説明

溶解装置及びその貯槽内の残量計測方法

【課題】溶解槽及び貯槽の通気ラインにおけるエアフィルタの共用を維持しつつ、貯槽内における透析用原液の残量を正確に検出することができる溶解装置及びその貯槽内の残量計測方法を提供する。
【解決手段】透析用粉末薬剤を溶解及び攪拌して透析用原液を得る溶解槽1と、透析用原液を一時的に収容する貯槽2と、透析用原液を複数の透析装置側に供給する原液供給ラインL2と、溶解槽及び貯槽からそれぞれ延設されエアフィルタ4を介在して大気開放とされた通気ラインL4、L5とを具備した溶解装置であって、貯槽2内の液圧を連続的且つリアルタイムで検出するレベルセンサ3と、その液圧に基づき、貯槽2内における透析用原液の残量を演算し得る演算手段6と、溶解槽1の動作を制御するとともに、当該動作状況に基づき演算手段6による演算を行うか否かの判断を行う制御手段8とを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透析用粉末薬剤を所定濃度に溶解して透析用原液を得るための溶解装置及びその貯槽内の残量計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
病院等で腎不全患者の治療に使用される透析液は、一般に重炭酸塩系と酢酸系とに区分され、このうち重炭酸塩系の透析液は、重炭酸ナトリウムを含まないもの(以下、A剤という。)と重炭酸ナトリウム(以下、B剤という。)の2種類の薬剤に水を混合して調整されるものである。近年、運搬性向上の観点から、これらA剤及びB剤を粉末化したもの(以下、透析用粉末薬剤という。)を透析の前に溶解する試みがなされているが、溶解後の溶液(特にB剤)については経時的に濃度の低下が生じやすく、透析後に翌日の分を作り置きしておくことが難しかった。
【0003】
このため、透析毎に溶解作業が必要となり、従来から溶解のための溶解装置が各種提案されている。例えば、図5に示すように、所定量の透析用粉末薬剤及び水が投入され、当該透析用粉末薬剤を溶解及び攪拌して透析用原液を得る溶解槽101と、溶解槽101で得られた透析用原液を一時的に収容する貯槽102と、該貯槽102内に収容された透析用原液を、患者に透析治療を施すための複数の透析装置側に供給する原液供給ラインL2とを具備した溶解装置が提案されている。
【0004】
かかる溶解槽101は、循環ラインL3を介して透析用粉末薬剤を所定量収容した容器Bと連通しており、給水バルブV3を開いて給水ラインL7から給水した後、循環ポンプPを駆動させることにより、当該溶解槽101と容器Bとの間で水と透析用粉末薬剤とを循環させ、それにより撹拌及び溶解を行わせることが可能とされている。そして、所定時間経過後、循環ポンプPの駆動が停止されるよう構成されている。尚、濃度セル105にて検知された透析用原液の濃度が異常であると判定されると、排液動作がなされる。
【0005】
しかして、溶解槽101内には所定濃度の透析用原液が収容されることとなり、移送バルブV1を開くことにより、その透析用原液が貯槽102内に落下して当該透析用原液を一時的に収容可能とされる。こうして貯槽102内に収容された透析用原液は、原液供給ラインL2を介して透析装置側に供給され得ることとなる。尚、同図中符号L6、V2は、溶解槽101内の透析用原液を貯槽102を迂回しつつ排出するための排出ライン及びその流路を開閉するバルブを示している。
【0006】
一方、貯槽102内の透析用原液の残量は、レベルセンサ103にて検知可能とされており、作業者は、当該残量に基づき追加の透析用原液の作製を必要するか否かを判断することができる。このレベルセンサ103は、貯槽102の底面に配設され、当該貯槽102内の液圧を検出することにより、収容された透析用原液の液位(即ち、残量)を検出し得るよう構成されている。
【0007】
ところで、溶解槽101及び貯槽102の上部からは、それぞれ通気ラインL4、L5が延設されている。これら通気ラインL4、L5は、その途中の合流点Aにて合流されるとともに、エアフィルタ104を介して大気開放とされており、当該溶解槽101及び貯槽102を外部と連通させて通気を可能としている。即ち、溶解槽101内への給水時、透析用原液の循環時、或いは透析用原液の排出ラインL6からの排出時においては、通気ラインL4、L5を介して、これら溶解槽101及び貯槽102内に対する空気の出入りを可能とすることにより、給水や循環等をスムーズに行わせているのである。尚、かかる先行技術は、文献公知発明に係るものでないため、記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の溶解装置においては、溶解槽101及び貯槽102からそれぞれ延設され、その途中の合流点Aにて合流させつつエアフィルタ104を介在して大気開放とされて当該溶解槽101及び貯槽102を外部と連通させた通気ラインL4、L5を具備しているので、溶解槽101内への給水時、透析用原液の循環時、或いは透析用原液の排出ラインL6からの排出時において、レベルセンサ103で検出される検出値が透析用原液の残量とは無関係に変動してしまうという問題があった。
【0009】
即ち、通気ラインL4、L5は合流点Aにて合流し、エアフィルタ104を共用させているため、溶解槽101内への給水時、透析用原液の循環時、或いは透析用原液の排出ラインL6からの排出時など溶解槽101の動作時、当該溶解槽101側の圧力変動が貯槽102側に影響を及ぼし、レベルセンサ103にて検出されるべき液圧が透析用原液の残量とは無関係に変動してしまって、透析用原液の残量を正確に検出することができないのである。
【0010】
尚、溶解槽101及び貯槽102からそれぞれ独立に外部と連通する通気ラインを延設させれば、上記問題は生じないのであるが、その場合、独立した各通気ラインにエアフィルタをそれぞれ具備させなければならず、製造コスト及びメンテナンスコストが嵩んでしまうという問題がある。特に、当該通気ラインに配設すべきエアフィルタは、一般に高価であることから、コストの悪化は顕著となってしまう。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、溶解槽及び貯槽の通気ラインにおけるエアフィルタの共用を維持しつつ、貯槽内における透析用原液の残量を正確に検出することができる溶解装置及びその貯槽内の残量計測方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1記載の発明は、所定量の透析用粉末薬剤及び水が投入され、当該透析用粉末薬剤を溶解及び攪拌して透析用原液を得る溶解槽と、前記溶解槽で得られた透析用原液を一時的に収容する貯槽と、該貯槽内に収容された透析用原液を、患者に透析治療を施すための複数の透析装置側に供給する原液供給ラインと、前記溶解槽及び貯槽からそれぞれ延設され、その途中にて合流させつつエアフィルタを介在して大気開放とされて当該溶解槽及び貯槽を外部と連通させた通気ラインとを具備した溶解装置であって、前記貯槽内の液圧を連続的且つリアルタイムで検出する液圧検出手段と、該液圧検出手段にて連続的且つリアルタイムで検出された液圧に基づき、前記貯槽内における透析用原液の残量を演算し得る演算手段と、前記溶解槽の動作を制御するとともに、当該動作状況に基づき前記演算手段による演算を行うか否かの判断を行う制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の溶解装置において、前記溶解槽内に給水するための給水ラインと、前記溶解槽及び透析用粉末薬剤を所定量内在させた容器を含んで略閉鎖状に形成され、前記給水ラインから給水された水及び前記容器内の透析用粉末薬剤を循環させることにより撹拌しつつ溶解して所定濃度の透析用原液を得る循環ラインと、前記溶解槽内の透析用原液を前記貯槽を迂回しつつ排出する排出ラインとを具備し、前記制御手段は、前記給水ラインによる給水動作、前記循環ラインによる循環動作、及び前記排出ラインによる排出動作を制御するとともに、これら給水動作、循環動作及び排出動作が行われているとき、前記演算手段による演算を行わないことを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の溶解装置において、前記演算手段は、算出された透析液用原液の残量に基づきその減少割合を演算し得るとともに、当該演算手段で演算された透析用原液の減少割合から前記貯槽内の透析用原液が空となるまでの時間を推定し、供給すべき透析用原液が不足するか否かを判定する判定手段を具備したことを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れか1つに記載の溶解装置において、前記判定手段により供給すべき透析用原液が不足すると判定されたことを条件として、前記制御手段が前記溶解槽による追加の透析用原液の溶解動作を行わせることを特徴とする。
【0016】
請求項5記載の発明は、所定量の透析用粉末薬剤及び水が投入され、当該透析用粉末薬剤を溶解及び攪拌して透析用原液を得る溶解槽と、前記溶解槽で得られた透析用原液を一時的に収容する貯槽と、該貯槽内に収容された透析用原液を、患者に透析治療を施すための複数の透析装置側に供給する原液供給ラインと、前記溶解槽及び貯槽からそれぞれ延設され、その途中にて合流させつつエアフィルタを介在して大気開放とされて当該溶解槽及び貯槽を外部と連通させた通気ラインと、前記貯槽内の液圧を連続的且つリアルタイムで検出する液圧検出手段とを具備した溶解装置の貯槽内の残量計測方法であって、前記液圧検出手段にて連続的且つリアルタイムで検出された液圧に基づき、前記貯槽内における透析用原液の残量を演算し得る演算工程を有するとともに、前記溶解槽の動作状況に基づき前記演算工程による演算を行うか否かの判断を行うことを特徴とする。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の溶解装置の貯槽内の残量計測方法において、前記溶解装置は、前記溶解槽内に給水するための給水ラインと、前記溶解槽及び透析用粉末薬剤を所定量内在させた容器を含んで略閉鎖状に形成され、前記給水ラインから給水された水及び前記容器内の透析用粉末薬剤を循環させることにより撹拌しつつ溶解して所定濃度の透析用原液を得る循環ラインと、前記溶解槽内の透析用原液を前記貯槽を迂回しつつ排出する排出ラインとを具備するとともに、前記給水ラインによる給水動作、前記循環ラインによる循環動作、及び前記排出ラインによる排出動作が行われているとき、前記演算工程による演算を行わないことを特徴とする。
【0018】
請求項7記載の発明は、請求項5又は請求項6記載の溶解装置の貯槽内の残量計測方法において、前記演算工程は、算出された透析液用原液の残量に基づきその減少割合を演算し得るとともに、当該演算工程で演算された透析用原液の減少割合から前記貯槽内の透析用原液が空となるまでの時間を推定し、供給すべき透析用原液が不足するか否かを判定する判定工程を具備したことを特徴とする。
【0019】
請求項8記載の発明は、請求項5〜請求項7の何れか1つに記載の溶解装置の貯槽内の残量計測方法において、前記判定工程により供給すべき透析用原液が不足すると判定されたことを条件として、前記溶解槽による追加の透析用原液の溶解動作を行わせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1又は請求項5の発明によれば、溶解槽の動作状況に基づき、貯槽内における透析用原液の残量を演算するか否かの判断を行うことにより、溶解槽側の圧力変動が貯槽側に影響を及ぼさないときに限り、当該演算を行わせることができるので、溶解槽及び貯槽の通気ラインにおけるエアフィルタの共用を維持しつつ、貯槽内における透析用原液の残量を正確に検出することができる。
【0021】
請求項2又は請求項6の発明によれば、給水ラインによる給水動作、循環ラインによる循環動作、及び排出ラインによる排出動作が行われているとき、貯槽内における透析用原液の残量の演算を行わないので、当該演算を行わせるべきとする判断をより明確とすることができるとともに、溶解槽及び貯槽の通気ラインにおけるエアフィルタの共用を維持しつつ、貯槽内における透析用原液の残量を正確に検出することができる。
【0022】
請求項3又は請求項7の発明によれば、算出された透析液用原液の残量に基づきその減少割合を演算し得るとともに、その演算された透析用原液の減少割合から貯槽内の透析用原液が空となるまでの時間を推定し、供給すべき透析用原液が不足するか否かを判定するので、透析用原液の追加生成をすべきか否かの判断を自動的且つ正確に行わせることができるとともに、当該透析用原液が不足する事態を避けつつ透析治療終了時点で大量の透析用原液が余ってしまうという不具合を回避することができる。
【0023】
請求項4又は請求項8の発明によれば、供給すべき透析用原液が不足すると判定されたことを条件として、溶解槽による追加の透析用原液の溶解動作を行わせるので、透析用原液の追加生成をすべきか否かの判断に加え、透析用原液の追加の溶解動作も自動で行わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る溶解装置は、透析用粉末薬剤を所定濃度に溶解して透析用原液を得るためのもので、図1に示すように、透析液供給装置10と共に機械室に設置されたものである。機械室とは隔離された透析室には、患者に透析治療を施すための複数の透析装置12(透析監視装置)及び中央監視装置11が設置されている。
【0025】
また、溶解装置9で生成された透析用原液(A剤、B剤の各濃厚液)は、原液供給ラインL2(図3におけるL2a、L2b)を介して透析液供給装置10に至り、そこで所定濃度の透析液が作製されるとともに、かかる透析液は、透析液供給ラインLa〜Lcを介して各透析装置12(透析監視装置)に供給される。尚、図示はしないが、同図と同様な構成の溶解装置が別個に配設されており、それぞれが透析用粉末薬剤としてのA剤、B剤を溶解撹拌して、各透析用原液を生成し得るようになっている。また、各透析装置12と中央監視装置11とは、それぞれ配線D1〜D3にて電気的に接続されて治療情報等の送受信が可能とされている。
【0026】
溶解装置9は、図2に示すように、所定量の収容空間を有した溶解槽1と、所定量の収容空間を有するとともに溶解槽1の下方に配設された貯槽2と、該貯槽2の下面に配設されたレベルセンサ3(液圧検出手段)と、演算手段6と、判定手段7と、制御手段8と、入力手段15と、移送ラインL1、原液供給ラインL2、循環ラインL3、通気ラインL4、L5、排出ラインL6、給水ラインL7とから主に構成されている。
【0027】
溶解槽1は、所定量の透析用粉末薬剤及び水が投入され、当該透析用粉末薬剤を溶解及び攪拌して透析用原液を得るためのもので、内部の収容空間の一部にフロートスイッチSH(上限検知用)、SL(下限検知用)を有しているとともに、給水ラインL7及び循環ラインL3と連通されたものである。溶解槽1と貯槽2とは上下に併設されており、両者は移送バルブV1が接続された移送ラインL1にて連結されている。これにより、移送バルブV1を開放すれば、溶解槽1内の透析用原液が重力にて貯槽2内に送液されるようになっている。
【0028】
給水ラインL7は、溶解槽1内に給水するためのもので、基端側が図示しない水供給源に接続されるとともに、途中において給水バルブV3が配設されている。循環ラインL3は、溶解槽1及び透析用粉末薬剤を所定量内在させた容器Bを含んで略閉鎖状に形成され、給水ラインL7から給水された水及び容器B内の透析用粉末薬剤を循環させることにより撹拌しつつ溶解して所定濃度の透析用原液を得るものである。
【0029】
即ち、循環ラインL3は、移送ラインL1の途中と溶解槽2の上部とを連通させて循環系ラインを成すとともに、その途中に透析用粉末薬剤が内在された容器Bを接続可能とされたものであり、移送バルブV1を閉塞した状態にて循環ポンプPを駆動させれば、溶解槽1内の水が循環ラインL3及びボトルB内を経て当該溶解槽1に戻って循環するようになっている。尚、ボトルBは、追加の溶解が必要とされると、空のものから新たな透析用粉末薬剤を収容したものに自動的に交換されるよう構成されている。
【0030】
そして、循環の過程で容器B内の透析用粉末薬剤が水に溶解及び攪拌がなされて均一濃度の透析用原液を得ることができるのである。当該循環ラインL3の途中には、濃度セル5が接続されており、循環する透析用原液の濃度を検出し得るようになっている。また、循環ラインL3の途中からは、溶解槽1内の透析用原液を貯槽2を迂回しつつ排出するための排出ラインL6が延設されており、廃液バルブV2を開放すれば、所定濃度とならなかった透析用原液を廃液し得るよう構成されている。
【0031】
貯槽2は、溶解槽1で得られた透析用原液が移送され、その透析用原液を一時的に収容するためのもので、その底面からは原液供給ラインL2が延設されている。この原液供給ラインL2は、貯槽2内に収容された透析用原液を、透析液供給装置10を介して複数の透析装置12側に供給するためのものである。具体的には、原液供給ラインL2を介して透析用原液が後述する透析液供給装置2(複数の透析装置4側)に必要量だけ順次供給され、所定濃度の透析液とされた後、各透析装置4に供給されるようになっている。
【0032】
通気ラインL4、L5は、溶解槽1の上部及び貯槽2の上部からそれぞれ延設され、その途中の合流点Aにて合流させつつエアフィルタ4を介在して大気開放とされて当該溶解槽1及び貯槽2を外部と連通させたものである。これにより、溶解槽1内への給水時、透析用原液の循環時、或いは透析用原液の排出ラインL6からの排出時においては、通気ラインL4、L5を介して、これら溶解槽1及び貯槽2内に対する空気の出入りを可能とすることができ、給水や循環等をスムーズに行わせているのである。
【0033】
また、通気ラインL4、L5は合流点Aにて合流し、エアフィルタ104を共用させているため、通気ラインL4及びL5を独立した通気ラインとしてエアフィルタをそれぞれ具備させたものに比べ、製造コスト及びメンテナンスコストを低減させることができる。特に、通気ラインに配設すべきエアフィルタは、一般に高価であることから、コストの低減効果は顕著なものである。
【0034】
一方、貯槽2の下面には、圧力ゲージ等から成るレベルセンサ3(液圧検出手段)が配設されており、かかるレベルセンサ3にて貯槽2内の透析用原液の残量を連続的且つリアルタイムで検出し得るよう構成されている。即ち、レベルセンサ3としての圧力ゲージは、貯槽2底面に付与される圧力から換算して当該貯槽2内における透析用原液の液圧を経時的に検出し得るのである。
【0035】
かかるレベルセンサ3は、演算手段6と電気的に接続されている。この演算手段6は、レベルセンサ8にて連続的且つリアルタイムで検出された液圧に基づき、貯槽2内における透析用原液の残量を演算し得るとともに、その算出された透析液用原液の残量に基づきその減少割合を演算し得るものである。即ち、貯槽2内の透析用原液の液圧を連続的且つリアルタイムに検出することにより、液位の推移(残量の低下)を把握し、当該液位の低下割合(透析用原液の減少割合)を求めることができるので、その減少割合に基づき透析用原液の消費速度を認識することができるのである。
【0036】
かかる演算手段6は、判定手段7と電気的に接続されている。この判定手段7は、演算手段6で演算された透析用原液の減少割合(液位の低下割合)から貯槽2内の透析用原液が空(残液が略0)となるまでの時間を演算して推定するとともに、供給すべき透析用原液が不足するか否かを判定するためのものである。また、判定手段7には、入力手段15が電気的に接続されており、かかる入力手段15により透析装置12による透析治療が全て終了する時刻(その日の全患者の透析治療が終了する予定時刻)を入力し得るよう構成されている。
【0037】
しかして、判定手段7は、貯槽2内の透析用原液が空となる推定された時間(不足時間)と透析装置12による透析治療が全て終了する時刻(透析終了時刻)とを比較し、不足時間が経過した時刻が透析終了時刻を経過しているか否かを判定すれば、透析用原液が不足するか否かが判定できるのである。具体的には、不足時間経過後の時刻が透析終了時刻を超えていなければ、追加の透析用原液は不要とされる一方、超えていれば不足すると判定されて追加の透析用原液が必要と判断される。
【0038】
尚、入力手段15にてその日の患者数など他のデータを入力し得るよう構成してもよく、その入力されたデータを参照して判定手段7による透析用原液の不足の判定を行わせるようにしてもよい。また、演算手段6、判定手段7及び入力手段15を中央監視装置11内に具備させれば、通常透析室にいる透析技士等医療従事者が機械室に行かなくても入力手段15による入力等が可能となる。
【0039】
更に、判定手段7は、制御手段8と電気的に接続されており、当該制御手段8により溶解槽1の動作を制御し得るようになっている。具体的には、制御手段8は、移送ラインL1の移送バルブV1、排出ラインL6の廃液バルブV2、循環ラインL3の循環ポンプP、給水ラインL7の給水バルブV3、及び濃度セル5と電気的に接続されており、これら構成要素を制御又は検出値を受信することにより、溶解槽1における給水ラインL7による給水動作、循環ラインL3による循環動作、及び排出ラインL6による排出動作を制御し得るよう構成されている。
【0040】
ここで、本実施形態に係る制御手段8は、上記の如き溶解槽1の動作状況に基づき演算手段6による演算を行う否かの判断を行うよう構成されている。即ち、制御手段8は、溶解槽1における給水ラインL7による給水動作、循環ラインL3による循環動作、及び排出ラインL6による排出動作が行われているとき、演算手段6による演算を行わないよう当該演算手段6に指示し得るのである。
【0041】
これにより、溶解槽1内への給水時、透析用原液の循環時、或いは透析用原液の排出ラインL6からの排出時などのレベルセンサ3の検出値が不安定となてしまう溶解槽1の動作時には演算手段6による演算を停止させ、当該レベルセンサ3の誤検出に基づいて透析用原液の残量、減少割合、及び供給すべき透析用原液が不足するか否かを判定がなされてしまうのを回避することができる。
【0042】
即ち、溶解槽1内への給水時などの溶解槽1の動作時には、既述のように、通気ラインL4、L5を介する空気の出入りがなされることから、共用のエアフィルタ4の通気抵抗により溶解槽1側の圧力変動が貯槽2側に影響を及ぼし、レベルセンサ3にて検出されるべき液圧が透析用原液の残量とは無関係に変動してしまって透析用原液の液圧を正確に検出できず、その残量を正確に演算することができないといった事態が予想されるが、本実施形態によれば、誤検出の可能性の高い時期の演算を排除し得るのである。これにより、信頼性の高い、透析用原液の残量、減少割合、及び供給すべき透析用原液が不足するか否かの判定を行わせることができる。
【0043】
然るに、溶解槽1内への給水時、透析用原液の循環時、或いは透析用原液の排出ラインL6からの排出時の他、溶解槽1から貯槽2への透析用原液の移送時においても、当然、レベルセンサ3の検出値が不安定となてしまうので、かかる移送時においても演算手段6による演算を停止させている。これにより、透析用原液の移送時においてもレベルセンサ3の誤検出に基づいて透析用原液の残量、減少割合、及び供給すべき透析用原液が不足するか否かを判定がなされてしまうのを回避することができる。
【0044】
透析液供給装置10は、図3に示すように、水が流動するとともにその水量を計測する水計量手段13が配設された水供給ラインLwと、定量ポンプPa(ピストンポンプ)が接続されるとともにA剤を溶解して得られた透析用原液を流動させる原液ラインL2aと、定量ポンプPb(ピストンポンプ)が接続されるとともにB剤を溶解して得られた透析用原液を流動させる原液ラインL2bと、透析液貯槽14と、送液ポンプP2とを主に有して構成されている。尚、原液ラインL2a及びL2bは、図2における原液供給ラインL2と連通したものである。また、図3において作製した透析液の濃度を測定する濃度測定部や透析液を加温する加温部などは省略してある。
【0045】
水供給ラインLwにおける水は、水計量手段13を経た後、原液ラインL2a及びL2bからの透析用原液を混合し、所定濃度の透析液を作製した後、その透析液が透析液貯槽14内に至ることとなる。かかる透析液貯槽14には、フロートスイッチSH、及びフロートスイッチSLが配設されており、当該透析液貯槽14内の透析液の液位が上限又は下限に達したことを検出することが可能とされている。然るに、透析液が透析液貯槽14を経由することにより、透析液から発生したガス等を分離除去し得るよう構成されており、ガス等が分離除去された透析液は、送液ポンプP2の駆動により透析液供給ラインLa〜Lcを介して各透析装置12に供給される。
【0046】
然るに、各透析装置12に供給された透析液により、患者に対して透析治療が施されることとなる。また、各透析装置12と中央監視装置11との間では、透析治療に関わるデータ(治療条件や治療時間等)が送受信されており、最適且つ安全な治療が行われるよう構成されている。
【0047】
次に、本実施形態に係る溶解装置における作用について説明する。
まず、予め入力手段15にて透析装置12による透析治療が全て終了する時刻(透析終了時刻)を入力しておく。また、循環ラインL3には、透析用粉末薬剤を所定量内在させた容器Bを接続しておき、溶解槽1と容器Bとを含んだ略閉鎖状のラインを形成しておく。そして、給水バルブV3を開放して、フロートスイッチSHが液位を検知するまで溶解槽1内に水を投入した後、給水バルブV3を閉塞して給水を停止するとともに、循環ポンプPを駆動させる。
【0048】
これにより、溶解槽1内の水が循環ラインL3及びボトルB内を循環することとなり、透析用粉末薬剤が溶解及び攪拌されて均一濃度の透析用原液を得ることができる。そして、得られた透析用原液の濃度を濃度セル5にて検出し、所定濃度であれば貯槽2への移送が行われるとともに、所定濃度でなかった場合は廃液バルブV2が開放されて当該透析用原液が廃棄される。
【0049】
透析用原液が所定濃度の場合、移送バルブV1を開放することにより溶解槽1内の透析用原液を移送ラインL1を介して貯槽2へ落下させ移送させておく。しかして、透析治療が開始されると、原液供給ラインL2を介して透析液供給装置10に透析用原液が供給され、そこで所定濃度の透析液が作製されるとともに、当該作製された透析液が各透析装置12に供給されて患者に対する透析治療が施されることとなる。尚、上記の如き給水ラインL7による給水動作、循環ラインL3による循環動作、及び排出ラインL6による排出動作等、溶解槽1の一連の動作は制御手段8にて制御される。
【0050】
上記の如き溶解装置9による透析装置12側への透析用原液の供給の過程において、透析装置12で消費される透析液に応じて貯槽2内の透析用原液の残量が減少し、その液位が暫時低下することとなるので、その貯槽7内の透析用原液の液圧をレベルセンサ3にて連続的且つリアルタイムで検出する(液圧検出工程)。そして、レベルセンサ3にて連続的且つリアルタイムで検出された液圧に基づき、演算手段6による透析液の残量(液位)の演算が行われるとともに、その算出された残量に基づき透析用原液の減少割合(消費速度)の演算が行われる(演算工程)。
【0051】
演算工程にて求められた減少割合は、判定手段7に送信され、当該減少割合から貯槽2内の透析用原液が空となるまでの時間を演算して推定するとともに、その推定した時間と入力手段15にて入力された透析終了時刻とを比較し、供給すべき透析用原液が不足するか否かが判定される(判定工程)。かかる判定手段7による追加の要否判定は、本実施形態においては、例えば追加の透析用原液を得るのに必要な時間を予め測定しておき、その必要な時間間際まで溶解作業を行うのを待ち、その後、溶解作業を行わせるようになっている。
【0052】
判定工程にて透析用原液が不足すると判定された場合、その判定に基づく信号が制御手段8に送信され、上述した如き溶解槽1による透析用原液の作製動作制御が行われることにより、追加の透析用原液を得る。但し、上述したように、当該信号は、追加の透析用原液を得るのに必要な時間間際まで待ち、その後送信されることとなる。
【0053】
また、透析治療終了に近づくに伴い、透析治療が施される患者数が順次減るので、透析用原液の減少割合も減ることとなる。従って、透析治療が行われる時間帯の遅い段階(最終段階)で判定手段7による追加の要否の判定を行うようにするのが好ましい。即ち、透析用原液の作製から所定時間経過までは判定手段7による判定を行わず、透析終了時刻間際となった時点で当該時刻を基準として追加の要否の判定するようにしてもよい。
【0054】
ここで、本実施形態の制御手段8においては、図4のフローチャートで示す如き制御が行われている。即ち、溶解槽1が給水中(溶解槽1内への給水時)であるか否かを判定(S1)し、給水中でない場合はS4へ進み演算手段6による演算を行わせて終了するとともに、給水中の場合はS2へ進む。S2では、溶解槽1が循環中(透析用原液の循環時)であるか否かを判定し、循環中でない場合はS4へ進み演算手段6による演算を行わせて終了するとともに、循環中の場合はS3へ進む。S3では、溶解槽1が廃液中(透析用原液の排出ラインL6からの排出時)であるか否かを判定し、廃液中でない場合はS4へ進み演算手段による演算を行わせて終了するとともに、廃液中の場合はそのまま終了する。
【0055】
即ち、溶解槽1内への給水時、透析用原液の循環時、或いは透析用原液の排出ラインL6からの排出時などのレベルセンサ3の検出値が不安定となてしまう溶解槽1の動作時には演算手段6による演算を停止させ(即ち、演算手段6による演算を行わせない)、当該レベルセンサ3の誤検出に基づいて透析用原液の残量、減少割合、及び供給すべき透析用原液が不足するか否かを判定がなされてしまうのを回避しているのである。
【0056】
言い換えれば、溶解槽1内への給水時、透析用原液の循環時、或いは透析用原液の排出ラインL6からの排出時などのレベルセンサ3の検出値が不安定となてしまう溶解槽1の動作時以外に限り、演算手段6による演算を行わせることにより、信頼性の高い、透析用原液の残量、減少割合、及び供給すべき透析用原液が不足するか否かの判定を行わせることができるのである。
【0057】
本実施形態によれば、透析用原液の減少割合に基づき、貯槽2内の透析用原液が空となるまでの時間を演算して推定し、供給すべき透析用原液が不足するか否かを判定するので、透析用原液の追加生成をすべきか否かの判断を自動的且つ正確に行わせることができるとともに、当該透析用原液が不足する事態を避けつつ透析治療終了時点で大量の透析用原液が余ってしまうという不具合を回避することができる。また、供給すべき透析用原液が不足すると判定されたことを条件として、溶解槽1による追加の透析用原液の溶解動作を行わせるので、透析用原液の追加生成をすべきか否かの判断に加え、透析用原液の追加の溶解動作も自動で行わせることができる。
【0058】
更に、溶解槽1の動作状況に基づき、貯槽2内における透析用原液の残量を演算するか否かの判断を行うことにより、溶解槽1側の圧力変動が貯槽2側に影響を及ぼさないときに限り、当該演算を行わせることができるので、溶解槽1及び貯槽2の通気ラインL4、5におけるエアフィルタ4の共用を維持しつつ、貯槽2内における透析用原液の残量を正確に検出することができる。
【0059】
また更に、給水ラインL7による給水動作、循環ラインL3による循環動作、及び排出ラインL6による排出動作が行われているとき、貯槽2内における透析用原液の残量の演算を行わないので、当該演算を行わせるべきとする判断をより明確とすることができるとともに、溶解槽1及び貯槽2の通気ラインL4、L5におけるエアフィルタ4の共用を維持しつつ、貯槽2内における透析用原液の残量を正確に検出することができる。
【0060】
尚、ボトルBは、追加の溶解が必要とされると、空のものから新たな透析用粉末薬剤を収容したものに自動的に交換されるよう構成されているので、判定手段7又は判定工程により供給すべき透析用原液が不足すると判定されたことを条件として、溶解槽1に所定量の透析用粉末薬剤及び水を自動的に投入して追加の透析用原液を得ることができ、透析技士等医療従事者の負担を軽減し、作業性をより向上させることができる。また、判定手段7又は判定工程が、貯槽2内の透析用原液が空となる推定された時間と透析装置12による透析治療が全て終了する時刻とを比較し、透析用原液が不足するか否かを判定するので、より精度よく、透析用原液の追加生成をすべきか否かの判断を自動的に行わせることができる。
【0061】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されず、例えば透析室に個人用透析装置(透析装置毎に透析液供給装置の如き透析液を作製する手段を具備したもの)を併設したものに適用してもよい。この場合であっても、貯槽2内の透析用原液の残量を連続的且つリアルタイムで検出し、その残量に基づき透析用原液の減少割合を演算するとともに、当該減少割合から貯槽2内の透析用原液が空となるまでの時間を推定し、供給すべき透析用原液が不足するか否かを判定することができる。
【0062】
また、本実施形態においては、演算手段6は、液圧検出手段としてのレベルセンサ3が検出した液圧に基づき、貯槽2内の透析用原液の残量、及びその残量に基づく透析用原液の減少割合を演算しているが、透析用原液の残量のみを検出するものに適用してもよい。即ち、給水ラインL7による給水動作、循環ラインL3による循環動作、及び排出ラインL6による排出動作が行われていないときに限り、レベルセンサ3の検出値に基づく貯槽2内の透析用原液の残量を演算すれば、当該残量を正確に求めることができるのである。従って、求められた透析用原液の残量のみから作業者が供給すべき透析用原液の不足を判断する溶解装置或いは貯槽2内の残量計測方法にも適用可能とされる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
給水ラインによる給水動作、循環ラインによる循環動作、及び排出ラインによる排出動作を制御するとともに、これら給水動作、循環動作及び排出動作が行われているとき、演算手段による演算を行わない溶解装置及びその貯槽内の残量計測方法であれば、他の機能が付加された如き形態によるもの等にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施形態における溶解装置と他の構成要素との接続状態を示す模式図
【図2】同溶解装置の構成を示す模式図
【図3】本発明の実施形態における透析液供給装置の構成を示す模式図
【図4】本発明の実施形態における制御手段の制御内容を示すフローチャート
【図5】従来の溶解装置の構成を示す模式図
【符号の説明】
【0065】
1 溶解槽
2 貯槽
3 レベルセンサ(液位検出手段)
4 エアフィルタ
5 濃度セル
6 演算手段
7 判定手段
8 制御手段
9 溶解装置
10 透析液供給装置
11 中央監視装置
12 透析装置(透析監視装置)
13 水計量手段
14 透析液貯槽
15 入力手段
L1 移送ライン
L2(L2a、L2b) 原液供給ライン
L3 循環ライン
L4、L5 通気ライン
L6 排出ライン
L7 給水ライン
V1 移送バルブ
V2 廃液バルブ
V3 給水バルブ
P 循環ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定量の透析用粉末薬剤及び水が投入され、当該透析用粉末薬剤を溶解及び攪拌して透析用原液を得る溶解槽と、
前記溶解槽で得られた透析用原液を一時的に収容する貯槽と、
該貯槽内に収容された透析用原液を、患者に透析治療を施すための複数の透析装置側に供給する原液供給ラインと、
前記溶解槽及び貯槽からそれぞれ延設され、その途中にて合流させつつエアフィルタを介在して大気開放とされて当該溶解槽及び貯槽を外部と連通させた通気ラインと、
を具備した溶解装置であって、
前記貯槽内の液圧を連続的且つリアルタイムで検出する液圧検出手段と、
該液圧検出手段にて連続的且つリアルタイムで検出された液圧に基づき、前記貯槽内における透析用原液の残量を演算し得る演算手段と、
前記溶解槽の動作を制御するとともに、当該動作状況に基づき前記演算手段による演算を行うか否かの判断を行う制御手段と、
を備えたことを特徴とする溶解装置。
【請求項2】
前記溶解槽内に給水するための給水ラインと、
前記溶解槽及び透析用粉末薬剤を所定量内在させた容器を含んで略閉鎖状に形成され、前記給水ラインから給水された水及び前記容器内の透析用粉末薬剤を循環させることにより撹拌しつつ溶解して所定濃度の透析用原液を得る循環ラインと、
前記溶解槽内の透析用原液を前記貯槽を迂回しつつ排出する排出ラインと、
を具備し、
前記制御手段は、前記給水ラインによる給水動作、前記循環ラインによる循環動作、及び前記排出ラインによる排出動作を制御するとともに、これら給水動作、循環動作及び排出動作が行われているとき、前記演算手段による演算を行わないことを特徴とする請求項1記載の溶解装置。
【請求項3】
前記演算手段は、算出された透析液用原液の残量に基づきその減少割合を演算し得るとともに、当該演算手段で演算された透析用原液の減少割合から前記貯槽内の透析用原液が空となるまでの時間を推定し、供給すべき透析用原液が不足するか否かを判定する判定手段を具備したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の溶解装置。
【請求項4】
前記判定手段により供給すべき透析用原液が不足すると判定されたことを条件として、前記制御手段が前記溶解槽による追加の透析用原液の溶解動作を行わせることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1つに記載の溶解装置。
【請求項5】
所定量の透析用粉末薬剤及び水が投入され、当該透析用粉末薬剤を溶解及び攪拌して透析用原液を得る溶解槽と、
前記溶解槽で得られた透析用原液を一時的に収容する貯槽と、
該貯槽内に収容された透析用原液を、患者に透析治療を施すための複数の透析装置側に供給する原液供給ラインと、
前記溶解槽及び貯槽からそれぞれ延設され、その途中にて合流させつつエアフィルタを介在して大気開放とされて当該溶解槽及び貯槽を外部と連通させた通気ラインと、
前記貯槽内の液圧を連続的且つリアルタイムで検出する液圧検出手段と、
を具備した溶解装置の貯槽内の残量計測方法であって、
前記液圧検出手段にて連続的且つリアルタイムで検出された液圧に基づき、前記貯槽内における透析用原液の残量を演算し得る演算工程を有するとともに、前記溶解槽の動作状況に基づき前記演算工程による演算を行うか否かの判断を行うことを特徴とする溶解装置の貯槽内の残量計測方法。
【請求項6】
前記溶解装置は、
前記溶解槽内に給水するための給水ラインと、
前記溶解槽及び透析用粉末薬剤を所定量内在させた容器を含んで略閉鎖状に形成され、前記給水ラインから給水された水及び前記容器内の透析用粉末薬剤を循環させることにより撹拌しつつ溶解して所定濃度の透析用原液を得る循環ラインと、
前記溶解槽内の透析用原液を前記貯槽を迂回しつつ排出する排出ラインと、
を具備するとともに、
前記給水ラインによる給水動作、前記循環ラインによる循環動作、及び前記排出ラインによる排出動作が行われているとき、前記演算工程による演算を行わないことを特徴とする請求項5記載の溶解装置の貯槽内の残量計測方法。
【請求項7】
前記演算工程は、算出された透析液用原液の残量に基づきその減少割合を演算し得るとともに、当該演算工程で演算された透析用原液の減少割合から前記貯槽内の透析用原液が空となるまでの時間を推定し、供給すべき透析用原液が不足するか否かを判定する判定工程を具備したことを特徴とする請求項5又は請求項6記載の溶解装置の貯槽内の残量計測方法。
【請求項8】
前記判定工程により供給すべき透析用原液が不足すると判定されたことを条件として、前記溶解槽による追加の透析用原液の溶解動作を行わせることを特徴とする請求項5〜請求項7の何れか1つに記載の溶解装置の貯槽内の残量計測方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−220774(P2008−220774A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−65597(P2007−65597)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(000226242)日機装株式会社 (383)
【Fターム(参考)】