説明

湿式ブレーキの隙間調整機構

【課題】ディスクとピストンとの間の隙間を調整した値に保持することができる湿式ブレーキの隙間調整機構を提供することを課題とする。
【解決手段】規定ボルト19をその軸回りに回転させて突起部18に対し進退させることにより、レバー15を軸部13を中心に回転させると、レバー15と共に調整部材の軸部13が回転されることにより、ディスクとピストンとの間の隙間が調整される。隙間調整後に、ロックナット20と突起部18のネジ孔とにより規定ボルト19を締め合って規定ボルト19の突起部18に対する進退位置を固定すると共に、固定ボルト16を第2ハウジング部Bのネジ孔に締結することによりレバー15の回転位置を固定する。これにより、レバー15の回転位置が2重にロックされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、湿式ブレーキの隙間調整機構に係り、特に湿式ブレーキのディスクとピストンとの間に形成される隙間を調整する機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、フォークリフト等の産業車両においては、車輪と共に回転するディスクをブレーキハウジング内の受圧面とピストンとの間に配置し、ピストンでディスクを押圧してディスクに摩擦力を作用させることにより車輪を制動する湿式ブレーキが使用されている。
【0003】
上述のような湿式ブレーキでは、一般に、ディスク表面の摩耗により、ピストンとディスクとの間に形成される隙間が変化することが知られており、そのような隙間の変化に起因したブレーキの効き遅れ等を防止するために、この隙間を調整する機構を備えたものが提案されている。
【0004】
例えば特許文献1には、ブレーキハウジングのネジ孔に調整ボルトを螺合してその先端部をピストンのディスク押圧面とは反対側の面に当接させ、この調整ボルトを回転させてピストンのディスクに対する位置を移動することによりピストンとディスクとの間の隙間を調整する機構が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平9−112604号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の隙間調整機構では、振動等により調整ボルトが回転するおそれがある。調整ボルトが回転して、ピストンとディスクとの間の隙間が調整された値から変化すると、ブレーキの効き遅れやブレーキの引きずり等の不具合を招くおそれがある。
この発明はこのような問題点を解消するためになされたもので、ディスクとピストンとの間の隙間を調整した値に保持することができる湿式ブレーキの隙間調整機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る湿式ブレーキの隙間調整機構は、湿式ブレーキのハウジングに回転自在に取り付けられた調整部材を回転させることにより、湿式ブレーキのディスクとピストンとの間に形成される隙間が調整される機構において、調整部材に固定されてこの調整部材と共に回転するレバーと、ハウジングに形成されたネジ孔に螺合され且つその軸回りに回転されることによりネジ孔に対して進退すると共にその先端部がレバーの回転方向においてレバーに当接することによりレバーの回転位置を規定する規定ボルトと、ネジ孔に対する規定ボルトの進退位置を固定する規定ボルト固定部材と、ハウジングに対するレバーの回転位置を固定するレバー固定部材とを備えるものである。
【0008】
規定ボルトの先端部がレバーに当接することにより、ディスクとピストンとの間に形成される隙間が大きくなる方向へのレバー及び調整部材の回転が防止されるように構成することが好ましい。
ハウジングのネジ孔と共に規定ボルトを互いに締め合うことでネジ孔に対する規定ボルトの進退位置を固定するロックナットを規定ボルト固定部材として用いることもできる。
【0009】
レバーにこのレバーの回転方向に沿った長孔を形成し、その長孔に通されてレバーをハウジングに固定する固定ボルトをレバー固定部材として用いることもできる。
また、長孔が形成されると共にレバーの回転方向において規定ボルトとは反対方向からレバーに当接する当接部材と、当接部材の長孔に通されて当接部材を前記ハウジングに固定する固定ボルトとをレバー固定部材として用いることもできる。
【0010】
湿式ブレーキのハウジング内にディスク及びピストンが収容され、調整部材の一端部がハウジング内に挿入されると共に他端部がハウジングの外部に配置され、レバーは調整部材の他端部に固定されるように構成することもできる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、湿式ブレーキのディスクとピストンとの間の隙間を調整した値に保持することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1に、この発明の実施の形態1に係る隙間調整機構を有する湿式ブレーキを示す。この湿式ブレーキは、例えば、フォークリフト等の走行車輪を制動するためのものであり、フォークリフトの機台に取り付けられるハウジング1を有している。このハウジング1は、互いに一体に固定されてほぼ円筒形状を有する第1ハウジング部A及び第2ハウジング部Bを有し、これら第1ハウジング部A及び第2ハウジング部Bのそれぞれの中央には貫通孔が形成されている。
【0013】
第2ハウジング部Bに対向する第1ハウジング部Aの面には、その貫通孔周辺に環状の段部が形成されており、この段部内に環状の複数の押圧プレート2が貫通孔の軸方向に沿って互いに所定の間隔をあけて取り付けられている。第1ハウジング部Aの貫通孔の内部には、図示しない車輪に連結された車軸部材3が回転自在に配置されており、この車軸部材3の外周部に、複数の押圧プレート2と交互に配置される環状の複数のディスク4が取り付けられている。車軸部材3は、図示しない車輪に接続され、機台の走行時に車輪と共に車軸部材3及び複数のディスク4が回転されるように構成されている。
【0014】
第1ハウジング部Aに対向する第2ハウジング部Bの面にはピストン室が形成されており、このピストン室の内部にピストン5が挿入されている。ピストン5は、ディスク4に対向すると共にその軸方向にスライド自在に配置されている。また、第1ハウジング部Aに対向する第2ハウジング部Bの面には、その貫通孔の周方向に沿って環状溝30が形成されており、この環状溝30の内部に、環状の位置決めプレート6がその軸方向にスライド自在に且つ周方向に回転自在に配置されている。
【0015】
図2に示されるように、位置決めプレート6の周方向の所定位置には、ほぼ円弧状の切り欠き7が形成されており、この切り欠き7に、後述する調整部材8に設けられた円弧状の凸部9が係合されている。また、位置決めプレート6の周方向には、切り欠き7とは異なる位置に隙間形成部材10が配置されている。この隙間形成部材10は、位置決めプレート6の周方向に沿って例えば3箇所に互いに均等な間隔で配置されている。
【0016】
図3に示されるように、ピストン5は、その移動方向に対し側方すなわち径方向に張り出してディスク4と位置決めプレート6との間に位置する突出部11を有している。突出部11は、図示しないリターンスプリングにより第2ハウジング部Bに向かって付勢されている。図示しない油経路からピストン室に圧油を注入すると、ピストン5がリターンスプリングの付勢力に抗してディスク4に向かって移動し、複数の押圧プレート2及びディスク4を第1ハウジング部Aの受圧面12に対し押圧することにより、押圧プレート2とディスク4との間に摩擦力が生じて車輪が制動される。一方、ピストン室から圧油を排出すると、リターンスプリングの付勢力によりピストン5が第2ハウジング部Bに向かって移動してディスク4から離れ、その突出部11が位置決めプレート6に当接したところでピストン5は停止する。このように位置決めプレート6により、ピストン5の戻り位置が規定される、すなわちディスク4とピストン5との間に形成される隙間Gが規定される。
【0017】
第2ハウジング部Bには、この隙間Gを調整するための調整部材8が取り付けられている。この調整部材8は、第2ハウジング部Bを軸方向に沿って貫通する円柱状の軸部13を有しており、軸部13はその軸回りに回転自在に配置されている。軸部13の一端部は第2ハウジング部Bの内部に位置して第1ハウジング部Aに対向し、この一端部から軸部13の径方向に円弧状に突出するように凸部9が形成されて位置決めプレート6の切り欠き7に係合されている。一方、軸部13の他端部は第1ハウジング部Aとは反対側の第2ハウジング部Bの表面31から外部に突出している。この他端部に、固定ナット14を介してレバー15が軸部13に対して垂直に固定されており、レバー15は軸部13と一体に回転するように構成されている。レバー15は固定ボルト16により第2ハウジング部Bに固定することができる。
【0018】
図4に示されるように、レバー15は、軸部13の径方向に所定の形状に延在すると共に軸部13を中心に回転するように配置されている。また、レバー15には、軸部13を中心とした円弧状の長孔17が形成されている。固定ボルト16はこの長孔17に通されて、第2ハウジング部Bの表面31に形成されたネジ孔に締結されており、これにより第2ハウジング部Bに対するレバー15の回転位置が固定されている。
【0019】
また、図1及び4に示されるように、第2ハウジング部Bの表面31には、ハウジング1の軸方向に突出する突起部18が形成されている。突起部18には、この突起部18が設けられた第2ハウジング部Bの表面31に対して平行なネジ孔が貫通形成されている。この突起部18のネジ孔に規定ボルト19が螺合されており、規定ボルト19の基端部を操作して規定ボルト19をその軸回りに回転させることで規定ボルト19が突起部18に対して進退するように構成されている。
【0020】
また、規定ボルト19にはロックナット20が螺合されており、このロックナット20と突起部18のネジ孔とにより規定ボルト19を互いに締め合うダブルナット構造により、突起部18に対する規定ボルト19の進退位置を固定することができる。また、規定ボルト19の先端部は突起部18のネジ孔から突出して、レバー15の回転方向においてこのレバー15の端面21に当接しており、この規定ボルト19によりレバー15の回転位置が規定されている。
なお、レバー15の回転位置にかかわらず規定ボルト19の先端部とレバー15の端面21とが垂直に当接するように、レバー15の端面21は円弧形状を有している。
【0021】
図5(a)に示されるように、隙間形成部材10は、位置決めプレート6が収容された環状溝30の底面22に形成される半球形状の第1凹部23と、この底面22に対向する位置決めプレート6の表面に形成される第2凹部24と、これら第1凹部23及び第2凹部24の間に配置される球体25とを有している。第2凹部24は、半球の一部とこれに連続する傾斜面26とを有しており、図2に示されるように、ハウジング1の軸方向から見て滴状の全体形状を有している。
【0022】
次に、この発明の実施の形態1に係る湿式ブレーキの隙間調整機構の動作について説明する。湿式ブレーキのディスク4とピストン5との間に形成される隙間Gを調整する際には、まず、図示しないブレーキペダルを踏み込んでピストン室に圧油を注入することによりピストン5をディスク4に向かって移動させて位置決めプレート6から離した状態にする。次に、固定ボルト16を緩めてレバー15の第2ハウジング部Bに対する回転を可能にすると共に、ロックナット20を緩めて規定ボルト19のその軸回りの回転を可能にする。このとき、固定ボルト16を第2ハウジング部Bのネジ孔から取り外さないままで、レバー15を長孔17の長さに対応する角度範囲内で回転させることができる。
【0023】
この状態で、規定ボルト19をその軸回りに回転させて突起部18に対し前進させることにより、レバー15を軸部13を中心に図4の反時計回り方向に回転させると、レバー15と共に調整部材8の軸部13が回転することにより調整部材8の凸部9も軸部13を中心に回転し、この凸部9の回転により位置決めプレート6が環状溝30の内部で図2の時計回り方向に回転される。
【0024】
すなわち、位置決めプレート6が環状溝30の底面22に対してスライドすることにより、隙間形成部材10では、図5(a)に示されるように、環状溝30の底面22の凹部23に嵌合されている球体25が、位置決めプレート6の第2凹部24の球面に当接した状態から、図5(b)に示されるように、第2凹部24の傾斜面26に当接した状態になり、これにより環状溝30の底面22と位置決めプレート6との間に間隔dが形成されることとなる。したがって、この間隔dだけ位置決めプレート6が第1ハウジング部Aに向かって移動する、すなわちピストン5の戻り位置が第1ハウジング部Aに向かって移動し、その結果、ディスク4とピストン5との間に形成される隙間Gが間隔dだけ縮小されることとなる。
【0025】
一方、レバー15を軸部13を中心に図4の時計回り方向に回転することにより、ディスク4とピストン5との間の隙間Gを拡大させることができる。
以上のように、レバー15を回転させることにより、ディスク4とピストン5との間に形成される隙間Gを調整することができる。この隙間Gの大きさは、レバー15の回転位置に対応している。
【0026】
また、規定ボルト19の先端部にレバー15の端面21が当接されることにより、レバー15の回転位置が維持され、ディスク4とピストン5との間の隙間Gを所望の大きさに規定することができる。
また、このようにレバー15が規定ボルト19に当接することで、図4の時計回り方向にレバー15が回転する、すなわち、ディスク4とピストン5との間の隙間Gを拡大させる方向にレバー15が回転することを防止することができる。
【0027】
隙間調整の後に、ロックナット20と突起部18のネジ孔とにより規定ボルト19を締め合って規定ボルト19の軸回りの回転位置を固定することにより、規定ボルト19がその軸回りに回転して突起部18に対し進退することを防止することができる。
また、固定ボルト16を第2ハウジング部Bのネジ孔に締結することにより、固定ボルト16の基端部と第2ハウジング部Bの表面との間にレバー15の長孔17の縁部が挟持され、これにより、レバー15を所望の回転位置に固定することができる。
【0028】
このように、ロックナット20により規定ボルト19の進退位置を固定すると共に、固定ボルト16により直接にレバー15を第2ハウジング部Bに固定するため、レバー15の回転位置が2重にロックされることとなり、レバー15の回転位置を強固に固定することができる。
これにより、ディスク4とピストン5との間に形成される隙間Gを、調整された値に確実に保持することができる。したがって、ディスク4とピストン5との間の隙間Gが調整された値から変化してブレーキの効き遅れやブレーキの引きずり等の不具合を引き起こすことが防止される。
【0029】
また、仮にロックナット20に緩みが生じても、固定ボルト16によりレバー15の回転位置が固定されているため、ディスク4とピストン5との間の隙間Gを調整された値に保持できる。
また、仮に固定ボルト16に緩みが生じても、レバー15は規定ボルト19の先端部に当接していると共にロックナット20により規定ボルト19の突起部18に対する進退位置が固定されているため、ディスク4とピストン5との間の隙間Gが調整された値よりも小さくなる方向には動くことがあっても、隙間Gが調整された値よりも大きくなる方向へ動くことは防止されるため、固定ボルト16の緩みによってブレーキの効き遅れ等が生じるようになることはない。
【0030】
規定ボルト19をその軸回りに回転させて突起部18に対して規定ボルト19を進退させ、その進退量に応じた回転角度だけレバー15が回転されてディスク4とピストン5との間の隙間Gが調整されるため、隙間Gの調整を高精度に行って、ブレーキの効きやブレーキペダル踏み込み時のフィーリング等を最適なものに設定することができる。
また、レバー15の端面21は円弧形状を有し、レバー15の回転位置にかかわらず規定ボルト19の先端部とレバー15の端面21とが垂直に当接するため、規定ボルト19により容易にレバー15を押し進めて回転させることができ、また、隙間Gが大きくなる方向へのレバー15の回転を規定ボルト19により効果的に規制することができる。
【0031】
実施の形態2.
次に図6を参照して、この発明の実施の形態2に係る隙間調整機構を説明する。この隙間調整機構は、実施の形態1の隙間調整機構において、レバー15の長孔17に通された固定ボルト16によりレバー15の回転位置を固定する代わりに、レバー41の回転方向において規定ボルト19とは反対方向からレバー41に当接部材42を当接させることによりレバー41の回転位置を固定するものである。レバー41は、上述の実施の形態1と同様に、規定ボルト19に当接される部分に円弧形状の端面21を有している。
【0032】
当接部材42は、第2ハウジング部Bの表面31に平行に延びる平面部と、平面部の一端部からこの平面部に対して垂直に立設する垂直部とからなり、ほぼL字状の断面形状を有している。当接部材42の垂直部がレバー41に当接することにより、図6における反時計回り方向へのレバー41の回転が規制されている。当接部材42の平面部には長孔43が形成されており、この長孔43に固定ボルト44が通されて、第2ハウジング部Bの表面31に形成されたネジ孔に締結されることにより、当接部材42が第2ハウジング部Bに対して固定されている。なお、固定ボルト44を緩めることにより、固定ボルト44に対して当接部材42を長孔43の長さ分だけスライドさせることができる。
【0033】
このような構成を有する隙間調整機構では、レバー41の端面21を規定ボルト19の先端部に当接させてレバー41を所望の回転位置に規定すると共に、規定ボルト19とは反対側のレバー41の端面に当接部材42を当接させた状態で固定ボルト44を締結して当接部材42を第2ハウジング部Bに対して固定する。
規定ボルト19と当接部材42とによりレバー41の回転が両側から規制され、これによりレバー41を所望の回転位置に強固に固定することができる。したがって、上述の実施の形態1と同様に、ディスク4とピストン5との間に形成される隙間Gを、調整された値に確実に保持することができる。
【0034】
加えて、この実施の形態2では、レバー41に長孔を設ける必要がないため、レバー41の形状が単純であり、レバー41の製造が容易である。
【0035】
なお、上述の実施の形態1及び2では、レバー15及び41をそれぞれ図4及び6の反時計回り方向に回転すると、ディスク4とピストン5との間の隙間Gが縮小されるように構成されていたが、反対に、レバー15及び41をそれぞれ図4及び6の反時計回り方向に回転すると、ディスク4とピストン5との間の隙間Gが拡大されるように構成することもできる。
【0036】
また、実施の形態1及び2では、調整部材8の軸部13の回転に伴って、調整部材8の凸部9、位置決めプレート6、隙間形成部材10等を介して隙間Gが調整されるように構成されていたが、これに限定されるものではなく、この発明は、レバー15及び41に一体に固定された調整部材を回転させることによりディスク4とピストン5との間の隙間Gが調整される各種の機構に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】この発明の実施の形態1に係る隙間調整機構が装備された湿式ブレーキを示す断面図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る隙間調整機構が装備された湿式ブレーキを示す一部破断正面図である。
【図3】実施の形態1における調整部材近傍の構造を示す拡大断面図である。
【図4】実施の形態1におけるレバー近傍の構造を示す拡大正面図である。
【図5】実施の形態1における隙間形成部材を示す拡大断面図である。
【図6】実施の形態2におけるレバー近傍の構造を示す拡大正面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 ハウジング、2 押圧プレート、3 車軸部材、4 ディスク、5 ピストン、6 位置決めプレート、7 切り欠き、8 調整部材、9 凸部、10 隙間形成部材、11突出部、12 受圧面、13 軸部、14 固定ナット、15,41 レバー、16,44 固定ボルト、17,43 長孔、18 突起部、19 規定ボルト、20 ロックナット、21 端面、22 底面、23 第1凹部、24 第2凹部、25 球体、26 傾斜面、30 環状溝、31 表面、42 当接部材、A 第1ハウジング部、B 第2ハウジング部、G 隙間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿式ブレーキのハウジングに回転自在に取り付けられた調整部材を回転させることにより、湿式ブレーキのディスクとピストンとの間に形成される隙間が調整される湿式ブレーキの隙間調整機構において、
前記調整部材に固定されてこの調整部材と共に回転するレバーと、
前記ハウジングに形成されたネジ孔に螺合され且つその軸回りに回転されることにより前記ネジ孔に対して進退すると共に、その先端部が前記レバーの回転方向において前記レバーに当接することにより前記レバーの回転位置を規定する規定ボルトと、
前記ネジ孔に対する前記規定ボルトの進退位置を固定する規定ボルト固定部材と、
前記ハウジングに対する前記レバーの回転位置を固定するレバー固定部材と
を備えることを特徴とする湿式ブレーキの隙間調整機構。
【請求項2】
前記規定ボルトの先端部が前記レバーに当接することにより、前記ディスクと前記ピストンとの間に形成される隙間が大きくなる方向への前記レバー及び前記調整部材の回転が防止される請求項1に記載の湿式ブレーキの隙間調整機構。
【請求項3】
前記規定ボルト固定部材は、前記ネジ孔と共に前記規定ボルトを互いに締め合って前記ネジ孔に対する前記規定ボルトの進退位置を固定するロックナットである請求項1または2に記載の湿式ブレーキの隙間調整機構。
【請求項4】
前記レバーにはその回転方向に沿った長孔が形成され、前記レバー固定部材は、前記長孔に通されて前記レバーを前記ハウジングに固定する固定ボルトである請求項1〜3のいずれか一項に記載の湿式ブレーキの隙間調整機構。
【請求項5】
前記レバー固定部材は、長孔が形成されると共に前記レバーの回転方向において前記規定ボルトとは反対方向から前記レバーに当接する当接部材と、前記当接部材の長孔に通されて前記当接部材を前記ハウジングに固定する固定ボルトとからなる請求項1〜3のいずれか一項に記載の湿式ブレーキの隙間調整機構。
【請求項6】
前記湿式ブレーキのハウジング内に前記ディスク及び前記ピストンが収容され、前記調整部材の一端部が前記ハウジング内に挿入されると共に他端部が前記ハウジングの外部に配置され、前記レバーは前記調整部材の他端部に固定されている請求項1〜5のいずれか一項に記載の湿式ブレーキの隙間調整機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−133853(P2008−133853A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−318716(P2006−318716)
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【出願人】(000000516)曙ブレーキ工業株式会社 (621)
【Fターム(参考)】