するための複数チャンネルの液滴堆積デバイスを動作させることを含むカラフルな3次元物体を作るための自由形式の製造プロセスおよび装置を述べている。これらの製造プロセスは、しばしば一層ずつのベースで物体を造る立体自由造形または積層造形と呼ばれる。
【0004】
特許文献3(2002年)は、3次元物体の印刷装置および方法を記述しており、それにおいては印刷する物体からの距離が許容可能距離内にある噴射ノズルのインク噴射がイネーブルされ、その距離が許容可能距離より大きい噴射ノズルのインク噴射がディセーブルされる。物体の形状に従って噴射ノズルと印刷する物体の間の距離が変動することから、画像の低下を伴うことなく物体上に印刷するためにはマルチノズル噴射ヘッドを使用することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,129,872号
【特許文献2】米国特許第6,165,406号
【特許文献3】米国特許第6,460,958号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、3次元物品上における印刷のための改善された方法を提供する必要がある。特に、プラスティック製の自動車用の窓等の湾曲された基板上に高品質の画像を印刷する、より効率的かつ効果的な方法の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の必要性を満たすことをはじめ、列挙された関係技術の欠点およびそのほかの制限を克服するために、概して、本発明は、限定ではないが自動車用プラスティック製窓を含む3次元物品の湾曲された表面上に画像を印刷するための方法を提供する。印刷方法は、所望の画像を伴う3次元(3−D)表面を生成するステップと、印刷ヘッドの経路を定義するステップと、仮想2次元印刷表面を計算するステップと、前記印刷表面上に所望の画像を投影するステップと、投影された画像内の所望の画像の、失われているか、または欠けている部分を検査し、訂正するステップと、投影された画像の較正および調整を行うステップと、2次元印刷表面を通じて投影された画像を印刷し、それによって3−D物品の表面上に所望の画像を作成するステップとを包含する。
【0008】
本発明の1つの態様においては、印刷ヘッドの経路を定義するステップが、3次元物品の湾曲された表面に関して印刷ヘッド上の各ノズルの位置を定義するソフトウエア・プログラムを使用する。このソフトウエア・プログラムは、さらに、移動経路に沿った複数の場所における各ノズルの位置を含む印刷ヘッドについての望ましい移動経路に関係するデータを含む。
【0009】
本発明の別の態様においては、仮想2次元印刷表面が、印刷ヘッドと3次元物品の湾曲された表面の間に横たわる。3次元物品から2次元印刷表面上への所望の画像の投影は、結果として2次元印刷表面上にゆがめられた画像をもたらすことができる。
【0010】
本発明についての適用可能なそのほかの分野は、ここに提供される説明から明らかになるであろう。理解される必要があるが、説明および特定の例には、例証の目的だけが意図されており、本発明の範囲を限定することは意図されていない。
【0011】
ここで説明される図面は、例証だけを目的とし、あらゆる形においても本発明の範囲の限定は意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の教示に従った3次元物品上に画像を印刷する1つの方法を図示したフローチャートである。
【図2A】本発明の1つの実施態様に従った印刷ヘッドを使用して画像が印刷される3次元物品の表面の斜視図である。
【図2B】インクが噴射される複数のノズルを示す図2Aの印刷ヘッドの下側の斜視図である。
【図2C】3次元物品の湾曲された表面上にインクを噴射するときの図2Aの印刷ヘッドの概ねラインA−Aに沿った側面図である。
【図3A】本発明の教示に従って、一連の仮想2次元印刷表面を通って3次元物品の湾曲された表面上にゆがめられた画像を適用する印刷ヘッドの斜視図である。
【図3B】3次元物品の湾曲された表面に画像を適用する図3Aの印刷ヘッドの側面図である。
【図4A】本発明の教示に従って3次元物品の湾曲された表面に適用されたときの画像の略図的な表現である。
【図4B】3次元物品の湾曲された表面上において図4Aの画像を作成するために、印刷ヘッドによって2次元印刷表面に適用されるゆがめられた画像の略図的な表現である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、いかなる形においても本発明またはそれの応用または使用を限定することは意図されていない。理解されるものとするが、説明および図面の全体を通じて対応する参照番号は、類似または対応する部分および特徴を示す。
【0014】
本発明は、概して、3次元(3−D)物品または物体の表面上における印刷の方法を提供する。より詳しく述べれば、本発明は、インクジェット印刷装置を使用して物品の湾曲された表面上に高品質の画像を印刷する方法を提供する。図1を参照すると、この印刷方法は、物品の表面上に印刷される所望の画像を伴う3−D物品の電子表現であるファイルを生成する5におけるステップと、3−D物品上に画像を印刷するために使用される印刷ヘッドの経路を定義する10におけるステップと、仮想2次元印刷表面を計算する15におけるステップであって、印刷ヘッドのすべてのノズルが前記表面から特定の距離内にあるとするステップと、物品の湾曲された表面から仮想2次元印刷表面上に所望の画像を投影する20におけるステップと、所望の画像のいずれの部分も失われていないことを保証するべく投影された画像を検査し、欠けが見つかった部分について訂正する25におけるステップと、投影された画像を較正し、かつ相応じて調整して所望の画像に整合させる30におけるステップと、投影された画像を印刷ヘッドが仮想印刷表面を通じて実質的に印刷するが、物品の湾曲された表面上にインクが実際に付着し、それによって当該湾曲された表面上に所望の画像が印刷されるように所定の経路に沿って印刷ヘッドを案内することによって画像を印刷する35におけるステップを包含する。
【0015】
本発明の多様な教示に従った印刷方法は、いくつかの利点を提供する。印刷ヘッドは、単一平面内というよりはむしろ3次元物品の表面に沿って移動できる。この印刷方法は、投影される平面内に常に正確に位置する印刷ヘッドではなく、それに代えて、投影される平面に関してある距離範囲内に位置する印刷ヘッドのノズルまたはジェットを頼る。したがって、この印刷方法は、ノズルと物品の表面の間の距離を訂正するためにノズルをオン/オフする必要がない。
【0016】
図2Aを参照すると、3次元物品40が、物品40の表面上への画像の印刷のために並べられたシミュレーションによる印刷ヘッド45を伴って示されている。印刷ヘッド45が表面を走査し、その結果として生じる各通過経路50において画像を適用する方向が示されている。図2Aには、複数の印刷ヘッド45が一列に並んでシミュレーションされているが、3次元物品40の湾曲された表面上への画像の印刷のために1つの印刷ヘッド45または複数の印刷ヘッド45を利用できる。印刷の当業者は認識するであろうが、画像の印刷は、印刷ヘッド45または物品40の湾曲された表面を任意の所望の方向に移動することによって達成できる。図2Aの印刷ヘッド45のボトムの、インクが噴射されるかまたは吐出される複数のノズル55を示す簡略化された図が図2Bに示されている。図2Bの印刷ヘッド45に関して8つのノズル55が示されているが、印刷ヘッド45に関連して任意のそのほかの数のノズル55を組み込み、使用することができる。図2Cには、物品40の湾曲された表面にインク60を適用している図2Aの印刷ヘッド45のラインA−Aに沿って得られた側面図が示されている。
【0017】
3次元物品40とともにその物品の表面上に印刷される所望の画像を包含するファイルを生成する5におけるステップにおいては、ファイル内に3−D物品40の既存のコンピュータ援用設計(CAD)図面を、それの表面上にすでに示されている所望の画像とともにインポートすること、または3−D物品40の既存のCAD図面内の物品の表面に所望の印刷画像を追加することのいずれも可能である。また、所望の画像を示す物品のCAD図面全体を最初に作成することも可能である。
【0018】
3−D物品40上への画像の印刷において使用するための印刷ヘッド45の経路を定義するステップ10は、一連の印刷ヘッド45をシミュレーションするソフトウエア・プログラムを作成することによって達成できる。この一連の印刷ヘッド45は、物品40上への所望の画像の印刷にもっとも適している態様で3−D物品40の長さ方向に沿って置かれる(図2A参照)。3−D物品40の湾曲された表面上のポイントに関する印刷ヘッド45の各ノズル55の位置は、ソフトウエア・プログラム内にインポートされるデータに含められるものとする。それに加えて、印刷ヘッド45についての望ましい移動経路に関係するデータもまた、そのソフトウエア・プログラム内にインポートされる必要がある。印刷ヘッド45のために設定された印刷経路50は、一連のノズル55のポジションを記述するデータ、および各ノズル55および印刷経路50に沿ったそれの位置に関する対応する画像要件のセットを含む。
【0019】
印刷ヘッド45が移動する経路は、印刷ヘッド45の中心点を定義するか、または印刷ヘッド45の外側または側方ノズル55が移動するラインを表す単一の変数によって表すことができる。外側ラインによって定義されるところのこの変数は、動作中の印刷ヘッド45の向きにおける変動を可能にし、かつ印刷ヘッド45の向きに変化が生じるとき、たとえば角を曲がる間に、印刷ヘッド45と印刷画像の間のより良好な相関を提供することから好ましい。ソフトウエア・プログラムは、印刷ヘッド45が移動する経路内の複数の位置において、各ノズル55の位置を計算できるものとする。これらの計算は、ノズル55からノズル55の間の共通平面に対して垂直に延びるライン、または物品40の表面に対する重力によって設定される経路に沿って従うラインのいずれかについて測定される距離に基づくことができる。
【0020】
仮想2次元印刷表面、すなわちそれを通じて画像を印刷できる表面を計算するステップ15もまた、ソフトウエア・プログラムを使用して達成できる。このソフトウエア・プログラムは、所定の印刷経路内の各ノズル・ポジションについてノズルから3−D物品の表面までの距離を計算できる。各ノズル・ポジションがポイントとして幾何学的に定義済みであれば、3−D物品の湾曲された表面と各選択されたポイントの間の距離が、印刷ヘッド45およびインク処方60の望ましいか、または選択された組み合わせについて決定される最大離隔範囲内となるポイントの雲が作成される。最大離隔範囲または距離は、実験に基づいて決定されるか、またはインク60および印刷ヘッド45の製造者によって提供されるものとすることができる。印刷ヘッド45の経路全体について決定される離隔範囲を表す点の集合またはポイント・クラウドは、図3Aおよび図3Bに示されるとおり、一連の仮想2次元印刷表面65の位置のための境界の提供に使用される。図3Bにおいては印刷ヘッド45の経路が3次元物品40から距離dで離れていることが示されている。本質的に、仮想2次元印刷表面65の集合は、印刷ヘッド45と、印刷されることになる3次元物品40の湾曲された表面の間に横たわる。3−D物品40の湾曲された表面と印刷ヘッド45の間の距離dは、印刷ヘッド45およびインク60の組み合わせについての既知の離隔距離によって与えられる。
【0021】
仮想2次元印刷表面65が設定された後は、3−D物品40の湾曲された表面から、これらの新しく作成された仮想2次元印刷表面65上に所望の画像を投影するステップ20を実行することが可能である。3−D物品40の湾曲された表面上に印刷されるところの画像75は、仮想2次元印刷表面65上に投影されたとき、ゆがめられるか、または異なって見えることがある。たとえば、3−D物品40の表面上に印刷されたときの円形の画像75(図4A)は、2−D印刷表面65上に投影されたときに卵形状の画像70に似ることがある(図4B)。ゆがめられた画像75は、物品40に関連付けされた曲率の程度によって生じる距離の相違を考慮に入れたソフトウエアに起因して生じる。ノズル55から噴射されインク60の液滴サイズの修正は、この曲率またはインク滴が印刷ヘッド45と3−D物品40の湾曲された表面の間の距離を移動するために必要とされる『飛翔』時間における相違を補償することができる。
【0022】
印刷表面65が設定された後は、所望の画像70の任意の部分が対応する印刷表面65上に適正に投影されなかったか否かの決定が単純なプロセスになる。操作者は、画像のいずれの部分も失われていないことを保証するべく投影された画像75を検査するステップ25を行うことができる。操作者は、欠けていると決定した投影された画像75の任意の部分について訂正することもできる。この検査および訂正のステップ25は、マニュアルで達成すること、または多様なソフトウエア・アルゴリズムの使用を通じて達成することのいずれも可能である。投影された画像75の、失われているかまたは欠けているすべての部分が仮想2次元印刷表面65上から解消された後は、印刷ヘッド45のために設定され印刷経路50が、ノズル55のポジションの完全なセットおよび各ノズル55および印刷経路50に沿った位置に関する画像要件の対応するセットを含むものとなる。
【0023】
ソフトウエア・プログラムの実行の間は、ロボット・インターフェースがインクジェットまたは印刷ヘッド・コントローラに発射信号を提供できる。ロボットによって実行される実際の経路は、CAD図面から決定される印刷ヘッド45のための印刷経路50と相関される必要がある。ロボットの経路全体を通じた印刷ヘッド45のための適切なポジションは、ログされる必要がある。これらのログされた入力ポジションは、実世界の適用に対するCAD図面の較正、およびそれに応じた画像の調整を行うステップ30に使用できる。適切な実行は、互いに関するか、または印刷表面65等の何らかのあらかじめ定義済みの座標系に関する印刷ヘッド45および3−D物品40の実際の位置に基づく。実際の較正は、物理的な測定または光学的な測定によって、またはロボット・システムにより決定される基本フレーム座標を使用することによって達成できる。
【0024】
印刷のステップ35は、印刷ヘッド45が仮想2次元印刷表面65を通じてゆがめられた画像75を実質的に印刷するように、所定の経路50に沿って印刷ヘッド45を案内することによって達成される。このステップにおいては、インク60が実際に3−D物品の表面40上に着地し、それによって所望の画像70を作成する。言い替えると、印刷ヘッド45は、仮想2次元印刷表面65上へのゆがめられた画像75の印刷を試みるが、インクは、3−D物品40上に実際に着地して実際の所望の画像70を作成する。
【0025】
印刷ヘッド45は、当業者に周知の任意のロボット・システムによって保持および移動することができる。その種のロボット・システムは、静止態様で支持体表面に据え付けられるロボット・アーム、および当該ロボット・アームの端に取り付けられる印刷ヘッド45を含むことができる。コントローラをロボット・アームおよび印刷ヘッド45と電気的に結合することができ、印刷ヘッド45は、インク60のリザーバと流体的に結合される。ロボット・アームは、多関節化可能であり、所望の画像75が印刷されることになる物品40の表面上の任意の所望のポイントの近くに印刷ヘッド45を移動することができる。
【0026】
選択されたインク60の処方は、選択された印刷ヘッド45と両立する必要がある。当業者は認識するであろうが、インク60のタイプおよびインク・パラメータは、限定ではないが固形分パーセント、粒子分布、流動学的な性質、および硬化の特性を含み、ノズル・オリフィス・サイズ、動作温度、および圧力勾配等の印刷ヘッド45に関連付けされた動作パラメータと整合するべく選択される必要がある。
【0027】
所望の画像75が印刷される3次元物品40は、金属、ガラス、およびプラスティックを含む任意の材料からなるとすることができる。プラスティック材料は、任意のサーモプラスティック高分子樹脂または混合物またはそれらの組み合わせを含むことができる。適切なサーモプラスティック樹脂は、限定ではないがポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリアリーレート樹脂、ポリエステル樹脂、およびポリスルホン樹脂をはじめ、共重合体およびそれらの混合物を含む。3次元物品40は、限定ではないが成形および熱成形を含む当業者に周知の任意のテクニックを使用して作成できる。
【0028】
本発明の別の目的は、上に印刷画像が適用されることになる3次元または湾曲された表面を有する実質的に透明なプラスティック製の窓およびパネル上に画像を印刷する方法を提供することである。したがって、プラスティック製の窓は、特定タイプの3次元物品40を表す。その種のパネルまたは窓は、成形、熱成形、または押し出し成形等の任意の多様な周知のテクニックの使用を通じて形成できる。窓の上に印刷される所望の画像75は、限定ではないがブラックアウト境界、フェードアウト境界、ロゴ、および規定のマークを含むことができる。
【0029】
最終的な構成においては、単一保護層または複数の保護層の使用を通じて、紫外線に対する露出、酸化、およびすり傷といった自然発生的なことからプラスティック製の窓またはそのほかの完成された3−D物品40を保護できる。保護層は、プラスティックの膜、有機コーティング、無機コーティング、またはそれらの混合とすることができる。膜およびコーティングは、紫外線吸収体(UVA)分子、分散剤、界面活性剤、および透明充填材(たとえばシリカ、アルミニウム酸化物、等々)等のすり傷耐性を増強するレオロジ・コントロール添加剤をはじめ、光学的、化学的、または物理的性質を修正そのほかの添加剤を包含できる。保護コーティングは、当業者に周知の任意の適切なテクニックを用いて適用できる。これらのテクニックは、負圧補助堆積プロセスにおいて採用されているような反応種の堆積、および基板へのゾル−ゲル・コーティングの適用に使用されているような大気圧コーティング・プロセスを含む。負圧補助堆積プロセスの例は、限定ではないが、プラズマ増強化学蒸着法、イオン補助プラズマ堆積、マグネトロン・スパッタリング、電子ビーム蒸着、およびイオン・ビーム・スパッタリングを含む。大気圧コーティング・プロセスの例は、限定ではないがカーテン・コーティング、スプレイ・コーティング、スピン・コーティング、ディップ・コーティング、およびフロー・コーティングを含む。
【0030】
以上の本発明の多様な実施態様の説明は、例証および説明の目的のために与えられた。それが網羅的であること、または開示された正確な実施態様に本発明を限定することは意図されていない。上記の教示に照らせば多くの修正または変形が可能である。考察した実施態様は、本発明の原理およびそれの実際的な応用の最良の例証を提供し、それによって当業者が多様な実施態様の中で、かつ企図されている特定の使用に適しているときには多様な修正を伴って本発明を利用することを可能にするべく選択され、かつ述べられてきた。その種のすべての修正および変形は、付随する請求項が公正に、適法に、かつ公平に権利が与えられる広さに従って解釈されるとき、それによって決定される本発明の範囲内となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元物品の湾曲された表面上に所望の画像を印刷するための方法であって、
前記物品の前記湾曲された表面上に前記所望の画像を伴う前記3次元物品のファイルを生成するステップと、
インクを使用して前記画像を前記3次元物品上に印刷するために使用される複数のノズルを有する印刷ヘッドの経路であって、前記印刷ヘッドの前記ノズルが前記3次元物品の前記湾曲された表面からあらかじめ決定済みの距離内となる経路を定義するステップと、
前記経路に沿って一連の仮想2次元印刷表面を定義する複数の点を計算するステップと、
前記物品の前記湾曲された表面から前記仮想2次元印刷表面上に前記所望の画像を投影するステップと、
前記所望の画像のいずれの部分も失われていないことを保証するべく前記印刷表面上に投影された前記画像を検査し、欠けていることが見つかった部分を訂正するステップと、
前記投影された画像の較正および調整を行って前記所望の画像に整合させるステップと、
前記投影された画像を前記印刷ヘッドが前記仮想2次元印刷表面を通じて実質的に印刷するが、前記3次元物品の前記湾曲された表面上に前記インクが実際に付着し、それの上に前記所望の画像が作成されるように前記所定の経路に沿って前記印刷ヘッドを案内することによって前記画像を印刷するステップと、
を包含する方法。
【請求項2】
前記ファイルを生成するステップは、前記3次元物品のコンピュータ援用設計図面を、それの表面上に提供される前記所望の画像とともに使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記印刷ヘッドの前記経路を定義するステップは、前記3次元物品の前記湾曲された表面に関して前記印刷ヘッド上の各ノズルの位置を定義するソフトウエア・プログラムを使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ソフトウエア・プログラムは、さらに、前記印刷ヘッドための前記望ましい移動経路に関係するデータを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記移動経路は、前記印刷ヘッドの中心点および前記印刷ヘッドの側方ノズルが移動するラインのグループから選択される1つとして定義される単一変数を表す、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ソフトウエア・プログラムは、前記移動経路内の複数の場所における各ノズルの位置を計算する、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記計算は、前記ノズルの間の共通平面に対して垂直な、前記物品の前記表面に対するラインについて測定される距離に基づく、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記計算は、ノズルから前記物品の前記表面に対して延びる、重力によって設定される経路に従うラインについて測定される距離に基づく、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記仮想2次元印刷表面を計算するステップにおいて、前記ノズルと前記3次元物品の前記湾曲された表面の間の前記あらかじめ決定済みの距離は、印刷ヘッドおよびインク処方の選択された組み合わせについて決定される最大離隔範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記仮想2次元印刷表面は、前記印刷ヘッドと前記3次元物品の前記湾曲された表面の間に横たわる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記3次元物品から前記仮想2次元印刷表面上に前記所望の画像を投影するステップは、前記仮想2次元印刷表面上にゆがめられた画像を結果としてもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記投影された画像の検査および調整を行うステップは、マニュアルで達成されるか、またはソフトウエア・アルゴリズムの使用を通じて達成されるかのいずれかである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記印刷ヘッドの経路を定義するステップは、一連のノズルのポジションおよび各ノズルおよびそれの位置に関する画像要件の対応するセットを含む印刷経路を提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記投影された画像の較正および調整を行うステップは、前記印刷ヘッドおよび前記3次元物品の、互いに関するか、または前記印刷表面に関する実際の位置に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記印刷するステップは、ロボット・システムを使用する前記印刷ヘッドの操作を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
プラスティック製の窓の湾曲された表面上に画像を印刷するための方法であって、
前記窓の、それの湾曲された表面上に所望の画像を伴うファイルを生成するステップと、
インクを用いて前記窓の上に前記画像を印刷するために使用する複数のノズルを有する印刷ヘッドの経路であって、前記印刷ヘッドの前記ノズルが前記窓の前記湾曲された表面からあらかじめ決定済みの距離内となる経路を定義するステップと、
前記経路に沿って一連の仮想2次元印刷表面を定義する複数の点を計算するステップと、
前記窓の前記湾曲された表面から前記仮想2次元印刷表面上に前記所望の画像を投影するステップと、
前記所望の画像のいずれの部分も失われていないことを保証するべく前記仮想2次元印刷表面上に投影された前記画像を検査し、欠けていることが見つかった部分を訂正するステップと、
前記投影された画像の較正および調整を行って前記所望の画像に整合させるステップと、
前記投影された画像を前記印刷ヘッドが前記仮想2次元印刷表面を通じて実質的に印刷するが、前記窓の前記湾曲された表面上に前記インクが実際に付着し、それの上に前記所望の画像が作成されるように前記所定の経路に沿って前記印刷ヘッドを案内することによって前記画像を印刷するステップと、
を包含する方法。
【請求項17】
前記所望の画像は、ブラックアウト境界、フェードアウト境界、ロゴ、および規定のマークのグループから選択される1つである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ファイルを生成するステップは、前記窓のコンピュータ援用設計図面を、それの表面上に提供される前記所望の画像とともに使用する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記印刷ヘッドの前記経路を定義するステップは、前記窓の前記湾曲された表面に関して前記印刷ヘッド上の各ノズルの位置を定義するソフトウエア・プログラムを使用する、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記ソフトウエア・プログラムは、前記移動経路内の複数の場所における各ノズルの位置を計算する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記仮想2次元印刷表面を計算するステップにおいて、前記ノズルと前記3次元物品の前記湾曲された表面の間の前記あらかじめ決定済みの距離は、印刷ヘッドおよびインク処方の選択された組み合わせについて決定される最大離隔範囲内である、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記仮想2次元印刷表面は、前記印刷ヘッドと前記窓の湾曲された表面の間に横たわる、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記窓から前記仮想2次元印刷表面上に前記所望の画像を投影するステップは、前記仮想2次元印刷表面上にゆがめられた画像を結果としてもたらす、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
前記投影された画像の較正および調整を行うステップは、前記印刷ヘッドおよび前記窓の、互いに関するか、または前記印刷表面に関する実際の位置に基づく、請求項16に記載の方法。
【請求項25】
前記印刷するステップは、ロボット・システムを使用する前記印刷ヘッドの操作を含む、請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【公表番号】特表2011−507701(P2011−507701A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541524(P2010−541524)
【出願日】平成20年12月30日(2008.12.30)
【国際出願番号】PCT/US2008/088549
【国際公開番号】WO2009/088867
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(501080424)エグザテック・リミテッド・ライアビリティー・カンパニー (7)
【氏名又は名称原語表記】Exatec,LLC.
【住所又は居所原語表記】31220 Oak Creek Drive,Wixom,MICHIGAN,USA
【Fターム(参考)】