説明

溶存水素センサ

【課題】 圧電基板の表面付近にエネルギーを集中させて伝搬する水平せん断型表面弾性波の伝搬経路上に水素吸蔵合金の中でも、吸蔵する際に違った挙動を示す結晶材料とアモルファス材料、金属ガラス材料を使用することによって、質量の変化、体積の膨張による応力、水素化物の生成による機械的強度の変化を前記水平せん断型表面弾性波の伝搬特性の変化に着目して、高感度で計測できる溶存水素センサを提供するものである。
【解決手段】 水平せん断型表面弾性波(SH−SAW)4をSH−SAW圧電デバイス5の表面に発生させ、且つ、前記SH−SAW4の伝搬経路31上に水素吸蔵合金6を成膜し、この水素吸蔵合金6を成膜するための膜材と湿潤環境や溶存水素溶液13中の水素12の相互反応物質を前記SH−SAW4の伝搬特性変化を通して測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面弾性波(SAW)の伝搬経路上に水素吸蔵合金を成膜し、合金が水素を吸蔵した際に発生する質量の変化、体積の膨張による応力、水素化物の生成による機械的強度の変化をSAWの伝搬特性の変化に着目して高感度で測定可能とする溶存水素センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、工学および医学分野において利用されている超音波は、水中あるいは固体中を伝わる弾性波動(バルク波)が主体である。これに対し、弾性体の表面付近にエネルギーを集中させて伝搬する表面弾性波(SAW)も近年、電子・通信機器用素子として活用され、この方面の進展に重要な役割を受け持つに至っている。
【0003】
このようなSAWを利用したデバイスの機能発現の基本となっている関連技術の一つに圧電効果がある。この圧電効果は、ひずみまたは応力を加えると電荷が誘起され(順効果)、逆に電圧を加えると歪または応力が生ずる(逆効果)現象を総称して圧電効果(piezoelectric effect)といい、歴史的には電気石について順効果がキュリー兄弟(J.Curie,P.Curie,1880)により発見され、翌年リップマン(G.Lippmann)によって逆効果が見出されている。結晶が圧電効果を示すか否かは、結晶の点群対称性によって決まり、32晶族のうち圧電効果を示すものは20晶族である。
【0004】
上記圧電効果を利用した電気機械変換素子(圧電素子)は、現在の超音波応用部品の主流となっている。圧電素子には単結晶として水晶,ロッシェル塩(酒石酸カリソーダ),LiTaO3,LiNbO3など、また、多結晶体としてチタン酸バリウム(BaTiO3),ジルコチタン酸鉛(PbZrO3,PbTiO3),ニオブ酸塩などが代表的なものである。圧電振動子は、電極を有する圧電体をその全体または一部分に用いて構成された一つの弾性振動体であり、それ自体の弾性振動を圧電変換により電気的に励振、検出する機能をもっている。
【0005】
表面弾性波とは、媒質の表面付近のみにエネルギーが集中して伝搬する音波であり、その波動現象は、1885年にイギリスのLord Rayleighが半無限の固体表面を伝わる波として理論的に導いた。表面弾性波には様々な種類があるがここでは、代表的なレイリー波とSH波(BGS波)について記述する。
【0006】
レイリー波は1885年にLord Rayleighによって発見された表面弾性波である。この表面弾性波は、半無限弾性体の自由表面(十分に厚い板の表面)に沿って伝搬する。波のエネルギーは表面近くに集中しており、表面から深さ1波長以内に90%以上が含まれている。また非圧電媒質の場合、変位部分は波の進行方向と深さ方向だけを持ち、両者の成分の位相差は90°であるため、各点は楕円軌道を描く。レイリー波においては周波数に無関係にいつも一定である。このように速度が一定であることを速度分散性がない(nondispersive)というが、これはレイリー波の大きな特徴である。また、等方体の場合と同じように、異方性媒質である圧電媒質の表面にもレイリー波が伝搬するが、一般にはすべての変位成分を持つ。ただし、速度が周波数特性を持たないのは同じである。
【0007】
SH波(BGS波)は、1969年にBleustein-Gulyaev-Shimizuによって発見された表面弾性波である。非圧電媒質では、進行方向に垂直な方向には表面弾性波(SH波)は存在しないが、圧電媒質は異方性であるために、その表面にエネルギーを集中して伝搬する純粋な横波が存在する。この波の特徴として、レイリー波同様速度分散性がなく、電気機械結合係数が大きいほど表面へのエネルギー集中度は高くなる等が挙げられる。図1に水平せん断型表面弾性波(SH−SAW)の変位分布を示す。SH波は六方晶系6mm圧電結晶や圧電セラミックスのc軸または分極軸に平行な面を有する基板などに存在する。また、圧電基板2における粒子の変位方向が基板表面に対して平行な水平方向せん断成分1をもつため水分・粘性液体中でも、表面弾性波の減衰が比較的少なく、液体識別、水計測、2種混合溶液の評価、液体自動計測装置等の液中での応用等が考えられる。
【0008】
圧電基板を伝搬する表面弾性波の伝搬特性には、伝搬速度v,電気機械結合係数K2,遅延時間温度係数TCD,パワーフロー角PFAなどの値がある。表面弾性波を利用したSAWデバイスの特性は、用いる圧電基板に大きく依存する。そこで、より優れた圧電基板に要求される特性を列挙すると次のようになる。
(1)電気機械結合係数(K2)が大きいこと。
(2)温度特性(TCD)が良いこと。
(3)スプリアス応答が小さいこと。
(4)パワーフロー角(PFA)が零であること。
(5)伝搬損失が小さいこと。
【0009】
電気機械結合係数は、電気エネルギーから表面波エネルギーへの変換効率を示す値である。TCDは、表面波の速度あるいは遅延時間の温度による変動係数を示す。スプリアス応答は、不用振動モードにより、減衰量が劣化してしまう現象のことである。パワーフロー角は櫛型電極に表面弾性波が励振されたときに、伝搬する位相速度の方向と群速度の方向の違いを表す角度である。なお、伝搬速度vが速ければ高周波用に有利であり、遅ければ遅延線用に有利である。
【0010】
上記圧電効果及び表面弾性波を応用したSAWデバイスは、近年の携帯電話に代表される移動体通信市場の急速な拡大と共に、それら移動体通信端末に用いられるデバイスの技術的革新に寄与している。このようなSAWデバイスは、移動体通信端末の小型化、高機能化を実現するためのキーパーツの1つと目され、主にRF及びIF段の帯域通過フィルタとして用いられ、フォトリソグラフィプロセスによって作製されるために、微細加工が可能であり、現在では数GHz帯でも実用化されている。
【非特許文献1】Multi-functionalSurface Acoustic Wave Sensor for Monitoring Environmental and StructuralCondition 、Y.Furuya, T. Kon T. Okazaki, Y. Saigusa and T.Nomura,On-line Proc. SPIE.vol.6170, 61700Q(2006) Q1-Q11
【非特許文献2】古屋、岡崎、野村、今、三枝、金属76-12(2006)pp.1286-1291
【非特許文献3】T.Nomura,A.Saitoh,Wireless acoustic wave sensor system,2002
【非特許文献4】Marc D.Schlensog,Thomas M.A. Gronewold, Michael Tewes,Michael Famulok, Eckhard Quandt:BIOSENSOR(2003)
【非特許文献5】持立克身、独立行政法人国立環境研究所、WO2004/085606
【非特許文献6】今大健、弘前大学大学院前期課程(修士)論文(2006)
【非特許文献7】柴山乾夫、弾性波素子技術ハンドブック、1991
【非特許文献8】‘金属ガラスと水素’,山浦真一,木村久道,井上明久,金属 Vol.75 (2005) No.1
【非特許文献9】‘Thermodynamics of hydrogen absorption in amorphous Zr-Ni alloys.’,K. Aoki, M. Kamachi and T. Masumoto, J. Non- Cryst. Sol., 61-62 (1984), 679
【非特許文献10】‘Hydrogen absorption and corresponding changes in structure andthermal stability of Zr60Al10Ni30 amorphousalloy.’, X. G. Li, T. Otahara, S.Takahashi, T. Shoji, H. M. Kimura and A.Inoue, J. Alloy. Comp., 297(2000), 303
【非特許文献11】‘Hydrogen absorption and desorption behavior of Zr-based amorphousalloys with a large structurally relaxed amorphous region.’, T. Shoji and A.Inoue, J. Alloy. Comp., 292(1999), 275
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来の溶存水素センシングにおいては、唯一、隔膜型ポーラログラフ方式が実用化されている。しかし、本方式の溶存水素センサは非常に高価であり、構造的にもセンサ部の内部液、隔膜等の交換メンテナンスを要する。また、センシング原理により電極の極面が消耗することは避けられない。さらに、アルカリイオン整水器等の家庭用電気器具に搭載するにはサイズの面からも課題が残る。このような現状であるため、安価・省メンテナンス・小型化を備えた新規の溶存水素センサの創出が望まれるのが現状である。
【0012】
溶存水素センシング・評価技法は、水溶液中で測定しなくてはならない、しかし、表面弾性波(以下、SAWという)にレイリー波を選択した場合、変位部分にと深さ方向(縦波)を持っているので溶液中でSAWが大きく減衰することが考えられる。よって、SAWの減衰量がすくない表面波を選択する必要がある。
【0013】
圧電基板は、圧電材料自体の温度係数によって、温度変化に対して敏感に反応してしまう傾向がある。しかし、SAW伝搬経路上に水素吸蔵合金を成膜し、SAWを計測するに当たって、計測中の温度を一定に保っていても、僅かではあってもSAWに影響を与える温度変化が起こることが想定される。この温度変化による信号変化を抑える必要がある。
【0014】
本発明では、圧電基板の表面付近にエネルギーを集中させて伝搬する水平せん断型表面弾性波の伝搬経路上に水素吸蔵合金の中でも、吸蔵する際に違った挙動を示す結晶材料とアモルファス材料、金属ガラス材料を使用することによって、質量の変化、体積の膨張による応力、水素化物の生成による機械的強度の変化を前記水平せん断型表面弾性波の伝搬特性の変化に着目して、高感度で計測できる溶存水素センサを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の溶存水素センサは、圧電基板に接合させた櫛型電極(IDT)からなる素子に高周波電流を流し、その圧電基板の表面に水平せん断型表面弾性波(SH−SAW)を発生させ、伝搬経路上の水素吸蔵合金の質量の変化、体積の膨張による応力、水素化物の生成による機械的強度の変化をSH−SAW伝搬特性により、溶存水素濃度を検出することを特徴とする。
【0016】
本発明の溶存水素センサは、伝搬する表面弾性波(SAW)成分が、水溶液中の伝搬損失の少ない完全水平せん断成分(Shear-Horizontal)からなり、圧電基板上に成膜した水素吸蔵合金が水素を吸蔵した際の水素吸蔵合金の質量の変化、体積の膨張による応力、水素化物の生成による機械的強度の変化から溶存水素濃度検出すべく、SH−SAW伝搬特性の検出感度を向上させたことを特徴とする。
【0017】
圧電基板に接合させたIDTからなる素子(デバイス)を2チャンネル化することで、1チャンネルを温度や溶液質量による受信信号変化を補正し、もう1チャンネルの水素吸蔵による変化の信号受信を同時に抽出することによって、検出感度を向上させたことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の溶存水素センサのSH−SAW伝搬経路上に、吸蔵する際に違った挙動をしめす結晶材料とアモルファス材料、金属ガラスなどの水素吸蔵合金を成膜することによって、溶存水素濃度に対する測定感度を向上させ、検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
表面弾性波の伝搬経路に結晶材料とアモルファス材料、金属ガラスの水素吸蔵合金を成膜し、且つ完全水平せん断成分からなるSH−SAWを用いることで水溶液中での測定が可能となり、水素吸蔵合金が水素を吸蔵した際の水素吸蔵合金の質量の変化、体積の膨張による応力、水素化物の生成による機械的強度の変化などの変化をSH−SAWを用いて計測・評価することによって溶存水素濃度を計測することができる。
【0020】
SH−SAWを発生させる圧電基板上に設置した複数のIDTのパラメータセンシングを可能するように設計する。また、測定用チャンネルでSH−SAW伝搬経路上に水素吸蔵合金を成膜した後、その水素吸蔵合金に水素を吸蔵させる。その際にSH−SAWの変化を捉えることで、同時に複数の要因による圧電基板上で溶存水素濃度の影響を計測することが可能になる。
【0021】
計測手段は、電極間に電圧を印加して振動子を発振する発振回路、もしくは振動子のインピーダンスを計測するインピーダンス計測回路を含み、振動子の共振周波数、もしくはインピーダンスを計測する。水素の吸蔵および放出に伴う結晶材料とアモルファス合金、金属ガラスの力学的物性の変化(形状変化、体積変化、質量変化、粘弾性変化等)に応じて、振動子の共振周波数もしくはインピーダンスが変化する。この振動子の共振周波数もしくはインピーダンスの変化を計測手段によって計測することで水素ガスの有無および/または水素ガス濃度を検出することができる。また、微小の質量変化に対して1ヘルツ程度の周波数変化となるため、電気信号の周波数の変化を計測することで水素ガスの有無や濃度変化を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
圧電基板と櫛型電極(IDT)から構成された水平せん断型表面弾性波(SH−SAW)圧電デバイスは、微細加工技術(MEMS)の発達によって小型化が可能になり、共振現象を用いた増幅器としてテレビ受信機や携帯電話などの通信用のデバイスへの製品開発がなされてきた。さらに、最近になってセンサ技術分野への適用性に関する研究がなされ、大気中での水素とSH−SAWの関係の研究が数件行われている。しかし、溶存水素とSH−SAWの関係での研究例はほとんどないのが現状である。
【0023】
図2は、SH−SAW圧電デバイスを用いて構成された溶存水素センサ30の概略構成と溶存水素の濃度測定環境を示したものである。本発明では、SH−SAW4の伝搬特性の変化に着目し、SH−SAW4の伝搬経路31上に水素吸蔵合金6を成膜し、この水素吸蔵合金6が水素を吸蔵する際に起こる質量の変化、体積の膨張による応力、水素化物の生成による機械的強度の変化を、主として機械的な観点から測定できる小型の溶存水素検出用SH−SAWセンシングシステムへの基盤技術に発展させることができる。図2に示したように、本発明の溶存水素センサ30は、ポリマー基板7の上にSH−SAW圧電デバイス5を配置し、SH−SAWの伝搬経路31上に水素吸蔵合金6を成膜することによって構成される。溶存水素の濃度計測は次の方法で行うことができる。溶液循環ポンプ11を設置した水溶液槽に水素ガスボンベ10から水素12を送り、バブリングにより溶存水素溶液13を作る。そして、溶存水素計9によって参照する水素濃度を検出した後、この水溶液槽に前記溶存水素センサ30を浸漬する。そして、前記SH−SAW圧電デバイス5に入力した入力信号3によるSH−SAWの伝搬特性が変化をデジタルオシロスコープ8で継続的に測定することで溶存水素の濃度測定を行うことができる。
【0024】
図3は、上記溶存水素センサ30の原理(概念)図を示したものである。この溶存水素センサ30は、圧電基板16上に櫛型電極(IDT)32を形成し、このIDT32に外部から高周波電流または高周波電圧を印加させることによって、圧電基板16上にSH−SAW4を生じさせる。また、SH−SAW4の伝搬経路31上には、水素吸蔵合金6による薄膜を成膜する。この水素吸蔵合金6の薄膜は、水素原子17を吸蔵する際に起こる質量の変化、体積の膨張による応力、水素化物の生成による機械的強度の変化など、複数の外部要因による影響を検知(センシング)を行うことによって、溶存水素濃度のセンシングが可能となる。
【0025】
また、水素吸蔵合金6に吸蔵する際に違った挙動を示す結晶材料とアモルファス材料、金属ガラスを使用することによって、溶存水素濃度に対する測定感度を向上させ、高精度の測定を実現することが可能である。
【0026】
また、図2に示したように、SH−SAW圧電デバイス5の一方(1チャネル)を参照用に用いることで、水溶液中の微小な温度変化による測定誤差を減少させることができる。本実施形態の溶存水素センサ30は、SH−SAWの伝搬経路31を2チャネル備えているが、これには限定されず、さらにチャネル数を増やすことによって、1チップで高精度の測定を実現することが可能である。
【0027】
前記溶存水素センサ30は、フォトリソグラフィ工程によって作製されるため、小型化が容易で安価であり、その周波数特性はIDT32の線状電極の間隔によって決定される。このため、微細加工技術の発達とともに高周波化され、より高度なセンシングが可能となる。
【0028】
また、前記溶存水素センサ30の設計・試作には、寸法8mm×10mmのLiTaO3(42°Y-Xカット)の圧電基板16を用いた。この圧電基板16は、溶液中で測定する必要があるため、水中での伝搬損失のないSHモードを有するものを選択した。本実施形態で用いた圧電基板16のIDT32には、Auを用いP(ピッチ)10μm、交差幅3mm、伝搬距離4mmとなるようにフォトリソグラフィにより製作した。中心周波数をオシロスコープで測定したところ、100.5MHzであった。
【0029】
測定の際には、溶存水素センサ30全体を溶液に浸して行うことになるため、IDT32とこの配線部に絶縁処理を施した。IDT32上をSiO2薄膜で被い、それ以外の部分はエポキシ系樹脂でコーテングし絶縁処理を行った。IDT32上にSiO2薄膜を成膜する方法として、マグネトロンスパッタ法を用い、基板温度40℃、真空度1.5×10−4Pa、アルゴン圧4.0Pa中で行った。薄膜の厚さは400nmとなるようにした。
【0030】
結晶材料の水素吸蔵合金の成膜には、RFマグネトロンスパッタ装置を使用した(製造番号:MH91-1078 日本真空技術(株)製)。スパッタ条件は、基板温度:室温、到達真空:3.0×10−4Pa、RF:パワー100W、Arガス圧:3×10-1Paに設定した。SH−SAWの伝搬経路上にPd(厚さ0.1、0.2、0.3μm 幅3.5mm)、Pd-Ni(厚さ0.1、0.2、0.3μm 幅3.5mm)になるようにマスクを用いて成膜した。前記伝搬経路上に成膜したPd-Niは、純NiチップをPdターゲット上に置き組成の調整を行った結果、Pd77.0Ni23.0(at.%)となった。
【0031】
結晶合金では、四面体あるいは八面体格子の空隙に水素が侵入して特定の水素化物を作ることで水素を吸蔵すると考えられている。このため、結晶合金では、PCT曲線において、ある平衡水素圧(被験水素ガス濃度に相当)における水素吸蔵量に一定の幅、いわゆるプラトー領域が存在し、ガス貯蔵目的においては、このプラトー領域が広く、平坦であるほど、多量の水素を吸蔵・放出することができ、合金への圧力差が小さくできるため、有用な貯蔵特性が得られる。反面、被験水素ガス濃度と水素吸蔵量との間には線形的な関係が得られず、溶存水素のセンシングには適していない。さらに水素化物の生成により、著しく体積膨張・収縮し、剥離・微粉化による耐久性の低下の可能性がある。
【0032】
一方、アモルファス合金は結晶金属のように特定の水素化物を作らないため、PCT曲線において結晶合金では現れるはずのプラトー領域が、アモルファス合金では一般的には観察されず、平衡水素圧(水素ガス濃度)と水素吸蔵量とが連続的に、かつ比較的リニアに変化する。さらにアモルファス合金は、水素化物の抑制により剥離を抑制できる可能性があり、結晶合金と比較して硬くて強く、ランダムな構造により耐久性に優れるといった点からも有用である。
【0033】
さらに金属ガラスの適用により、アモルファス合金よりも熱的に安定であるため、より広い温度域でセンサとしての使用が可能となる。また、長期間にわたり厳しい環境下でも安定した水素検知能力を維持でき、耐久性や耐酸化性などの有用特性を活かした反応膜を成膜することができる。
【0034】
アモルファス合金における水素吸蔵合金の成膜には、前記と同様のRFマグネトロンスパッタ装置を使用した。アモルファス合金には、Pd-Cu-Si合金を選択した。スパッタ条件は、基板温度:室温、到達真空度:3.0×10−4Pa、RFパワー:100W、Arガス圧:3×10-1Paで行った。アモルファス構造を有する薄膜にするための組成比の調整は、Pdターゲットの上にCuとSiのチップの個数、すなわち面積比の調節を行った。得られた試料に対して、
電子マイクロアナライザー(EPMA:Electron Probe Micro Analyzer)による組成分析、X線回折測定によるアモルファス構造を確認した後、SH−SAWの伝搬経路上にPd-Cu-Si(厚さ0.1μm 幅3.5mm)になるようにマスクを用いて成膜した。
【0035】
結線方法は、ポリマー基板上に銅箔を貼り付けたものにエッチングを行い、銅箔を任意の形にした。次に、試作したSH−SAW圧電デバイスを前記ポリマー基板の中央に固定し、銅テープにてポリマー基板上の銅箔とSH−SAW圧電デバイスの配線を行い、それぞれの結合部に電気の流れを良くするために導電性接着剤(ドータイト)を塗った。
【0036】
測定に利用した回路を図4に示す。標準信号発生器(SSG)からの入力信号20とパルスオシレータ18からの信号をミキサー19にて乗算することにより、トーンバースト波23を得る。このトーンバースト波23をセンサ素子21及び参照波としてデジタルオシロスコープ22(岩通DS-8824P)に入力し、前記センサ素子21からの出力信号と参照波との位相差を計測していくことにより、SH−SAWの伝搬速度の変化を遅延時間として計測を行った。
【0037】
第1に、溶存水素水浸漬によるSH−SAWの音速の変化を計測した。この実験方法は、各薄膜を成膜した溶存水素センサ30を溶存水素水に浸漬させ、1分毎のSH−SAW速度の変化を遅延時間としてデジタルオシロスコープを用いて測定した。浸漬時間は、Pd薄膜(厚さ100nm 幅3.5mm)が10分、Pd77.0Ni23.0(厚さ100nm 幅3.5mm)が20分、Pd-Cu-Si(厚さ100nm 幅3.5mm)30分とした。溶存水素水は、500mlの純水、水温20〜22℃のものに水素ガスを20cc/minでバブリング時間70分(1ppm程度)のものを用意した。
【0038】
第2に、繰り返し実験によるSH−SAWの音速の変化を計測した。この実験方法は、水素の溶存していない純水500ml(水温20〜22℃)のものと500mlの溶存水素水(水温20〜22℃のものに水素ガスを20cc/minでバブリング時間70分(1ppm程度))のものを用意し、各薄膜を成膜した溶存水素センサ30を純水と溶存水素水交互に10分間浸漬させ各溶液で、1分毎のSAW速度の変化を遅延時間としてデジタルオシロスコープを用いて測定を行った。
【0039】
第3に、溶存水素濃度増加によるSH−SAWの音速の変化を計測した。実験方法は、水素の溶存していない純水1500ml(水温20〜22℃)のものを用意し、そこに水素ガスを20cc/minの流量でエアーストーンによってバブリングすることによって溶存水素濃度を徐々に増加させた。溶存水素濃度は、隔膜型ポーラログラフ水素計[ポータブル溶存水素計(東亜DKK社製)]を使用して測定を行った。各薄膜を成膜したSH−SAW圧電デバイスを純水に浸漬させ、溶存水素濃度が0.05ppm増加する毎のSAW速度の変化を遅延時間としてデジタルオシロスコープを用いて測定を行った。
【0040】
図5にバブリング時間70分の溶存水素水に、Pd、Pd77.0Ni23.0、Pd39.7Cu33.3Si27.0
薄膜(膜厚:100nm)を浸漬した時の遅延時間変化を示す。伝搬経路上にナノ結晶水素吸蔵合金を成膜した場合、SH−SAWの伝搬速度が増加、アモルファス水素吸蔵合金を成膜した場合、SH−SAWの伝搬速度が減少した。70分バブリングした溶存水素水に浸漬した場合Pd薄膜は、剥離Pd-Ni薄膜は飽和、Pd39.7Cu33.3Si27.0薄膜は30分以降の遅延時間変化量を確認できることから、薄膜は飽和しない結果を得た。
【0041】
図6に各薄膜の水素吸蔵後の表面写真を示す。SH−SAWの音速は、弾性率Eと密度ρに影響し、一般に、弾性波(超音波など)速度Vは、以下の式で示される。
【0042】
【数1】

結晶水素吸蔵合金では、網目状の体積膨張による凹凸を確認することができるのに対し、アモルファス合金では確認することができない。このことから、各薄膜での遅延時間変化の要因として、結晶水素吸蔵合金は、体積膨張により、応力が加わる(基板には圧縮応力)水素吸蔵により、質量、体積ともに変化するが、体積増加の方がより増加する。このため、結果として薄膜の密度ρは低下する。水素吸蔵に伴い、水素化物を生成しヤング率Eが増加するのに対し、アモルファス水素吸蔵合金では、体積膨張が小さいため、応力が加わらない。
水素吸蔵に伴い質量は増加するが体積は増加しない。結果として薄膜の密度ρは増加する。水素吸蔵に伴い、水素化物を生成しないので薄膜のヤング率Eに変化はないためだと思われる。
【0043】
図7にPd77.0Ni23.0薄膜(100nm)とPd39.7Cu33.3Si27.0薄膜(100nm)を純水−溶存水素水(バブリング時間70分)に交互に浸漬したときのSH−SAWの伝搬速度変化(遅延時間として測定)測定結果を示す。Pd39.7Cu33.3Si27.0アモルファス合金薄膜に、若干のヒステリシスを確認することができるが、おおよそ原点に戻ることを確認した。これは、本実験で使用したアモルファス合金薄膜が純水に浸漬することによって、水素を放出したことが要因であると考えられ、良好な繰り返しを有する。以上より、良好な再現性を有するためセンサ材料としては、有効であると考えられる。
【0044】
図8に溶存水素濃度増加によるPd77.0Ni23.0薄膜(膜厚:100nm)、Pd39.7Cu33.3Si27.0薄膜(膜厚:100nm)のSH−SAW伝搬速度変化(遅延時間として測定)測定結果を示す。溶存水素濃度は、隔膜型ポーラログラフ水素計を使用して測定を行った。両薄膜ともに溶存水素濃度が0.1ppmでSH−SAW伝搬速度が変化し始め、その後比例的な遅延時間の変化を確認することができる。Pd39.7Cu33.3Si27.0薄膜では0.8ppm付近でも遅延時間の変化の収束が見られないことから薄膜は飽和していないと思われる。Pd77.0Ni23.0薄膜0.5ppmを付近に遅延時間の変化の収束が見られることから薄膜の飽和が起こったものと考えられる。
【0045】
次に、以上の実験結果を踏まえて、伝搬経路上に成膜した結晶質Pd77.0Ni23.0薄膜とアモルファス質Pd39.7Cu33.3Si27.0薄膜について、成膜物性やその浸漬時の材質変化をもとに、今回のSH−SAW速度変化の考察を行う。一般に、SH−SAWの音速は、弾性率Eと密度ρに影響し、一般に、弾性波(超音波など)速度Vは、以下の式で示される。
【0046】
【数2】

両者の実験データの傾向を考察すると、水素を吸蔵した際の結晶水素吸蔵合金とアモルファス水素吸蔵合金のSAW伝搬速度変化には、以下のような現象による違いがあると考えられる。
【0047】
結晶質水素吸蔵合金の場合の主な変化因子は以下に挙げられる。
1)体積膨張により、応力が加わる(基板には圧縮応力)。
2)水素吸蔵により、質量、体積ともに変化するが、体積増加の方がより増加するため、結果として薄膜の密度ρは低下する。
3)水素吸蔵に伴い、水素化物を生成しヤング率Eが増加する。
【0048】
アモルファス質水素吸蔵合金の主な変化因子は以下に挙げられる。
1)体積膨張が小さいため、応力が加わらない。
2)水素吸蔵に伴い質量は増加するが、体積は増加しない。結果として薄膜の密度ρは増加する。
3)水素吸蔵に伴い水素化物を生成しないので、薄膜のヤング率Eに変化はない。
【0049】
よって、結晶水素吸蔵合金では、圧縮応力によるSH−SAW伝搬速度増加、ヤング率Eの増加と密度ρの低下によるSH−SAW伝搬速度増加が、SH−SAW伝搬速度変化の主な要因になると思われるのに対して、アモルファス水素吸蔵合金では、密度ρの増加によるSH−SAW伝搬速度減少が、SH−SAW伝搬速度変化の主な要因になると思われる。
【0050】
最後に、SH−SAW伝搬経路上の各薄膜でのセンサ感度比較を行う。図9に溶存水素濃度に対する各薄膜感度を示す。センサ感度(縦軸)は、SH−SAW伝搬速度遅延時間変化の絶対値を規格化した値を示す。Pd 薄膜は感度が良好であるが、測定可能領域が膜厚200nm では、0.15ppm から0.4ppm、膜厚が300nm では、0.2ppm から0.45ppm までと狭い範囲での測定に留まった。Pd77.0Ni23.0薄膜は、膜厚100nm では、0.15ppm から0.5ppm、膜厚200nm では、0.2ppm から0.65ppm、膜厚300 では、0.3ppm から0.8ppm と膜厚増加に伴い測定可能領域は広くなるが、感度は低下する。Pd39.7Cu33.3Si27.0薄膜は、膜厚100nm では、0.18ppm から0.69ppm となり、比較的低濃度で反応し、測定可能領域も広い結果となった。表1に各薄膜の測定可能領域を示す。
【0051】
【表1】

【0052】
以上のことから、溶存水素の測定用として用いられるSH−SAW圧電デバイスの伝搬経路上の成膜材料として、優れた特性を示すために下記の条件が重要となる。
1)薄い成膜で水素を吸蔵する材料(低濃度の測定が可能)
2)水素吸蔵量が多い材料(測定可能領域が広い)
3)水素吸蔵速度が速い(感度の向上)
【0053】
以上、本発明では、従来の溶存水素濃度センサと異なる独自な提案として、水液中環境でも伝搬可能な完全な水平せん断型表面弾性波(SH−SAW)を励起する圧電基板を用い、この圧電基板の表面の伝搬経路上にアモルファス金属やナノ結晶系水素吸蔵合金を成膜し、液中水素濃度センサの研究開発を目的として行った。以下に本発明で得られた知見と今後の課題を示す。
【0054】
(1)SH−SAWの伝搬経路上にアモルファス金属・ナノ結晶薄膜の水素吸蔵合金を成膜することで、溶存水素濃度のセンシングが可能な表面弾性波(SAW)センサの作製に始めて成功した。
(2)伝搬経路上にナノ結晶系水素吸蔵合金(Pd、 Pd77.0Ni23.0)を成膜した場合、溶存水素浸漬時のSH−SAW伝搬速度変化は、遅延時間が減少する(SH−SAW伝搬速度が増加)傾向が見られ、SH−SAW伝搬経路上にアモルファス金属(Pd39.7Cu33.3Si27.0)薄膜を成膜した場合、遅延時間は増加する(SH−SAW伝搬速度が減少) 傾向が見られた。
(3)ナノ結晶系水素吸蔵合金およびアモルファス金属成膜時の伝搬速度変化の主な要因は、次式より、薄膜のヤング率E と密度ρ に依存する。
【0055】
【数3】

ナノ結晶系水素吸蔵合金の場合、体積膨張により圧縮応力によるSH−SAW伝搬速度増加、水素吸蔵により水素化物を形成し、ヤング率E の増加と密度ρ の低下によるSH−SAW伝搬速度増加が、SH−SAW伝搬速度変化の主な要因になると思われる。一方、アモルファス水素吸蔵合金では、水素吸蔵により密度ρ の増加によるSH−SAW伝搬速度減少が、SH−SAW伝搬速度変化の主な要因になると思われる。
(4)Pd、Pd77.0Ni23.0、Pd39.7Cu33.3Si27.0薄膜の遅延時間を比較した場合、Pd 薄膜の傾きが大きい(感度が良い)傾向が見られた。Pd 薄膜の方が、他の2種よりも容易に水素を吸蔵できることがその要因であると考えられる。
(5)Pd、Pd77.0Ni23.0薄膜の膜厚が厚いほど水素吸蔵に時間がかかり、結果として立ち上がりに時間がかかる傾向があることが解った。膜厚が厚いほど水素吸蔵合金が飽和するまでの吸蔵量が多いため最終的な変化量は多くなると思われる。
(6)純水−溶存水素水に繰り返し浸漬した場合、ナノ結晶系水素吸蔵合金のSH−SAW伝搬速度変化は溶存水素浸漬で遅延時間が減少、純水浸漬で遅延時間が増加といった傾向を見せ、アモルファス合金薄膜のSH−SAW伝搬速度変化は、逆の傾向を見せた。それらには、繰り返し計測に伴い、若干のヒステリシスがあるが、遅延時間変化はおおよそ原点に戻る傾向を見せた。
(7)以上の特徴から、例えば、結晶質と非晶質(アモルファス)の成膜SH−SAW伝搬経路を有する2ch(多チャンネル)化された溶存水素センサを開発でき、その水素濃度に対する変化傾向は逆(増加、減少)であることを利用して、一段と濃度計測精度を上げた溶存水素センサ開発が可能になるであろうことが予想できる。
【0056】
また、これらの特徴から、例えば、結晶質と非晶質の成膜SH−SAW伝搬経路を有する2チャンネルあるいはそれ以上の多チャンネル化された溶存水素センサを開発でき、その水素 濃度に対する変化傾向は逆(増加又は減少)であることを利用して、一段と濃度計測精度を上げた溶存水素センサ開発が可能になるであろうことが予想できる。また、多チャンネル化に対応したSH−SAWは比較的簡単であり、そのワイヤレス化、防爆性も可能であるので、健康水維持管理、化学反応プロセス溶液濃度の管理、廃棄物処理場の漏れ液の継時的モニターリングや水素ガス製造および水素エネルギー運用プロセス中に関して、その安心・安全管理に有効な手段となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】SH−SAWの変位分布図である。
【図2】本発明の溶存水素センサの概略構成図である。
【図3】上記溶存水素センサの原理図である。
【図4】溶存水素の濃度測定に用いた回路図である。
【図5】伝搬速度の浸漬時間依存性を示す測定グラフである。
【図6】水素吸蔵後の表面状態を示す写真である。
【図7】SH−SAW伝搬速度変化を測定したグラフである。
【図8】伝搬速度の濃度依存性を示すグラフである。
【図9】薄膜比較を示すグラフである。
【符号の説明】
【0058】
1 水平方向せん断成分
2 圧電基板
3 入力信号
4 SH−SAW(水平せん断型表面弾性波)
5 SH−SAW圧電デバイス
6 水素吸蔵合金
7 ポリマー基板
8 デジタルオシロスコープ
9 溶存水素計
10 水素ガスボンベ
11 溶液循環ポンプ
12 水素
13 溶存水素溶液
16 圧電基板
17 水素原子
18 パルスオシレータ
19 ミキサー
20 入力信号
21 センサ素子
22 デジタルオシロスコープ
23 トーンバースト波
30 溶存水素センサ
31 伝搬経路
32 IDT


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平せん断型表面弾性波を圧電基板の表面に発生させ、且つ、前記水平せん断型表面弾性波の伝搬経路上に水素吸蔵合金を成膜し、この水素吸蔵合金を成膜するための膜材と湿潤環境や水溶液中の溶存水素等の相互反応物質を前記水平せん断型表面弾性波の伝搬特性変化を通して測定することを特徴とする溶存水素センサ。
【請求項2】
前記水素吸蔵合金は、アモルファス質又はナノ結晶質系の薄膜である請求項1記載の溶存水素センサ。
【請求項3】
前記水素吸蔵合金は、Pd100-xNix(0≦x≦30.0)の組成式からなるナノ結晶系の薄膜である請求項1又は2記載の溶存水素センサ。
【請求項4】
前記水素吸蔵合金は、PdxCuySiz(35.0≦x≦50.0、25.0≦y≦42.0、12.0≦z≦27.0)の組成式からなるアモルファス金属の薄膜である請求項1又は2記載の溶存水素センサ。
【請求項5】
前記水素吸蔵合金は、Pd100-x-y-zCuxSiyMz(M=Pt,P,Ni,2.0≦x≦10.0,10.0≦y≦20.0,0≦z≦25.0)又はPd100-x-y-zCuxNiyPz(20.0≦x≦40.0,0≦y≦30.0,15.0≦z≦25.0)
の組成式からなる金属ガラスの薄膜である請求項1又は2記載の溶存水素センサ。
【請求項6】
前記圧電基板の表面には、結晶質又は非晶質からなる伝搬経路と、前記水素吸蔵合金によって成膜された伝搬経路とを有する請求項1乃至5のいずれかに記載の溶存水素センサ。

【図4】
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【図9】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−66194(P2010−66194A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−234464(P2008−234464)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(000237444)リバーエレテック株式会社 (24)
【出願人】(599059379)
【出願人】(506421460)
【出願人】(508277830)
【Fターム(参考)】