説明

溶存ガス濃度の測定方法及び装置

【課題】 溶存ガスの濃度をシンプルな装置で簡便に測定できるようにする。
【解決手段】 下端に開口部34を有し上端部が閉塞された抽出容器32の天井部内面に、インジケータ33を取り付ける。測定対象液31の水面境界に、抽出容器32を、開口部34が所要量没水するように配置して、抽出容器32の容器内部に水面境界上方の気相を閉じ込めた状態にて、開口部34を測定対象液31により閉塞させる。抽出容器32内に閉じ込められた気相では、特定ガス31が気液平衡に達するようになるため、この気液平衡に達しているときに気相側に存在する特定ガスの気相濃度を、インジケータ33の変色状態から検出し、この検出結果より、気液平衡に達しているときの特定ガスの気相濃度と、液相側の溶存ガス濃度との相関関係に基づき、測定対象液31中に溶存している特定ガスの溶存ガス濃度を測定するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液相に溶存している特定ガスの溶存ガス濃度を、上記特定ガスが気液平衡に達しているときに気相側で検出される該特定ガスの気相濃度に基づいて測定する溶存ガス濃度の測定方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、内視鏡等の医療器具を殺菌消毒するための手法の一つとして、オゾンガスを液相中に溶存させてオゾン水を製造し、この製造されたオゾン水に、上記医療器具を浸漬させて殺菌消毒する手法が用いられている。かかる殺菌消毒手法において、上記オゾン水による殺菌作用を十分に得るためには、液相中に溶存しているオゾンガスの溶存ガス濃度を一定水準以上に保つ必要があり、このために、上記オゾン水を製造する現場、あるいは、上記オゾン水を用いて殺菌消毒を実施する現場では、オゾン水に溶存しているオゾンガスの濃度を測定することが必要とされる。
【0003】
上記オゾン水中に溶存しているオゾンガス濃度を測定する場合等のように、液相中に溶存している特定ガスの溶存ガス濃度を測定するための方法の一つとしては、上記特定ガスが溶存している試料液(測定対象液)に反応する物質の既知濃度の溶液、所謂標準液を用いた滴定等の化学分析が、広く一般に行われている。
【0004】
又、上記特定ガスが溶存している測定対象液では、液相中の溶存ガスが、時間の経過と共に、水面より気相側へ散気されて、上記特定ガスの気相中におけるガス濃度(以下、気相濃度という)は次第に増加する。この際、密閉された容器内においては、所定時間が経過すると、容器内の気相中に上記特定ガスが充満されることに伴い、液相から気相側へ散気するガスの量と、気相から液相側に溶存するガスの量が平衡となる、所謂気液平衡に達する。このように、気液平衡に達した条件の下では、液相中に溶存している特定ガスの溶存ガス濃度と、該特定ガスの気相濃度との間には、ヘンリーの法則に従う相関性が得られるようになる。このことから、上記特定ガスの液相中における溶存ガス濃度と、気相濃度は、容器内の液相の温度に依存するヘンリーの定数を用いた計算式により相互に換算することが可能となる。
【0005】
そのために、液相中に溶存している特定ガスの溶存ガス濃度を検出するための別の手法としては、上記原理を利用して、密閉された容器内にて特定ガスが気液平衡に達しているときの該特定ガスの気相濃度を検出することで、液相中の溶存ガス濃度を演算により求めるようにしたものが従来提案されている。
【0006】
すなわち、たとえば、図8に示す如く、特定ガスが溶存されている測定対象液1を、恒温槽2にて所定温度に加熱(調整)してから抽出槽3へ導き、この際、該抽出槽3の上部に、所要のヘッドスペース(空間部)4が形成されるようにすることにより、上記抽出槽3へ導かれた測定対象液1、すなわち、液相と、上記ヘッドスペース4に形成される気相との間で、上記特定ガスが近似的に気液平衡に達するようにし、この気液平衡に達したときに気相側に存在している特定ガス5を、キャリアガス6を用いて半導体式ガスセンサ7へ導いて、該半導体式ガスセンサ7により上記特定ガス5の気相濃度を検出させるようにする。しかる後、演算処理装置8にて、予め求めておいた上記所定温度条件下にて気液平衡に達するときの特定ガス5の液相中の溶存ガス濃度と、気相濃度との関係式を用いて、上記半導体式ガスセンサ7により検出される上記特定ガス5の気相濃度の検出値を基に、測定対象液1中に溶存している特定ガス5の溶存ガス濃度を算出するようにしたものが従来提案されている。又、上記恒温槽2において測定対象液1を加熱する際、一部の特定ガスでは変質する虞が生じると共に、測定するまでの時間のロスが応答遅れとなり誤差を生じさせる虞があることから、図9に示す如く、上記と同様の抽出槽3に、所定温度に調整するための恒温槽を経ることなく測定対象液1を導き、該抽出3内のヘッドスペース4内で気液平衡に達しているときの特定ガス5を、上記と同様にして、キャリアガス6を用いて半導体式ガスセンサ7に導いて気相濃度を検出させるようにする。しかる後、上記半導体式ガスセンサ7にて検出される上記特定ガス5の気相濃度の検出値を基に、演算処理装置8にて、特定ガス5が気液平衡に達しているときの液相中の溶存ガス濃度と、気相濃度との関係式を用いて、上記測定対象液1中に溶存している特定ガス5の溶存ガス濃度を算出させるときに、上記抽出槽3に温度検出端9aが配設してある温度検出機構9にて検出された抽出槽3内の測定対象液1の温度、すなわち、液相の温度の検出値を用いて、上述したように液相の温度に依存するヘンリーの定数の変化と、上記半導体式ガスセンサ7における湿度の影響を、予め、濃度と温度が既知の試料液を用いて求めてある試料液の温度と上記ガスセンサ7の出力の間に成立する関数関係で補正(温度補償)して、上記測定対象液1中における特定ガス5の溶存ガス濃度を算出するようにすることも提案されている(たとえば、特許文献1参照)。なお、図8及び図9における符号10は半導体式ガスセンサ7の検出信号を増幅するための増幅器、11は上記増幅器10にて増幅された検出信号をA/D変換して上記演算処理装置8へ送るためのA/D変換器である。又、図9における符号12は温度検出機構9の検出信号をA/D変換して上記演算処理装置7へ送るためのA/D変換器である。
【0007】
ところで、たとえば、ヨウ化カリウム澱粉紙が微量の酸化剤に触れると青色を呈する性質のように、特定のガスに暴露すると反応して変色する指示薬の性質を利用して、気相中におけるガス濃度を簡単に測定することができるようにしたインジケータが従来提案されている。
【0008】
かかるインジケータとしては、たとえば、図10(イ)(ロ)に示す如く、細長形状としてあるヨウ化カリウム澱粉紙の如き指示紙13を、該指示紙13よりも一回り大きい長尺形状に形成してあるオゾンガスの如き特定ガスの通過を阻止する材料製の透明フィルム14の上側に載置し、更に、その上側に、上記透明フィルム14と同様の材料及び形状とすると共に、長手方向一端部を手で除去できるようにしてなる透明フィルム15を載置して、該各フィルム14,15と指示紙13とを積層して貼り付けてなり、上記透明フィルム15の一端部を除去することにより、上記指示紙13の長手方向の一端部を、暴露部13aとして外気に触れさせることができるようにした構成のものが提案されている。かかる構成としてあることにより、上記インジケータの使用時に上記透明フィルム15の一部を除去して上記暴露部13aをオゾンガスの雰囲気内に曝すと、上記指示紙13における上下の透明フィルム14,15の間に保持されている部分が、暴露部13a側より進入するオゾンガスに次第に暴露されるようになるため、該指示紙13は、暴露部13a側となる長手方向の一端側より他端側へ向けて順次変色させられるようになる。この際生じる変色域の長さは、オゾンガスの暴露量に依存し、該暴露量は濃度の時間積分値(CT値)に依存するため、上記指示紙13における変色域の長さを読み取ることにより、気相中のオゾンガスの濃度を検知できるようになる(たとえば、特許文献2参照)。
【0009】
又、気相中の特定ガスの濃度測定をより高感度で行えるようにし、しかも指示薬層の変色域を明瞭にするための水の補給を不要にできるようにするためのインジケータとして、たとえば、図11(イ)(ロ)に示す如く、一端が開口した細長い袋状の透明部材16の内側に、上記特定ガスと反応して変色するヨウ化カリウム及び水分を保持するシリカゲルからなる指示薬層17と、上記特定ガスを徐々に拡散させるためのろ紙の如き拡散層18とを、長手方向の全長に亘り積層状態で設けてなる構成としたものも従来提案されている。かかる構成としてあるインジケータによれば、上記特定ガスを含んだ雰囲気に曝すと、該特定ガスが、上記透明部材16内に一端側の開口から進入して、上記拡散層18を通して他端側へ向けて徐々に拡散され、この拡散層18を一端側より他端側へ順に拡散される過程で上記指示薬層17と接触するようになる。このため、上記指示薬層17が、上記特定ガスの拡散層18内における拡散速度に応じて一端側より他端側へ順次変色させられるようになることから、上記と同様に、指示薬層17の変色域の長さに応じて高感度で特定ガスの暴露量を検知できて、CT値高精度型のインジケータとなる(たとえば、特許文献3参照)。
【0010】
更に、気相中において、より低濃度のガスの有無の検出を行なうことができるようにすると共に、ガスのCT値をより明確に計測できるようにするためのインジケータとして、図12(イ)(ロ)に示す如く、細長い板状としてあるガスインジケータ本体19の内部に、一端側が開口する通路20を長手方向に沿って形成して、検知すべき特定ガスを上記一端側開口から通路20内に導入できるようにし、且つ上記通路20の内底部には、上記特定ガスと反応して変色する図11(イ)(ロ)に示したと同様の指示薬層17を長手方向に沿って設け、更に、ガスインジケータ本体19における通路20の天井部に、上記指示薬層17を外部から観察するための窓21を設け、更に、上記通路20の一端側開口の外側位置に、所定の面積の開口部22を形成して設けて、インジケータ本体19を特定ガス雰囲気中においたときに該特定ガスが上記開口部22にて露出される指示薬層17aに直ちに接触できるようにした構成としたものも従来提案されている。かかる構成を有していることより、該インジケータによれば、上記開口部22に設けられた指示薬層17aは特定ガス雰囲気中では直ちに暴露されて変色させられ、一方、通路20内に設けられた指示薬層17は、該通路20内を一端側開口より他端側へ順に拡散される特定ガスによって順次暴露されて変色させられるようになるため、特定ガスが低濃度の場合であっても上記開口部22に位置する指示薬層17aの変色の有無により該特定ガスの有無を直ちに検出できると共に、上記通路20内の指示薬層17が変色する場合には、変色域の長さに基づいて上記特定ガスのガス濃度をCT値を用いて精度よく求めることができるようにしてある(たとえば、特許文献4参照)。
【0011】
更に、上記気相中のガス濃度を検出するためのインジケータと同様に、特定のガスに暴露すると反応して変色する指示薬の性質を利用して、液相中の溶存ガスの濃度を測定できるようにしたインジケータも従来提案されている。
【0012】
図13は、上記液相中の溶存ガス濃度の測定に用いるインジケータの一例の概略を示すもので、直方体型の有定筒体状として一端側のガス導入口24より内部にオゾンガスの如き特定ガスを導入できるようにしてなる透明なケース23内に、該ケース23内に導入された特定ガスの濃度を変色により表示するガス濃度表示手段25として、たとえば、特定ガスに反応して変色する指示薬層26と、上記一端側のガス導入口24よりケース23内に進入する特定ガスを他端側へ徐々に拡散させるための空間である拡散層27とからなるガス濃度表示手段25を、長手方向に延びるよう設け、更に、上記ガス導入口24を、ガスのみを透過する機能性膜28で塞いでなる構成としてある。かかる構成としてあることにより、該溶存ガス濃度測定用のインジケータを、特定ガスが溶存されている水中に所定時間沈めると、特定ガスが上記ガス導入口24の機能性膜28を透過してケース23内に導入される。該ケース23内に導入された特定ガスは、拡散層27内を、上記ガス導入口24側となる一端側より他端側へ徐々に拡散してケース23内にて均一に分散されるようになる過程で、上記指示薬層26の指示薬と順次反応して、該指示薬層26をガス導入口24に近い側から順次変色させるようになる。この変色域の面積は、上述した気相中のガス濃度検出用のインジケータと同様に、特定ガスのCT値に応じていることから、液相中の溶存ガスの濃度を高精度に検知することができるようになる。
【0013】
又、図14に示す如く、角型皿状に形成したケース29内に、反応するガス濃度が異なる複数種類の指示薬液セル30を区画して並べたり、あるいは、上記角型皿状のケース29の内底部に、上記指示薬液セル30に代えて、反応するガス濃度が異なる指示薬シートを区画して並べ、これら指示薬液セル又は指示薬シートを覆うように、上記ケース29の上端開口部を、ガスのみを透過する機能性膜28により塞いでなる構成とし、これにより、ガスへの露出時間をより短くさせることができるようにすると共に、どの区画の指示薬液セル30又は指示薬シートまでが変色されるかを判断することにより、より簡易的にガス濃度を検知できるようにした簡易判断型のものも提案されている(たとえば、特許文献5参照)。
【0014】
【特許文献1】特開平6−258269号公報
【特許文献2】特開平7−49342号公報
【特許文献3】特開平7−72137号公報
【特許文献4】特開平8−122318号公報
【特許文献5】特開平11−125625号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところが、液相中に溶存している特定ガスの溶存ガス濃度を、滴定により測定する場合には、操作が煩雑であると共に、作業者に高い技術が要求されるという問題がある。
【0016】
特許文献1に記載されているように、抽出槽3内が近似的に気液平衡の条件下にあるときの気相側における特定ガス5の気相濃度を半導体ガスセンサ7で検出し、この検出された特定ガス5の気相濃度から、ヘンリーの法則を利用して、液相中の溶存ガスの濃度を演算して求める手法では、装置が複雑化して小型化が難しいという問題があり、又、抽出槽3内の気相に存在する特定ガスを上記半導体ガスセンサ7へ導くために、キャリアガス6を別途必要とするという問題もある。
【0017】
なお、特許文献2、特許文献3及び特許文献4に記載されているものは、特定ガスに暴露すると反応して変色する指示薬の性質を利用して、該特定ガスの濃度を測定できるようにしてあるインジケータであるが、これらは、いずれも気相中のガス濃度を測定するためのものであって、そのまま液相中の溶存ガスの濃度の測定に適用できるものではない。
【0018】
又、特許文献5に記載されているものは、液相中の溶存ガスの濃度を測定するためのインジケータであるが、気液平衡の条件下における気相中のガス濃度を測定することで、液相中の溶存ガスの濃度を求める考えは示されておらず、示唆すらされるものではない。
【0019】
そこで、本発明は、液相中の溶存ガス濃度を、複雑な装置や高度な技術を要することなく測定できる溶存ガス濃度の測定方法及び装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に係る発明に対応して、特定ガスを溶存してなる測定対象液の水面境界の所要領域の上方を覆う抽出容器内に、該水面境界上の気相を閉じ込めて、該抽出容器内に閉じ込められた気相と上記測定対象液の間にて、上記特定ガスが気液平衡に達するようにし、該気液平衡に達したときの気相内における上記特定ガスの気相濃度を、特定ガスの濃度に依存して変色状態が変化するインジケータにより検出すると共に、該インジケータにて検出される特定ガスの気相濃度を基に、上記測定対象液中における特定ガスの溶存ガス濃度を測定する溶存ガス濃度の測定方法とする。
【0021】
又、上記請求項1の方法における抽出容器を、下端に開口部を有し且つ上端が閉塞されてなる容器とし、該抽出容器を、測定対象液の水面境界に、下端開口部が所要量没水するよう配置して、上記測定対象液により下端開口部が閉塞される抽出容器内にて気相を閉じ込める方法とする。
【0022】
更に、請求項3に係る発明に対応して、抽出容器の内部に所要レベルまで特定ガスを溶存してなる測定対象液を注入して蓋をすることにより、上記測定対象液の水面境界上の気相を閉じ込めて、該抽出容器内に閉じ込められた気相と上記測定対象液の間にて、上記特定ガスが気液平衡に達するようにし、該気液平衡に達したときの気相内における上記特定ガスの気相濃度を、特定ガスの濃度に依存して変色状態が変化するインジケータにより検出すると共に、該インジケータにて検出される特定ガスの気相濃度を基に、上記測定対象液中における特定ガスの溶存ガス濃度を測定する方法とする。
【0023】
又、請求項4に係る発明に対応して、特定ガスを溶存してなる測定対象液の水面境界の所要領域に、該水面境界上の気相を閉じ込めるように上方より抽出容器を配置し、且つ該抽出容器の上端部内側に、上記特定ガスの気相濃度に依存して変色状態が変化するインジケータを取り付けてなる溶存ガス濃度の測定装置とする。
【0024】
更に、上記構成における抽出容器を、下端に開口部を有し且つ上端が閉塞されてなる筒状構造とし、該抽出容器を、測定対象液の水面境界に、内部に気相を閉じ込めることができるように下端開口部が所要量没水するよう配置する構成とする。
【0025】
又、上記構成における抽出容器を、上下方向の筒状の容器本体と、該容器本体の上端部を閉塞させる着脱自在な蓋とからなる構成とし、且つ該蓋の内面にインジケータを着脱自在に保持させるようにした構成とする。
【0026】
上述した各構成における抽出容器を、該抽出容器内に閉じ込められる気相による浮力と重量とのバランスにより水面境界にて浮遊できるようにした構成とする。
【0027】
又、請求項8に係る発明に対応して、上端に開口部を有し且つ下端を閉塞させて特定ガスを溶存してなる測定対象液を注入できるようにした筒状の容器本体と、該容器本体の上端開口部を閉塞させる着脱自在な蓋とからなる抽出容器における上記蓋の内面に、上記特定ガスの気相濃度に依存して変色状態が変化するインジケータを着脱自在に保持させてなる溶存ガス濃度の測定装置とする。
【0028】
更に、上記構成において、抽出容器の容器本体の蓋の内面に、インジケータを着脱自在に保持させることに代えて、容器本体の上端開口部に、通気性を備えたインジケータ保持体を設けて、該インジケータ保持体の上側にインジケータを載置させるようにした構成とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、次の如き優れた効果を発揮する。
(1)特定ガスを溶存してなる測定対象液の水面境界の所要領域の上方を覆う抽出容器内に、該水面境界上の気相を閉じ込めて、該抽出容器内に閉じ込められた気相と上記測定対象液の間にて、上記特定ガスが気液平衡に達するようにし、該気液平衡に達したときの上記特定ガスの気相濃度を、特定ガスの濃度に依存して変色状態が変化するインジケータにより検出すると共に、該インジケータにて検出される特定ガスの気相濃度を基に、上記測定対象液中における特定ガスの溶存ガス濃度を測定する溶存ガス濃度の測定方法及び装置としてあるので、高度な技術を要することなく容易に測定対象液中の特定ガスの溶存ガス濃度を測定することができると共に、装置構成をシンプルなものとして小型化を容易に図ることが可能になる。
(2)上記(1)の構成において、抽出容器を、下端に開口部を有し且つ上端が閉塞されてなる容器とし、該抽出容器を、測定対象液の水面境界に、下端開口部が所要量没水するよう配置して、上記測定対象液により下端開口部が閉塞される抽出容器内にて気相を閉じ込めるようにしたり、抽出容器を、下端に開口部を有し且つ上端が閉塞されてなる筒状構造とし、該抽出容器を、測定対象液の水面境界に、下端開口部が所要量没水するよう配置して、上記測定対象液にて下端開口部が閉塞される抽出容器内に気相を閉じ込めることができるようにした構成とすることにより、測定対象液の水面境界に配置することで容易に気相を閉じ込めることができるものとすることができる。
(3)又、抽出容器を、上下方向の筒状の容器本体と、該容器本体の上端部を閉塞させる着脱自在な蓋とからなる構成とし、且つ該蓋の内面にインジケータを着脱自在に保持させるようにした構成とすることにより、インジケータの交換作業を容易なものとすることができる。
(4)更に、抽出容器を、該抽出容器内に閉じ込められる気相による浮力と重量とのバランスにより水面境界にて浮遊できるようにした構成とすることにより、測定対象液を溜める貯留槽内における測定対象液の大幅な変動にも容易に対応可能なものとすることができる。
(5)抽出容器の内部に所要レベルまで特定ガスを溶存してなる測定対象液を注入して蓋をすることにより、上記測定対象液の水面境界上の気相を閉じ込めて、該抽出容器内に閉じ込められた気相と上記測定対象液の間にて、上記特定ガスが気液平衡に達するようにし、該気液平衡に達したときの上記特定ガスの気相濃度を、特定ガスの濃度に依存して変色状態が変化するインジケータにより検出すると共に、該インジケータにて検出される特定ガスの気相濃度を基に、上記測定対象液中における特定ガスの溶存ガス濃度を測定する溶存ガス濃度の測定方法、及び、上端に開口部を有して特定ガスを溶存してなる測定対象液を注入できるようにした筒状の容器本体と、該容器本体の上端開口部を閉塞させる蓋とからなる抽出容器における上記蓋の内面に、上記インジケータを着脱自在に保持させてなる溶存ガス濃度の測定装置とことにより、携帯が容易となると共に、場所を選ばず測定対象液中の特定ガスの溶存ガス濃度を測定することができるようになる。又、測定対象液を溜めるための貯留槽を要することなく測定対象液の溶存ガス濃度の測定を行なうことができるため、流れている測定対象液であっても、その一部を採取して上記抽出容器内へ注入することにより、溶存ガス濃度の測定を行うことができる。
(6)又、抽出容器の蓋の内面に、インジケータを着脱自在に保持させることに代えて、抽出容器の容器本体の上端開口部に、通気性を備えたインジケータ保持体を設けて、該インジケータ保持体の上側にインジケータを載置させるようにした構成とすることにより、インジケータは、容器本体より蓋を取り外した状態とすれば、該容器本体の上端開口部に設けてあるインジケータ保持体の上側で容易に着脱できるため、インジケータの交換作業をより容易なものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
【0031】
図1乃至図3(イ)(ロ)は、本発明の溶存ガス濃度の測定方法及び装置の実施の一形態を示すもので、溶存ガス濃度を測定すべき特定ガスが溶存されている測定対象液31が貯留されている貯留槽37の内側に、抽出容器32を下向きに配置して、たとえば、支持部材38により固定する。上記貯留槽37内に、溶存ガス濃度を測定すべき特定ガスが溶存されている測定対象液31を貯留して、その水面境界(気液界面)に、上記抽出容器32の下端部を没水させ、上記水面境界の所要領域において該抽出容器32内の空間に所要量の気体が閉じ込められ気相を形成することができるようにする。更に、上記抽出容器32の上端部内側に、上記特定ガスに暴露させると反応して変色すると共に、この変色により気相中の上記特定ガスの濃度(気相濃度)を検知できるようにしてあるインジケータ33を備えてなる構成として、上記抽出容器32内に閉じ込められている気相と、液相である測定対象液31との間にて、上記特定ガスが気液平衡に達しているときに上記抽出容器32内の気相に存在する特定ガスの気相濃度を、上記インジケータ33により検出できるようにする。
【0032】
詳述すると、上記抽出容器32は、上下方向に所要寸法延びる筒状として上端が閉塞し、且つ下端に開口部34を備えた形状としてある。更に具体的には、上記抽出容器32は、上下方向に延びる筒状(図では円筒状)の容器本体35と、該容器本体35の上端部に着脱自在に取り付けて容器本体35の上端部を閉塞させることができるようにしてある蓋36とからなる構成としてある。なお、上記蓋36の容器本体35への取り付けは、着脱自在に取り付けることができるようにしてあれば、容器本体35と蓋36に、互いに螺合するねじ部(図示せず)を設けて、両者を螺着させるようにしたり、あるいは、容器本体35と蓋36に互いに係合させるための突部や凹部等の係合部を設けておいて、両者の係合部を係合させるようにする等、任意の取付形式を採用してよい。
【0033】
上記構成としてある抽出容器32は、測定対象液31を貯留するための貯留槽37の内側に、図1に示す如く、該貯留槽37に所定のレベルまで測定対象液31を注入すると該測定対象液31の水面に上記抽出容器32の下端開口部34が所要量没水するような高さ位置に配置すると共に、容器本体35を、上記貯留槽37の所要位置、たとえば、上記貯留槽37の一側壁の内面に、支持部材38を介し取り付けて固定支持させるようにしてある。これにより、上記貯留槽37に所定のレベルまで測定対象液31を注入すると、該測定対象液31の水面境界に、上記抽出容器32の下端の開口部34が所要量没水させられ、該抽出容器32の内部に気相が閉じ込められた状態で、上記開口部34が測定対象液31によって閉塞させられるようにしてあり、このように測定対象液31により開口部34が閉塞された抽出容器32内に閉じ込められた気相に対し、測定対象液31中に溶存している特定ガスが散気されることによって、該抽出容器32内にて、特定ガスが気液平衡に達するようにしてある。なお、この抽出容器32内に閉じ込められた気相にて、上記特定ガスが速やかに気液平衡に達することができるようにするために、上記抽出容器32は、後述するように、蓋36の内面にインジケータ33を取り付けるスペースを確保できるような断面積、及び、該蓋36の内面に取り付けるインジケータ33が、貯留槽37内に注入する測定対象液31が多少動揺したとしても該測定対象液31によって濡れないような高さ位置に保持できるようにするための高さ寸法を備えた範囲内において、できるだけ内部容積を小さくするほうが好ましい。
【0034】
上記抽出容器32の天井部を形成する蓋36は、内面に、特定ガスに反応して変色できるようにしてあるインジケータ33を着脱自在に取り付けるようにしてある。更に、上記蓋36の内面に取り付けるインジケータ33の変色状態を外部から観察できるようにするために、上記蓋36におけるインジケータ33の取付位置と対応する個所には、透明な窓39が形成してある。なお、上記蓋36の内面に着脱自在に取り付けるインジケータ33は、上記窓39を通したインジケータ33の観察に支障が生じないようにしてあれば、蓋36の内面側の所要個所に係合用の部材(図示せず)を突設して、該係合用の部材に、インジケータ33の外周部所要個所を係合させて保持させるようにしたり、蓋36の内面に、インジケータ33の外周部を離脱可能な粘着部材を介して貼り付ける等、任意の取付形式を採用してよい。
【0035】
上記インジケータ33は、図2(イ)(ロ)に示す如き簡易判断型のもの、あるいは、図3(イ)(ロ)に示す如きCT値高精度型のものを使用するようにしてある。
【0036】
すなわち、図2(イ)(ロ)に示す如き簡易判断型のインジケータ33aは、裏面側を上記抽出容器32の蓋36の内面への取付側としてある角型皿状の透明なケース40内に、図14に示したインジケータと同様に、特定ガスに暴露させると反応して変色する指示薬を、それぞれ変色するガス濃度が異なるように保持させて形成してなる複数の指示薬層(指示薬シート)41、たとえば、特定ガスと反応して変色するガス濃度が5段階に異なる指示薬層41を、区画して並べた構成としてある。これにより、上記ケース40の裏面側を抽出容器32の蓋36の内面に取り付けた状態にて、上記各区画の指示薬層41の表面側を、一斉に抽出容器32内で特定ガスが気液平衡に達しているときの気相に対して所要時間暴露させ、この暴露により上記簡易判断型インジケータ33aにおけるどの区画の指示薬層41までが変色されるかを観察して判断することにより、該抽出容器32内で気液平衡に達しているときの上記特定ガスの気相濃度を検出することができるようにしてある。
【0037】
なお、実際には、貯留槽37への測定対象液31の注入に伴って、抽出容器32に気相が閉じ込められた状態で開口部34が上記測定対象液31により閉塞される時点から、抽出容器32内の気相に対し上記開口部34を通して測定対象液31より特定ガスが散気されて、該抽出容器32内が気液平衡に達するまでには、多少のタイムラグが生じるが、このタイムラグを考慮して、上記簡易判断型インジケータ33aの各指示薬層41を抽出容器32内の気相に暴露させる所要時間を設定しておくようにすればよい。
【0038】
又、図3(イ)(ロ)に示す如きCT値高精度型のインジケータ33bは、細長い角筒状として一端に開口部43を備え且つ他端を閉塞させた透明なケース42を備え、上記と同様の指示薬を全体に均等に保持させた指示薬層(指示薬シート)41と、上記特定ガスを徐々に拡散させるためのろ紙あるいは空間からなる拡散層44とを、上記指示薬層41が、上記ケース42における抽出容器32の蓋36への取付面側となる裏面寄りに配されるようにした積層状態として、上記ケース42内に長手方向の全長に亘り収納して設けた構成としてある。更に、上記ケース42の裏面には、一端開口部43より指示薬層41に沿って目盛り(図示せず)を付すようにしてもよい。上記ケース42の裏面側を抽出容器32の蓋36の内面に取り付けた状態にて、抽出容器32内で特定ガスが気液平衡に達しているときの気相に対して所要時間暴露させることにより、上記特定ガスが開口部43よりケース42内に進入した後、拡散層44を開口部43のある一端側より他端側へ徐々に拡散できるようにし、この拡散層44にて拡散される特定ガスとの接触により変色する上記指示薬層41の変色域の長さ(面積)を上記目盛りを基準として検出し、図10(イ)(ロ)、図11(イ)(ロ)及び図12(イ)(ロ)に示した如き従来のCT値高精度型のインジケータと同様に、上記検出される変色域の長さが上記特定ガスのCT値(濃度の時間積分値)に応じていることに基づいて、上記抽出容器32内にて気液平衡に達しているときの上記特定ガスの気相濃度を検出することができるようにしてある。
【0039】
なお、上記したように、実際には、貯留槽37へ測定対象液31を注入するときに上記抽出容器32の開口部34が上記測定対象液31により閉塞されて抽出容器32に気相が閉じ込められる時点から、抽出容器32内の気相に特定ガスが散気して気液平衡に達するまでには、多少のタイムラグが生じるが、上記CT値高精度型のインジケータ33bの指示薬層41の変色域の長さを計測するまでの所要の暴露時間を、上記抽出容器32内が気液平衡に達するまでのタイムラグを考慮した暴露時間として、CT値に基づいた特定ガスの気相濃度の検出を行うようにするか、あるいは、上記CT値高精度型のインジケータ33bにおける拡散層44として、特定ガスの拡散速度が遅い拡散層44を採用して、該拡散層44を特定ガスが拡散されて指示薬層41の変色域が一端側より他端側へ進行するために要する時間が、上記抽出容器32内が気液平衡に達するまでに要するタイムラグよりも十分大きくなるように設定し、これにより、上記タイムラグを近似的に無視できるようにすればよい。
【0040】
上記指示薬層41に用いる指示薬としては、たとえば、溶存ガス濃度の測定対象となる特定ガスがオゾンガスの場合には、インジゴカルミン等のインジゴ系染料からなる指示薬や、ヨウ化カリウム澱粉を使用すればよい。又、特定ガスがアクリロニトリルの場合には、酸化クロムの還元を利用した橙色から黒緑色への呈色反応を示す指示薬、特定ガスがアセチレンの場合には、モリブデン酸塩が還元されてモリブデン青を生成する淡黄色から褐青色への呈色反応を示す指示薬、特定ガスがアセトンの場合には、酸化クロムの還元を利用した橙色からこげ茶色への呈色反応を示す指示薬、特定ガスが亜硫酸ガスの場合には、重クロム酸塩の還元を利用した黄色から青色への呈色反応を示す指示薬、特定ガスが一酸化炭素の場合には、五酸化ヨウ素の還元を利用した白色から茶褐色への呈色反応を示す指示薬、特定ガスがエタノールの場合には、重クロム酸塩の還元を利用した黄橙色から薄緑色への呈色反応を示す指示薬、特定ガスがエチレンの場合には、モリブデン酸塩が還元されてモリブデン青を生成する淡黄色から青色への呈色反応を示す指示薬、特定ガスが塩素の場合には、オルトトリジンが酸化されて黄色ホロキノンを生成する白色から黄橙色への呈色反応を示す指示薬、特定ガスがキシレンの場合には、五酸化ヨウ素と反応してヨウ素を遊離する白色から褐色への呈色反応を示す指示薬、特定ガスが二酸化窒素の場合には、オルトトリジンと反応しニトロソオルトトリジンを生成する白色から淡緑橙色への呈色反応を示す指示薬、特定ガスが二硫化炭素の場合には、酸化剤で分解して亜硫酸ガスを発生させ、この亜硫酸ガスがテトラベース(染料)を漂白する反応に伴う青紫色から白色への呈色反応を示す指示薬、特定ガスがプロパンの場合には、重クロム酸カリウムの還元を利用した黄橙色から褐色への呈色反応を示す指示薬、特定ガスがホルムアルデヒドの場合には、芳香族化合物と反応して脱水縮重合物を生成する白色から橙褐色への呈色反応を示す指示薬、特定ガスが塩素イオンを含むガスである場合には、クロム酸銀と反応して塩化銀を生成する茶色から白色への呈色反応を示す指示薬をそれぞれ用いる等、溶存ガス濃度を測定すべき特定ガスの性状に応じた指示薬を適宜選択して用いるようにすればよい。
【0041】
以上のような構成としてある本発明の溶存ガス濃度の測定装置を用いて測定対象液31中に溶存している特定ガスの溶存ガス濃度を測定する場合は、蓋36の内側に、溶存ガス濃度を測定すべき特定ガスに対応する指示薬の指示薬層41を備えた上記簡易判断型、あるいは、CT値高精度型としてなるインジケータ33を、所望する測定精度に応じて取り付けると共に、該インジケータ33を取り付けた蓋36を、貯留槽37内に固定支持させてある容器本体35へ取り付けて、上端部の閉塞した抽出容器32とさせておく。この状態にて、上記貯留槽37に、上記特定ガスが溶存されている測定対象液31を所定レベルまで注入して、上記抽出容器32の下端開口部34を水面下に所要量没水させるようにする。これにより、上記抽出容器32の開口部34は、測定対象液31により閉塞されて、気相の一部が該抽出容器32内に閉じ込められる。該閉じ込められた気相では、測定対象液31より上記特定ガスが散気されることから、該抽出容器32内が気液平衡に達する。この気液平衡に達した抽出容器32内では、気相に存在する上記特定ガスと、上記インジケータ33の指示薬が反応し、指示薬層41が変色されるようになることから、上記インジケータ33として図2(イ)(ロ)に示した如き簡易判断型のインジケータ33を使用している場合には、所要の暴露時間の経過後に、どの区画の指示薬層41までが変色されたかを、抽出容器32の蓋36の透明な窓39を通し観察して、抽出容器32内の上記特定ガスの気相濃度を検出する。この場合、たとえば、予め、上記特定ガスの溶存ガス濃度が既知の標準液を用いて作成してある抽出容器32内の気相濃度に基づいた上記簡易判断型インジケータ33aの変色状態と、液相側の溶存ガス濃度との関係を対応させてなる色見本と、実際に変色した上記インジケータ33の指示薬層41の変色状態とを対比することにより、上記測定対象液31中における上記特定ガスの溶存ガス濃度を求めるようにする。
【0042】
一方、上記インジケータ33として、CT値高精度型のインジケータ33bを用いている場合には、上記と同様に所要の暴露時間が経過した後、指示薬層41の変色域の長さを、ケース42の裏面側に設けてある目盛りを基準として、抽出容器32の蓋36の透明な窓39越しに検知し、CT値に対応している該検知された変色域の長さより、抽出容器32内の上記特定ガスの気相濃度を検出する。この場合、たとえば、予め、上記特定ガスの溶存ガス濃度が既知の標準液を用いて作成してある抽出容器32内の気相濃度に基づいたCT値高精度型のインジケータ33bにおける変色域の長さと、液相側の溶存ガス濃度との関係を対応させることができるようにしてある検量線を用いて、上記測定対象液31中における上記特定ガスの溶存ガス濃度を求めるようにする。
【0043】
なお、上記抽出容器32内に閉じ込められた気相と、測定対象液31の液相との間で、ヘンリーの法則に基づいて上記特定ガスが気液平衡に達する際、ヘンリーの定数が温度依存性を有していることに伴って、上記抽出容器32内の気相側に散気されている上記特定ガスの気相濃度は、液相である測定対象液31の温度に依存して変化することとなるが、この場合は、異なる温度条件下における簡易判断型インジケータ33aの色見本や、異なる温度条件下におけるCT値高精度型インジケータ33b用の検量線を予め用意しておき、測定対象液31の溶存ガス濃度の測定を行うときに、上記貯留槽37に設けた図示しない温度検出器により上記測定対象液31の温度を計測すると共に、該計測された温度に対応する温度条件下で作成した上記簡易判断型インジケータ33aの色見本や、CT値高精度型インジケータ33b用の検量線を用いて、上記と同様にしてインジケータ33の変色状態から、測定対象液31の溶存ガス濃度を求めるようにすればよい。
【0044】
このように、本発明の溶存ガス濃度の測定方法及び装置によれば、貯留槽37に測定対象液31を注入した後、所定の暴露時間経過後に、上記貯留槽37に取り付けた抽出容器32内に予めセットしてあるインジケータ33の変色状態を観察することにより、該抽出容器32内が気液平衡に達しているときの特定ガスの気相濃度を基にして、上記貯留槽37に注入された測定対象液31中の特定ガスの溶存ガス濃度を簡便に測定することができる。又、装置としては、測定対象液31の水面境界に配置するための抽出容器32と、該抽出容器32内に取り付けるインジケータ33があればよいため、キャリアガスを要することはなく、装置構成を簡単なものとすることができて小型化を図ることが容易にできるようになる。
【0045】
更に、上記抽出容器32は、抽出槽37に固定されている容器本体35に対して蓋36を着脱自在に取り付けることができるようにした構成としてあると共に、該蓋36の内面に上記インジケータ33を着脱自在に取り付けるようにしてあることから、インジケータ33の交換に伴う取り付け、取り外し作業を容易に行なうことができて、使用済のインジケータ33を新たなインジケータ33と交換することにより、繰り返して使用することが可能になる。
【0046】
次に、図4は本発明の実施の他の形態を示すもので、図1乃至図3(イ)(ロ)と同様の構成において、下端に開口部34を有し且つ天井部内面にインジケータ33を取り付けるようにしてある抽出容器32を、貯留槽37の一側壁の内面に支持部材38を介し取り付けた固定式のものとすることに代えて、上記と同様に、下端に開口部34を有し且つ天井部内面にインジケータ33を取り付けるようにしてある抽出容器32aを浮遊式のものとして、該抽出容器32aが、貯留槽37に注入される測定対象液31の水面境界に、内部に所要の気相を閉じ込めた状態で浮遊できるようにしたもので、以下のような構成としてある。
【0047】
すなわち、上記抽出容器32aは、下端に開口部34を備え、且つ上端部が閉塞した上下方向に延びる円筒状としてあり、且つ上記開口部34の周囲にウエイト45を取り付けてなる構成としてある。
【0048】
上記ウエイト45は、該ウエイト45、上記抽出容器32a及び該抽出容器32aに取り付けられるインジケータ33の重量と、抽出容器32a内に閉じ込められる気相によって得られる浮力とのバランスにより、抽出容器32aが、貯留槽37に注入される測定対象液31の水面境界を上下方向に貫通するような姿勢で浮揚できるような重量に設定してある。
【0049】
更に、図4に二点鎖線で示す如く、上記抽出容器32aの下部における側壁面の所定位置に、抽出容器32a内の下端部に測定対象液31を導き入れて、該抽出容器32a内における水面の高さ位置を調節して、水面境界にて浮遊する抽出容器32aの上下方向の重量バランスを調整するための調整孔46を設けるようにしてもよい。
【0050】
その他の構成は図1乃至図3(イ)(ロ)に示したものと同様であり、同一のものには同一符号が付してある。
【0051】
この実施の形態において、特定ガスの溶存ガス濃度の測定を行う場合には、先ず、抽出容器32aの天井部内面に、上記特定ガスに対応した指示薬の指示薬層41を用いてなる簡易判断型、あるいは、CT値高精度型のインジケータ33を取り付けて、該抽出容器32aを、貯留槽37の内底面に、開口部34が下になるような姿勢で載置しておき、次いで、上記貯留槽37に、測定対象液31を注入させるようにする。これにより、貯留槽37内に、注入される測定対象液31が溜まって水面が上昇するようになると、該貯留槽37の内底部に置かれている上記抽出容器32aの下端の開口部34が測定対象液31によって閉塞されることになり、該抽出容器32aの内部には、気相が閉じ込められるようになる。その後、更に上記貯留槽37に測定対象液31が注入されて水面レベルが上昇すると、上記抽出容器32a内に閉じ込められた気相による浮力が増大し、上記貯留槽37内の測定対象液31の水位が所要レベルに達した時点で、抽出容器32a、ウエイト45、インジケータ33の重量と、該抽出容器32a内に閉じ込められる気相による浮力がバランスして、図4に示す如く、抽出容器32aが、測定対象液31の水面境界にて浮遊することとなる。
【0052】
この測定対象液31の水面境界に浮遊した状態の抽出容器32aでは、図1乃至図3(イ)(ロ)に示した実施の形態における抽出容器32と同様に、下端開口部34が測定対象液31によって閉塞されて、該抽出容器32a内に気相が閉じ込められた状態となるため、所要時間経過すると、該抽出容器32a内にて、特定ガスが気液平衡に達する。したがって、この気液平衡に達したときに抽出容器32a内の気相に存在する上記特定ガスの気相濃度を、図1乃至図3(イ)(ロ)に示した実施の形態と同様の手順により、抽出容器32aの天井部内面に取り付けてある上記インジケータ33の変色状態を観察することで検出すると共に、上記測定対象液31中に溶存している特定ガスの溶存ガス濃度を測定するようにする。
【0053】
したがって、本実施の形態によっても、図1乃至図3(イ)(ロ)に示した実施の形態と同様の効果を得られる。更に、抽出容器32aを浮遊式としてあるため、抽出槽37内における測定対象液31の水面レベルが大幅に変動するような場合であっても容易に対応することができると共に、測定対象液31が貯留される様々な槽に容易に適用することができる。
【0054】
次いで、図5は本発明の実施の更に他の形態として、図4の実施の形態の応用例を示すもので、図4に示す如く、浮遊式の抽出容器32aを、下端開口部34の周囲にウエイト45を取り付けて、該抽出容器32aが、上記ウエイト45、抽出容器32a及び該抽出容器32aに取り付けられるインジケータ33の重量と、抽出容器32a内に閉じ込められる気相によって得られる浮力とのバランスにより、貯留槽37に注入される測定対象液31の水面境界を上下方向に貫通するような姿勢で浮揚できるようにしてある構成に代えて、抽出容器32aの下端開口部34の周囲に、フロート47を全周に亘り装着してなる構成として、該フロート47の浮力により、上記抽出容器32aが測定対象液31の水面境界の上側に浮遊できるようにすると共に、抽出容器32aの下端部が僅かに没水しているようにして、該抽出容器32aの下端開口部34を、測定対象液31で閉塞させて、該抽出容器32a内部に、気相を閉じ込めることができるようにしたものである。
【0055】
上記フロート47は、測定対象液31や測定すべき特定ガスに侵されない材質製のものとしてあれば、抽出容器32a全体が測定対象液31の水面境界の上側に浮遊できるようにするための大きな浮力が得られるように、たとえば、発泡樹脂等を用いるようにすればよい。
【0056】
その他の構成は図4に示したものと同様であり、同一のものには同一符号が付してある。
【0057】
本発明の実施の形態の溶存ガス濃度の測定装置によっても、図4に示した実施の形態と同様に、貯留槽37の内底面に予め載置した後、該貯留槽37に測定対象液31を注入することにより、上記抽出容器32aを、測定対象液31の水面境界に浮遊状態で配置できると共に、抽出容器32a内に気相を閉じ込めた状態で該抽出容器32aの下端開口部34を、測定対象液31で閉塞させることができることから、該抽出容器32a内で、特定ガスが気液平衡に達するようにさせることができる。したがって、本実施の形態によっても、上記図4に示したと同様に測定対象液31中の特定ガスの溶存ガス濃度を測定することができる。
【0058】
更に、図6は本発明の実施の更に他の形態を示すもので、図1乃至図3(イ)(ロ)に示した実施の形態において、抽出容器32を、貯留槽37に注入される測定対象液31の水面境界の一部分を上方より覆うようにすることに代えて、内部に所要量の測定対象液31を注入して保持することができるようにしてある抽出容器48としたものである。すなわち、上記抽出容器48は、上下方向に延びる角筒状として上端に開口部50を有し且つ下端部に閉塞した底部を有する容器本体49と、該容器本体49の上端部に着脱自在に装着して上記容器本体49の上端開口部50を閉塞させることができるようにしてある蓋51とからなる構成としてあり、上記容器本体49内には、所要量の測定対象液31を注入した状態で直立させることができるようにしてある。又、上記抽出容器48の天井部内面となる上記蓋51の内面には、図1乃至図3(イ)(ロ)に示した実施の形態における抽出容器32の蓋36と同様に、図2(イ)(ロ)に示す如き簡易判断型インジケータ33a、あるいは、図3(イ)(ロ)に示す如きCT値高精度型インジケータ33bの如きインジケータ33を、着脱自在に取り付けるようにしてある。更に、該蓋51の内面に取り付けた上記インジケータ33の変色状態を外部から観察できるようにするために、蓋51の全体又は一部を透明な材料で形成してある。
【0059】
なお、上記容器本体48は、内部に注入する測定対象液31を外部から観察できるように、全体又は一部を透明な材料により形成してある。又、該容器本体48の外側面における所定高さ位置には、内部に測定必要量の測定対象液31を注入するための目盛り52を刻設するようにしてある。なお、該目盛りは、比較的高い位置に設定して、該目盛り52まで容器本体49内に測定対象液31を注入した後、蓋51により該容器本体49の上端開口部50を閉じるときに、抽出容器48内にて上記測定対象液31の水面境界よりも上側に閉じ込められる気相の容積をなるべく小さくさせるようにすることが、該気相側へ測定対象液31より散気される特定ガスを速やかに気液平衡に達するようにさせるという観点、並びに、該気液平衡に達するまで抽出容器48内の測定対象液31から上記気相側へ特定ガスが散気した場合であっても、該測定対象液31中における特定ガスの溶存ガス濃度の変化を小さく抑えるという観点からは好ましい。
【0060】
上記容器本体49における上部の外周面部には、該容器本体49の上端側の外形が一回り細くなるよう段差部53が設けてある。一方、上記蓋51は、上記容器本体49の段差部53に対応した内側形状と、上記容器本体49の下部側と同様の外部形状を備えてなるものとして、該蓋51を上記容器本体49の段差部53に嵌合させるようにして装着することにより、該装着された蓋51と、容器本体49の外面が面一になるようにしてある。
【0061】
図6に示す実施の形態において、測定対象液31中における特定ガスの溶存ガスの濃度を測定する場合は、先ず、溶存ガス濃度の測定を所望する特定ガスに対応した指示薬の指示薬層41(図2(イ)(ロ)及び図3(イ)(ロ)参照)を用いたインジケータ33を、所望する測定精度に応じて、簡易判断型あるいはCT値高精度型のものを適宜選択して蓋51の内面に取り付けておく。次に、測定対象液31を、容器本体49内に、目盛り52の位置まで注入し、次いで、上記インジケータ33を取り付けてある蓋51を、上記容器本体49の上端開口部50を閉塞させるよう取り付けて、抽出容器48内の上部に、測定対象液31の水面境界の上方にて、抽出容器48内に閉じ込められた気相を形成させるようにする。該抽出容器48内に閉じ込められた気相では、所要時間経過すると、特定ガスが気液平衡に達するようになることから、この気液平衡に達したときに抽出容器48内の気相に存在する上記特定ガスの気相濃度を、図1乃至図3(イ)(ロ)に示した実施の形態と同様の手順により、抽出容器48の天井部内面に取り付けてある上記インジケータ33の変色状態を観察することで検出すると共に、上記測定対象液31中に溶存している特定ガスの溶存ガス濃度を測定するようにする。
【0062】
これにより、本実施の形態によっても、図1乃至図3(イ)(ロ)に示した実施の形態と同様に、簡便な方法及びシンプルな装置構成により、測定対象液31中の特定ガスの溶存ガス濃度を測定できる。更に、持ち運びや携帯が容易となるため、場所を選ばず測定対象液31の溶存ガス濃度の測定を行うことができるようになる。更には、測定対象液31を溜めるための図1に示した如き貯留槽37を不要にできるため、流れている測定対象液31であっても、該測定対象液31を一部採取して上記抽出容器内へ注入するようにすれば、溶存ガス濃度の検出を行なうことができるようになる。
【0063】
図7は本発明の実施の更に他の形態として、図6の実施の形態の応用例を示すもので、図6に示す如く、内部に所要量の測定対象液31を注入して保持することができるようにしてある抽出容器48の容器本体49の上端開口部50を閉塞させる蓋51の内面に、インジケータ33を着脱自在に取り付けるようにしてある構成に代えて、上記抽出容器48における容器本体49の上端開口部50に、通気性を備えている、たとえば、網状あるいは格子状構造としてあるインジケータ保持体54を設けて、該インジケータ保持体54の上側に、図2(イ)(ロ)に示す如き簡易判断型インジケータ33a、あるいは、図3(イ)(ロ)に示す如きCT値高精度型インジケータ33bの如きインジケータ33を、図7に二点鎖線で示す如く載置できるようにし、且つ蓋51により、容器本体49の上端開口部50を、上記インジケータ保持体54及び該インジケータ保持体54上のインジケータ33とともに上方より覆って閉塞させることができるようにしたものである。
【0064】
上記インジケータ保持体54は、容器本体49への測定対象液31の注入、排出に支障が生じないような液体の透過性を備えていれば、容器本体49の開口部50に固定した構成としてもよく、あるいは、容器本体49の開口部50の周縁に、インジケータ保持体54の外周縁部を載置する等、該開口部50に着脱自在に取り付けることができるようにした構成として、容器本体49への測定対象液31の注入、排出時には取り外すようにしてもよい。
【0065】
その他の構成は図6に示したものと同様であり、同一のものには同一符号が付してある。
【0066】
図7に示した実施の形態において、測定対象液31中における特定ガスの溶存ガスの濃度を測定する場合は、先ず、抽出容器48の容器本体49内へ、図6に示した実施の形態と同様に、目盛り52の位置まで測定対象液31を注入した後、容器本体49の上端開口部50に設けてあるインジケータ保持体54上に、溶存ガス濃度の測定を所望する特定ガスに対応した指示薬の指示薬層41(図2(イ)(ロ)及び図3(イ)(ロ)参照)を用いた簡易判断型あるいはCT値高精度型のインジケータ33を載置する。次に、蓋51を、上記インジケータ33を上方より覆うようにして容器本体49の上端開口部50に取り付けて、該開口部50を閉塞させることにより、抽出容器48内の上部に、測定対象液31の水面境界の上方にて、抽出容器48内に閉じ込められた気相を形成させるようにする。これにより、図6に示した実施の形態と同様にして測定対象液31中の特定ガスの溶存ガス濃度を測定できて、図6に示した実施の形態と同様の効果を得ることができる。更に、インジケータ33は、抽出容器48の容器本体49の上端開口部50に設けたインジケータ保持体54の上に載置した後、容器本体49に蓋51を装着するのみで、抽出容器48内へセットでき、一方、容器本体49より蓋51を取り外した後、該容器本体50の上端開口部50のインジケータ保持体54上より取り除くことで取外し作業を行うことができるため、インジケータ33の着脱をより容易に行うことができて、インジケータ33の交換作業をより容易なものとすることができる。
【0067】
なお、本発明は、上記実施の形態のみに限定されるものではなく、インジケータ33の指示薬層41に用いる指示薬は、溶存ガス濃度を測定すべき特定ガスと反応して変色(呈色反応)するものであれば、例示した指示薬以外のものを適宜選定して用いるようにしてもよい。又、図2(イ)(ロ)に示した簡易判断型のインジケータ33aは、異なるガス濃度の特定ガスに反応して変色する指示薬層41を、2乃至4区画、あるいは、6区画以上設けるようにしてもよく、更には、各区画は、一列に並んだ配列以外の配置としてもよい。図3(イ)(ロ)に示したCT値高精度型のインジケータ33bは、一端に設けた開口部43より他端側へ徐々に特定ガスを拡散させながら、該特定ガスの拡散に応じて変色する指示薬層41を備えて、変色域の長さが特定ガスのCT値に対応するようにしてあれば、図3(イ)(ロ)に示した透明なケース42の形状や、拡散層44等を、適宜変更するようにしてもよい。
【0068】
図1乃至図3(イ)(ロ)の実施の形態、図4の実施の形態、及び、図5の実施の形態における抽出容器32,32aは、上端が閉塞し、且つ下端に開口部34を備えた筒状の中空構造とすると共に、天井部内面に、インジケータ33を取り付けるためのスペースが確保できれば、断面形状を楕円形や矩形状とする等、円筒状でなくてもよい。又、該抽出容器32,32aの天井部に設けた窓39の部分だけでなく、該抽出容器32,32a全体を透明にしたり、あるいは、図1乃至図3(イ)(ロ)の実施の形態においては、抽出容器32の蓋36を透明な部材としてもよい。
【0069】
図4の実施の形態、及び、図5の実施の形態における浮遊型の抽出容器32aを、図1乃至図3(イ)(ロ)に示した実施の形態と同様に、上下方向の筒状の容器本体と、該容器本体の上端部を閉塞させるための着脱自在な蓋とからなる構成として、該蓋の内面に、インジケータ33を取り付けるようにしてもよい。この場合、抽出容器32aに取り付けてある使用済のインジケータ33を新たなインジケータ33に取り替えるための脱着作業をより容易にすることが期待できる。
【0070】
図1乃至図3(イ)(ロ)の実施の形態においては、抽出容器32は、貯留槽37の一側壁内面に支持部材38を介して固定支持させるものとして示したが、上記抽出容器32を貯留槽37内に注入される測定対象液31の水面境界に配置できれば、固定する対象はいかなるものであってもよい。又、上記抽出容器32を、支持部材38に対して上下方向にスライド可能に取り付けてなる構成として、貯留槽37内に注入すべき測定対象液31の量が変化するときに、該抽出容器32の下端の開口部34の位置を、貯留槽37内における上記測定対象液31の水面レベルの位置に応じて上下方向に位置を調節できるようにしてもよい。更に、抽出容器32を、天井部が閉塞された筒状の一体物として、該抽出容器32自体を、支持部材38に対し着脱自在に取り付けた構成としてもよい。
【0071】
図7の実施の形態におけるインジケータ保持体54は、上側にインジケータ33を載置でき、且つ容器本体49の上端開口部50を蓋51にて閉塞させることにより、抽出容器48内の上部の気相にて特定ガスが気液平衡に達するときに、上記蓋51とインジケータ保持体54との間の上記インジケータ33が配置されている空間においても、上記と同様に特定ガスが気液平衡に達することができるような通気性を備えた構造としてあれば、多数の通気孔を穿設した板状部材とする等、網状あるいは格子状構造以外の任意の構造のものを採用できること、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の溶存ガス濃度の測定方法及び装置の実施の一形態を示す概略切断側面図である。
【図2】図1の装置にて、インジケータとして簡易判断型のインジケータを採用した状態を示すもので、(イ)は拡大平面図、(ロ)は(イ)のA−A方向矢視図である。
【図3】図1の装置にて、インジケータとしてCT値高精度型のインジケータを採用した状態を示すもので、(イ)は拡大平面図、(ロ)は(イ)のB−B方向矢視図である。
【図4】本発明の実施の他の形態を示す概略切断側面図である。
【図5】本発明の実施の更に他の形態として、図4の応用例を示す概略切断側面図である。
【図6】本発明の実施の更に他の形態を示すもので、抽出容器の容器本体より蓋を取り外した状態を示す概略斜視図である。
【図7】本発明の実施の更に他の形態として、図6の応用例を示すもので、要部を拡大して示す斜視図である。
【図8】従来提案されている溶存ガス濃度の測定装置の一例を示す概要図である。
【図9】従来提案されている溶存ガス濃度の測定装置の別の例を示す概要図である。
【図10】従来提案されている気相中のガス濃度を測定するためのインジケータの一例を示すもので(イ)は概略平面図、(ロ)は概略切断側面図である。
【図11】従来提案されている気相中のガス濃度を測定するためのインジケータの他の例を示すもので(イ)は概略平面図、(ロ)は概略切断側面図である。
【図12】従来提案されている気相中のガス濃度を測定するためのインジケータの更に他の例を示すもので(イ)は概略平面図、(ロ)は概略切断側面図である。
【図13】従来提案されている液体中の溶存ガス濃度を測定するためのインジケータの一例として、CT値高精度型のインジケータを示す概略切断側面図である。
【図14】従来提案されている液体中の溶存ガス濃度を測定するためのインジケータの他の例として、簡易判断型のインジケータを示す概略切断側面図である。
【符号の説明】
【0073】
31 測定対象液
32,32a 抽出容器
33,33a,33b インジケータ
34 開口部
35 容器本体
36 蓋
48 抽出容器
49 容器本体
50 蓋
54 インジケータ保持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定ガスを溶存してなる測定対象液の水面境界の所要領域の上方を覆う抽出容器内に、該水面境界上の気相を閉じ込めて、該抽出容器内に閉じ込められた気相と上記測定対象液の間にて、上記特定ガスが気液平衡に達するようにし、該気液平衡に達したときの気相内における上記特定ガスの気相濃度を、特定ガスの濃度に依存して変色状態が変化するインジケータにより検出すると共に、該インジケータにて検出される特定ガスの気相濃度を基に、上記測定対象液中における特定ガスの溶存ガス濃度を測定することを特徴とする溶存ガス濃度の測定方法。
【請求項2】
抽出容器を、下端に開口部を有し且つ上端が閉塞されてなる容器とし、該抽出容器を、測定対象液の水面境界に、下端開口部が所要量没水するよう配置して、上記測定対象液により下端開口部が閉塞される抽出容器内にて気相を閉じ込めるようにする請求項1記載の溶存ガス濃度の測定方法。
【請求項3】
抽出容器の内部に所要レベルまで特定ガスを溶存してなる測定対象液を注入して蓋をすることにより、上記測定対象液の水面境界上の気相を閉じ込めて、該抽出容器内に閉じ込められた気相と上記測定対象液の間にて、上記特定ガスが気液平衡に達するようにし、該気液平衡に達したときの気相内における上記特定ガスの気相濃度を、特定ガスの濃度に依存して変色状態が変化するインジケータにより検出すると共に、該インジケータにて検出される特定ガスの気相濃度を基に、上記測定対象液中における特定ガスの溶存ガス濃度を測定することを特徴とする溶存ガス濃度の測定方法。
【請求項4】
特定ガスを溶存してなる測定対象液の水面境界の所要領域に、該水面境界上の気相を閉じ込めるように上方より抽出容器を配置し、且つ該抽出容器の上端部内側に、上記特定ガスの気相濃度に依存して変色状態が変化するインジケータを取り付けてなる構成を有することを特徴とする溶存ガス濃度の測定装置。
【請求項5】
抽出容器を、下端に開口部を有し且つ上端が閉塞されてなる筒状構造とし、該抽出容器を、測定対象液の水面境界に、内部に気相を閉じ込めることができるように下端開口部が所要量没水するよう配置するようにした請求項4記載の溶存ガス濃度の測定装置。
【請求項6】
抽出容器を、上下方向の筒状の容器本体と、該容器本体の上端部を閉塞させる着脱自在な蓋とからなる構成とし、且つ該蓋の内面にインジケータを着脱自在に保持させるようにした請求項5記載の溶存ガス濃度の測定装置。
【請求項7】
抽出容器を、該抽出容器内に閉じ込められる気相による浮力と重量とのバランスにより水面境界にて浮遊できるようにした請求項4、5又は6記載の溶存ガス濃度の測定装置。
【請求項8】
上端に開口部を有し且つ下端を閉塞させて特定ガスを溶存してなる測定対象液を注入できるようにした筒状の容器本体と、該容器本体の上端開口部を閉塞させる着脱自在な蓋とからなる抽出容器における上記蓋の内面に、上記特定ガスの気相濃度に依存して変色状態が変化するインジケータを着脱自在に保持させてなる構成を有することを特徴とする溶存ガス濃度の測定装置。
【請求項9】
抽出容器の容器本体の蓋の内面に、インジケータを着脱自在に保持させることに代えて、容器本体の上端開口部に、通気性を備えたインジケータ保持体を設けて、該インジケータ保持体の上側にインジケータを載置させるようにした請求項8記載の溶存ガス濃度の測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−138653(P2006−138653A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−326236(P2004−326236)
【出願日】平成16年11月10日(2004.11.10)
【出願人】(000000099)石川島播磨重工業株式会社 (5,014)
【出願人】(000198330)石川島芝浦機械株式会社 (74)
【Fターム(参考)】