溶融金属を鋳て形状維持体を成形する方法及び装置
【課題】溶融金属を最終製品の状態に鋳造する際に、キャビティ内での溶融金属の周囲輪郭を制限することによって、開放式鋳型キャビティによる溶融金属の鋳造することに関する方法及び装置を提供する事。
【解決手段】始動材料体(70)をキャビティ(4)内でスタータブロック(60)とキャビティの軸線(12)に対して横方向のキャビティの第1の横断面(72)との間に入れた状態で、キャビティ軸線に沿うスタータブロックの往復動を開始させると、溶融金属の層(76)がキャビティの第1の横断面に隣接して始動材料体上に次々に積層し、かかる溶融金属層は、その内部の固有の溶射力を受けてキャビティ軸線から相対的に周囲方向外方に迅速に膨張する。かかる層の相対的に周囲方向外方への膨張を鋳造面(62)で制限し、この鋳造面は、キャビティの軸線の回りに周囲方向外方へフレア状になっていて、各層中に生じる熱収縮力が溶射力と釣り合うことができるようになる。
【解決手段】始動材料体(70)をキャビティ(4)内でスタータブロック(60)とキャビティの軸線(12)に対して横方向のキャビティの第1の横断面(72)との間に入れた状態で、キャビティ軸線に沿うスタータブロックの往復動を開始させると、溶融金属の層(76)がキャビティの第1の横断面に隣接して始動材料体上に次々に積層し、かかる溶融金属層は、その内部の固有の溶射力を受けてキャビティ軸線から相対的に周囲方向外方に迅速に膨張する。かかる層の相対的に周囲方向外方への膨張を鋳造面(62)で制限し、この鋳造面は、キャビティの軸線の回りに周囲方向外方へフレア状になっていて、各層中に生じる熱収縮力が溶射力と釣り合うことができるようになる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開放式鋳型キャビティによる溶融金属の鋳造に関し、特に、溶融金属を最終製品の状態に鋳造する際にキャビティ内での溶融金属の周囲輪郭の制限に関する。
【背景技術】
【0002】
今日用いられている開放式鋳型キャビティは、入口側端部、排出側端部開口、キャビティの排出側端部開口と入口側端部との間に延びる軸線、及び金属がキャビティを通過している間、溶融金属の外周をキャビティに制限するようキャビティの排出側端部開口と入口側端部との間でキャビティの軸線の周りに設けられた壁を有している。鋳造作業を実施する場合、スタータブロックが、キャビティの排出側端部開口内に入れ子状に嵌められる。スタータブロックは、キャビティの軸線に沿って往復動自在であるが、当初、開口部内に配置され、その間、始動材料体が、キャビティ内でスタータブロックとキャビティの軸線に対して横断方向に延びるキャビティの第1の横断平面との間に設けられる。次に、スタータブロックがキャビティからその軸線に沿って相対的に外方に往復動すると共に始動材料体がスタータブロックと縦列関係をなして、キャビティの軸線に対して相対的に横断方向に延びるキャビティの一連の第2の横断平面を通って往復動している間に、キャビティの第1の横断平面内で外周制限手段により定められる横断面積部よりも小さな横断面積部をキャビティの軸線に対して横断方向の平面内に有する連続した溶融金属の層が、キャビティの第1の横断平面に隣接して始動材料体上に相対的に重ねられる。各溶融金属層の横断面積は小さいので、各溶融金属層は、その内部に固有の外への拡大力を有し、これにより各溶融金属層はキャビティの第1の横断平面に隣接したところでキャビティの軸線から相対的に周囲方向外方へ膨張する。各溶融金属層は、これがキャビティの壁により遮られるまで膨張し、ここで、壁がキャビティの第1の横断平面に対して直角をなしているので、溶融金属層は、鋭く直角に曲がってキャビティの一連の第2の横断平面中へ移動すると共に壁のコース、即ち、横断平面に垂直なコースに平行な第2の横断平面を通るコースを辿るようになる。他方、溶融金属層は壁に接触すると熱収縮力を受け始め、やがて熱収縮力は外への拡大力と効果的に釣り合って、「固相線(solidus )」という状態が第2の横断平面のうちの一つに生じる。しかる後、溶融金属層がその時点で新たに形成された金属体であるものの一体部分となり、溶融金属層は金属体中でキャビティの通過を完了すると、収縮して壁から遠ざかるようになる。
【0003】
キャビティの第1の横断平面と「固相線」が生じたキャビティの1つの第2の横断平面との間で、溶融金属層はキャビティの壁に密着させられ、この接触により摩擦が生じ、この摩擦は、溶融金属層の移動に対して逆に作用して溶融金属層をその隣の溶融金属層から分離しがちな程度まで、その外周面のところを引き裂く傾向がある。したがって、当業者は、各溶融金属層と壁との間の境界部を潤滑するか、各溶融金属層と壁との間の境界部のところで互いに分離するかの何れかを長い間にわたって試みてきた。当業者は又、各溶融金属層と壁との間の接触バンド又は帯状接触部の幅を小さくする手段を模索してきた。当業者の技術的努力により、米国特許第4,598,763号に開示された方式及び米国特許第5,582,230号に開示された方式を含む種々の方式が生み出された。米国特許第4,598,763号では、油で包囲された状態の加圧ガスのスリーブを壁と溶融金属層との間に介在させてこれらを互いに分離している。米国特許第5,582,230号では、液体冷却剤のスプレーを金属体の周りに生じさせ、次に接触バンドの幅を小さくするよう金属体上に吹きつける。また、当業者の技術的努力により多種多様な潤滑剤が開発され、これら技術的努力が相まって、潤滑及び(又は)溶融金属層の壁からの分離又は壁の溶融金属層からの分離に当たってある程度の成功を収めたが、潤滑剤自体に関する別の新たな問題が生じた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
溶融金属層と壁との間の境界部を横切って大きな度合いの熱交換が行われるので、強烈な熱の作用により潤滑剤が分解する場合がある。かかる分解による生成物は境界部のところで周囲空気との反応を起こす場合が多く、それにより金属酸化物等の粒子が生じ、これらは境界部のところで「リッパー(rippers )」になり、これらリッパーはこのようにして生じた製品の軸方向寸法に沿って所謂「ジッパー(zippers )」を生じさせる。強烈な熱により潤滑剤が燃え、それにより溶銑と低温表面の対面関係(hot metal to cold surface condition )が生じ、この場合、摩擦力はどんな潤滑剤を使っても大きくは除去されない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、溶融金属層と壁との間の境界部のところで溶融金属層を壁から分離したりこの境界部を潤滑する従来方式やこれら2つの接触バンドを短くする従来方式とは全く異なるものである。これらに代えて、本発明は、上記の従来方式を必要とする問題を生じさせるような溶融金属層と壁との間の「対面」関係を無くし、溶融金属がキャビティを通過している間、キャビティ内の各溶融金属層相対的に周囲方向外方への膨張を制限するという全く新規な方式を用いている。
【0006】
本発明によれば、各溶融金属層がキャビティの軸線に対して相対的に周囲方向外方へ傾斜した角度をなして第1の横断平面の周囲方向輪郭から相対的に周囲方向外方へ膨張することができるようにしながら、各溶融金属層の相対的周囲方向外方への膨張をキャビティの第1の横断平面内でキャビティの第1の横断面積部に制限し、溶融金属層は、キャビティの第2の横断平面内でキャビティの周囲方向外方へ次第に大きくなる第2の横断面積部を呈するようになる。さらに、溶融金属層が上記第2の横断面積部を呈するときに各溶融金属層中に熱収縮力を生じさせ、各溶融金属層中の熱収縮力の大きさを制御して熱収縮力がキャビティの第2の横断平面のうち少なくとも1つのところで各溶融金属層中の外への拡大力と釣り合って上記金属体が形状保持状態になるにつれて上記金属体に自由形成周囲方向輪郭を与える。このようにすると、溶融金属層は、壁又は他の周囲制限手段と向き合うことはなく、これは、親が差し伸べた手に子供が寄り掛かることができるようにしながら次第にその子供から後退して子供が歩くことを教えられている状態に似ており、従って、例えば逸らせ手段を用いることにより溶融金属層の外周部のところに一種の受動的支持体が得られ、他方、溶融金属層は、これら自体で互いに凝集し、そして周囲の壁等によりこれら溶融金属層に生じる表皮を受け入れるのではなくこれを自ら選択して密着した表皮を形成するよう「励ましを受ける」。また、熱収縮力が逸らせ手段に代わって生じる限り、逸らせ手段を引っ込めて溶融金属層と任意の制限媒体との接触を事実上無くするようにする。これは、溶融金属層と周囲制限手段との間の境界部を潤滑し又はこれに緩衝作用を与えることは不要であることを意味するが、溶融金属層の周りに潤滑又は緩衝媒体を使用しつづけることを妨げるというわけではない。事実、本発明の現時点において好ましい実施形態のうち多くのものでは、加圧ガスのスリーブが、キャビティの第2の横断平面内で溶融金属層の周りに設けられる。また、一般に、油の環状体をキャビティの第2の横断平面内で溶融金属層の周りに設け、或る実施形態では、米国特許第4,598,763号に記載されているように、油で包囲された状態の加圧ガスのスリーブをキャビティの第2の横断平面内で溶融金属層の周りに設ける。一般に、加圧ガス及び油を好ましくは同時にキャビティの第2の横断平面のところでキャビティ内へ送り込むことにより上記加圧ガスの油包囲スリーブを形成する。
【0007】
一般に、熱収縮力を生じさせるには、キャビティの第2の横断平面内でキャビティの軸線から相対的に周囲方向外方の方向に各溶融金属層から熱を抽出する。例えば、本発明の好ましい実施形態の多くでは、熱伝導媒体をキャビティの第2の横断面積部の周囲方向輪郭の周りに作動的に配置し、熱を熱伝導媒体を介して溶融金属層から熱を抽出する。本発明の或る好ましい実施形態では、熱伝導逸らせ手段は、キャビティの第2の横断面積部の周囲方向輪郭の周りに配置され、熱は、例えば環状室を逸らせ手段の周りに設け、液体冷却剤を環状室を通って循環させることにより逸らせ手段を介して溶融金属層から抽出される。
【0008】
また、例えば、キャビティの第1の横断平面から見てキャビティの1つの第2の横断平面の反対側のところで金属体上に液体冷却剤を放出することにより上記熱を金属体を介して溶融金属層から抽出する。好ましくは、液体冷却剤は、キャビティの軸線を横切って延びると共に金属体の漸次収束する等温線により形成されるトラフ状のモデルの底部及びリムに一致している平面相互間で金属体上に放出される。
【0009】
液体冷却剤をキャビティの1つの第2の横断平面とキャビティの排出側端部開口との間でキャビティの軸線の周りに設けられた環状帯から金属体上に放出するのがよく、或いは、液体冷却剤をキャビティの1つの第2の横断平面から見てキャビティの排出側端部開口の他方の側でキャビティの軸線の周りに設けられた環状帯から金属体上に放出してもよい。好ましくは、液体冷却剤は、キャビティの軸線の周りに環状帯をなして配設されると共に列の状態に分割された一連の穴から放出され、列の穴は米国特許第5,582,230号の場合と同様、列ごとに互いに互い違いに配設されている。
【0010】
本発明の或る好ましい実施形態では、環状帯は、キャビティの内周部に配設され、他の実施形態では、環状帯は、キャビティの排出側端部開口に隣接してキャビティの相対的に外部に配設される。
【0011】
本発明の好ましい実施形態の中には、キャビティの1つの第2の横断平面とキャビティの排出側端部開口との間でキャビティの軸線に対して横断方向に延びるキャビティの横断平面内に再入逸らせ効果を生じさせて「再ブリード」を誘起し、それにより金属体を再入させるものがある。
【0012】
時々、金属体をキャビティの軸方向に細長くするのに十分、溶融金属層を始動材料体上に相対的に重ねる。これを行う場合、細長い金属体をその連続した長手方向部分に細分するのがよく、更に、長手方向部分をそれぞれ後処理、例えば後鍛造するのがよい。
【0013】
添付の図面に一部が示された実施形態の群の中で、逸らせ手段が、各溶融金属層の相対的周囲方向外方への膨張をキャビティの第1及び第2の横断面積部に制限するようキャビティの軸線の周りに配設される。逸らせ手段は、電磁気的手段、又は組をなすエアナイフ又は任意他のかかる逸らせ手段であるのがよい。しかしながら、図面で分かるように、実施形態の中には、逸らせ手段は、各溶融金属層がキャビティの第2の横断平面内でキャビティの周囲方向外方へ次第に大きくなる第2の横断面積部を呈することができるようにしながら、溶融金属層の相対的周囲方向外方への膨張をキャビティの第1の横断面積部に制限するようキャビティの軸線の周りに設けられた一連の環状表面を備えている。或る実施形態では、個々の環状表面は、互いに対して軸方向に連続した状態で配置されているが、キャビティの第1及び第2の横断平面内で互いから見て相対的に周囲方向外方へ互い違いに配置され、そして各溶融金属層がキャビティの第2の横断平面内でキャビティの周囲方向外方へ次第に大きくなる第2の横断面積部を呈することができるようにキャビティの軸線に対して相対的に周囲方向外方に傾斜した角度をなす方向に沿って差し向けられている。特定の一組の実施形態では、環状表面は、互いにキャビティの軸方向に連結されて環状スカートを形成する。また、図示のように、環状スカートをキャビティの第1の横断平面とキャビティの排出側端部開口との間でキャビティの内周部の壁に形成してもよい。
上記壁の一部が、黒鉛製鋳造リングを備えている場合、スカートは通常、該鋳造リングの内周部にぐるりと形成される。
スカートの内周部にぐるりと直線状フレア部を設けるのがよく、又はスカートの内周部にぐるりと曲線状フレア部を設けてもよい。
【0014】
自由形成周囲方向輪郭をキャビティの1つの第2の横断平面のところで金属体に与えるのに役立つことに加えて、本発明は又、周囲方向輪郭に任意の形状を生じさせると共にこの輪郭により作られる横断面積部に望ましい任意のサイズを生じさせる手段としても用いられる。さらに、キャビティの軸線を鉛直線に任意所望の方法で差し向けている間にキャビティが所望の形状及び(又は)サイズを得ることができる。例えば、キャビティの軸線を鉛直線に沿って差し向け、第1の横断面積部を円形の周囲方向輪郭に制限するのがよく、本発明は、非円形の周囲方向輪郭をキャビティの1つの第2の横断平面のところで金属体に与えるのに利用可能である。または、キャビティの軸線を鉛直線に対して角度をなした方向に沿って差し向け、第1の横断面積部を円形の周囲方向輪郭に制限し、本発明は、円形の周囲方向輪郭をキャビティの上記1つの第2の横断平面のところで金属体に与えるのに利用できる。また、キャビティの軸線を鉛直線の方向と鉛直線に対して角度をなした方向のうち一方の方向に沿って差し向け、第1の横断面積部を非円形の周囲方向輪郭に制限し、非円形の周囲方向輪郭をキャビティの上記1つの第2の横断平面のところで金属体に与えることができる。他方、所望ならば、キャビティの第1の横断面積部を第1の鋳造作業についての第1のサイズに制限し、次に上記キャビティ内における第2の鋳造作業についての第2の異なるサイズに制限して第1の鋳造作業から第2の鋳造作業へのキャビティの1つの第2の横断平面のところにおける金属体上に与えられる横断面積部のサイズを変化させるようにする。
【0015】
本発明の好ましい実施形態のうち多くのものでは、キャビティの軸線を鉛直線に差し向け、キャビティの第1の横断面積部の周囲方向輪郭を制限し、キャビティの第2の横断平面内でキャビティの周囲にぐるりと配置された溶融金属層の各角度的に連続したセグメント環状部分中に生じた相対的熱収縮力及び溶融金属層の各セグメント環状部分が第1の横断面積部の周囲方向輪郭から第2の横断平面の連続体の状態に膨張してキャビティの第2の横断面積部を呈することができるようにする相対角度から成る群中の少なくとも1つの制御パラメータを変化させてキャビティの1つの第2の横断平面のところで金属体に与えられた周囲方向輪郭に所望の形状を生じさせる。さらに、所望の形状を得る際、上記1つの制御パラメータは、キャビティの軸線に平行に延びるキャビティの第3の横断平面内でキャビティを横切って互いに反対側に位置した溶融金属層の角度的に連続したセグメント環状部分中のそれぞれの外への拡大力と熱収縮力との間に存在する差相互間のばらつきを無くすよう変えられる。又は、上記1つの制御パラメータは、キャビティの上記第3の横断平面内で上記差相互間にばらつきを生じさせるよう変えられる。
【0016】
溶融金属層の周囲にぐるりと配置されると共にキャビティの互いに反対側の側部上に設けられた溶融金属層の角度的に連続したセグメント環状部分中に生じた熱収縮力を互いに等しくしてキャビティの1つの第2の横断平面のところで溶融金属層のそれぞれの互いに反対側に位置したセグメント環状部分相互間に生じる熱応力を釣り合わせる。例えは、熱収縮力をキャビティの第2の横断平面内で溶融金属層の角度的に連続したセグメント環状部分から熱を抽出することにより生じさせる実施形態では、キャビティの互いに反対側の側部上に設けられた溶融金属層のセグメント環状部分中に生じた熱収縮力は、溶融金属層のそれぞれの互いに反対側のセグメント環状部分相互間で熱抽出速度を変化させることにより釣り合わされる。また、液体冷却剤をキャビティの第1の横断平面から見てキャビティの1つの第2の横断平面の反対側で金属体上に放出することにより熱を抽出する場合、金属体のそれぞれの角度的に連続したセグメント環状部分上に放出される液体冷却剤の量を変化させて溶融金属層の互いに反対側のセグメント環状部分からの熱抽出速度を変化させる。
【0017】
第1の横断面積部が第1の鋳造作業及び第2の鋳造作業中に制限されるサイズは、第1の横断面積部がキャビティの第1の横断平面内で制限される周囲方向輪郭の周囲方向広がりを変化させることにより変えられる。
逸らせ手段が、溶融金属層の膨張をキャビティの第1の横断面積部及び第2の横断面積部に制限するようキャビティの軸線の周りに配置されている場合、キャビティの第1の横断面積部が制限される周囲方向輪郭の周囲方向広がりは、逸らせ手段とキャビティの第1及び第2の横断平面を互いにシフトさせることにより変えられる。さらに、始動材料体上に重ねられる溶融金属の量を変化させてそれぞれの横断平面を逸らせ手段に対してシフトさせることにより、又は逸らせ手段をキャビティの軸線に対して横断方向に位置した回転軸線の回りに回転させることにより逸らせ手段とキャビティの第1及び第2の横断平面を互いにシフトさせる。
キャビティの第1の横断面積部が制限される周囲方向輪郭の周囲方向広がりは、逸らせ手段を対をなす状態に分割し、それぞれの逸らせ手段の対をキャビティの軸線の周りにその互いに反対側の側部の対上に配置し、逸らせ手段の対をキャビティの軸線を横切る方向に互いにシフトさせることにより変えられる。さらに、逸らせ手段の対のうち1つをキャビティの軸線を横切る方向に互いに往復動させて逸らせ手段の対を互いに対してシフトさせ、或いは、逸らせ手段の対のうち別の1つをキャビティの軸線を横切って位置した回転軸線の周りに回転させて逸らせ手段の対を互いに対してシフトさせる。
キャビティの第1の横断面積部が制限される周囲方向輪郭の周囲方向広がりは、逸らせ手段を対をなす状態に分割し、逸らせ手段の対をキャビティの軸線の周りに互いに軸方向に連続した状態で配置し、例えば逸らせ手段の対をキャビティの軸線方向に互いに逆さまにすることにより逸らせ手段の対を互いにシフトさせる。
【0018】
本発明の好ましい実施形態の中には、熱収縮力が、溶融金属層の周囲にぐるりと配置された溶融金属層の角度的に連続したセグメント環状部分の全てに生じるものがある。
上記特徴は、本発明の幾つかの好ましい実施形態を示す添付の図面を参照すると理解されよう。なお、この場合、連続鋳造法又は半連続鋳造法において、溶融金属を始動材料体としてキャビティ内に入れ、溶融金属層を次々に溶融始動材料体上に積層してキャビティの軸方向にキャビティの相対的に外方に延びる細長い金属体を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】横断面積部及び「固相線」が生じる横断平面のところにおいて金属体に与えることができる周囲輪郭を示す図であり、加うるに、この図は又、もし本発明の方法及び装置がそれぞれの横断面積部及び周囲輪郭を金属体上に与えるのに十分首尾のよいものであるならば第1の横断面積部の周囲輪郭と「固相線」の平面との間に必要な第2の横断面積部の「周辺部」を示している。
【図2】横断面積部及び「固相線」が生じる横断平面のところにおいて金属体に与えることができる周囲輪郭を示す図であり、加うるに、この図は又、もし本発明の方法及び装置がそれぞれの横断面積部及び周囲輪郭を金属体上に与えるのに十分首尾のよいものであるならば第1の横断面積部の周囲輪郭と「固相線」の平面との間に必要な第2の横断面積部の「周辺部」を示している。
【図3】横断面積部及び「固相線」が生じる横断平面のところにおいて金属体に与えることができる周囲輪郭を示す図であり、加うるに、この図は又、もし本発明の方法及び装置がそれぞれの横断面積部及び周囲輪郭を金属体上に与えるのに十分首尾のよいものであるならば第1の横断面積部の周囲輪郭と「固相線」の平面との間に必要な第2の横断面積部の「周辺部」を示している。
【図4】横断面積部及び「固相線」が生じる横断平面のところにおいて金属体に与えることができる周囲輪郭を示す図であり、加うるに、この図は又、もし本発明の方法及び装置がそれぞれの横断面積部及び周囲輪郭を金属体上に与えるのに十分首尾のよいものであるならば第1の横断面積部の周囲輪郭と「固相線」の平面との間に必要な第2の横断面積部の「周辺部」を示している。
【図5】横断面積部及び「固相線」が生じる横断平面のところにおいて金属体に与えることができる周囲輪郭を示す図であり、加うるに、この図は又、もし本発明の方法及び装置がそれぞれの横断面積部及び周囲輪郭を金属体上に与えるのに十分首尾のよいものであるならば第1の横断面積部の周囲輪郭と「固相線」の平面との間に必要な第2の横断面積部の「周辺部」を示している。
【図6】図1〜図3の例の各々を鋳造する際に用いることのできる鋳型の略図であり、この図は又、図1〜図3の例をとった平面を概略的に示している。
【図7】図1〜図3の例の各々を鋳造する際に用いることのできる鋳型の略図であり、この図は又、図1〜図3の例をとった平面を概略的に示している。
【図8】図1〜図3の例の各々を鋳造する際に用いることのできる鋳型の略図であり、この図は又、図1〜図3の例をとった平面を概略的に示している。
【図9】V字形金属体、例えば図4に示す金属体を鋳造するための頂部が開口した垂直方向鋳型の底面図であり、加うるに、鋳型のキャビティ内の第1の横断面積部の周囲輪郭を示す図である。
【図10】曲がりくねった非対称且つ非円形の金属体、例えば図5に示す全体としてL字形のものを鋳造するための頂部が開かれた垂直方向鋳型の同様な図であるが、この場合鋳型のキャビティ内に、キャビティの軸線に平行に延びるキャビティの横断平面内においてその互いに反対側に位置した部分相互間に生じる熱応力の釣合を取るために金属体の角度的に連続したセグメント環状部分からの熱の抽出速度を変化させる際に用いる方式の理論的基礎を示す図である。
【図11】図9の11−11線における等角横断面図である。
【図12】図11で見える等角断面図の中央部分を示す相対的に大きく且ついっそう急に傾斜した部分の概略等角図である。
【図13】図17の13及び15線における横断面図であり、後に示す図15内にこの関連で示された2つの連続した穴と比較するために、図9、図11及び図12の相対的に凹状の湾部を占める金属体の角度的に連続したセグメント環状部分から熱を抽出する際に用いられる2つの連続した冷却剤排出穴を示す図である。
【図14】図9の14−14線における等角部分概略横断面図であって、図12の図と似た図であり、図11の等角横断面図よりもいっそう拡大し且つ急傾斜した図である。
【図15】図17の13,15−13,15における別の横断面図であって、図14の相対的に凸状の湾部内で熱抽出に用いられる2つの連続した冷却剤排出穴を示す図であり、この場合、上述したように図13の凹状湾部のところに示された2つの連続した排出穴と比較するために示す図である。
【図16】図2及び図7の支持体の別の略図である。
【図17】鋳造作業が鋳型内で行われている時の図9及び図10に示された鋳型のいずれか一方の軸方向横断面図である。
【図18】使用時における図9〜図15及び図17に示された鋳型の頂部が高温の変形例を示す図であり、本発明の鋳型のすべてに用いられたある特定の原理を概略的に示す図である。
【図19】本発明の原理の概略的な略図であるが、各鋳型の鋳造面を表すために一組の角度的に連続した対角線を用いており、したがってある特定の横断面積部及び輪郭が図中、この下に見ることができるようになっている図である。
【図20】ある特定の原理の数学的な説明図である。
【図21】図17及び図18の図と類似した図であるが、鋳型のキャビティ内へ直接放出されている冷却剤のための鋳型の変形形態を示す図である。
【図22】図17の図と類似した軸方向横断面図であるが、「再ブリード」を捕捉するための曲線上鋳造面を備えた鋳造リングを示している図である。
【図23】逆さまにすることができる鋳造リングを示す拡大想像横断面図である。
【図24】代表的な鋳造による温度横断面図であり、漸次収束する等温線及びその熱格納平面のトラフ状モデルを示す図である。
【図25】鋳型の軸線を傾斜させることによって円形輪郭の第1の横断面積部から長円形又は他の対称で且つ非円形の周囲輪郭を生じさせるための方法の略図である。
【図26】鋳型の反対側の側部の金属体の角度的に連続したセグメント環状部分からの熱の抽出速度を変化させることによりこのようにする別の方法を示す略図である。
【図27】鋳型の反対側の側部の鋳造面の傾斜部を変えることにより円形輪郭の第1の横断面積部から長円形又は他の対称且つ非円形の周囲輪郭を発生させるための第3の方法の略図である。
【図28】鋳造の横断面積部の横断面寸法を変化させる方法を示す略図である。
【図29】圧延インゴットを製造するための4つの側部を持ち、反対側の端部が互いに対して往復動自在である可調式鋳型の平面図である。
【図30】鋳型の長手方向側部が本発明にしたがって回転するようになったとき鋳型の一対の長手方向側部のうちの1つの部分略図である。
【図31】可調式鋳型の一対の長手方側部を回転させないで固定したときのかかる長手方側部の一方の斜視図である。
【図32】図32〜図36は、固定された側部の平面図である。
【図33】図31の33−33線における断面図である。
【図34】図31の34−34線における断面図である。
【図35】図31の35−35線における断面図である。
【図36】図31の36−36線における断面図である。
【図37】図30及び図31に示す側部のうちのいずれかが鋳型に特定の長さを与えるために用いられた時の可調式鋳型の中央部分の略図である。
【図38】鋳型の長さを短くしたときの中央部分の別の略図である。
【図39】多数の長手方向部分に細分された細長い最終製品の分解斜視図である。
【図40】溶融金属層と鋳造面との間のところにおける従来型鋳型の温度について試験した従来型鋳型の略図である。
【図41】1°のテーパが鋳造面に用いられた場合の境界部のところにおける温度について試験された本発明の鋳型のうちの一つの略図である。
【図42】3°のテーパ度が鋳造面に用いられた場合の図41と類似した略図である。
【図43】5°のテーパ度が鋳造面に用いられた場合の別の類似した略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
先ず最初に図1〜図8を参照し、これらを大まかに検討する。後でこれらについて、そしてこれらの中に記載されている符号についてさらに参照するが、先ず最初に、本発明の方法及び装置によって鋳造できる多種多様な異形材について注目されたい。上述したように、所望の任意の異形材を製造することができる。さらに、異形材を水平方向、垂直方向又は水平方向以外の傾斜した状態で鋳造することができる。図1〜図5は単なる例示である。しかしながら、かかる鋳造としては、図1及び図6に示すように、垂直方向に差し向けられた鋳型で円筒形異形材を鋳造すること、図2及び図7に示すように水平方向鋳型で異形材を鋳造すること、図3及び図8に示すように長円形又は他の対称形の非円形異形材を鋳造すること、図4に示された軸対称且つ非円形の異形材、例えばV字形の異形材を鋳造すること、さらに全体として非対称且つ非円形の異形材、例えば図5に示す異形材を鋳造することが挙げられる。
【0021】
その後に生じる収縮前の最終形状は、図1〜図5に符号91で示されたものである。各金属体が図6、図7及び図8に示された平面90−90の左の下又は左側に収縮を行うので、その最終形状は、図1〜図5に示された形状よりも横断面積及び円周方向輪郭が僅かに小さい。しかしながら、本発明を意義あるものとして説明することができるようにするために、図1〜図5は、金属体中の外への拡大力をこれらの内部の熱収縮力と釣り合わせると、即ち、各金属体内の「固相線」に達すると、金属体の取る横断面積部及び輪郭を示している。この点は、図18の平面90内に生じるので、図6〜図8の各々には平面90−90として表されている。これらの図に示された残りの符号及び特徴は、この説明が以下に進につれいっそう意味を持つことになろう。
【0022】
次に、図9〜図20を参照すると、両端が開口したキャビティ4、キャビティの入口側端部に設けられた開口部6及びキャビティの排出側端部の開口部10の周りにぐるりと設けられた一連の液体冷却剤排出穴8を有する鋳型2で所望の異形材の各々が作られる。キャビティの軸線12は、垂直線に沿って、或いは垂直線に対して角度をなした方向に沿って、例えば水平線に沿って差し向けられているのがよい。図17及び図18に示す横断面は代表例であるが、キャビティの周囲をぐるりと移動するにつれて鋳型の或る特徴が以下に説明するように性質ではなく程度の変化を呈するという点においてのみ代表例である。軸線12を垂直線に対して角度をなした方向に沿って差し向けることにより、鋳造分野における当業者には理解されるように変化が生じる。しかしながら一般的には、図9〜図15及び図17に示された垂直方向又は竪形鋳型は各々、環状本体14と、鋳型本体の頂部及び底部にそれぞれ取り付けられた一対の環状上部取付板16と下部取付板18とを有している。これら3つの構成部品は全て金属で作られていて、平面図で見て、鋳型のキャビティで鋳造されるべき金属体の形状と一致した形状を有している。加うるに、鋳型本体14内のキャビティ4は、その周りにぐるりと、鋳型本体それ自体の形状と同一形状の環状溝20を有し、溝の肩22は、キャビティの入口側端部開口部6の下に十分に引っ込んでいて、溝がこの形状と同じ形状の黒鉛製鋳造リング24を収容できるようになっている。鋳造リング内の開口部は、キャビティの排出側端部開口部10の横断面積よりもその頂部において小さな横断面積を有し、したがってその内側周囲のところでは、リングは開口部10から張り出すようになっている。鋳造リングはまた、同様な高さ位置で且つ鋳造リングの最高高さ位置と最低高さ位置との間で開口部10から張り出すようにその底部のところの横断面積が小さくなっており、その内側周囲は、テーパしたスカート状の鋳造面26を有し、そのテーパは、キャビティの下向きの方向にキャビティの軸線12から相対的に周囲方向外方に差し向けられている。このテーパはまた、図示の実施形態では直線状であるが、以下により詳細に説明するように曲線状であってもよい。代表的には、テーパは、キャビティの軸線に対して約1〜12°の傾斜角を有するが、本発明の実施形態毎に傾斜角が変化することに加え、このテーパはまた、これまた以下に説明するようにキャビティの周囲をぐるりと移動するにつれて傾斜角が変化してもよい。上部取付板16の開口部6は、鋳型本体14及び鋳造リング24よりも横断面積が小さく、したがって図示のように鋳型本体及びリング上に置いて押えねじ28等によってこれに固定すると、上部取付板16は、キャビティからその内側周囲のところで張り出す僅かな舌部を有するようになる。下部取付板18の開口部は、全てのうちで最も大きな横断面積を有し、事実、キャビティの排出側端部開口部10と下部取付板18の内側周囲との間で鋳型本体の底部の周りに一対の面取り表面32,34を形成できるほど大きい。
【0023】
鋳型本体14はその内側にこの周りに延びる一対の環状室36を有しており、米国特許第5,518,063号、第5,685,359号及び第5,582,230号のいわゆる「機械加工バッフル(machined baffle )」及び「スプリットジェット(split jet )」を用いるようにするために、鋳型本体の内周部の底部に設けられた一連の液体冷却剤排出穴8は実際には、2つの一連の穴38,40から成り、これら穴38,40はキャビティ4の軸線12に対して鋭角をなして傾斜し、それぞれ鋳型本体の面取り表面32,34内に開口している。穴は、その頂部のところで、一対の円周方向溝42と連通しており、これら溝42は、それぞれの室36の内周部の周りに形成されているが、一対のエラストマーリング44によってこれらから封止されていて、室の出口マニホルドを形成できるようになっている。マニホルドは、2つの円周方向に延びる一連のオリフィス46を通してそれぞれの室36から冷却剤を受け入れるようそれぞれの室36に連結されており、かかるオリフィス46はまた、冷却剤がそれぞれの組をなす穴38,40を通って排出される前に、冷却剤の圧力を下げるための手段として役立つ。これについては、米国特許第5,582,230号及び米国特許第5,685,359号を参照されたい。なお、かかる米国特許出願は、いっそう急な傾斜をなす組の穴38が金属体48からの「跳ね返り(bounce)」の際にスプレーを生じさせ、次にこのスプレーが図17の金属体48の表面のところに概略的に示された態様で、他方の組の穴40からの排出により戻されて金属体に当たるようになった組をなす穴の互いに対する相対的傾斜角及びキャビティの軸線に対する穴の相対的傾斜角を詳細に説明している。
【0024】
鋳型2は、数個のエラストマー密封リングを含む多数の追加の構成部品を更に有しており、これらのうち幾つかが、鋳型本体と2つの取付板との間の接合部のところに示されている。加うるに、油で包囲されたガスのスリーブ(図示せず)を鋳造中に溶融金属の層の周りに形成するために油及びガスを鋳造リング24の表面のところでキャビティ4内へ送り込むための手段が全体を符号50で概略的に示されており、この詳細については米国特許第4,598,763号を参照するのがよい。同様に、参照符号52で概略的に示された漏れ検出装置の詳細については米国特許第5,318,098号を参照するのがよい。
【0025】
図18では、ここに示された高温の上側鋳型54は、高温頂部55の開口部65と黒鉛製鋳造リング56の上半分の両方が、図9〜図15及び図17においてリング24によってのみ得られる張出し部よりも張出し部58のうち多くを構成するよう寸法決めされていて、米国特許第4,598,763号の方法にとっては必要なガスポケットがいっそう顕著であることを除き実質的に同一である。
【0026】
鋳造作業を図17の鋳型2か図18の鋳型54かの何れかを用いて行う場合、鋳型のキャビティ4の形状を有する往復動自在なスタータブロック60を、これがキャビティの軸線の横断方向に延び、図18では符号64で示されたキャビティの横断平面のところで鋳造リングの傾斜内周面26又は62に係合するまで、鋳型の排出側端部開口部10又は10′内へ入れ子状に設ける。次に、溶融金属を、図18の高温頂部の開口部65又は図17のキャビティの上方に設けられたトラフ(図示せず)に供給し、溶融金属を、図18の黒鉛製リングの頂部開口部66又は図17の上部取付板16の開口部6によって形成されたのど部のトラフから垂下した竪樋状部68のいずれかを介してそれぞれのキャビティの内側に送られる。
【0027】
先ず最初に、スタータブロック60をキャビティの排出側端部開口部10又は10′内に静置し、この間、溶融金属がブロックの頂部上に溜まってひとまとまりの始動材料(以下、「始動材料体」という)70を形成するようになる。この始動材料体は代表的には、キャビティの軸線に対して横断方向に延び、図18に符号72で示すキャビティの「第1」横断平面まで堆積される。なお、この堆積段階は、鋳造作業の「バット形成(butt-forming)」又は「開始」段階と通称されている。この次に、鋳造作業の第2の段階、いわゆる「ラン(run )」段階が行われ、この後者の段階では、キャビティへの溶融金属の追加をブロック上に連続して行いながらスタータブロック60を鋳型の下でピット(図示せず)内へ下降させる。他方、始動材料体70をスタータブロックとタンデム状態で、キャビティの軸線12に対して横断方向に延びるキャビティの一連の第2の横断平面74を通って下方に往復動させ、これが一連の横断平面を通って往復動する際に、液体冷却剤が一連の穴38,40から始動材料体上に排出され、今やブロック上に形をとる傾向のある金属体を直接冷却する。加うるに、加圧ガス及び油を、図17及び図18の各々に全体を符号50で示す手段を用いて黒鉛製リングの表面を通ってキャビティ内に送り込む。
【0028】
図18で最もよく分かるように、排出された溶融金属は、溶融金属の層76となり、これら溶融金属層は、始動材料体70の頂部上に、且つ黒鉛製リングの頂部開口部の直ぐ下の箇所で、そしてキャビティの第1の横断平面72に隣接して次々に積層される。代表的には、この箇所は、鋳型キャビティの中央であり、対称又は非対称且つ非円形の場合、代表的には、キャビティの「熱格納平面(thermal shed plane)」78(図10及び図24)と一致しており、かかる用語については、以下に詳細に説明する。溶融金属を、この場合もまたキャビティの横断平面形状に応じてキャビティ内へその2又は3以上の箇所で送り込み、鋳造作業では次に溶融金属供給手順が実施される。しかしながら、いずれの場合であっても、層76がキャビティの第1の横断平面72に隣接して始動材料体70上に積層されると、それぞれの層は特に各々が物体、液体又は固体に出会うと或る流体力学的作用を受け、それにより層はそのコースからキャビティの軸方向に又はその相対的に周囲方向外方に反れ、これについては以下に説明する。
【0029】
次々に重ねられる層は実際には、溶融金属の流れを形成し、したがってこれらの層はこれらに作用するある流体力学的力を有し、これらの力は、キャビティの第1の横断平面72に隣接してキャビティの軸線12から相対的に周囲方向外方に作用する「外への拡大力」「S」(図20)としての特徴を有している。即ち、かかる力は、溶融金属材料をその方向にスプレーする傾向があり、いわば溶融金属を「駆動」してこれを黒鉛製リングの表面26又は62に接触させる。外への拡大力の大きさは、多くの要因の関数であり、かかる要因としては、溶融金属の各層が始動材料体上又は溶融金属流中でこれに先立つ層上に積層される箇所において溶融金属流に固有の静水圧が挙げられる。他の要因としては、溶融金属の温度、その組成及びキャビティへの溶融金属の送込み速度が挙げられる。かかる送込み速度を制御するための制御手段が、図17において符号80で概略的に示されている。また、これに関連して、米国特許第5,709,260号を参照されたい。外への拡大力は、送出し箇所からすべての角度方向に一定ではなく、当然のことながら、水平又は他の傾斜鋳型の場合には、これらはあらゆる方向に等しいと考えることはできない。しかしながら、以下に説明するように、本発明は、この事実を考慮に入れて、本発明の或る特定の実施形態ではこれを利用している。
【0030】
溶融金属の各層76が黒鉛製リングの表面26又は62に接近するにつれて、ある特定の追加の力が作用を発揮し始める。かかる追加の力としては、粘性、表面張力及び毛管現象の物理的な力が含まれる。これらにより、層の表面には、リングの表面26又は62に対すると共にキャビティの第1の横断平面72に対する斜めに傾斜したぬれ角が与えられる。表面に接すると、或る特定の熱効果もまた作用を発揮し、これらの効果は、溶融金属中に絶えず増大傾向にある熱収縮力「C」(図20)、即ち外への拡大力と反対に作用し、金属を軸線の外方ではなく軸線の相対的に周囲方向内方に縮める傾向のある力を生じさせる。しかしながら、これら収縮力は、絶えず増大傾向にあるが、生じるのが比較的遅く、そして適当な送込み速度が与えられると共に溶融金属層がキャビネットの第1の横断平面72内で表面26又は62に接触すると外への拡大力が熱収縮力よりも大きくなるような鋳型キャビティが与えられると、溶融金属層がその平面内の表面の環状体83(図18)によりこれについて包囲される第1の横断面積部82(図19)上に載ると外への拡大力中に相当大きな「駆動力」が存在したままになる。この場合、層がリングの表面に接触すると、この層はキャビティの軸線に対する表面26又は62の傾斜によってだけでなく、層の自然な傾斜によってキャビティの一連の第2の横断平面74に容易に差し向けられて上述の物理的な力によってこれについて設定された斜めに傾斜したコースをたどるようになる。しかしながら、表面26又は62が従来技術の場合と同様にキャビティの第1の横断平面に対して直角であれば、この表面は上記の傾向に反対に働き、層の自然な傾斜に役立つのではなく、かかる傾斜を阻み、溶融金属層に必要な直角の方向転換を行わせると共に溶融金属層が表面に密着した状態を維持しながら、軸線に平行な表面に沿って可能な限り乱れる以外には溶融金属層にとって選択の余地がないようにする。この接触により摩擦が生じることになり、この摩擦は、あらゆる鋳型設計者の悩みの種であり、かくして鋳型設計者はこれを解決する方法を研究し、或いは層を表面から分離して層相互間で摩擦の演じる役割を最小限に押えようとしている。当然のことながら、摩擦に対処するためには潤滑剤を用いることが示唆され、多種多様な潤滑剤が用いられている。上述したように、これら層と表面との間には強烈な熱が流れ、この強烈な熱が潤滑剤及びしばしばこれら層と表面との間の界面のところで潤滑剤と空気との分解反応の生成物を分解して、金属酸化物等を生じさせる傾向があり、かかる金属酸化物等は、このようにして生じた任意の生成物の軸方向寸法に沿っていわゆる「ジッパー(zipper)」を生じさせる界面のところで粒子状の「リッパー(ripper)」(図示せず)になるという点において潤滑剤自体が別な種類の問題を引き起こしている。したがって、潤滑剤は摩擦の作用を減少させるが、かかる潤滑剤は、依然として解決策が得られていない別な種類の問題を生じさせている。
【0031】
次に、図18〜図20を参照すると、第1の横断面積部82の周囲84(図19)のところでは、各層はキャビティの一連の第2の横断平面74内に頭を先にして差し向けられるだけでなく、この中に第2の横断面積部85になり、この第2の横断面積部85は、これに対応した第2の横断平面74内に次第に周囲方向外方に大きくなる横断面寸法を有する。しかしながら、この層は、これら平面内で制御できない状態で「ブリード(bleed )」することは決してできず、その代わりキャビティのそれぞれの第2の横断平面74内のリングの表面26又は62のところで環状体86によって得られる逸らせ手段の制御下に常時存在する。環状体86は、層の相対的に周囲方向外方への連続膨張を制限すると共に平面74内で層の取る第2の横断面積部85の円周方向輪郭88を定めるよう働く。しかしながら、軸線12に対してこれらは相対的に周囲方向外方への傾斜角をなすと共に互いに対して相対的に周囲方向外方に互い違いの関係をなすので、これら環状体はそのように「引込み式」又は受動式になり、したがって層は、上述したようにこれに対応したそれぞれの第2の平面内で相対的に周囲方向外方に次第に大きくなる横断面寸法を有することができるようになる。他方、この層に生じる熱収縮力「C」(図20)は、この中に残っている外への拡大力に反対に働き始め、最終的には外への拡大力と全体的に釣り合い、したがって、これら熱収縮力がそのように働くと、図20の等式中の引込み逸らせ効果「R」がいわばこの等式から抜け落ちるようになる。換言すると、逸らせ手段はもはや不要になる。「固相線」が生じ、金属体48は引き続きキャビティの軸線に対して横断方向にある程度の収縮を生じ続けるが、金属体48は事実上、それ自体の形態を維持することができる体であり、これは、釣合い効果が生じた、即ち「固相線」が生じたキャビティの「位置」第2の横断平面90の下で図18に見ることができる。
【0032】
図19と関連して再度、図1〜図8を参照すると、各異形材の場合、「固相線」は、異形材の外側周囲輪郭91によって表され、これに対し相対的に内側の輪郭84は、キャビティの第1の横断平面72内の環状体83により各層に与えられる第1の横断面積部82の輪郭であることが分かる。各対の輪郭相互間の「周辺部(penumbra)」は、「固相線」が平面90のところで生じる前に、それぞれの層の取る次第に大きくなった第2の横断面積部85である。
【0033】
各リングの表面26又は62は、その周囲の周りにぐるりと列状に配置された角度的に連続したセグメント環状部分92(表面を表す図19の斜線相互間の部分)を有し、そしてもしこの表面の周囲輪郭が円形であれば、そのテーパ角は、表面の周囲全体を通じて同一であり、キャビティの軸線12が垂直線に沿って差し向けられ、熱は層のそれぞれの角度的に連続したセグメント環状部分94(図10及び図19)からその円周方向の周りに均一に取り出され、この場合、金属体は同様に、平面90内でその横断面積部の周りに円形の輪郭を呈する。即ち、垂直方向ビレット鋳型が用いられる場合、その表面26又は62には、これらの特性が与えられ、穴38,40で構成される「スプリットジェット」システムを含む熱抽出手段8は、ビレットのそれぞれの部分94からその周囲の周りに一定の速度で熱を取り出すよう動作し、この場合、事実上、環状体83は、この中の第1の横断面積部82に円形の周囲輪郭84を与え、環状体86は、この中のそれぞれの第2の横断面積部85に同様の周囲輪郭88を与えることになり、金属体は円筒形になる。というのは、キャビティの互いに対向した側部上の金属体の部分94相互間のキャビティの軸線に平行に延びるキャビティの第3の横断平面95(図9及び図19の表面26又は62を表す斜線)内でその横方向に金属体中に生じる熱応力は、キャビティの側部から側部まで互いに釣合をとる傾向がある。しかしながら、非円形周囲輪郭が平面90のところで金属体について選択されると、或いは鋳型の軸線が垂直線に対して角度をなして差し向けられ、或いは熱が不定の速度で部分94から取り出されると、種々の制御を本発明の特徴のうち幾つかに関して実施する必要がある。
【0034】
第1に、キャビティの第3の横断平面95内の熱応力の釣合をとるための何らかの手段を設ける必要がある。第2に、溶融金属の層76は、平面90内における金属体について意図された横断面積部及び円周方向輪郭に適した横断面積部85及び周囲輪郭88のところで、一連の第2の横断平面74を通って移行する必要がある。これは、この目的に適した横断面積部82及び周囲輪郭84が第1の横断平面72について選択されなければならないことを示している。これは又、もし輪郭が平面90のところに再現されるべきであれば、平面90内での金属体の面積が大きくなるけれども、キャビティの互いに向かいあった側部上の層の角度的に連続したセグメント角度部分94中における外への拡大力「S」及び熱収縮力「C」相互間に存在する差のばらつきを許容する何らかの手段を設ける必要がある。
【0035】
これらパラメータの各々を制御する方法を開発した。かかる方法としては、所望ならば、これらパラメータ相互間にばらつきを生じさせ、したがってありふれた第1の横断面積部及び(又は)周囲輪郭、例えば円形の輪郭から、これら領域又は輪郭に類似しているが、これとは異なる形状のもの、例えば長円形を形成できるような方法が挙げられる。また、平面90内の金属体の横断面積部の横断面寸法を制御する方法を開発した。これら制御機構の各々について以下に説明する。
【0036】
熱応力の釣合を取ることに関し、先ず最初に図10を参照するが、図9〜図15の残りの部分も参照されるべきである。任意の非円形横断面、例えば図10に示された非対称且つ非円形の横断平面内の熱応力を制御するために、先ず最初に、横断面の周囲輪郭84からその周りに実質的に一定の間隔で垂線96を熱格納平面78に入れることにより、金属体のそれぞれの角度的に連続したセグメント環状部分94をプロットする。次に、鋳型それ自体の製作にあたり、可変量の液体冷却剤をそれぞれの部分94上に送り出して輪郭の相互に向い合った側部上の部分からの熱の抽出速度が、金属の収縮によって生じる熱応力が金属体の側部から側部まで釣合がとられる傾向があるようなものであるようにする。換言すると、冷却剤を金属体のそれぞれの相互に向い合った部分中の熱収縮力を均等にするようになった量で金属体の周りに送り出す。
【0037】
「熱格納平面」(図24)は、任意の金属体の漸次収束する等温線によって定められるトラフ形モデル98内の最大熱集中線と一致する垂直平面である。換言すると、図24で分かるように、これは、モデルの底部のところのキャビティの横断平面100と一致する垂直平面であり、理論的には、互いに反対側で熱が金属体からその輪郭に送り出される平面である。
【0038】
部分94上に送り出される冷却剤の量を変化させるために、そのそれぞれの組の中の個々の穴38,40の穴のサイズを変化させる。図9に見えるキャビティの互いに対向した凸状及び凹状の湾部102,104に隣接して位置した穴38,40についての図13及び図15の穴のサイズを比較されたい。例えばこれらのような湾部のところでは、かかる措置が取られなければ、大きな応力が生じることが予想される。しかしながら、例えばキャビティの周囲上の任意の一点のところにおける穴の数を変化させることにより、或いは場所毎に温度を変化させることにより、或いは同一の効果を有する他の何らかの手段を用いることにより熱抽出速度を制御する他の手段を採用できる。
好ましくは、冷却剤を金属体48上に送出し(図24)、モデル98の底部のキャビティの横断平面100とそのリム106のところの平面との間で金属体に、そして好ましくはその平面にできるだけ密接して衝撃を与え、例えばモデルのトラフ中のどろどろした状態の部分108の周りに形成されている部分的に凝固した金属の「キャップ」107に衝撃を与える。
【0039】
鋳造速度に応じて、これは、図21の横断面で見て、黒鉛製リングを通して冷却剤をキャビティ内へ送り込むことを意味している。この場合、鋳型109は、一対の上部取付板110と下部取付板112を有し、これら取付板はこれらの間に黒鉛製リング114を挟むよう互いに相欠き又はさね継ぎ関係をなしている。リング114は、鋳型の鋳造面116を形成できるだけでなく、その外周部の周りに配置される環状冷却剤室118の内周部をも形成できる。リングは、その外周部の周りにぐるりと設けられた一対の円周方向溝120を有し、これら溝は、鋳型の外周部のところに設けられたエラストマー密封リング126で適当に閉鎖されたさらに別の円周方向溝124内へ冷却剤を送り込む一連のオリフィス122のための適当な環状体を形成するよう頂部及び底部が面取りされている。溝124は、米国特許第5,582,230号及び米国特許第5,685,359号の方法で、キャビティ内へ冷却剤を送り込むようキャビティの軸線の回りに配置された2組の穴128内へ冷却剤を送り込む。穴128は、これを冷却剤が通過する際に冷却剤を収容するよう通常はワニスが塗布され或いは他の方法で被覆が施されており、この場合もまた密封リングが室をキャビティから密封するためにそれぞれの取付板と黒鉛製リングとの間に用いられている。
【0040】
非円形領域及び輪郭91を有する製品を鋳造するのに必要な領域82、輪郭84、及び「周辺部」85を得るために、図9及び図10を参照して最もよく説明できる方法が用いられる。各々は、非円形周囲輪郭及びこの中の軸線12から周囲方向外方に延びる曲線及び(又は)アングロリニア(anglolinear )「アーム」129を評価する機会を提供する。アーム129自体はまた、曲線及び(又は)アングロリニアである輪郭をこの中に有すると共に凸状及び凹状の向い合った輪郭をこれらの間に有している。したがって、もしキャビティの任意の第3の横断平面95を横切るよう選択すれば、キャビティの両側の輪郭がこれらの上の層の互いに対向した角度的に連続したセグメント環状部分94内に存在する差相互間のばらつきを発生させがちであることが分かろう。例えば、図9の湾部102,104に対向して配置された層の角度的に連続したセグメント環状部分は、「V」字形の鋳造の際に著しく異なる外への拡大力を受けるであろう。相対的に凹状の湾部102では、部分94内の溶融金属は、圧縮、「はさみ付け(pinching)」又は「集束化(bunching up )」を受ける傾向がある。というのは、鋳造作業の力学的条件のもとでは、「V」字形の2つのアーム129は、互いに対して回転し、事実、湾部102内で金属を圧縮し又は「ぎっしり詰める」傾向があるからである。他方、相対的に凸状の湾部104では、アームの回転により、これと対向した部分内の金属が緩み又は開かれ、したがってそれぞれの部分内の外への拡大力と熱収縮力との間に存在する差相互間に大きなばらつきが生じるようになる。同じことが図10の場合にも当てはまるが、この場合には付属部分130を備えたアーム129が設けられているので、これとの組合せになる。始動後、例えばアーム129′は、図10の時計回りの方向に回転しようとし、これに対しアーム129″は反時計回りの方向に回転しようとする。他方、アーム129′に設けられた付属部分130′及びアーム129″に設けられた付属部分130″もまた、互いに逆方向に回転しようとする。各々は、これらの間に延びる凸状又は凹状の湾部132または134内の金属の流体力学的状態に影響を及ぼし、他方、この図の輪郭には、実際にはそれぞれのアーム又は付属部分、例えばそれぞれのアーム又は付属部分の先端部のところの回転からの結果をほとんど受けない点がある。
【0041】
種々のばらつきを無くすと共に各アーム129がその長手方向に向けている収縮を計算に入れるために、部分94と対向した鋳造リングの表面26又は62のそれぞれの角度的に連続したセグメント環状部分92(図19)のテーパを変化させて図20の等式中の「R」要因を、層のそれぞれの部分94内の外への拡大力がこれと対向して配置された第2の横断面積部85のそれぞれの角度的に連続したセグメント環状部分に費やされる均等な機会を持つ程度まで変化させる。例えば、図9の凹状湾部104は、この中の高い外への拡大力を計算に入れるために「周辺部」85の幅の広いセグメント環状部分を有しており、これに対しこれと反対側の凸状湾部102は、これと向い合った層の部分が受ける外への拡大力は比較的小さいので「周辺部」の幅のかなり狭いセグメントを有していることに注目されたい。図10の輪郭は、通常は、各アーム又は付属部品が鋳造中に受ける収縮及び(又は)回転の問題に取り組み、次に高い効果の要望を満たすテーパを選択するために隣り合う効果相互間の外挿を行う多段方式において同様な検討を行うことにより設定されている。もし例えば2つの隣り合う効果のうち1つが5°のテーパを必要とし、別のテーパが7°のテーパを必要とする場合、7°のテーパは、両方の効果に適合するよう選択される。その結果が、図4及び図5の「周辺部」85に概略的に示されており、これらについての厳密な吟味が、用いられる方法を理解する上で推奨される。
【0042】
当然のことながら、この方法を考慮して望ましいのは、各場合について符号91で示された横断面積部及び輪郭である。したがって、この方法は、実際には、鋳型の入口側端部の開口部に必要な横断面輪郭84及び横断面積部82を定める「周辺部」を先ず最初に得るために逆方向に実施される。
【0043】
可変テーパを制御機構として用いることにより、第1の横断面積部の周りに円筒形周囲輪郭を有するキャビティから水平方向鋳型で円筒形ビレットを鋳造することができる。図2及び図7並びに図16を参照すると、このようにするためには、キャビティ136はその底部に、第1の横断面積部82の輪郭84と平面90内の金属体に設けられた周囲輪郭91との間で適当な大きさの凹み85を備えなければならないことに注目されたい。これは、図16に概略的に示されており、図16は、この効果だけを得るために鋳型142の頂部138と底部140の鋳造面の角度相互間に必要なサイズの差を示している。
【0044】
しかしながら、平凡な周囲輪郭を他の幾つかの輪郭にすることにより、例えば円形の輪郭を長円形又は扁円の輪郭にすることにより、キャビティの互いに向い合った側部の差相互間のばらつきを生じさせるのが有利な場合がある。図25では、従来型軸線角度又は軸線向き制御手段144が、キャビティの軸線を垂直線に対し角度をなして傾斜させ、かかるばらつきがキャビティの第1の横断面積部82の周りの円形の輪郭84をその第2の横断面積部85についての、かくして「固相線」が生じるキャビティの1つの第2の横断平面90内の金属体の横断平面の周囲輪郭についての対称且つ非円形の輪郭に変換するようにするために用いられている。図26では、かかるばらつきは、キャビティの互いに向い合った側部上の金属体の角度的に連続したセグメント環状部分94からの熱の抽出速度を変えることによって得られる。穴146と穴148のサイズのばらつきを参照されたい。そして、図27では、黒鉛製リングの表面150には、かかるばらつきを得るためにキャビティの互いに向い合った側部上のキャビティの軸線に対する互いに異なる傾斜度が与えられている。各場合において、その効果として、図25〜図27の下に概略的に示されているように、金属体の横断平面について楕円形又は扁円形の周囲輪郭が得られている。
【0045】
リングの表面には、直線状のフレア又はテーパではなく、曲線状のフレア又はテーパを設けるのがよい。図22では、リング154の表面152は、曲線であるだけでなく、一連の第2の横断平面74の下で、特に平面90の下で軸線と平行な方向に向って幾分内側に湾曲(内曲)しており、その目的は、「固相線」が生じた後に発生する「再ブリード」を捕捉することにある。理想的には、各場合において、鋳造面は、金属の直ぐ前で金属のあらゆる運動に追随して金属の漸次周囲方向外方への広がりを導くが、制御もする。
【0046】
上述したように、「固相線」が生じるキャビティの1つの第2の横断平面90内での金属体の横断面積部に与えられる横断面寸法を制御する手段をも開発した。先ず最初に図28を参照すると、これは、所望ならば鋳造速度を変化させてキャビティの第1及び第2の横断平面をリングの表面に対してその軸方向にシフトさせることにより非常に簡単に達成できるということが分かる。即ち、キャビティの第1及び第2の横断平面を表面の幅の広いバンド156にシフトさせることにより、多種多様な組をなす寸法を金属体の横断面積部に効果的に与え、逆に、これら横断平面を表面の幅の狭いバンドにシフトさせることにより、その領域に与えられた横断面寸法が効果的に小さくなる。
【0047】
変形例として、バンド156自体をキャビティの第1及び第2の横断平面に対してシフトさせて同一の効果を達成し、さらに任意の周囲輪郭、例えば圧延インゴットに必要な側部の平らな輪郭を金属体の両側に与えてもよい。図29〜図38には、圧延インゴットを鋳造するための適当な鋳型に関してこれを行う方法が示されている。鋳型158は、2組のセグメント環状鋳造部材162,164を支持するようになったフレーム160を有し、これら鋳造部材162,164は協働して、フレーム内に矩形の鋳造リング166を形成している。これら組をなす鋳造部材は、これらのコーナーのところが互いに協働する形で半直角に切り落されていて、これらの組のうち一方162をキャビティの軸線に対して横方向に互いに往復動させてリング166に定められた全体として矩形のキャビティの長さを変化させることができるようになっている。他方の組をなす部材164は、図30では部材164′により、或いは図31〜図36では部材164″により表されている。先ず最初に図30を参照すると、部材164′は細長く、頂部が平らであり、符号168のところでフレーム内に回転自在に設けられていることが分かろう。この部材164′はまた、その内側フェース170のところが凹状に凹んでおり、したがってこれは、その回転軸線168に対して横断する方向でそのそれぞれの端部172から見てこの部材の中央部分171の方向に横断面が次第に減少するようになっている。部材のそれぞれの横断面、即ちAA〜GGを参照されたい。さらに、部材の内側ケース170は、その周りに角度的に連続して位置する間隔のところが半直角に切り落されており、この内側フェースのそれぞれの半直角切り落し面174は、この部材の頂部からその底部の方向に支点168の次第に小さくなる半径でテーパしている。この場合、半直角に切り落した効果を横断面積を減少させた効果の両方により、一連の角度的に連続したランド174が得られ、これらランド174は、部材の内側フェースに沿って延び、その内側フェースの内方に相対的に内側に向かって湾曲し(内曲)又は傾斜してこの内側フェースに球状の周囲輪郭176を与え、この輪郭176は、側部が平らな圧延インゴットを鋳造するのに必要な輪郭の特徴を備えている。しかしながら、この輪郭は、内側フェースの輪郭の周りでランド相互間の周囲外寸が次第に大きくなっていて、内側フェースは部材164′がその反時計回りに回転するにつれて対応しているが、次第に周囲方向外方に大きくなった横断面積部を定めるようになっている。図37に概略的に示された輪郭を参照すると共に、これが中央平坦部178及びその各側に向かってテーパした中間部分180を有し、これら中間部分180は部材の端部172のところの別の平坦部まで流れるように延びていることに注目されたい。リング166の端部162(図29)を互いに関して往復動させてキャビティの横断面積部の長さを調節すると、側部部材164′は、互いに同時に回転してついには一対のランド174が、その長手方向のテーパと横方向のテーパが組み合さってキャビティの側から側までその周囲輪郭が保持される部材上に位置するようになり、それと同時に、部材の平坦部178相互間の横断面寸法を保持して、インゴットの側部182の平坦度が保持されるようになっている。
【0048】
図31〜図36では、リングの長手方向側部164″が固定されているが、これらもまた図32で見てその長手方向に凸状に弓状になっており、そしてその内側フェース186の周りに角度的に次々に連続した間隔部184のところが可変的にテーパしており、この場合もまた、図30の部材164′のフェース170の複合した地形学的特徴と同一の複合した地形学的特徴をもたらすよう部材の長手方向に横断面ごとに各種テーパのところで、この長さがリングの端部162を互いに対して往復動させることによって調節すると、キャビティの中央部分184の球状輪郭178を保持するであろう。しかしながら、この場合、側部部材164″が固定されているので、キャビティの第1及び第2の横断平面は、鋳造速度の調節により昇降して図33の符号48で概略的に示す相対的な調節と同一の相対的調節を達成する。
【0049】
鋳型の端部162は機械的又は油圧的に186のところで、しかしながら電子制御装置188(PLC)により駆動され、この電子制御装置は、ロータ164′の回転又は部材164″相互間の金属48の高さ位置を整合させてキャビティの長さが駆動手段186によって調節されると、キャビティの中央部分184のところのキャビティの横断面寸法を保持する。
金属体の横断面輪郭及び(又は)横断面積部の横断面寸法を、鋳型の軸方向で両側に互いに反対側に位置したテーパ部分192を有する鋳造リング190(図23)で変えることも可能である。それぞれの部分の表面の種々のテーパが所与のものである場合、キャビティの周囲輪郭及び(又は)横断面寸法を、リングを逆にするだけで変えることができる。しかしながら、図示のリング190は各部分192の表面の同一のテーパを有し、例えば、第1の表面が摩耗したり、或いは別のある理由で使用を止める必要がある場合、1つの鋳造面を別の鋳造面で置き換える迅速な方法としてのみ採用される。
【0050】
リング190は、米国特許第5,323,841号に開示された形式の鋳型と関連して図示されており、溝194に取り付けられると共にこれにクランプされていて、これを上述したように取り外し、逆さまにし、そして再使用できるようになる。想像線で示した他の特徴は、米国特許第5,323,841号に見ることができるものである。
【0051】
本発明は又、インゴット鋳造の際、溶融金属が鋳型のコーナーを満たすようにしている。鋳型の他の部分の場合と同様に、コーナーは、長円形のように丸くなっており、或いは別の形状をしていて、外への拡大力が金属をこれらコーナーに最も効率よく流し込むことができる。しかしながら、本発明は丸い輪郭を持つ異形材に限定されない。第2の横断面積部の適当な付形が所与のものである場合、角度を他の丸い又は丸くない本体であるものに鋳造することができる。
【0052】
鋳造製品196は、図39に示すように多数の長手方向部分198の状態に再分できる程長いものであるのがよく、ここでは図9〜図15及び図17のキャビティと似たキャビティで成形されたV字形部品196がこのように細分された状態で示されている。所望ならば、さらに、各部分を或る方法で、例えば軽鍛造又は他の後処理でプラスチック状態で後処理でき、それによりこれを完成品、例えば自動車のキャリッジ又はフレームの構成部品としていっそう適当なものにすることができる。
【0053】
これ以外の溶融始動材料が用いられる場合、始動材料体70は、溶融金属の体積層のための「移動床」又は「隔壁」として機能するよう配合されるべきである。
【0054】
図39〜図42は、本発明の手段及び方法が製品の鋳造に用いられる時、鋳造面と溶融金属層との間の境界部の温度の劇的な減少を示すために記載してある。これらはまた、減少が鋳型の周囲方向に境界部の周りの任意の特定の箇所で用いられるテーパ度の関数であることを示している。事実、点ごとの最適テーパ度は、鋳型の周囲の周りのそれぞれの熱伝対による読みを得ることによって決定される場合が多い。
【0055】
外への拡大力と同様、熱収縮力は、鋳造中の金属を含む多くの要因の関数である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、開放式鋳型キャビティによる溶融金属の鋳造に関し、特に、溶融金属を最終製品の状態に鋳造する際にキャビティ内での溶融金属の周囲輪郭の制限に関する。
【背景技術】
【0002】
今日用いられている開放式鋳型キャビティは、入口側端部、排出側端部開口、キャビティの排出側端部開口と入口側端部との間に延びる軸線、及び金属がキャビティを通過している間、溶融金属の外周をキャビティに制限するようキャビティの排出側端部開口と入口側端部との間でキャビティの軸線の周りに設けられた壁を有している。鋳造作業を実施する場合、スタータブロックが、キャビティの排出側端部開口内に入れ子状に嵌められる。スタータブロックは、キャビティの軸線に沿って往復動自在であるが、当初、開口部内に配置され、その間、始動材料体が、キャビティ内でスタータブロックとキャビティの軸線に対して横断方向に延びるキャビティの第1の横断平面との間に設けられる。次に、スタータブロックがキャビティからその軸線に沿って相対的に外方に往復動すると共に始動材料体がスタータブロックと縦列関係をなして、キャビティの軸線に対して相対的に横断方向に延びるキャビティの一連の第2の横断平面を通って往復動している間に、キャビティの第1の横断平面内で外周制限手段により定められる横断面積部よりも小さな横断面積部をキャビティの軸線に対して横断方向の平面内に有する連続した溶融金属の層が、キャビティの第1の横断平面に隣接して始動材料体上に相対的に重ねられる。各溶融金属層の横断面積は小さいので、各溶融金属層は、その内部に固有の外への拡大力を有し、これにより各溶融金属層はキャビティの第1の横断平面に隣接したところでキャビティの軸線から相対的に周囲方向外方へ膨張する。各溶融金属層は、これがキャビティの壁により遮られるまで膨張し、ここで、壁がキャビティの第1の横断平面に対して直角をなしているので、溶融金属層は、鋭く直角に曲がってキャビティの一連の第2の横断平面中へ移動すると共に壁のコース、即ち、横断平面に垂直なコースに平行な第2の横断平面を通るコースを辿るようになる。他方、溶融金属層は壁に接触すると熱収縮力を受け始め、やがて熱収縮力は外への拡大力と効果的に釣り合って、「固相線(solidus )」という状態が第2の横断平面のうちの一つに生じる。しかる後、溶融金属層がその時点で新たに形成された金属体であるものの一体部分となり、溶融金属層は金属体中でキャビティの通過を完了すると、収縮して壁から遠ざかるようになる。
【0003】
キャビティの第1の横断平面と「固相線」が生じたキャビティの1つの第2の横断平面との間で、溶融金属層はキャビティの壁に密着させられ、この接触により摩擦が生じ、この摩擦は、溶融金属層の移動に対して逆に作用して溶融金属層をその隣の溶融金属層から分離しがちな程度まで、その外周面のところを引き裂く傾向がある。したがって、当業者は、各溶融金属層と壁との間の境界部を潤滑するか、各溶融金属層と壁との間の境界部のところで互いに分離するかの何れかを長い間にわたって試みてきた。当業者は又、各溶融金属層と壁との間の接触バンド又は帯状接触部の幅を小さくする手段を模索してきた。当業者の技術的努力により、米国特許第4,598,763号に開示された方式及び米国特許第5,582,230号に開示された方式を含む種々の方式が生み出された。米国特許第4,598,763号では、油で包囲された状態の加圧ガスのスリーブを壁と溶融金属層との間に介在させてこれらを互いに分離している。米国特許第5,582,230号では、液体冷却剤のスプレーを金属体の周りに生じさせ、次に接触バンドの幅を小さくするよう金属体上に吹きつける。また、当業者の技術的努力により多種多様な潤滑剤が開発され、これら技術的努力が相まって、潤滑及び(又は)溶融金属層の壁からの分離又は壁の溶融金属層からの分離に当たってある程度の成功を収めたが、潤滑剤自体に関する別の新たな問題が生じた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
溶融金属層と壁との間の境界部を横切って大きな度合いの熱交換が行われるので、強烈な熱の作用により潤滑剤が分解する場合がある。かかる分解による生成物は境界部のところで周囲空気との反応を起こす場合が多く、それにより金属酸化物等の粒子が生じ、これらは境界部のところで「リッパー(rippers )」になり、これらリッパーはこのようにして生じた製品の軸方向寸法に沿って所謂「ジッパー(zippers )」を生じさせる。強烈な熱により潤滑剤が燃え、それにより溶銑と低温表面の対面関係(hot metal to cold surface condition )が生じ、この場合、摩擦力はどんな潤滑剤を使っても大きくは除去されない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、溶融金属層と壁との間の境界部のところで溶融金属層を壁から分離したりこの境界部を潤滑する従来方式やこれら2つの接触バンドを短くする従来方式とは全く異なるものである。これらに代えて、本発明は、上記の従来方式を必要とする問題を生じさせるような溶融金属層と壁との間の「対面」関係を無くし、溶融金属がキャビティを通過している間、キャビティ内の各溶融金属層相対的に周囲方向外方への膨張を制限するという全く新規な方式を用いている。
【0006】
本発明によれば、各溶融金属層がキャビティの軸線に対して相対的に周囲方向外方へ傾斜した角度をなして第1の横断平面の周囲方向輪郭から相対的に周囲方向外方へ膨張することができるようにしながら、各溶融金属層の相対的周囲方向外方への膨張をキャビティの第1の横断平面内でキャビティの第1の横断面積部に制限し、溶融金属層は、キャビティの第2の横断平面内でキャビティの周囲方向外方へ次第に大きくなる第2の横断面積部を呈するようになる。さらに、溶融金属層が上記第2の横断面積部を呈するときに各溶融金属層中に熱収縮力を生じさせ、各溶融金属層中の熱収縮力の大きさを制御して熱収縮力がキャビティの第2の横断平面のうち少なくとも1つのところで各溶融金属層中の外への拡大力と釣り合って上記金属体が形状保持状態になるにつれて上記金属体に自由形成周囲方向輪郭を与える。このようにすると、溶融金属層は、壁又は他の周囲制限手段と向き合うことはなく、これは、親が差し伸べた手に子供が寄り掛かることができるようにしながら次第にその子供から後退して子供が歩くことを教えられている状態に似ており、従って、例えば逸らせ手段を用いることにより溶融金属層の外周部のところに一種の受動的支持体が得られ、他方、溶融金属層は、これら自体で互いに凝集し、そして周囲の壁等によりこれら溶融金属層に生じる表皮を受け入れるのではなくこれを自ら選択して密着した表皮を形成するよう「励ましを受ける」。また、熱収縮力が逸らせ手段に代わって生じる限り、逸らせ手段を引っ込めて溶融金属層と任意の制限媒体との接触を事実上無くするようにする。これは、溶融金属層と周囲制限手段との間の境界部を潤滑し又はこれに緩衝作用を与えることは不要であることを意味するが、溶融金属層の周りに潤滑又は緩衝媒体を使用しつづけることを妨げるというわけではない。事実、本発明の現時点において好ましい実施形態のうち多くのものでは、加圧ガスのスリーブが、キャビティの第2の横断平面内で溶融金属層の周りに設けられる。また、一般に、油の環状体をキャビティの第2の横断平面内で溶融金属層の周りに設け、或る実施形態では、米国特許第4,598,763号に記載されているように、油で包囲された状態の加圧ガスのスリーブをキャビティの第2の横断平面内で溶融金属層の周りに設ける。一般に、加圧ガス及び油を好ましくは同時にキャビティの第2の横断平面のところでキャビティ内へ送り込むことにより上記加圧ガスの油包囲スリーブを形成する。
【0007】
一般に、熱収縮力を生じさせるには、キャビティの第2の横断平面内でキャビティの軸線から相対的に周囲方向外方の方向に各溶融金属層から熱を抽出する。例えば、本発明の好ましい実施形態の多くでは、熱伝導媒体をキャビティの第2の横断面積部の周囲方向輪郭の周りに作動的に配置し、熱を熱伝導媒体を介して溶融金属層から熱を抽出する。本発明の或る好ましい実施形態では、熱伝導逸らせ手段は、キャビティの第2の横断面積部の周囲方向輪郭の周りに配置され、熱は、例えば環状室を逸らせ手段の周りに設け、液体冷却剤を環状室を通って循環させることにより逸らせ手段を介して溶融金属層から抽出される。
【0008】
また、例えば、キャビティの第1の横断平面から見てキャビティの1つの第2の横断平面の反対側のところで金属体上に液体冷却剤を放出することにより上記熱を金属体を介して溶融金属層から抽出する。好ましくは、液体冷却剤は、キャビティの軸線を横切って延びると共に金属体の漸次収束する等温線により形成されるトラフ状のモデルの底部及びリムに一致している平面相互間で金属体上に放出される。
【0009】
液体冷却剤をキャビティの1つの第2の横断平面とキャビティの排出側端部開口との間でキャビティの軸線の周りに設けられた環状帯から金属体上に放出するのがよく、或いは、液体冷却剤をキャビティの1つの第2の横断平面から見てキャビティの排出側端部開口の他方の側でキャビティの軸線の周りに設けられた環状帯から金属体上に放出してもよい。好ましくは、液体冷却剤は、キャビティの軸線の周りに環状帯をなして配設されると共に列の状態に分割された一連の穴から放出され、列の穴は米国特許第5,582,230号の場合と同様、列ごとに互いに互い違いに配設されている。
【0010】
本発明の或る好ましい実施形態では、環状帯は、キャビティの内周部に配設され、他の実施形態では、環状帯は、キャビティの排出側端部開口に隣接してキャビティの相対的に外部に配設される。
【0011】
本発明の好ましい実施形態の中には、キャビティの1つの第2の横断平面とキャビティの排出側端部開口との間でキャビティの軸線に対して横断方向に延びるキャビティの横断平面内に再入逸らせ効果を生じさせて「再ブリード」を誘起し、それにより金属体を再入させるものがある。
【0012】
時々、金属体をキャビティの軸方向に細長くするのに十分、溶融金属層を始動材料体上に相対的に重ねる。これを行う場合、細長い金属体をその連続した長手方向部分に細分するのがよく、更に、長手方向部分をそれぞれ後処理、例えば後鍛造するのがよい。
【0013】
添付の図面に一部が示された実施形態の群の中で、逸らせ手段が、各溶融金属層の相対的周囲方向外方への膨張をキャビティの第1及び第2の横断面積部に制限するようキャビティの軸線の周りに配設される。逸らせ手段は、電磁気的手段、又は組をなすエアナイフ又は任意他のかかる逸らせ手段であるのがよい。しかしながら、図面で分かるように、実施形態の中には、逸らせ手段は、各溶融金属層がキャビティの第2の横断平面内でキャビティの周囲方向外方へ次第に大きくなる第2の横断面積部を呈することができるようにしながら、溶融金属層の相対的周囲方向外方への膨張をキャビティの第1の横断面積部に制限するようキャビティの軸線の周りに設けられた一連の環状表面を備えている。或る実施形態では、個々の環状表面は、互いに対して軸方向に連続した状態で配置されているが、キャビティの第1及び第2の横断平面内で互いから見て相対的に周囲方向外方へ互い違いに配置され、そして各溶融金属層がキャビティの第2の横断平面内でキャビティの周囲方向外方へ次第に大きくなる第2の横断面積部を呈することができるようにキャビティの軸線に対して相対的に周囲方向外方に傾斜した角度をなす方向に沿って差し向けられている。特定の一組の実施形態では、環状表面は、互いにキャビティの軸方向に連結されて環状スカートを形成する。また、図示のように、環状スカートをキャビティの第1の横断平面とキャビティの排出側端部開口との間でキャビティの内周部の壁に形成してもよい。
上記壁の一部が、黒鉛製鋳造リングを備えている場合、スカートは通常、該鋳造リングの内周部にぐるりと形成される。
スカートの内周部にぐるりと直線状フレア部を設けるのがよく、又はスカートの内周部にぐるりと曲線状フレア部を設けてもよい。
【0014】
自由形成周囲方向輪郭をキャビティの1つの第2の横断平面のところで金属体に与えるのに役立つことに加えて、本発明は又、周囲方向輪郭に任意の形状を生じさせると共にこの輪郭により作られる横断面積部に望ましい任意のサイズを生じさせる手段としても用いられる。さらに、キャビティの軸線を鉛直線に任意所望の方法で差し向けている間にキャビティが所望の形状及び(又は)サイズを得ることができる。例えば、キャビティの軸線を鉛直線に沿って差し向け、第1の横断面積部を円形の周囲方向輪郭に制限するのがよく、本発明は、非円形の周囲方向輪郭をキャビティの1つの第2の横断平面のところで金属体に与えるのに利用可能である。または、キャビティの軸線を鉛直線に対して角度をなした方向に沿って差し向け、第1の横断面積部を円形の周囲方向輪郭に制限し、本発明は、円形の周囲方向輪郭をキャビティの上記1つの第2の横断平面のところで金属体に与えるのに利用できる。また、キャビティの軸線を鉛直線の方向と鉛直線に対して角度をなした方向のうち一方の方向に沿って差し向け、第1の横断面積部を非円形の周囲方向輪郭に制限し、非円形の周囲方向輪郭をキャビティの上記1つの第2の横断平面のところで金属体に与えることができる。他方、所望ならば、キャビティの第1の横断面積部を第1の鋳造作業についての第1のサイズに制限し、次に上記キャビティ内における第2の鋳造作業についての第2の異なるサイズに制限して第1の鋳造作業から第2の鋳造作業へのキャビティの1つの第2の横断平面のところにおける金属体上に与えられる横断面積部のサイズを変化させるようにする。
【0015】
本発明の好ましい実施形態のうち多くのものでは、キャビティの軸線を鉛直線に差し向け、キャビティの第1の横断面積部の周囲方向輪郭を制限し、キャビティの第2の横断平面内でキャビティの周囲にぐるりと配置された溶融金属層の各角度的に連続したセグメント環状部分中に生じた相対的熱収縮力及び溶融金属層の各セグメント環状部分が第1の横断面積部の周囲方向輪郭から第2の横断平面の連続体の状態に膨張してキャビティの第2の横断面積部を呈することができるようにする相対角度から成る群中の少なくとも1つの制御パラメータを変化させてキャビティの1つの第2の横断平面のところで金属体に与えられた周囲方向輪郭に所望の形状を生じさせる。さらに、所望の形状を得る際、上記1つの制御パラメータは、キャビティの軸線に平行に延びるキャビティの第3の横断平面内でキャビティを横切って互いに反対側に位置した溶融金属層の角度的に連続したセグメント環状部分中のそれぞれの外への拡大力と熱収縮力との間に存在する差相互間のばらつきを無くすよう変えられる。又は、上記1つの制御パラメータは、キャビティの上記第3の横断平面内で上記差相互間にばらつきを生じさせるよう変えられる。
【0016】
溶融金属層の周囲にぐるりと配置されると共にキャビティの互いに反対側の側部上に設けられた溶融金属層の角度的に連続したセグメント環状部分中に生じた熱収縮力を互いに等しくしてキャビティの1つの第2の横断平面のところで溶融金属層のそれぞれの互いに反対側に位置したセグメント環状部分相互間に生じる熱応力を釣り合わせる。例えは、熱収縮力をキャビティの第2の横断平面内で溶融金属層の角度的に連続したセグメント環状部分から熱を抽出することにより生じさせる実施形態では、キャビティの互いに反対側の側部上に設けられた溶融金属層のセグメント環状部分中に生じた熱収縮力は、溶融金属層のそれぞれの互いに反対側のセグメント環状部分相互間で熱抽出速度を変化させることにより釣り合わされる。また、液体冷却剤をキャビティの第1の横断平面から見てキャビティの1つの第2の横断平面の反対側で金属体上に放出することにより熱を抽出する場合、金属体のそれぞれの角度的に連続したセグメント環状部分上に放出される液体冷却剤の量を変化させて溶融金属層の互いに反対側のセグメント環状部分からの熱抽出速度を変化させる。
【0017】
第1の横断面積部が第1の鋳造作業及び第2の鋳造作業中に制限されるサイズは、第1の横断面積部がキャビティの第1の横断平面内で制限される周囲方向輪郭の周囲方向広がりを変化させることにより変えられる。
逸らせ手段が、溶融金属層の膨張をキャビティの第1の横断面積部及び第2の横断面積部に制限するようキャビティの軸線の周りに配置されている場合、キャビティの第1の横断面積部が制限される周囲方向輪郭の周囲方向広がりは、逸らせ手段とキャビティの第1及び第2の横断平面を互いにシフトさせることにより変えられる。さらに、始動材料体上に重ねられる溶融金属の量を変化させてそれぞれの横断平面を逸らせ手段に対してシフトさせることにより、又は逸らせ手段をキャビティの軸線に対して横断方向に位置した回転軸線の回りに回転させることにより逸らせ手段とキャビティの第1及び第2の横断平面を互いにシフトさせる。
キャビティの第1の横断面積部が制限される周囲方向輪郭の周囲方向広がりは、逸らせ手段を対をなす状態に分割し、それぞれの逸らせ手段の対をキャビティの軸線の周りにその互いに反対側の側部の対上に配置し、逸らせ手段の対をキャビティの軸線を横切る方向に互いにシフトさせることにより変えられる。さらに、逸らせ手段の対のうち1つをキャビティの軸線を横切る方向に互いに往復動させて逸らせ手段の対を互いに対してシフトさせ、或いは、逸らせ手段の対のうち別の1つをキャビティの軸線を横切って位置した回転軸線の周りに回転させて逸らせ手段の対を互いに対してシフトさせる。
キャビティの第1の横断面積部が制限される周囲方向輪郭の周囲方向広がりは、逸らせ手段を対をなす状態に分割し、逸らせ手段の対をキャビティの軸線の周りに互いに軸方向に連続した状態で配置し、例えば逸らせ手段の対をキャビティの軸線方向に互いに逆さまにすることにより逸らせ手段の対を互いにシフトさせる。
【0018】
本発明の好ましい実施形態の中には、熱収縮力が、溶融金属層の周囲にぐるりと配置された溶融金属層の角度的に連続したセグメント環状部分の全てに生じるものがある。
上記特徴は、本発明の幾つかの好ましい実施形態を示す添付の図面を参照すると理解されよう。なお、この場合、連続鋳造法又は半連続鋳造法において、溶融金属を始動材料体としてキャビティ内に入れ、溶融金属層を次々に溶融始動材料体上に積層してキャビティの軸方向にキャビティの相対的に外方に延びる細長い金属体を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】横断面積部及び「固相線」が生じる横断平面のところにおいて金属体に与えることができる周囲輪郭を示す図であり、加うるに、この図は又、もし本発明の方法及び装置がそれぞれの横断面積部及び周囲輪郭を金属体上に与えるのに十分首尾のよいものであるならば第1の横断面積部の周囲輪郭と「固相線」の平面との間に必要な第2の横断面積部の「周辺部」を示している。
【図2】横断面積部及び「固相線」が生じる横断平面のところにおいて金属体に与えることができる周囲輪郭を示す図であり、加うるに、この図は又、もし本発明の方法及び装置がそれぞれの横断面積部及び周囲輪郭を金属体上に与えるのに十分首尾のよいものであるならば第1の横断面積部の周囲輪郭と「固相線」の平面との間に必要な第2の横断面積部の「周辺部」を示している。
【図3】横断面積部及び「固相線」が生じる横断平面のところにおいて金属体に与えることができる周囲輪郭を示す図であり、加うるに、この図は又、もし本発明の方法及び装置がそれぞれの横断面積部及び周囲輪郭を金属体上に与えるのに十分首尾のよいものであるならば第1の横断面積部の周囲輪郭と「固相線」の平面との間に必要な第2の横断面積部の「周辺部」を示している。
【図4】横断面積部及び「固相線」が生じる横断平面のところにおいて金属体に与えることができる周囲輪郭を示す図であり、加うるに、この図は又、もし本発明の方法及び装置がそれぞれの横断面積部及び周囲輪郭を金属体上に与えるのに十分首尾のよいものであるならば第1の横断面積部の周囲輪郭と「固相線」の平面との間に必要な第2の横断面積部の「周辺部」を示している。
【図5】横断面積部及び「固相線」が生じる横断平面のところにおいて金属体に与えることができる周囲輪郭を示す図であり、加うるに、この図は又、もし本発明の方法及び装置がそれぞれの横断面積部及び周囲輪郭を金属体上に与えるのに十分首尾のよいものであるならば第1の横断面積部の周囲輪郭と「固相線」の平面との間に必要な第2の横断面積部の「周辺部」を示している。
【図6】図1〜図3の例の各々を鋳造する際に用いることのできる鋳型の略図であり、この図は又、図1〜図3の例をとった平面を概略的に示している。
【図7】図1〜図3の例の各々を鋳造する際に用いることのできる鋳型の略図であり、この図は又、図1〜図3の例をとった平面を概略的に示している。
【図8】図1〜図3の例の各々を鋳造する際に用いることのできる鋳型の略図であり、この図は又、図1〜図3の例をとった平面を概略的に示している。
【図9】V字形金属体、例えば図4に示す金属体を鋳造するための頂部が開口した垂直方向鋳型の底面図であり、加うるに、鋳型のキャビティ内の第1の横断面積部の周囲輪郭を示す図である。
【図10】曲がりくねった非対称且つ非円形の金属体、例えば図5に示す全体としてL字形のものを鋳造するための頂部が開かれた垂直方向鋳型の同様な図であるが、この場合鋳型のキャビティ内に、キャビティの軸線に平行に延びるキャビティの横断平面内においてその互いに反対側に位置した部分相互間に生じる熱応力の釣合を取るために金属体の角度的に連続したセグメント環状部分からの熱の抽出速度を変化させる際に用いる方式の理論的基礎を示す図である。
【図11】図9の11−11線における等角横断面図である。
【図12】図11で見える等角断面図の中央部分を示す相対的に大きく且ついっそう急に傾斜した部分の概略等角図である。
【図13】図17の13及び15線における横断面図であり、後に示す図15内にこの関連で示された2つの連続した穴と比較するために、図9、図11及び図12の相対的に凹状の湾部を占める金属体の角度的に連続したセグメント環状部分から熱を抽出する際に用いられる2つの連続した冷却剤排出穴を示す図である。
【図14】図9の14−14線における等角部分概略横断面図であって、図12の図と似た図であり、図11の等角横断面図よりもいっそう拡大し且つ急傾斜した図である。
【図15】図17の13,15−13,15における別の横断面図であって、図14の相対的に凸状の湾部内で熱抽出に用いられる2つの連続した冷却剤排出穴を示す図であり、この場合、上述したように図13の凹状湾部のところに示された2つの連続した排出穴と比較するために示す図である。
【図16】図2及び図7の支持体の別の略図である。
【図17】鋳造作業が鋳型内で行われている時の図9及び図10に示された鋳型のいずれか一方の軸方向横断面図である。
【図18】使用時における図9〜図15及び図17に示された鋳型の頂部が高温の変形例を示す図であり、本発明の鋳型のすべてに用いられたある特定の原理を概略的に示す図である。
【図19】本発明の原理の概略的な略図であるが、各鋳型の鋳造面を表すために一組の角度的に連続した対角線を用いており、したがってある特定の横断面積部及び輪郭が図中、この下に見ることができるようになっている図である。
【図20】ある特定の原理の数学的な説明図である。
【図21】図17及び図18の図と類似した図であるが、鋳型のキャビティ内へ直接放出されている冷却剤のための鋳型の変形形態を示す図である。
【図22】図17の図と類似した軸方向横断面図であるが、「再ブリード」を捕捉するための曲線上鋳造面を備えた鋳造リングを示している図である。
【図23】逆さまにすることができる鋳造リングを示す拡大想像横断面図である。
【図24】代表的な鋳造による温度横断面図であり、漸次収束する等温線及びその熱格納平面のトラフ状モデルを示す図である。
【図25】鋳型の軸線を傾斜させることによって円形輪郭の第1の横断面積部から長円形又は他の対称で且つ非円形の周囲輪郭を生じさせるための方法の略図である。
【図26】鋳型の反対側の側部の金属体の角度的に連続したセグメント環状部分からの熱の抽出速度を変化させることによりこのようにする別の方法を示す略図である。
【図27】鋳型の反対側の側部の鋳造面の傾斜部を変えることにより円形輪郭の第1の横断面積部から長円形又は他の対称且つ非円形の周囲輪郭を発生させるための第3の方法の略図である。
【図28】鋳造の横断面積部の横断面寸法を変化させる方法を示す略図である。
【図29】圧延インゴットを製造するための4つの側部を持ち、反対側の端部が互いに対して往復動自在である可調式鋳型の平面図である。
【図30】鋳型の長手方向側部が本発明にしたがって回転するようになったとき鋳型の一対の長手方向側部のうちの1つの部分略図である。
【図31】可調式鋳型の一対の長手方側部を回転させないで固定したときのかかる長手方側部の一方の斜視図である。
【図32】図32〜図36は、固定された側部の平面図である。
【図33】図31の33−33線における断面図である。
【図34】図31の34−34線における断面図である。
【図35】図31の35−35線における断面図である。
【図36】図31の36−36線における断面図である。
【図37】図30及び図31に示す側部のうちのいずれかが鋳型に特定の長さを与えるために用いられた時の可調式鋳型の中央部分の略図である。
【図38】鋳型の長さを短くしたときの中央部分の別の略図である。
【図39】多数の長手方向部分に細分された細長い最終製品の分解斜視図である。
【図40】溶融金属層と鋳造面との間のところにおける従来型鋳型の温度について試験した従来型鋳型の略図である。
【図41】1°のテーパが鋳造面に用いられた場合の境界部のところにおける温度について試験された本発明の鋳型のうちの一つの略図である。
【図42】3°のテーパ度が鋳造面に用いられた場合の図41と類似した略図である。
【図43】5°のテーパ度が鋳造面に用いられた場合の別の類似した略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
先ず最初に図1〜図8を参照し、これらを大まかに検討する。後でこれらについて、そしてこれらの中に記載されている符号についてさらに参照するが、先ず最初に、本発明の方法及び装置によって鋳造できる多種多様な異形材について注目されたい。上述したように、所望の任意の異形材を製造することができる。さらに、異形材を水平方向、垂直方向又は水平方向以外の傾斜した状態で鋳造することができる。図1〜図5は単なる例示である。しかしながら、かかる鋳造としては、図1及び図6に示すように、垂直方向に差し向けられた鋳型で円筒形異形材を鋳造すること、図2及び図7に示すように水平方向鋳型で異形材を鋳造すること、図3及び図8に示すように長円形又は他の対称形の非円形異形材を鋳造すること、図4に示された軸対称且つ非円形の異形材、例えばV字形の異形材を鋳造すること、さらに全体として非対称且つ非円形の異形材、例えば図5に示す異形材を鋳造することが挙げられる。
【0021】
その後に生じる収縮前の最終形状は、図1〜図5に符号91で示されたものである。各金属体が図6、図7及び図8に示された平面90−90の左の下又は左側に収縮を行うので、その最終形状は、図1〜図5に示された形状よりも横断面積及び円周方向輪郭が僅かに小さい。しかしながら、本発明を意義あるものとして説明することができるようにするために、図1〜図5は、金属体中の外への拡大力をこれらの内部の熱収縮力と釣り合わせると、即ち、各金属体内の「固相線」に達すると、金属体の取る横断面積部及び輪郭を示している。この点は、図18の平面90内に生じるので、図6〜図8の各々には平面90−90として表されている。これらの図に示された残りの符号及び特徴は、この説明が以下に進につれいっそう意味を持つことになろう。
【0022】
次に、図9〜図20を参照すると、両端が開口したキャビティ4、キャビティの入口側端部に設けられた開口部6及びキャビティの排出側端部の開口部10の周りにぐるりと設けられた一連の液体冷却剤排出穴8を有する鋳型2で所望の異形材の各々が作られる。キャビティの軸線12は、垂直線に沿って、或いは垂直線に対して角度をなした方向に沿って、例えば水平線に沿って差し向けられているのがよい。図17及び図18に示す横断面は代表例であるが、キャビティの周囲をぐるりと移動するにつれて鋳型の或る特徴が以下に説明するように性質ではなく程度の変化を呈するという点においてのみ代表例である。軸線12を垂直線に対して角度をなした方向に沿って差し向けることにより、鋳造分野における当業者には理解されるように変化が生じる。しかしながら一般的には、図9〜図15及び図17に示された垂直方向又は竪形鋳型は各々、環状本体14と、鋳型本体の頂部及び底部にそれぞれ取り付けられた一対の環状上部取付板16と下部取付板18とを有している。これら3つの構成部品は全て金属で作られていて、平面図で見て、鋳型のキャビティで鋳造されるべき金属体の形状と一致した形状を有している。加うるに、鋳型本体14内のキャビティ4は、その周りにぐるりと、鋳型本体それ自体の形状と同一形状の環状溝20を有し、溝の肩22は、キャビティの入口側端部開口部6の下に十分に引っ込んでいて、溝がこの形状と同じ形状の黒鉛製鋳造リング24を収容できるようになっている。鋳造リング内の開口部は、キャビティの排出側端部開口部10の横断面積よりもその頂部において小さな横断面積を有し、したがってその内側周囲のところでは、リングは開口部10から張り出すようになっている。鋳造リングはまた、同様な高さ位置で且つ鋳造リングの最高高さ位置と最低高さ位置との間で開口部10から張り出すようにその底部のところの横断面積が小さくなっており、その内側周囲は、テーパしたスカート状の鋳造面26を有し、そのテーパは、キャビティの下向きの方向にキャビティの軸線12から相対的に周囲方向外方に差し向けられている。このテーパはまた、図示の実施形態では直線状であるが、以下により詳細に説明するように曲線状であってもよい。代表的には、テーパは、キャビティの軸線に対して約1〜12°の傾斜角を有するが、本発明の実施形態毎に傾斜角が変化することに加え、このテーパはまた、これまた以下に説明するようにキャビティの周囲をぐるりと移動するにつれて傾斜角が変化してもよい。上部取付板16の開口部6は、鋳型本体14及び鋳造リング24よりも横断面積が小さく、したがって図示のように鋳型本体及びリング上に置いて押えねじ28等によってこれに固定すると、上部取付板16は、キャビティからその内側周囲のところで張り出す僅かな舌部を有するようになる。下部取付板18の開口部は、全てのうちで最も大きな横断面積を有し、事実、キャビティの排出側端部開口部10と下部取付板18の内側周囲との間で鋳型本体の底部の周りに一対の面取り表面32,34を形成できるほど大きい。
【0023】
鋳型本体14はその内側にこの周りに延びる一対の環状室36を有しており、米国特許第5,518,063号、第5,685,359号及び第5,582,230号のいわゆる「機械加工バッフル(machined baffle )」及び「スプリットジェット(split jet )」を用いるようにするために、鋳型本体の内周部の底部に設けられた一連の液体冷却剤排出穴8は実際には、2つの一連の穴38,40から成り、これら穴38,40はキャビティ4の軸線12に対して鋭角をなして傾斜し、それぞれ鋳型本体の面取り表面32,34内に開口している。穴は、その頂部のところで、一対の円周方向溝42と連通しており、これら溝42は、それぞれの室36の内周部の周りに形成されているが、一対のエラストマーリング44によってこれらから封止されていて、室の出口マニホルドを形成できるようになっている。マニホルドは、2つの円周方向に延びる一連のオリフィス46を通してそれぞれの室36から冷却剤を受け入れるようそれぞれの室36に連結されており、かかるオリフィス46はまた、冷却剤がそれぞれの組をなす穴38,40を通って排出される前に、冷却剤の圧力を下げるための手段として役立つ。これについては、米国特許第5,582,230号及び米国特許第5,685,359号を参照されたい。なお、かかる米国特許出願は、いっそう急な傾斜をなす組の穴38が金属体48からの「跳ね返り(bounce)」の際にスプレーを生じさせ、次にこのスプレーが図17の金属体48の表面のところに概略的に示された態様で、他方の組の穴40からの排出により戻されて金属体に当たるようになった組をなす穴の互いに対する相対的傾斜角及びキャビティの軸線に対する穴の相対的傾斜角を詳細に説明している。
【0024】
鋳型2は、数個のエラストマー密封リングを含む多数の追加の構成部品を更に有しており、これらのうち幾つかが、鋳型本体と2つの取付板との間の接合部のところに示されている。加うるに、油で包囲されたガスのスリーブ(図示せず)を鋳造中に溶融金属の層の周りに形成するために油及びガスを鋳造リング24の表面のところでキャビティ4内へ送り込むための手段が全体を符号50で概略的に示されており、この詳細については米国特許第4,598,763号を参照するのがよい。同様に、参照符号52で概略的に示された漏れ検出装置の詳細については米国特許第5,318,098号を参照するのがよい。
【0025】
図18では、ここに示された高温の上側鋳型54は、高温頂部55の開口部65と黒鉛製鋳造リング56の上半分の両方が、図9〜図15及び図17においてリング24によってのみ得られる張出し部よりも張出し部58のうち多くを構成するよう寸法決めされていて、米国特許第4,598,763号の方法にとっては必要なガスポケットがいっそう顕著であることを除き実質的に同一である。
【0026】
鋳造作業を図17の鋳型2か図18の鋳型54かの何れかを用いて行う場合、鋳型のキャビティ4の形状を有する往復動自在なスタータブロック60を、これがキャビティの軸線の横断方向に延び、図18では符号64で示されたキャビティの横断平面のところで鋳造リングの傾斜内周面26又は62に係合するまで、鋳型の排出側端部開口部10又は10′内へ入れ子状に設ける。次に、溶融金属を、図18の高温頂部の開口部65又は図17のキャビティの上方に設けられたトラフ(図示せず)に供給し、溶融金属を、図18の黒鉛製リングの頂部開口部66又は図17の上部取付板16の開口部6によって形成されたのど部のトラフから垂下した竪樋状部68のいずれかを介してそれぞれのキャビティの内側に送られる。
【0027】
先ず最初に、スタータブロック60をキャビティの排出側端部開口部10又は10′内に静置し、この間、溶融金属がブロックの頂部上に溜まってひとまとまりの始動材料(以下、「始動材料体」という)70を形成するようになる。この始動材料体は代表的には、キャビティの軸線に対して横断方向に延び、図18に符号72で示すキャビティの「第1」横断平面まで堆積される。なお、この堆積段階は、鋳造作業の「バット形成(butt-forming)」又は「開始」段階と通称されている。この次に、鋳造作業の第2の段階、いわゆる「ラン(run )」段階が行われ、この後者の段階では、キャビティへの溶融金属の追加をブロック上に連続して行いながらスタータブロック60を鋳型の下でピット(図示せず)内へ下降させる。他方、始動材料体70をスタータブロックとタンデム状態で、キャビティの軸線12に対して横断方向に延びるキャビティの一連の第2の横断平面74を通って下方に往復動させ、これが一連の横断平面を通って往復動する際に、液体冷却剤が一連の穴38,40から始動材料体上に排出され、今やブロック上に形をとる傾向のある金属体を直接冷却する。加うるに、加圧ガス及び油を、図17及び図18の各々に全体を符号50で示す手段を用いて黒鉛製リングの表面を通ってキャビティ内に送り込む。
【0028】
図18で最もよく分かるように、排出された溶融金属は、溶融金属の層76となり、これら溶融金属層は、始動材料体70の頂部上に、且つ黒鉛製リングの頂部開口部の直ぐ下の箇所で、そしてキャビティの第1の横断平面72に隣接して次々に積層される。代表的には、この箇所は、鋳型キャビティの中央であり、対称又は非対称且つ非円形の場合、代表的には、キャビティの「熱格納平面(thermal shed plane)」78(図10及び図24)と一致しており、かかる用語については、以下に詳細に説明する。溶融金属を、この場合もまたキャビティの横断平面形状に応じてキャビティ内へその2又は3以上の箇所で送り込み、鋳造作業では次に溶融金属供給手順が実施される。しかしながら、いずれの場合であっても、層76がキャビティの第1の横断平面72に隣接して始動材料体70上に積層されると、それぞれの層は特に各々が物体、液体又は固体に出会うと或る流体力学的作用を受け、それにより層はそのコースからキャビティの軸方向に又はその相対的に周囲方向外方に反れ、これについては以下に説明する。
【0029】
次々に重ねられる層は実際には、溶融金属の流れを形成し、したがってこれらの層はこれらに作用するある流体力学的力を有し、これらの力は、キャビティの第1の横断平面72に隣接してキャビティの軸線12から相対的に周囲方向外方に作用する「外への拡大力」「S」(図20)としての特徴を有している。即ち、かかる力は、溶融金属材料をその方向にスプレーする傾向があり、いわば溶融金属を「駆動」してこれを黒鉛製リングの表面26又は62に接触させる。外への拡大力の大きさは、多くの要因の関数であり、かかる要因としては、溶融金属の各層が始動材料体上又は溶融金属流中でこれに先立つ層上に積層される箇所において溶融金属流に固有の静水圧が挙げられる。他の要因としては、溶融金属の温度、その組成及びキャビティへの溶融金属の送込み速度が挙げられる。かかる送込み速度を制御するための制御手段が、図17において符号80で概略的に示されている。また、これに関連して、米国特許第5,709,260号を参照されたい。外への拡大力は、送出し箇所からすべての角度方向に一定ではなく、当然のことながら、水平又は他の傾斜鋳型の場合には、これらはあらゆる方向に等しいと考えることはできない。しかしながら、以下に説明するように、本発明は、この事実を考慮に入れて、本発明の或る特定の実施形態ではこれを利用している。
【0030】
溶融金属の各層76が黒鉛製リングの表面26又は62に接近するにつれて、ある特定の追加の力が作用を発揮し始める。かかる追加の力としては、粘性、表面張力及び毛管現象の物理的な力が含まれる。これらにより、層の表面には、リングの表面26又は62に対すると共にキャビティの第1の横断平面72に対する斜めに傾斜したぬれ角が与えられる。表面に接すると、或る特定の熱効果もまた作用を発揮し、これらの効果は、溶融金属中に絶えず増大傾向にある熱収縮力「C」(図20)、即ち外への拡大力と反対に作用し、金属を軸線の外方ではなく軸線の相対的に周囲方向内方に縮める傾向のある力を生じさせる。しかしながら、これら収縮力は、絶えず増大傾向にあるが、生じるのが比較的遅く、そして適当な送込み速度が与えられると共に溶融金属層がキャビネットの第1の横断平面72内で表面26又は62に接触すると外への拡大力が熱収縮力よりも大きくなるような鋳型キャビティが与えられると、溶融金属層がその平面内の表面の環状体83(図18)によりこれについて包囲される第1の横断面積部82(図19)上に載ると外への拡大力中に相当大きな「駆動力」が存在したままになる。この場合、層がリングの表面に接触すると、この層はキャビティの軸線に対する表面26又は62の傾斜によってだけでなく、層の自然な傾斜によってキャビティの一連の第2の横断平面74に容易に差し向けられて上述の物理的な力によってこれについて設定された斜めに傾斜したコースをたどるようになる。しかしながら、表面26又は62が従来技術の場合と同様にキャビティの第1の横断平面に対して直角であれば、この表面は上記の傾向に反対に働き、層の自然な傾斜に役立つのではなく、かかる傾斜を阻み、溶融金属層に必要な直角の方向転換を行わせると共に溶融金属層が表面に密着した状態を維持しながら、軸線に平行な表面に沿って可能な限り乱れる以外には溶融金属層にとって選択の余地がないようにする。この接触により摩擦が生じることになり、この摩擦は、あらゆる鋳型設計者の悩みの種であり、かくして鋳型設計者はこれを解決する方法を研究し、或いは層を表面から分離して層相互間で摩擦の演じる役割を最小限に押えようとしている。当然のことながら、摩擦に対処するためには潤滑剤を用いることが示唆され、多種多様な潤滑剤が用いられている。上述したように、これら層と表面との間には強烈な熱が流れ、この強烈な熱が潤滑剤及びしばしばこれら層と表面との間の界面のところで潤滑剤と空気との分解反応の生成物を分解して、金属酸化物等を生じさせる傾向があり、かかる金属酸化物等は、このようにして生じた任意の生成物の軸方向寸法に沿っていわゆる「ジッパー(zipper)」を生じさせる界面のところで粒子状の「リッパー(ripper)」(図示せず)になるという点において潤滑剤自体が別な種類の問題を引き起こしている。したがって、潤滑剤は摩擦の作用を減少させるが、かかる潤滑剤は、依然として解決策が得られていない別な種類の問題を生じさせている。
【0031】
次に、図18〜図20を参照すると、第1の横断面積部82の周囲84(図19)のところでは、各層はキャビティの一連の第2の横断平面74内に頭を先にして差し向けられるだけでなく、この中に第2の横断面積部85になり、この第2の横断面積部85は、これに対応した第2の横断平面74内に次第に周囲方向外方に大きくなる横断面寸法を有する。しかしながら、この層は、これら平面内で制御できない状態で「ブリード(bleed )」することは決してできず、その代わりキャビティのそれぞれの第2の横断平面74内のリングの表面26又は62のところで環状体86によって得られる逸らせ手段の制御下に常時存在する。環状体86は、層の相対的に周囲方向外方への連続膨張を制限すると共に平面74内で層の取る第2の横断面積部85の円周方向輪郭88を定めるよう働く。しかしながら、軸線12に対してこれらは相対的に周囲方向外方への傾斜角をなすと共に互いに対して相対的に周囲方向外方に互い違いの関係をなすので、これら環状体はそのように「引込み式」又は受動式になり、したがって層は、上述したようにこれに対応したそれぞれの第2の平面内で相対的に周囲方向外方に次第に大きくなる横断面寸法を有することができるようになる。他方、この層に生じる熱収縮力「C」(図20)は、この中に残っている外への拡大力に反対に働き始め、最終的には外への拡大力と全体的に釣り合い、したがって、これら熱収縮力がそのように働くと、図20の等式中の引込み逸らせ効果「R」がいわばこの等式から抜け落ちるようになる。換言すると、逸らせ手段はもはや不要になる。「固相線」が生じ、金属体48は引き続きキャビティの軸線に対して横断方向にある程度の収縮を生じ続けるが、金属体48は事実上、それ自体の形態を維持することができる体であり、これは、釣合い効果が生じた、即ち「固相線」が生じたキャビティの「位置」第2の横断平面90の下で図18に見ることができる。
【0032】
図19と関連して再度、図1〜図8を参照すると、各異形材の場合、「固相線」は、異形材の外側周囲輪郭91によって表され、これに対し相対的に内側の輪郭84は、キャビティの第1の横断平面72内の環状体83により各層に与えられる第1の横断面積部82の輪郭であることが分かる。各対の輪郭相互間の「周辺部(penumbra)」は、「固相線」が平面90のところで生じる前に、それぞれの層の取る次第に大きくなった第2の横断面積部85である。
【0033】
各リングの表面26又は62は、その周囲の周りにぐるりと列状に配置された角度的に連続したセグメント環状部分92(表面を表す図19の斜線相互間の部分)を有し、そしてもしこの表面の周囲輪郭が円形であれば、そのテーパ角は、表面の周囲全体を通じて同一であり、キャビティの軸線12が垂直線に沿って差し向けられ、熱は層のそれぞれの角度的に連続したセグメント環状部分94(図10及び図19)からその円周方向の周りに均一に取り出され、この場合、金属体は同様に、平面90内でその横断面積部の周りに円形の輪郭を呈する。即ち、垂直方向ビレット鋳型が用いられる場合、その表面26又は62には、これらの特性が与えられ、穴38,40で構成される「スプリットジェット」システムを含む熱抽出手段8は、ビレットのそれぞれの部分94からその周囲の周りに一定の速度で熱を取り出すよう動作し、この場合、事実上、環状体83は、この中の第1の横断面積部82に円形の周囲輪郭84を与え、環状体86は、この中のそれぞれの第2の横断面積部85に同様の周囲輪郭88を与えることになり、金属体は円筒形になる。というのは、キャビティの互いに対向した側部上の金属体の部分94相互間のキャビティの軸線に平行に延びるキャビティの第3の横断平面95(図9及び図19の表面26又は62を表す斜線)内でその横方向に金属体中に生じる熱応力は、キャビティの側部から側部まで互いに釣合をとる傾向がある。しかしながら、非円形周囲輪郭が平面90のところで金属体について選択されると、或いは鋳型の軸線が垂直線に対して角度をなして差し向けられ、或いは熱が不定の速度で部分94から取り出されると、種々の制御を本発明の特徴のうち幾つかに関して実施する必要がある。
【0034】
第1に、キャビティの第3の横断平面95内の熱応力の釣合をとるための何らかの手段を設ける必要がある。第2に、溶融金属の層76は、平面90内における金属体について意図された横断面積部及び円周方向輪郭に適した横断面積部85及び周囲輪郭88のところで、一連の第2の横断平面74を通って移行する必要がある。これは、この目的に適した横断面積部82及び周囲輪郭84が第1の横断平面72について選択されなければならないことを示している。これは又、もし輪郭が平面90のところに再現されるべきであれば、平面90内での金属体の面積が大きくなるけれども、キャビティの互いに向かいあった側部上の層の角度的に連続したセグメント角度部分94中における外への拡大力「S」及び熱収縮力「C」相互間に存在する差のばらつきを許容する何らかの手段を設ける必要がある。
【0035】
これらパラメータの各々を制御する方法を開発した。かかる方法としては、所望ならば、これらパラメータ相互間にばらつきを生じさせ、したがってありふれた第1の横断面積部及び(又は)周囲輪郭、例えば円形の輪郭から、これら領域又は輪郭に類似しているが、これとは異なる形状のもの、例えば長円形を形成できるような方法が挙げられる。また、平面90内の金属体の横断面積部の横断面寸法を制御する方法を開発した。これら制御機構の各々について以下に説明する。
【0036】
熱応力の釣合を取ることに関し、先ず最初に図10を参照するが、図9〜図15の残りの部分も参照されるべきである。任意の非円形横断面、例えば図10に示された非対称且つ非円形の横断平面内の熱応力を制御するために、先ず最初に、横断面の周囲輪郭84からその周りに実質的に一定の間隔で垂線96を熱格納平面78に入れることにより、金属体のそれぞれの角度的に連続したセグメント環状部分94をプロットする。次に、鋳型それ自体の製作にあたり、可変量の液体冷却剤をそれぞれの部分94上に送り出して輪郭の相互に向い合った側部上の部分からの熱の抽出速度が、金属の収縮によって生じる熱応力が金属体の側部から側部まで釣合がとられる傾向があるようなものであるようにする。換言すると、冷却剤を金属体のそれぞれの相互に向い合った部分中の熱収縮力を均等にするようになった量で金属体の周りに送り出す。
【0037】
「熱格納平面」(図24)は、任意の金属体の漸次収束する等温線によって定められるトラフ形モデル98内の最大熱集中線と一致する垂直平面である。換言すると、図24で分かるように、これは、モデルの底部のところのキャビティの横断平面100と一致する垂直平面であり、理論的には、互いに反対側で熱が金属体からその輪郭に送り出される平面である。
【0038】
部分94上に送り出される冷却剤の量を変化させるために、そのそれぞれの組の中の個々の穴38,40の穴のサイズを変化させる。図9に見えるキャビティの互いに対向した凸状及び凹状の湾部102,104に隣接して位置した穴38,40についての図13及び図15の穴のサイズを比較されたい。例えばこれらのような湾部のところでは、かかる措置が取られなければ、大きな応力が生じることが予想される。しかしながら、例えばキャビティの周囲上の任意の一点のところにおける穴の数を変化させることにより、或いは場所毎に温度を変化させることにより、或いは同一の効果を有する他の何らかの手段を用いることにより熱抽出速度を制御する他の手段を採用できる。
好ましくは、冷却剤を金属体48上に送出し(図24)、モデル98の底部のキャビティの横断平面100とそのリム106のところの平面との間で金属体に、そして好ましくはその平面にできるだけ密接して衝撃を与え、例えばモデルのトラフ中のどろどろした状態の部分108の周りに形成されている部分的に凝固した金属の「キャップ」107に衝撃を与える。
【0039】
鋳造速度に応じて、これは、図21の横断面で見て、黒鉛製リングを通して冷却剤をキャビティ内へ送り込むことを意味している。この場合、鋳型109は、一対の上部取付板110と下部取付板112を有し、これら取付板はこれらの間に黒鉛製リング114を挟むよう互いに相欠き又はさね継ぎ関係をなしている。リング114は、鋳型の鋳造面116を形成できるだけでなく、その外周部の周りに配置される環状冷却剤室118の内周部をも形成できる。リングは、その外周部の周りにぐるりと設けられた一対の円周方向溝120を有し、これら溝は、鋳型の外周部のところに設けられたエラストマー密封リング126で適当に閉鎖されたさらに別の円周方向溝124内へ冷却剤を送り込む一連のオリフィス122のための適当な環状体を形成するよう頂部及び底部が面取りされている。溝124は、米国特許第5,582,230号及び米国特許第5,685,359号の方法で、キャビティ内へ冷却剤を送り込むようキャビティの軸線の回りに配置された2組の穴128内へ冷却剤を送り込む。穴128は、これを冷却剤が通過する際に冷却剤を収容するよう通常はワニスが塗布され或いは他の方法で被覆が施されており、この場合もまた密封リングが室をキャビティから密封するためにそれぞれの取付板と黒鉛製リングとの間に用いられている。
【0040】
非円形領域及び輪郭91を有する製品を鋳造するのに必要な領域82、輪郭84、及び「周辺部」85を得るために、図9及び図10を参照して最もよく説明できる方法が用いられる。各々は、非円形周囲輪郭及びこの中の軸線12から周囲方向外方に延びる曲線及び(又は)アングロリニア(anglolinear )「アーム」129を評価する機会を提供する。アーム129自体はまた、曲線及び(又は)アングロリニアである輪郭をこの中に有すると共に凸状及び凹状の向い合った輪郭をこれらの間に有している。したがって、もしキャビティの任意の第3の横断平面95を横切るよう選択すれば、キャビティの両側の輪郭がこれらの上の層の互いに対向した角度的に連続したセグメント環状部分94内に存在する差相互間のばらつきを発生させがちであることが分かろう。例えば、図9の湾部102,104に対向して配置された層の角度的に連続したセグメント環状部分は、「V」字形の鋳造の際に著しく異なる外への拡大力を受けるであろう。相対的に凹状の湾部102では、部分94内の溶融金属は、圧縮、「はさみ付け(pinching)」又は「集束化(bunching up )」を受ける傾向がある。というのは、鋳造作業の力学的条件のもとでは、「V」字形の2つのアーム129は、互いに対して回転し、事実、湾部102内で金属を圧縮し又は「ぎっしり詰める」傾向があるからである。他方、相対的に凸状の湾部104では、アームの回転により、これと対向した部分内の金属が緩み又は開かれ、したがってそれぞれの部分内の外への拡大力と熱収縮力との間に存在する差相互間に大きなばらつきが生じるようになる。同じことが図10の場合にも当てはまるが、この場合には付属部分130を備えたアーム129が設けられているので、これとの組合せになる。始動後、例えばアーム129′は、図10の時計回りの方向に回転しようとし、これに対しアーム129″は反時計回りの方向に回転しようとする。他方、アーム129′に設けられた付属部分130′及びアーム129″に設けられた付属部分130″もまた、互いに逆方向に回転しようとする。各々は、これらの間に延びる凸状又は凹状の湾部132または134内の金属の流体力学的状態に影響を及ぼし、他方、この図の輪郭には、実際にはそれぞれのアーム又は付属部分、例えばそれぞれのアーム又は付属部分の先端部のところの回転からの結果をほとんど受けない点がある。
【0041】
種々のばらつきを無くすと共に各アーム129がその長手方向に向けている収縮を計算に入れるために、部分94と対向した鋳造リングの表面26又は62のそれぞれの角度的に連続したセグメント環状部分92(図19)のテーパを変化させて図20の等式中の「R」要因を、層のそれぞれの部分94内の外への拡大力がこれと対向して配置された第2の横断面積部85のそれぞれの角度的に連続したセグメント環状部分に費やされる均等な機会を持つ程度まで変化させる。例えば、図9の凹状湾部104は、この中の高い外への拡大力を計算に入れるために「周辺部」85の幅の広いセグメント環状部分を有しており、これに対しこれと反対側の凸状湾部102は、これと向い合った層の部分が受ける外への拡大力は比較的小さいので「周辺部」の幅のかなり狭いセグメントを有していることに注目されたい。図10の輪郭は、通常は、各アーム又は付属部品が鋳造中に受ける収縮及び(又は)回転の問題に取り組み、次に高い効果の要望を満たすテーパを選択するために隣り合う効果相互間の外挿を行う多段方式において同様な検討を行うことにより設定されている。もし例えば2つの隣り合う効果のうち1つが5°のテーパを必要とし、別のテーパが7°のテーパを必要とする場合、7°のテーパは、両方の効果に適合するよう選択される。その結果が、図4及び図5の「周辺部」85に概略的に示されており、これらについての厳密な吟味が、用いられる方法を理解する上で推奨される。
【0042】
当然のことながら、この方法を考慮して望ましいのは、各場合について符号91で示された横断面積部及び輪郭である。したがって、この方法は、実際には、鋳型の入口側端部の開口部に必要な横断面輪郭84及び横断面積部82を定める「周辺部」を先ず最初に得るために逆方向に実施される。
【0043】
可変テーパを制御機構として用いることにより、第1の横断面積部の周りに円筒形周囲輪郭を有するキャビティから水平方向鋳型で円筒形ビレットを鋳造することができる。図2及び図7並びに図16を参照すると、このようにするためには、キャビティ136はその底部に、第1の横断面積部82の輪郭84と平面90内の金属体に設けられた周囲輪郭91との間で適当な大きさの凹み85を備えなければならないことに注目されたい。これは、図16に概略的に示されており、図16は、この効果だけを得るために鋳型142の頂部138と底部140の鋳造面の角度相互間に必要なサイズの差を示している。
【0044】
しかしながら、平凡な周囲輪郭を他の幾つかの輪郭にすることにより、例えば円形の輪郭を長円形又は扁円の輪郭にすることにより、キャビティの互いに向い合った側部の差相互間のばらつきを生じさせるのが有利な場合がある。図25では、従来型軸線角度又は軸線向き制御手段144が、キャビティの軸線を垂直線に対し角度をなして傾斜させ、かかるばらつきがキャビティの第1の横断面積部82の周りの円形の輪郭84をその第2の横断面積部85についての、かくして「固相線」が生じるキャビティの1つの第2の横断平面90内の金属体の横断平面の周囲輪郭についての対称且つ非円形の輪郭に変換するようにするために用いられている。図26では、かかるばらつきは、キャビティの互いに向い合った側部上の金属体の角度的に連続したセグメント環状部分94からの熱の抽出速度を変えることによって得られる。穴146と穴148のサイズのばらつきを参照されたい。そして、図27では、黒鉛製リングの表面150には、かかるばらつきを得るためにキャビティの互いに向い合った側部上のキャビティの軸線に対する互いに異なる傾斜度が与えられている。各場合において、その効果として、図25〜図27の下に概略的に示されているように、金属体の横断平面について楕円形又は扁円形の周囲輪郭が得られている。
【0045】
リングの表面には、直線状のフレア又はテーパではなく、曲線状のフレア又はテーパを設けるのがよい。図22では、リング154の表面152は、曲線であるだけでなく、一連の第2の横断平面74の下で、特に平面90の下で軸線と平行な方向に向って幾分内側に湾曲(内曲)しており、その目的は、「固相線」が生じた後に発生する「再ブリード」を捕捉することにある。理想的には、各場合において、鋳造面は、金属の直ぐ前で金属のあらゆる運動に追随して金属の漸次周囲方向外方への広がりを導くが、制御もする。
【0046】
上述したように、「固相線」が生じるキャビティの1つの第2の横断平面90内での金属体の横断面積部に与えられる横断面寸法を制御する手段をも開発した。先ず最初に図28を参照すると、これは、所望ならば鋳造速度を変化させてキャビティの第1及び第2の横断平面をリングの表面に対してその軸方向にシフトさせることにより非常に簡単に達成できるということが分かる。即ち、キャビティの第1及び第2の横断平面を表面の幅の広いバンド156にシフトさせることにより、多種多様な組をなす寸法を金属体の横断面積部に効果的に与え、逆に、これら横断平面を表面の幅の狭いバンドにシフトさせることにより、その領域に与えられた横断面寸法が効果的に小さくなる。
【0047】
変形例として、バンド156自体をキャビティの第1及び第2の横断平面に対してシフトさせて同一の効果を達成し、さらに任意の周囲輪郭、例えば圧延インゴットに必要な側部の平らな輪郭を金属体の両側に与えてもよい。図29〜図38には、圧延インゴットを鋳造するための適当な鋳型に関してこれを行う方法が示されている。鋳型158は、2組のセグメント環状鋳造部材162,164を支持するようになったフレーム160を有し、これら鋳造部材162,164は協働して、フレーム内に矩形の鋳造リング166を形成している。これら組をなす鋳造部材は、これらのコーナーのところが互いに協働する形で半直角に切り落されていて、これらの組のうち一方162をキャビティの軸線に対して横方向に互いに往復動させてリング166に定められた全体として矩形のキャビティの長さを変化させることができるようになっている。他方の組をなす部材164は、図30では部材164′により、或いは図31〜図36では部材164″により表されている。先ず最初に図30を参照すると、部材164′は細長く、頂部が平らであり、符号168のところでフレーム内に回転自在に設けられていることが分かろう。この部材164′はまた、その内側フェース170のところが凹状に凹んでおり、したがってこれは、その回転軸線168に対して横断する方向でそのそれぞれの端部172から見てこの部材の中央部分171の方向に横断面が次第に減少するようになっている。部材のそれぞれの横断面、即ちAA〜GGを参照されたい。さらに、部材の内側ケース170は、その周りに角度的に連続して位置する間隔のところが半直角に切り落されており、この内側フェースのそれぞれの半直角切り落し面174は、この部材の頂部からその底部の方向に支点168の次第に小さくなる半径でテーパしている。この場合、半直角に切り落した効果を横断面積を減少させた効果の両方により、一連の角度的に連続したランド174が得られ、これらランド174は、部材の内側フェースに沿って延び、その内側フェースの内方に相対的に内側に向かって湾曲し(内曲)又は傾斜してこの内側フェースに球状の周囲輪郭176を与え、この輪郭176は、側部が平らな圧延インゴットを鋳造するのに必要な輪郭の特徴を備えている。しかしながら、この輪郭は、内側フェースの輪郭の周りでランド相互間の周囲外寸が次第に大きくなっていて、内側フェースは部材164′がその反時計回りに回転するにつれて対応しているが、次第に周囲方向外方に大きくなった横断面積部を定めるようになっている。図37に概略的に示された輪郭を参照すると共に、これが中央平坦部178及びその各側に向かってテーパした中間部分180を有し、これら中間部分180は部材の端部172のところの別の平坦部まで流れるように延びていることに注目されたい。リング166の端部162(図29)を互いに関して往復動させてキャビティの横断面積部の長さを調節すると、側部部材164′は、互いに同時に回転してついには一対のランド174が、その長手方向のテーパと横方向のテーパが組み合さってキャビティの側から側までその周囲輪郭が保持される部材上に位置するようになり、それと同時に、部材の平坦部178相互間の横断面寸法を保持して、インゴットの側部182の平坦度が保持されるようになっている。
【0048】
図31〜図36では、リングの長手方向側部164″が固定されているが、これらもまた図32で見てその長手方向に凸状に弓状になっており、そしてその内側フェース186の周りに角度的に次々に連続した間隔部184のところが可変的にテーパしており、この場合もまた、図30の部材164′のフェース170の複合した地形学的特徴と同一の複合した地形学的特徴をもたらすよう部材の長手方向に横断面ごとに各種テーパのところで、この長さがリングの端部162を互いに対して往復動させることによって調節すると、キャビティの中央部分184の球状輪郭178を保持するであろう。しかしながら、この場合、側部部材164″が固定されているので、キャビティの第1及び第2の横断平面は、鋳造速度の調節により昇降して図33の符号48で概略的に示す相対的な調節と同一の相対的調節を達成する。
【0049】
鋳型の端部162は機械的又は油圧的に186のところで、しかしながら電子制御装置188(PLC)により駆動され、この電子制御装置は、ロータ164′の回転又は部材164″相互間の金属48の高さ位置を整合させてキャビティの長さが駆動手段186によって調節されると、キャビティの中央部分184のところのキャビティの横断面寸法を保持する。
金属体の横断面輪郭及び(又は)横断面積部の横断面寸法を、鋳型の軸方向で両側に互いに反対側に位置したテーパ部分192を有する鋳造リング190(図23)で変えることも可能である。それぞれの部分の表面の種々のテーパが所与のものである場合、キャビティの周囲輪郭及び(又は)横断面寸法を、リングを逆にするだけで変えることができる。しかしながら、図示のリング190は各部分192の表面の同一のテーパを有し、例えば、第1の表面が摩耗したり、或いは別のある理由で使用を止める必要がある場合、1つの鋳造面を別の鋳造面で置き換える迅速な方法としてのみ採用される。
【0050】
リング190は、米国特許第5,323,841号に開示された形式の鋳型と関連して図示されており、溝194に取り付けられると共にこれにクランプされていて、これを上述したように取り外し、逆さまにし、そして再使用できるようになる。想像線で示した他の特徴は、米国特許第5,323,841号に見ることができるものである。
【0051】
本発明は又、インゴット鋳造の際、溶融金属が鋳型のコーナーを満たすようにしている。鋳型の他の部分の場合と同様に、コーナーは、長円形のように丸くなっており、或いは別の形状をしていて、外への拡大力が金属をこれらコーナーに最も効率よく流し込むことができる。しかしながら、本発明は丸い輪郭を持つ異形材に限定されない。第2の横断面積部の適当な付形が所与のものである場合、角度を他の丸い又は丸くない本体であるものに鋳造することができる。
【0052】
鋳造製品196は、図39に示すように多数の長手方向部分198の状態に再分できる程長いものであるのがよく、ここでは図9〜図15及び図17のキャビティと似たキャビティで成形されたV字形部品196がこのように細分された状態で示されている。所望ならば、さらに、各部分を或る方法で、例えば軽鍛造又は他の後処理でプラスチック状態で後処理でき、それによりこれを完成品、例えば自動車のキャリッジ又はフレームの構成部品としていっそう適当なものにすることができる。
【0053】
これ以外の溶融始動材料が用いられる場合、始動材料体70は、溶融金属の体積層のための「移動床」又は「隔壁」として機能するよう配合されるべきである。
【0054】
図39〜図42は、本発明の手段及び方法が製品の鋳造に用いられる時、鋳造面と溶融金属層との間の境界部の温度の劇的な減少を示すために記載してある。これらはまた、減少が鋳型の周囲方向に境界部の周りの任意の特定の箇所で用いられるテーパ度の関数であることを示している。事実、点ごとの最適テーパ度は、鋳型の周囲の周りのそれぞれの熱伝対による読みを得ることによって決定される場合が多い。
【0055】
外への拡大力と同様、熱収縮力は、鋳造中の金属を含む多くの要因の関数である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融金属を端部開放型の鋳型入れて鋳造加工する方法において、前記鋳型はその鋳型キャビティ(4)に入口端部開口(6)および排出端部開口(10)が設けられて前記入口端部開口と前記排出端部開口との間の軸線(12)に沿って鋳型キャビティが長く延在しており、前記鋳型キャビティには、溶融金属が鋳型キャビティを通過する最中に溶融金属を鋳型キャビティ内に閉じ込める目的で前記軸線を中心として鋳造面(26、62、116)が前記入口端部開口と前記排出端部開口との間に設けられているとともに、前記鋳造面は前記軸線から前記排出端部開口に向かう方向へ周方向外方向にテーパしており、前記鋳型には初期状態では前記鋳型キャビティの前記排出端部開口に嵌合しているスタータブロック(60)が更に設けられており、前記方法は、
溶融金属を前記入口端部開口から前記鋳型キャビティに導入し、最終的に始動材料体(70)を前記鋳型キャビティ内に形成する工程と、
スタータブロックが前記鋳型キャビティに対して相関的に出口方向に向けてキャビティの前記軸線に沿って運動している間にも前記入口端部開口から前記鋳型キャビティに溶融金属を継続して導入することで、前記始動材料体とその上に重畳される溶融金属とを前記鋳型キャビティから前記排出端部開口に向けて移動させる工程と、
前記鋳造面から熱を抽出して前記鋳型キャビティ内にあって前記鋳造面と接触している溶融金属を冷却する工程とを含んでおり、
溶融金属を前記鋳型キャビティ内に継続して導入する工程は制御された速度で実施され、新たに追加導入された溶融金属が複数の層(76)となって前記鋳型キャビティ内の前記始動材料体上に連続して重畳されるようにするにあたっての制御された速度は、前記鋳型キャビティの前記軸線と交差する横断平面上にある複数の層の横断面は、前記複数の層の横断面は初期には、溶融金属が初めて前記鋳造面に接触する位置にある横断平面(72)の高さにある前記鋳造面によって画定された横断面に比べて初期には面積が小さくなるように設定されているが、新たに追加導入された溶融金属から生じた複数の層はテーパした前記鋳造面に向けて外周方向に広がってテーパした前記鋳造面と接触しながら複数の層の金属を冷却することができるようにする速度であり、それにより、前記スタータブロックと前記始動材料体が共に出口方向に運動することと前記鋳造面を外周方向へテーパさせたことが互いに作用し合い、溶融金属から生じた複数の層が前記鋳型キャビティを通過している最中は溶融金属から生じた複数の層がテーパした前記鋳造面と接触しながら前記軸線と交差する横断面寸法を増大させてゆき、最終的には複数の層の金属を冷却することでこれら層を収縮させることができるようにしたことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記排出端部開口(10)から排出されつつある前記始動材料体から熱を抽出するにあたり、前記始動材料体の外周全体にわたる固化表面に液体冷却剤を放出することにより熱を抽出する工程を更に含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記鋳型キャビティは非円形の横断面を呈しており、前記液体冷却剤により熱が抽出される速度は前記排出端部開口から排出されつつある前記始動材料体の前記外周を巡って存在している部位ごとに異なっており、溶融金属の収縮から生じる熱応力を平衡状態に保つように構成されていることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記液体冷却剤により熱が抽出される速度は前記外周を巡って存在している部位ごとに異なっており、前記始動材料体の外周輪郭が、溶融金属が初めて前記鋳造面に接触する位置にある前記横断平面の高さにある前記鋳造面が画定する輪郭とは異なるように選定されるようにしたことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記鋳造面は、溶融金属が初めて前記鋳造面に接触する位置にある横断平面上で前記軸線と交差する非円形横断面を呈しており、前記鋳造面は前記鋳型キャビティの軸線に対して或る角度でテーパしており、この角度は前記鋳型キャビティを巡る複数の互いに異なる部位ごとに異なっており、前記金属の収縮から生じる熱応力の平衡を保つようにしたことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記鋳造面は前記鋳型キャビティの軸線に対して或る角度でテーパしており、この角度は前記鋳型キャビティを巡る複数の互いに異なる部位ごとに異なっており、前記始動材料体の外周形状が溶融金属が初めて前記鋳造面に接触する位置にある前記横断平面上にある前記鋳型キャビティの外周形状とは異なるように選定されるようにしたことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
鋳型キャビティの前記軸線は垂直方向に対して或る角度に配向されており、前記軸線が垂直に配向されている場合は、前記始動材料体の外周形状が、溶融金属が初めて前記鋳造面に接触する位置にある前記横断平面上にある前記鋳造面の外周形状とは異なるように選定されるようにしたことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記スタータブロックが前記鋳型キャビティから出口方向に向かって運動する速度を或る第1速度から別な第2速度に変動させて鋳造速度の変動を実施することにより、溶融金属が初めて前記鋳造面に接触する位置にある前記横断平面上の部位を前記鋳型の軸線に沿って移動させ、それにより、第1速度で鋳造された前記始動材料体に対して第2速度で鋳造された前記始動材料体の外周寸法を変えるようにしたことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
端部開放型の鋳型を備えている溶融金属鋳造装置において、前記鋳型はその鋳型キャビティ(4)に入口端部開口(6)および排出端部開口(10)が設けられて前記入口端部開口と前記排出端部開口との間の軸線(12)に沿って鋳型キャビティが長く延在しており、鋳型キャビティには、溶融金属が鋳型キャビティを通過する最中に溶融金属を鋳型キャビティ内に閉じ込める目的で前記軸線を中心として鋳造面(26、62、116)が前記入口端部開口と前記排出端部開口との間に設けられているとともに、前記鋳造面は前記軸線から前記排出端部開口に向かう方向へ周方向外方向にテーパしており、前記鋳型には初期状態では前記鋳型キャビティの前記排出端部開口に嵌合している底ブロック(60)と、鋳型キャビティの前記軸線に沿って鋳型キャビティから出口方向に底ブロックを運動させる手段と、前記入口端開口から前記鋳型キャビティに溶融金属を導入する手段と、前記鋳型キャビティを中心とした周方向に前記鋳造面に配置された熱抽出手段とが設けられており、
前記溶融金属鋳造装置には、
溶融金属が前記鋳型キャビティに搬送される速度を制御することで、前記底ブロックが前記排出端部開口に嵌合している間に始動材料体(70)を前記鋳型キャビティ内に形成するとともに前記底ブロックを運動させる前記手段が作動すると溶融金属が或る速度で導入されるようにするための手段が更に設けられており、前記速度は、新たに追加導入された溶融金属が複数の層となって前記鋳型キャビティ内の前記始動材料体上で前記鋳造面に向けて外方向に広がって前記鋳造面に接触することができるようにする速度であり、それにより、前記底ブロックを運動させる手段を作動させることと前記鋳造面をテーパさせたことが互いに作用し合い、溶融金属から生じた複数の層が前記鋳型キャビティを通過している最中は複数の層が前記鋳造面と接触しながら前記軸線と交差する横断面寸法を増大させてゆき、最終的には複数の層の金属を冷却することでこれら層を収縮させることができるようにしたことを特徴とする、装置。
【請求項10】
前記鋳造面は鋳型キャビティの前記軸線に対して1度から22度の範囲の角度でテーパしていることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記鋳造面はその軸線方向縦断面が直線で囲まれた形状であることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記鋳造面はその軸線方向縦断面が曲線で囲まれた形状であることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記排出端部開口から排出されつつある前記始動材料体の外周全体にわたる複数部位の固化表面に液体冷却剤を放出する手段を備えている、請求項9に記載の装置。
【請求項14】
前記鋳造面は、溶融金属が初めて前記鋳造面に接触する位置にある鋳型横断平面上に非円形の横断面を呈しており、液体冷却剤を放出する前記手段は、前記始動材料体の外周の前記冷却剤による熱抽出の速度を変動させる手段を含んでいることを特徴とする、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記鋳造面は前記鋳型キャビティの軸線に対して或る角度でテーパしており、この角度は前記鋳造面の内周を巡る複数の互いに異なる部位ごとに異なっていることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項16】
鋳造中は、鋳型キャビティの前記軸線は垂直方向に対して或る角度に配向されていることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項17】
前記底ブロックを運動させる前記手段は、新たに追加導入された溶融金属から生じる複数の層が初めて前記鋳造面に接触する部位を移動させるのに有効な範囲内で鋳造速度を変動させるように調節することができることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項1】
溶融金属を端部開放型の鋳型入れて鋳造加工する方法において、前記鋳型はその鋳型キャビティ(4)に入口端部開口(6)および排出端部開口(10)が設けられて前記入口端部開口と前記排出端部開口との間の軸線(12)に沿って鋳型キャビティが長く延在しており、前記鋳型キャビティには、溶融金属が鋳型キャビティを通過する最中に溶融金属を鋳型キャビティ内に閉じ込める目的で前記軸線を中心として鋳造面(26、62、116)が前記入口端部開口と前記排出端部開口との間に設けられているとともに、前記鋳造面は前記軸線から前記排出端部開口に向かう方向へ周方向外方向にテーパしており、前記鋳型には初期状態では前記鋳型キャビティの前記排出端部開口に嵌合しているスタータブロック(60)が更に設けられており、前記方法は、
溶融金属を前記入口端部開口から前記鋳型キャビティに導入し、最終的に始動材料体(70)を前記鋳型キャビティ内に形成する工程と、
スタータブロックが前記鋳型キャビティに対して相関的に出口方向に向けてキャビティの前記軸線に沿って運動している間にも前記入口端部開口から前記鋳型キャビティに溶融金属を継続して導入することで、前記始動材料体とその上に重畳される溶融金属とを前記鋳型キャビティから前記排出端部開口に向けて移動させる工程と、
前記鋳造面から熱を抽出して前記鋳型キャビティ内にあって前記鋳造面と接触している溶融金属を冷却する工程とを含んでおり、
溶融金属を前記鋳型キャビティ内に継続して導入する工程は制御された速度で実施され、新たに追加導入された溶融金属が複数の層(76)となって前記鋳型キャビティ内の前記始動材料体上に連続して重畳されるようにするにあたっての制御された速度は、前記鋳型キャビティの前記軸線と交差する横断平面上にある複数の層の横断面は、前記複数の層の横断面は初期には、溶融金属が初めて前記鋳造面に接触する位置にある横断平面(72)の高さにある前記鋳造面によって画定された横断面に比べて初期には面積が小さくなるように設定されているが、新たに追加導入された溶融金属から生じた複数の層はテーパした前記鋳造面に向けて外周方向に広がってテーパした前記鋳造面と接触しながら複数の層の金属を冷却することができるようにする速度であり、それにより、前記スタータブロックと前記始動材料体が共に出口方向に運動することと前記鋳造面を外周方向へテーパさせたことが互いに作用し合い、溶融金属から生じた複数の層が前記鋳型キャビティを通過している最中は溶融金属から生じた複数の層がテーパした前記鋳造面と接触しながら前記軸線と交差する横断面寸法を増大させてゆき、最終的には複数の層の金属を冷却することでこれら層を収縮させることができるようにしたことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記排出端部開口(10)から排出されつつある前記始動材料体から熱を抽出するにあたり、前記始動材料体の外周全体にわたる固化表面に液体冷却剤を放出することにより熱を抽出する工程を更に含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記鋳型キャビティは非円形の横断面を呈しており、前記液体冷却剤により熱が抽出される速度は前記排出端部開口から排出されつつある前記始動材料体の前記外周を巡って存在している部位ごとに異なっており、溶融金属の収縮から生じる熱応力を平衡状態に保つように構成されていることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記液体冷却剤により熱が抽出される速度は前記外周を巡って存在している部位ごとに異なっており、前記始動材料体の外周輪郭が、溶融金属が初めて前記鋳造面に接触する位置にある前記横断平面の高さにある前記鋳造面が画定する輪郭とは異なるように選定されるようにしたことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記鋳造面は、溶融金属が初めて前記鋳造面に接触する位置にある横断平面上で前記軸線と交差する非円形横断面を呈しており、前記鋳造面は前記鋳型キャビティの軸線に対して或る角度でテーパしており、この角度は前記鋳型キャビティを巡る複数の互いに異なる部位ごとに異なっており、前記金属の収縮から生じる熱応力の平衡を保つようにしたことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記鋳造面は前記鋳型キャビティの軸線に対して或る角度でテーパしており、この角度は前記鋳型キャビティを巡る複数の互いに異なる部位ごとに異なっており、前記始動材料体の外周形状が溶融金属が初めて前記鋳造面に接触する位置にある前記横断平面上にある前記鋳型キャビティの外周形状とは異なるように選定されるようにしたことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
鋳型キャビティの前記軸線は垂直方向に対して或る角度に配向されており、前記軸線が垂直に配向されている場合は、前記始動材料体の外周形状が、溶融金属が初めて前記鋳造面に接触する位置にある前記横断平面上にある前記鋳造面の外周形状とは異なるように選定されるようにしたことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記スタータブロックが前記鋳型キャビティから出口方向に向かって運動する速度を或る第1速度から別な第2速度に変動させて鋳造速度の変動を実施することにより、溶融金属が初めて前記鋳造面に接触する位置にある前記横断平面上の部位を前記鋳型の軸線に沿って移動させ、それにより、第1速度で鋳造された前記始動材料体に対して第2速度で鋳造された前記始動材料体の外周寸法を変えるようにしたことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
端部開放型の鋳型を備えている溶融金属鋳造装置において、前記鋳型はその鋳型キャビティ(4)に入口端部開口(6)および排出端部開口(10)が設けられて前記入口端部開口と前記排出端部開口との間の軸線(12)に沿って鋳型キャビティが長く延在しており、鋳型キャビティには、溶融金属が鋳型キャビティを通過する最中に溶融金属を鋳型キャビティ内に閉じ込める目的で前記軸線を中心として鋳造面(26、62、116)が前記入口端部開口と前記排出端部開口との間に設けられているとともに、前記鋳造面は前記軸線から前記排出端部開口に向かう方向へ周方向外方向にテーパしており、前記鋳型には初期状態では前記鋳型キャビティの前記排出端部開口に嵌合している底ブロック(60)と、鋳型キャビティの前記軸線に沿って鋳型キャビティから出口方向に底ブロックを運動させる手段と、前記入口端開口から前記鋳型キャビティに溶融金属を導入する手段と、前記鋳型キャビティを中心とした周方向に前記鋳造面に配置された熱抽出手段とが設けられており、
前記溶融金属鋳造装置には、
溶融金属が前記鋳型キャビティに搬送される速度を制御することで、前記底ブロックが前記排出端部開口に嵌合している間に始動材料体(70)を前記鋳型キャビティ内に形成するとともに前記底ブロックを運動させる前記手段が作動すると溶融金属が或る速度で導入されるようにするための手段が更に設けられており、前記速度は、新たに追加導入された溶融金属が複数の層となって前記鋳型キャビティ内の前記始動材料体上で前記鋳造面に向けて外方向に広がって前記鋳造面に接触することができるようにする速度であり、それにより、前記底ブロックを運動させる手段を作動させることと前記鋳造面をテーパさせたことが互いに作用し合い、溶融金属から生じた複数の層が前記鋳型キャビティを通過している最中は複数の層が前記鋳造面と接触しながら前記軸線と交差する横断面寸法を増大させてゆき、最終的には複数の層の金属を冷却することでこれら層を収縮させることができるようにしたことを特徴とする、装置。
【請求項10】
前記鋳造面は鋳型キャビティの前記軸線に対して1度から22度の範囲の角度でテーパしていることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記鋳造面はその軸線方向縦断面が直線で囲まれた形状であることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記鋳造面はその軸線方向縦断面が曲線で囲まれた形状であることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記排出端部開口から排出されつつある前記始動材料体の外周全体にわたる複数部位の固化表面に液体冷却剤を放出する手段を備えている、請求項9に記載の装置。
【請求項14】
前記鋳造面は、溶融金属が初めて前記鋳造面に接触する位置にある鋳型横断平面上に非円形の横断面を呈しており、液体冷却剤を放出する前記手段は、前記始動材料体の外周の前記冷却剤による熱抽出の速度を変動させる手段を含んでいることを特徴とする、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記鋳造面は前記鋳型キャビティの軸線に対して或る角度でテーパしており、この角度は前記鋳造面の内周を巡る複数の互いに異なる部位ごとに異なっていることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項16】
鋳造中は、鋳型キャビティの前記軸線は垂直方向に対して或る角度に配向されていることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項17】
前記底ブロックを運動させる前記手段は、新たに追加導入された溶融金属から生じる複数の層が初めて前記鋳造面に接触する部位を移動させるのに有効な範囲内で鋳造速度を変動させるように調節することができることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【公開番号】特開2013−59810(P2013−59810A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−257908(P2012−257908)
【出願日】平成24年11月26日(2012.11.26)
【分割の表示】特願2009−221112(P2009−221112)の分割
【原出願日】平成10年10月13日(1998.10.13)
【出願人】(506022706)ノヴェリス インコーポレイテッド (10)
【氏名又は名称原語表記】NOVELIS INC.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年11月26日(2012.11.26)
【分割の表示】特願2009−221112(P2009−221112)の分割
【原出願日】平成10年10月13日(1998.10.13)
【出願人】(506022706)ノヴェリス インコーポレイテッド (10)
【氏名又は名称原語表記】NOVELIS INC.
【Fターム(参考)】
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