説明

溶接又はろう付けを伴わない燃焼室端部カバー

【課題】
耐久性の問題を低減して構造を単純化するために溶接及び/又はろう付けを不要とした端部カバー組立体を提供すること。
【解決手段】
端部カバー組立体はガスタービン燃焼器と併用されて燃焼室の後端部を覆うように設けられる。端部カバー組立体は、燃焼室の後端部(10)に固定可能な端部カバープレート(32)と、端部カバープレートに固定されるモノリスブロック(36)を含む。端部カバープレートは、溶接されたガス通路プレートを用いることなく及び/又はろう付けされた流れ通路インサートを用いることなく構成され、内部を貫通する燃料チャネル(34)を含む。モノリスブロックは端部カバープレートの燃料チャネルに対して配置される内部燃料ガス通路(38)を備え、端部カバープレートの燃料チャネルに燃料ガスを通じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガスタービンに関し、詳細には燃焼室の後端部を覆う端部カバー組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼室の後端部を覆う既存の端部カバーには、端部カバー構造の複雑性による耐久性の問題がある。端部カバーは典型的には厚板で形成され、内部通路を用いて複数の燃料ガス通路を燃焼器の燃料ノズルに連通することができる。
【0003】
典型的な構造において、 端部カバーは、燃料通路用の内部ポケットを作る溶接プレート及び/又はノズル上の複数の通路へ燃料ガスを送るための燃料流アダプタのようなろう付けインサートを含む。長期にわたる耐久性の問題に加えて複雑な設計により製造費用がかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
耐久性の問題を低減して構造を単純化するために溶接及び/又はろう付けを不要とした端部カバー組立体の設計が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
例示的な実施形態では、端部カバー組立体は燃焼室の後端部を覆う。端部カバー組立体は、燃焼室の後端部に固定可能な端部カバープレートと、端部カバープレートに固定されるモノリスブロックを含む。端部カバープレートは一体部材であり、内部を貫通する燃料チャネルを有し、燃料チャネルは、燃料ノズル入口ポートと相互作用するようにサイズ決めされて配置される。モノリスブロックは、端部カバープレートの燃料チャネルに対して配置される内部燃料ガス通路を含み、端部カバープレートの燃料チャネルへ燃料ガスを通じる。
【0006】
別の例示的な実施形態では、ガスタービン燃焼器は、燃焼室を備えたケーシングを含み、複数の燃料ノズルは、燃焼室の近傍でケーシングに配置され、記載された実施形態の端部カバー組立体はケーシングに固定されて燃焼室の後端部を覆う。
【0007】
更に別の例示的な実施形態では、端部カバー組立体は燃焼器と併用されて燃焼室の後端部を覆うために設けられる。端部カバー組立体は、燃焼室の後端部に固定可能な端部カバープレートと、端部カバープレートに固定されるモノリスブロックを含む。端部カバープレートは、溶接されたガス通路プレートを用いることなく及び/又はろう付けされた流れ通路インサートを用いることなく構成され、燃料チャネルは、燃料ノズル入口ポートと相互作用するようにサイズ決めされて配置される。モノリスブロックは、端部カバープレートの燃料チャネルに対して配置される内部燃料ガス通路(38)を含み、端部カバープレートの燃料チャネルに燃料ガスを通じる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】ガスタービン燃焼器の断面図。
【図2】端部カバー組立体の詳細を示す断面図。
【図3】端部カバー組立体の別の断面図。
【図4】端部カバー組立体の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ガスタービン燃焼システムはタービンを駆動するための高温ガスを発生する。タービンは燃焼システムでの燃焼のための圧縮空気を発生する圧縮機を駆動する。また、タービンは使用可能な出力を生み出す。ガスタービン用燃焼システムは、円形配置の燃焼室として作ることができ、圧縮機からの圧縮空気を受け入れ、燃料を圧縮空気中に噴射して燃焼反応を引き起こしタービン用の高温燃焼ガスを発生する。図1は円筒形燃焼室10の断面図である。組立体はケーシング12内に収容され、複数の燃料ノズル14を含む。典型的な構造において、複数の外側燃料ノズル(例えば、5つの外側燃料ノズル)は中心燃料ノズルを取り囲む。燃料ノズル14下流の燃焼域16は燃焼ライナ18内に設けられており、フロースリーブ20は、ライナ18を取り囲み該ライナから半径方向に離間して設けられている。燃焼生成物は、ガス遷移ダクト22を通ってタービンへ導かれる。
【0010】
前述のように、典型的な構造において、端部カバープレート組立体は前方ケーシングにボルト留めされ、燃焼器組立体の最前方端で圧力及び流れを閉じ込める。本発明の実施形態の端部カバー組立体は、従来の溶接された及び/又はろう付けされた組立体を2構成部品のボルト留め組立体に変更したものである。
【0011】
図1−4を参照すると、端部カバー組立体30はケーシング12へ固定されて燃焼室の後端部を覆う。端部カバー組立体30は、燃焼室の後端部に固定された端部カバープレート32を含む。燃料ノズル14は、端部カバープレート32の高温側(内側)にボルト留めされる。端部カバープレート32は一体部材であり、複数の燃料ノズル14の燃料ノズル入口ポートと相互作用するようにサイズ決めされて配置される燃料チャネル34を内部に含む。
【0012】
モノリスブロック36は端部カバープレート32に固定される。モノリスブロック36は、カバーの低温側(外側)で端部カバープレート32の中心にボルト留めされる。モノリスブロック36は、内部流れ通路38を利用して複数のガス入口接続部をそれぞれの燃料ノズル接続部へ移送する。つまり、燃料ガス通路38は、端部カバープレート32内の燃料チャネル34に対して配置され、端部カバープレート32の燃料チャネル34へ燃料ガスを通すようになっており、結果として燃料ノズルへつながる。
【0013】
好ましい構造において、モノリスブロックは、燃料ノズル入口ポートのそれぞれ1つに流体連通される3つの燃料ガス入口40、42、44を含む。中心燃料ノズルを取り囲む5つの外側燃料ノズルを含む燃焼室に関して、3つの燃料ガス入口のうちの第1の入口40は中心ノズルに接続することができ、3つの燃料ガス入口のうちの第2の入口42は5つの外側ノズルのうちの2つに接続することができ、3つの燃料ガス入口のうちの第3の入口44は5つの外側ノズルのうちの残りの3つに接続することができる。図示のように、3つの燃料ガス入口40、42、44は、異なる負荷状態で燃料ガスを供給可能に調整できる。つまり、3つの予混合燃料入口ポート40、42、44により、異なる運転モードに関してガス燃料の流量調整を行うことができる。
【0014】
第1の入口40は一般にエンジン冷間時の始動時に使用される。第2の入口42は40−60%の負荷状態及び始動時に使用される。第2の入口42の燃料ノズルは半径方向に位置合わせされており、第2の入口42の燃焼域は、クロスファイア管を使用して燃焼缶間で行き来して、全ての燃焼缶が確実に燃焼する。第3の入口44は約50−80%の負荷状態で使用される。80%から全負荷では第2の入口42と第3の入口44を組合せて使用するが、更に出力を高めるために随意的に第1の入口40を追加することもできる。
【0015】
3つの入口接続部40、42、44で、異なる燃料混合物及び燃料比を用いて、部分負荷、冷間又は暑い日の入口空気状態に対応するように作動状態を調節できる。別の追加的な予混合接続部をモノリスブロック36に追加できること及び/又はモノリスブロック36を燃料接続部に融通性をもたせるために従来の端部カバー組立体と一緒に使用できることに留意されたい。本発明は、3つの予混合燃料接続部に限定されず追加的な予混合接続部を使用できる。
【0016】
図3に示すように、端部カバー組立体は、追加的に境界シール46を端部カバープレート32とモノリスブロック36との間に含むことができる。境界シール46は、モノリス36と端部カバープレート32との間の予混合接合部をシールする方法を提供する。モノリス設計は、境界での専用シールを不要とする適切な金属間の境界面を用いて改良することができる。もしくは、端部カバープレートの境界領域に対するモノリス全体にガスケット形式のシールを使用することができる。
【0017】
端部カバープレート32及びモノリスブロック36を使用して端部カバー組立体10を形成することで、端部カバープレート32は、溶接されたガス通路プレートを用いることなく及び/又はろう付けされた流れ通路インサートを用いることなく構成できる。結果的に得られた単純な構造により、製造費用が低減し、長期にわたる耐久性が改善される。
【0018】
現時点で最も実用的で好ましいと思料される実施形態を例にとって本発明を説明してきたが、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明は特許請求の範囲に記載された技術的思想及びその技術的範囲に属する様々な修正及び均等な構成を包含する。
【符号の説明】
【0019】
10 円筒形 燃焼室
12 ケーシング
14 燃料ノズル
16 燃焼域
18 燃焼ライナ
20 フロースリーブ
22 ガス遷移ダクト
30 端部カバー組立体
32 端部カバープレート
34 燃料チャネル
36 モノリスブロック
38 内部流れ通路
40 燃料ガス入口
42 燃料ガス入口
44 燃料ガス入口
46 境界シール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼室の後端部を覆うための端部カバー組立体であって、
燃焼室の後端部(10)に固定可能な端部カバープレート(32)と、
前記端部カバープレートに固定され、前記端部カバープレートの燃料チャネルに対して配置される内部燃料ガス通路(38)を備え、前記端部カバープレートの前記燃料チャネルに燃料ガスを通じるモノリスブロック(36)と
を備えており、前記端部カバープレートが一体部材であって、該端部カバープレートを貫通する燃料チャネル(34)を有しており、前記燃料チャネルが、燃料ノズル入口ポートと相互作用するようにサイズ決めされて配置される、端部カバー組立体。
【請求項2】
前記モノリスブロック(36)は、前記燃料ノズル入口ポートのそれぞれの1つに流体連通可能な3つの燃料ガス入口(40、42、44)を備える、請求項1記載の端部カバー組立体。
【請求項3】
前記燃焼室(10)は、中心ノズルを取り囲む5つの外側ノズルを含み、前記3つの燃料ガス入口の第1の入口(40)は前記中心ノズルに接続可能に配置され、前記3つの燃料ガス入口の第2の入口(42)は前記5つの外側ノズルのうちの2つに接続可能に配置され、前記3つの燃料ガス入口の第3の入口(44)は前記5つの外側ノズルのうちの3つに接続可能に配置される、請求項2記載の端部カバー組立体。
【請求項4】
前記3つの燃料ガス入口(40、42、44)は、異なる負荷状態で燃料ガス供給可能に調節できる、請求項2記載の端部カバー組立体。
【請求項5】
前記端部カバープレート(32)と前記モノリスブロック(36)との間に境界シール(46)を更に備える、請求項1記載の端部カバー組立体。
【請求項6】
前記端部カバープレート(32)は、溶接されたガス通路プレートを用いることなく及び/又はろう付けされた流れ通路インサートを用いることなく構成される、請求項1記載の端部カバー組立体。
【請求項7】
燃焼室(10)を含むケーシング(12)と、
前記燃焼室に近接して前記ケーシングに配置される複数の燃料ノズル(14)と、
燃焼室の後端部(10)に固定され、燃焼室の後端部を覆う端部カバー組立体(30)と
を備えるガスタービン燃焼器であって、前記端部カバーが、
燃焼室の後端部(10)に固定される端部カバープレート(32)と、
前記端部カバープレートに固定され、前記端部カバープレートの燃料チャネルに対して配置される内部燃料ガス通路(38)を備え、前記端部カバープレートの前記燃料チャネルに燃料ガスを通じるモノリスブロック(36)と
を備えており、前記端部カバープレートが一体部材であって、該端部カバープレートを貫通する燃料チャネル(34)を有しており、前記燃料チャネルが、燃料ノズル入口ポートと相互作用するようにサイズ決めされて配置される、ガスタービン燃焼器。
【請求項8】
前記モノリスブロック(36)は、前記燃料ノズル入口ポートのそれぞれの1つに流体連通される3つの燃料ガス入口(40、42、44)を備える、請求項7記載のガスタービン燃焼器。
【請求項9】
前記燃焼室(10)は、中心ノズルを取り囲む5つの外側ノズルを含み、前記3つの燃料ガス入口の第1の入口(40)は前記中心ノズルに接続され、前記3つの燃料ガス入口の第2の入口(42)は前記5つの外側ノズルのうちの2つに接続され、前記3つの燃料ガス入口の第3の入口(44)は前記5つの外側ノズルのうちの3つに接続される、請求項8記載のガスタービン燃焼器。
【請求項10】
前記3つの燃料ガス入口(40、42、44)は、異なる負荷状態で燃料ガス供給可能に調節できる、請求項8記載のガスタービン燃焼器。
【請求項11】
前記端部カバー組立体は、前記端部カバープレート(32)と前記モノリスブロック(36)との間に境界シール(46)を更に備える、請求項7記載のガスタービン燃焼器。
【請求項12】
前記端部カバープレート(32)は、溶接されたガス通路プレートを用いることなく及び/又はろう付けされた流れ通路インサートを用いることなく構成される、請求項7記載のガスタービン燃焼器。
【請求項13】
ガスタービン燃焼器と併用して、燃焼室の後端部を覆うための端部カバー組立体であって、
燃焼室の後端部(10)に固定可能な端部カバープレート(32)と、
前記端部カバープレートに固定され、前記端部カバープレートの燃料チャネルに対して配置される内部燃料ガス通路(38)を備え、前記端部カバープレートの前記燃料チャネルに燃料ガスを通じるモノリスブロック(36)と
を備えており、前記端部カバープレートが、溶接されたガス通路プレートを用いることなく及び/又はろう付けされた流れ通路インサートを用いることなく構成され、該端部カバープレートを貫通する燃料チャネル(34)を有し、前記燃料チャネルは、燃料ノズル入口ポートと相互作用するようにサイズ決めされて配置される、端部カバー組立体。
【請求項14】
前記モノリスブロック(36)は、前記燃料ノズル入口ポートのそれぞれの1つに流体連通可能な複数の燃料ガス入口(40、42、44)を備える、請求項13記載の端部カバー組立体。
【請求項15】
前記複数の燃料ガス入口(40、42、44)は、異なる負荷状態で燃料ガス供給可能に調節できる、請求項14記載の端部カバー組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−145323(P2012−145323A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−284837(P2011−284837)
【出願日】平成23年12月27日(2011.12.27)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)