説明

溶接フラックス

【課題】ガス放出剤、高融点化合物および低融点化合物を含み、高い衝撃強さ、良好なスラグ脱離性、低い溶接金属の水素および窒素の吸収を示し、滑らかな一定の溶接ビードの形成を容易にするパイプ溶接または片側溶接用の溶接フラックスの提供。
【解決手段】0.05−25重量%のガス放出剤、高融点化合物および低融点化合物を含み、該高融点化合物対低融点化合物の重量%比が1−5:1であるパイプ溶接または片側溶接のために処方された溶接フラックス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接の一般的な分野に関し、さらに浸漬アーク溶接に特に有用な溶接フラックスに関する。
【背景技術】
【0002】
アーク溶接の分野において、溶接法の5つの主なタイプは、浸漬アーク溶接(SAW)、遮蔽金属アーク溶接(SMAW)、フラックス芯つきアーク溶接(FCAW)、ガス金属アーク溶接(GMAW)、およびタングステンアーク溶接(TIG)である。浸漬アーク溶接では、被覆のない金属電極と作業中の金属との間の電気アークによる加熱によって一体化される。溶接部は、顆粒状または融合可能な物質またはフラックスにより覆われる。溶接操作は、フラックスの下にアークを形成して熱を生じさせて周囲のフラックスを溶融し、電流の連続流により流体が維持される表面下にプールを形成する。電極の末端およびその直接下の素材は、溶融し始め、そして溶融した充填金属は、素材上に電極から溶着する。溶融した充填金属は、フラックスプールを置換しそして溶融部を形成する。
【0003】
溶接の技術において、多くの従来の努力は、予定されたやり方で行うことを目的とする予定されたフラックス成分を有するタイプのフラックス成分を開発するのに費やされてきた。多数の組成物が、一般に溶接フラックスとして使用されるためと金属性の芯上またはさやの中のコーティングとして使用されるための両者のためにアーク溶接でフラックスとして使用されるために開発されてきている。フラックスは、アーク安定性をコントロールし、溶接金属の組成を改変し、そして大気の汚染から保護をもたらすためにアーク溶接で利用されている。アーク安定性は、通常、フラックスの組成を改変することにより少なくとも部分的にコントロールされる。そのため、フラックス混合物中でプラズマ電荷担体として十分に機能する物質を有することが望ましい。フラックスは、また金属中の不純物をさらに容易に融合可能にし、そしてこれらの不純物がそれにより金属より優先して組み合わされてスラグを形成する物質をもたらすことにより溶接金属組成物を改変する。実際的にすべてのスラグ形成化合物は、それらが反応する化合物に応じて酸性または塩基性の何れかに分類できる。最も活性な「塩基性」であると考えられている物質は、水溶液中で普通の化学反応で塩基性化合物を形成する元素例えばカルシウム、マグネシウムおよびナトリウムの化合物であるものである。最も普通の活性な「酸性」の物質は、珪素、チタン、ジルコンおよびアルミニウムの化合物である。フラックスは、溶接されるべき金属および金属中の不純物のタイプ、溶接の適用および/または溶接ビードの所望の機械的性質に応じて、多量または少量の酸性または塩基性の化合物により製造される。或る場合には、他の物質が添加されて、スラグの融点を下げ、スラグの流動性を改善しそしてフラックス粒子用の結合剤として働く。
【0004】
本発明は、特に、改善された衝撃強さ、改善されたスラグ脱離性を示し、溶接金属の水素吸収を阻害しおよび/または溶接ビードの形成を改善する浸漬アーク溶接フラックスに関する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
溶接ビードの形成を改善する本発明に従って改善されたフラックス系を提供するのが、本発明の1つの目的である。
本発明の他のおよび/または別の目的は、滑らかなおよび/または一定した溶接止端の入射角の形成を容易にする改善されたフラックス系の提供である。
【0006】
本発明のなお他のおよび/または別の目的は、改善された高い衝撃強さを有する溶接ビードの形成を容易にするフラックス系の提供である。
本発明の他のおよび/または別の目的は、改善したスラグ脱離性を有するスラグの形成を容易にするフラックス系の提供である。
【0007】
本発明の他のおよび/または別の目的は、窒素および/または水素の含量が低下した溶接ビードの形成を容易にするフラックス系の提供である。
本発明のさらなる他のおよび/または別の目的は、溶接フラックスとして使用できるフラックス系の提供である。
【0008】
本発明の他のおよび/または別の目的は、溶接工程中遮蔽ガスを形成するフラックス系の提供である。
これらおよび他の目的および利点は、以下の本発明の説明から明らかになるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、溶接フラックスに関し、そして特に浸漬溶接フラックスに関する。溶接フラックスは、浸漬アーク溶接フラックスに関して特に記載されるだろうが、溶接フラックスは、より広い応用が可能でありそして被覆された電極に使用できるか、またはフラックス芯つき電極において充填剤として使用できる。
【0010】
本発明の溶接フラックスは、制限されたパスの溶接の適用に処方される。これらの適用では、溶接フラックスは、高い衝撃強さ、良好なスラグ脱離性、低い溶接金属の水素吸収を示し、そして滑らかな一定の溶接ビードの形成を容易にする。溶接フラックスは、パイプの継ぎ目の形成に特に有用である。高品質のパイプの多くの修理は、アンダーカットによるものであり、それは溶接部の止端での溶接金属が一定に流れないときに生じ、それにより溶接部のクレータの不完全な充填を生じさせる。溶接ビードの不完全な形成は、パイプの溶接部を調べるおよび/または修理しなければならないために生産性の損失をもたらす。本発明の溶接フラックスは、パイプ溶接部の形成中溶接止端での溶接ビードの滑らかな一定の形成を容易にするのに処方される。そのため、本発明の溶接フラックスの使用は、アンダーカットの発生を低下させる。理解できるように、溶接フラックスは、パイプ溶接以外の応用に使用できて所望の溶接ビードを達成する。例えば、溶接フラックスは、片側溶接(すなわち、すべての溶接がプレートまたは他のタイプの素材の片側で達成され、そしてプレートの背面のビードは溶接結合部を経て金属/スラグの流れから形成される)で使用できる。他の溶接の応用は、また、本発明の溶接フラックスを使用できる。
【0011】
溶接フラックスは、また、複数のアークを利用できるように処方されるおよび/またはAC溶接の適用で使用できる。溶接フラックスは、1つ以上の低融点の物質および1つ以上の容易にイオン化される物質を含んで、溶接工程中安定なアークの形成を容易にするおよび/またはスラグの粘度および流れの特性にプラスに影響して、特にパイプ溶接中の溶接止端での溶接ビードの滑らかなそして一定の形成を容易にする。そのため、溶接フラックスは、パイプの製造(パイプミル)に使用するのに特に適している。
【0012】
本発明の1つの構成では、溶接フラックスは、珪素含有物質を含んで、フラックスの融点を低下させるおよび/またはフラックスの1つ以上の成分の容易なイオン化を可能にする。使用できる珪素含有物質は、酸化珪素(砂)、珪酸ナトリウムガラスおよび/または珪酸リチウムガラスであるが、これらに限定されない。これらのタイプの珪素含有物質は、容易にイオン化する低融点の物質である。本発明において限定されるように、低融点の物質は、ほぼ鋼の融点(例えば華氏2590度すなわち1420℃)までの融点を有する元素および/または化合物である。高融点の物質は、ほぼ鋼の融点より高い融点を有する元素および/または化合物として定義される。珪素含有物質例えば珪酸リチウムガラスの添加は、水分を吸収するフラックスの傾向を制限するのに使用できる。珪素含有物質の使用は、また、溶接中のアーク安定性を改善するのに使用され、それによりスパッターを減少させる。珪素含有物質の使用は、また、スラグの粘度およびスラグの流れ特性にプラスに影響するのに使用されて、改善された溶接ビードの形成を容易にする。理解できるように、他のまたは追加の珪素含有物質も使用できる(例えば、カリウム、珪酸ガラスなど)。溶接フラックスの珪素含有物質の含量は、一般に、フラックスの約5−35重量%である。
【0013】
本発明の他のおよび/または別の構成では、溶接フラックスは、ガス放出剤を含む。使用できる1つの特別なガス放出剤は、炭酸塩化合物である。種々のタイプの炭酸塩化合物が使用でき、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどがある。理解できるように、他のガス放出剤も使用できる(例えば、フッ化物放出化合物、ガス含有ビードなど)。本発明の目的のために、フッ化カルシウムは、低融点化合物であって、ガス放出剤ではない。ガス放出剤は、溶接操作中1つ以上のガスを放出するように処方され、それにより溶接金属の周りに遮蔽の環境を生成する。ガス放出剤は、溶接工程中溶接プールの周りにガスの遮蔽を形成するように、溶接温度以下で多量のガスを放出する量で存在する。溶融した溶接プールの周りの空気中の窒素および水素は、溶融した溶接プール中に吸収され勝ちであり、形成された溶接ビードの性質および品質に悪影響をあたえる。窒素は、溶接ビードの衝撃強さを低下させる傾向を有する。水素は、特に高い強さの溶接金属を形成するとき、溶接ビードにクラッキングを生じさせる傾向を有する。従って、ガス放出剤は、高品質の溶接ビードが形成されるように、大気中の窒素、水素および/または他の有害なガスから溶融した溶接金属のための遮蔽を形成する。溶接フラックスのガス放出剤組成物は、フラックスの約0.05−25重量%そして典型的にフラックスの約2−15重量%である。溶接フラックス中のガス放出剤対非ガス放出剤の重量%の比は、約1:4−100、典型的に約1:5−50そしてさらに典型的に約1:7−25であるが、しかし、他の比も使用できる。
【0014】
本発明の他のおよび/または別の構成では、溶接フラックスは、典型的にアーク安定化化合物を含む。アーク安定化化合物は、典型的に、アルカリ金属化合物を含み、アルカリ金属は、溶接温度以下で化合物から解離する。これらの物質は、フッ化カリウム、酸化カリウム、酸化リチウム、酸化ナトリウムなどの物質を含む。溶接フラックスのアーク安定化化合物の含量は、フラックスの約0.05−15重量%、典型的にフラックスの約2−7重量%であるが、しかし、アーク安定化剤の他の重量%も使用できる。
【0015】
本発明の他のおよび/または別の構成では、溶接フラックスは、典型的に、高融点化合物を含む。溶接フラックスの高融点化合物の含量は、フラックスの約5−75重量%、そして典型的にフラックスの約10−70重量%である。高融点成分は、溶接工程中スラグがあまりに流体になるのを阻止または予防する。スラグがあまりに流体になると、スラグによる溶接部のたまりの不適切な被覆が生ずる。さらに、スラグがあまりに流体であると、溶接ビードへの溶接部のたまりの品質および形成に悪影響がでる。例えば、溶接ビードの縁は、不規則になり、溶接ビードの欠陥の可能性をもたらす。高融点化合物は、典型的に、金属酸化物化合物であるが、しかし、これでなければならないことはない。溶接フラックスに含まれる高融点化合物の例は、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化クロム、酸化鉄、酸化リチウム、酸化マグネシウム、酸化ニオブ、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化バナジウム、酸化ジルコンなどを含むが、これらに限定されない。典型的に、高融点化合物の含量は、溶接フラックス中の低融点化合物の含量より多いが、しかし、それでなくてもよい。1つの本発明を限定しない処方では、高融点化合物対低融点化合物の重量%の比は、約1−5:1そして典型的に約1.1−4:1そしてさらに典型的に約1.2−3:1である。理解できるように、他の比も使用できる。
【0016】
本発明の他のおよび/または別の構成では、溶接フラックスの使用により形成される溶接ビードの降伏強さおよび/または衝撃強さは、溶接フラックスとともに使用される適切な固体金属ワイヤまたは芯つき電極を選択することによりコントロールできる。溶接ビードの降伏強さおよび/または衝撃強さは、またまたは別に溶接フラックスの金属合金の組成によりコントロールされる。種々のタイプの金属合金は、溶接フラックスに含まれる。金属合金の制限されない例は、アルミニウム、硼素、カルシウム、炭素、鉄、マンガン、ニッケル、珪素、チタン、ジルコンなどを含むが、これらに限定されない。溶接フラックスの金属合金組成物は、フラックスの約15重量%以内である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本明細書で開示された本発明の記述は、本発明の好ましい態様を示す目的のためのみであり、本発明を制限することを目的とするものではない。本発明のフラックス系は、典型的に、浸漬アーク溶接フラックスであるが、しかし、これに限定されない。溶接フラックスの成分は、1つ以上の金属酸化物(例えば、酸化アルミニウム、酸化硼素、酸化カルシウム、酸化クロム、酸化鉄、酸化リチウム、酸化マグネシウム、酸化マンガン、酸化ニオブ、酸化カリウム、二酸化珪素、酸化ナトリウム、酸化錫、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化ジルコンなど)、1つ以上の金属炭酸塩(例えば、炭酸カルシウムなど)、1つ以上の金属フッ化物(例えば、フッ化バリウム、フッ化ビスマス、フッ化カルシウム、フッ化カリウム、フッ化ナトリウム、Teflonなど)および/または1つ以上の合金化剤(例えば、アルミニウム、硼素、カルシウム、炭素、鉄、マンガン、ニッケル、珪素、チタン、ジルコンなど)を含む。
【0018】
溶接フラックスは、高い衝撃強さ、良好なスラグ脱離性、低い溶接金属の水素および窒素吸収を示し、そして滑らかな一定の溶接ビードの形成を容易にする制限されたパスの溶接の適用のために特に処方される。溶接フラックスは、パイプの構築または片側溶接の適用に使用するのに特に有用である。溶接フラックスは、溶接工程中安定なアークを可能にするおよび/またはスラグの粘度および流れ特性にプラスに影響して、特にパイプ溶接中の溶接止端入射角度でまたは種々のタイプの片側溶接の適用で、溶接ビードの滑らかな一定の形成を容易にする組成を有する。
【0019】
溶接フラックスは、溶接フラックスの重量%に基づいて以下の一般的な組成を有する。アーク安定剤0.05−10%、ガス放出剤0.05−25%、高融点成分5−75%、低融点成分2−40%、金属合金化剤0−25%。
【0020】
本発明のフラックスのさらに特定な処方は、フラックスの重量%に基づいて以下の通りである。アーク安定剤(Li、Kおよび/またはNa化合物)0.1−7%、ガス放出剤(炭酸塩および/またはフッ化物化合物)1−20%、高融点成分10−70%、低融点成分5−30%、金属合金化剤0−20%。
【0021】
本発明のフラックスの他のさらに特定な処方は、フラックスの重量%に基づいて以下の通りである。Al2O310−35%、CaF25−25%、CaCO32−15%、FeO0−4%、K2O0−2%、Li2O0−2%、MgO0−25%、MnO0−25%、Na2O0−8%、SiO24−30%、TiO20−4%、ZrO20−9%、金属合金化剤0−10%。
【0022】
本発明のフラックスの他のさらに特定な処方は、フラックスの重量%に基づいて以下の通りである。Al2O320−30%、CaF210−15%、CaCO33−12.5%、FeO0.5−2%、K2O0.01−0.8%、Li2O0.01−0.8%、MgO12−20%、MnO7−15%、Na2O1.5−5%、SiO211−23%、TiO20.1−2.5%、ZrO20.5−3.5%、Mn0−3%、Si0−3%。
【0023】
理解できるように、単一の化合物が、溶接フラックスの成分の1つ以上を構成できる。例えば、珪酸リチウムおよび/または珪酸ナトリウムは、溶接フラックスに含まれることができる。珪酸リチウムおよび珪酸ナトリウムは、使用されるとき、溶接フラックスのLiO2およびNa2Oの一部または完全な源となる。珪酸ナトリウムは、溶接フラックスの成分の結合剤として主として使用される。ナトリウムは、また溶接工程中アークの安定化を容易にする。酸化リチウムは、溶接のたまり(例えば、溶接金属およびスラグ)の「流れ」特性を変えて、溶接工程中のアンダーカットの量を少なくする。酸化リチウムは、また、溶接金属の水分の取り込みを低下させる。珪素含有物質がフラックスに含まれるとき、珪素含有物質は、溶接中スラグの溶融/凍結の範囲を調節するのに使用される。長石も溶接フラックスに含まれることができ、そして溶接フラックス中のCaO、Na2O、K2O、Al2O3および/またはSiO2または1つ以上の他の金属酸化物の源となる。フラックス中のフッ化カルシウムは、溶接のたまりの周りのフラックスの「流れ」特性を改変するのに使用される。酸化ジルコンは、また、主としてスラグ変性剤として溶接フラックスに添加される。酸化ジルコンは、スラグの凍結特性を変えてさらに一定した溶接ビードの縁の形成を容易にし、そしてまたアンダーカットを減少させる高融点金属酸化物である。炭酸カルシウムは、ガス放出剤として溶接フラックスに含まれる。この化合物の炭酸塩部分は、溶接工程中遮蔽ガスとして使用されて、窒素および水素から溶接のたまりを遮蔽する。理解できるように、他のまたは追加のガス放出剤は、フラックス中に使用できる(例えば、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、有機フッ化物など)。1つ以上のガス放出剤は、溶接温度以下で比較的多量のガスを放出するように選択される。溶接工程中ガスの放出から生ずる正の圧力は、大気中のガスから溶接のたまりの周りの領域を少なくとも部分的に遮蔽する。そのため、溶接金属中の低いレベルの水素および/または窒素は、フラックス中のガス放出剤の使用により得られる。金属合金化剤は、主として溶接ビードの所望の合金組成を得るために添加されるが、しかし、金属例えば珪素(これに限定されない)は、また、溶接工程中脱酸素剤として機能できる。金属合金化剤は、純粋な形で添加されるか、または合金として添加される。例えば、珪素はSiFeとして添加され、そしてMnはMnFeとして添加されるが、しかし、これは必須ではない。フラックスは、また、他の成分例えば砒素、バリウム、硼素、鉛、リン、硫黄および亜鉛を含むが、これらに限定されない。これらの化合物は、不純物の形であるおよび/またはフラックスに計画的に添加される。典型的に、これら化合物の重量%の制限は、以下の通りである。As約0.1%以下、B約0.02%以下、Ba約0.1%以下、Pb約0.1%以下、P約0.02%以下、S約0.01%以下、Zn約0.1%以下。
【0024】
炭酸塩化合物がガス放出剤であるとき、フラックスは、炭素を含む。炭酸塩化合物からの炭素を含むフラックスの全炭素含量は、典型的に約0.5%より少なく、そしてさらに典型的に約0.4%より少ない。
【0025】
溶接フラックスは、乾燥および/または粉砕される。溶接フラックスは、また、ふるいにかけられて、平均粒子サイズの溶接フラックスを得る。典型的に、溶接フラックスの粒子サイズは、約12−200メッシュであるが、しかし、他の平均粒子サイズも使用される。乾燥、粉砕および/またはふるい分けの工程は、標準の技術により達成できるため、詳細に述べない。
【0026】
本発明の記述された態様のこれらおよび他の改変並びに他の態様は、本明細書の記述から当業者にとり明らかでありそして示唆されており、それにより前述が本発明の単なる例示と解釈されそしてそれを制限するものと解釈されてはならないことを、はっきり理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.05−25重量%のガス放出剤、高融点化合物および低融点化合物を含み、該高融点化合物対低融点化合物の重量%比が1−5:1であることを特徴とするパイプ溶接または片側溶接のために処方された溶接フラックス。
【請求項2】
該高融点化合物対低融点化合物の重量%比が1.2−3:1である請求項1の溶接フラックス。
【請求項3】
アーク安定化合物を含む請求項1の溶接フラックス。
【請求項4】
該溶接フラックス中の該アーク安定剤の重量%が0.05−15重量%である請求項3の溶接フラックス。
【請求項5】
溶接フラックス中のガス放出剤対非ガス放出剤の重量%比が1:4−100である請求項1の溶接フラックス。
【請求項6】
0.01−25重量%の金属合金化剤を含む請求項1の溶接フラックス。
【請求項7】
アーク安定剤0.05−10%、ガス放出剤0.05−25%、高融点成分5−75%、低融点成分2−40%、金属合金化剤0−25%からなる請求項1の溶接フラックス。
【請求項8】
アーク安定剤0.1−7%、ガス放出剤1−20%、高融点成分10−70%、低融点成分5−30%、金属合金化剤0−20%からなる請求項7の溶接フラックス。
【請求項9】
アーク安定剤2−7%、ガス放出剤2−10%、高融点成分10−70%、低融点成分5−30%、金属合金化剤0−10%からなる請求項8の溶接フラックス。
【請求項10】
Al10−35%、CaF5−25%、CaCO2−15%、FeO0−4%、KO0−2%、LiO0−2%、MgO0−25%、MnO0−25%、NaO0−8%、SiO4−30%、TiO0−4%、ZrO0−9%、金属合金化剤0−10%からなる請求項9の溶接フラックス。
【請求項11】
Al20−30%、CaF10−15%、CaCO3−12.5%、FeO0.5−2%、KO0.01−0.8%、LiO0.01−0.8%、MgO12−20%、MnO7−15%、NaO1.5−5%、SiO11−23%、TiO0.1−2.5%、ZrO0.5−3.5%、Mn0−3%、Si0−3%からなる請求項10の溶接フラックス。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.05−25重量%のガス放出剤、高融点化合物および低融点化合物を含み、該高融点化合物対低融点化合物の重量%比が1−5:1であることを特徴とするパイプ溶接または片側溶接のために処方された溶接フラックス。
【請求項2】
該高融点化合物対低融点化合物の重量%比が1.2−3:1である請求項1の溶接フラックス。
【請求項3】
アーク安定化合物を含む請求項1または2の溶接フラックス。
【請求項4】
該溶接フラックス中の該アーク安定剤の重量%が0.05−15重量%である請求項3の溶接フラックス。
【請求項5】
溶接フラックス中のガス放出剤対非ガス放出剤の重量%比が1:4−100である請求項1〜4いずれか1項の溶接フラックス。
【請求項6】
0.01−25重量%の金属合金化剤を含む請求項1〜5いずれか1項の溶接フラックス。
【請求項7】
アーク安定剤0.05−10%、ガス放出剤0.05−25%、高融点成分5−75%、低融点成分2−40%、金属合金化剤0−25%からなる請求項1の溶接フラックス。
【請求項8】
アーク安定剤0.1−7%、ガス放出剤1−20%、高融点成分10−70%、低融点成分5−30%、金属合金化剤0−20%からなる請求項7の溶接フラックス。
【請求項9】
アーク安定剤2−7%、ガス放出剤2−10%、高融点成分10−70%、低融点成分5−30%、金属合金化剤0−10%からなる請求項8の溶接フラックス。
【請求項10】
Al10−35%、CaF5−25%、CaCO2−15%、FeO0−4%、KO0−2%、LiO0−2%、MgO0−25%、MnO0−25%、NaO0−8%、SiO4−30%、TiO0−4%、ZrO0−9%、金属合金化剤0−10%からなる請求項9の溶接フラックス。
【請求項11】
Al20−30%、CaF10−15%、CaCO3−12.5%、FeO0.5−2%、KO0.01−0.8%、LiO0.01−0.8%、MgO12−20%、MnO7−15%、NaO1.5−5%、SiO11−23%、TiO0.1−2.5%、ZrO0.5−3.5%、Mn0−3%、Si0−3%からなる請求項10の溶接フラックス。
【請求項12】
0.05−25重量%のガス放出剤、高融点化合物および低融点化合物を含み、該高融点化合物対低融点化合物の重量%比が1−5:1であり、該低融点化合物が酸化珪素、珪酸ナトリウムガラス、ケイ酸リチウムガラスおよびケイ酸カリウムガラスからなる群から選ばれる1以上の化合物を含み、該高融点化合物が酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化クロム、酸化鉄、酸化リチウム、酸化マグネシウム、酸化ニオブ、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化バナジウムおよび酸化ジルコンからなる群から選ばれる1以上の化合物であり、該ガス放出剤がカルシウム化合物、フッ化物放出化合物、ガス含有ビードおよびそれらの組合せから選ばれ、該ガス放出剤対非ガス放出剤の重量%比が1:4−100であることを特徴とするパイプ溶接または片側溶接のために処方された溶接フラックス。
【請求項13】
0.05−15重量%のアーク安定化合物を含み、該アーク安定化合物がフッ化カリウム、酸化カリウムおよび酸化リチウムからなる群から選ばれる1以上の化合物である請求項12の溶接フラックス。
【請求項14】
0.01−25重量%の金属合金化剤を含み、該金属合金化剤がアルミニウム、硼素、カルシウム、炭素、鉄、マンガン、ニッケル、珪素、チタンおよびジルコンからなる群から選ばれる1以上の金属を含む請求項12または13の溶接フラックス。

【公開番号】特開2006−239772(P2006−239772A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−377460(P2005−377460)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(399011597)リンカーン グローバル インコーポレーテッド (24)
【Fターム(参考)】