説明

溶融亜鉛合金めっき鋼板およびその製造方法

鋼帯の被覆を溶融亜鉛合金浴中で行い、溶融亜鉛合金めっき被覆層を備えた鋼帯であって、該被覆中の該亜鉛合金が、マグネシウム0.3〜2.3重量%、アルミニウム0.6〜2.3重量%、所望により使用する一種以上の追加元素<0.2重量%、不可避な不純物、残りの部分を構成する亜鉛からなり、該亜鉛合金被覆層の厚さが3〜12μmである、鋼帯。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、溶融亜鉛合金めっき層を備えた鋼帯、および鋼帯の被覆を溶融亜鉛合金の浴中で行う、鋼帯を亜鉛合金被覆層で溶融めっきする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼帯に亜鉛被覆を施すことは、特に自動車および建築用途に、良く知られている。鋼帯上に亜鉛の薄い層を安価に施すために、鋼帯を溶融亜鉛の浴中で移動させ、細片を溶融亜鉛めっきすることが一般的に行われている。溶融亜鉛が鋼に密着し、細片が浴を離れる時点で、ほとんどの場合、余剰の亜鉛を、通常はガスナイフを使用して、細片から取り除き、薄い被覆層を得る。
【0003】
この分野では、特定の化学元素を浴に添加し、亜鉛被覆の品質を改良する、および/または鋼帯を被覆する方法を改良することが公知である。化学元素として、アルミニウムおよびマグネシウムを選択することが多い。
【0004】
ヨーロッパ特許第0594520号は、マグネシウム1〜3.5重量%およびアルミニウム0.5〜1.5重量%を、ケイ素0.0010〜0.0060重量%の添加と共に使用することを記載している。ケイ素は、亜鉛が存在していなかった区域(ベアスポット)を含んでなることが分かっている亜鉛被覆の品質を改良するために、そのような少量で添加されている。しかし、この特許における唯一の例は、被覆の組成が、マグネシウム2.55重量%、アルミニウム0.93重量%、ケイ素60ppmを含んでなり、残りが亜鉛および不可避な不純物である、亜鉛被覆された鋼を記載している。
【発明の開示】
【0005】
本発明の目的は、特性が改良された亜鉛合金被覆された鋼帯およびその製造方法を提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、公知の被覆された鋼帯よりも、安価に製造でき、同等またはより優れた特性を有する、亜鉛合金被覆された鋼帯を提供することである。
【0007】
本発明のさらに別の目的は、耐食性がより優れており、被覆された鋼帯の他の特性は維持されているか、または改良されてさえいる、亜鉛合金被覆された鋼帯を提供することである。
【0008】
本発明のさらに別の目的は、亜鉛浴中の垢形成が少ない製法を提供することである。
【0009】
本発明により、これらの目的の一つ以上は、溶融亜鉛合金めっき被覆層を備えた鋼帯であって、該亜鉛合金が、
マグネシウム0.3〜2.3重量%、
アルミニウム0.6〜2.3重量%、
所望により使用する一種以上の追加元素<0.2重量%、
不可避不純物、
残部亜鉛
からなり、該亜鉛合金被覆層の厚さが3〜12μmである、鋼帯により達成される。
【0010】
高マグネシウムレベルは、亜鉛浴上に過剰の酸化物系垢を形成し、被覆が脆くなることが分かっている。従って、マグネシウムレベルは、最大で2.3重量%に制限されている。0.3重量%の最小限度は、十分に高い耐食性を有するのに必要であり、マグネシウムの添加により、被覆された細片の耐食性が改良される。マグネシウムレベル0.3〜2.3重量%は、赤錆に対して、従来の亜鉛めっきした細片の耐食性よりはるかに高い耐食性を得るのに十分に高い。
【0011】
アルミニウムは、浴上の垢形成を低減させるために加えている。マグネシウムとの組合せで、アルミニウムは、被覆された細片の耐食性も改良する。その上、アルミニウムは、被覆された細片材料の成形性も改良する、つまり、細片を例えば曲げた時の、細片上の被覆の密着性が良くなる。アルミニウムレベルを高くすると、溶接性が悪くなるので、アルミニウムレベルは、最大2.3重量%に制限されている。
【0012】
0.2重量%未満の少量で添加できる、所望により使用する元素は、PbまたはSb、Ti、Ca、Mn、Sn、La、Ce、Cr、Ni、ZrまたはBiである。Pb、Sn、BiおよびSbは、通常、スパングルを形成するために添加される。これらの少量の追加元素は、被覆の特性も浴も、通常の用途に対して大きく変えることはない。
【0013】
本発明の亜鉛合金被覆された鋼帯のもう一つの利点は、摩損(galling)挙動が、従来の亜鉛めっきした細片材料の摩損挙動よりも優れていることである。
【0014】
亜鉛合金被覆層の厚さを3〜12μmに制限しているが、これは、より厚い被覆が、ほとんどの用途に必要無いことが分かっているためである。本発明の亜鉛合金被覆層の耐食性は、従来のめっき被覆層と比較して、最大厚さ12μmでほとんど全ての用途に十分である程度に改良されていることが分かった。その上、本発明の被覆層を施した2枚の鋼板を、重なる板同士の間にスペーサーを使用せずにレーザー溶接するには、良好な溶接部を得るのに、被覆層は薄い方が好ましいことが分かった。
【0015】
好ましい実施態様では、亜鉛合金被覆層の厚さは3〜10μmである。これは、本発明の亜鉛合金被覆により達成される耐食性に関して、自動車用途に好ましい厚さ範囲である。
【0016】
別の好ましい実施態様では、亜鉛合金被覆層の厚さは3〜8μmである。この厚さは、スペーサーを使用せずにレーザー溶接部を改良することが重要である場合に好ましい。
【0017】
より好ましくは、亜鉛合金被覆層の厚さは3〜7μmである。本発明の被覆層を施した鋼との、スペーサーを使用せずに形成したレーザー溶接部は、従来のめっきされた材料で製造されたレーザー溶接部よりも優れていることが分かった。無論、より薄い被覆は、厚い被覆より、使用する亜鉛合金の量の観点から、安価でもある。
【0018】
好ましくは、一種以上の追加元素が亜鉛合金被覆中に存在する場合、それぞれが<0.02重量%の量で存在する、好ましくはそれぞれが<0.01重量%の量で存在する。これは、追加元素が、マグネシウムおよびアルミニウムの添加と比較して、耐食性を大きく変化させず、さらに、追加元素は被覆された鋼帯をより高価にするためである。追加元素は、通常、溶融めっき用の溶融亜鉛合金を含む浴中での垢形成を阻止するため、または被覆層中にスパングルを形成するためにのみ、添加される。従って、追加元素は、できるだけ低く抑える。
【0019】
好ましい実施態様では、亜鉛合金層中のケイ素含有量は、0.0010重量%未満である。ヨーロッパ特許第0594520号に記載されている組成物では、ケイ素は、亜鉛合金層中のベアスポットを阻止するために添加されている。驚くべきことに、本発明者らは、ヨーロッパ特許第0594520号に記載されている低いアルミニウムおよびマグネシウム含有量には、ベアスポットを阻止するために亜鉛合金にケイ素を添加する必要がないことを見出した。これは、ケイ素を添加しなければならない場合に、特にケイ素が不純物として存在するために、ケイ素含有量を10〜60ppmに維持することが困難であるので、有利なことである。
【0020】
好ましい実施態様では、亜鉛合金がマグネシウム1.6〜2.3重量%およびアルミニウム1.6〜2.3重量%を含む溶融亜鉛合金めっき被覆層が鋼帯に施されている。これは、これらの値で、被覆の腐食保護性が最大になり、腐食保護性が小さな組成変動により影響を受けないので、好ましい実施態様である。マグネシウムおよびアルミニウムが2.3重量%を超えると、被覆はかなり高価になり、被覆が脆くなり、被覆の表面品質が低下することがある。
【0021】
他方、鋼帯の別の好ましい実施態様では、亜鉛合金がアルミニウム0.6〜1.3重量%および/またはマグネシウム0.3〜1.3重量%を含む溶融亜鉛合金めっき被覆層が鋼帯に施されている。これらの少量のアルミニウムおよびマグネシウムでは、従来の溶融めっき浴および装置を大きく修正する必要はなく、マグネシウムは、0.3〜1.3重量%のレベルで、耐食性を著しく改良する。通常、これらのマグネシウム量では、従来の浴におけるよりも、より多くの酸化物系の垢が浴上に形成されるのを防ぐために、0.5重量%を超えるアルミニウムを加える必要があり、垢は被覆の欠陥につながることがある。これらの量のマグネシウムおよびアルミニウムを含む被覆は、表面品質および耐食性の改良に対する要求が高い用途に最適である。
【0022】
好ましくは、亜鉛合金は、アルミニウム0.8〜1.2重量%および/またはマグネシウム0.8〜1.2重量%を含む。これらの量のマグネシウムおよびアルミニウムは、従来の溶融めっきと比較して、限られた追加コストで、高い耐食性、優れた表面品質、優れた成形性、および良好な溶接性を有する被覆を与えるのに最適である。
【0023】
好ましい実施態様では、重量%で表したアルミニウム量が、重量%で表したマグネシウム量±最大0.3重量%と等しい溶融亜鉛合金めっき被覆層が鋼帯に施されている。アルミニウムの量がマグネシウムの量と等しいか、またはほとんど等しい場合に、浴上に形成される垢が大幅に抑制されることが分かった。
【0024】
本発明は、鋼帯を溶融めっきし、亜鉛合金被覆層を施すための、該鋼帯の被覆を溶融亜鉛合金の浴中で行う方法であって、該亜鉛合金が、
マグネシウム0.3〜2.3重量%、
アルミニウム0.5〜2.3重量%、
ケイ素0.0010重量%未満、
所望により使用する一種以上の追加元素<0.2重量%、
不可避な不純物、
残りの部分を構成する亜鉛
からなる、方法にも関する。
【0025】
この方法により、従来の溶融めっき装置を使用し、上記の鋼帯を製造することができる。通常、被覆中のアルミニウム量は、浴中のアルミニウム量よりも僅かに多い。本方法の優位性は、本発明の鋼帯を考察する時に記載する。
【0026】
好ましい方法では、亜鉛合金浴は、鋼帯に関して上に記載したように、マグネシウム1.5〜2.3重量%およびアルミニウム1.5〜2.3重量%を含む。
【0027】
別の好ましい方法では、亜鉛合金浴は、上記のように、アルミニウム0.6〜1.3重量%および/またはマグネシウム0.3〜1.3重量%を含む。
【0028】
好ましくは、亜鉛合金浴は、上記のように、アルミニウム0.7〜1.2重量%および/またはマグネシウム0.7〜1.2重量%を含む。
【0029】
本方法の好ましい実施態様では、溶融亜鉛の浴温度は、380℃〜550℃、好ましくは420℃〜480℃に維持する。純粋な亜鉛の融点は419℃であり、Al3.2%およびMg3.3%で、融解温度は約337℃であるので、380℃は、局所的な凝固を回避するための妥当な下限である。440℃の下限は、あらゆる凝固を回避するのに、絶対的に安全である。亜鉛浴温度が増加すると、亜鉛の蒸発が増加し、めっきライン中に粉塵が形成され、表面欠陥を引き起こす。従って、上限は、適度に低くすべきであり、550℃が妥当であり、技術的に可能な上限としては480℃が好ましい。
【0030】
好ましくは、溶融亜鉛合金浴に入る前の鋼帯の温度は、380℃〜850℃、より好ましくは、溶融亜鉛合金浴の温度〜浴温度より25℃上である。鋼帯の温度は、亜鉛浴の局所的な凝固を避けるために、亜鉛合金の融点より低くすべきではない。鋼帯の温度が高いと、亜鉛の蒸発が多くなり、粉塵形成を引き起こす。鋼帯の温度が高いと、亜鉛浴も加熱され、浴中の亜鉛を連続的に冷却する必要があり、経費がかかる。これらの理由から、鋼帯の温度は浴温度のすぐ上であるのが好ましい。
【0031】
好ましい実施態様では、鋼帯は、毎分9メートルを超える速度で、好ましくは毎分15メートルを超える速度で、より好ましくは毎分30メートルを超える速度で溶融亜鉛合金浴に入る。毎分9メートル未満の被覆速度では、たわみが生じ、亜鉛合金被覆の表面が波を形成し易くなることが分かっている。毎分9メートルを超える速度で、たるみを示す例の数が少なくなり、毎分15メートルを超える、および毎分30メートルを超える被覆速度では、これらの数がさらに低下する。
【0032】
本発明は、上記の方法により製造された、溶融亜鉛合金めっきを施した鋼帯にも関連する。
【0033】
本発明はさらに、上記の鋼帯から製造された自動車部品にも関連する。
【例】
【0034】
本発明を以下に説明するが、その際、幾つかの実験および幾つかの試験結果を記載する。
【0035】
先ず、試験結果を下記の8つの表に示す。
【0036】
表1 浴および被覆の組成

番号 浴 浴 被覆 被覆 被覆 被覆
Al% Mg% g/m2 Al% Mg% Fe%
1 0.2 0.5 99 0.4 0.5
2 0.8 0.9 1.0 0.8 0.11
3 1.0 0.9 1.1 0.9 0.18
4 1.0 1.0 1.2 1.0 0.14
5 1.9 1.0 2.0 0.9 0.07
6 1.1 1.1 42 1.3 0.9 0.29
7 1.2 1.2 1.4 1.2 0.15
8 1.5 1.5 1.6 1.4 0.14
9 0.9 1.6 1.1 1.6 0.26
10 1.7 1.7 1.9 1.7 0.10
11 2.5 2.0 2.5 1.8 0.05
12 1.0 2.1 77 1.2 1.8 0.13
13 1.0 2.1 39 1.2 1.8 0.21
14 2.1 2.1 2.2 2.1 0.15
15 1.0 2.5 1.1 2.8 0.06
【0037】
表2 平らなパネルの耐食性

番号 浴 浴 被覆 平らなパネルの腐食
Al% Mg% 厚さ(μm)
1 0.2 0.0 10 0
2 0.5 0.5 4 0
3 0.5 0.5 6 +
4 0.5 0.5 8 ++
5 0.5 0.5 10 ++
6 0.2 0.5 14 +
7 1.0 0.9 6 ++
8 1.0 0.9 7 ++
9 1.0 0.9 10 ++
10 1.0 0.9 11 ++
11 1.0 1.0 6 +
12 1.0 1.0 6 ++
13 1.9 1.0 20 +++
14 1.1 1.1 4 +++
15 1.1 1.1 6 +++
16 1.1 1.1 7 +++
17 1.1 1.1 10 ++++
18 1.1 1.1 11 ++++
19 1.2 1.2 6 ++
20 1.5 1.5 6 ++++
21 1.7 1.7 6 ++++
22 2.5 2.0 25 ++++
23 1.0 2.1 5 +
24 1.0 2.1 6 +
25 1.0 2.1 10 +++
26 1.0 2.1 11 +++
27 2.1 2.1 6 ++++
評価
0=SST中10μmの通常HDG(0.2%Al)と比較して改良無し
+=ファクター2までの改良
++=ファクター4までの改良
+++=ファクター8までの改良
++++=ファクター8を超える改良
【0038】
表3 変形したパネルの耐食性

番号 浴 浴 被覆 変形したパネルの腐食
Al% Mg% 厚さ(μm)
1 0.2 0.0 10 0
2 1.0 1.0 6 +
3 1.0 1.0 6 ++
4 1.0 1.0 3 0
5 1.1 1.1 13 +++
6 1.2 1.2 6 +
7 1.2 1.2 6 ++
8 1.5 1.5 4 +
9 1.5 1.5 6 ++
10 1.7 1.7 4 ++
11 1.7 1.7 6 ++
12 2.1 2.1 4 ++
13 2.1 2.1 7 ++
評価
0=SST中10μmの通常HDG(0.2%Al)と比較して改良無し
+=ファクター2までの改良
++=ファクター4までの改良
+++=ファクター4を超える改良
【0039】
表4 摩損性能

番号 浴 浴 被覆 摩損性能
Al% Mg% 厚さ(μm) 円筒形側 平面側
1 0.2 0.0 7.0 5 4
2 0.2 0.0 7.0 5 4
3 1.0 0.9 6.3 1 1
4 1.0 0.9 5.2 1 1
5 1.2 1.2 5.9 1 1
6 1.2 1.2 5.9 1 1
7 1.5 1.5 5.9 1 1
8 1.5 1.5 5.5 1 1
9 1.7 1.7 5.6 1 1
10 1.7 1.7 6.4 1 1
11 2.1 2.1 7.5 1 1
12 2.1 2.1 5.1 1 1
評価
1.優(深い傷無し、一様な表面)
2.良(数個の傷が生じることがある)
3.可(シミの付いた、または僅かに傷の付いた表面)
4.不良(幾つかの大きな傷)
5.不可(酷い傷/すり切れた表面、材料剥離)
【0040】
表5 表面品質

番号 浴 浴 被覆 被覆
Al% Mg% 表面品質 成形性
1 0.2 0.0 0 0
2 0.5 0.5 + 0
3 0.2 0.5 − 0
4 0.8 0.9 + 0
5 1.0 0.9 + 0
6 1.0 1.0 + 0
7 1.9 1.0 +
8 1.1 1.1 + 0
9 1.2 1.2 + 0
10 1.5 1.5 + 0
11 2.0 1.6 + 0
12 0.9 1.6 + 0
13 1.7 1.7 + 0
14 2.5 2.0 −
15 1.0 2.1 + −
16 2.1 2.1 + 0
17 1.0 2.5 + −
評価 表面品質
0=同様に製造された0.2%Al浴から得たパネルと等しい
+=より優れている
−=より悪い
評価 成形性
0=OT曲げで亀裂無し
−=亀裂有り
【0041】
表6 垢形成

番号 浴 浴
Al% Mg% 垢形成
1 0.2 0.0 0
2 0.5 0.5 +
3 0.2 0.5 −
4 0.8 0.9 +
5 1.0 0.9 +
6 1.0 1.0 +
7 1.9 1.0 +
8 1.1 1.1 +
9 1.2 1.2 +
10 1.5 1.5 +
11 2.0 1.6 +
12 0.9 1.6 +
13 1.7 1.7 +
14 2.5 2.0 +
15 1.0 2.1 +
16 2.1 2.1 +
17 1.0 2.5 −
評価
− 通常(0.2%Al)浴上より多くの酸化物系垢形成
0 通常(0.2%Al)浴上と同等量の酸化物系垢形成
+ 通常(0.2%Al)浴上より少ない酸化物系垢形成
【0042】
表7 スポット溶接性

番号 浴 浴 被覆 溶接性
Al% Mg% 厚さ(μm)
1 0.2 0.0 10 0
2 0.5 0.5 10 0
3 1.0 1.0 10 0
評価
0=同等の溶接範囲
−=より小さい溶接範囲
+=より大きい溶接範囲
【0043】
表8 浴温度
【表1】

【0044】
実験に使用した鋼は、超低炭素鋼であり、組成(すべて重量%)が、0.001C、0.105Mn、0.005P、0.004S、0.005Si、0.028Al、0.025Alzo、0.0027N、0.018Nbおよび0.014Ti、残りの部分を構成する不可避な不純物およびFeである。
【0045】
鋼製パネルは、冷間圧延した鋼から製造され、大きさが12x20cm、厚さ0.7mmである。脱脂後、これらのパネルを下記の処理にかけた。
工程1 N85.5%、H2%、CO11%、およびCO1.5%の雰囲気中、11秒間で室温から250℃、
工程2 工程1と同じ雰囲気中、11秒間で250℃から670℃、
工程3 N85%およびH15%の雰囲気中、46秒間で670℃から800℃、
工程4 工程3と同じ雰囲気中、68秒間で800℃から670℃、
工程5 工程3と同じ雰囲気中、21秒間で670℃から細片進入温度(SET)、通常475℃、
工程6 液体亜鉛合金中に460℃で2秒間浸漬し、鋼製パネル上の亜鉛層を100%Nで吹き飛ばし、被覆重量を調整、
工程7 100%N中、60秒間で80℃に冷却。
【0046】
幾つかの実験では、工程1および2の雰囲気をN85%およびH15%に変えたが、被覆品質に対する影響は観察されなかった。
【0047】
ISO2178に従うFischer Dualscopeを使用してパネルの両側における被覆の厚さを測定し、9地点の平均値を採用した。
【0048】
表1に、鋼製パネルの被覆に使用した亜鉛浴中の合金元素および被覆自体中の合金元素を示す。通常、被覆中のアルミニウム量は、浴中のアルミニウム量よりも僅かに高い。
【0049】
表2には、平らなパネル(変形していない)の腐食を大多数のパネルに関して示す。被覆厚は変化している。この表から分かるように、AlおよびMgの量が少ない場合、より優れた耐食性を得るには、被覆を厚くする必要がある。AlおよびMgの量が多い場合、薄い層でも、非常に良好な耐食性を達成できる。被覆厚が大きい場合、0.8〜1.2重量%のAlおよびMgで良好な結果を達成でき、薄い被覆層では、1.6〜2.3重量%のAlおよびMgで非常に良好な結果を達成できる。
【0050】
耐食性は、塩水噴霧試験(ASTM−B117)を使用して測定し、強い腐食性の、自動車ならびに建築における微気候を代表する、過酷な、高濃度の塩化物を含有する湿った条件下での耐食性を推定した。
【0051】
試験は、温度を35℃に維持した腐食箱中、ラックに取り付けた試料の全体に角度75°で、NaCl5%を含む水溶液の霧を連続的に噴霧して行った。試料の、腐食挙動に関して評価すべき側を塩水噴霧に向けた。試料の縁部はテープ止めし、縁部に起こる、表面の適切な腐食評価を妨害する可能性がある早期の赤錆を防止する。毎日一度、試料を検査し、赤錆が生じているかを見る。最初の赤錆が、製品の耐食性に関する主な基準である。比較試料は、亜鉛被覆厚が10μmの通常の溶融めっきした鋼である。
【0052】
表3は、変形したパネルの耐食性を示す。この変形は、Erichsen8mmカップにより行った。表から分かるように、この場合の耐食性は、亜鉛合金層の被覆厚に大きく依存する。しかし、合金元素AlおよびMgの量が大きい程、亜鉛合金層の耐食性が優れていることは明らかである。
【0053】
表4は、溶融めっきした鋼の摩損性能を示す。浴が約1重量%以上のAlおよびMgを含む場合の被覆は全て、優れた摩損性能を示す。摩損性能は、直線摩擦試験(LFT)方法を使用して測定した。この方法は、摩損を促進する過酷な条件を使用する。この方法は、1個の平らな工具および1個の丸い工具を使用し、試料表面との高圧接触を行う。使用する工具の材料は、DIN1.3343に準じた。
【0054】
各材料/潤滑系に対して、幅50mm、長さ300mmの細片を、力5kNで一つに圧迫している一組の工具(一方は平らで、一方は丸い)の間で、速度0.33mm/sで引っ張った。細片は工具を通して、試験間隔55mmに沿って10回引っ張った。各工程の後、工具をゆるめ、細片を元の出発位置に戻し、次の工程の準備を行った。試験は全て、20℃、50%湿度で行った。
【0055】
LFT試料の目視分析を行い、試料表面上の摩損程度を査定した。3名の人が傷の付いた表面を個別に査定し、結果の平均を記録した。摩損は、表4に規定する1〜5の尺度に等級付けした。
【0056】
表5は、多くのパネルの表面品質および成形性を示す。表面品質は、パネルを、ベアスポット、表面から粘着する不規則性(通常は垢により引き起こされる)およびパネル全体にわたる外観または光沢の均質性に関して目視検査することにより、測定した。下記の表から、表面品質は、AlおよびMg0.5〜AlおよびMg2.1重量%で良好である。アルミニウムの量がより大きくなると、浴中の垢の量が増加し、表面品質が低下する。被覆の成形性は、パネルを完全に折り曲げた(0T)後に被覆の亀裂を目視検査することにより、測定した。マグネシウムの量が多い程、成形性は低下すると思われる。
【0057】
表6は、AlおよびMgの量が約0.5〜2.1重量%である場合、垢形成は、従来の亜鉛浴よりも少ないことを示している。垢形成は、4種類の浴組成物、すなわちZn+0.2%Al、Zn+1%Al+1%Mg、Zn+1%Al+2%MgおよびZn+1%Al+3%Mg、に対して測定した気泡および付着す垢の量を比較して判定した。これらの4種類の浴組成物に対して、容器中の液体亜鉛合金を通してアルゴンガスを2.5時間発泡させ、表面上の酸化物被膜層を破壊した。その後、表面上の気泡を除去し、秤量した。浴の残りを空の容器に注ぎ込み、元の容器の壁上に付着している残りの垢も除去し、秤量した。この結果を下記の表9に示す。
【0058】
表9 垢

亜鉛浴 表面上の気泡 壁上に付着している垢
(%) (%)
GI=Zn+0.2%Al 1.7 1.4
Zn+1.0%Mg+1.0%Al 1.1 1.1
Zn+2.0%Mg+1.0%Al 1.2 1.3
Zn+3.0%Mg+1.0%Al 15 /
容器中の液体亜鉛総量に対する百分率として測定
【0059】
この測定は、浸漬実験の際の観察と一致しており、Zn+1%Al+1%MgおよびZn+1%Al+2%Mg組成物で、亜鉛浴上への垢形成が少ないことを明らかに示している。
【0060】
表7は、数回だけのスポット溶接性試験を行ったことを示している。溶接性は、亜鉛浴中のAlおよびMgの量により影響を受けないようである。直径4.6mmおよび力2kNで、溶接電流を増加させて溶接部を形成することにより、溶接部の成長曲線を作成した。溶接範囲は、飛び散る(splashing)直前の電流と、最小プラグ直径3.5√tを達成する電流との差であり、tは鋼の厚さである。
【0061】
表8は、浴の温度および細片が浴に入る時の細片の温度の影響は、ほとんど無いことを示している。浴の温度410℃または460℃に差は無いようであり、細片進入温度420℃または475℃にも差はないようである。
【0062】
上記の結果は、下記の様にまとめることができる。すなわち溶融めっき細片の被覆におけるマグネシウム0.3〜2.3重量%およびアルミニウム0.6〜2.3重量%の量により、従来のめっきした鋼の耐食性よりも優れた耐食性が得られる。被覆中のアルミニウムとマグネシウムの両方の量が1.6〜2.3重量%である場合に、被覆層が薄くても、耐食性は非常に良い。アルミニウムとマグネシウムの両方の量が0.8〜1.2重量%である場合、耐食性は、薄い被覆には良好であり、厚い被覆層には非常に良い。合金化元素の量は、垢形成を阻止するために、高過ぎないようにすべきである。
【0063】
さらに、下記の表10から分かるように、本発明によりMgおよびAlを添加した2種類の組成物でパイロットラインで試験を行った。
【0064】
表10

組成物の名称 浴のAl% 浴のMg%
MZ試験1 0.85 1.05
MZ試験2 1.40 1.65
MZ試験2(第二試料) 1.46 1.65
【0065】
浴はSiを含まない(<0.001%)が、ポット材料および浴の機械設備(シンクロール、等)からステンレス鋼が溶解するために、Cr(<0.005%)およびNi(〜0.009%)り汚染物を含んでいた。浴中には、測定可能な量のSiは見られなかった(<0.001%)。さらに、表11に示すように、商業的溶融めっきラインで一般的に行われていることに、できるだけ近づけるように処理パラメータを選択する。
【0066】
表11 処理パラメータ

処理パラメータ 値
鋼の等級 Ti−IF(Ti−SULC)
鋼ゲージ 0.7mm
細片幅 247mm
アニーリングサイクル温度 直接焼成炉410℃まで予備加熱
放射チューブ炉800〜820℃(30s)
アニーリングサイクルH含有量 5%
(残りはN
炉中の露点 −24℃〜−32℃
細片進入温度 475〜500℃
亜鉛浴温度 455〜460℃
掃気ガス N
ナイフギャップ 0.6mm
ライン速度 34m/分(別の試験では24m/分)
【0067】
被覆厚さを変えて(N圧、温度およびガスナイフ中のナイフ−細片間隔を変えることにより)様々なコイルを製造し、得られた被覆の組成を下記の表12に示す。
【0068】
表12 被覆の組成

番号 Al% Mg% Fe% Cr% Ni% Si% 片側の被覆重量
(g/m)
1A 1.08 1.07 0.27 0.006 <0.005 <0.001 76.5
1B 1.14 1.09 0.32 0.006 <0.005 <0.001 78.3
2A 1.12 1.07 0.29 0.007 <0.005 <0.001 61.0
2B 1.15 1.07 0.32 0.007 <0.005 <0.001 62.2
3A 1.06 1.06 0.26 0.007 <0.005 <0.001 62.1
3B 1.16 1.07 0.39 0.007 <0.005 <0.001 52.4
4A 1.68 1.71 0.35 0.006 0.010 <0.001 40.9
4B 1.77 1.76 0.61 0.008 0.014 <0.001 33.8
5A 1.67 1.73 0.34 0.006 0.008 <0.001 43.2
5B 1.71 1.73 0.45 0.007 0.010 <0.001 34.5
【0069】
試料1〜3はMZ_試験組成物から、試料4+5はMZ_試験2組成物から製造した。これらの値は、亜鉛被覆を、抑制剤を含む酸洗い用の酸で溶解させ、重量損失を秤量し、被覆重量を測定することにより、求めた。溶液をICP−OES(Inductively Coupled Plasma-Optical Emmission Spectroscopy)により分析する。Si含有量は、別の試料で測光法により決定した。
【0070】
より厚い被覆(片側>8μm)をMZ_試験2浴組成物で製造する際、被覆のある程度のたるみが生じ、不均質な雲状パターンが生じた。これらのたるみは、被覆重量が大きい程、深刻であった。ライン速度を34m/分から24m/分に下げることにより、たるみパターンも増加した。ライン速度とたるみパターンの関係に関するより明らかな証拠を発見するために、幾つかの追加パネルを実験室シミュレーター上で作成した。
【0071】
上に記載した他の実験室パネルで使用した処理条件と類似の実験を行った。その効果を増大させ、それを制御できる処理パラメータを研究するために、これらの実験に使用した浴組成物は、めっきされた材料用の0.21%Al(GI)および本発明の亜鉛合金被覆用の2.0%Al+2.0%Mg(MZ)である。パネルを取り出す速度(ライン速度と同等)、掃気体積(掃気ナイフの圧力と同等)および浴温度を変化させた。たるみパターンを検査するために、厚い被覆を製造した。掃気の際の酸化の影響を試験するために、掃気媒体中のCOで幾つかの実験を行った。パネルの前面上にある被服の厚さを測定し、そのたるみパターンを評価した(存在するか、存在しないか)。結果を表13に示す。
【0072】
この表13から明らかに分かるように、GI浴もたるみパターンを与えるが、浴温度>490℃では決して与えない(例番号2、7、10、12および16)。しかし、GIに関して、商業的製造では、通常の浴温度は460℃であり、これは、非常に厚い被覆(>30μm)を除いて、たるみを起こさない。従って、たるみが起こらない理由は、製造ラインにおける取り出し速度に違いなく、これは、たるみを生じない例10〜16(ライン速度15m/分に対応)によっても示されているが、より低いライン速度ではたるみが生じている(例1〜9)。
【0073】
MZ組成物では、たるみパターンが全ての浴温度で見られるが、表13で見られるように、430℃を超えると頻度は低くなる(19例の中で3〜4例は浴温度460℃以上におけるパネルでたるみを示しているが、460℃未満の浴温度では全てのパネルがたるみを示している)。GIによる商業的経験との組合せで、たるみパターンを少なくするには、浴温度を430℃より上にすべきである、と結論付けられる。
【0074】
取り出し速度は、MZ組成物にも影響を及ぼし、取り出し速度が高い程(150mm/s=9m/分以上)、たるみの例は、150mm/s未満(21の中で17)より少なくなる(17の中で5)。従って、たるみパターンを示さない製品を製造するには、パイロットライン試験で分かるように、ライン速度は、9m/分より高く、好ましくは30m/分より高くすべきである。
【0075】
たるみパターンに関する一つの説明は、掃気中の被覆上における、酸化物被膜の安定性である(ヨーロッパ特許第0905270B1号参照)。酸化物が薄い程、たるみ問題は小さくなると推定される。しかし、掃気ガス中に、少量のNに加えて、COを導入しても、例42および43を例48〜51と比較して分かるように、たるみパターン形成は変化せず、どちらもたるみパターンは生じなかった。これは、例18を22と比較して分かるように、たるみ問題を緩和することもできない。同様に、ワイパー上に、Nの代わりに、空気を使用して例29および48を繰り返したが、同じたるみ挙動を示した。明らかに、たるみパターンは、掃気ガスの酸化により影響されず、空気も、本発明のZn−Al−Mg浴組成物用の掃気媒体になり得る。
【0076】
表13 実験の処理パラメータ
【表2】




【0077】
パイロットライン材料の幾つかにレーザー溶接試験を行い、下記の表14に示すパラメータで、市販のGIと比較した。
【0078】
表14 レーザー溶接試験

被覆の種類 被覆の厚さ シートの厚さ
GI 7〜8μm 0.8mm
MZ_試験2 7〜8μm 0.7mm
MZ_試験2 4〜5μm 0.7mm
【0079】
将来、自動車工業では、鋼製部品を接続するのにレーザー溶接が多く使用されると予想される。従来の突合わせ溶接形態では、溶接性に対する被覆の影響がほとんど無いが、レーザー溶接用のオーバーラップ形態では、亜鉛の存在が溶接挙動に大きな影響を及ぼす。溶接工程の際、亜鉛が融解して蒸発し、亜鉛蒸気が重なり合っているシート間に捕獲される。シート間の蒸気圧蓄積により、溶融物プールが吹き飛び、(重大な)スパッタが生じる。これを防止するために、溶接部で鋼板間にスペーサーを使用することができる。しかし、実際には、このためにコストが上昇する。薄いGI被覆は、厚い亜鉛被覆よりも、問題が商事難いことが分かっている。
【0080】
3種類の試験材料を、大きさ250x125mmの長方形試料(長い縁部は圧延方向にある)に切断し、これらの試験片を溶接ジグ中に配置し、堅くクランプ止めした。使用した50mmのオーバーラップ長さは、製造に通常使用されるものより大きなオーバーラップであるが、縁部効果が溶接工程に影響を及ぼすのを防止する。クランプ止め圧力は、溶接区域にできるだけ近い所(16mm離れた)に作用させた。溶接位置は、クランプ間の中央であった。レーザー溶接実験には、4.5kWのNd:YAGレーザーおよびロボット支持されたHighYag溶接ヘッドを使用し、レーザースポットサイズΦ0.45mm(単焦点)を得た。
【0081】
スペーサーを使用する溶接試験には、紙の細片をスペーサーとして使用し、シート間に約0.1mmの小さな隙間を形成した。3種類の材料の試料を、シート間にスペーサーを使用し、4000Wのレーザースポットで、溶接速度5m/分で、遮蔽ガスは使用せずに溶接した。これらの溶接部は全て、細孔が無く、完全な溶接ビード外観を示した。
【0082】
スペーサーを使用せずに形成した溶接部の外観を定量するために、厚さを通した細孔の数を計数した。これらの細孔の数は、光の透過を検査して査定した。
【0083】
低溶接速度は、最良の溶接ビードを与え、厚さを通した細孔が最も少なかった。最良の結果は、2m/分の低溶接速度と4000Wの高レーザー出力の組合せで達成された。この設定で、「厚い」(7〜8μm)MZ_試験2で被覆した試料は、同等の被覆厚さでGI被覆した材料よりも性能が悪く、試料1点あたりの厚さを通した細孔は15対7であった。この設定で、「薄い」(4〜5μm)MZ_試験2で被覆した試料は、GI被覆した材料よりも性能が僅かに良く、試料1点あたりの厚さを通した細孔はそれぞれ5対7であった。
【0084】
これらの結果は、下記の様にまとめることができる。すなわち、被覆厚さは、スペーサーを使用せずに良好なレーザー溶接性を得るには、7μm未満で、少なくとも3μm(耐食性を得るために)にすべきである。
【0085】
無論、本被覆および被覆方法は、上記の実験で使用した組成とは異なった組成を有する細片にも使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融亜鉛合金めっき被覆層を備えた鋼帯であって、前記亜鉛合金が、
マグネシウム0.3〜2.3重量%、
アルミニウム0.6〜2.3重量%、
所望により使用する一種以上の追加元素<0.2重量%、
不可避不純物、および
残部亜鉛
からなり、前記亜鉛合金被覆層の厚さが3〜12μmである、鋼帯。
【請求項2】
前記亜鉛合金被覆層の厚さが3〜10μmである、請求項1に記載の溶融亜鉛合金めっき被覆層を備えた鋼帯。
【請求項3】
前記亜鉛合金被覆層の厚さが3〜8μmである、請求項1または2に記載の溶融亜鉛合金めっき被覆層を備えた鋼帯。
【請求項4】
前記亜鉛合金被覆層の厚さが3〜7μmである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の溶融亜鉛合金めっき被覆層を備えた鋼帯。
【請求項5】
一種以上の追加元素が前記亜鉛合金被覆中に、それぞれ<0.02重量%、好ましくはそれぞれ<0.01重量%で存在する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の溶融亜鉛合金めっき被覆層を備えた鋼帯。
【請求項6】
前記亜鉛合金層中のケイ素含有量が0.0010重量%未満である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の溶融亜鉛合金めっき被覆層を備えた鋼帯。
【請求項7】
前記亜鉛合金が、マグネシウム1.6〜2.3重量%およびアルミニウム1.6〜2.3重量%を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の溶融亜鉛合金めっき被覆層を備えた鋼帯。
【請求項8】
前記亜鉛合金が、アルミニウム0.6〜1.3重量%を含み、好ましくはアルミニウム0.8〜1.2重量%を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の溶融亜鉛合金めっき被覆層を備えた鋼帯。
【請求項9】
前記亜鉛合金が、マグネシウム0.3〜1.3重量%を含み、好ましくはマグネシウム0.8〜1.2重量%を含む、請求項1〜6および8のいずれか一項に記載の溶融亜鉛合金めっき被覆層を備えた鋼帯。
【請求項10】
重量%で表したアルミニウム量が、重量%で表したマグネシウム量±最大0.3重量%と等しい、請求項1〜9のいずれか一項に記載の溶融亜鉛合金めっき被覆層を備えた鋼帯。
【請求項11】
鋼帯を溶融亜鉛めっきして亜鉛合金被覆層を施すための、前記鋼帯の被覆を溶融亜鉛合金の浴中で行う方法であって、前記亜鉛合金が、
マグネシウム0.3〜2.3重量%、
アルミニウム0.5〜2.3重量%、
ケイ素0.0010重量%未満、
所望により使用する一種以上の追加元素<0.2重量%、
不可避不純物、および
残部亜鉛
からなる、方法。
【請求項12】
前記亜鉛合金浴が、マグネシウム1.5〜2.3重量%およびアルミニウム1.5〜2.3重量%を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記亜鉛合金浴が、アルミニウム0.6〜1.3重量%を含み、好ましくはアルミニウム0.7〜1.2重量%を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記亜鉛合金浴が、マグネシウム0.3〜1.3重量%を含み、好ましくはマグネシウム0.7〜1.2重量%を含む、請求項11または13に記載の方法。
【請求項15】
前記溶融亜鉛浴の温度が、380℃〜550℃、好ましくは420℃〜480℃に維持される、請求項11〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記溶融亜鉛合金浴に入る前の前記鋼帯の温度が、380℃〜850℃、好ましくは、溶融亜鉛合金浴の温度と前記浴温度より25℃高い温度との間である、請求項11〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記鋼帯が、毎分9メートルを超える速度で、好ましくは毎分15メートルを超える速度で、より好ましくは毎分30メートルを超える速度で前記溶融亜鉛合金浴に入る、請求項11〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
請求項11〜17のいずれか一項に記載の方法で製造された、溶融亜鉛合金めっき被覆を施した鋼帯。
【請求項19】
請求項1〜10および18のいずれか一項に記載の鋼帯から製造された自動車部品。

【公表番号】特表2008−504440(P2008−504440A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−518519(P2007−518519)
【出願日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【国際出願番号】PCT/EP2005/006873
【国際公開番号】WO2006/002843
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(500252006)コラス・スタール・ベー・ブイ (16)
【Fターム(参考)】