説明

溶融高純度亜鉛めっき法

【課題】 不活性雰囲気ではなく大気中で、溶融高純度亜鉛めっきを、ドロスを発生しない炉でする方法を実用化すること。
【解決手段】 ドロスを発生しない炉を用い、高純度の亜鉛を用いた溶融亜鉛めっきをする。このめっき工程を基本に、必要に応じ前処理、後処理を追加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融亜鉛めっき方法に属す。
【背景技術】
【0002】
錆びる鉄系材料(鋼、鋳鋼、鋳鉄など)は、耐食性を付与するために溶融亜鉛めっきが使われている。通常溶融亜鉛めっきは蒸留亜鉛地金1種を用いて行われるため、めっき皮膜中に鉛やカドミウムなどが含有されている。しかし、近年、環境負荷物質の低減要求から鉛やカドミウムなどの毒性物質を含まない溶融亜鉛めっきが要求され、高純度の亜鉛を使う溶融亜鉛めっきの必要性が高まってきた。
【0003】
通常の溶融亜鉛めっきは、鉛含有浴で行われる。それに対し、高純度の亜鉛を使用する溶融亜鉛めっきの場合は、鉛を含有しないことによるめっきの困難さが問題になる。高純度の亜鉛を使用する溶融亜鉛めっきの場合は、鉛含有浴に比較すると、めっき浴中において生成する微細ドロスの分離性が悪く、浴中に浮遊しやすい。そのため、溶湯の粘性を高くし、鉄との濡れ性を悪くし、不めっきやめっき溜まりが生じやすくなり、めっき表面に付着すると、耐食性や外観を悪くする。
【0004】
この問題の解決のために、鉛に替えてビスマスを添加するめっき方法が提案されているが、ビスマスも毒性があることが問題視されている。また、ビスマスは希少金属で、高価であり、それを添加することはめっきのコストを上昇させるなどの問題がある。
【0005】
めっき浴中において生成する微細ドロスは、被めっき材との反応による以外に、通常の溶融亜鉛めっきにおいて使用される鉄製鍋/炉と溶湯との反応によって生成される。この反応は四六時中連続しておこるために、被めっき材との反応によるものよりも影響が大きい。このように鉄製めっき炉は、溶融亜鉛に侵食され寿命が短くなる、侵食された鉄分は、亜鉛と反応してドロスとなり、亜鉛の消費量を増大させると共にめっき不良の原因になる、という問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
不活性雰囲気ではなく大気中で、溶融高純度亜鉛めっきを、ドロスを発生しない炉でする方法を実用化すること。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ドロスを発生しない炉を用い、高純度の亜鉛を用いた溶融亜鉛めっきをする。このめっき工程を基本に、必要に応じ前処理、後処理を追加する。
【発明の効果】
【0008】
ドロスが発生しないので、好適に高純度の亜鉛による溶融亜鉛めっきが実施できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
ドロスを発生させないためにセラミック製の炉を用い、高純度の亜鉛を溶解する。大気中で溶融亜鉛めっきをするために、鉄系材料をフラックス処理した後、この溶湯に浸漬してめっきする。
【0010】
必要あれば、脱脂、ショットブラスト、塩化第二鉄溶液に浸漬、酸洗いなどの前処理、及び、遠心分離、水冷などの後処理を追加する。
【実施例】
【0011】
【0012】
セラミック炉はアルミナ系材料で造り、亜鉛は高純度の亜鉛(最純度亜鉛地金及び特殊亜鉛地金)を用い、グレーチング、ガス管、配管用継手類、ボルト・ナットなどのめっきを上述の方法で行なった。その結果、ドロスの発生が被めっき材以外になく、良好なめっきができることを確認した。
【0013】
全工程の中で次ぎのことが重要であることを確認した。大気中での溶融亜鉛めっきにはフラックス処理が不可欠である。被めっき材にバリ、角、溶接表面、高応力部などがある場合は、滑らかで均一な厚さのめっきを得るために塩化第二鉄溶液に浸漬する前処理を追加するのがよい。
【産業上の利用可能性】
【0014】
実用的な方法が確立できたので、要求に応じ生産に使うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高純度の亜鉛をセラミック製の炉を用いて溶解し、この溶湯にフラックス処理をした鉄系材料を浸漬してめっきすることを特徴とする溶融高純度亜鉛めっき法。
【請求項2】
前処理で、塩化第二鉄溶液で処理後、酸洗をしたことを特徴とする請求項1に記載するめっき法。

【公開番号】特開2009−280897(P2009−280897A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−176307(P2008−176307)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【出願人】(591006520)株式会社興和工業所 (34)
【Fターム(参考)】