漏れ検査装置
【課題】被検査部周辺からの直接伝播がない超音波を利用した漏れ検査装置を低コストで提供することを目的とする。
【解決手段】漏れ検査装置の超音波発信機1は、被検査部であるシール部33に並行するように形成された管12を備える。管内には空気が供給され、管壁には管内の空気を噴出するともに超音波を発生する多数の微細な孔である照射口13がシール部33に沿って対面するように形成される。照射口13を超音波発信源として利用し、シール部33に近接した位置から超音波をシール部33に向けて照射する。
【解決手段】漏れ検査装置の超音波発信機1は、被検査部であるシール部33に並行するように形成された管12を備える。管内には空気が供給され、管壁には管内の空気を噴出するともに超音波を発生する多数の微細な孔である照射口13がシール部33に沿って対面するように形成される。照射口13を超音波発信源として利用し、シール部33に近接した位置から超音波をシール部33に向けて照射する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を利用した漏れ検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、シール部や容器からの漏れを検出する方法として、超音波を用いる方法が知られている。これは、被検査部を挟んで1対の超音波発信機と超音波受信機とを配置し、超音波発信機から非被検査部に照射された超音波が被検査部の漏れ部から漏れて超音波受信機で検出されることで、被検査部の漏れ部があると分かるものである(例えば特許文献1及び特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平04−204340号公報(第282頁 第4図)
【特許文献2】特開2001−194259号公報(第3頁 第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1個の超音波発信機で被検査部の検査領域全域をカバーする場合、超音波発信機を高出力とする必要がある。出力は超音波発信機の超音波の強度を上げることで行われるが、超音波の強度を上げると、被検査部やその周辺の部材が薄い場合はそれらを透過して超音波が直接に伝播して超音波受信機に達するため、より正確な測定が困難になる。
このような直接伝播対策として、低出力の超音波発信機を複数個用いる方法もあるが、通常使用されている、電気入力を超音波に変換する圧電材料を超音波発信源として利用した超音波発信機は高価なので、コスト高となる。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解消するために成されたものであって、直接伝播がない超音波を利用した漏れ検査装置を低コストで提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
超音波発信機と超音波受信機とを備え、前記超音波発信機と前記超音波受信機との間に被検査部を配置し、この被検査部を通して漏洩した超音波を前記超音波受信機が検出する漏れ検査装置において、前記超音波発信機は、空気流入口と、流入した空気を前記被検査部の近くに導く通路と、前記被検査部に沿って配置され、前記被検査部に向けて空気を噴出する微細な孔とを備えるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の漏れ装置の超音波発信機は、被検査部に近接した位置から超音波を被検査部に照射する。したがって、超音波照射口から照射された超音波が被検査部に到達する間に生じる減衰を抑えることが可能なため、従来の電気入力の超音波発信機のように超音波の強度を上げる必要がなく、被検査部の周辺に存在する薄い材厚の部材から超音波が直接伝播することを防止することができる。
また、電気入力の超音波発信源を超音波発信機に用いないため、電気入力の超音波発信機を複数個使用する場合と比較して複雑な回路構成が不要になる。したがって、より低コストの漏れ検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1による漏れ検査装置の構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1による漏れ検査装置の照射口の正面図及び拡大図である。
【図3】本発明の実施の形態1による漏れ検査装置の超音波受信機及び遮蔽箱の構成図である。
【図4】本発明の実施の形態1による漏れ検査装置の照射口及び被検査部廻りの拡大図である。
【図5】本発明の実施の形態2による漏れ検査装置の構成図である。
【図6】本発明の実施の形態3による漏れ検査装置の構成図である。
【図7】本発明の実施の形態4による漏れ検査装置の構成図である。
【図8】本発明の実施の形態5による漏れ検査装置の構成図である。
【図9】本発明の実施の形態5による漏れ検査装置の照射口の拡大図である。
【図10】本発明の実施の形態6による漏れ検査装置の超音波受信機及び遮蔽箱の構成図である。
【図11】本発明の実施の形態7による漏れ検査装置の照射口の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1による漏れ検査装置を図1〜5に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態1による漏れ検査装置の構成を示す図である。漏れ検査装置は、超音波発信機1と、超音波受信機2と、超音波受信機2を収容する遮蔽箱4と、信号ケーブル7によって超音波受信機2と接続された判定器6とを備える。被検査部であるシール部33は、電磁誘導加熱調理器の調理面であり、基板が耐熱低膨張結晶化ガラス等から成るトッププレート31とトッププレート31の四方に配置されたフレーム32とを接着してアセンブリー3を構成している。アセンブリー3は、超音波受信機2を収容した遮蔽箱4の上部開口面を塞ぐように配置され、アセンブリー3の上面であるトッププレート31上面には超音波発信機1がシール部33に沿って並行するように配置される。
なお、フレーム32には、操作ボタンを設置するための開口部が設けられているので、この開口部からトッププレート31下面とフレーム32の内周面との間に存在する隙間へ超音波が伝播して超音波受信機で検出されないようにボタンカバー5で開口部を塞いでいる。
【0010】
超音波発信機1は、通路として空気が内部に供給される金属製の管12を備える。管12は、管の径路方向がシール部33と並行するように形成され、空気流入方向から見て上流側の端部は、空気流入口11を備え、下流側の端部は封止されている。管12の壁部には、管12内に供給された空気を噴出するとともに、空気の噴出によって超音波を発生する微細な孔である照射口13を備える。
図2(b)は、照射口13の拡大図である。照射口13は、シール部33に並行するように配列され、照射口13から超音波の被照射面であるシール部33の表面までの距離が最短となるように形成される。照射口は任意の数に変更することができ、照射口13の形状は、図2(a)に示すピンホール13aのように形成される。
【0011】
超音波受信機2と超音波受信機が収容される遮蔽箱4の構成について図3に基づいて説明する。
超音波受信機2を収容する遮蔽箱4は、内周面を超音波を反射しやすい金属で形成され、外周面を外部からの音を遮蔽箱4内に伝播させない防音材で形成されている。遮蔽箱4の上部開口面には、アセンブリー3が設置されて遮蔽箱4の上部開口面を塞いでおり、トッププレート31の周囲から超音波が回り込んで遮蔽箱内に直接到達することを防止している。遮蔽箱4の下部には図示しない穴が設けられ、この穴を貫通する信号ケーブル7を介して超音波受信機と判定器6が接続される。また、図3(b)に示すように、収容する遮蔽箱4は、内周面が金属で形成された内箱41と外周面が防音材で覆われた外箱42を組み合わせた構成としてもよい。
なお、アセンブリー3がトッププレートの下面に例えば箱状の形状のケースを有する場合はケース内に超音波受信機を設置すればよいので、遮蔽箱4を用いなくてもよい。
【0012】
次に、漏れ検査装置の動作について図に基づいて説明する。
図4は、超音波発信機1および被検査部33の拡大断面図である。空気流入口11から流入し、管12内に供給された空気は、照射口13から管外に噴出する。このとき、空気は照射口13の外壁側付近で乱流を発生するとともに、様々な周波数を含む超音波を発生する。そして、超音波発信機1は、空気によって超音波を発生する照射口13を超音波発信源として利用し、発生した超音波をシール部33の表面に照射する。
照射口13より照射された超音波は、シール部33に漏れ部33aがある場合、漏れ部33aを通過し、フレーム32の内周面とトッププレート31の側面および下面とによって形成される空隙を通過して超音波受信機2で検出され、信号ケーブル7を介して判定器6に送信される。判定器6は、例えば超音波受信機2が検出した超音波の強度が所定の値以上である場合に「漏れあり」、未満である場合に「漏れ無し」と判定する。
【0013】
このように、漏れ装置の超音波発信機は、空気流入口から空気が供給される管に微細な孔である多数の照射口を被検査部に沿って対面するように形成し、照射口から管内の空気を噴出させる際に生じる超音波を利用して、被検査部に近接した位置から超音波を被検査部に照射する。したがって、超音波照射口から照射された超音波が被検査部に到達する間に生じる減衰を抑えることが可能なため、従来の電気入力の超音波発信機のように超音波の強度を上げる必要がなく、被検査部の周辺に存在する薄い材厚の部材から超音波が直接伝播することを防止することができる。
また、超音波発信源に電気入力の超音波発信機を用いないため、電気入力の発信機を複数個使用する場合と比較して複雑な回路構成が不要になる。さらに、本実施の形態1による超音波発信機から照射される超音波は様々な周波数を含むため、超音波受信機の周波数帯は通常用いられる40kHzに限定されず、より安価な周波数帯の超音波受信機を採用することができる。したがって、より低コストの漏れ検査装置を提供することができる。
【0014】
なお、本実施の形態では流入気体を空気としたが、他の気体を用いても良い。
【0015】
実施の形態2.
以下、本発明の実施の形態2による漏れ検査装置を図5に基づいて説明する。
本実施の形態の漏れ検査装置は、被検査部の折り曲げ部へ空気を導く副管を設け、副管の先端のピンホールで発生した超音波を折り曲げ部に照射することにより、折り曲げ部の検査を容易にするものである。
漏れ検査装置の被検査部であるシール部は直線部33bと円弧状の形状を有する折り曲げ部33cからなり、超音波発信機1aは、流入した空気を直線部33bに導く主通路として主管121aと、折り曲げ部33cに導く副通路として、主管121aの上流側から分岐管122によって分岐された第1・第2・第3・第4の副管121b・121c・121d・121eとを備える。主管121aは、主管内に供給される空気の量を調整する流量調整器14を分岐管122の接続位置より下流側に備え、分岐管122は第1〜第4の副管121b〜121eに供給される空気の量を調整する流量調整器14を第1〜第4の副管121b〜121eより上流側に備える。各副管の下流側末端部には、折り曲げ部33cに超音波を照射する照射口33が折り曲げ部33cに近接して対面するように配置されている。
【0016】
第1〜第4の副管121b〜121eを設ける目的を以下説明する。
主管121aが折り曲げ部33c付近で直角の形状を有し、かつ照射口13が主管壁面に等間隔に設置されている場合、折り曲げ部33cの表面に照射される超音波の間隔は直線部33bより広がるため、超音波を均一に照射することが困難になる。また、折り曲げ部33cにシールの重ね代を設けてシール部の厚みを直線部33bより厚くする場合、厚みの薄い直線部33bより高強度の超音波を照射する必要がある。そこで、下流側端部に照射口13を備える第1〜第4の副管121b〜121eを、各折り曲げ部に各副管の照射口13が近接して対面するように配置して、各折り曲げ部に直線部より高い強度の超音波を照射するように超音波発信機1aを構成している。
なお、その他の構成は実施の形態1と同様なので、説明を省略する。
【0017】
次に、本発明の実施の形態2による漏れ検査装置の動作について説明する。
空気流入口11から流入した空気は、分岐管122によって主管121aに供給される空気と、第1〜第4の副管121b〜121eに供給される空気とに分配される。主管121aは直線部33bに超音波を照射する。
一方、分岐管122に設けられた流量調整器14は、第1〜第4の副管121b〜121eの照射口から照射される超音波が所定の強度となるように空気の流入量を調整する。この調整は、例えば第1〜第4の副管121b〜121eから照射される超音波の強度が、主管121aから照射される超音波より高い強度となるように調整する。そして、第1〜第4の副管121b〜121eの照射口13で発生した主管121aより高強度の超音波を折り曲げ部33cに照射する。
以降の動作は実施の形態1と同様なので、説明を省略する。
【0018】
なお、第1〜第4の副管121b〜121eは主管121aから分岐される必要はなく、各管に独立した空気流入口11と流量調整器14を備える構成としてもよい。
【0019】
また、本実施の形態における被検査部は円弧状の形状を有する折り曲げ部と直線部を有するシール部33とし、照射面が各折り曲げ部に並設される第1〜第4の副管121b〜121eを設けたが、被検査部の形状はこれに限定されず、副管の本数は被検査部の形状に応じて変更しても良い。
【0020】
このように、被検査部が直線部33bと円弧状の形状を有する折り曲げ部33cのような形状からなる場合や、被検査部の厚みが均一でない場合等、被検査部に異なる強度の超音波を照射することが必要な状況下においても、直線部へ空気を導く主管と折り曲げ部に空気を導く副管とを設け、流量調整器によって管に供給される空気の流入量を調整して、照射口から発生する超音波の強度を調節することで、超音波発信機から被検査部の形状に対応して調整された異なる強度の超音波を照射することができる。
【0021】
実施の形態3.
以下、本発明の実施の形態3による漏れ検査装置を図6に基づいて説明する。
本実施の形態の漏れ検査装置は、仕切壁によって分割された通路内の区画の夫々に流入する空気を許容又は遮断するバルブを設け、一部の区画で発生した超音波を被検査部の一部の領域に照射して検査することにより、漏れ部の位置を特定するものである。
漏れ検査装置の超音波発信機1bは、管内を複数の区画125に分割する仕切壁123を備えた管12bと、管12b内の各区画にシール部33と並行して配列するように形成された照射口13と、各区画を空気流入口11に接続する導入路124と、各導入路に設けられ、導入路124を開閉することによって各区画に流入する空気を許容又は遮断するバルブ15とを備える。その他の構成は実施の形態1と同様なので、説明を省略する。
【0022】
次に、本発明の実施の形態3による漏れ検査装置の動作について説明する。
空気流入口11から流入した後、分岐して導入路124に供給された空気は、導入路124に設けられたバルブ15の上流側に達する。バルブ15が開いているとき、空気は、導入路124の下流側へ流入し、管12b内の仕切壁123によって分割された区画125に供給される。よって、この区画125に備えられた照射口13に空気が到達し、照射口13は空気を噴出するとともに、超音波を発生する。
上述のバルブ開閉動作を所定の順序やタイミングに基づいて各空気導入路に適用し、管12b内の一部の区画で超音波を発生させ、シール部33の一部の領域に超音波を照射する。
【0023】
照射口13より管12b内の一部の区画に照射された超音波は、シール部33に漏れ部33aがある場合、実施の形態1と同様の径路で超音波受信機2に検出され、判定器6に送信される。
判定器6は、超音波受信機2が超音波を検出した場合は、超音波を照射した区画に「漏れあり」と判定し、検出されない場合は照射した区画に「漏れ無し」と判定する。そして、この判定に基づいて、例えば各空気導入路のバルブの開閉状態を切り替えたり、バルブが開となっている空気導入路の本数を減らしたりして超音波の発生区画を限定するように検査を行うことで、漏れ部33aの位置を特定することができる。
【0024】
このように、超音波発信機の一部の領域でのみ超音波を発生させて被検査部の一部の領域に超音波を照射するため、漏れ部の位置を特定することができる。
【0025】
なお、バルブの開閉は手動でも自動でもよく、開閉の順序やタイミングを制御装置によって制御されてもよい。
また、本実施の形態では1つの空気流入口から供給された空気が分岐して各空気導入路に流入する構成としたが、各空気導入路は独立した空気流入口を備え、各導入路で空気流量を調整する流量調整器を備えてもよい。
【0026】
実施の形態4.
以下、本発明の実施の形態4による漏れ検査装置を図7に基づいて説明する。
本実施の形態では、トッププレート31上に荷重8を配置する点が実施の形態1と異なっている。
荷重8は、実際の使用状況を再現して検査するためにトッププレート31上に搭載されるものである。荷重8をトッププレート31上に搭載すると、シール部33が下方向に引っ張られるため、漏れ部33aが下方向に拡張する。よって漏れ部33aから超音波が漏洩しやすくなり、荷重を搭載しないときと比較して、超音波の検出が容易になる。
なお、荷重8は図示しないが空気シリンダー等でも良く、荷重の種類や方法は問わない。
【0027】
実施の形態5.
以下、本発明の実施の形態5による漏れ検査装置を図8に基づいて説明する。
本実施の形態の漏れ検査装置は、空気の通路として、実施の形態1の管に代えて容器を使うものである。
漏れ検査装置の超音波発信機1cは、通路として空気が内部に供給される金属製の容器12aを備える。容器12aは、トッププレート31の上面に接しており、その外周がシール部33と並行している底面と、中央に空気流入口11が設けられた上面と、複数の照射口13を備え、被検査部に並行する側面126とを有する。照射口13は、シール部33と対面し、かつシール部33と並行するように形成される。
図9は容器12aの側面の拡大断面図である。容器12aの側面は、シール部33へ向けて傾斜している。その傾斜角は、シール部の表面で厚さ方向の中心における接線がトッププレート31となす角度とほぼ等しくすることが好ましい。その他の構成は実施の形態1と同様なので、説明を省略する。
【0028】
次に、漏れ検査装置の動作について説明する。
空気流入口11から流入し、容器12aに供給された空気は、照射口13から外部に噴出するとともに、超音波を発生する。そして、照射口13は発生した超音波を被検査部33に向けて照射する。以降の動作は実施の形態1と同様なので、説明を省略する。
なお、容器12aの自重を重くすることで、実施の形態4における荷重8として機能させて検査を行ってもよい。実施の形態4と同様に、超音波が漏れ部33aから漏洩しやすくなるため、荷重8としての機能を有さないときと比較して、超音波の検出が容易になる。
【0029】
なお、容器12aは本実施の形態の形状に限定されず、被検査部の形状に応じて他の立体形状に形成してもよい。また、容器内を分割して複数の区画を形成する仕切壁と、各区画に空気を供給する空気導入路とを設けて、この空気導入路に流量調整器又はバルブを設けて、各区画から照射する超音波の強度や照射領域を調整するように構成してもよい。
【0030】
このように、通路を金属製の容器12aとして形成し、空気流入口11を容器上面の中心に設けることで、空気が照射口13に向けて略均一に供給されるため、通路が管の場合と比較して、均一な強度の超音波を照射口13から発生させることができる。
【0031】
実施の形態6.
漏れ検査装置の超音波受信機2と遮蔽箱4aについて、図10に基づいて説明する。
本実施の形態の漏れ検査装置は、複数の超音波受信機2と、これらの超音波受信機2を収容する遮蔽箱4aとを備え、漏れ位置の特定を短時間で行うものである。
遮蔽箱4aは、実施の形態1における遮蔽箱4aの内部を区画して複数の分室64を形成する間仕切63を内部に備える。間仕切63は、各分室がシール部33の付設方向に沿ってシール部33の付設位置の下面側の周辺領域を等間隔で囲むようにグリッド状に配置され、間仕切63の上面をトッププレート31の下面に接するように設けて、分室64の上面から隣接した分室に超音波が漏洩しないように構成する。また、内周面は遮蔽箱4と同様に超音波を反射しやすい金属で形成される。
複数の超音波受信機2は、各分室64に1機ずつ収容され、自らが収容された分室64内に到達した超音波のみを検出する。その他の構成は実施の形態1、実施の形態2、実施の形態4、実施の形態5のいずれか一つを採用すれば良いので、説明を省略する。
【0032】
次に、漏れ検査装置の動作について前述の実施の形態と異なる点を中心に説明する。
照射口13より被検査部に照射された超音波は、被検査部のシール部33に漏れ部33aがある場合、超音波は漏れ部33aを通過し、フレーム32の内周面とトッププレート31の側面および下面との間に存在する隙間を通過して、遮蔽箱4a内に区画された分室64のいずれかに達する。いずれかの分室に到達した超音波は、超音波が到達した分室64内に収容された超音波受信機2によって検出され、信号ケーブル7を介して判定器6に送信される。判定器6は、超音波受信機2が超音波を検出した場合は、超音波受信機2が超音波を検出した分室上面の領域に位置する被検査部に「漏れあり」と判定し、検出されない場合は超音波が検出されない分室上面の領域に位置する被検査部に「漏れ無し」と判定する。
このように、超音波受信機2を複数個用いて超音波の漏れを検出するため、実施の形態3と比較して短時間で漏れ部の位置を特定することができる。
【0033】
実施の形態7.
以下、本発明の実施の形態7による漏れ検査装置を図11に基づいて説明する。
本実施の形態においては、超音波発信機の照射口13の構成が実施の形態1と異なっている。
漏れ検査装置の超音波発信機に設けられた照射口13は、スリット13bのような形状に形成される。照射口13をスリット状に形成することで、超音波の発生が点から線に置き換わり、被検査部全域において均等な超音波が得られる。
なお、スリット幅を安定させるために、各スリット間に方立を設けるとよい。
その他の構成は実施の形態1〜6のいずれかを採用すれば良いので説明を省略する。
【0034】
なお、本発明の実施の形態は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、被検査物の近くにあって超音波の直接伝播が起こり易い部材として、電磁調理器のフレームを一例に挙げて説明したが、これに限られるものではない。また、被検査部は、電磁調理器のトッププレートとフレームを接着封止するシール部に限られるものではない。
【符号の説明】
【0035】
1,1a,1b,1c 超音波発信機、2 超音波受信機、3 アセンブリー、
31 トッププレート、32 フレーム、33 シール部、33a 漏れ部、
33b 直線部、33c 折り曲げ部、4,4a 遮蔽箱、41 内箱、42 外箱、
5 ボタンカバー、6 判定器、7 信号ケーブル、8 荷重、11 空気流入口、
12,12b 管、12a 容器、121a 主管、
121b,121c,121d,121e 第1・第2・第3・第4の副管、
122 分岐管、123 仕切壁、124 導入路、125 区画、126 側面、
13 照射口、13a ピンホール、13b スリット、14 流量調整器、
15 バルブ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を利用した漏れ検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、シール部や容器からの漏れを検出する方法として、超音波を用いる方法が知られている。これは、被検査部を挟んで1対の超音波発信機と超音波受信機とを配置し、超音波発信機から非被検査部に照射された超音波が被検査部の漏れ部から漏れて超音波受信機で検出されることで、被検査部の漏れ部があると分かるものである(例えば特許文献1及び特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平04−204340号公報(第282頁 第4図)
【特許文献2】特開2001−194259号公報(第3頁 第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1個の超音波発信機で被検査部の検査領域全域をカバーする場合、超音波発信機を高出力とする必要がある。出力は超音波発信機の超音波の強度を上げることで行われるが、超音波の強度を上げると、被検査部やその周辺の部材が薄い場合はそれらを透過して超音波が直接に伝播して超音波受信機に達するため、より正確な測定が困難になる。
このような直接伝播対策として、低出力の超音波発信機を複数個用いる方法もあるが、通常使用されている、電気入力を超音波に変換する圧電材料を超音波発信源として利用した超音波発信機は高価なので、コスト高となる。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解消するために成されたものであって、直接伝播がない超音波を利用した漏れ検査装置を低コストで提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
超音波発信機と超音波受信機とを備え、前記超音波発信機と前記超音波受信機との間に被検査部を配置し、この被検査部を通して漏洩した超音波を前記超音波受信機が検出する漏れ検査装置において、前記超音波発信機は、空気流入口と、流入した空気を前記被検査部の近くに導く通路と、前記被検査部に沿って配置され、前記被検査部に向けて空気を噴出する微細な孔とを備えるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の漏れ装置の超音波発信機は、被検査部に近接した位置から超音波を被検査部に照射する。したがって、超音波照射口から照射された超音波が被検査部に到達する間に生じる減衰を抑えることが可能なため、従来の電気入力の超音波発信機のように超音波の強度を上げる必要がなく、被検査部の周辺に存在する薄い材厚の部材から超音波が直接伝播することを防止することができる。
また、電気入力の超音波発信源を超音波発信機に用いないため、電気入力の超音波発信機を複数個使用する場合と比較して複雑な回路構成が不要になる。したがって、より低コストの漏れ検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1による漏れ検査装置の構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1による漏れ検査装置の照射口の正面図及び拡大図である。
【図3】本発明の実施の形態1による漏れ検査装置の超音波受信機及び遮蔽箱の構成図である。
【図4】本発明の実施の形態1による漏れ検査装置の照射口及び被検査部廻りの拡大図である。
【図5】本発明の実施の形態2による漏れ検査装置の構成図である。
【図6】本発明の実施の形態3による漏れ検査装置の構成図である。
【図7】本発明の実施の形態4による漏れ検査装置の構成図である。
【図8】本発明の実施の形態5による漏れ検査装置の構成図である。
【図9】本発明の実施の形態5による漏れ検査装置の照射口の拡大図である。
【図10】本発明の実施の形態6による漏れ検査装置の超音波受信機及び遮蔽箱の構成図である。
【図11】本発明の実施の形態7による漏れ検査装置の照射口の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1による漏れ検査装置を図1〜5に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態1による漏れ検査装置の構成を示す図である。漏れ検査装置は、超音波発信機1と、超音波受信機2と、超音波受信機2を収容する遮蔽箱4と、信号ケーブル7によって超音波受信機2と接続された判定器6とを備える。被検査部であるシール部33は、電磁誘導加熱調理器の調理面であり、基板が耐熱低膨張結晶化ガラス等から成るトッププレート31とトッププレート31の四方に配置されたフレーム32とを接着してアセンブリー3を構成している。アセンブリー3は、超音波受信機2を収容した遮蔽箱4の上部開口面を塞ぐように配置され、アセンブリー3の上面であるトッププレート31上面には超音波発信機1がシール部33に沿って並行するように配置される。
なお、フレーム32には、操作ボタンを設置するための開口部が設けられているので、この開口部からトッププレート31下面とフレーム32の内周面との間に存在する隙間へ超音波が伝播して超音波受信機で検出されないようにボタンカバー5で開口部を塞いでいる。
【0010】
超音波発信機1は、通路として空気が内部に供給される金属製の管12を備える。管12は、管の径路方向がシール部33と並行するように形成され、空気流入方向から見て上流側の端部は、空気流入口11を備え、下流側の端部は封止されている。管12の壁部には、管12内に供給された空気を噴出するとともに、空気の噴出によって超音波を発生する微細な孔である照射口13を備える。
図2(b)は、照射口13の拡大図である。照射口13は、シール部33に並行するように配列され、照射口13から超音波の被照射面であるシール部33の表面までの距離が最短となるように形成される。照射口は任意の数に変更することができ、照射口13の形状は、図2(a)に示すピンホール13aのように形成される。
【0011】
超音波受信機2と超音波受信機が収容される遮蔽箱4の構成について図3に基づいて説明する。
超音波受信機2を収容する遮蔽箱4は、内周面を超音波を反射しやすい金属で形成され、外周面を外部からの音を遮蔽箱4内に伝播させない防音材で形成されている。遮蔽箱4の上部開口面には、アセンブリー3が設置されて遮蔽箱4の上部開口面を塞いでおり、トッププレート31の周囲から超音波が回り込んで遮蔽箱内に直接到達することを防止している。遮蔽箱4の下部には図示しない穴が設けられ、この穴を貫通する信号ケーブル7を介して超音波受信機と判定器6が接続される。また、図3(b)に示すように、収容する遮蔽箱4は、内周面が金属で形成された内箱41と外周面が防音材で覆われた外箱42を組み合わせた構成としてもよい。
なお、アセンブリー3がトッププレートの下面に例えば箱状の形状のケースを有する場合はケース内に超音波受信機を設置すればよいので、遮蔽箱4を用いなくてもよい。
【0012】
次に、漏れ検査装置の動作について図に基づいて説明する。
図4は、超音波発信機1および被検査部33の拡大断面図である。空気流入口11から流入し、管12内に供給された空気は、照射口13から管外に噴出する。このとき、空気は照射口13の外壁側付近で乱流を発生するとともに、様々な周波数を含む超音波を発生する。そして、超音波発信機1は、空気によって超音波を発生する照射口13を超音波発信源として利用し、発生した超音波をシール部33の表面に照射する。
照射口13より照射された超音波は、シール部33に漏れ部33aがある場合、漏れ部33aを通過し、フレーム32の内周面とトッププレート31の側面および下面とによって形成される空隙を通過して超音波受信機2で検出され、信号ケーブル7を介して判定器6に送信される。判定器6は、例えば超音波受信機2が検出した超音波の強度が所定の値以上である場合に「漏れあり」、未満である場合に「漏れ無し」と判定する。
【0013】
このように、漏れ装置の超音波発信機は、空気流入口から空気が供給される管に微細な孔である多数の照射口を被検査部に沿って対面するように形成し、照射口から管内の空気を噴出させる際に生じる超音波を利用して、被検査部に近接した位置から超音波を被検査部に照射する。したがって、超音波照射口から照射された超音波が被検査部に到達する間に生じる減衰を抑えることが可能なため、従来の電気入力の超音波発信機のように超音波の強度を上げる必要がなく、被検査部の周辺に存在する薄い材厚の部材から超音波が直接伝播することを防止することができる。
また、超音波発信源に電気入力の超音波発信機を用いないため、電気入力の発信機を複数個使用する場合と比較して複雑な回路構成が不要になる。さらに、本実施の形態1による超音波発信機から照射される超音波は様々な周波数を含むため、超音波受信機の周波数帯は通常用いられる40kHzに限定されず、より安価な周波数帯の超音波受信機を採用することができる。したがって、より低コストの漏れ検査装置を提供することができる。
【0014】
なお、本実施の形態では流入気体を空気としたが、他の気体を用いても良い。
【0015】
実施の形態2.
以下、本発明の実施の形態2による漏れ検査装置を図5に基づいて説明する。
本実施の形態の漏れ検査装置は、被検査部の折り曲げ部へ空気を導く副管を設け、副管の先端のピンホールで発生した超音波を折り曲げ部に照射することにより、折り曲げ部の検査を容易にするものである。
漏れ検査装置の被検査部であるシール部は直線部33bと円弧状の形状を有する折り曲げ部33cからなり、超音波発信機1aは、流入した空気を直線部33bに導く主通路として主管121aと、折り曲げ部33cに導く副通路として、主管121aの上流側から分岐管122によって分岐された第1・第2・第3・第4の副管121b・121c・121d・121eとを備える。主管121aは、主管内に供給される空気の量を調整する流量調整器14を分岐管122の接続位置より下流側に備え、分岐管122は第1〜第4の副管121b〜121eに供給される空気の量を調整する流量調整器14を第1〜第4の副管121b〜121eより上流側に備える。各副管の下流側末端部には、折り曲げ部33cに超音波を照射する照射口33が折り曲げ部33cに近接して対面するように配置されている。
【0016】
第1〜第4の副管121b〜121eを設ける目的を以下説明する。
主管121aが折り曲げ部33c付近で直角の形状を有し、かつ照射口13が主管壁面に等間隔に設置されている場合、折り曲げ部33cの表面に照射される超音波の間隔は直線部33bより広がるため、超音波を均一に照射することが困難になる。また、折り曲げ部33cにシールの重ね代を設けてシール部の厚みを直線部33bより厚くする場合、厚みの薄い直線部33bより高強度の超音波を照射する必要がある。そこで、下流側端部に照射口13を備える第1〜第4の副管121b〜121eを、各折り曲げ部に各副管の照射口13が近接して対面するように配置して、各折り曲げ部に直線部より高い強度の超音波を照射するように超音波発信機1aを構成している。
なお、その他の構成は実施の形態1と同様なので、説明を省略する。
【0017】
次に、本発明の実施の形態2による漏れ検査装置の動作について説明する。
空気流入口11から流入した空気は、分岐管122によって主管121aに供給される空気と、第1〜第4の副管121b〜121eに供給される空気とに分配される。主管121aは直線部33bに超音波を照射する。
一方、分岐管122に設けられた流量調整器14は、第1〜第4の副管121b〜121eの照射口から照射される超音波が所定の強度となるように空気の流入量を調整する。この調整は、例えば第1〜第4の副管121b〜121eから照射される超音波の強度が、主管121aから照射される超音波より高い強度となるように調整する。そして、第1〜第4の副管121b〜121eの照射口13で発生した主管121aより高強度の超音波を折り曲げ部33cに照射する。
以降の動作は実施の形態1と同様なので、説明を省略する。
【0018】
なお、第1〜第4の副管121b〜121eは主管121aから分岐される必要はなく、各管に独立した空気流入口11と流量調整器14を備える構成としてもよい。
【0019】
また、本実施の形態における被検査部は円弧状の形状を有する折り曲げ部と直線部を有するシール部33とし、照射面が各折り曲げ部に並設される第1〜第4の副管121b〜121eを設けたが、被検査部の形状はこれに限定されず、副管の本数は被検査部の形状に応じて変更しても良い。
【0020】
このように、被検査部が直線部33bと円弧状の形状を有する折り曲げ部33cのような形状からなる場合や、被検査部の厚みが均一でない場合等、被検査部に異なる強度の超音波を照射することが必要な状況下においても、直線部へ空気を導く主管と折り曲げ部に空気を導く副管とを設け、流量調整器によって管に供給される空気の流入量を調整して、照射口から発生する超音波の強度を調節することで、超音波発信機から被検査部の形状に対応して調整された異なる強度の超音波を照射することができる。
【0021】
実施の形態3.
以下、本発明の実施の形態3による漏れ検査装置を図6に基づいて説明する。
本実施の形態の漏れ検査装置は、仕切壁によって分割された通路内の区画の夫々に流入する空気を許容又は遮断するバルブを設け、一部の区画で発生した超音波を被検査部の一部の領域に照射して検査することにより、漏れ部の位置を特定するものである。
漏れ検査装置の超音波発信機1bは、管内を複数の区画125に分割する仕切壁123を備えた管12bと、管12b内の各区画にシール部33と並行して配列するように形成された照射口13と、各区画を空気流入口11に接続する導入路124と、各導入路に設けられ、導入路124を開閉することによって各区画に流入する空気を許容又は遮断するバルブ15とを備える。その他の構成は実施の形態1と同様なので、説明を省略する。
【0022】
次に、本発明の実施の形態3による漏れ検査装置の動作について説明する。
空気流入口11から流入した後、分岐して導入路124に供給された空気は、導入路124に設けられたバルブ15の上流側に達する。バルブ15が開いているとき、空気は、導入路124の下流側へ流入し、管12b内の仕切壁123によって分割された区画125に供給される。よって、この区画125に備えられた照射口13に空気が到達し、照射口13は空気を噴出するとともに、超音波を発生する。
上述のバルブ開閉動作を所定の順序やタイミングに基づいて各空気導入路に適用し、管12b内の一部の区画で超音波を発生させ、シール部33の一部の領域に超音波を照射する。
【0023】
照射口13より管12b内の一部の区画に照射された超音波は、シール部33に漏れ部33aがある場合、実施の形態1と同様の径路で超音波受信機2に検出され、判定器6に送信される。
判定器6は、超音波受信機2が超音波を検出した場合は、超音波を照射した区画に「漏れあり」と判定し、検出されない場合は照射した区画に「漏れ無し」と判定する。そして、この判定に基づいて、例えば各空気導入路のバルブの開閉状態を切り替えたり、バルブが開となっている空気導入路の本数を減らしたりして超音波の発生区画を限定するように検査を行うことで、漏れ部33aの位置を特定することができる。
【0024】
このように、超音波発信機の一部の領域でのみ超音波を発生させて被検査部の一部の領域に超音波を照射するため、漏れ部の位置を特定することができる。
【0025】
なお、バルブの開閉は手動でも自動でもよく、開閉の順序やタイミングを制御装置によって制御されてもよい。
また、本実施の形態では1つの空気流入口から供給された空気が分岐して各空気導入路に流入する構成としたが、各空気導入路は独立した空気流入口を備え、各導入路で空気流量を調整する流量調整器を備えてもよい。
【0026】
実施の形態4.
以下、本発明の実施の形態4による漏れ検査装置を図7に基づいて説明する。
本実施の形態では、トッププレート31上に荷重8を配置する点が実施の形態1と異なっている。
荷重8は、実際の使用状況を再現して検査するためにトッププレート31上に搭載されるものである。荷重8をトッププレート31上に搭載すると、シール部33が下方向に引っ張られるため、漏れ部33aが下方向に拡張する。よって漏れ部33aから超音波が漏洩しやすくなり、荷重を搭載しないときと比較して、超音波の検出が容易になる。
なお、荷重8は図示しないが空気シリンダー等でも良く、荷重の種類や方法は問わない。
【0027】
実施の形態5.
以下、本発明の実施の形態5による漏れ検査装置を図8に基づいて説明する。
本実施の形態の漏れ検査装置は、空気の通路として、実施の形態1の管に代えて容器を使うものである。
漏れ検査装置の超音波発信機1cは、通路として空気が内部に供給される金属製の容器12aを備える。容器12aは、トッププレート31の上面に接しており、その外周がシール部33と並行している底面と、中央に空気流入口11が設けられた上面と、複数の照射口13を備え、被検査部に並行する側面126とを有する。照射口13は、シール部33と対面し、かつシール部33と並行するように形成される。
図9は容器12aの側面の拡大断面図である。容器12aの側面は、シール部33へ向けて傾斜している。その傾斜角は、シール部の表面で厚さ方向の中心における接線がトッププレート31となす角度とほぼ等しくすることが好ましい。その他の構成は実施の形態1と同様なので、説明を省略する。
【0028】
次に、漏れ検査装置の動作について説明する。
空気流入口11から流入し、容器12aに供給された空気は、照射口13から外部に噴出するとともに、超音波を発生する。そして、照射口13は発生した超音波を被検査部33に向けて照射する。以降の動作は実施の形態1と同様なので、説明を省略する。
なお、容器12aの自重を重くすることで、実施の形態4における荷重8として機能させて検査を行ってもよい。実施の形態4と同様に、超音波が漏れ部33aから漏洩しやすくなるため、荷重8としての機能を有さないときと比較して、超音波の検出が容易になる。
【0029】
なお、容器12aは本実施の形態の形状に限定されず、被検査部の形状に応じて他の立体形状に形成してもよい。また、容器内を分割して複数の区画を形成する仕切壁と、各区画に空気を供給する空気導入路とを設けて、この空気導入路に流量調整器又はバルブを設けて、各区画から照射する超音波の強度や照射領域を調整するように構成してもよい。
【0030】
このように、通路を金属製の容器12aとして形成し、空気流入口11を容器上面の中心に設けることで、空気が照射口13に向けて略均一に供給されるため、通路が管の場合と比較して、均一な強度の超音波を照射口13から発生させることができる。
【0031】
実施の形態6.
漏れ検査装置の超音波受信機2と遮蔽箱4aについて、図10に基づいて説明する。
本実施の形態の漏れ検査装置は、複数の超音波受信機2と、これらの超音波受信機2を収容する遮蔽箱4aとを備え、漏れ位置の特定を短時間で行うものである。
遮蔽箱4aは、実施の形態1における遮蔽箱4aの内部を区画して複数の分室64を形成する間仕切63を内部に備える。間仕切63は、各分室がシール部33の付設方向に沿ってシール部33の付設位置の下面側の周辺領域を等間隔で囲むようにグリッド状に配置され、間仕切63の上面をトッププレート31の下面に接するように設けて、分室64の上面から隣接した分室に超音波が漏洩しないように構成する。また、内周面は遮蔽箱4と同様に超音波を反射しやすい金属で形成される。
複数の超音波受信機2は、各分室64に1機ずつ収容され、自らが収容された分室64内に到達した超音波のみを検出する。その他の構成は実施の形態1、実施の形態2、実施の形態4、実施の形態5のいずれか一つを採用すれば良いので、説明を省略する。
【0032】
次に、漏れ検査装置の動作について前述の実施の形態と異なる点を中心に説明する。
照射口13より被検査部に照射された超音波は、被検査部のシール部33に漏れ部33aがある場合、超音波は漏れ部33aを通過し、フレーム32の内周面とトッププレート31の側面および下面との間に存在する隙間を通過して、遮蔽箱4a内に区画された分室64のいずれかに達する。いずれかの分室に到達した超音波は、超音波が到達した分室64内に収容された超音波受信機2によって検出され、信号ケーブル7を介して判定器6に送信される。判定器6は、超音波受信機2が超音波を検出した場合は、超音波受信機2が超音波を検出した分室上面の領域に位置する被検査部に「漏れあり」と判定し、検出されない場合は超音波が検出されない分室上面の領域に位置する被検査部に「漏れ無し」と判定する。
このように、超音波受信機2を複数個用いて超音波の漏れを検出するため、実施の形態3と比較して短時間で漏れ部の位置を特定することができる。
【0033】
実施の形態7.
以下、本発明の実施の形態7による漏れ検査装置を図11に基づいて説明する。
本実施の形態においては、超音波発信機の照射口13の構成が実施の形態1と異なっている。
漏れ検査装置の超音波発信機に設けられた照射口13は、スリット13bのような形状に形成される。照射口13をスリット状に形成することで、超音波の発生が点から線に置き換わり、被検査部全域において均等な超音波が得られる。
なお、スリット幅を安定させるために、各スリット間に方立を設けるとよい。
その他の構成は実施の形態1〜6のいずれかを採用すれば良いので説明を省略する。
【0034】
なお、本発明の実施の形態は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、被検査物の近くにあって超音波の直接伝播が起こり易い部材として、電磁調理器のフレームを一例に挙げて説明したが、これに限られるものではない。また、被検査部は、電磁調理器のトッププレートとフレームを接着封止するシール部に限られるものではない。
【符号の説明】
【0035】
1,1a,1b,1c 超音波発信機、2 超音波受信機、3 アセンブリー、
31 トッププレート、32 フレーム、33 シール部、33a 漏れ部、
33b 直線部、33c 折り曲げ部、4,4a 遮蔽箱、41 内箱、42 外箱、
5 ボタンカバー、6 判定器、7 信号ケーブル、8 荷重、11 空気流入口、
12,12b 管、12a 容器、121a 主管、
121b,121c,121d,121e 第1・第2・第3・第4の副管、
122 分岐管、123 仕切壁、124 導入路、125 区画、126 側面、
13 照射口、13a ピンホール、13b スリット、14 流量調整器、
15 バルブ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波発信機と超音波受信機とを備え、前記超音波発信機と前記超音波受信機との間に被検査部を配置し、この被検査部を通して漏洩した超音波を前記超音波受信機が検出する漏れ検査装置において、
前記超音波発信機は、空気流入口と、流入した空気を前記被検査部の近くに導く通路と、前記被検査部に沿って配置され、前記被検査部に向けて空気を噴出する微細な孔とを備えた漏れ検査装置。
【請求項2】
前記通路は、前記被検査部に並行する管である請求項1に記載の漏れ検査装置。
【請求項3】
前記通路は、底面の外周が前記被検査部に並行する容器である請求項1に記載の漏れ検査装置。
【請求項4】
前記容器の前記被検査部に並行する側面は、前記被検査部に向けて傾斜している請求項3に記載の漏れ検査装置。
【請求項5】
前記通路は、流量調整器を備える請求項1乃至4のいずれか一項に記載の漏れ検査装置。
【請求項6】
前記通路は、前記通路内を仕切壁によって分割された複数の区画と、夫々の区画を前記空気流入口に接続する複数の導入路と、夫々の導入路に設けられたバルブとを備える請求項1乃至5のいずれか一項に記載の漏れ検査装置。
【請求項7】
前記被検査部は、直線部と折り曲げ部とからなるものであり、前記通路は流入した空気を前記直線部に導く主通路と、前記折り曲げ部に導く副通路と、前記主通路及び副通路の夫々に設けられた流量調整器とを備える請求項5に記載の漏れ検査装置。
【請求項8】
前記超音波受信機は、防音材で形成された遮蔽箱に収容される請求項1乃至7のいずれか一項に記載の漏れ検査装置。
【請求項9】
前記超音波受信機は複数個設けられ、夫々が防音材で形成された遮蔽箱に収容される請求項1乃至7のいずれか一項に記載の漏れ検査装置。
【請求項10】
前記微細な孔はスリット形状である請求項1乃至9のいずれか一項に記載の漏れ検査装置。
【請求項1】
超音波発信機と超音波受信機とを備え、前記超音波発信機と前記超音波受信機との間に被検査部を配置し、この被検査部を通して漏洩した超音波を前記超音波受信機が検出する漏れ検査装置において、
前記超音波発信機は、空気流入口と、流入した空気を前記被検査部の近くに導く通路と、前記被検査部に沿って配置され、前記被検査部に向けて空気を噴出する微細な孔とを備えた漏れ検査装置。
【請求項2】
前記通路は、前記被検査部に並行する管である請求項1に記載の漏れ検査装置。
【請求項3】
前記通路は、底面の外周が前記被検査部に並行する容器である請求項1に記載の漏れ検査装置。
【請求項4】
前記容器の前記被検査部に並行する側面は、前記被検査部に向けて傾斜している請求項3に記載の漏れ検査装置。
【請求項5】
前記通路は、流量調整器を備える請求項1乃至4のいずれか一項に記載の漏れ検査装置。
【請求項6】
前記通路は、前記通路内を仕切壁によって分割された複数の区画と、夫々の区画を前記空気流入口に接続する複数の導入路と、夫々の導入路に設けられたバルブとを備える請求項1乃至5のいずれか一項に記載の漏れ検査装置。
【請求項7】
前記被検査部は、直線部と折り曲げ部とからなるものであり、前記通路は流入した空気を前記直線部に導く主通路と、前記折り曲げ部に導く副通路と、前記主通路及び副通路の夫々に設けられた流量調整器とを備える請求項5に記載の漏れ検査装置。
【請求項8】
前記超音波受信機は、防音材で形成された遮蔽箱に収容される請求項1乃至7のいずれか一項に記載の漏れ検査装置。
【請求項9】
前記超音波受信機は複数個設けられ、夫々が防音材で形成された遮蔽箱に収容される請求項1乃至7のいずれか一項に記載の漏れ検査装置。
【請求項10】
前記微細な孔はスリット形状である請求項1乃至9のいずれか一項に記載の漏れ検査装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−21941(P2012−21941A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−161775(P2010−161775)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】
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