説明

滑雪性塗膜

【課題】本発明は耐久性のある滑雪性塗膜を提供することにある。
【解決手段】重合性(メタ)アクリル基含有ポリジメチルシロキサンと、重合性ポリエステルおよび/またはポリエーテル(メタ)アクリレートとを主体とする混合物、あるいは該混合物に更に水酸基含有ポリジメチルシロキサンと多価イソシアネートとを添加した混合物、更に該混合物に重合性ビニル単量体を添加した混合物の塗膜を電子線照射によって硬化せしめる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は積もった雪が滑落するような表面を有する滑雪性塗膜に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の滑雪性塗膜の材料としては、重合性不飽和結合を有するポリオルガノシロキサンが提供されている(例えば特許文献1〜4参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−256071公報
【特許文献2】特開平10−265737公報
【特許文献3】特開平6−264051公報
【特許文献4】特開2000−44863公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記滑雪性塗膜は比較的分子量が小さく、したがって耐久性に劣り、かつ基材との接着性も充分でない、という問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するための手段として、重合性(メタ)アクリル基含有ポリジメチルシロキサンと、重合性ポリエステルおよび/またはポリエーテル(メタ)アクリレートとを主体とする混合物を電子線照射によって硬化させた硬化物からなることを特徴とする滑雪性塗膜を提供するものである。
上記混合物には更に重合性ビニル単量体を添加してもよいし、また水酸基含有ポリジメチルシロキサンと多価イソシアネートを添加してもよい。
【発明の効果】
【0006】
〔作用〕
請求項1の発明
重合性(メタ)アクリル基含有ポリジメチルシロキサンと、重合性ポリエステルおよび/またはポリエーテル(メタ)アクリレートとを主体とする混合物に電子線を照射すると、該混合物中の重合性(メタ)アクリル基含有ポリジメチルシロキサンと重合性ポリエステルおよび/またはポリエーテル(メタ)アクリレートとが迅速に共重合することによって該混合物が巨大高分子化して硬化する。このような硬化反応は電子線照射によって低温、低エネルギーかつ極めて短時間で行われるので、エネルギーが節約されかつ工程が短縮され、耐熱性のない基材表面にも硬化物塗膜を容易に形成することができる。そして該硬化物は上記したように分子量の大きな巨大高分子となり、該巨大高分子中に含まれるポリジメチルシロキサン部分によって該硬化物塗膜には滑雪性が与えられ、更にポリエステルおよび/またはポリエーテル(メタ)アクリレート部分によって基材との接着性が与えられる。そして該硬化物塗膜は上記したように巨大高分子からなるので、耐候性、耐汚染性、耐磨耗性に優れている。
【0007】
請求項2の発明
上記混合物に更に重合性ビニル単量体を添加し、電子線照射によって共重合させ硬化させると、該重合性ビニル単量体の種類によって硬化物塗膜の硬度の調節や基材に対する接着性を改良することができる。
【0008】
請求項3の発明
請求項1の発明にかかる混合物に更に水酸基含有ポリジメチルシロキサンと、多価イソシアネートとを添加した混合物に電子線照射すると、該混合物中の重合性(メタ)アクリル基含有ポリジメチルシロキサンと重合性ポリエステルおよび/またはポリエーテル(メタ)アクリレートとが迅速に共重合して巨大高分子化し、更に水酸基含有ポリジメチルシロキサンと多価イソシアネートとは重縮合することによって巨大高分子化する。請求項1の発明の項で述べたように請求項1の混合物の硬化は電子線照射によって低温、低エネルギー状態で行われ、そして水酸基含有ポリジメチルシロキサンと多価イソシアネートとの重縮合反応も室温で行われるから加熱の必要もなく、エネルギーを節約することが出来、かつ耐熱性のない基材表面にも硬化物塗膜を容易に形成することができる。そして該硬化物は上記したように分子量の大きな巨大高分子となり、該巨大高分子中に含まれるポリジメチルシロキサン部分によって該硬化物塗膜には滑雪性が与えられ、そして該硬化物塗膜は上記したように巨大高分子からなるので、耐候性、耐汚染性、耐磨耗性に優れている。
【0009】
請求項4の発明
上記混合物に更に重合性ビニル単量体を添加し、電子線照射によって共重合させ硬化させると、該重合性ビニル単量体の種類によって硬化物塗膜の硬度の調節や基材に対する接着性を改良することができる。
【0010】
〔効果〕
本発明にあっては、上記混合物を低温低エネルギー状態で迅速に硬化させることが出来るから、塗膜形成のために要するエネルギーが節約され、かつ硬化物は巨大高分子となるから滑雪性、耐候性、耐汚染性、耐磨耗性、に優れた塗膜を得ることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に本発明を詳細に説明する。
〔重合性(メタ)アクリル基含有ポリジメチルシロキサン〕
本発明において使用する重合性(メタ)アクリル基含有ポリジメチルシロキサンは、片末端または両末端に水酸基を有するポリジメチルシロキサンにアクリル酸および/またはメタクリル酸をエステル化反応によって結合することによって製造される。上記片末端または両末端に水酸基を有するポリジメチルシロキサンの水酸基は、該ポリジメチルシロキサンの片末端または両末端に存在するシラノール基に由来するものでもよいが、電子線照射による硬化性を高め、かつ硬化物の分子量を高めるためには、該ポリジメチルシロキサンの片末端または両末端をポリエステルおよび/またはポリエーテルで変性したポリエステルおよび/またはポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの片末端または両末端に存在する水酸基にアクリル酸および/またはメタクリル酸をエステル化反応によって結合したポリエステルおよび/またはポリエーテル変性(メタ)アクリル基含有ポリジメチルシロキサンを選択することが好ましい。
【0012】
上記ポリエステル変性アクリル基含有ポリジメチルシロキサンは、例えば下記の構造を有する。
【化1】

【0013】
上記ポリエーテル変性アクリル基含有ポリジメチルシロキサンは、例えば下記の構造を有する。
【化2】

【0014】
上記ポリエステル変性アクリル基含有ポリジメチルシロキサンの市販品としては、BYK−371(商品名;BYKケミー社製)がある。
【0015】
上記重合性(メタ)アクリル基含有ポリジメチルシロキサンとして更に望ましいのは、該ポリジメチルシロキサンの片末端または両末端に多価イソシアネートとポリエステルおよび/またはポリエーテルを重縮合させることによって製造される末端ポリエステルおよび/または末端ポリエーテルポリウレタン変性ポリジメチルシロキサンのポリエステルおよび/またはポリエーテル末端の水酸基にアクリル酸および/またはメタクリル酸をエステル化反応によって結合したポリウレタン変性(メタ)アクリル基含有ポリジメチルシロキサンである。
【0016】
上記ポリウレタン変性アクリル基含有ポリジメチルシロキサンは、例えば下記の構造を有する。
【化3】

【0017】
上記ポリウレタン変性アクリル基含有ポリジメチルシロキサンの市販品としては、BYK−UV−3570(商品名;BYKケミー社製)がある。
【0018】
〔重合性ポリエステルおよび/またはポリエーテル(メタ)アクリレート〕
本発明において使用する重合性ポリエステルおよび/またはポリエーテル(メタ)アクリレートは、ポリエステルおよび/またはポリエーテルの両末端および/または側鎖の水酸基にアクリル酸および/またはメタクリル酸をエステル化反応によって結合したものである。例えば2官能ポリエステルアクリレートは下記の構造を有し(〔化4〕)、3官能以上のポリエステルアクリレートは下記の構造を有する。(〔化5〕)。
【0019】
【化4】

【0020】
【化5】

【0021】
上記2官能ポリエステルアクリレートの市販品としては、M−6250(商品名;チッソ株式会社製)があり、上記多官能ポリエステルアクリレートの市販品としては、M−7100(商品名;チッソ株式会社製)がある。
【0022】
〔水酸基含有ポリジメチルシロキサン〕
本発明において使用する水酸基含有ポリジメチルシロキサンとしては、片末端または両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサンがあるが、電子線照射による硬化性を高めるためには、片末端または両末端をポリエステルおよび/またはポリエーテルによって変性したポリエステルおよび/またはポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンを選択することが好ましい。ポリエステルとして2価アルコールと2塩基酸とを原料としたものは、片末端または両末端に水酸基を有し(〔化6〕)、多価アルコールと多塩基酸とを原料としたものは、片末端または両末端と側鎖とに水酸基を有する(〔化7〕)。
【0023】
【化6】

【0024】
【化7】

【0025】
更にポリエーテル−ポリエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサンとしては、〔化8〕に示す構造のものがある。
【0026】
【化8】

【0027】
ポリエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサンの市販品としては、BYK−370(商品名;BYKケミー社製)があり、ポリエーテル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサンの市販品としては、BYK−373(商品名;BYKケミー社製)があり、ポリエーテル−ポリエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサンの市販品としては、BYK−375(商品名;BYKケミー社製)がある。
【0028】
本発明において、上記水酸基含有ポリジメチルシロキサンと反応して巨大高分子を形成するために使用される多価イソシアネートとしては、例えばトリレンジイソシアナート、パラフェニレンジイソシアナート、2,4−トルエンジイソシアナート、2,6−トルエンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、1,4−ナフタレンジイソシアナート、4,4’−ジフェニルジイソシアナート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルジイソシアナート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジフェニルジイソシアナート、2−クロロ−1,4−フェニルジイソシアナート、1−クロロ−2,4−フェニレンジイソシアナート、m−フェニレンジイソシアナート、p−フェニレンジイソシアナート、2,2’、5,5’−テトラメチル−4,4’−m−キシリレンジイソシアナート、ω−キシリレンジイソシアナート、ω’−キシリレンジイソシアナート等のジイソシアネート、あるいは該ジイソシアネートとポリエチレンアジペート、ポリテトラヒドロフラン、1,4−ブタンジオール、1,4−シスブテンジオール、1,5−ジヒドロキシエトキシナフタリン、1,4−ブチンジオール、ポリエステル、ポリ(オキシエチレン−プロピレン)ポリオール、アクリルポリオール、ヒマシ油ダイマー、トール油ダイマー等の活性水酸基含有化合物とを反応させたイソシアネート単量体のアダクト体等が使用される。
【0029】
〔重合性ビニル単量体〕
本発明において、特に重合性ビニル単量体として使用されるのは、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシブチレングリコール、ポリオキシヘキシレングリコール、ポリオキシノニレングリコール等の2価アルコールのアクリル酸および/またはメタクリル酸エステル、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、グリセリン等の3価アルコールのアクリル酸および/またはメタクリル酸エステルである。上記多価アルコールのアクリル酸および/またはメタクリル酸エステルに加えて、あるいは上記多価アルコールのアクリル酸および/またはメタクリル酸エステルに代えて、ポリエーテルおよび/またはポリエステルと多価イソシアネートとの反応物である片末端または両末端に水酸基を有するポリウレタンにアクリル酸および/またはメタクリル酸をエステル化したポリウレタン(メタ)アクリレートを使用してもよく、更に他の重合性ビニル単量体としては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート等の脂肪族または環式アクリレート及び/またはメタクリレート、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、iso−ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の二トリル系単量体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、弗化ビニル、弗化ビニリデン等のハロゲン含有単量体、エチレン、プロピレン等のオレフィン類、イソプレン、クロロプレン、ブタジエン等のジエン類、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、アトロパ酸、シトラコン酸等のα,β−不飽和カルボン酸、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、アリルアルコール等の水酸基含有単量体、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアミド類、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート等のアミノ基含有単量体、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルアリルエーテル等のエポキシ基含有単量体、その他ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾール等の水溶性単量体、またγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、p−トリメトキシシリルスチレン、p−トリエトキシシリルスチレン、p−トリメトキシシリル−α―メチルスチレン、p−トリエトキシシリル−α−メチルスチレン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシランン、ビニルトリメトキシシラン、N−β(N−ビニルベンジルアミノエチル−γ−アミノプロピル)トリメトキシシラン・塩酸塩等が例示される。
【0030】
〔配合〕
上記重合性(メタ)アクリル基含有ポリジメチルシロキサンは、上記重合性ポリエステルおよび/またはポリエーテル(メタ)アクリレート100質量部に対して、通常10〜30質量部添加される。また水酸基含有ポリジメチルシロキサンを添加する場合には、上記重合性ポリエステルおよび/またはポリエーテル(メタ)アクリレート100質量部に対して通常7〜14質量部添加される。更に上記重合性ビニル単量体を添加する場合には、上記重合性ポリエステルおよび/またはポリエーテル(メタ)アクリレート100質量部に対して、通常50〜90質量部添加される。上記成分は通常メタノール、エタノール、iso−プロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶剤、アセトン、エチルメチルケトン、イソブチルメチルケトン、シクロヘキサノンのようなケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸アミル等のエステル系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、セロソルブアセテート、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、n−ブチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤、モノフェニルグリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールのアルキルエーテル等の有機溶剤に溶解され、滑雪性塗料が調整される。
〔塗膜〕
本発明の滑雪性塗料は、例えば合板、ハードボード、木質セメント板、ケイ酸カルシウム板、石膏板、セラミック板、プラスチック板などの表面に塗布され、電子線を照射することによって硬化せしめられ、該表面に滑雪性塗膜を形成する。
該塗膜の厚みは通常50〜150μm程度とされ、電子線は通常3〜5MRadの強度のものを0.1秒以下の短時間で照射される。
【0031】
〔実施例1〕
下記の配合物を調整する。
ポリエステルジアクリレート 53.5質量部
ポリエステル変性アクリル基含有ポリジメチルシロキサン 10.0質量部
トリプロピレングリコールジアクリレート 20.0質量部
ヘキサメチレンジオールジアクリレート 15.0質量部
紫外線吸収剤 1.5質量部
上記組成の滑雪性塗料を塗料NO.1とする。
【0032】
〔実施例2〕
下記の配合物を調整する。
ポリエステルジアクリレート 50.0質量部
片末端メタクリル基含有ポリジメチルシロキサン 20.0質量部
トリプロピレングリコールジアクリレート 15.0質量部
ノナメチレンジオールジアクリレート 12.0質量部
紫外線吸収剤 1.5質量部
酸化防止剤 1.5質量部
上記組成の滑雪性塗料を塗料NO.2とする。
【0033】
〔実施例3〕
下記の配合物を調整する。
ポリエステルジアクリレート 58.0質量部
ポリエステル変性アクリル基含有ポリジメチルシロキサン 5.0質量部
ポリエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン 5.0質量部
ジプロピレングリコールジアクリレート 15.0質量部
ネオペンチルグリコールジアクリレート 15.0質量部
ヘキサメチレンジイソシアネート 1.0質量部
紫外線吸収剤 1.0質量部
上記組成の滑雪性塗料を塗料NO.3とする。
【0034】
〔実施例4〕
下記の配合物を調整する。
ポリエステルジアクリレート 55.0質量部
ポリエーテル変性アクリル基含有ポリジメチルシロキサン 5.0質量部
ポリエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン 5.0質量部
ヘキサメチレンジイソシアネート 1.0質量部
ヘキサメチレンジオールジアクリレート 18.0質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 15.0質量部
紫外線吸収剤 1.0質量部
上記組成の滑雪性塗料を塗料NO.4とする。
【0035】
〔実施例5〕
下記の配合物を調整する。
ノナメチレンジオールジアクリレート 40.0質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 38.0質量部
ポリエステル変性アクリル基含有ポリジメチルシロキサン 20.0質量部
紫外線吸収剤 1.0質量部
酸化防止剤 1.0質量部
上記組成の滑雪性塗料を塗料NO.5とする。
【0036】
〔実施例6〕
下記の配合物を調整する。
ポリウレタンジアクリレート 54.0質量部
ポリエステル変性アクリル基含有ポリジメチルシロキサン 10.0質量部
ヘキサメチレンジオールジアクリレート 20.0質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 15.0質量部
紫外線吸収剤 1.0質量部
上記組成の滑雪性塗料を塗料NO.6とする。
【0037】
上記塗料NO.1〜NO.6を合板の表面に膜厚約100μmに塗布し乾燥した後、電子線回折装置によって3MRad〜5Mradの電子線を0.1秒間照射して該塗膜を硬化せしめた。各塗料の物性を表1に示す。
【0038】
〔比較例〕
片末端メタクリル基含有ポリジメチルシロキサンと2−ヒドロキシエチルメタクリレートとの70:30質量比共重合体の40質量%エチルメチルケトン溶液に上記共重合体に対し5質量%のヘキサメチレンジアミンを添加した滑雪性塗料を合板の表面に膜厚約100μmに塗布して乾燥後150℃10分間の過熱により塗膜を硬化させた。このようにして作成した比較塗料の物性を表1に示す
【0039】
【表1】

【0040】
〔試験方法〕
1.光沢保持率
光沢計グロスチェッカー(株式会社佐藤商事製)にて、試験前後の塗膜の光沢を測定し、その試験後の光沢を試験前の光沢で除して光沢保持率とする。
2.滑雪性
評価 ◎ 殆んど残存する
○ 若干残存する
□ 多少残存する
△ 殆んど残存しない
3.接触角
室温(20±1℃)にて、塗膜上に蒸留水をマイクロシリンジで1滴落とし、光学鏡方式により接触角を測定する(協和界面科学製接触角計;DM−100)。
4.着氷力
氷作成用のステンレスリングを試料表面に置き、所定の温度に十分冷却後、5℃の蒸留水を注ぎ、所定時間放置して、氷を凍結させた。その後、ステンレスリングにせん断方向に加重をかけ、材料と凍結面をはく離させる。その時の加重を付着面積で除した値を着氷力(kgf/cm2)とする。
【0041】
表1によれば、本発明の滑雪性塗料は滑雪性に優れかつ耐久性の良好な塗膜を提供するが、比較塗料の塗膜は滑雪性に劣りかつ耐久性も充分ではないことが認められる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は滑雪性塗膜を形成することが極めて短時間で容易かつ省エネルギー的に行われるので工程が短縮化、合理化され、かつ該塗膜の耐久性も良好であるから、産業上利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合性(メタ)アクリル基含有ポリジメチルシロキサンと、重合性ポリエステルおよび/またはポリエーテル(メタ)アクリレートとを主体とする混合物を電子線照射によって硬化させた硬化物からなることを特徴とする滑雪性塗膜。
【請求項2】
請求項1の混合物に更に重合性ビニル単量体を添加した混合物を電子線照射によって硬化させた硬化物からなることを特徴とする滑雪性塗膜。
【請求項3】
重合性(メタ)アクリル基含有ポリジメチルシロキサンと、重合性ポリエステルおよび/またはポリエーテル(メタ)アクリレートと、水酸基含有ポリジメチルシロキサンと、多価イソシアネートとを主体とする混合物を電子線照射によって硬化させた硬化物からなることを特徴とする滑雪性塗膜。
【請求項4】
請求項3の混合物に更に重合性ビニル単量体を添加した混合物を電子線照射によって硬化させた硬化物からなることを特徴とする滑雪性塗膜。

【公開番号】特開2007−332213(P2007−332213A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−163656(P2006−163656)
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【出願人】(304038426)株式会社アーテック (5)
【Fターム(参考)】