説明

湿分分離器及びその分離方法

【課題】効率良く液滴を分離し、さらに液滴分離の際の圧損を軽減した状態の下で液滴を捕集する。
【解決手段】湿分分離器は、蒸気が流入する蒸気流入配管101と、蒸気が流出する蒸気流出配管102と、蒸気流入配管101と蒸気流出配管102との間に形成された外側流路管105と、蒸気流入配管101、蒸気流出配管102及び外側流路管105の少なくとも一配管の内部に設けられ蒸気に含入する液滴を分離する液滴分離手段(例えば、焼結ベーン106)と、蒸気流入配管101、蒸気流出配管102及び外側流路管105の少なくとも一配管の外側に設けられ焼結ベーン106で分離された液滴を排出する排出管107と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気流からの湿分や微粒子を分離する湿分分離器及びその分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の蒸気流からの湿分や不純物粒子の分離法としては、機械式の分離法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この機械式の分離法には旋回を与えて遠心分離する方式や、曲折流路に蒸気流を導き遠心分離する方式、多孔板等を通してフィルタする方式等がある。
【0003】
また、磁性をもつ不純物粒子を分離する方法として、磁気式の分離方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。この他に、電気力を利用する方式が知られている。
【特許文献1】特公昭61−5522号公報
【特許文献2】特開昭63−235603号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来方式の主流である機械式は、どの方式を採用しても原理的には圧力損失が大きい。このため、低圧の飽和蒸気では圧力が低下すると湿分が増える結果となってしまい本来の分離効果が減殺されてしまうことがある、という課題があった。
【0005】
また、磁気式では磁性をもつ不純物粒子を分離することはできるが、非磁性の不純物や湿分の分離を行うことができない、という課題があった。
【0006】
さらに、電気式の場合は、誘電分極ではほとんど分離効果がなく、コロナ放電式では蒸気の流れの中に針状の電極をさらす必要がある。この高温高速の蒸気流中では電極の耐久性及び健全性の面で課題があった。
【0007】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、蒸気流から湿分や不純物微粒子を分離するために、蒸気流れに遠心力を作用させ、また流路形状を変化させることにより効率良く液滴を分離し、さらに液滴分離の際の圧損を軽減した状態で液滴を分離することのできる湿分分離器及びその分離方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の湿分分離器においては、蒸気が流入する蒸気流入配管と、蒸気が流出する蒸気流出配管と、この蒸気流入配管と蒸気流出配管との間に形成された外側流路管と、前記蒸気流入配管、蒸気流出配管及び外側流路管の少なくとも一配管の内部に設けられ蒸気に含入する液滴を分離する液滴分離手段と、前記蒸気流入配管、蒸気流出配管及び外側流路管の少なくとも一配管の外側に設けられ前記液滴分離手段で分離された液滴を排出する排出管と、を有することを特徴とするものである。
【0009】
また、上記目的を達成するため、本発明の湿分分離器においては、蒸気が流入する蒸気流入配管と、蒸気が流出する蒸気流出配管と、この蒸気流入配管と蒸気流出配管との間に形成されたタービンと、を具備し、前記タービンから排出される蒸気出口配管接続部が二重管からなり、この二重管の内管がタービンのケーシング内に突出し、前記二重管の環状流路部から液滴を排出するように構成されていることを特徴とするものである。
【0010】
また、上記目的を達成するため、本発明の湿分分離方法においては、蒸気流入配管を介して蒸気を流入する蒸気流入ステップと、前記流入された蒸気を外側流路管を介して前記蒸気流入配管に接続された蒸気流出配管を経由して流出する蒸気流出ステップと、前記流入された蒸気を蒸気流入配管、蒸気流出配管及び外側流路管の少なくとも一配管の内部に設けられた液滴分離手段に導入して蒸気に含入する液滴を分離する液滴分離ステップと、この分離された液滴を前記蒸気流入配管、蒸気流出配管及び外側流路管の少なくとも一配管の外側に設けられた排出管を介して流出する蒸気流出ステップと、を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の湿分分離器及びその分離方法によれば、蒸気流れに遠心力を作用させ又は流路形状を変化させることにより、効率良く液滴を分離しさらに液滴分離の際の圧損を軽減した状態の下で液滴を分離することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る湿分分離器及びその分離方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。ここで、同一又は類似の部分には共通の符号を付すことにより、重複説明を省略する。
【0013】
図1は、本発明の第1の実施の形態の湿分分離器の構成を示す縦断面図であり、図2は、図1のA−A矢視方向を切断して示す断面図であり、図3は、図1の配管曲がり部に配置された焼結ベーンを示す斜視図である。
【0014】
本図に示すように、湿分分離器は、蒸気流入配管である垂直配管101と、蒸気流出配管である水平配管102と、これらの配管が直交する曲がり部を有する。この曲がり部は、直交する配管101、102とは矩形継ぎ手103を介して接続される矩形断面形状の矩形流路管104から形成される。この蒸気流路管である矩形流路管104の外側には外側流路管である曲がり部外側管105が配置され二重管構造をなしている。
【0015】
上記の矩形流路管104内の曲がり部には曲率半径方向に沿って液滴分離手段である複数個の三日月形状の中空ベーンである焼結ベーン106が間隔をおいて配置されている。図2、図3に示すように、この焼結ベーン106の内側湾曲面は焼結金属で形成されている。また、焼結ベーン106の長手方向の両端部は矩形流路管104の外側の曲がり部外側管105の内部と連通している。さらに、曲がり部外側管105の底部には排出管である排水管107が設けられ、この排水管107を経由して排水が行われる。
【0016】
このように構成された本実施の形態において、垂直配管101から流入した蒸気108は矩形流路管104に入り、下降する蒸気は垂直流れから水平流れ109に曲げられることにより遠心力を受ける。密度が大きい液滴や微粒子114は、この遠心力によって、焼結ベーン内側湾曲面の焼結金属面113に沿いながら流れる。このため、上記の液滴や微粒子114はこの焼結金属113を貫通して焼結ベーン106の内部に入り、焼結ベーン106の両端部の液滴流出孔112から流出する。ここで捕集された捕集液滴110は、曲がり部外側管105底部の排水管107より排水される。
【0017】
本実施の形態によれば、この焼結ベーン106を経由することにより、蒸気流から液滴や不純物粒子を効率良く分離し、さらに液滴分離の圧損を軽減した状態で液滴や不純物粒子を排除することができる。
【0018】
図4は、本発明の第2の実施の形態の湿分分離器の構成を示す縦断面図である。本実施の形態は、第1の実施の形態の焼結ベーン106の代わりに焼結テーパ管123を設けたものである。
【0019】
本図に示すように、湿分分離器は、蒸気流入配管121と、この蒸気流入配管121の下方の蒸気流出配管122とを有する。この蒸気流入配管121と蒸気流出配管122との間には、下降方向に沿って狭まる焼結金属により形成された液滴分離手段である焼結テーパ管123が連結されている。この焼結テーパ管123の外側には外側流路管である液滴捕集管124が配置され二重管構造を形成している。この液滴捕集管124の底部には、捕集液滴128を排出するための排出管である液滴排水管125が設けられている。
【0020】
本実施の形態において、蒸気流入配管121から流入した蒸気126に含まれる液滴や不純物粒子は、蒸気流入配管121の管壁に付着し液膜127となって流れる。この液膜127は、焼結テーパ管123の流路絞込み作用により、液膜127は焼結テーパ管123の焼結管に吸い込まれる。吸い込まれた液滴や不純物粒子は焼結テーパ管123外側に設けられた液滴捕集管124の底部に設けられた液滴排水管125より排水することにより捕集される。
【0021】
本実施の形態によれば、焼結テーパ管123を経由することにより、蒸気流から液滴や不純物粒子を効率良く分離し、さらに液滴分離の圧損を軽減した状態で液滴や不純物粒子を排除することができる。
【0022】
図5は、本発明の第3の実施の形態の湿分分離器の構成を示す縦断面図である。本実施の形態は、第1の実施の形態の焼結ベーン106の代わりに螺旋状切り欠き203を設けたものである。
【0023】
本図に示すように、湿分分離器は、上流側が蒸気流入配管で下流側が蒸気流出配管である垂直配管101を有する。この垂直配管101の中間部の一部は内管201と外側流路管である外管202とから構成され二重管構造をなしている。この外管202の上下端は、内管201の外周面に水密に固定されている。この外管202で包囲された内管201の管壁に沿って、液滴分離手段である螺旋状切り欠き203が設けられている。また、この螺旋状切り欠き203の下端に沿って内管201の内側に突起した螺旋状の螺旋状突起物204が設けられている。なお、外管202の下部には排出管である液滴排水管205が設けられている。
【0024】
このように構成された本実施の形態において、内管201内を流れる蒸気206に含入される液滴や不純物粒子が内管201の管壁に付着して液膜207が形成される。この液膜207が螺旋状突起物204の上面に沿って流れる。この液膜207に遠心力が作用して、螺旋状突起物204に沿った螺旋状切り欠き203を貫通して矢印208に示すように内管201の外へ排出される。この排出された液滴207は、外管202の下部に設けられた液滴排水管205より排水される。
【0025】
本実施の形態によれば、螺旋状の切り欠き203を経由することにより、蒸気流から液滴や不純物粒子を効率良く分離し、さらに液滴分離の圧損を軽減した状態で液滴や不純物粒子を排除することができる。
【0026】
図6は、本発明の第4の実施の形態の湿分分離器の構成を示す縦断面図である。本実施の形態は、第3の実施の形態の螺旋状切り欠き203の代わりに貫通孔211を設けたものである。
【0027】
本図に示すように、湿分分離器は、上流側が蒸気流入配管で下流側が蒸気流出配管である垂直配管101を有する。この垂直配管101の中間部の一部は内管209と外側流路管である外管210とから構成され二重管構造をなしている。この外管210の上下端は、内管209の外周面に水密に固定されている。この外管210で包囲された内管209の管壁に複数の貫通孔211が設けられている。また、この複数の貫通孔211の一部に沿って内管209の内側には突起した螺旋状の螺旋状突起物212が設けられている。なお、外管210の下部には排出管である液滴排水管213が設けられている。
【0028】
このように構成された本実施の形態において、内管209内を流れる蒸気206に含入される液滴や不純物粒子が内管209の管壁に付着して液膜207が形成される。この液膜207が螺旋状突起物212の上面に沿って流れる。また、この液膜207に遠心力が作用して、複数の貫通孔211の一部を貫通して内管209の外へ排出される。この排出された液滴は、外管210の下部に設けられた液滴排水管213より図示しない液回収ラインへ排水される。
【0029】
本実施の形態によれば、内管209の管壁に設けられた複数の貫通孔211を介して、蒸気流中からの湿分の分離が促進される。
【0030】
図7は、本発明の第5の実施の形態の湿分分離器の構成を示す縦断面図であり、図8は、図7のB−B矢視方向を切断して示す断面図である。本実施の形態は、第1の実施の形態の焼結ベーン106の代わりに中空ベーン216を設けたものであり、第1の実施の形態と同一又は類似の部分には共通の符号を付すことにより、重複説明を省略する。
【0031】
本図に示すように、湿分分離器は、蒸気流入配管である垂直配管101と、蒸気流出配管である水平配管と102と、これらの配管が直交する曲がり蒸気流路管214とから構成される。この曲がり蒸気流路管214の外側には外側流路管である液捕集管215が配置され二重管構造をなしている。
【0032】
上記の曲がり蒸気流路管214の曲がり部には曲率半径方向に沿って液滴分離手段である複数個の三日月形状の中空ベーン216が間隔をおいて配置されている。この中空ベーン216の内部は中空となっている。この中空ベーン216の中空部に液滴を導くための複数の切り欠き217が設けられている。この切欠き217の片側に沿って突起物218が配置されている。さらに、液捕集管215の底部には排出管である液滴排水管219が設けられ、この液滴排水管219を経由して排水が行われる。
【0033】
このように構成された本実施の形態において、垂直配管101から流入した蒸気220は曲がり蒸気流路管214に入り、下降する蒸気は垂直流れから水平流れに曲げられることにより遠心力を受ける。蒸気流220中の湿分は曲がり部の遠心力で液滴または液膜となって中空ベーン216の壁面に付着する。この液は突起物218によって受け止められ、切欠き217を経由して中空ベーン216の内部に導入される。中空ベーン216内に導かれた液は、図8に示すように中空ベーン216の長手方向に矢印220のように流れて液捕集管215内に捕集される。捕集された液は排水管219を経由して図示しない回収ラインへ流れ出る。
【0034】
本実施の形態によれば、この中空ベーン216を経由することにより、蒸気流から液滴や不純物粒子を効率良く分離し、さらに液滴分離の圧損を抑制した状態で液滴や不純物粒子を排除することができる。
【0035】
図9は、本発明の第6の実施の形態の湿分分離器を示し、図7のB−B矢視方向を切断して示す断面図である。本実施の形態は、第5の実施の形態の中空ベーン216の代わりに傾斜した中空ベーン221を設けたものであり、第5の実施の形態と同一又は類似の部分には共通の符号を付すことにより、重複説明を省略する。
【0036】
図7及び図9に示すように、湿分分離器は、蒸気流入配管である垂直配管101と、蒸気流出配管である水平配管と102と、これらの配管が直交する曲がり蒸気流路管214と、を有する。この曲がり蒸気流路管214の外側には外側流路管である液捕集管215が配置され二重管構造をなしている。
【0037】
上記の曲がり蒸気流路管214の曲がり部には曲率半径方向に沿って液滴分離手段である複数個の三日月形状の凸型中空ベーン221が間隔をおいて配置されている。この傾斜した中空ベーン221は、第5の実施の形態の中空ベーン216と同様に、内部が中空となっている。また中空ベーンの長手方向は重力作用方向に傾斜した凸型となっている。この傾斜した中空ベーン221の中空部に液滴を導くための複数の切り欠き222が設けられている。この切欠き222の片側に沿って突起物223が配置されている。
【0038】
本実施の形態において、傾斜した中空ベーン221内に導かれた液は、下側に傾斜しているので重力により、矢印224のように円滑に曲がり蒸気流路管214の外側に流れ出ることができる。
【0039】
本実施の形態によれば、この傾斜した中空ベーン221を経由することにより、蒸気流から液滴や不純物粒子を効率良く分離し、さらに液滴分離の圧損を抑制した状態で液滴や不純物粒子を排除することができる。
【0040】
図10は、本発明の第7の実施の形態の湿分分離器の曲がり蒸気流路管の構成を示す縦断面図であり、図11は、図10のC−C矢視方向を切断して示す断面図であり、図12は、図10の曲がり蒸気流路管に配置された分離翼301を示す斜視図である。本実施の形態は、第1の実施の形態の焼結ベーン106の代わりに分離翼301を設けたものであり、第1の実施の形態と同一又は類似の部分には共通の符号を付すことにより、重複説明を省略する。
【0041】
本図に示すように、湿分分離器は、蒸気流入配管である垂直配管101と、蒸気流出配管である水平配管102と、これらの配管が直交する外側流路管である曲がり蒸気流路管104と、を有する。この曲がり蒸気流路管104の内部には、液滴分離手段である曲面を有する分離翼301複数枚がほぼ平行に配置されている。この分離翼301は、配管の曲がり蒸気流路管104の曲がりに沿ってほぼ90°の角度で設置され、さらにこれと直行する水平断面に対してねじって配置されている。また、この分離翼301のねじれに沿って液膜捕獲のためのスリット303が設けられている。また、上記の分離翼301の直上流の直管部には、分離翼301に沿って複数の整流板304が設けられている。
【0042】
本実施の形態において、垂直配管101に流入する湿分を含んだ蒸気は、整流板304により整流されて分離翼301に導入される。この分離翼301に導入された蒸気は、分離翼301の翼によって曲げ方向に遠心力が作用して翼表面に液膜が形成される。この液膜は分離翼301上でねじれ方向に沿って流れるため、ねじれに沿って設けられたスリット303を介して、液膜を捕獲することができる。
【0043】
本実施の形態よれば、分離翼301を経由することにより、蒸気流から液滴や不純物粒子を効率良く分離し、さらに液滴分離の圧損を軽減した状態で液滴や不純物粒子を効率良く捕獲することができる。
【0044】
図13は、本発明の第8の実施の形態の湿分分離器で、高圧タービン部の構成を示す概略正面図であり、図14は、図13のD−D矢視方向を切断して示す概略断面図であり、図15は、図13の蒸気出口配管接続部を拡大して示す縦断面図であり、図16は、図13の高圧タービンケーシングの上部を取り除いて示す概略平面図である。
【0045】
本図に示すように、湿分分離器は、高圧タービン部より構成される。この高圧タービン部は、2個の高圧タービンケーシング401と、この2個の高圧タービンケーシング401のそれぞれに高圧蒸気が導入される2個の蒸気入口配管403を有する。この2個の高圧タービンケーシング401のそれぞれには、導入された蒸気により回転するタービン404が内蔵されている。また高圧タービンケーシング401の蒸気入口配管403と対面する箇所に、このタービン404を回転させて膨張した蒸気が流出する2個の蒸気出口配管402がそれぞれ設けられている。
【0046】
図14及び図15に示すように、蒸気出口配管402が高圧タービンケーシング401の内部に突出して設けられている。すなわち、蒸気出口配管402と高圧タービンケーシング401との接続部は二重管構造となり、環状流路部409が形成されている。このように、蒸気出口配管402を液膜から突出させることにより液膜が蒸気出口配管402に流出し難い構造となっている。また、液膜となった湿分は、二重管の環状流路部409に一時貯溜される。この環状流路部409に貯溜された湿分は、湿分分離タンク407を経由して分離ドレン管408へ排出される。
【0047】
本実施の形態において、高圧蒸気が蒸気入口配管403を経由して高圧タービンケーシング401に導入される。この高圧蒸気は高圧タービンケーシング401の内部に設けられたタービン404を回転させて膨張する。この低圧化した蒸気が蒸気出口配管402を経由して流出する共に、この蒸気出口配管402の外環に設けられた環状流路部409を経由して湿分が排出される。
【0048】
本実施の形態よれば、高圧タービン部を経由することにより、蒸気流から液滴や不純物粒子を効率良く分離し、さらに液滴分離の圧損を軽減した状態で液滴や不純物粒子を効率良く捕獲することができる。
【0049】
図17は、図13の蒸気出口配管の上端構造を示す縦断面図である。
【0050】
本図に示すように、高圧タービンケーシング401内の蒸気は、タービン404の回転方向に旋回している。この蒸気と共に湿分である液膜や液滴もタービンの回転方向に旋回し、高圧タービンケーシング401内の表面に付着して流れる液膜は偏っている。
【0051】
本実施の形態によれば、液膜から突出している蒸気出口配管402の先端は傾斜した状態で形成されている。すなわち、回転している蒸気に対面する側の蒸気出口管の突出高さを増加することにより湿分の蒸気出口管内部への流入を減少させている。これは、蒸気に比べると湿分である液滴や液膜の密度のほうが大きいため、湿分の慣性は蒸気よりも大きくなり、蒸気出口配管への回りこみが難いためである。
【0052】
図18は、本発明の第9の実施の形態の湿分分離器の一部を透視して示す正面図であり、図19は、図18の小流路1本の経路を示す縦断面図であり、図20は、図18の複数の小流路と接続部との接続状態を示す水平断面図であり、図21は、図18の複数の小流路と接続部との接続状態を示す縦断面図である。本実施の形態は、第1の実施の形態の焼結ベーン106の代わりに蒸気仕切板506を設けたものである。
【0053】
本図に示すように、湿分分離器は、蒸気流入配管である垂直配管501と、蒸気流出配管である水平配管と502と、これらの配管が直交する外側流路管である配管曲がり部503から構成される。この配管曲がり部503には曲率半径方向に沿って液滴分離手段である複数枚の蒸気仕切板506によって分割され小流路507が形成されている。
【0054】
本実施の形態において、垂直配管501から流入する蒸気510は、複数の小流路507に入る。これらの小流路507を下降する蒸気は垂直流れから水平流れに曲げられることにより遠心力を受ける。
【0055】
図19に示すように、密度が大きい液滴517は、遠心力で小流路曲がり部513の外側内壁に沿いながら流れる。この液滴517によって生じた液膜は、中央部が上に凸状となっている蒸気仕切り板506の形状により、曲がり部503と水平配管502との接続部504に設けられた液膜案内板515に沿って流れる。この液滴は、接続部504に形成された捕集孔508を経由して液膜捕集部505に流出する。この流出した液滴517は、液膜捕集部505の下端に設けた排出管509を経由して排出することにより蒸気中の湿分を排除することができる。
【0056】
本実施の形態によれば、蒸気仕切板506を経由することにより、蒸気流から液滴や不純物粒子を効率良く分離し、さらに液滴分離の圧損を軽減した状態で液滴や不純物粒子を効率良く捕獲することができる。
【0057】
ここで、湿分分離する際の損失について説明する。
【0058】
図22は、図18の蒸気流入部の構造を示す正面図である。
【0059】
上記の第9の実施の形態における湿分分離する際の損失は、入口及び出口部、蒸気仕切板、細管支持板並びに細管との連結部により急激な流路の拡大、縮小が生じる。他の配管部分に比較して、ここでの圧損割合が大部分(約60%)を占める。単に板と管を接合した場合、この部分の圧損係数は、0.5から0.4であることが知られている。例えば、本図に示すように、蒸気仕切板523に設けられたベルマウス522のような形状にすることにより圧損係数を1/10程度に軽減することができる。つまり、同じ捕集効率で圧損を低減することが可能となる。本実施の形態では、ベルマウス522を示しているが、角を丸めたりすることも可能である。
【0060】
また、本発明の第10の実施の形態の親水性皮膜の形成について図18を用いて説明する。
【0061】
本図に示すように、湿分分離器は、垂直配管501と、水平配管と502と、これらの配管が直交する配管曲がり部503から構成される。この配管曲がり部503には曲率半径方向に沿って複数枚の蒸気仕切板506によって分割され小流路507が形成されている。
【0062】
本実施の形態は、上記の小流路507を形成する部材の内面に親水性皮膜を形成するものである。この親水性材料としての酸化物半導体をコーティングした表面を用いると、原子炉内の放射線により酸化物半導体表面が励起され、超親水性になる。この親水性皮膜を形成する金属酸化物として、TiO、PbO、BaTiO、Bi、ZnO、WO、SrTiO、Fe、FeTiO、KTaO、MnTiO、SnO等が使用される。
【0063】
本実施の形態において、親水性皮膜を形成することにより、小流路507を形成する管内面に均一な液膜ができる。かくして、液滴は非常に少なく管内面には筋状の液流れが生じ、複数個の小径孔を経由して外側管壁には均一に液体が排除されないという事象が大幅に改善される。また、複数個の小径孔から均一に液体が排除されるため、効率よく液分を分離することができる。
【0064】
図23は、本発明の第11の実施の形態の湿分分離器の一部を透視して示す正面図であり、図24は、図23の分離細管の細管1本を示す説明図で、(a)はその縦断面図、(b)はその底部の排出孔を示す下面図である。
【0065】
本図に示すように、湿分分離器は、蒸気流入配管である垂直配管601と、蒸気流出配管である水平配管602と、これらの配管が直交する外側流路管である配管曲り部603を有する。この配管曲り部603において分離細管605が管内壁に沿って装着されている。この分離細管605は、複数本を束ねた細管604を有する。この細管604の曲がり部外側614の管壁には排出手段である複数の小径孔から成る排出孔606が形成されている。分離細管605の両端部は、細管604の間隙部の流れ抑制および細管604の支持のために蒸気仕切板607及び細管支持板608が設けられている。上記の細管604と外側管である垂直配管601あるいは水平配管602とは、蒸気仕切板607及び細管支持板608を介して溶接にて接続されている。また、細管支持板608の上部には蒸気流出の下流側と均圧とするための均圧孔610が形成されている。
【0066】
本実施の形態において、垂直配管601から流入する蒸気611は分離細管605に入る。この蒸気は、この分離細管605の上部において、複数本の細管604に分割されて下降し、垂直流れから水平流れ曲げられることにより遠心力を受ける。この遠心力を受けることによって、密度が大きい液滴や微粒子617は、細管曲り部外側614の内壁に沿いながら流れる。このように流れる液膜や微粒子617は、細管曲り部外側614に形成された排出孔606より流出する。この流出した液膜や微粒子617を配管曲り部603の下端に設けられた排出管609より排出することにより、蒸気中の湿分や不純物粒子を含む液滴を排除することができる。
【0067】
本実施の形態によれば、この分離細管605を経由することにより、蒸気流から液滴や不純物粒子を効率良く分離し、さらに液滴分離の圧損を軽減した状態の下で液滴や不純物粒子を排除することができる。
【0068】
図25は、図23の分離細管の細管の変形例を示す説明図で、(a)はその縦断面図、(b)はその底部の排出孔を示す下面図である。図25は、図24の排出孔606の代わりに折り爪620を設けることにより形成された排出孔618を設けたものであり、図24と同一又は類似の部分には共通の符号を付すことにより、重複説明を省略する。
【0069】
本図に示すように、分離細管605は、複数本を束ねて構成された細管604を有する。この細管604の曲がり部外側614の管壁には排出手段である排出孔618が形成されている。この排出孔618は、この細管の曲がり部外側614の管壁にくの字状部の切れ目を入れて折り爪620を形成し、さらにこの折り爪620を細管604の内部へ折り込んで構成されている。
【0070】
本実施の形態において、蒸気611は、この分離細管605の上部において、複数本の細管604に分割されて下降し、垂直流れから水平流れ曲げられることにより遠心力を受ける。この遠心力を受けることによって、密度が大きい液滴や微粒子617は、細管曲り部外側614の内壁に沿いながら流れる。このように流れる液膜や微粒子617は、くの字状部の切れ目を入れて形成された折り爪620に導かれて排出孔618より流出する。この流出した液膜や微粒子617を配管曲り部603の下端に設けた排出管609より排出することにより、蒸気中の湿分や不純物粒子を含む液滴を排除することができる。
【0071】
本実施の形態によれば、くの字状部の切れ目を入れて形成された折り爪620を設けることにより、蒸気流から液滴や不純物粒子を効率良く分離し、さらに液滴分離の圧損を軽減した状態の下で液滴や不純物粒子を排除することができる。
【0072】
図26は、図23の分離細管605の細管604の変形例を示す説明図で、(a)はその底部の排出孔を示す下面図であり、(b)はその底部の他の排出孔を示す下面図である。図26は、図24の排出孔606及び図25の排出孔618の穴径又は配列を蒸気流れに沿って変化させたものを形成したものであり、図24及び図25と同一又は類似の部分には共通の符号を付すことにより、重複説明を省略する。
【0073】
本図に示すように、分離細管605は、複数本の細管604を束ねて構成されている。この細管604の曲がり部外側614の管壁には排出手段である排出孔606又は排出孔618が形成されている。蒸気流れの上流側より下流側の排出孔606や排出孔618の穴径を小さくして形成している。また、蒸気流れの上流側より下流側の排出孔606や排出孔618の配列を密集して形成している。
【0074】
本実施の形態によれば、蒸気流れの上流側より下流側の排出孔の穴径を小さく又は排出孔の配列を密集して形成することにより、液滴・微粒子排出のときの蒸気量を抑制することができ、蒸気流から液滴や不純物粒子を分離する効率を向上することができる。
【0075】
図27は、本発明の第12の実施の形態の湿分分離器の一部を切断して示す縦断面図であり、図28は、図27の湿分分離器を切断しE−E方向から見た横断面図である。
【0076】
本図に示すように、湿分分離器は、蒸気流入配管である水平配管701と、蒸気流出配管である垂直配管702とを有する。この水平配管701と垂直配管702は、外側流路管707を介して連結されている。この外側流路管707は、垂直配管702と水平配管701とを直交し更にこの水平配管701と垂直配管702との軸芯をずらして配置する構造に対応して構成されている。この垂直配管702の内部には液滴分離手段である液滴捕集ボックス703が設置されている。この液滴捕集ボックス703には、垂直配管702を貫通する排出管704が溶接にて取り付けられている。
【0077】
このように構成された本実施の形態において、蒸気705は水平配管701から垂直配管702へ導入される。この水平配管701と垂直配管702とは軸芯がずれているために、垂直配管702を上昇する蒸気705は、遠心力を受けて旋回した流れ705となる。この旋回した蒸気の流れ705により、密度が大きい液滴や微粒子は遠心力で上記の垂直配管702の内壁に沿いながら上昇する。この液滴は合体し液膜となって内壁を上昇する。この内壁に沿って上昇する液膜と微粒子は垂直配管702の内壁に設けた液滴捕集ボックス703にて捕集され、排出管704を介して排水706として外へ導き出される。
【0078】
本実施の形態によれば、水平配管701と垂直配管702の軸芯をずらして構成することにより、蒸気流から液滴や不純物粒子を効率良く分離し、さらに液滴分離の圧損を軽減した状態の下で液滴や不純物粒子を排除することができる。
【0079】
図29は、図27の垂直配管702の変形例の一部を切断して示す横断面図である。図29は、図27の垂直配管702に拡管708を設けたものであり、図27と同一又は類似の部分には共通の符号を付すことにより、重複説明を省略する。
【0080】
本図に示すように、湿分分離器は、水平配管701と、垂直配管702とを有する。この水平配管701と垂直配管702は、外側流路管707を介して連結されている。この外側流路管707は、水平配管701と垂直配管702とを直交し更にこの水平配管701と垂直配管702との軸芯をずらして配置する構造に対応して構成されている。この垂直配管702の他端には拡管708が設けられている。この拡管708には液滴捕集ボックス703が設けられている。この液滴捕集ボックス703の配管内部への突き出した突出部の間の距離703aは、垂直配管702の内径とほぼ同じ大きさとしている。
【0081】
本実施の形態により、主流となる蒸気705は、液滴捕集ボックス703へ衝突することが軽減されるために圧力損失が小さくすることができる。また、垂直配管702の内壁に沿って流れる液膜と微粒子が、主流(蒸気流れ)に晒されることが軽減されるため、主流に再度混入することがなくなり、蒸気流から液滴や不純物粒子を効率良く分離することができる。
【0082】
図30は、図27の垂直配管の他の変形例の一部を切断して示す縦断面図である。
【0083】
本図に示すように、湿分分離器は、水平配管701と、垂直配管702とを有する。この水平配管701と垂直配管702は、外側流路管707を介して連結されている。この外側流路管707は、垂直配管702と水平配管701とを直交し更にこの水平配管701と垂直配管702との軸芯をずらして配置する構造に対応して構成されている。この垂直配管702には、外径は同一で配管の肉厚が小さい配管が連結されている。すなわち、この垂直配管702の外径を変えずに配管肉厚を変化させることにより配管内径を大きくした拡管709が配置されたことになる。なお、垂直配管702と拡管709との配管内径の段差をなくすために傾斜リング709aが内蔵されている。
【0084】
本実施の形態により、配管外径を変えずに配管肉厚を変化させることにより配管内径を大きくした拡管709を設けることにより、蒸気流705が液滴捕集ボックス703へ衝突することが軽減することができる。かくして、蒸気流から液滴や不純物粒子を効率良く分離し、しかも低コストで分離することができる。
【0085】
図31は、図27の垂直配管の他の変形例の一部を切断して示す縦断面図である。図31は、図27の液滴捕集ボックス703を少なくとも1段設けたものであり、図27と同一又は類似の部分には共通の符号を付すことにより、重複説明を省略する。
【0086】
本図に示すように、図27の液滴捕集ボックス703が複数段設けられている。ここでは、2段の液滴捕集ボックス703を例示している。
【0087】
本実施の形態により、液滴捕集ボックス703を複数段設けることにより、蒸気流から液滴や不純物粒子を効率良く分離し、捕集効率のさらなる向上を図ることができる。
【0088】
図32は、本発明の第13の実施の形態の湿分分離器を示す縦断面図である。図32は、図27の液滴捕集ボックス703の代わりにオリフィス710を設けたものであり、図27と同一又は類似の部分には共通の符号を付すことにより、重複説明を省略する。
【0089】
本図に示すように、湿分分離器は、蒸気流入配管である水平配管701と、蒸気流出配管である垂直配管702とを有する。この水平配管701と垂直配管702は、外側流路管である液滴捕集ボックス707を介して連結されている。なお、上記の水平配管701と垂直配管702とは直交しているが、この水平配管701と垂直配管702とは同軸の状態で配置されている。
【0090】
この水平配管701の内部には、液滴分離手段である断面が翼型のオリフィス710が設置されている。このオリフィス710の外径は、水平配管701の内径より小さい。このために、オリフィス710の内側および外側において蒸気705は流れるようになっている。このオリフィス710の後方には液滴を捕集して配管701の外側へ排出するための液滴トラップ713が設けられている。上記の液滴捕集ボックス707の下部で、しかもこの液滴トラップ713の下方には排出管714が付属されている。
【0091】
上記のオリフィス710の翼形状は、配管形状や流動状態によって最適な形状にすることが望ましい。この翼710aの断面形状を図33に例示する。(a)には両面が凸の翼710a、(b)には片面が凸で他方が平面の翼710a、(c)や(d)には翼の断面形状が互いに逆向きのオリフィス710の断面形状、(e)には翼の断面形状が互いに同じ向きのオリフィス710の断面形状、を示す。
【0092】
このように構成された本実施の形態において、水平配管701内を流れる蒸気705中の液滴711は、オリフィス710の内側と外側に生じた圧力差により圧力の低い方に集められる。また、オリフィス710に衝突した液滴711は、オリフィス710の表面に液膜712を形成して流れ、オリフィス710の後縁からスムーズに流れ去る。このようにして集められた液滴711はオリフィス712の後方にある液滴トラップ713で捕集される。この捕集された液滴711は液滴捕集ボックス707を経由して、排出管714より水平配管701の外側に排出される。
【0093】
本実施の形態によれば、オリフィス710を設けることにより、蒸気流から液滴や不純物粒子を効率良く分離し、さらに液滴分離の圧損を軽減した状態の下で液滴や不純物粒子を排除することができる。
【0094】
図34は、図32のオリフィスの説明で、(a)〜(e)はそのオリフィス710を複数段設けた変形例を示す断面図である。
【0095】
本図に示すように、図32のオリフィス710が複数段設けられている。ここでは、2段または5段のオリフィス710を例示している。
【0096】
上記の複数段設置するオリフィス710の形態を図34に例示する。(a)には同一形状のオリフィス710を2段設けた例、(b)には異なったオリフィス710を2段設けた例、(c)には大きさの異なったオリフィス710を5段並べた設置例、(d)や(e)には大径のオリフィス710の中に小径のオリフィス710を設置した例、を示す。
【0097】
さらに、上記のオリフィス710の翼形状は、蒸気の流れ方向に対する傾きを一定にする必要はなく、配管形状や流動状態等によっては例えばオリフィス断面形状において互いに傾きの異なった翼形状をしたオリフィス710や、複数設置したオリフィス710の翼形状は互いに異なった傾きを有してもよいことは勿論である。
【0098】
本実施の形態により、オリフィス710を複数段設けることにより、蒸気流から液滴や不純物粒子を効率良く分離し、捕集効率のさらなる向上を図ることができる。
【0099】
さらに、本発明は、上述したような各実施の形態に何ら限定されるものではなく、上記の親水性皮膜を中空ベーンなどの接液部に設けてもよく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の第1の実施の形態の湿分分離器の構成を示す縦断面図。
【図2】図1のA−A矢視方向を切断して示す断面図。
【図3】図1の配管曲がり部に配置された焼結ベーンを示す斜視図。
【図4】本発明の第2の実施の形態の湿分分離器の構成を示す縦断面図。
【図5】本発明の第3の実施の形態の湿分分離器の構成を示す縦断面図。
【図6】本発明の第4の実施の形態の湿分分離器の構成を示す縦断面図。
【図7】本発明の第5及び第6の実施の形態の湿分分離器の構成を示す縦断面図。
【図8】本発明の第5の実施の形態の湿分分離器を示し、図7のB−B矢視方向を切断して示す断面図。
【図9】本発明の第6の実施の形態の湿分分離器を示し、図7のB−B矢視方向を切断して示す断面図。
【図10】本発明の第7の実施の形態の湿分分離器の曲がり蒸気流路管の構成を示す縦断面図。
【図11】図10のC−C矢視方向を切断して示す断面図。
【図12】図10の曲がり蒸気流路管に配置された分離翼を示す斜視図。
【図13】本発明の第8の実施の形態の湿分分離器で、高圧タービン部の構成を示す概略正面図。
【図14】図13のD−D矢視方向を切断して示す概略断面図。
【図15】図13の蒸気出口配管接続部を拡大して示す縦断面図。
【図16】図13の高圧タービンケーシングの上部を取り除いて示す概略平面図。
【図17】図13の蒸気出口配管の上端構造を示す縦断面図。
【図18】本発明の第9及び第10の実施の形態の湿分分離器の一部を透視して示す正面図。
【図19】図18の小流路の経路を示す縦断面図。
【図20】図18の複数の小流路と接続部との接続状態を示す水平断面図。
【図21】図18の複数の小流路と接続部との接続状態を示す縦断面図。
【図22】図18の蒸気流入部の構造を示す正面図。
【図23】本発明の第11の実施の形態の湿分分離器の一部を透視して示す正面図。
【図24】図23の分離細管の細管を示す説明図で、(a)はその縦断面図、(b)はその底部の排出孔を示す下面図。
【図25】図23の分離細管の細管の変形例を示す説明図で、(a)はその縦断面図、(b)はその底部の排出孔を示す下面図。
【図26】図23の分離細管の細管の変形例を示す説明図で、(a)はその底部の排出孔を示す下面図、(b)はその底部の他の排出孔を示す下面図。
【図27】本発明の第12の実施の形態の湿分分離器の一部を切断して示す縦断面図。
【図28】図27の湿分分離器を切断しE−E方向から見た横断面図。
【図29】図27の垂直配管の変形例の一部を切断して示す縦断面図。
【図30】図27の垂直配管の他の変形例の一部を切断して示す縦断面図。
【図31】図27の垂直配管の他の変形例の一部を切断して示す縦断面図。
【図32】本発明の第13の実施の形態の湿分分離器を示す縦断面図。
【図33】図32のオリフィスの説明で、(a)〜(e)はその翼形状の変形例を示す断面図。
【図34】図32のオリフィスの説明で、(a)〜(e)はそのオリフィスを複数段設けた変形例を示す断面図。
【符号の説明】
【0101】
101…垂直配管、102…水平配管、103…矩形管継ぎ手、104…矩形流路管、105…配管曲がり部、106…焼結ベーン、107…排水管、108…蒸気、109…蒸気の流れ、110…捕集液滴、112…液滴流出管、113…焼結金属部、114…蒸気に含む液滴、121…蒸気流入配管、122…蒸気流出配管、123…焼結テーパ管、124…液滴捕集管、125…液滴排水管、126…蒸気流入、127…液膜、128…捕集液滴、201…内管、202…外側流路管、203…螺旋状切り欠き、204…螺旋状突起物、209…内管、210…外管、211…貫通孔、212…螺旋状突起物、214…曲がり蒸気流路管、215…液捕集管、216…中空ベーン、217…切り欠き、218…突起物、221…傾斜した中空ベーン、301…分離翼、303…スリット、304…整流板、401…高圧タービンケーシング、402…蒸気出口配管、403…蒸気入口配管、404…タービン、407…湿分分離ドレンタンク、408…分離ドレン出口、409…環状流路部、410…ローター、501…垂直配管、502…水平配管、503…配管曲がり部、504…配管接続部、505…液膜捕集部、506…蒸気仕切り板、507…小流路、508…捕集孔、509…排出管、510…蒸気、513…小流路曲がり部、515…液膜案内板、517…液滴、522…ベルマウス、601…垂直配管、602…水平配管、603…配管曲り部、604…細管、605…分離配管、606…排出孔、607…蒸気仕切板、608…細管支持板、609…排出管、610…均圧孔、611…蒸気、614…曲り部外側、617…液滴・微粒子、618…排出孔、620…折り爪、701…水平配管、702…垂直配管、703…液滴捕集ボックス、704…排出管、705…蒸気、706…捕集された液滴、708…拡管、707…液滴捕集ボックス、709…拡管、710…オリフィス、710a…翼、711…液滴、712…液膜、713…液滴トラップ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気が流入する蒸気流入配管と、
蒸気が流出する蒸気流出配管と、
この蒸気流入配管と蒸気流出配管との間に形成された外側流路管と、
前記蒸気流入配管、蒸気流出配管及び外側流路管の少なくとも一配管の内部に設けられ蒸気に含入する液滴を分離する液滴分離手段と、
前記蒸気流入配管、蒸気流出配管及び外側流路管の少なくとも一配管の外側に設けられ前記液滴分離手段で分離された液滴を排出する排出管と、
を有することを特徴とする湿分分離器。
【請求項2】
前記液滴分離手段は、前記外側流路管内に設けられ前記蒸気流入配管と蒸気流入配管とが直交する曲がり部に形成された矩形流路断面を有する矩形流路管を具備すること、を特徴とする請求項1記載の湿分分離器。
【請求項3】
前記液滴分離手段は、前記矩形流路管の曲がり部に曲率半径方向に沿って三日月形状の内側湾曲面を焼結金属で形成された中空ベーンを複数設置して構成されていること、を特徴とする請求項1又は2記載の湿分分離器。
【請求項4】
前記液滴分離手段は、前記矩形流路管の曲がり部に曲率半径方向に沿って複数設置され内部を中空構造とした中空ベーンと、この中空ベーンの中空内部に液滴を導くための切欠きと、この切欠きの片側に沿って設置された突起物と、を具備することを特徴とする請求項1又は2記載の湿分分離器。
【請求項5】
前記中空ベーンは、長手方向が重力作用方向に傾斜して構成されていること、を特徴とする請求項4記載の湿分分離器。
【請求項6】
前記液滴分離手段は、前記矩形流路管の曲がり部に曲率半径方向に沿い更に水平断面に対してねじって形成された翼を有する分離翼と、この分離翼の直上流の直管部に翼に沿って設置された整流板と、を具備することを特徴とする請求項1又は2記載の湿分分離器。
【請求項7】
前記液滴分離手段の外表面の少なくとも一部の外表面に親水性皮膜を形成して構成されていること、を特徴とする請求項1又は6記載の湿分分離器。
【請求項8】
前記液滴分離手段は、焼結金属で形成され管壁を流れる液膜流を分離する下降方向に狭まったテーパ管を具備すること、を特徴とする請求項1記載の湿分分離器。
【請求項9】
前記液滴分離手段は、前記蒸気流路管の管壁に沿って螺旋状切欠きを設け、この螺旋状切欠きに沿って蒸気流路管の内側に設けられた螺旋状突起物を具備すること、を特徴とする請求項1記載の湿分分離器。
【請求項10】
前記液滴分離手段は、前記蒸気流路管の管壁に沿って複数の貫通孔を設け、この貫通孔の一部に沿って蒸気流路管の内側に設けられた螺旋状の突起物を具備すること、を特徴とする請求項1記載の湿分分離器。
【請求項11】
前記液滴分離手段は、前記外側流路管の曲がり部に曲率半径方向に沿って複数の小流路を形成する蒸気仕切り板と、この蒸気仕切り板の下流側に設けられた捕集孔に液膜を導く液膜案内板と、を具備することを特徴とする請求項1記載の湿分分離器。
【請求項12】
前記液滴分離手段は、前記外側流路管の曲がり部に曲率半径方向に沿って設けられた複数の細管と、この細管の曲がり部に形成され分離された液滴を排出する排出孔を含む排出手段と、を具備することを特徴とする請求項1記載の湿分分離器。
【請求項13】
前記排出手段は、前記細管の曲がり部の外側管壁にくの字状部の切れ目を入れ更に前記細管内部へ折り込んで形成された複数個の折り爪を具備すること、を特徴とする請求項12記載の湿分分離器。
【請求項14】
前記排出手段は、前記細管の曲り部の外側管壁に形成される排出孔の穴径を蒸気流れの上流側より下流側を小さくし又は前記排出孔の配列を蒸気流れの上流側より下流側を密集して形成されていること、を特徴とする請求項12又は13記載の湿分分離器。
【請求項15】
前記外側流路管は、前記蒸気流入配管と蒸気流出配管とを直交し更にこの蒸気流入配管と蒸気流出配管との軸芯をずらして配置する構造に対応して構成されていること、を特徴とする請求項1記載の湿分分離器。
【請求項16】
前記蒸気流出配管は、この配管外径または配管肉厚を変化させてなる拡管を具備すること、を特徴とする請求項15記載の湿分分離器。
【請求項17】
前記液滴分離手段は、前記水平配管に翼型のオリフィスを設置して構成されること、を特徴とする請求項1記載の湿分分離器。
【請求項18】
前記液滴分離手段は、前記蒸気流出配管の上下方向に少なくとも1段設置して構成されていること、を特徴とする請求項1、15又は17記載の湿分分離器。
【請求項19】
蒸気が流入する蒸気流入配管と、
蒸気が流出する蒸気流出配管と、
この蒸気流入配管と蒸気流出配管との間に形成されたタービンと、
を具備し、
前記タービンから排出される蒸気出口配管接続部が二重管からなり、この二重管の内管がタービンのケーシング内に突出し、前記二重管の環状流路部から液滴を排出するように構成されていること、を特徴とする湿分分離器。
【請求項20】
蒸気流入配管を介して蒸気を流入する蒸気流入ステップと、
前記流入された蒸気を外側流路管を介して前記蒸気流入配管に接続された蒸気流出配管を経由して流出する蒸気流出ステップと、
前記流入された蒸気を蒸気流入配管、蒸気流出配管及び外側流路管の少なくとも一配管の内部に設けられた液滴分離手段に導入して蒸気に含入する液滴を分離する液滴分離ステップと、
この分離された液滴を前記蒸気流入配管、蒸気流出配管及び外側流路管の少なくとも一配管の外側に設けられた排出管を介して流出する蒸気流出ステップと、
を有することを特徴とする湿分分離方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2007−229583(P2007−229583A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−52842(P2006−52842)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】