説明

漂白剤を歯に送達する組成物及び方法

本発明は、安全且つ有効な量の組成物を複数個の歯に適用することにより、必要性のある対象者の歯を白化する組成物及び方法であって、組成物が、
a.安全且つ有効な量の漂白剤、
b.安全且つ有効な量の非水溶性固相、
c.安全且つ有効な量の水溶性液相、を含み、
非水溶性固相と水溶性液相の比率が約1:4〜約4:1であり、組成物が白化を達成するために十分な時間適用され、そして一つの実施形態において、組成物が約0.5〜約4の白化指数を有する、組成物及び方法に関する。組成物は疎水変性ポリマーを含む。
本発明は、また、一体型キャリア、例えば、ストリップ材料、歯科用トレー又はスポンジ材料とともに使用される本発明の組成物を含むデリバリーシステムに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互対照)
本出願は、米国仮出願60/530,217(2003年12月17日出願)、米国仮出願60/530,397(2003年12月17日出願)及び米国仮出願60/530,387(2003年12月17日出願)の利益を特許請求する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、白化組成物及びその必要性のある対象者における歯の白化方法に関する。本発明は、また、口腔内で漂白剤の効能を増加する方法に関する。対象者は、組成物を複数個の歯に白化を達成するために十分な時間適用する。前記組成物は、漂白剤、非水溶性固相、及び水溶性液相を含み、ここで非水溶性固相と水溶性液相の比率は、約1:4〜約4:1である。一つの実施形態において、前記組成物は、約0.5〜約4の白化指数を有する。
【0003】
一つの実施形態において、本発明は、本発明の組成物及び一体型キャリア、例えば、ストリップ材料、歯科用トレー、及び/又はスポンジ材料を含むデリバリーシステムに関する。
【背景技術】
【0004】
種々の化粧用及び/又は治療用活性物質が歯及び口腔に送達される歯科用製品は既知である。そのような製品の例には、ポリリン酸塩類又はフッ化物類のような口腔ケア活性物質を送達する歯磨き製品のような歯磨き補助物、臭清涼剤又は抗菌活性物質含有うがい薬、及び歯に漂白活性物質を送達する白化ストリップが挙げられる。特に歯科用ストリップの使用は、化粧用及び治療用利益を歯及び口腔の粘膜表面に送達する都合のよい安価な方法として認識されてきた。例えば、白化組成物がストリップに適用され、その後、歯に適用されて歯と白化組成物の間に持続性の接触を達成する歯科用白化ストリップは既知である。米国特許第6,136,297号、同第6,096,328号、同第5,894,017号、同第5,891,453号、及び同第5,879,691号(全てセイゲル(Sagel)ら)、並びに米国特許第5,989,569号及び同第6,045,811号(両方ともダークシング(Dirksing)ら)(全てプロクター・アンド・ギャンブル社(The Procter & Gamble Company)に譲渡されている)を参照すること。
【0005】
先行技術は、一般に、とりわけ組成物中の漂白剤の濃度を増加することによって、白化効能を増強しようと試みてきた。しかしこの手法は、幾つかの問題をもたらす。第1には、対象者は増量した漂白剤の使用に関連する可能性がある、高まった刺激及び/又は感受性を体験する可能性がある。更に、世界中の多様な地域における幾つかの監督機関及び法律は、漂白剤が特定の濃度を超えるレベルで製品に使用されることを許可していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、口腔状態の処置、特に歯を白くするのための上記の既知手法にもかかわらず、改善された漂白効能を有する製品を提供する必要性が依然として存在する。本発明は、先行技術の幾つかの制限を克服する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、安全且つ有効な量の組成物を複数個の歯に適用することにより、必要性のある対象者の歯を白化する方法であって、前記組成物が、
a.安全且つ有効な量の漂白剤、
b.安全且つ有効な量の非水溶性固相、
c.安全且つ有効な量の水溶性液相、を含み、
ここで、非水溶性固相と水溶性液相の比率が、約1:4〜約4:1であり、前記組成物が白化を達成するために十分な時間適用され、前記組成物が約0.5〜約4の白化指数を有する、方法に関する。別の実施形態において、組成物は単一相である。
【0008】
一つの実施形態において、本発明は、また、口腔ケア組成物であって、
a.安全且つ有効な量の漂白剤、
b.有機添加剤類及びこれらの混合物から成る群から選択される、安全且つ有効な量の非水溶性固相、
c.安全且つ有効な量の水溶性液相、を含み、
ここで、非水溶性固相と水溶性液相の比率が、約1:4〜約4:1である、口腔ケア組成物に関する。
【0009】
別の実施形態において、本発明は、口腔ケア組成物であって、
a.安全且つ有効な量の漂白剤、
b.安全且つ有効な量の非水溶性固相、
c.安全且つ有効な量の水溶性液相、及び
d.安全且つ有効な量の関連増粘剤を含み、
ここで、非水溶性固相と水溶性液相の比率が、約1:4〜約4:1である、口腔ケア組成物に関する。
【0010】
別の実施形態において、本発明は、また、口腔ケアデリバリーシステムであって、
a.一体型キャリアと、
b.安全且つ有効な量の組成物であり、
1.安全且つ有効な量の漂白剤、
2.安全且つ有効な量の非水溶性固相、及び
3.安全且つ有効な量の水溶性液相を含み、、
ここで、非水溶性固相と水溶性液相の比率が、約1.4〜約4:1である、前記組成物とを含み、前記組成物が白化を達成するために十分な時間適用され、デリバリーシステムが口腔の硬又は軟組織に付着することができる、口腔ケアデリバリーシステムに関する。
【0011】
一つの実施形態において、デリバリーシステムは、ストリップ材料の第1層、上記の組成物を含む第2層を含み、それにより漂白剤がストリップ材料と放出可能に関連している。一つの実施形態において、本発明は、一体型キャリアを直接歯に適用することにより、口腔に白化利益を送達するために使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本明細書は、本発明を特に指摘し、明確に請求する請求項で完結するが、本発明は、同じ参照番号が同一の要素を表す添付図面を伴う実施形態についての以下の説明から、よりよく理解されると考えられる。一体型キャリアには、ストリップ材料、歯科用トレー、スポンジ材料、及びこれらの混合物が挙げられる。本発明の一つの実施形態において、一体型キャリアはストリップ材料を含む。ストリップ材料は、取り付け手段を介して歯に取り付けられる。取り付け手段は、本発明の組成物、又は本発明の組成物と別個の接着組成物、又は一体型キャリアの一部分である取り付け手段であってもよく、例えば一体型キャリアは、任意に、一旦適用されると、一体型キャリアが口腔軟組織と重なって漂白剤が歯の表面のより多くを利用できるようにするのに十分な大きさ及び/又は幅であってもよく、十分な接着性を有していてもよい。
【0013】
本発明を制限しようとするものではないが、ストリップ材料の実施形態は以下でより詳細に説明される。
【0014】
(定義)
本明細書で使用する時、「口腔ケア染料組成物」又は「口腔ケア組成物」とは、治療薬の全身投与の目的で意識的に飲み込まれるのではなく、白化効能の目的で歯の表面と十分な時間接触させるために口腔内に保持される製品を意味する。
【0015】
本明細書で使用する時、「安全且つ有効な量」とは、健全な医学/歯科的判断の範囲内で、処置されるべき状態を著しく(よい方向に)変える又は所望の白化効果をもたらすのに十分多いが、深刻な副作用を回避するのに(妥当な利益/危険比率で)十分に少ない、成分の量を意味する。成分の安全且つ有効な量は、処置される特定の状態(例えば、白化を実施する)、処置される患者の年齢及び身体状態、状態の重篤度、処置期間、併用療法の性質、使用される特定の形態、並びに成分が適用される特定のビヒクルによって変わる。
【0016】
本明細書で使用する時、「白化を達成するのに十分な時間」とは、組成物が、1回の適用当たり約2分間を超えて、別の実施形態では、約2.5分間から約12時間まで(例えば、一晩処置)、別の実施形態では、約3分間から約120分間まで、さらに別の実施形態では、約5分間から約40分間まで、対象者により使用若しくは装着されるか、又は対象者が組成物を使用する又は装着するように指示され、1日当たり約1回から約7回まで適用されてよいことを意味する。加えて、所望の利益、例えば歯の白化を達成する処置の長さは、約1日から約6か月まで、別の実施形態では、約1日から約28日間まで、別の実施形態では、約7から約28日間まで続いてもよい。最適な適用時間及び適用の頻度は、所望の効果、処置されるあらゆる状態の重篤度、ユーザーの健康及び年齢、並びに同様の考慮により左右される。
【0017】
本明細書で使用する時、「cm」は、センチメートルを意味する。本明細書で使用する時、「mm」は、ミリメートルを意味する。
【0018】
本明細書の以下で使用される全ての百分率及び比率は、特に指示がない限り、組成物全体の重量を基準とする。
【0019】
本明細書で言及される全ての測定は、特に明記されない限り25℃で行なわれる。
【0020】
本明細書で言及される成分の百分率、比率及び濃度は、特に指示がない限り全て成分の実際の量に基づき、市販製品として成分と組み合わされている可能性がある溶媒、充填剤、又はその他の物質を包含しない。
【0021】
本明細書に記載された全ての出版物、特許出願、及び発行された特許は、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。いずれの参考文献の引用も、特許請求される本発明に対する従来技術としての有用性のあらゆる決定に関する容認ではない。
【0022】
理論に束縛されることなく、本発明は、幾つかの水相が非水溶性固相と代わるために、歯の表面で漂白剤の「有効」濃度を増加する可能性がある。一つの実施形態において、これは組成物をより疎水性にする可能性がある。従って、漂白剤の同一の又はより低い総濃度が使用される場合であっても、漂白剤の増加された白化速度及び/又は増進された効能が達成される可能性がある。従って、本発明は、漂白剤の所定の総濃度で、同じ白化度を得るためにより少ない適用しか必要としない可能性があるか又は同じ白化度を得るためにより低いゲル装填量しか必要としない可能性がある。
【0023】
(漂白剤)
本発明の方法における組成物及び方法は、安全且つ有効な量の漂白剤を含む。一般に漂白剤の濃度は、染みを漂白するために分子が提供できる、それぞれの有効酸素又は塩素の量に左右される。漂白剤は、一般に、組成物の約0.1重量%〜約20重量%、別の実施形態では、約0.5重量%〜約9重量%、別の実施形態では、約3重量%〜約8重量%、さらに別の実施形態では、約4重量%〜約6重量%の濃度の漂白剤が本発明の組成物で使用される。一つの実施形態において、漂白剤は、驚くべきことにより低い濃度で使用されるとより有効であり、一般に組成物約の0.5重量%〜約3重量%であり、別の実施形態では約0.5重量%〜約1.5重量%である。
【0024】
漂白剤は、本発明の組成物中に含まれる。一つの実施形態において、漂白剤は、過酸化物類、金属亜塩素酸塩類、過ホウ酸塩類、過炭酸塩類、ペルオキシ酸類、過硫酸塩類、前記の化合物をその場で形成する化合物、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される。適した過酸化化合物には、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化カルシウム、過酸化カルバミド、及びこれらの混合物が挙げられる。一つの実施形態では、漂白剤は過酸化カルバミドである。適した金属亜塩素酸類には、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸バリウム、亜塩素酸マグネシウム、亜塩素酸リチウム、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム、及びこれらの組み合わせが挙げられる。更なる漂白剤には、次亜塩素酸塩及び二酸化塩素も挙げられる。一つの実施形態において、漂白剤は、亜塩素酸ナトリウム、過酸化物、過炭酸ナトリウム、オキソン類、及びこれらの混合物から選択される。出発漂白剤は、水性又は固体の物質であることができる。
【0025】
(非水溶性固相)
本発明は、安全且つ有効な量の非水溶性固相を含む。一般に非水溶性固相は、非水溶性有機及び/又は無機(例えば、粒子状の)添加剤を含む。非水溶性固相は、一般に非水溶性であり、ユーザーに対して無毒であり、化学的に安定しており、組成物に存在する漂白剤(例えば、漂白剤の著しい分解を起こさせない)及び他の成分と適合性がある。一般に、一つの実施形態において、本発明は、非水溶性固相を組成物の約20重量%〜約80重量%、別の実施形態では、約30重量%〜約75重量%、別の実施形態では約35重量%〜約65重量%、別の実施形態では、約45重量%〜約60重量%含む。
【0026】
非水溶性固相に適した材料には、ポリオレフィン類(例えば、熱可塑性ポリマー類、単純オレフィン類から誘導されるポリマー類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ポリブテン、及びこれらのコポリマー類)、及びポリエステル、並びにこれらの混合物が挙げられる。例えばポリエチレンは、ハネウエル・アライド・シグナル(Honeywell Allied Signal)から入手可能な商標名AC(登録商標)及びアキュミスト(Accumist)(登録商標)として入手可能である。非水溶性固相の更なる材料には、非水溶性セルロース類(例えば、エチルセルロース及び酢酸セルロース)、シリカ類、タルク、雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、ナイロンパウダー、メタクリレートパウダー、ポリスチレンパウダー、シルクパウダー、結晶性セルロース、雲母チタン、リン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、及びこれらの混合物が挙げられる。一つの実施形態において、非水溶性固相は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン類、これらのコポリマー類、及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0027】
一つの実施形態において、非水溶性固相は、リン酸二カルシウム二水和物、無水リン酸二カルシウム、及び/又はピロリン酸カルシウムを約5重量%未満、別の実施形態では約2重量%未満を含み、別の実施形態では、実質的に含まない。
【0028】
一つの実施形態において、種々の染料類、着色剤類、顔料類、及びこれらの混合物が、本明細書の組成物に着色外観を与えるために、本発明の組成物に任意に添加できるか、又は非水溶性固相の一部として任意に組み込まれることができる。天然歯の色と同様の色をもたらす染料類又は顔料類を包含する、消費者により所望されるあらゆる色が使用できる。着色された組成物の一つの利点は、そのことが、ユーザーに組成物がユーザーの歯を均一且つ完全に覆っているかを見えるようにすることであり、それは歯の覆いの程度が着色された組成物によってより見やすいからである。
【0029】
一つの実施形態において、非水溶性固相は、組成物中での溶解度を超えるのに十分高い濃度で組成物中に装填され、その後非水溶性相として機能する、水溶性材料(例えば、水溶性デンプン材料)である。
【0030】
一つの実施形態において、非水溶性固相の平均粒径は、特に一体型キャリア(例えば、ストリップ)が組成物とともに使用される場合には、一般に約200ミクロン未満である。一つの実施形態において、非水溶性固相の平均粒径は、約5〜約100、別の実施形態では、約5〜約80、さらに別の実施形態では、約10〜約60、さらに別の実施形態では、約10〜約30ミクロンである。
【0031】
一つの実施形態において、非水溶性固相は漂白剤と適合性があり、それは非水溶性固相が漂白剤に著しい分解をもたらすことがないことを意味する。別の実施形態において、「漂白剤と適合性がある」は、安全且つ有効な量の安定剤が非水溶性固相又は本発明の組成物に添加されることを意味する。別の実施形態において、任意の安定剤の濃度は、組成物の約0.001重量%〜約15重量%、別の実施形態では約0.01重量%〜約10重量%、別の実施形態では約0.5重量%〜約5重量%、なお別の実施形態では、約1重量%〜約3重量%である。
【0032】
一つの実施形態において、該技術分野において既知のキレート又は非キレート安定剤のような適した任意の安定剤は、酒石酸及びそれらの製薬上許容できる塩類、クエン酸及びアルカリ金属クエン酸塩類のようなそれらの塩類、ピロホスフェートイオン源、ポリホスフェート類(例えば、トリポリホスフェート、ヘキサメタホスフェート)、ジホスホネート類(例えば、EHDP、AHP)、EDTA、並びにこれらの混合物から成る群から選択されてもよく、別の実施形態では、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、酒石酸二ナトリウム、酒石酸二カリウム(dipotassium tartrate)、ピロホスフェートイオン源、酒石酸ナトリウムカリウム、酒石酸水素二ナトリウム(disodium hydrogen tartrate)、酒石酸水素カリウム(potassium hydrogen tartrate)、ピロリン酸二水素二ナトリウム(disodium dihydrogen pyrophosphate)、ピロリン酸四ナトリウム、ピロリン酸四カリウム(tetrapotassium pyrophosphate)、及びこれらの混合物から成る群から選択されてもよい。
【0033】
(水溶性液相)
本発明は、安全且つ有効な量の水溶性液相を含む。一般に水溶性液相の濃度は、組成物の約15重量%〜約80重量%、別の実施形態では、約20重量%〜約75重量%、別の実施形態では約35重量%〜約70重量%、別の実施形態では、約45重量%〜約65重量%である。別の実施形態において、水溶性液相は、約15%〜約50%未満である。
【0034】
水溶性液相は、一般に、水、約200〜約20,000の分子量を有するポリアルキレングリコール類、保湿剤、及びこれらの混合物から成る群から選択される。水溶性液相は、ポリアルキレングリコール類、保湿剤、及びこれらの混合物のような水混和性成分を含むことができる。保湿剤には、一般に、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、及びプロピレングリコール、並びにこれらの混合物のような食用多価アルコール類が挙げられる。一つの実施形態において、水溶性液相は水である。一つの実施形態において、組成物は、水を組成物の少なくとも約10重量%、別の実施形態では、水を組成物の少なくとも約20重量%含む。
【0035】
(非水溶性固相と水溶性液相の比率)
非水溶性固相と水溶性液相の比率は、約1:4〜約4:1、別の実施形態では、約1:2.5〜約2.5:1、別の実施形態では、約1:1.5〜約1.5:1、さらに別の実施形態では、約1:1.25〜約1.25:1である。
【0036】
(白化指数)
一つの実施形態において、本発明は、約0.5〜約4、別の実施形態では約1〜約4,さらに別の実施形態では約1.3〜約3.5、別の実施形態では約1.5〜約3の白化指数を有する。白化指数は、下記のように計算される。
【0037】
処置の1、2、3又は4日目でDb(組成物A)からDb(組成物B)を差し引き、ここで組成物A及び組成物Bは、組成物の重量に基づいて同じ濃度の漂白剤を有し、組成物Aは、非水溶性固相及び水溶性液相の必須の量を約1:4〜約4:1などの比率で有する本発明の組成物であり、化合物Bはそうではない。
【0038】
組成物AのDbは、次のように計算される。6〜8本の抜かれたヒトの臼歯が洗浄され、レゴ(Lego)(登録商標)ブロック中に装填され、それぞれの臼歯の前面には、それぞれの臼歯を確認するために標識が付けられる。臼歯は、水又はリン酸緩衝液のいずれかにより一晩再水和される。その後、臼歯は溶液から取り出され、次に0.03〜0.1gの組成物Aがそれぞれの臼歯の前面に適用される。次に臼歯は、処置が持続している間は37℃でインキュベーター中に置かれる。それぞれの臼歯は、組成物Aで4日間の研究期間にわたって1日2回、30分間処置される。30分間の処置時間の後、臼歯は、インキュベーターから取り出され、あらゆる残留組成物を除去するために、蒸留水ですすがれる。臼歯は、それぞれの処置の合間に、水中又は緩衝液中に置かれる。それぞれの処置時間の間は、2〜4時間あける。
【0039】
臼歯のデジタル画像が、前処理(ベースライン)及び毎日のそれぞれの全処置(毎日の全処置は1時間である)の後で得られる。臼歯のデジタル画像は、フジ(Fuji)(日本)により製造された高解像度デジタルカメラ(HC1000CCD(登録商標))を使用してコンピューターに取り込まれる。これらの画像は、青色から黄色(b)まで明度/白色度を記載する標準CIELAB三次元色空間に関する歯の平均色の数値を導き出すために分析される。それぞれの処置日後の処置効能、b(試験されたそれぞれの臼歯の平均bとして計算される)は、ベースラインb(試験されたそれぞれの臼歯の平均bとして計算される)と、Dbとして示される色測定値bについて比較される。一つの実施形態において、抜かれたヒトの臼歯のベースラインb値は、約10〜約20、別の実施形態では約12〜約16の範囲である。
【0040】
白化指数は、1又は2又は3又は4日目で計算されるか、或いは1日目から4日目までのDbの平均値であることができる。
【0041】
組成物BのDbは、組成物Bが組成物Aの代わりに使用される以外は、組成物Aと同様に計算される。
【0042】
13つの変数、輝度(luninnce)−L*、及び赤色−緑色軸の−a*の明度、及び青色−黄色軸−b*の明度を使用して可能な全ての色を表すことができる国際照明委員会(Commission Internationale de l’Eclairage)のL*a*b*。
【0043】
(任意の増粘剤)
本明細書の組成物は任意に増粘剤を含む。一つの実施形態において、増粘剤(又は粘度調整剤)は、歯の上の組成物の保持を高めるために機能する。粘度調整剤は、更に、成分の沈殿及び分離を抑制するか、又は再分散を促進する方式で沈殿を制御するように機能してもよく、並びに組成物の流動特性を制御してもよい。粘度調整剤は、粒子状形態である、漂白剤又は他の口腔ケア活性剤を本発明の組成物中に懸濁させておくために特に有用である。本明細書の増粘剤は、また、本明細書下記で考察される接着手段としての役割を果たすことができる。
【0044】
存在する場合、増粘剤(粘度調整剤)は、組成物の約0.01重量%〜約20重量%、一つの実施形態では、約0.1重量%〜約10重量%、別の実施形態では、約0.4重量%〜約5重量%、さらに別の実施形態では約1重量%〜約3重量%の濃度で存在する。
【0045】
本明細書に適した粘度調整剤には、セルロース誘導体ような合成ポリマー類(例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシ−プロピルメチルセルロースなど)、カルボマーポリマー類(例えば、架橋ポリアクリル酸コポリマー又はホモポリマー、及びポリアルケニルポリエーテルで架橋されているアクリル酸のコポリマー類)、天然及び合成ゴム類、カラヤガム、グアーガム、ゼラチン、アルギン、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、キトサン、ポリエチレンオキシド、アクリルアミドポリマー類、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリアミン類、ポリ四級化合物、エチレンオキシドポリマー類、ポリビニルピロリドン、カチオン性ポリアクリルアミドポリマー類、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0046】
一つの実施形態において、増粘剤は、カルボマー類、例えば、ペンタエリスリトールのアルキルエーテル若しくはスクロースのアルキルエーテルで架橋されているアクリル酸のホモポリマーの部類から選択される。カルボマー類は、B.F.グッドリッチ(B.F.Goodrich)からカーボポール(Carbopol)(登録商標)シリーズとして市販されている。一つの実施形態において、カーボポール類は、カーボポール(Carbopol)934、940、941、956、及びこれらの混合物である。ポリアクリル酸のホモポリマー類は、例えば、米国特許第2,798,053号で記載されている。有用であるホモポリマー類の他の例には、ウルトレッツ(Ultrez)10、ETD2050、及び974Pポリマー類が挙げられ、これらは、B.F.グッドリッチ社(B.F.Goodrich Company)から入手可能である。そのようなポリマー類は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸などの、不飽和で重合可能なカルボン酸モノマー類のホモポリマー類である。
【0047】
別の実施形態において、増粘剤は、疎水変性アルカリ可溶性アクリル酸エマルション又は疎水変性非イオン性ポリオールポリマーのような関連増粘剤又は安定剤であることができ、すなわち疎水変性ウレタンポリマー、疎水変性エトキシ化ウレタンポリマー又はこれらの組み合わせである。関連増粘剤は、歯の上での本明細書の組成物及び/又は一体型キャリアの保持又は付着を高める可能性があり歯の表面に一旦適用された組成物の浸食を遅くする可能性があり、本明細書で開示される任意の剥離ライナーからの組成物の放出を向上させる可能性がある。
【0048】
疎水変性ポリアクリル酸ポリマー類は、例えば、米国特許第3,915,921号、同第4,421,902号、同第4,509,949号、同第4,923,940号、同第4,996,274号、同第5,004,598号及び同第5,349,030号で記載されている。これらのポリマー類は、大きい、水を好む、親水性部分(ポリアクリル酸部分)及びより小さい、油を好む、疎水性部分(長炭素鎖アクリレートエステルから誘導できる)を有する。代表的な高級アルキルアクリル酸エステル類は、デシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、ベヘニルアクリレート及びメリシルアクリレート、並びにこれらに相応するメタクリレート類である。1つ以上のカルボン酸モノマー及び1つ以上のアクリレートエステル又はビニルエステル若しくはエーテル又はスチレンがモノマー装填に使用できることが理解されるべきである。ポリマー類は、水に分散され、塩基で中和されて、水性組成物を濃くして、ゲルを形成するか、又は送達可能なものを乳化又は懸濁することができる。有用なポリマー類は、カーボポール(Carbopol)(登録商標)1342及び1382、カーボポール(登録商標)ETD2020、ペムレン(Pemulen)(登録商標)TR−1、TR−2、1621及び1622として販売されており、全てBFグッドリッチ(BF Goodrich)から入手可能である。カルボキシル含有ポリマー類は、少なくとも1つの活性化ビニル基及びカルボキシル基を含有するモノマー類から調製され、重合可能なカルボン酸モノマー類と、アクリレートエステル類、アクリルアミド類、アルキル化アクリルアミド類、オレフィン類、ビニルエステル類、ビニルエーテル類又はスチレン類とのコポリマー類が包含されるであろう。カルボキシル含有ポリマー類は、約500超から数十億以上まで、通常、約10,000超から900,000以上までの分子量を有する。
【0049】
また有用なものは、疎水変性モノマー類と、少なくとも1つの親水性部分及び少なくとも1つの疎水部分を有する立体安定ポリマー界面活性剤とのインターポリマー類、又は線状ブロック若しくはランダムブロックコーム形状、又はこれらの組み合わせである。使用できる立体安定剤は、インペリアル・ケミカル・インダストリーズ社(Imperial Chemical Industries Inc.)から入手可能な、ポリ(12−ヒドロキシステアリン酸)ポリマーであるハイパーマール(Hypermerl)及びフェニックス・ケミカル(Phoenix Chemical)、ニュージャージー州、サマービル(Somerville)より入手可能な、メチル−3−ポリエトキシプロピルシロキサンΩ−ホスフェートポリマーであるペコシル(Pecosil)(登録商標)である。これらは、米国特許第4,203,877号及び同第5,349,030号で教示されている。
【0050】
他の関連増粘剤には、ローム・アンド・ハースのもの(例えば、疎水変性アルカリ可溶性アクリル酸ポリマーエマルションである、アクリゾル(Acrysol)(登録商標)ICS−1及びアキュリン(Aculyn)(登録商標)22及び28増粘剤、並びに疎水変性非イオン性ポリオールである、アキュリン(登録商標)44及び46増粘剤)が挙げられる。一つの実施形態において、関連増粘剤は、カーボポール(Carbopol)(登録商標)及び/又はペムレン(Pemulen)(登録商標)ポリマー類である。使用される特定のポリマーの選択は、組成物の所望のレオロジー及び他の組成成分の素性に左右される。
【0051】
他の関連増粘剤は、米国特許第5,997,764号(B.Fグッドリッチ(BF Goodrich))でより詳細に考察されている。一つの実施形態において、疎水変性カルボマー類とカルボマー類との混合物が使用できる。
【0052】
(一体型キャリアと組成物の組み合わせ)
一つの実施形態において、本発明は、一体型キャリア及び本発明の組成物を含むデリバリーシステムに関する。一つの実施形態において、デリバリーシステムは、ストリップ材料の第1層、上記組成物を含む第2層を含み、それによって漂白剤が組成物及び/又はストリップ材料に放出可能に関連している。本発明は、一体型キャリアを歯に直接適用することにより口腔に白化利益を送達する。
【0053】
I.第1層
本発明の第1層は、ストリップ材料、歯科用トレー、スポンジ材料、及びこれらの混合物を包含する一体型キャリアを含む。一つの実施形態において、一体型キャリアはストリップ材料である。
【0054】
ここで図面、より具体的には図1及び2を参照すると、本発明の第1の実施形態が示され、全体が10として表示されており、漂白活性物質を歯及び口腔に送達するためのデリバリーシステムを表す。デリバリーシステム10は、ストリップ材料12を有し、これは実質的に平らで、好ましくは角に丸みがある。
【0055】
前記ストリップ材料12の上に放出可能に適用されているのは、第2層組成物14である。第2層組成物14は、一つの実施形態において、均質であり、図3に示されるように、ストリップ材料12の上に均一且つ連続的にコーティングされていてもよい。しかし、第2層組成物14は、別の方法として、ストリップ材料12の一部分の軸線の長手方向に沿った連続的にコーティングされている第2層組成物14であってもよい。加えて、第2層組成物は、積層又は層状であってもよく、ここで、漂白剤及び/又は接着手段は、全ての層又は薄層に存在しなくてもよい。加えて、第2層組成物は、組成物の無定形混合物であってもよく、ここで、漂白剤及び/又は接着手段は、無定形混合物の全ての相に存在しなくてもよい。加えて、第2層組成物は、同一又は異なる組成物のストライプ、スポット、及び/又は他のパターンとして適用されてもよく、ここで、漂白剤及び/又は接着手段は、組成物の全てのストライプ、スポット、及び/又は他のパターンに存在しなくてもよい。
【0056】
図4に示すように、代替的な実施形態では、ストリップ材料12は、その中に形成された浅いポケット18を有してもよい。第2層組成物14がストリップ材料12の上にコーティングされると、追加の第2層組成物14は、存在する場合、浅いポケット18を埋めて第2層組成物14のリザーバを提供する。
【0057】
図5及び6は、1本の歯及び複数個の隣接する歯の表面に適用された本発明のデリバリーシステム24を示す。隣接軟組織20に埋め込まれているのは、複数個の隣接する歯22である。隣接軟組織は、本明細書において、歯牙構造を囲む軟組織表面と定義され、歯乳頭、辺縁歯肉、歯肉の小溝、歯間歯肉、並びにパレット上の粘膜−歯肉接合部までの及びこれを包含する舌側面及び頬側面上の歯肉構造を包含する。
【0058】
図5及び6のどちらも、デリバリーシステム24はストリップ材料12及び第2層組成物14を表し、ストリップ材料12の側の第2層組成物14は歯22に面している。第2層組成物14はストリップ材料12に予め適用されていてもよく、すなわち歯への適用の前にユーザーによってストリップ材料12に適用されてもよい。代替的な実施形態において、第2層組成物は、ユーザーによって歯22に直接適用され、次にストリップ材料12によって覆われてもよい。いずれの場合も、ストリップ材料12は、歯22の輪郭表面及び隣接軟組織20に適合できるような厚さ及び曲げ剛性を有する。一つの実施形態において、ストリップ材料は、口腔表面の輪郭の形状になるのに十分な柔軟性を有し、該表面は複数個の隣接する歯である。ストリップ材料は、デリバリーシステムが適用された時に永久的な変形なく歯の表面及び歯の隙間の空間に容易に適合することもできる。デリバリーシステムは、大きな圧力なしに適用できる。
【0059】
図7及び8は、複数個の隣接する歯22並びに隣接軟組織20の前と後の表面の両方に適用された本発明のデリバリーシステム24を示す。デリバリーシステム24は、ストリップ材料12及び第2層組成物14を表し、ストリップ材料12の側の第2層組成物14は歯22に面している。
【0060】
図9及び10は、任意の剥離ライナー27を示す。剥離ライナー27は、第2層組成物14によってストリップ材料12に取り付けられる。第2層組成物14は、ストリップ材料12の剥離ライナー27に面する側にある。この側は、剥離ライナー27が取り外されると、歯及び歯肉表面に適用される。
【0061】
一つの実施形態において、本発明のデリバリーシステムの第1層はストリップ材料で構成される。このような第1層材料は、米国特許第6,136,297号、同第6,096,328号、同第5,894,017号、同第5,891,453号、及び同第5,879,691号(全てセイゲル(Sagel)ら、及び全てプロクター&ギャンブル社(Procter & Gamble Company)に譲渡)、並びに米国特許第5,989,569号及び同第6,045,811号(両方ともダークシング(Dirksing)ら、及び両方ともプロクター&ギャンブル社に譲渡)でより詳細に記載されている。
【0062】
ストリップは漂白剤の保護バリヤーとして機能する。ストリップは、例えば着用者の舌、唇、及び唾液による、第2層の浸出及び/又は浸食を防止する。これにより第2層中の活性物質が口腔の硬質表面で数分から数時間の長期間作用することができる。
【0063】
ストリップ材料は、ポリマー類、天然及び合成の織物材料、不織布材料、ホイル、紙、ゴム及びこれらの組み合わせを含んでもよい。ストリップ材料は、材料の単一層又は1つ以上の層の積層体であってもよい。層の数に関わらず、ストリップ材料は、一つの実施形態において実質的に非水溶性である。ストリップは、また、不透水性でもあってもよい。一つの実施形態において、材料は、必要な曲げ剛性を満たし口腔ケア物質と適合性のあるあらゆる種類のポリマー又はポリマー類の組み合わせである。適したポリマー類には、ポリエチレン、エチルビニルアセテート、ポリエステル類、エチルビニルアルコール及びこれらの組み合わせが挙げられるが、それらには限定されない。ポリエステル類の例には、マイラー(Mylar)(登録商標)、及びテフロン(Teflon)(登録商標)のようなフルオロプラスチック類が挙げられ、両方ともデュポン(Dupont)により製造されている。一つの実施形態において、材料はポリエチレンである。ストリップ材料は、一般に約1mm(ミリメートル)未満の厚さであり、一つの実施形態では約0.05mm未満の厚さ、さらに別の実施形態では約0.001〜約0.03mmの厚さである。材料のポリエチレンストリップは、一般に約0.1mm未満の厚さであり、一つの実施形態では約0.005〜約0.02mmの厚さである。
【0064】
ストリップ材料の形状は、所望の口腔表面を覆うあらゆる形状及び大きさである。一つの実施形態において、ストリップは、口腔の軟組織の刺激を避けるため、丸みのある角を持つ。「丸みのある角」は、あらゆる鋭角又は鋭利な突端も持たないことを意味する。一つの実施形態において、ストリップ材料の長さは、約2cm(センチメートル)〜約12cm、別の実施形態では、約4cm〜約9cmである。ストリップ材料の幅は、覆われる口腔表面積によっても左右される。ストリップの幅は、一般に約0.5cm〜約4cm、一つの実施形態では約1cm〜約2cmである。さらに別実施形態において、ストリップは、局部的状態を処置するために、1本又は数本の歯の上に貼付剤として装着されてもよい。
【0065】
ストリップ材料は浅いポケットを含有してもよい。組成物がストリップ材料の上にコーティングされると、漂白剤及び/又は口腔ケア活性物質が浅いポケットを満たし、追加の漂白剤及び/又は口腔ケア活性物質のリザーバを提供する。加えて、浅いポケットは、デリバリーシステムに質感をもたらすのに役立つ。一つの実施形態において、ストリップ材料は浅いポケットの配列を有する。一般に、浅いポケットは、およそ0.4mmの幅及び約0.1mmの深さである。浅いポケットがストリップ材料に含まれ、本明細書の組成物が多様な厚さでそこに適用される時、デリバリーシステムの全厚は約1mm未満である。一つの実施形態において、全厚は約0.5mm未満である。
【0066】
曲げ剛性は、ストリップの厚さ、幅及び材料の弾性率の組み合わせの関数である材料特性である。この試験は、ポリオレフィンフィルム及びシートの剛性を測定する方法である。それは、水平梁の末端に固定されたひずみゲージを用いて、試料の曲げに対する抵抗力を測定する。梁の反対側の末端が、試料のストリップ全体を押して、ストリップの一部を試料が置かれている水平台の垂直な溝の中に押し入れる。ひずみゲージに配線されたマイクロアンメータが、たわみ力に関して較正される。試料の剛性はマイクロアンメータから直接読み取られ、試料ストリップの幅1cm当たりのg数として表される。本発明では、ストリップ材料は、ペンシルベニア州フィラデルフィアのスイング・アルバート・インスツルメント社(Thwing-Albert Instrument Company)より入手可能なハンドル−O−メータ(Handle-O-Meter)、モデル#211−300で試験方法ASTM D2923−95によって測定する場合、約5g/cm未満の曲げ剛性を有する。一つの実施形態において、ストリップは、約3g/cm未満、別の実施形態では約2g/cm未満、さらに別の実施形態では約0.1〜約1g/cmの曲げ剛性を有する。一般に、ストリップ材料の曲げ剛性は、実質的に一定であり、通常の使用の間に変化しない。例えば、ストリップ材料は、ストリップが上記の特定された範囲の低い曲げ剛性を達成するために水和される必要がない。
【0067】
この相対的に低い剛性により、ストリップ材料は口腔表面の輪郭を非常に小さい力を用いて被覆することができる。すなわち、ストリップ材料を口腔表面への適用の直前の形状、すなわち実質的に平らに戻す原因となる残留力がストリップ内にほとんどないことから、着用者の口の口腔表面の輪郭への適合性が維持される。ストリップ材料の可撓性によって、刺激することなく、それを長時間にわたって軟組織に接触することが可能となる。ストリップ材料は、口腔表面への保持のために連続的圧力を必要としない。
【0068】
一つの実施形態において、本明細書のデリバリーシステムは、接着手段を含み、口腔表面、特に歯に接着することができる。この接着手段は、本明細書の本発明の組成物により提供されてもよいか、又は接着手段は、本明細書の組成物から独立して提供される(例えば、接着手段は、本明細書の組成物と別個の相であり、ここで組成物は、接着手段を有しても、また有していなくてもよい)。一つの実施形態において、ストリップ材料は、本発明の組成物により提供される接着剤による取り付けによって口腔表面の所定の位置に保持される。乾燥表面に対する本発明の組成物の粘度及び一般的粘着性により、話したり飲んだりなどの間にストリップ材料に対して摩擦する唇、歯、舌及びその他の口腔表面により生じる摩擦力からの実質的な滑りがなく、ストリップが口腔表面に接着的に取り付けられる。しかし、この口腔表面への接着は、ストリップ材料が、着用者が指を用いてストリップ材料を単に引き剥がすことによって容易に取り外されることを可能にするほど十分に低い。デリバリーシステムは、器具、化学溶媒若しくは剤又は過度の摩擦を用いることなく口腔表面から容易に取り外すことができる。
【0069】
別の実施形態において、ストリップ材料は、一体型キャリア自体により提供される接着手段及び取り付けによって、口腔表面の所定の位置に保持される。一つの実施形態において、ストリップ材料は、口腔軟組織に延伸、取り付け、及び接着することができる。あるいは、デリバリーシステムを口腔軟組織に取り付けるストリップ材料の部分に、接着剤が適用できる。別の実施形態において、ストリップ材料は、PCT国際公開特許03/015656(2003年2月27日公開、スミスクライン・ビーチャム(SmithKline Beecham))で開示されているように、本明細書の本発明の組成物から独立している接着手段により所定の位置に保持される。
【0070】
本明細書の組成物から独立して提供される接着手段の例には、下記が挙げられる。
【0071】
一つの実施形態において、組成物及び接着物質は、ストリップの表面において別々に別個の位置に付着されてもよい。一つの実施形態において、組成物及び接着剤は、それぞれ空間を開けて離された表面の場所のストリップの表面に付着されてもよい。例えば、接着剤は、ストリップの一部が歯の表面に隣接している口腔表面、例えば歯肉表面に張り付くことができ、それにより組成物がその上に付着しているか又はその中に含浸しているストリップの別の部分が歯の表面に接触してよいように、ストリップの表面の所定の位置に付着されてもよい。
【0072】
あるいは、接着剤及び組成物は、空間を開けて離されていてもよいが、両方とも接着剤及び組成物が同じ種類の組織、例えば、歯又は歯肉表面に比較的に小さいそれぞれ別個のスポット又は貼付剤で接触できるような位置であってもよい。例えば、接着剤と組成物の平行線、接着剤の境界線で部分的に縁取られているか又は完全に囲まれている組成物の貼付剤の1つ以上、実質的にストリップの全面を覆っており、接着剤の線で部分的又は完全に縁取られている単一の大型貼付剤。接着剤は、組成物の境界線で部分的に縁取られているか又は完全に囲まれている、1つ以上の貼付剤の上に付着されていてもよい。
【0073】
別の実施形態において、組成物及び/又は接着剤は、封入されていてもよい。封入は、例えば、マイクロカプセル又はマクロカプセルの中であってもよい。マイクロ封入の方法は既知であり、例えば、水性相の物質の液滴が封入材料の層の中に封入され、次に液体から分離される。そのようなカプセルは、一体型キャリアの表面の上に又は表面に隣接して付着されてもよく、そして物理的又は化学的に、例えば、圧力により、例えば、ストリップが歯の表面に適用されるか又はその後の噛む動作により、口の中の環境における温度、水分、pH、化学物質又は酵素の作用下でカプセル壁を裂くことによって、破裂してもよい。例えば、組成物と接着剤のそれぞれのカプセルは、例えば第2接着剤を用いるか又はカプセルをストリップ材料中に埋め込むことにより、ストリップの表面に付着されてもよい。例えば、接着剤の薄層がストリップの表面上に付着されてもよく、組成物のカプセルはこの接着層の中に完全でなければ少なくとも一部分が埋め込まれていてもよいか、又はこの接着層の表面上に乗っていてもよい。
【0074】
別の実施形態において、接着剤は、顆粒、例えばペレット又はマイクロペレットで提供されてもよく、これらはその内容物を口の環境下で、例えば、口の中の水分、化学物質又は酵素の影響により放出してもよく、この放出を達成するためにコーティングされていてもよい。造粒及びパレット化(palletizing)の方法は、特定のpHで溶解する既知のオイドラギット(Eudragit)(商標)ポリマー類のようなポリマー類をコーティングするように既知である。そのような接着剤顆粒は、ストリップの表面の上又は表面に隣接して付着されてもよい。例えば、接着剤のカプセル及び/又は顆粒は、ストリップの表面の全体にわたって実質的に均一に配置されていてもよいか、あるいは接着剤のカプセル及び/又は顆粒のそれぞれは、ストリップの表面のそれぞれ別々の場所に位置していてもよい。
【0075】
別の実施形態において、組成物の層は、表面と比較的近位に、例えば隣接且つ接触して付着されていてもよく、接着剤の層は、表面から比較的遠位に、例えば組成物の下層と隣接且つ接触して付着されていてもよい。そのような構造において、接着剤は、ストリップを歯の表面に貼り付け、組成物は、例えば接着層が口内環境の影響によって透過性になるので、接着層の中を通り抜ける。そのような構造における接着層は、組成物が接着層の中を通過することを促進するために、層の中を通る1つ以上の穴を有する。あるいは、例えば接着剤の層は、表面と比較的近位に、例えば隣接且つ接触して付着していてもよく、組成物の層は、表面から比較的遠心に、例えば接着剤の下層と隣接且つ接触して付着されていてもよい。そのような構造において、組成物の層は、接着剤が組成物の中を通過することを促進するために、層の中を通る1つ以上の穴が必要である可能性がある。上記の構造において、下層からの物質の通過は、ストリップが歯の表面に適用されると、圧力により促進される可能性がある。
【0076】
単独で又は本明細書で開示されているその他のあらゆる接着デバイスと組み合わせて使用される機械的接着手段も、接着機能を提供するために使用されてもよい。別の実施形態において、ストリップと歯又は他の口腔表面との機械的接着手段は、ユーザーによりストリップを歯又は他の口腔表面の輪郭に適合するように可塑的に変形され、機械的なつかみにより付着することができる、可塑的に変形可能な材料を含むストリップにより提供される。そのようなつかみは、例えば、ストリップと表面との間の、不完全真空の形成又は表面張力効果のような表面効果により向上されてもよい。例えば、ストリップは、その表面上に、ほぼ歯の間の間隔の空隙部に位置しているアンカーを有していてもよく、これらのアンカーは、歯の間の間隔に収まっていてもよい。例えば、歯の表面と接触するストリップの表面には、微少吸盤が備えられていてもよく、これらはストリップの表面における複数個の小型の空洞であり、歯の表面に押しつけられて中から空気を追い出すことができ、それにより不完全真空を作り出ることができ、それでその後ストリップが気圧により歯の表面に保持される。そのようなアンカー又は微少吸盤は、歯の表面と接触するストリップの表面上に位置していてもよい。そのようなストリップは、例えば伸縮性であってもよく、それにより個別のユーザーの歯の間の空隙部に適合できる。「機械的」接着の別の形態は、歯の表面と接触すると縮み、それにより歯の表面を物理的につかむことができるストリップによって、提供されてもよい。
【0077】
接着手段が接着剤により提供される場合、接着剤は、材料を歯の表面又は口腔表面の表面に貼り付けることに使用してもよいあらゆる接着剤であってもよい。適した接着剤には、皮膚、歯肉及び粘液接着剤が包含され、口腔環境における水分、化学物質及び酵素に、口腔ケア活性物質及び/又は漂白剤が効果を発揮するのに十分なほど長い間耐えることができるべきであるが、その後、可溶性及び/又は生分解性であってもよい。適した接着剤は、例えば、水溶性ポリマー類、疎水性及び/又は非水溶性ポリマー類、感圧及び感湿接着剤、例えば口内環境と、例えば口の中の水分、化学物質又は酵素などの影響下で接触すると粘着性になる乾式接着剤を含んでもよい。適した接着剤には、天然ゴム類、合成樹脂類、天然又は合成ゴム類、上記の「増粘剤」で示されたゴム類及びポリマー類、並びに既知の接着テープで使用されている種類のその他の多様な粘着性物質であり、US−A−2,835,628で知られているものが挙げられる。
【0078】
(第2層)
一つの実施形態において、第2層は、安全且つ有効な量の本明細書で記載されている本発明の組成物を含む。
【0079】
(任意の剥離ライナー)
剥離ライナーは、第2層組成物がそれ自体に対して及び第1層のストリップ材料に対して示すよりも少ない親和性を第2層組成物に対して示すあらゆる材料から形成されていてもよい。剥離ライナーは、ポリエチレン、紙、ポリエステル、又は後に非粘着型材料でコーティングされる他の材料のような、材料の剛性シートを含んでもよい。剥離ライナーは、ストリップ材料と実質的に同じ大きさ及び形状に切断されてもよいか、又は剥離ライナーは、ストリップ材料より大きく切断されて、剥離ライナーをストリップから分離するために容易に利用できる手段を提供してもよい。剥離ライナーはストリップを曲げた時に亀裂が入る脆性材料から、又は複数片の材料から、又は切れ目の付いた材料片から形成されてもよい。あるいは、剥離ライナーは、典型的な絆創膏のデザインのような、二片が重なり合ったものであってもよい。剥離剤として適した物質の記載は、カーク・オスマー(Kirk-Othmer)の、工業化学百科事典(Encyclopedia of Chemical Technology)、第四版、21巻、207〜218頁に見出され、これは参照として本明細書に組み込まれる。
【0080】
(軟質/剛性歯科用トレー又はスポンジ材料(発泡体)と組成物の組み合わせ)
デリバリーシステムは、歯科用トレーと組み合わせて使用されてもよい。歯科用トレーは、白化技術においてよく知られている。歯科用トレーを調製する一般的方法は、当該技術分野において既知である。例えば、全ての歯の表面に歯肉縁を加えたものを残したアルギネート印象材が作製され、該印象材で直ちに模型が作製される。リザーバが望まれる場合、処置される特定の歯の表面で模型上に剛性材料の層を構築することによって調製される。続いて、歯科用トレーが、従来技術を使用して修正された模型から真空成形される。形成されると、トレーは好ましくは頬側及び舌側の両面で歯肉縁のわずかに内側に切り取られる。トレー周辺部の仕上げ及び面取りの際に、全ての歯が歯肉の境界の約1/4〜約1/3mm以内で覆われることを確実にするように、十分なトレー材料を残すべきである。一つの実施形態において、完成したトレーが歯間乳頭を覆わないようにその上及び周囲を波形にすることができる。唇及び舌が縁部の隆起を感じないように、全てのトレーの縁は好ましくは平滑にされる。得られるトレーは、一つの実施形態では、剛性材料が模型上に置かれた場所に位置するリザーバ又は空間を任意に伴って、患者の歯に完全な適合を提供する。歯科用トレーは、約1mm〜約1.5mm(約0.04インチ〜約0.06インチ)の予備成形厚さを有する軟質の透明なビニル材料を含んでもよい。軟質材料は、患者が装着するのにより快適である。より硬質な材料(又はより厚いプラスチック)もまたトレーを構築するために使用されてもよい。
【0081】
歯科医は、歯を漂白するのに伝統的に3種類の歯科用器具を利用してきた。第1の種類は、患者の歯列弓に精密に適合する剛性の器具である。第2の種類の剛性の特注歯科用器具は、「大きめの」剛性の特注歯科用器具である。剛性の特注歯科用器具の製造は、患者の歯列弓の印象材模型の製造、並びに患者の歯列弓の模型に対応する熱可塑性シートの加熱及び真空成形を必要とする。熱可塑性フィルムは、剛性又は半剛性シート状で販売されており、種々の大きさ及び厚さで入手できる。大きめの剛性歯科用器具のための歯科技工室製作技術は、模型上の歯の表面(facial surfaces)を、ダイスペーサー又は光硬化したアクリル類のような材料で増大することを含む。次に、熱可塑性シートが加熱され、その後、増大した歯列弓模型の周囲に真空成形される。この方法の正味の効果により、「大きめの」剛性の特注歯科用器具が得られる。
【0082】
剛性の特注歯科用器具の第3の種類は、あまり頻繁に使用されないが、軟質多孔質発泡体から剛性で非多孔性のフィルムまでの範囲の材料の積層体から製造される、剛性の二層特注歯科用器具である。これらの二層歯科用器具の、非多孔性で剛性の熱可塑性シェルは、軟質多孔性発泡体の内層を収容及び支持する。
【0083】
歯科用トレーの第4の種類は、剛性の特注歯科用器具を使い捨てのU字形軟質発泡体トレーで置き換えたものであり、これは個別に包装されてもよく、予め測定された量の本発明の組成物で飽和されていてもよい。軟質発泡体材料は、一般に連続気泡のプラスチック材料である。そのようなデバイスは、カリフォルニア州オックスナード(Oxnard)のキャドコ・デンタル・プロダクツ(Cadco Dental Products)より商標名バイタルホワイト(VitalWhite)(商標)で市販されている。一つの実施形態において、これらの軟質発泡体トレーは、デバイスから口腔への漂白剤の溶離を最小限にして、患者による摂取及び/又は口腔組織の刺激を最小限にするため、裏当て材(例えば、独立気泡プラスチック裏当て材)を含む。別の実施形態において、軟質発泡体トレーは非多孔性の可撓性ポリマーにより収容される。別の実施形態において、連続気泡発泡体は歯科用器具の前部内壁に取り付けられ、及び/又は連続気泡発泡体は歯科用器具の後部内壁に取り付けられる。
【0084】
当業者は、本発明の組成物が発泡体の連続気泡構造の間から単純に流れ出さないほど濃くなければならず、連続気泡発泡体の間、時間をかけてゆっくりと通るほど薄くなければならないことを容易に認識且つ理解するであろう。換言すれば、連続気泡発泡体材料は、組成物を吸収し組成物がその中を通過するのを可能にするため、組成物の粘度に関連した大きさの内部構造の空隙部を有する。
【0085】
独立気泡材料の例は、マサチューセッツ州ローレンス(Lawrence)のセキスイ・アメリカ社(Sekisui America Corporation)のボルテック(Voltek)部門により商標名ボロラ(Volora)で販売されている独立気泡ポリオレフィン発泡体であり、厚さは、0.8mm〜3mm(1/32”〜1/8”)である。独立気泡材料は、また、可撓性高分子材料から構成されていてもよい。
【0086】
連続気泡材料の例は、マサチューセッツ州ハイアニス(Hyannis)のパッケージング・インダストリーズ・グループ社(Packaging Industries Group,Inc.)のセンチネル・フォーム・プロダクツ(Sentinel Foam Products)部門により商標名オプセル(Opcell)で販売されている連続気泡ポリエチレン発泡体であり、厚さは、1.6mm〜9.5mm(1/16”〜3/8”)である。本明細書で有用な他の連続気泡発泡体には、ヒドロゲルポリマー類(例えば、ニュージャージー州(J.J.)ブランチバーグ(Branchburg)のハイドロマー社(Hydromer,Inc.)より入手可能なメディセル(Medicell)(商標)フォーム)のような親水性連続発泡体材料が挙げられる。連続気泡発泡体は、また、種々の剤を化学的に吸収したポリウレタン又はポリビニルピロリドンのような、流体類の高度な吸収を付与するために剤を吸収した親水性連続発泡体材料であってもよい。
【0087】
上記の種類の器具は、米国特許第5,980,249号(M.G.フォンテノット(M.G.Fontenot))、及び米国特許第5,575,654号(M.G.フォンテノット)で更に記載されている。
【0088】
上記の歯科用器具類は、使い捨て又は再使用可能であるように設計されてもよい。更なる歯科用トレー類は、米国特許第6,368,576号(スティーブン D.ジェンセン(Steven D.Jensen)、2002年4月9日発行)、米国特許第6,309,625号(ジェンセンら、2001年10月30日発行)、米国特許第6,183,251号(ダン E.フィッシャー(Dan E.Fischer)、2001年2月6日発行)、米国特許第6,036,943号(ダン E.フィッシャー、2000年3月14日発行)、米国特許第5,985,249号(ダン E.フィッシャー、1999年11月16日発行)、米国特許第5,846,058号(ダン E.フィッシャー、1998年12月8日発行)、米国特許第6,382,979号(シェリル F.リンドクイスト(Sherrill F.Lindquist)、2002年5月7日発行)、米国特許第5,098,303号(フィッシャー、1992年3月24日発行)、及び米国特許第5,855,870号(ダン E.フィッシャー、1999年1月5日発行)で開示されている。
【0089】
(任意の口腔ケア活性剤)
本発明は、任意に、抗結石剤、フッ化物イオン源、抗菌剤、象牙質減感剤、麻酔剤、抗真菌剤、抗炎症剤、選択的H−2拮抗物質、抗カリエス剤、栄養素、及びこれらの混合物から成る群から選択される、安全且つ有効な量の口腔ケア活性剤を含む。口腔ケア活性剤は、好ましくは、指導された使用の際にその活性剤が適用される口腔表面を損なうことなく着用者によって求められる利益が促進される濃度で活性物質を含有する。これらの活性物質が対処する口腔状態の例には、歯の外観及び構造の変化、白化、染みの漂白、染みの除去、歯垢除去、歯石除去、虫歯の予防及び治療、炎症を起こした及び/又は出血した歯肉、粘膜の損傷、病変、潰瘍、アフター性潰瘍、ヘルペス、歯の膿瘍、及び上記の状態及び微生物の増殖のようなその他の原因の結果として生じる口臭の除去が挙げられるが、それらには限定されない。
【0090】
適した口腔ケア活性物質には、一般に口腔内での使用が安全であると考えられ、口腔の全体的な外観及び/又は健康に変化を与える、あらゆる物質が挙げられる。本発明の組成物中の口腔ケア物質の濃度は、一般に、特に指定しない限り、組成物の約0.01重量%〜約50重量%、好ましくは約0.1重量%〜約20重量%、より好ましくは約0.5重量%〜約10重量%、さらにより好ましくは約1重量%〜約7重量%である。
【0091】
本発明の口腔ケア組成物又は物質には、当該技術分野において以前に開示されている多くの活性物質を挙げてもよい。以下は、本発明において使用されてもよい口腔ケア活性物質の非限定リストである。
【0092】
(抗カリエス剤及びフッ化物イオン源)
本発明の組成物は、安全且つ有効な量の抗カリエス剤、及びこの混合物を含んでいてもよい。一つの実施形態において、抗カリエス剤は、キシリトール、フッ化物イオン源及びこれらの混合物から成る群から選択される。フッ化物イオン源は、組成物の使用の際に遊離フッ化物イオンを提供する。一つの実施形態において、口腔ケア活性剤は、フッ化ナトリウム、フッ化第1スズ、フッ化インジウム、アミンフッ化物のような有機フッ化物及びモノフルオロリン酸ナトリウムから成る群から選択される、フッ化物イオン源である。フッ化ナトリウムは、別の実施形態ではフッ化物イオンである。米国特許第2,946,725号(ノリス(Norris)ら、1960年7月26日発行)及び米国特許第3,678,154号(ウィダー(Widder)ら、1972年7月18日発行)は、このようなフッ化物塩類、並びにフッ化物イオン源として使用できるその他のものを開示している。これらの特許は、参照としてその全体が本明細書に組み込まれる。
【0093】
好ましくは、本発明の組成物は、本発明のデリバリーシステムにより使用される時、歯の表面と接触する組成物中、約50ppm〜10,000ppm、より好ましくは約100〜3000ppmのフッ化物イオンを提供する。
【0094】
(抗結石剤)
本発明の組成物は、安全且つ有効な量の少なくとも1つの抗結石剤を含んでもよい。この量は、一般に、組成物の約0.01重量%〜約40重量%、別の実施形態では約0.1重量%〜約25重量%、さらに別の実施形態では約4.5重量%〜約20重量%、さらに別の実施形態では組成物の約5重量%〜約15重量%である。抗結石剤は、また、組成物のその他の成分と本質的に適合性であるべきである。
【0095】
抗結石剤は、ポリホスフェート類及びそれらの塩類、ポリアミノプロパンスルホン酸(AMPS)及びそれらの塩類、ポリオレフィンスルホネート類及びそれらの塩類、ポリビニルホスフェート類及びそれらの塩類、ポリオレフィンホスフェート類及びそれらの塩類、ジホスホネート類及びそれらの塩類、ホスホノアルカンカルボン酸及びそれらの塩類、ポリホスホネート類及びそれらの塩類、ポリビニルホスホネート類及びそれらの塩類、ポリオレフィンホスホネート類及びそれらの塩類、ポリペプチド類、並びにこれらの混合物から成る群より選択される。一つの実施形態において、塩類はアルカリ金属塩類である。別の実施形態において、抗結石剤は、ポリホスフェート類及びそれらの塩類、ジホスホネート類及びそれらの塩類、並びにこれらの混合物から成る群から選択される。別の実施形態において、抗結石剤は、ピロホスフェート、ポリホスフェート及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0096】
(ポリホスフェート)
本発明の一つの実施形態において、抗結石剤はポリホスフェートである。ポリホスフェートには、幾つかの環状誘導体が存在する可能性もあるが、主に線状構造に配置された1つ以上のホスフェート分子から成ると一般に理解されている。線状ポリホスフェート類は、(XPOに相当し、式中、nは約2〜約125であり、好ましくはnは4よりも大きく、Xは、例えばナトリウム、カリウムなどである。(XPOについては、nが少なくとも3である場合、そのポリホスフェート類は性質がガラス質である。これらのホスフェート類の対イオンは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、C〜Cアルカノールアンモニウム及び塩の混合物であってもよい。ポリホスフェート類は、一般に、カリウム塩類、ナトリウム塩類、アンモニウム塩類、及びこれらの混合物のような、全体的に又は部分的に中和されたそれらの水溶性アルカリ金属塩類として使用される。無機ポリホスフェート塩類には、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)トリポリホスフェート、テトラポリホスフェート、二酸ジアルキル金属(例えば、二ナトリウム)、一酸トリアルキル金属(例えば、三ナトリウム)、リン酸水素カリウム、リン酸水素ナトリウム、及びアルカリ金属(例えば、ナトリウム)ヘキサメタホスフェート、並びにこれらの混合物が挙げられる。テトラポリホスフェートよりも大きいポリホスフェート類は、普通は非晶性ガラス状物質として生じる。一つの実施形態において、ポリホスフェート類は、FMC社(FMC Corporation)で製造され、ソダフォス(Sodaphos)(n≒6)、ヘキサフォス(Hexaphos)(n≒13)、及びグラスH(Glass H)(n≒21)として商業上知られているもの、及びこれらの混合物である。本発明の組成物は、典型的には、組成物の約0.5重量%〜約20重量%、一つの実施形態では約4重量%〜約15重量%、さらに別の実施形態では約6重量%〜約12重量%のポリホスフェートを含む。
【0097】
ホスフェート源は、カーク及びオスマー(Kirk & Othmer)の工業化学百科事典(Encyclopedia of Chemical Technology)、第4版、18巻、ワイリー−インターサイエンス・パブリッシャーズ(Wiley-Interscience Publishers)(1996年)、685頁〜707頁でより詳細に記載されており、カーク及びオスマー(Kirk & Othmer)で組み込まれている全ての参考文献を含めてその全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0098】
一つの実施形態において、ポリホスフェート類は下記式を有する線状「ガラス状」ポリポスフェート類(polyposphates)であり、
XO(XPO
式中、Xはナトリウム又はカリウムであり、nの平均は約6〜約125である。
【0099】
一つの実施形態において、上記のポリホスフェートの式のいずれかにおいてnが少なくとも2である場合、抗結石剤の濃度は、組成物の約4.5重量%〜約40重量%、別の実施形態では約5重量%〜約25重量%、さらに別の実施形態では約8重量%〜約15重量%である。ポリホスフェート類は、米国特許第4,913,895号で開示されており、参照として本明細書に組み込まれる。
【0100】
(ピロホスフェート)
本発明の組成物に有用なピロホスフェート塩類には、アルカリ金属ピロホスフェート類、ジ−、トリ−、及びモノ−カリウム又はナトリウムピロホスフェート、ジアルカリ金属ピロホスフェート塩類、テトラアルカリ金属ピロホスフェート塩類、並びにこれらの混合物が挙げられる。一つの実施形態において、ピロホスフェート塩は、ピロリン酸三ナトリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム(Na)、ピロリン酸二カリウム、ピロリン酸四ナトリウム(Na)、ピロリン酸四カリウム(K)及びこれらの混合物から成る群から選択される。ピロホスフェート塩類は、米国特許第4,515,772号、1985年5月7日発行)、及び米国特許第4,885,155号、1989年12月5日発行)(両方ともパラン(Parran)ら)で記載されており、これらは、その全体が、並びにそれらに開示されている引用文献も参照として本明細書に組み込まれる。ピロホスフェート塩類は、カーク及びオスマー(Kirk & Othmer)の工業化学百科事典(Encyclopedia of Chemical Technology)、第3版、17巻、ワイリー−インターサイエンス・パブリッシャーズ(Wiley-Interscience Publishers)(1982年)、685頁〜707頁でより詳細に記載されており、カーク及びオスマー(Kirk & Othmer)で引用されている全ての参考文献を含めてその全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0101】
一つの実施形態において、本発明の組成物は、ピロリン酸四ナトリウムを含む。ピロリン酸四ナトリウムは、無水塩の形態若しくは十水和物の形態、又は本発明の組成物において固体形態で安定な他のあらゆる種であってもよい。塩はその固体粒子状形態であり、その結晶性及び/又は非晶性状態であってもよく、その塩の粒径は、好ましくは、審美的に受け入れられるように、そして使用時に容易に溶解するように十分に小さい。
【0102】
本発明の組成物におけるピロホスフェート塩の濃度は、あらゆる安全且つ有効な量であり、一般に組成物の約1.5重量%〜約15重量%、別の実施形態では約2重量%〜約10重量%、さらに別の実施形態では約3重量%〜約8重量%である。
【0103】
(その他の抗結石剤)
ポリオレフィンスルホネート類には、オレフィン基が2個以上の炭素原子を含有するもの及びそれらの塩が挙げられる。ポリオレフィンホスホネート類には、オレフィン基が2個以上の炭素原子を含有するものが挙げられる。ポリビニルホスホネート類には、ポリビニルホスホン酸が挙げられる。ジホスホネート類及びそれらの塩には、アゾシクロアルカン−2,2−ジホスホン酸類及びそれらの塩、アゾシクロアルカン−2,2−ジホスホン酸類のイオン及びそれらの塩(アルカン部分が5個、6個又は7個の炭素原子を有し、窒素原子が非置換であるか、又は低級アルキル置換基、例えばメチルを有するもの)、アザシクロヘキサン−2,2−ジホスホン酸、アザシクロペンタン−2,2−ジホスホン酸、N−メチル−アザシクロペンタン−2,3−ジホスホン酸、EHDP(エタンヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸)、AHP(アザシクロヘプタン−2,2−ジホスホン酸、別名1−アゾシクロヘプチリデン−2,2−ジホスホン酸)、エタン−1−アミノ−1,1−ジホスホネート、ジクロロメタン−ジホスホネートなどが挙げられる。ホスホノアルカンカルボン酸又はそのアルカリ金属塩類には、それぞれ酸又はアルカリ金属塩類として、PPTA(ホスホノプロパントリカルボン酸)、PBTA(ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸)が挙げられる。ポリオレフィンホスフェート類には、オレフィン基が2個以上の炭素原子を含有するものが挙げられる。ポリペプチド類には、ポリアスパラギン酸及びポリグルタミン酸が挙げられる。
【0104】
アザシクロアルカン−2,2−ジホスホン酸類は、米国特許第3,941,772号(プロジャー(Ploger)ら、1976年3月2日発行、ヘンケル社(Henkel)に譲渡)及び米国特許第3,988,443号(プロジャーら、1976年10月26日発行)で開示されており、これらは、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0105】
ピロホスフェート塩に代えて、又はピロホスフェート塩と組み合わせて使用される任意の剤には、ポリアクリレート類、及び無水マレイン酸又はマレイン酸とメチルビニルエーテル(例えばガントレツ(Gantrez))とのコポリマー類を含む、例えば米国特許第4,627,977号(ガファー(Gaffar)ら)で記載されているような合成アニオン性ポリマー類として知られる材料(この開示はその全体が参照として本明細書に組み込まれる)、並びに、例えばポリアミノプロポアンスルホン酸(polyamino propoane sulfonic acid)(AMPS)、クエン酸亜鉛三水和物、ポリホスフェート類(例えば、トリポリホスフェート、ヘキサメタホスフェート)、ジホスホネート類(例えば、EHDP、AHP)、ポリペプチド類(例えば、ポリアスパラギン酸及びポリグルタミン酸)及びこれらの混合物が挙げられる。
【0106】
(抗菌剤)
抗菌性坑歯垢剤もまた任意に本発明の組成物に存在してもよい。そのような剤には、トリクロサン、メルクインデックス(Merck Index)、第11版(1989年)、1529頁(項目番号9573)、米国特許第3,506,720号、及び欧州特許出願第0,251,591号(ビーカム(Beecham)グループ、PLC、1988年1月7日公開)に記載の5−クロロ−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)−フェノール、クロルヘキシジン(メルクインデックス、番号2090)、アレキシジン(メルクインデックス、番号222)、ヘキセチジン(メルクインデックス、番号4624)、サンギナリン(メルクインデックス、番号8320)、塩化ベンザルコニウム(メルクインデックス、番号1066)、サリチルアニリド(メルクインデックス、番号8299)、臭化ドミフェン(メルクインデックス、番号3411)、塩化セチルピリジニウム(CPC)(メルクインデックス、番号2024)、塩化テトラデシルピリジニウム(TPC)、N−テトラデシル−4−エチルピリジニウムクロリド(TDEPC)、オクテニジン、デルモピノール、オクタピノール及びその他のピペリジノ誘導体類、効果的な抗菌量の精油類及びそれらの組み合わせ、例えば、シトラール、ゲラニアール、及びメントールとユーカリプトールとチモールとサリチル酸メチルとの組み合わせ、抗菌性金属類及びそれらの塩類、例えば、亜鉛イオン類、スズイオン類、銅イオン類、及び/又はこれらの混合物を与えるもの、ビスビグアニド類又はフェノール樹脂類、オーグメンチン、アモキシシリン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン及びメトロニダゾールのような抗生物質類、並びに上記の抗菌性抗歯垢剤の類似体類及び塩類、カンジダアルビカンスの治療のためのもののような抗真菌剤を挙げてもよいが、それらには限定されない。存在する場合、これらの剤は、一般に、安全且つ有効な量、例えば本発明の組成物の約0.1重量%〜約5重量%で存在する。
【0107】
(抗炎症剤)
抗炎症剤もまた本発明の口腔用組成物中に存在してもよい。このような剤には、アスピリン、ケトロラク、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン、アスピリン、ケトプロフェン、ピロキシカム及びメクロフェナム酸、COX−2阻害剤、例えばバルデコキシブ、セロコキシブ及びロフェコキシブ、並びにこれらの混合物のような非ステロイド性抗炎症剤を挙げてもよいが、それらには限定されない。存在する場合、抗炎症剤は、一般に本発明の組成物の約0.001重量%〜約5重量%含む。ケトロラクは、米国特許第5,626,838号(1997年5月6日発行)で記載されており、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0108】
(H−2拮抗物質)
本発明は、また、安全且つ有効な量の選択的H−2拮抗物質包含してもよい。選択的H−2拮抗物質には、米国特許第5,294,433号及び同第5,364,616号(シンガー(Singer)ら、それぞれ1994年3月15日及び1994年11月15日に発行、プロクター・アンド・ギャンブル(Procter & Gamble)に譲渡)で開示されている化合物が挙げられ、ここで選択的H−2拮抗物質は、シメチジン、エチンチジン、ラニチジン、ICIA−5165、チオチジン、ORF−17578、ルピチジン(lupitidine)、ドネチジン(donetidine)、ファモチジン、ロキサチジン、ピファチジン(pifatidine)、ラミチジン(lamtidine)、BL−6548、BMY−25271、ザルチジン(zaltidine)、ニザチジン、ミフェンチジン、BMY−25368(SKF−94482)、BL−6341A、ICI−162846、ラミキソチジン(ramixotidine)、Wy−45727、SR−58042、BMY−25405、ロキシチジン(loxtidine)、DA−4634、ビスフェンチジン(bisfentidine)、スフォチジン(sufotidine)、エブロチジン(ebrotidine)、HE−30−256、D−16637、FRG−8813、FRG−8701、イムプロミジン、L−643728、及びHB−408からなる群から選択される。シメチジン(SKFー92334)、N−シアノ−N’−メチル−N”−(2−(((5−メチル−1H−イミダゾールー4−イル)メチル)チオ)エチル)グアニジンが特に好ましい:
【化1】

【0109】
シメチジンもまたメルクインデックス(Merck Index)、第11版(1989年)、354頁(項目番号2279)及び医師のデスクリファレンス(Physicians’ Desk Reference)、第46版(1992年)、2228頁で開示されている。関連の好ましいH−2拮抗物質には、ブリマミド及びメチアミド(metiamide)が挙げられる。
【0110】
(栄養素)
栄養素は、口腔の状態を改善させる可能性があり、本発明の口腔ケア組成物又は物質に含まれることができる。栄養素には、ミネラル類、ビタミン類、経口栄養補給剤、経腸栄養補給剤、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0111】
本発明の組成物と共に含まれることができるミネラル類には、カルシウム、リン、フッ化物、亜鉛、マンガン、カリウム及びこれらの混合物が挙げられる。これらのミネラル類は、薬物の実際と比較(Drug Facts and Comparisons)(ルーズリーフ式薬物情報サービス(loose leaf drug information service))、ウォルターズ・クリューアー社(Wolters Kluer Company)、ミズーリ州セントルイス、(版権)1997年、10頁〜17頁で開示されている。
【0112】
ビタミン類は、ミネラル類と共に含まれることができるか又は別個に使用されることができる。ビタミン類には、ビタミンC及びD、チアミン、リボフラビン、パントテン酸カルシウム、ナイアシン、葉酸、ニコチンアミド、ピリドキシン、シアノコバラミン、パラ−アミノ安息香酸、ビオフラボノイド類、及びこれらの混合物が挙げられる。そのようなビタミン類は、薬物の実際と比較(Drug Facts and Comparisons)(ルーズリーフ式薬物情報サービス(loose leaf drug information service))、ウォルターズ・クリューアー社(Wolters Kluer Company)、ミズーリ州セントルイス、(版権)1997年、3頁〜10頁で開示されている。
【0113】
経口栄養補助剤には、薬物の実際と比較(Drug Facts and Comparisons)(ルーズリーフ式薬物情報サービス(loose leaf drug information service))、ウォルターズ・クリューアー社(Wolters Kluer Company)、ミズーリ州セントルイス、(版権)1997年、54頁〜54e頁で開示されているような、アミノ酸類、脂肪親和物質、魚油、及びこれらの混合物が挙げられる。アミノ酸類には、L−トリプトファン、L−リシン、メチオニン、スレオニン、レボカルニチン又はL−カルニチン及びこれらの混合物が挙げられるが、それらには限定されない。脂肪親和物質には、コリン、イノシトール、ベタイン、リノール酸、リノレン酸、及びこれらの混合物が挙げられるが、それらには限定されない。魚油は、大量のオメガ3(N−3)多不飽和脂肪酸類、エイコサペンタエン酸及びドコサヘキサエン酸を含有する。
【0114】
本発明の口腔ケア組成物又は物質に含まれてもよい酸化防止剤には、ビタミンE、アスコルビン酸、尿酸、カロテノイド類、ビタミンA、フラボノイド類及びポリフェノール類、薬草系酸化防止剤類、メラトニン、アミノインドール類、リポ酸類及びこれらの混合物が挙げられるが、それらには限定されない。
【0115】
経腸栄養補給剤には、薬物の実際と比較(Drug Facts and Comparisons)(ルーズリーフ式薬物情報サービス(loose leaf drug information service))、ウォルターズ・クリューアー社(Wolters Kluer Company)、ミズーリ州セントルイス、(版権)1997年、55頁〜57頁で開示されるような、タンパク質製品類、グルコースポリマー類、トウモロコシ油、ベニバナ油、中鎖トリグリセリド類が挙げられるが、それらには限定されない。
【0116】
(減感剤)
抗疼痛(anti-pain agent)又は減感剤も本発明の口腔ケア組成物又は物質中に存在できる。そのような剤には、塩化ストロンチウム、硝酸カリウム、天然ハーブ類、例えば没食子、アサルム、クベビン、ガランガ、スクテラリア、両面針、白止などを挙げてもよいが、それらには限定されない。
【0117】
(任意の着色剤)
染料、顔料、着色剤、及びこれらの混合物が、本明細書の組成物に着色された外観を与えるため、任意に本発明の組成物に含まれてもよい。顔料及び/又は着色剤を本明細書の組成物加える利点は、そのことが、ユーザーに組成物がユーザーの歯を均一且つ完全に覆っているかを見えるようにすることであり、それは覆いが着色されている組成物によってより見やすいからである。一つの実施形態において、着色剤は、天然歯の色と同様の色を提供する。本明細書で有用な着色剤は、漂白剤と安定しており、安全であると認識されているものである。
【0118】
本明細書で任意に使用される染料、顔料及び着色剤の濃度は、組成物の約0.05重量%〜約20重量%、別の実施形態では、約0.10重量%〜約15重量%、別の実施形態では、約0.25重量%〜約5重量%の範囲である。
【0119】
(組成物の製造方法)
ストリップのような一体型キャリアは、当該技術分野において既知の幾つかの膜製造プロセスにより形成されてもよい。一つの実施形態において、ポリエチレンのストリップは、吹込法又は流延法により製造される。押出成形又はストリップ材料の曲げ剛性に影響を及ぼさないプロセスを包含する他のプロセスも実行可能である。加えて、第2層組成物は、ストリップのプロセスの際にストリップ上に組み込まれてもよい。第2層組成物は、ストリップ上に積層されてもよい。
【0120】
(組成物の使用方法)
本発明は、歯科専門家により歯科医院において消費者の歯に適用できるか、又は消費者により家庭で使用できる。
【0121】
本発明を実施する際に、ユーザーは、本明細書の組成物又はデリバリーシステムを1本以上の歯に適用する。組成物は、塗布デバイス、シリンジ又は1回用量シリンジ、スクィーズチューブ、ブラシ、ペン又は刷毛先塗布機、シカ足塗布機など、さらには指により適用できる。組成物は、また、ストリップ材料、歯科用トレー、及び/又はスポンジ材料のような一体型キャリアと組み合わされることができ、その後、歯に適用できる。一つの実施形態において、本明細書のデリバリーシステムは、歯に適用された時、ほとんど気づかれない。
【0122】
次にあらゆる残留組成物は、所望の時間が過ぎた後でぬぐう、磨く若しくは口腔表面をすすぐことによるか、又は通常の歯磨き又は他の口腔ケア活動で容易に取り除かれる可能性がある。
【0123】
本発明の組成物又はデリバリーシステムは、適用する前に歯を整える必要がない。例えば、ユーザーは、本発明を適用する前に歯を磨くか又は口をすすぐことを選択してもよく、又はしなくてもよい。口腔の表面は、適用の前に、乾燥する必要も、唾液又は水で過剰に濡らす必要もない。しかし歯のエナメル質の表面への接着は、歯が適用の前に乾燥している場合は向上すると考えられる。
【0124】
一体型キャリアがストリップ材料である場合、第2層組成物は、ストリップ材料上にコーティングされていてもよいか、又はユーザーによりストリップ材料の上に適用されてもよいか、又はユーザーにより歯に適用され、次にストリップ材料が、コーティングされた歯を覆って置かれてもよい。ストリップ材料又は歯に適用される第2層組成物の量は、ストリップ材料の大きさ及び許容量、漂白剤の濃度及び所望の利益に左右される可能性がある。一般に1g未満の濃度が必要であり、一つの実施形態では、約0.001g〜約0.0001g、別の実施形態では、約0.1g〜約0.4gの組成物が使用される。材料の1平方センチメートル(cm)当たりの組成物の量は、約1g/cm未満、別の実施形態では、約0.2g/cm未満、別の実施形態では、約0.0001g/cm〜約0.1g/cm、さらに別の実施形態では、約0.01g/cm〜約0.04g/cmである。
【0125】
本発明の組成物は、粘性液体、ペースト、ゲル、溶液の形態又は他の適した形態であってもよい。一つの実施形態において、組成物は、低剪断速度(1 1/秒未満)で約0.2〜約1000Pa・s(約200〜約1,000,000cps)の粘度を有する。別の実施形態において、粘度は、約100〜約800Pa・s(約100,000〜約800,000cps)、別の実施形態では、約400〜約600Pa・s(約400,000〜約600,000cps)である。
【0126】
一つの実施形態において、組成物は、非歯磨剤で非発泡の白化組成物、例えば白化ゲルであり、ここで白化組成物は、例えば、本質的に発泡界面活性剤を含まないか、又は本質的にフッ化物イオン源を含まないことができる。
【0127】
本発明はまた適用頻度の低減を可能にしてもよい。例えば、一般的に1日2回、30分間で2週間使用される(合計適用時間14時間の)組成物を含有する6%過酸化物は、同じ濃度の過酸化物であるが、本発明に従って使用され、合計適用時間が6〜10時間に低減される過酸化物を投与するのと実質的に同一の白化効能を示す可能性がある。例えば、本発明に従って使用される時、同じ濃度の漂白剤は、1日30分間の適用を14日間、又は1日2回30分間の適用を7〜10日間用いて、同一又は同様の効能を達成する可能性がある。
【0128】
歯科用トレー器具は、下記のように使用されてもよい。患者又は歯科専門家は本発明の組成物を軟質又は剛性歯科用器具に分配し、次に対象者は器具を対象者の歯列弓を覆って置く(又はデバイスを彼/彼女の歯の周りに適合してトレーを所定の位置に保持する)。一般に、推奨される処置期間は、上記で考察されたものと同一である。処置期間の終了時に、歯科器具は取り外され、あらゆる残留組成物を除去するために水で洗浄され、次いで次の適用まで保管される。
【0129】
上記で記載された組成物及びデリバリーシステムは、1.組成物及び2.使用説明書を含むキットと、又は1.組成物、2.使用説明書、及び3.一体型キャリアを含むキットと組み合わされてもよい。
【0130】
本発明の組成物は、ヒトと他の動物(例えば、ペット、動物園の動物又は家畜)の両方への適用が有用である。
【実施例】
【0131】
以下の非限定的な実施例は、本発明の範囲内の好ましい実施形態を更に説明する。本発明の範囲から逸脱することなく、これらの実施例の多くの変形が可能である。
【0132】
(実施例I)
漂白剤を含有する下記組成物が以下で記載されるプロセス技術で製造される。
【表1】

BFグッドリッチ(BF Goodrich)より入手可能。
【表2】

BFグッドリッチ(BF Goodrich)より入手可能。
BFグッドリッチ(BF Goodrich)より入手可能。
BFグッドリッチ(BF Goodrich)より入手可能。
【表3】

BFグッドリッチ(BF Goodrich)より入手可能。
BFグッドリッチ(BF Goodrich)より入手可能。
【0133】
実施例1〜8は、下記のプロセスで作製される。カーボポール(Carbopol)又はペムレン(Pemulen)、グリセリン、水、ピロリン酸、サッカリン、スズ酸及び過酸化水素が、16ラド/秒(150rpm)で15〜20分間、室温で一緒に混合される。次に得られる混合物のpHが、50/50水酸化ナトリウム溶液を加えることにより約4.5〜5.0に調整される。次に所望の量の半分のポリエチレンが上記の混合物と、16ラド/秒(150rpm)で約10分間、室温で混合される。次に残った半分のポリエチレンが添加され、16ラド/秒(150rpm)で更に10分間、室温で混合されて、最終ゲル製剤を得る。
【0134】
約0.1〜0.2gの上記組成物が、本明細書で開示されたあらゆる適用方法により歯に直接適用されてもよい。あるいは、上記の組成物は、ストリップ材料又はトレーのような一体型キャリアと組み合わされてもよく、次に歯に適用されてもよい。約0.1〜0.2g又は約1〜3gの上記組成物は、それぞれストリップ材料又はトレーと組み合わされてもよい。ストリップ材料の一例は、0.013mm厚のポリエチレンフィルム片である。ストリップ材料には、典型的には0.4mm幅及び0.1mm深さの浅いポケットの配列が備わっていてもよい。ストリップ材料は、ペンシルベニア州フィラデルフィアのスイング・アルバート・インスツルメント社(Thwing-Albert Instrument Company)より入手可能なハンドル−O−メータ(Handle-O-Meter)、モデル#211−300で試験方法ASTM D2923−95によって測定される場合、約0.6グラム/センチメートルの曲げ剛性を有する。
【0135】
上記で記載された組成物のいずれも、本明細書で記載された一体型キャリア、例えば、ストリップ材料、トレー及び/又は発泡材料のいずれかとともに使用できる。上記の実施例のいずれにおいても、ポリエチレンは白色又は天然歯の色であることができ、ユーザーが歯により均一且つ連続的に適用することを可能にする。上記の実施例は、約0.5〜約4の白色指数を有する。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】丸みのある角を有する実質的に平らなストリップ材料の斜視図。
【図2】本明細書で記載された組成物を含む第2層組成物がストリップ上にあり、漂白剤が一体型キャリア及び/又は本発明の組成物と放出可能に関連している図1のストリップを開示する、本発明の一つの実施形態の斜視図。
【図3】ストリップ材料上にコーティングされた第2層よりも薄い厚さを有するストリップ材料の例を示す、図2の断面線3−3に沿って取られた断面図。
【図4】ストリップ上にコーティングされる追加量の第2層のリザーバとして作用する、ストリップ材料における浅いポケットを示す、本発明の代替的な実施形態を示す断面図。
【図5】隣接する歯に適合し、歯とストリップ材料との間に位置する第2層組成物によって歯に接着的に取り付けられた、本発明のストリップ材料を有する第2層組成物を隣接する歯に適用する代替的な実施形態を示す断面平面図。
【図6】歯に適合し、歯とストリップ材料との間に位置する第2層組成物によって歯に接着的に取り付けられた、本発明のストリップ材料を示す、図5の断面線6−6に沿って取られた歯の横断立面図。
【図7】歯及び隣接する軟組織に適合し、歯とストリップ材料との間に位置する第2層組成物によって歯の両側に接着的に取り付けられた、本発明のストリップ材料を示す、図5に類似した断面平面図。
【図8】歯及び隣接する軟組織の両方に適合し、歯とストリップ材料との間に位置する第2層組成物によって歯の両側に接着的に取り付けられた、本発明のストリップ材料を示す、図7の断面線8−8に沿って取られた横断立面図。
【図9】歯及び隣接する軟組織を処置するための、剥離ライナーを有する図2の第2層組成物でコーティングされたストリップ材料を開示する、本発明の代替的な実施形態の斜視図。
【図10】ストリップ材料上の第2層組成物によってストリップ材料に取り付けられた剥離ライナーを示す、図9の断面線10−10に沿って取られた本発明の代替的な実施形態の断面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
安全且つ有効な量の組成物を複数個の歯に適用することにより、必要性のある対象者の歯を白化する方法であって、前記組成物が、
a.安全且つ有効な量の漂白剤、
b.安全且つ有効な量の非水溶性固相、
c.安全且つ有効な量の水溶性液相、
を含み、
前記非水溶性固相と前記水溶性液相の比率が、1:4〜4:1であり、前記組成物が白化を達成するために十分な時間適用され、前記組成物が0.5〜4の白化指数を有する、方法。
【請求項2】
前記水溶性液相が、水と水混和性成分の混合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記白化指数が、1.3〜3.5である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
水性口腔ケア組成物中の漂白剤の効能を増加する方法であって、
1,a.安全且つ有効な量の漂白剤、
b.安全且つ有効な量の非水溶性固相、
c.安全且つ有効な量の水溶性液相、
を含む組成物を組み合わせること、及び、
2.前記非水溶性固相と前記水溶性液相の比率を約1:4〜約4:1に調整すること、
3.その後、安全且つ有効な量の前記組成物を必要性のある対象者の複数個の歯に白化を達成するために十分な時間適用すること、
を含む、方法。
【請求項5】
口腔ケア組成物であって、
a.安全且つ有効な量の漂白剤、
b.安全且つ有効な量の非水溶性固相、
c.安全且つ有効な量の水溶性液相、及び
d.安全且つ有効な量の関連する増粘剤、好ましくはアクリレート/C10〜C30アルキルアクリレートクロスポリマー
を含み、
前記非水溶性固相と前記水溶性液相の比率が、1:4〜4:1である、口腔ケア組成物。
【請求項6】
口腔ケア組成物であって、
a.安全且つ有効な量の漂白剤、
b.安全且つ有効な量の非水溶性固相、
c.安全且つ有効な量の水溶性液相、
を含み
前記非水溶性固相と前記水溶性液相の比率が、約1:4〜約4:1であり、前記非水溶性固相が約5重量%未満のリン酸二カルシウム二水和物、無水リン酸二カルシウム、及びピロリン酸カルシウムを含む、口腔ケア組成物。
【請求項7】
前記非水溶性固相が、ポリオレフィン類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン類、ポリエステル、シリカ類、タルク、雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、ナイロンパウダー、メタクリレートパウダー、ポリスチレンパウダー、シルクパウダー、結晶性セルロース、雲母チタン及びこれらの混合物から成る群から選択され、好ましくは前記非水溶性固相が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン類、これらのコポリマー類及びこれらの混合物から成る群から選択され、より好ましくはポリエチレンである、請求項1、4、5又は6のいずれか一項に記載の組成物又は方法。
【請求項8】
前記組成物が、0.1重量%〜20重量%の漂白剤を含み、前記漂白剤が、過酸化物類、金属亜塩素酸塩類、過ホウ酸塩類、過炭酸塩類、ペルオキシ酸類、過硫酸塩類及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1、4、5又は6のいずれか一項に記載の組成物又は方法。
【請求項9】
前記組成物が、20重量%〜80重量%、好ましくは45重量%〜65重量%の前記水溶性液相を有する、請求項1、4、5又は6のいずれか一項に記載の組成物又は方法。
【請求項10】
前記比率が、1:1.5〜1.5:1、好ましくは1:1.25〜1.25:1である、請求項1、4、5又は6のいずれか一項に記載の組成物又は方法。
【請求項11】
前記組成物が、45重量%〜60重量%の前記非水溶性固相を含む、請求項1、4、5又は6のいずれか一項に記載の組成物又は方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−513979(P2007−513979A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544142(P2006−544142)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/042974
【国際公開番号】WO2005/058268
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】