説明

溶液製膜方法及び設備

【課題】流延膜を流延ドラムから剥げ残り無く剥ぎ取る他に、流延ドラム表面への析出物の発生を抑える。
【解決手段】流延ドラム32の周面32bに、疎水化層32cを形成する。疎水化層32cをPTFE製とし、水接触角を90°以上にする。流延ダイ30を用いて、ドープ21を流延ドラム32の表面上に流延する。流延ドラム32が回転し、流延ドラム32の表面上に流延膜33を形成する。流延膜33は流延ドラム32上で冷却される。この冷却により、流延膜33から脂肪酸エステルを主成分とする析出物が流延ドラム32の表面に析出しようとするが、疎水化層32cによる撥水性によって、析出物の付着が阻止される。また、撥水性によって、流延膜33の剥ぎ取り時に剥ぎ残りが無くなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンドレスに走行する支持体上に、ポリマーと溶媒とを含むドープを流延し、前記支持体上に流延膜を形成した後に前記支持体から前記流延膜を剥ぎ取り乾燥させてフイルムを製造する溶液製膜方法及び設備に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマーフイルム(以下、フイルムと称する)は、優れた光透過性や柔軟性および軽量薄膜化が可能であるなどの特長から光学機能性フイルムとして多岐に利用されている。中でも、セルロースアシレートなどを用いたセルロースエステル系フイルムは、強靭性を有し、低複屈折率であることから、写真感光用フイルムをはじめとして、近年市場が拡大している液晶表示装置(LCD(Liquid Crystal Display))の構成部材である偏光板の保護フイルムまたは光学補償フイルムなどの光学機能性フイルムに用いられている。
【0003】
フイルムの主な製造方法としては、溶融押出方法と溶液製膜方法とがある。溶融押出方法とは、ポリマーをそのまま加熱溶解させた後、押出機で押し出してフイルムを製造する方法であり、生産性が高く、設備コストも比較的低額であるなどの特徴を有する。しかし、膜厚精度を調整することが難しく、また、フイルム上に細かいスジ(ダイライン)ができるために、光学機能性フイルムへ使用することができるような高品質のフイルムを製造することが困難である。一方、溶液製膜方法は、ポリマーと溶媒とを含んだポリマー溶液(以下、ドープと称する。なお、本発明においてドープとは、ポリマーを溶媒に溶解または分散させることで得られるポリマー溶液または分散液を意味している。)を支持体上に流延して形成した流延膜が自己支持性を有するものとなった後、これを支持体から剥がして湿潤フイルムとし、さらに、この湿潤フイルムを乾燥させてフイルムとする方法である。溶融押出方法と比べて、光学等方性や厚み均一性に優れるとともに、含有異物の少ないフイルムを得ることができるため、LCD用途などの光学機能性フイルムは、主に溶液製膜方法で製造されている。
【0004】
この溶液製膜方法では、セルローストリアセテートなどのポリマーをジクロロメタンや酢酸メチルを主溶媒とする混合溶媒に溶解したドープを調製する。更に、このドープに所定の添加剤を混合し、流延用のドープを調製する。このドープを流延ダイより吐出させて流延ビードを形成させ、キャスティングドラムやエンドレスバンドなどの支持体上に流延し流延膜を形成する(以下、流延工程と称する)。そして、流延膜が支持体上で乾燥又は冷却され、自己支持性を有するものとなった後に、支持体から膜(以下、この膜を湿潤フイルムと称する)として剥ぎ取り、この湿潤フイルムを乾燥させたものをフイルムとして巻き取る。
【0005】
流延工程においては、長時間連続運転していると、流延膜から脂肪酸、脂肪酸エステルや脂肪酸金属塩などを主成分とする化合物が支持体の表面に析出し、この析出物が支持体表面に付着してしまうプレートアウトという問題が発生する。この析出物が付着した支持体を用いてフイルムを製造すると、この析出物がフイルムの表面に転写される。このようなフイルム表面への析出物の転写は、光学特性のムラの原因となる。また、支持体表面に付着した析出物は、流延膜の剥離阻害要因となり、剥げ残りが生じることがある。この剥げ残りが進行すると、流延膜の破断に至ることがあり、流延停止となってしまう。このため、溶液製膜方法では、定期的に支持体表面を洗浄する必要があった。
【0006】
この支持体表面の洗浄方法として、有機溶液等を浸した不織布を用いて支持体表面を連続的に拭く方法(特許文献1)や、フイルム表面に溶媒処理、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、及び火炎処理などの処理を施し、フイルム表面の異物を除去する方法(特許文献2)が開示されている。
【特許文献1】特開2003−1654号公報
【特許文献2】特開2001−89590号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のように、有機溶剤を浸した不織布で支持体表面を拭くウェット処理では、連続流延を中断して定期的に支持体の清掃作業を行う必要があり、生産効率が低下する。また、特許文献2のように、フイルム表面上の付着物の除去処理を行う場合には、フイルムの特性に影響を及さないような条件で除去処理を施すことが望ましいが、この条件を見出すことは容易ではない。また、この処理条件がフイルムを構成する材料及びその組成に依存するため、多品種のフイルム製造に対応可能なフイルム製造装置への適用は困難である。
【0008】
ところで、近年のLCDなどの薄型表示装置の需要の急速な増加に伴い、溶液製膜方法の製膜速度の高速化(例えば、50m/分以上)が強く望まれている。製膜速度を上げるためには、支持体からの流延膜の剥離が容易になるように、支持体の温度を下げる、または支持体上での流延膜の乾燥条件を強化する等の処置が必要になる。
【0009】
しかしながら、支持体を冷却すると、支持体上にドープ不純物が析出し易くなり、上記プレートアウトの問題が深刻になる。また、高速製膜下において、上述の洗浄方法では充分な洗浄力が得られないため、支持体表面の洗浄時或いは新たな支持体の交換のためには、ドープの流延速度を低下させる、或いは流延工程を一旦停止せざるを得ない。
【0010】
また、溶液製膜方法で用いるドープには、引火性、発火性の高い化合物が含まれることが多いため、流延室内の雰囲気を窒素などに置換するなどして、防爆対策を講じている。したがって、支持体表面の洗浄或いは支持体の交換作業時には、流延室の雰囲気を大気に置換し、作業完了後には、流延室の雰囲気を窒素などに再度置換する必要が生じる。この溶液製膜方法に特有な要因が、製膜速度の高速化を極めて困難なものとしていた。
【0011】
本発明は、上記問題に鑑み、支持体表面に付着する析出物の発生を抑えると共に、支持体から流延膜を剥ぎ取る際の剥げ残りを無くすようにした溶液製膜方法及び設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記目的を達成するために、エンドレスに走行する支持体上に、ポリマーと溶媒とを含むドープを流延し、前記支持体上に流延膜を形成した後に前記支持体から前記流延膜を湿潤フイルムとして剥ぎ取り乾燥させてフイルムを製造する溶液製膜方法において、前記支持体上の前記流延膜形成エリアに、水接触角が90°以上の疎水化層が形成されている前記支持体を用い、前記疎水化層上に前記流延膜を形成することを特徴とする。また、前記疎水化層は疎水性物質から構成され、前記支持体は冷却ドラムから構成され、前記流延膜は冷却ゲル化により自己支持性を有して剥ぎ取られる。また、前記疎水性物質は、PTFEまたはPPである。また、前記支持体から前記流延膜を剥ぎ取った後の前記湿潤フイルムをニップローラにより挟持搬送して平滑化している。前記ポリマーとしては、セルロースアシレートを含むことが好ましく、前記セルロースアシレートが、セルローストリアセテート、セルロースアセテート、プロピオネート又はセルロースアセテートブチレートのうち少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0013】
また、本発明は、エンドレスに走行する支持体上に、ポリマーと溶媒とを含むドープを流延し、前記支持体上に流延膜を形成した後に前記支持体から前記流延膜を湿潤フイルムとして剥ぎ取り乾燥させてフイルムを製造する溶液製膜設備において、前記支持体上の前記流延膜形成エリアに形成され、水接触角が90°以上の疎水化層を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の溶液製膜方法によれば、支持体上の流延膜形成エリアに、水接触角が90°以上の疎水化層を形成しているので、撥水性に優れるため、ドープからの析出物が少なくなり、プレートアウトの発生が抑えられる。また、流延膜を確実且つ容易に剥ぎ取ることが可能になり、剥げ残りが発生することがなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明の実施態様について詳細に説明する。ただし、本発明はここに挙げる実施態様に限定されるものではない。
【0016】
[溶液製膜設備]
図1に、本実施形態で用いる溶液製膜設備10の概略図を示す。溶液製膜設備10は、ストックタンク11と流延室12とピンテンタ13とクリップテンタ14と乾燥室15と冷却室16と巻取室17とを有する。
【0017】
ストックタンク11は、モータ11aで回転する攪拌翼11bとジャケット11cとを備えており、その内部にはフイルム20の原料となるドープ21が貯留されている。ストックタンク11内のドープ21は、ジャケット11cにより温度が略一定となるように調整される。また、攪拌翼11bの回転によって、ポリマーなどの凝集を抑制しつつ、ドープ21を均一な品質に保持している。ストックタンク11の下流には、ギアポンプ25及び濾過装置26が設置されており、これらを介してドープ21が流延ダイ30に送られる。
【0018】
流延室12には、流延ダイ30、支持体としての流延ドラム32、剥取ローラ34、温調装置35,36、及び減圧チャンバ37が設置されている。流延ドラム32は図示を省略した駆動装置により回転されており、この回転中の流延ドラム32の周面に向けて、流延ダイ30からドープ21が吐出され、流延ドラム32の周面に流延膜33が形成される。
【0019】
流延室12内及び流延ドラム32は、温調装置35,36によって、流延膜33が冷却固化(ゲル化)し易い温度に設定されている。そして、流延ドラム32が約3/4回転する間に、流延膜33は自己支持性を有するゲル強度に達し、剥取ローラ34によって流延ドラム32から剥ぎ取られる。
【0020】
減圧チャンバ37は、流延ダイ30に対し、ドラム走行方向上流側に配置されており、チャンバ37内を負圧に保っている。これにより、流延ビードの背面(後に、流延ドラム32の周面32bに接する面)側を所望の圧力に減圧し、流延ドラム32が高速で回転することにより発生する同伴風の影響を少なくし、安定した流延ビードを流延ダイと流延ドラムとの間に形成し、膜厚ムラの少ない流延膜33が形成される。そして、流延膜33が自己支持性を有するものとなった後、剥取ローラ34は、流延ドラム32上の流延膜33を湿潤フイルム38として剥ぎ取る。
【0021】
流延ダイ30の材質は、電解質水溶液、ジクロロメタンやメタノールなどの混合液に対する高い耐腐食性、及び低い熱膨張率を有する素材から形成される。流延ダイ30の接液面の仕上げ精度は表面粗さで1μm以下、真直度はいずれの方向にも1μm/m以下のものを用いることが好ましい。
【0022】
流延ドラム32の周面32bは、クロムメッキ処理が施され、十分な耐腐食性と強度を有する。また、温調装置36は、流延ドラム32の周面32bの温度を所望の温度に保つために、流延ドラム32に伝熱媒体を循環させる。伝熱媒体は所望の温度に保持されており、流延ドラム32内の伝熱媒体流路を通過することにより、流延ドラム32の周面32bの温度が所望の温度に保持される。
【0023】
流延ドラム32の幅は特に限定されるものではないが、ドープの流延幅の1.1倍〜2.0倍の範囲のものを用いることが好ましい。流延ドラム32の材質は、ステンレス製であることが好ましく、十分な耐腐食性と強度とを有するようにSUS316製であることがより好ましい。流延ドラム32の周面32bに施されるクロムメッキ処理はビッカース硬さHv700以上、膜厚2μm以上、いわゆる硬質クロムメッキであることが好ましい。
【0024】
図2及び図3に示すように、流延ドラム32の周面32bには、流延膜33の形成エリアよりも幅広な領域で、疎水化層32cが形成されている。疎水化層32cは、表面の水接触角度が90°以上の材質のものが用いられる。例えばポリテトラフルオロエチレン(4フッ化)(PTFE)、ポリオレフィン(PP)等が用いられ、流延ドラム32の周面32bに厚さ1〜200μmでコーティングにより形成される。この疎水化層32cは、中心線表面粗さRaが0.5μm未満となるように表面処理されている。また、ピンホールができるだけ少ないものが用いられる。この疎水化層32cによって、ドープ21からの析出物の発生が抑えられる。また、流延膜33の剥離性が向上し、剥げ残りなく剥離することができる。水接触角度は、水を支持体である流延ドラム32の周面32b上に滴下し、この滴下した水の形状を撮影して、その画像から接触角度を算出している。
【0025】
図1に示すように、流延室12内には、蒸発している有機溶媒を凝縮回収するための凝縮器(コンデンサ)39と凝縮液化した溶媒を回収する回収装置40とが備えられている。凝縮器39で凝縮液化した有機溶媒は、回収装置40により回収される。その溶媒は再生装置で再生された後に、ドープ調製用溶媒として再利用される。
【0026】
流延室12の下流には、渡り部41、ピンテンタ13、クリップテンタ14が順に設置されている。渡り部41は、搬送ローラ42によって剥ぎ取った湿潤フイルム38をピンテンタ13に導入する。ピンテンタ13は、湿潤フイルム38の両端部を貫通して保持する多数のピンプレートを有し、このピンプレートが軌道上を走行する。この走行中に湿潤フイルム38に対し乾燥風が送られ、湿潤フイルム38は走行しつつ乾燥され、フイルム20となる。
【0027】
クリップテンタ14は、フイルム20の両端部を把持する多数のクリップを有し、このクリップが延伸軌道上を走行する。この走行中にフイルム20に対し乾燥風が送られ、フイルム20はフイルム幅方向に延伸されながら乾燥される。クリップテンタ14の所定条件下の延伸処理によって、クリップテンタ14を出たフイルム20には所望の光学特性が付与される。なお、フイルム20への光学特性の付与は、フイルム20の巻取後にオフラインで行っても良く、この場合には、溶液製膜設備10からクリップテンタ14を省略してもよい。
【0028】
ピンテンタ13及びクリップテンタ14の下流にはそれぞれ耳切装置43が設けられている。耳切装置43はフイルム両端部の耳を裁断する。この裁断した耳は風送によりクラッシャ44に送られて、ここで粉砕され、ドープ等の原料として再利用される。
【0029】
乾燥室15には、多数のローラ47が設けられており、これらにフイルム20が巻き掛けられて搬送されることにより乾燥が行われる。乾燥室15には吸着回収装置48が接続されており、フイルム20から蒸発した溶媒が吸着回収される。
【0030】
乾燥室15の出口側には冷却室16が設けられており、この冷却室16でフイルム20が室温となるまで冷却される。冷却室16の下流には強制除電装置(除電バー)49が設けられており、フイルム20が除電される。さらに、強制除電装置49下流側には、ナーリング付与ローラ50が設けられており、フイルム20の両側縁部にナーリングが付与される。巻取室17には、プレスローラ52を有する巻取機51が設置されており、フイルム20が巻き芯にロール状に巻き取られる。
【0031】
[溶液製膜方法]
次に、図1を用いて、溶液製膜設備10によりフイルム20を製造する方法の一例を説明する。ストックタンク11では、ジャケット11cの内部に伝熱媒体を流すことによりドープ21の温度を25〜35℃に調整するとともに、攪拌翼11bの回転により常に均一化している。適宜適量のドープ21を、ギアポンプ25によりストックタンク11から濾過装置26に送り込み濾過することにより、ドープ21中の不純物を取り除く。そして、このドープ21を流延ダイ30から流延ビードを形成させながら、所定の表面温度になるように冷却した流延ドラム32の周面32b上に流延する。流延時のドープ21の温度は、30〜35℃の範囲内で略一定に保持されることが好ましい。
【0032】
流延ドラム32は、駆動装置により軸32aを中心に回転している。この回転により、周面32bは、方向Z1へ一定速度(30m/分以上200m/分以下)で走行している。また、流延ドラム32の周面32bの温度は−10〜10℃の範囲内で略一定になるように調整されている。このように冷却された流延ドラム32を用いると、流延膜33をゲル化させて自己支持性を持たせることができる。なお、周面32bの温度の管理は温調装置36により行われ、流延ドラム32の周面32bの温度を所定の値に保持する。流延膜33の冷却が進行すると、結晶の基となる架橋点が形成されて流延膜33のゲル化が促進される。
【0033】
ゲル化の進行により、流延膜33が自己支持性を有するものとなった後、剥取ローラ34により流延ドラム32から剥ぎ取って湿潤フイルム38とし、この湿潤フイルム38を搬送ローラ42によりピンテンタ13に送り込む。
【0034】
図2に示すように、流延ドラム32の周面32bには、疎水化層32cが形成されており、この疎水化層32cでは水接触角が90°以上に設定されているため、ドープ21の冷却ゲル化により析出物が発生しても、これがドラム周面に付着することはなく、流延膜(ドープ)33内に留まるため、析出物の付着に至ることがなく、析出物が流延ドラム周面32bに付着してしまうプレートアウトの発生が抑えられる。
【0035】
また、疎水化層32cによる撥水効果によって、流延膜33の耳部が流延ドラム32に剥げ残ることもなくなり、流延膜33を確実に剥ぎ取ることかできるので、剥ぎ取り不良による流延停止などが発生することがなく、効率良く溶液製膜が行える。
【0036】
図1に示すように、流延室12の内部温度は、温調装置35により10〜57℃の範囲内で略一定となるように調整される。流延室12の内部には、流延されるドープ21や流延膜33中の溶媒が揮発して浮遊している。そこで、本実施形態では、この浮遊溶媒を凝縮器39により凝縮液化した後、回収装置40に回収し、さらに再生装置により再生して、ドープ調製用溶媒として再利用する。
【0037】
ピンテンタ13では、多数のピンを湿潤フイルム38の両側端部に差し込んで固定した後、この湿潤フイルム38を搬送する間に乾燥を促進させてフイルム20とする。そして、まだ溶媒を含んでいる状態のフイルム20をクリップテンタ14に送り込む。このとき、クリップテンタ14に送られる直前でのフイルム20の残留溶媒量は、50〜150重量%であることが好ましい。なお、本発明では、フイルム中に残留する溶媒量を乾量基準で示したものを残留溶媒量とする。また、その測定方法は、対象のフイルムからサンプルを採取し、このサンプルの重量をx、サンプルを乾燥した後の重量をyとするとき、{(x−y)/y}×100で算出する。
【0038】
クリップテンタ14では、チェーンの動きによりエンドレスで走行する多数のクリップによりフイルム20の両側端部を挟持した後、このフイルム20を搬送する間に、乾燥を促進させる。このとき、対面するクリップ間距離(フィルム幅)を拡げてフイルム20の幅方向に張力を付与することでフイルム20を延伸する。このように、フイルム20の幅方向への延伸処理により、フイルム20中の分子が配向し、所望のレターデーション値をフイルム20に付与することができる。
【0039】
ピンテンタ13及びクリップテンタ14を出たフイルム20は、耳切装置43によって両側端部が裁断される。両側端部が切断されたフイルム20は、乾燥室15と冷却室16とを経由し、巻取室17内の巻取機51によって巻き取られる。また、耳切装置43によって切断された両側端部はクラッシャ44により粉砕されて、ドープ調製用チップとなり再利用される。
【0040】
巻取機51で巻き取られるフイルム20は、長手方向(流延方向)に少なくとも100m以上とすることが好ましい。また、フイルム20の幅が600mm以上であることが好ましく、1400mm以上2500mm以下であることがより好ましい。また、本発明は、2500mmより幅広の場合にも効果がある。さらに、フイルム20の厚みが20μm以上または80μm以下の薄いフイルムを製造する際にも本発明は適用される。
【0041】
次に、図4に示すように、渡り部60にニップローラ対61を配置した別の実施形態について説明する。疎水化層32cはPTFE、POなどで形成されるため、この疎水化層32cの表面平滑性が製品要求レベルを下回ることがあり、この場合には得られるフイルムの平滑性に問題が生じる場合がある。これを解決するために、剥ぎ取り直後に、表面が平滑に仕上げられた平滑ローラ61a,61bからなるニップローラ対61により湿潤フィルム62を挟持搬送して、表面を平滑に仕上げる。ニップローラ対61は、湿潤フイルム62のゲル強度を損なうことがないように、流延ドラム32と略同じ温度に冷却されている。冷却方式は、ローラ61a,61b内に冷媒を循環させるタイプやローラ61a,61bに冷風を当てる送風タイプや、その他の冷却方式が用いられる。
【0042】
ニップローラ対61の周面61cの中心線平均粗さRaが0.5μm未満となるように研磨したものを用いることが好ましく、この場合には、例えばSUS316製のローラ周面に対してハードクロームメッキ処理した後に、研磨により中心線平均粗さRaを所定の範囲内にする。周面61cの表面欠陥は最小限に抑制する必要がある。具体的には、30μm以上のピンホールが無く、10μm以上30μm未満のピンホールは1個/m2以下であり、10μm未満のピンホールは2個/m2以下であることが好ましい。このような表面欠陥が少なく中心線平均粗さRaが0.5μm未満となる周面を有するニップローラ対61を用いることで、平滑度に優れたフイルムが得られる。
【0043】
ニップローラ対61は1組であっても2個以上の複数組であってもよい。複数組の場合には、ニップ圧を例えば次第に高くしていくように、変えることで、湿潤フイルム62の平滑度を向上させてもよい。また、湿潤フイルム62を挟持することなく、図5に示すように、湿潤フイルム62のラップ角度を大きくした平滑化ローラ65を千鳥状に複数本配置して渡り部66を構成し、湿潤フイルム62の平滑化処理を行ってもよい。この場合には平滑化ローラ65の周面65aの表面粗さ及び表面欠陥は、上記ニップローラ対61の各ローラ61a,61bと同様に形成する。
【0044】
上記実施形態では、疎水化層32cを水接触角が90°以上のフッ素系材料やポリオレフィン材料から構成したが、これに代えて、図6に示すように、流延ドラムの金属製周面70aを微細加工し、例えば頂部直径が5μm〜100μmの微細なピン71を多数形成して疎水化層70cを構成してもよい。この場合には、微細ピン71の間の空気層72を利用して撥水性を向上させることができ、疎水化層70cに水73を載せたときに、見かけの水接触角θ1を大きくすることができる。
【0045】
本発明は、流延ドラム32の代わりに、回転ドラムに掛け巡らされて移動する流延バンドを用いる溶液製膜方法にも適用可能である。この場合にも、流延バンドの流延エリアに対して疎水化層32cを同じように形成し、プレートアウトを抑制し、且つ剥ぎ取りを容易に行うことができる。また、流延膜33に自己支持性を持たせる方法として冷却ゲル化の他に、乾燥風の吹き付けなどによる乾燥化によっても良い。
【0046】
[ドープ調製]
以下、本発明においてドープ21を調製する際に使用する原料について説明する。
【0047】
本実施形態では、ポリマーとしてセルロースアシレートを用いており、セルロースアシレートとしては、セルローストリアセテート(TAC)が特に好ましい。そして、セルロースアシレートの中でも、セルロースの水酸基へのアシル基の置換度が下記式(I)〜(III)の全てを満足するものがより好ましい。なお、以下の式(I)〜(III)において、AおよびBは、セルロースの水酸基中の水素原子に対するアシル基の置換度を表わし、Aはアセチル基の置換度、Bは炭素原子数が3〜22のアシル基の置換度である。なお、TACの90重量%以上が0.1〜4mmの粒子であることが好ましい。ただし、本発明に用いることができるポリマーは、セルロースアシレートに限定されるものではない。
(I) 2.5≦A+B≦3.0
(II) 0≦A≦3.0
(III) 0≦B≦2.9
【0048】
セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位,3位および6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部または全部を炭素数2以上のアシル基によりエステル化した重合体(ポリマー)である。アシル置換度は、2位,3位および6位それぞれについて、セルロースの水酸基がエステル化している割合(100%のエステル化の場合を置換度1とする)を意味する。
【0049】
全アシル化置換度、すなわち、DS2+DS3+DS6の値は、2.00〜3.00が好ましく、より好ましくは2.22〜2.90であり、特に好ましくは2.40〜2.88である。また、DS6/(DS2+DS3+DS6)の値は、0.28以上が好ましく、より好ましくは0.30以上であり、特に好ましくは0.31〜0.34である。ここで、DS2は、グルコース単位における2位の水酸基の水素がアシル基によって置換されている割合(以下、2位のアシル置換度と称する)であり、DS3は、グルコース単位における3位の水酸基の水素がアシル基によって置換されている割合(以下、3位のアシル置換度と称する)であり、DS6は、グルコース単位において、6位の水酸基の水素がアシル基によって置換されている割合(以下、6位のアシル置換度と称する)である。
【0050】
本発明のセルロースアシレートに用いられるアシル基は1種類だけでもよいし、あるいは2種類以上のアシル基が使用されていてもよい。2種類以上のアシル基を用いるときには、その1つがアセチル基であることが好ましい。2位,3位および6位の水酸基がアセチル基により置換されている度合いの総和をDSAとし、2位,3位および6位の水酸基がアセチル基以外のアシル基によって置換されている度合いの総和をDSBとすると、DSA+DSBの値は、2.22〜2.90であることが好ましく、特に好ましくは2.40〜2.88である。
【0051】
また、DSBは0.30以上であることが好ましく、特に好ましくは0.7以上である。さらにDSBは、その20%以上が6位水酸基の置換基であることが好ましく、より好ましくは25%以上であり、30%以上がさらに好ましく、特には33%以上であることが好ましい。さらに、セルロースアシレートの6位におけるDSA+DSBの値が0.75以上であり、さらに好ましくは、0.80以上であり、特には0.85以上であるセルロースアシレートも好ましく、これらのセルロースアシレートを用いることで、より溶解性に優れたドープを作製することができる。特に、非塩素系有機溶媒を使用すると、優れた溶解性を示し、低粘度で濾過性に優れるドープを作製することができる。
【0052】
セルロースアシレートの原料であるセルロースは、リンター,パルプのどちらから得られたものでもよい。
【0053】
本発明におけるセルロースアシレートの炭素数2以上のアシル基としては、脂肪族基でもアリール基でもよく、特に限定はされない。例えば、セルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステル、芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどが挙げられ、それぞれ、さらに置換された基を有していてもよい。これらの好ましい例としては、プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、iso−ブタノイル基、t−ブタノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などが挙げられる。これらの中でも、プロピオニル基、ブタノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、t−ブタノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などがより好ましく、特に好ましくは、プロピオニル基、ブタノイル基である。
【0054】
ドープを調製する溶媒としては、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン,トルエンなど)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン,クロロベンゼンなど)、アルコール(例えば、メタノール,エタノール,n−プロパノール,n−ブタノール,ジエチレングリコールなど)、ケトン(例えば、アセトン,メチルエチルケトンなど)、エステル(例えば、酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸プロピルなど)およびエーテル(例えば、テトラヒドロフラン,メチルセロソルブなど)などが挙げられる。
【0055】
上記のハロゲン化炭化水素の中でも、炭素原子数1〜7のハロゲン化炭化水素が好ましく用いられ、ジクロロメタンが最も好ましく用いられる。TACの溶解性、流延膜の支持体からの剥ぎ取り性、フイルムの機械的強度および光学特性などの物性の観点から、ジクロロメタンの他に炭素原子数1〜5のアルコールを1種ないし数種類混合することが好ましい。アルコールの含有量は、溶媒全体に対して2〜25重量%が好ましく、より好ましくは、5〜20重量%である。アルコールとしては、メタノール,エタノール,n−プロパノール,イソプロパノール,n−ブタノールなどが挙げられるが、メタノール,エタノール,n−ブタノール、あるいはこれらの混合物が好ましく用いられる。
【0056】
最近、環境に対する影響を最小限に抑えることを目的に、ジクロロメタンを使用しない溶媒組成も検討されている。この場合には、炭素原子数が4〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステル、炭素数1〜12のアルコールが好ましく、これらを適宜混合して用いる場合もある。例えば、酢酸メチル,アセトン,エタノール,n−ブタノールの混合溶媒が挙げられる。これらのエーテル、ケトン,エステルおよびアルコールは、環状構造を有するものであってもよい。また、エーテル、ケトン,エステルおよびアルコールの官能基(すなわち、−O−,−CO−,−COO−および−OH)のいずれかを2つ以上有する化合物も溶媒として用いることができる。
【0057】
セルロースアシレートの詳細については、特開2005−104148号の[0140]段落から[0195]段落に記載されており、これらの記載も本発明に適用することができる。また、溶媒および可塑剤,劣化防止剤,紫外線吸収剤(UV剤),光学異方性コントロール剤,レターデーション制御剤,染料,マット剤,剥離剤,剥離促進剤などの添加剤についても、同じく特開2005−104148号の[0196]段落から[0516]段落に詳細に記載されており、これらの記載も本発明に適用することができる。
【0058】
本発明の溶液製膜方法では、ドープを流延する際に、2種類以上のドープを同時に共流延させて積層させる同時積層共流延、または、複数のドープを逐次に共流延して積層させる逐次積層共流延を行うことができる。なお、両共流延を組み合わせてもよい。同時積層共流延を行う場合には、フィードブロックを取り付けた流延ダイを用いてもよいし、マルチマニホールド型の流延ダイを用いてもよい。ただし、共流延により多層からなるフイルムは、空気面側の層の厚さと支持体側の層の厚さとの少なくともいずれか一方が、フイルム全体の厚みの0.5〜30%であることが好ましい。また、同時積層共流延を行う場合には、ダイスリットから支持体にドープを流延する際に、高粘度ドープが低粘度ドープにより包み込まれることが好ましく、ダイスリットから支持体にかけて形成される流延ビードのうち、外界と接するドープが内部のドープよりもアルコールの組成比が大きいことが好ましい。
【0059】
流延ダイ、減圧室、支持体などの構造、共流延、剥離法、延伸、各工程の乾燥条件、ハンドリング方法、カール、平面性矯正後の巻取方法から、溶媒回収方法、フイルム回収方法まで、特開2005−104148号の[0617]段落から[0889]段落に詳しく記述されており、これらの記載も本発明に適用することができる。
【0060】
以下に、本発明に係る実施例を挙げて、本発明の効果について説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0061】
〔フイルム製造〕
図1に示す溶液製膜設備10において、周面32bにクロムメッキ及び鏡面加工処理が施され、且つ最上層にPTFE製の疎水化層32c(水の接触角120°)を有する直径1000mmの円筒状の流延ドラム32を用い、ドラム表面温度を−5℃、製膜速度を100m/minとした。この流延ドラム32の周面32b上に、ドープ21を乾燥厚み80μmで流延し、流延膜33を形成した。自己支持性を有する流延膜33を、剥取ローラ34により剥ぎ取り、湿潤フイルム38を得た。ピンテンタ13及びクリップテンタ14にて、この湿潤フイルム38を所定の残留溶媒量まで乾燥し、フイルム20を得た。
【0062】
〔ドープ〕
実施例1で使用したドープの原料は以下の通りである。
セルローストリアセテート 100重量部
ジクロロメタン 320重量部
メタノール 83重量部
1−ブタノール 3重量部
可塑剤A 7.6重量部
可塑剤B 3.8重量部
UV剤a 0.7重量部
UV剤b 0.3重量部
微粒子 0.05重量部
【0063】
上記のセルローストリアセテートは、置換度2.84、粘度平均重合度306、含水率0.2重量%、ジクロロメタン溶液中の6重量%の粘度 315mPa・s、平均粒子径1.5mm、標準偏差0.5mmの粉体であり、可塑剤Aは、トリフェニルフォスフェートであり、可塑剤Bは、ジフェニルフォスフェートであり、UV剤aは、2(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾールであり、UV剤bは、2(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾールであり、クエン酸エステル化合物はクエン酸とモノエチルエステルとジエチルエステルとトリエチルエステルとの混合物であり、微粒子は平均粒径が15nm、モース硬度が約7の二酸化ケイ素である。
【0064】
流延ドラム32の周面32bに異物が付着しているか否かは、目視により確認し、流延開始時から異物の付着確認時までの経過時間を測定した。また、剥げ残りが発生しているか否かを目視により観察した。実施例1では、剥げ残りは無く、また流延開始から120時間経過しても析出物の発生が認められず、プレートアウト防止効果があることが判った。
【実施例2】
【0065】
PTFE製の疎水化層32cの代わりに、PP製の疎水化層32c(水の接触角95°)を用いた以外は実施例1と同様に実施した。実施例2でも、剥げ残りは無く、また流延開始から120時間経過しても析出物の発生が認められず、プレートアウト防止効果があることが判った。
【0066】
[比較例1]
疎水化層32cを省略した以外は実施例1と同様に実施した。ドラム周面はハードクロームメッキ処理が施されており、水の接触角は85°であった。剥げ残りがフイルム両端部に発生し、また、流延開始してから72時間で析出物が認められた。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の溶液製膜設備の概要を示す説明図である。
【図2】流延ドラムの疎水化層を示す概略の斜視図である。
【図3】同じく流延ドラムの疎水化層を示す概略の平面図である。
【図4】第2実施形態における渡り部を示す概略の斜視図である。
【図5】第3実施形態における渡り部を示す概略の側面図である。
【図6】第4実施形態における疎水化層を拡大して示す概略の断面図である。
【符号の説明】
【0068】
10 溶液製膜設備
11 ストックタンク
12 流延室
13 ピンテンタ
14 クリップテンタ
15 乾燥室
16 冷却室
17 巻取室
20 フイルム
21 ドープ
30 流延ダイ
32 流延ドラム
32b 周面
33c 疎水化層
33 流延膜
34 剥取ローラ
35,36 温調設備
37 減圧チャンバ
38 湿潤フイルム
41,60 渡り部
61 ニップローラ対

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンドレスに走行する支持体上に、ポリマーと溶媒とを含むドープを流延し、
前記支持体上に流延膜を形成した後に前記支持体から前記流延膜を湿潤フイルムとして剥ぎ取り乾燥させてフイルムを製造する溶液製膜方法において、
前記支持体上の前記流延膜形成エリアに、水接触角が90°以上の疎水化層が形成されている前記支持体を用い、
前記疎水化層上に前記流延膜を形成することを特徴とする溶液製膜方法。
【請求項2】
前記疎水化層は疎水性物質から構成され、前記支持体は冷却ドラムから構成され、前記流延膜は冷却ゲル化により自己支持性を有して剥ぎ取られることを特徴とする請求項1記載の溶液製膜方法。
【請求項3】
前記支持体から前記流延膜を剥ぎ取った後の前記湿潤フイルムをニップローラにより挟持搬送して平滑化することを特徴とする請求項2項記載の溶液製膜方法。
【請求項4】
エンドレスに走行する支持体上に、ポリマーと溶媒とを含むドープを流延し、
前記支持体上に流延膜を形成した後に前記支持体から前記流延膜を湿潤フイルムとして剥ぎ取り乾燥させてフイルムを製造する溶液製膜設備において、
前記支持体上の前記流延膜形成エリアに形成され、水接触角が90°以上の疎水化層を備えることを特徴とする溶液製膜設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−29024(P2009−29024A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−195841(P2007−195841)
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】