説明

溶液製膜方法及び流延装置

【課題】流延膜の両側の発泡を防止する。
【解決手段】溶液製膜設備10の流延装置11は、加熱部51と冷却ユニット52を備える。加熱部51は、バンド30の非流延面側からバンド30を加熱し、これにより流延膜36を乾燥する。冷却ユニット52は、給液部58と排気部60とを有する。給液部58はノズル59から液を霧状に噴出し、非流延面30bに供給する。排気部60は、給気ダクト66から乾燥気体を非流延面30bに供給し、排気ダクト67から非流延面30b周辺の雰囲気を吸引する。非流延面30bに対する液の供給と、非流延面30bへの乾燥気体の供給と、非流延面30b周辺の雰囲気の吸引により、バンド30の冷却を促進する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位相差フィルム等として用いるフィルムをドープから形成する溶液製膜方法、及び、溶液製膜に用いる流延装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイには、位相差フィルム等の各種のポリマーフィルムが用いられる。このようなフィルムは、液晶ディスプレイの需要の急増に伴って生産量が増す一方である。フィルムをより大量に製造するには、製造設備を増加する方法もあるが、新設のための場所の確保等が難しい等の制約が通常有るので、既存の製造設備を用いてその製造速度を上げる。
【0003】
フィルムの代表的な製造方法としては、溶液製膜方法がある。溶液製膜方法は、周知のように、ドープを支持体上で流延して流延膜を形成し、流延膜を剥ぎ取って乾燥することによりフィルムを製造する方法である。溶液製膜方法は、工業的には、連続法で行われる。すなわち、ドープを流延して流延膜とし、流延膜を剥ぎ取るまでの流延工程と、剥ぎ取られた流延膜であるフィルムを乾燥する乾燥工程とは連続して行われる。流延工程と乾燥工程とのうち流延工程での速度を上げることが、製造効率の向上につながる。
【0004】
流延膜は、搬送可能な程度にまで硬くしてから剥ぎ取られ、硬くするために流延膜を乾燥する手法を採ることがある。流延工程での速度を上げるために、流延膜をより効率よく乾燥することが求められ、流延膜を加熱する場合が多い。さらに、流延膜や支持体、あるいはこれらの周辺に乾燥風を流し、乾燥風自体を高温に加熱しておくことで、流延膜の乾燥効率をより高めることがある。
【0005】
流延膜を加熱すると、支持体のうち流延膜が形成されていない露出部分は、徐々に昇温してしまう。支持体の露出部分の温度が高く上がりすぎてしまうと、流延膜の各側部の温度も上昇しすぎて発泡する。
【0006】
そこで、ドープが流延される流延位置における流延支持体の温度を、ドープの主溶媒の沸点よりも0.5〜55℃低くする溶液製膜方法が提案されている(特許文献1参照)。流延膜を冷却する方法としては、クーラからの冷却風による方法や、環状にされた流延支持体をローラに巻きかけ、このローラを冷却する方法がある(特許文献2,3参照)。さらにまた、循環するように走行するベルトの裏面(内面)側に液を供給してベルトを冷却する方法も提案されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−216732号公報
【特許文献2】特開2006−306059号公報
【特許文献3】特開2003−071863号公報
【特許文献4】米国特許第2680470号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1には、流延位置における流延支持体の温度を上記にように低くする具体的方法が開示されていない。また、特許文献2は、流延支持体から剥ぎ取る際の流延膜については冷却されるものの、流延位置で新たに流延されて形成される流延膜については、側部に発泡が起こる。さらにまた、特許文献3の方法では、フィルムの製造速度が遅い場合には一定の効果があるかもしれないが、製造速度を上げた場合や、ドープの成分やポリマー濃度によっては、流延膜の側部が発泡するという問題がある。
【0009】
そこで、上記問題に鑑み、本発明は、流延膜の側部の発泡を防止する溶液製膜方法と流延装置とを提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、長手方向に連続走行する環状の流延支持体にドープを流延して流延膜を形成し、前記流延支持体から前記流延膜を剥がして乾燥し、前記流延膜を剥がした前記流延支持体にドープを再び流延する溶液製膜方法において、前記流延膜を加熱して乾燥し、ドープが流延される流延位置よりも上流の前記流延支持体に対して、前記流延膜が形成される流延面とは反対側の非流延面側から液体を供給し、この液体の気化による蒸発潜熱により、前記流延位置へ向かう前記流延支持体を冷却することを特徴として構成されている。
【0011】
前記液体を霧状に噴出し、前記流延支持体の幅方向に複数設けたノズルから、前記非流延面に前記液体を吹きつけることが好ましい。前記液体を供給する供給位置よりも下流で、流延支持体に対して非流延面側から乾燥気体を供給するとともに流延支持体周辺の雰囲気を回収することにより、前記液体の気化を促進することが好ましい。
【0012】
周方向に回転する一対の回転ローラの周面に巻きかけた前記流延支持体を、前記一対の回転ローラの回転により搬送し、流延位置に向かう流延支持体を巻きかけた一方の前記回転ローラに対する流延支持体の巻きかけ領域よりも上流に、前記液体を供給することが好ましい。前記液体が供給される非流延面に対して起立した姿勢で設けられ、流延支持体の走行路に沿って延びた1対の仕切り部材により、非流延面側から流延面側への前記液体の飛散を抑制することが好ましい。
【0013】
また、本発明は、長手方向に連続走行する環状の流延支持体にドープを流延して流延膜を形成し、前記流延支持体から前記流延膜を剥がして乾燥し、流延膜を剥がした前記流延支持体にドープを再び流延する溶液製膜方法において、ドープが流延される流延位置に向かう流延支持体を、周方向に回転する回転ローラの周面で支持し、前記流延膜を加熱して乾燥し、流延支持体に接触する接触領域よりも上流の前記周面に対して液体を供給し、この液体の気化による蒸発潜熱により前記回転ローラを冷却することを特徴として構成されている。
【0014】
前記液体を霧状に噴出し、前記回転ローラの長手方向に複数設けたノズルから、前記周面に前記液体を吹きつけることが好ましい。前記周面に前記液体を供給する供給位置の下流で、前記周面に対して乾燥気体を供給するとともに前記周面周辺の雰囲気を回収することにより、前記液体の気化を促進することが好ましい。
【0015】
また、本発明は、環状の流延支持体の流延面にドープを流延して流延膜とし、この流延膜を剥ぎ取る剥取位置からドープが流延される流延位置に戻るように前記流延支持体が循環して連続走行する流延装置において、流延膜を加熱して乾燥する乾燥手段と、流延支持体の流延面とは反対の非流延面に対向した開口を有し、流延位置の上流に設けられ、非流延面に前記開口から液体を供給して、この液体の気化による蒸発潜熱により、流延位置に向かう流延支持体を冷却する冷却手段とを備えることを特徴として構成されている。
【0016】
さらにまた、本発明は、環状の流延支持体の流延面にドープを流延して流延膜とし、この流延膜を剥ぎ取る剥取位置からドープが流延される流延位置に戻るように前記流延支持体が循環して連続走行する流延装置において、流延膜を加熱して乾燥する乾燥手段と、流延位置に向かう流延支持体を周面で支持して周方向に回転する回転ローラと、この回転ローラの周面に対向した開口を有し、回転ローラが流延支持体に接触する接触位置よりも上流に設けられ、非流延面に前記開口から液体を供給し、この液体の気化による蒸発潜熱により前記回転ローラを冷却する冷却手段とを備えることを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、流延膜の両側の発泡を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】溶液製膜設備の概略図である。
【図2】第1の実施形態である冷却ユニットの一部断面を含む側面概略図である。
【図3】図2のIII−III線に沿う冷却ユニットの平面概略図である。
【図4】図2及び図3のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】第1の実施形態である冷却ユニットの一部断面を含む側面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の第1の実施態様は、図1に示す溶液製膜設備10により実施することが好ましい。溶液製膜設備10は、流延装置11と、第1テンタ12と、ローラ乾燥装置15と、第2テンタ16と、スリッタ17と、巻取装置20とを、上流側から順に備える。流延装置11は、ポリマーが溶剤に溶解したドープ21からポリマーフィルム(以降、単に「フィルム」と称する)22を形成する。第1テンタ12は、フィルム22の各側部を保持手段25で保持しながらフィルム22の乾燥をすすめる。ローラ乾燥装置15は、フィルム22を複数のローラ26で支持しながら乾燥する。第2テンタ16は、フィルム22の各側部を保持手段27で保持し、フィルム22に対して幅方向での張力をフィルム22に付与する。スリッタ17は、第1テンタ12の保持手段25と第2テンタ16の保持手段27とにより保持された各側部の保持跡を切除する。巻取装置20は、フィルム22を巻き芯に巻いてロール状にする。
【0020】
なお、本明細書においては、溶剤含有率(単位;%)は乾量基準の値であり、具体的には、溶剤の質量をx、フィルム22の質量をyとするときに、{x/(y−x)}×100で求める百分率である。
【0021】
流延装置11は、環状に形成された無端の流延支持体であるバンド30と、周方向に回転する第1回転ローラ31と第2回転ローラ32とを備える。バンド30は、第1回転ローラ31と第2回転ローラ32との周面に巻き掛けられる。第1,第2回転ローラ31,32の少なくともいずれか一方が、駆動手段を有する駆動ローラであればよい。この駆動ローラが周方向に回転することにより、周面に接するバンド30が搬送される。この搬送により、バンド30は、循環して長手方向に連続走行する。
【0022】
バンド30の上方には、ドープ21を流出する流延ダイ35が備えられる。搬送されているバンド30に流延ダイ35からドープ21を連続的に流出することにより、ドープ21はバンド30上で流延されて流延膜36が形成される。なお、以下の説明においては、ドープ21がバンド30に接触を開始する位置を流延位置PC、バンド30の流延膜36が形成されるバンド面を流延面、この流延面とは反対側のバンド面を非流延面と称する。
【0023】
バンド30の非流延面側には複数の加熱部51が備えられ、この加熱部51により加熱される。この加熱により流延膜36を乾燥する。なお、加熱部51ついては、別の図面を用いて後述する。第1回転ローラ31と第2回転ローラ32とは、それぞれ周面温度を制御する温度コントローラ(図示せず)を備える。第1回転ローラ31は、周面温度が所定の範囲となるように冷却する。第2ローラ31は、周面温度が所定の範囲となるように加熱する。第1回転ローラ31を冷却することにより、バンド30は1周する毎に冷却される。これにより、連続走行して後述の加熱部51と第2回転ローラとにより加熱され続けても、バンド30の両側部30s(図3参照)の温度が過度に上昇してしまうことを防止する。流延ダイ35は、第1回転ローラ31上のバンド30の上方に設けており、流延位置PCは第1回転ローラ31上としている。流延膜36は、加熱部51による加熱で乾燥するが、第2回転ローラ32を加熱することで、より効果的に乾燥する。
【0024】
なお、本発明は、流延膜36を乾燥するために、流延膜36に対して高温の気体を吹き付けたり、あるいは、流延膜36周辺に高温の気体を流す場合にも効果がある。
【0025】
なお、第2回転ローラ32から第1回転ローラ31へ向かうバンド30の非流延面側には、バンド30を冷却する冷却ユニットが設けてある。この冷却ユニットについては、別の図面を用いて後述する。
【0026】
第1回転ローラ31の周面温度は、3℃以上30℃以下の範囲にすることが好ましく、5℃以上25℃以下の範囲にすることがより好ましく、8℃以上20℃以下の範囲にすることがさらに好ましい。第2回転ローラ32の周面温度は、20℃以上50℃以下の範囲にすることが好ましく、25℃以上45℃以下の範囲にすることがより好ましく、30℃以上40℃以下の範囲にすることがさらに好ましい。
【0027】
流延ダイ35は、第1回転ローラ31上にあるバンド30の上方に設ける態様に限定されない。例えば、第1回転ローラ31から第2回転ローラ32へ向かうバンド30の上方に設けてもよい。この場合には、第1回転ローラ31から第2回転ローラ32へ向かうバンド30の下方にローラ33を配し、ローラ33により支持されているバンド30の上方に流延ダイ35を配することが好ましい。
【0028】
ダイ31からバンド30に至るドープ21、いわゆるビードに関して、バンド30の走行方向における上流には、減圧チャンバが設けられるが図示は略す。この減圧チャンバは、流出したドープ21の上流側エリアの雰囲気を吸引して前記エリアを減圧する。
【0029】
流延膜36を、第1テンタ12への搬送が可能な程度にまで固くしてから、溶剤を含む状態でバンド30から剥がす。剥ぎ取りは、溶剤含有率が好ましくは20質量%以上50質量%以下の範囲、さらに好ましくは25質量%以上45質量%以下の範囲で行うことがより好ましい。50質量%という低い溶剤含有率に達してから剥ぎ取ることで、50質量%よりも大きい溶剤含有率で剥ぎ取る場合に比べて、遅相軸の方向をより確実に均一にすることができる。また、20質量%以上で剥ぎ取る場合には、20質量%未満で剥ぎ取る場合に比べて、製造効率をより確実に向上させることができる。
【0030】
剥ぎ取りの際には、フィルム22を剥ぎ取り用のローラ(以下、剥取ローラと称する)37で支持し、流延膜36がバンド30から剥がれる剥取位置PPを一定に保持する。剥取ローラ37は、駆動手段を備え周方向に回転する駆動ローラであってもよい。なお、剥ぎ取りは、第1回転ローラ31上のバンド30で実施することが好ましい。バンド30は循環して剥取位置PPから流延位置PCに戻ると再び新たなドープ21が流延される。
【0031】
流延装置11と第1テンタ12との間の搬送路には、送風装置(図示無し)を配してもよい。この送風装置からの送風により、フィルム22の乾燥をすすめる。
【0032】
剥ぎ取られた流延膜36、すなわちフィルム22は、第1テンタ12に案内される。第1テンタ12の保持手段25は、クリップとしてある。第1テンタ12は、フィルム22を保持手段25で保持して長手方向に搬送しながら、幅方向での張力を付与し、フィルム22の幅を拡げる。第1テンタ12には、上流側から順に、予熱エリア、延伸エリア、及び緩和エリアが形成されてある。なお、緩和エリアは無くてもよい。
【0033】
第1テンタ12は、1対のレール(図示無し)及びチェーン(図示無し)を備える。レールはフィルム22の搬送路の両側に設置され1対のレールは所定の間隔で離間して配される。このレール間隔は、予熱エリアでは一定であり、延伸エリアでは下流に向かうに従って次第に広くなり、緩和エリアでは一定である。なお、緩和エリアのレール間隔は、下流に向かうに従って次第に狭くなるようにしてもよい。
【0034】
チェーンは、原動スプロケット及び従動スプロケット(図示無し)に掛け渡され、レールに沿って移動自在に取り付けられている。複数の保持手段25は、チェーンに所定の間隔で取り付けられている。原動スプロケットの回転により、保持手段25はレールに沿って循環移動する。
【0035】
保持手段25は、第1テンタ12の入口近傍で、案内されてきたフィルム22の保持を開始し、出口に向かって移動して、出口近傍で保持を解除する。保持を解除した保持手段25は再び入口近傍に移動して、新たに案内されてきたフィルム22を保持する。
【0036】
予熱エリア、延伸エリア、緩和エリアは、ダクト41からの乾燥風の送り出しによって空間として形成されたものであり、明確な境界があるわけではない。ダクト41はフィルム22の搬送路の上方に設けられる。ダクト41は、乾燥風を送り出すスリットを有し、送風機(図示無し)から供給される。送風機は、所定の温度や湿度に調整した乾燥風をダクト41に送る。スリットがフィルム22の搬送路と対向するようにダクト41は配される。各スリットはフィルム22の幅方向に長く伸びた形状であり、搬送方向で互いに所定の間隔をもって形成されている。なお、同様の構造を有するダクトを、フィルム22の搬送路の下方に設けてもよいし、フィルム22の搬送路の上方と下方との両方に設けてもよい。
【0037】
この第1テンタ12で、フィルムは搬送されながら、ダクト41からの乾燥風により乾燥をすすめられるとともに、保持手段25により幅を所定のタイミングで変えられる。
【0038】
延伸エリアにおけるフィルム22の溶剤含有率は、7質量%以上30質量%以下であることが好ましい。延伸処理における延伸率ER1(={(延伸後の幅)/(延伸前の幅)}×100)は、5%より大きく30%以下であることが好ましい。延伸処理におけるフィルム22の温度は、80℃以上160℃以下であることが好ましい。
【0039】
ローラ乾燥装置15の内部の雰囲気は、温度や湿度などが空調機(図示無し)により調節される。ローラ乾燥装置15では、多数のローラ26にフィルム22が巻き掛けられて搬送される。ローラ乾燥装置15においても、フィルム22から溶剤が蒸発する。ローラ乾燥装置15では、溶剤含有率が5質量%以下となるまで、乾燥工程が行うことが好ましい。
【0040】
なお、ローラ乾燥装置15から出たフィルム22がカールしている場合には、ローラ乾燥装置15と第2テンタ16との間に、カールを矯正してフィルム22を平らにするカール矯正装置(図示無し)を設けてもよい。
【0041】
第2テンタ16は、フィルム22を幅方向に延伸する。この延伸により、所望の光学特性を有するフィルム22となる。得られるフィルム22は位相差フィルムとして利用することができる。第2テンタ16は、第1テンタ12と同様の構造を有する。なお、第2テンタ16に設けられるダクト42は、スリット(図示せず)から、所定の温度に加熱された乾燥風を流出し、フィルム22に向かって流れる。第2テンタ16の保持手段27も第1テンタ12と同様にクリップとしてある。
【0042】
第2テンタ16での延伸における延伸率ER2(={(延伸後の幅)/(延伸前の幅)}×100)は、10%より大きく40%以下であることが好ましい。延伸開始時におけるフィルム22の溶剤含有率は、3質量%以下であることが好ましい。延伸におけるフィルム22の温度は、130℃以上200℃以下であることが好ましい。
【0043】
製造目的とするフィルム22の光学特性によっては、第2テンタ16は用いずともよい。例えば、第1テンタ12による延伸で、目的とする特性が発現する場合には第2テンタ16は用いずともよい。
【0044】
第2テンタ16の下流のスリッタ17は、フィルム22が案内されてくると、第1テンタ12や第2テンタ16の各保持手段25,27による保持跡を含む側部を切除する。側部を切除したフィルム22を巻取装置20に送り、ロール状に巻き取る。なお、流延装置11と第1テンタ12との間や、第1テンタ12とローラ乾燥装置15との間にも、スリッタを設けてもよい。
【0045】
流延装置11について、図2〜4を参照しながら説明する。なお、図2においては、剥取ローラ37(図1参照)の図示を略し、第1回転ローラ31に巻きかけたバンド30の巻きかけ領域を、符号WAで示す。バンド30の搬送方向における巻きかけ領域の上流端には符号PWUを、下流端には符号PWDを付す。
【0046】
流延装置11には、加熱部51と冷却ユニット52とが設けてある。加熱部51は、加熱対象のバンド30を加熱するヒータ53と、このヒータ53が配され、ヒータ53による加熱を制御するコントローラ(図示無し)を有する加熱部本体54とからなる。ヒータ53は、非流延面30bを覆うようにバンド30の幅方向全域に延びている。加熱部51は、バンド30の非流延面30bにヒータ53が対向するように、非流延面30b側に配され。
【0047】
加熱部51は、バンド30の搬送路に沿って、非流延面30b側に複数設けられる。なお、本実施形態では、第1回転ローラ31から第2回転ローラに向かうバンド30の非流延面30b側には、複数のローラ57を並べて配しており、これらのローラ57によりバンド30を非流延面30b側から支持している。この支持により、バンド30が自重でたるまないようにし、バンド30の搬送経路を一定に保持する。加熱部51は、ローラ57とローラ57との間に配してある。
【0048】
加熱部51は、ヒータ53に対向しながら通過するバンド30を加熱する。この加熱により、バンド30の流延面30a上の流延膜36を加熱して乾燥する。
【0049】
冷却ユニット52は、第2回転ローラ32から第1回転ローラへ向かうバンド30の非流延面30b側に設けてあり、第1回転ローラ31に対するバンド30の巻きかけ領域WAの上流端PWUよりも上流に位置する。なお、第2回転ローラ32から第1回転ローラへ向かうバンド30の非流延面30b側には、加熱部51を配しており、冷却ユニット52は、加熱部51の下流に設けてある。
【0050】
冷却ユニット52は、給気部58を備える。給気部58は、バンド30の非流延面30bに向けて延びた複数のノズル59と、案内されてきた液61を加圧してノズル59に導く加圧手段62と、加圧手段62における圧力を制御するコントローラ63(図3参照)とを備える。ノズル59の先端には、液を霧状に噴出する開口59aが形成されている。
【0051】
本実施形態では、加圧手段62は、バンド30の幅方向(図3,4中、矢線Yで示す)に延びており、この幅方向Yに並ぶように複数のノズル59が設けられてある。ただし、加圧手段62はこの態様に限られない。例えば、それぞれひとつのノズルが設けられた複数の加圧手段(図示せず)を、幅方向Yに並べて配してもよい。
【0052】
液61が加圧手段62に案内されると、加圧手段62は液61に所定の圧力を付与する。加圧手段62は加圧した液61をノズル59へ案内して先端の開口59aから噴出して、非流延面30bへ液61を供給する。
【0053】
バンド30は、冷却ユニット52よりも上流では加熱部51及び第2回転ローラ32で加熱されており、流延位置PCにおけるよりも温度が高くなっている。このバンド30の非流延面30bへ液61が案内されると、液61は昇温して気化する。この気化による蒸発潜熱により、流延位置PPへ向かうバンド30を冷却する。この冷却により、流延位置PPにおけるバンド30の全幅域の温度が確実に低くなる。特に、バンド30の幅方向のうち、流延膜36が形成されない非流延領域である側部30sの温度が確実に下がり、バンド30の幅方向のうち、一方の側部30sと他方の側部30sとの間の中央部30cと、側部30sとの温度差が確実に小さくなる。
【0054】
このように、液61の気化によるバンド30の冷却により、流延位置PCに戻ったバンド30に再びドープ21が流延されても、流延膜36の側部が発泡することなく、流延膜36は剥取位置PPへと案内される。
【0055】
なお、流延装置11の内部では、流延膜36から蒸発した溶剤成分が気体(溶剤ガス)となるので、本実施形態では、流延装置11の内部の雰囲気は、外部へ案内して溶剤ガスを除去し、再び流延装置11へと案内する。除去された溶剤ガスは、コンデンサや吸着機等により回収して、再びドープ21の溶剤成分として用いる。このように流延装置11の内部気体から溶剤ガスを回収する場合には、液61として、ドープ21の溶剤成分として用いている液体を用いることが好ましい。ドープ21の溶剤成分を液61として用いることにより、非流延面30bから蒸発した液61を、流延膜36から蒸発した溶剤ガスとともに回収し、さらにはドープ21の溶剤成分として用いることができるし、さらに、流延装置11から回収した溶剤成分をポンプ等で給液部58に送って使用することができる。
【0056】
液61としては、第2回転ローラ32と複数の加熱部51とにより昇温したバンド30が第1回転ローラ31へ至る前に蒸発するようなものを用いることが好ましい。ただし、フィルム22の製造速度をより速める場合等、バンド30の搬送速度を大きくするほど、液61が蒸発しきらないうちに、バンド30が第1回転ローラ31や流延位置PPにまで達してしまう場合がある。そこで、冷却ユニット52は、排気部60を備えることが好ましい。
【0057】
排気部60は、複数の給気ダクト66と、排気ダクト67とを備える。給気ダクト66は、バンド30の搬送方向(図2,図3中、矢線Xで示す)に複数並ぶように配される。給気ダクト66は、バンド30の幅方向に延びた給気口66aを有し、この給気口66aから、案内されてきた乾燥気体を出す。排気部60は、さらに、給気ダクト66に接続する送風機68と、送風機68を制御するコントローラ69とを備える。送風機68は、外部から取り込んだ空気等を調整して乾燥気体とした上で、この乾燥気体を給気ダクト66へ供給する。コントローラ69は、送風機68における気体の温度及び湿度を調整するとともに、給気ダクト66へ供給する乾燥気体の流量を制御する。
【0058】
排気ダクト67は、給液部58と給気ダクト66とを介してバンド30の非流延面30bを覆う箱状のダクトである。排気ダクト67には、非流延面30bに対向し、幅方向Yに延びた吸引口67aが、バンド30の搬送方向Xに沿って複数形成されている。排気部は、さらに、排気ダクト67に接続する吸引機71を備える。吸引機71は、排気ダクト67の外部の雰囲気を吸引する。吸引機71はコントローラ69に接続し、コントローラ69は吸引機71における吸引力を制御する。
【0059】
排気部67は、給気ダクト66aにより非流延面30側からバンド30に対して乾燥気体を供給するとともに、非流延面30b周辺の雰囲気を排気ダクト67から吸引する。これにより、非流延面30bに吹き付けられた液61の気化がより促進する。
【0060】
本実施形態では、非流延面30bを法線方向からみたときに、吸引口67aと給気口66aとが、バンド30の搬送方向Xに沿って交互となるように、吸引ダクト66と排気ダクト67とを配してある。これにより、下流側の給気口66aから上流側の吸引口67aへの気体の流れが一定とされ、バンド30の冷却がより確実に為される。
【0061】
なお、本実施形態における給液部58は、液61を霧状に噴出するいわゆる1流体式噴出手段であるが、これに代えて、2流体式噴出手段を用いてもよい。2流体式噴出手段とは、液61に気体をまぜて、液61と気体とを共に噴出するものである。ただし、給液部58として霧状に液61のみを噴出する1流体式噴出手段を用いる方が、2流体式噴出手段を用いるよりも、確実に冷却して温度を下げる観点では好ましい。2流体式では、非流延面30b周辺の雰囲気温度を下げることはできるが、バンド30を直接濡らす1流体式に比べて冷却効果が劣るからである。1流体式・2流体式噴出手段としては、それぞれ市販される公知の噴出手段を用いてもよい。市販のものとしては、例えば、スプレーイングシステムスジャパン製のビージェットH−VV、316ステンレス製が挙げられる。
【0062】
また、本実施形態では、液61を霧状に噴出して非流延面30bに吹き付けたが、液の非流延面30bに対する供給方法はこれに限定されない。他の供給方法としては、非流延面30bに対する液61の塗布があり、塗布する方法としては、各種の塗布ダイからの流出、バーコータを用いる塗布等がある。ただし、非流延面30bに傷を付けないという観点と確実な冷却効果という観点とからは、本実施形態のような霧状の噴出による吹きつけが最も好ましい。
【0063】
非流延面30bへ供給する液61の供給量は、バンド30の材質と、液61の種類とに基づいて決定するとよい。例えば、バンド30の温度を1℃下げるために1mあたりの液61の供給量は、(θb×ρb×Cb)/(λ×ρs)の式により求めることができる。この式において、θb(単位;mm)はバンドの厚み、Cb(単位;J/(kg・℃))はバンド30の比熱、ρb(単位;kg/m)はバンドの密度、λ(単位;kJ/kg)は液61の蒸発潜熱、ρs(単位;kg/m)は液61の密度を示す。
【0064】
上記の式により、SUS304製の厚み1.6mmのバンド30を用い、液61としてジクロロメタンを用いた場合には、θb=1.6mm、Cb=590J/(kg・℃)、ρb=7930kg/m、λ=329kJ/kg、ρs=1327kg/mであるので、バンド30の温度を1℃下げるために必要な1mあたりへの吹きつけ量は17.1mL/(m・℃)、供給による液61の厚みは0.0171mm/℃となる。
【0065】
冷却ユニット52は、給液部58から出された液61が非流延面30bから流延面30a側へ飛散することを抑制する仕切り部材を備えることが好ましい。本実施形態では、一対の仕切り部材としての仕切板72を、非流延面30b側に設けてある。バンド30の走行路に沿って延びた仕切板72は、非流延面30bに対して起立した姿勢で設けてある。仕切板72は、給液部58から、複数の給気ダクト66のうち最も下流のひとつへと延びている。これにより、液61の流延面30a側への回り込みを防ぐと共に、給気ダクト66から排気ダクト67への気体の流れがより確実に安定する。
【0066】
仕切板72は、非流延面30bからの距離が概ね10mm程度の位置に配すればよい。すなわち、非流延面30bから仕切板72までの距離D1(図4参照)が10mm程度であればよい。また、仕切板72は、バンド30の側縁から概ね10mm程度、バンド30の幅方向中央寄りの位置に配すればよい。すなわち、バンド30から仕切板72までの距離D2(図4参照)が10mm程度であればよい。
【0067】
上記の第1の実施形態では、冷却ユニット52によりバンド30を直接冷却しているが、本発明はこの態様に限られない。例えば、下記の第2の実施形態のように、冷却ユニット52により第1回転ローラ31を冷却し、この第1回転ローラ31を介してバンド30を冷却してもよい。
【0068】
図5では、第1回転ローラ31の周面31aのうち、バンド30と接触する接触領域を符号CAで示し、第1回転ローラ31の回転方向における接触領域CAの上流端に符号CAU、下流端に符号CADを付す。符号CAUは、図2に示すバンド30の巻きかけ領域WAの上流端WAUに、符号CADは、巻きかけ領域WAの下流端WADに、それぞれ重なる位置である。
【0069】
第2の実施態様では、冷却ユニット52を、接触領域CAの下流端CADから上流端CAUに至る周面31aに対向する位置に配してある。すなわち、冷却ユニット52は、第1回転ローラ31の回転方向における接触領域CAの上流に配してある。冷却ユニット52は、第1の実施形態で用いたものと構成は同じであるので、説明及び図5における図示を略し、以下には、第1の実施形態と異なる点のみを説明する。
【0070】
給液部58は、ノズル59の先端の開口59aが接触領域CAの下流端CADから上流端CAUに至る周面31aに対向するように、配する。加圧手段62は、第1回転ローラ31の長手方向に延びており、加圧手段62の長手方向に沿って複数のノズル59が設けられている。複数の給気ダクト66は、第1回転ローラ31の回転方向における給液部58の下流に、回転方向に沿って並べて配される。
【0071】
給液部58は、第1回転ローラ31の回転方向における接触領域CAの上流の周面31aに液61(図3,4)を供給し、この液の気化による蒸発潜熱で、第1回転ローラ31をより低い温度に冷却する。バンド30は、接触領域CAの上流端CAUに案内されると、第1回転ローラ31に接触し、接触領域CAにおいて冷却され、流延位置PCに案内される。これにより、流延位置PCにおけるバンド30は、確実に冷却され、流延膜36の側部が発泡することはなくなる。
【0072】
本発明は、液晶ディスプレイ等の位相差フィルムとして用いるフィルムを製造する場合に特に好ましい。
【0073】
セルロースアシレートは特に限定されない。セルロースアシレートのアシル基は1種類だけでも良いし、あるいは2種類以上のアシル基を有していても良い。アシル基が2種以上であるときは、その1つがアセチル基であることが好ましい。セルロースの水酸基をカルボン酸でエステル化している割合、すなわち、アシル基の置換度が下記式(I)〜(III)の全てを満足するものが好ましい。なお、以下の式(I)〜(III)において、A及びBは、アシル基の置換度を表わし、Aはアセチル基の置換度、またBは炭素原子数3〜22のアシル基の置換度である。
【0074】
(I) 2.0≦A+B≦3.0
(II) 1.0≦ A ≦3.0
(III) 0 ≦ B ≦2.0
【0075】
アシル基の全置換度A+Bは、2.20以上2.90以下であることがより好ましく、2.40以上2.88以下であることが特に好ましい。また、炭素原子数3〜22のアシル基の置換度Bは、0.30以上であることがより好ましく、0.5以上であることが特に好ましい。中でも、本発明は、セルロースアシレートとしてセルロースジアセテート(DAC)を用いた場合に特に大きな効果がある。
【符号の説明】
【0076】
10 溶液製膜設備
11 流延装置
21 ドープ
22 フィルム
30 バンド
31,32 第1,第2回転ローラ
51 加熱部
52 冷却ユニット
58 給液部
59 ノズル
60 排気部
66 給気ダクト
67 排気ダクト
72 仕切板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に連続走行する環状の流延支持体にドープを流延して流延膜を形成し、前記流延支持体から前記流延膜を剥がして乾燥し、前記流延膜を剥がした前記流延支持体にドープを再び流延する溶液製膜方法において、
前記流延膜を加熱して乾燥し、
ドープが流延される流延位置よりも上流の前記流延支持体に対して、前記流延膜が形成される流延面とは反対側の非流延面側から液体を供給し、この液体の気化による蒸発潜熱により、前記流延位置へ向かう前記流延支持体を冷却することを特徴とする溶液製膜方法。
【請求項2】
前記液体を霧状に噴出し、前記流延支持体の幅方向に複数設けたノズルから、前記非流延面に前記液体を吹きつけることを特徴とする請求項1記載の溶液製膜方法。
【請求項3】
前記液体を供給する供給位置よりも下流で、前記流延支持体に対して前記非流延面側から乾燥気体を供給するとともに前記流延支持体周辺の雰囲気を回収することにより、前記液体の気化を促進することを特徴とする請求項1または2記載の溶液製膜方法。
【請求項4】
周方向に回転する一対の回転ローラの周面に巻きかけた前記流延支持体を、前記一対の回転ローラの回転により搬送し、
前記流延位置に向かう前記流延支持体を巻きかけた一方の前記回転ローラに対する前記流延支持体の巻きかけ領域よりも上流に、前記液体を供給することを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載の溶液製膜方法。
【請求項5】
前記液体が供給される前記非流延面に対して起立した姿勢で設けられ、前記流延支持体の走行路に沿って延びた1対の仕切り部材により、前記非流延面側から前記流延面側への前記液体の飛散を抑制することを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項記載の溶液製膜方法。
【請求項6】
長手方向に連続走行する環状の流延支持体にドープを流延して流延膜を形成し、前記流延支持体から前記流延膜を剥がして乾燥し、前記流延膜を剥がした前記流延支持体にドープを再び流延する溶液製膜方法において、
前記ドープが流延される流延位置に向かう前記流延支持体を、周方向に回転する回転ローラの周面で支持し、
前記流延膜を加熱して乾燥し、
前記流延支持体に接触する接触領域よりも上流の前記周面に対して液体を供給し、この液体の気化による蒸発潜熱により前記回転ローラを冷却することを特徴とする溶液製膜方法。
【請求項7】
前記液体を霧状に噴出し、前記回転ローラの長手方向に複数設けたノズルから、前記周面に前記液体を吹きつけることを特徴とする請求項6記載の溶液製膜方法。
【請求項8】
前記周面に前記液体を供給する供給位置の下流で、前記周面に対して乾燥気体を供給するとともに前記周面周辺の雰囲気を回収することにより、前記液体の気化を促進することを特徴とする請求項6または7記載の溶液製膜方法。
【請求項9】
環状の流延支持体の流延面にドープを流延して流延膜とし、この流延膜を剥ぎ取る剥取位置からドープが流延される流延位置に戻るように前記流延支持体が循環して連続走行する流延装置において、
前記流延膜を加熱して乾燥する乾燥手段と、
前記流延支持体の前記流延面とは反対の非流延面に対向した開口を有し、前記流延位置の上流に設けられ、前記非流延面に前記開口から液体を供給して、この液体の気化による蒸発潜熱により、前記流延位置に向かう前記流延支持体を冷却する冷却手段とを備えることを特徴とする流延装置。
【請求項10】
環状の流延支持体の流延面にドープを流延して流延膜とし、この流延膜を剥ぎ取る剥取位置からドープが流延される流延位置に戻るように前記流延支持体が循環して連続走行する流延装置において、
前記流延膜を加熱して乾燥する乾燥手段と、
前記流延位置に向かう前記流延支持体を周面で支持して周方向に回転する回転ローラと、
前記回転ローラの周面に対向した開口を有し、前記回転ローラが前記流延支持体に接触する接触位置よりも上流に設けられ、前記非流延面に前記開口から液体を供給し、この液体の気化による蒸発潜熱により前記回転ローラを冷却する冷却手段とを備えることを特徴とする流延装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−71475(P2012−71475A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−217405(P2010−217405)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】