説明

漏水検知構造

【課題】点検が困難な、サッシ内部や配管内部などの漏水検査を迅速に、しかも簡単かつ確実に行うことができる漏水検知構造を提供する。
【解決手段】防水部5の近傍に設けられた漏水センサ7aと、防水部5を通過した漏水を漏水センサ7aに誘導する誘導手段5aと、漏水センサ7aに接続されて、当該漏水センサ7aで漏水を検知した際にその旨を報知する報知手段10とを備えているので、従来のようなファイバースコープ等のセンサを挿入することなく、点検が困難な、サッシ内部や配管内部などの漏水検査を迅速に、しかも簡単かつ確実に行うことができる。
また、誘導手段5aによって漏水を漏水センサ7aに誘導するので、漏水をより確実に検知できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物における漏水検知構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大引き、束など床下の木部の腐朽、シロアリ被害や設備配管の水漏れ等の点検を行う方法の一例として、特許文献1に記載のものが知られている。
この点検方法は、住宅を建築する際、予め1階室内の床面から床下まで貫通する床下点検のための穴を穿設して開閉栓で閉栓しておき、点検を行う際、適宜、当該開閉栓を外して前記床下点検穴を開口させ、この床下点検穴からファイバスコープ等の撮影装置と床下環境検知センサを挿入し、撮影装置から得られた点検箇所とその位置の映像、床下環境検知センサによる測定値をモニタに表示させて床下の点検および測定を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−349074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記従来の技術では、床下点検穴からファイバースコープ等の撮影装置と床下環境検知センサを挿入する作業が煩雑であり、また、予め床に床面から床下まで貫通する床下点検のための穴を形成するため、見栄えがよくないという問題もある。
さらに、ファイバースコープ等で漏水の有無を目視で確認する場合、漏水した瞬間に漏水有無の判断が行えないという問題もある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、点検が困難な、サッシ枠内部や配管内部などの漏水検査を迅速に、しかも簡単かつ確実に行うことができる漏水検知構造を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、例えば図1〜図4に示すように、建物1に設けられた防水部5,14の漏水を検知する漏水検知構造であって、
前記防水部5,14またはその近傍に設けられた漏水センサ7a,7b,20と、
前記防水部5,14を通過した漏水を前記漏水センサ7a,7b,20に誘導する誘導手段5a,14a,22と、
前記漏水センサ7a,7b,20に接続されて、当該漏水センサ7a,7b,20で漏水を検知した際にその旨を報知する報知手段10とを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、防水部5,14を通過した漏水が誘導手段5a,14a,22によって漏水センサ7a,7b,20に誘導され、この漏水センサ7a,7b,20が漏水を検知すると、その旨を報知手段10が報知するので、従来のようなファイバースコープ等のセンサを挿入することなく、点検が困難な、サッシ内部や配管内部などの漏水検査を迅速に、しかも簡単かつ確実に行うことができる。
また、誘導手段5a,14a,22によって漏水を漏水センサ7a,7b,20に積極的に誘導するので、漏水をより確実に検知できる。
【0008】
前記防水部としては、例えば、サッシ枠のサッシ縦枠とサッシ横枠の接合部、配管どうしの接合部等に設けられるものが挙げられるが、これに限るものではない。
【0009】
請求項2に記載の発明は、例えば図3および図4に示すように、請求項1に記載の漏水検知構造において、前記誘導手段22は、前記防水部5の所定の箇所(例えば直下)から前記漏水センサ20に向けて下方に傾斜する傾斜面22によって構成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、誘導手段22が傾斜面22によって構成されているので、誘導手段22を容易に形成できるとともに、重力によって漏水を漏水センサ20に確実に誘導できる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の漏水検知構造において、前記建物1に設けられたサッシ枠2のサッシ縦枠3とサッシ横枠4との接合部に前記防水部5が設けられており、
前記防水部5の下方に前記漏水センサ20が設けられており、
前記防水部5の直下において前記サッシ枠2に水抜き穴21が形成され、
この水抜き穴21と前記漏水センサ20との間に前記傾斜面22が設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、サッシ縦枠3とサッシ横枠4との接合部に設けられた防水部5を通過した漏水が水抜き穴21を通って傾斜面22を流下して、漏水センサ20に誘導され、この漏水センサ20が漏水を検知すると、その旨を報知手段10が報知するので、点検が困難な、サッシ枠内部の漏水検査を迅速に、しかも簡単かつ確実に行うことができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の漏水検知構造において、前記漏水センサ20は、第1漏水センサ部20aと第2漏水センサ部20bとを備えており、
前記第1漏水センサ部20aは、前記第2漏水センサ部20bより前記傾斜面22の上側に設けられ、
前記第2漏水センサ部20bが設けられた部位は漏水が滞留する構造となっていることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、第1漏水センサ部20aが、第2漏水センサ部20bより傾斜面22の上側に設けられているので、防水部5を通過した漏水は傾斜面22を流下して最初に第1漏水センサ部20aに達し、この第1漏水センサ部20aによって滴下した漏水を検知できる。
また、第2漏水センサ部20bが設けられた部位は漏水が滞留する構造となっているので、第1漏水センサ部20aを継続的に漏水が通ると、第2漏水センサ部20bが設けられた部位に漏水が滞留し、これを第2漏水センサ部20bが検知する。したがって、この検知によって漏水が継続的に生じていることを検知できる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項3または4に記載の漏水検知構造において、前記傾斜面22は前記サッシ枠2内に設けられ、かつこのサッシ枠2の内側から外側に向けて下方に傾斜していることを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、傾斜面22を流下する漏水はサッシ枠2の内側から外側に向かうので、この漏水をサッシ枠2の外側に容易に排出できる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の漏水検知構造において、前記報知手段10は、前記建物内に設けられた表示モニタ12に漏水したことを表示することを特徴とする。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、報知手段10が建物内に設けられた表示モニタ12に漏水したことを表示するので、住人は漏水を素早く知ることができる。
【0019】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の漏水検知構造において、前記報知手段10は、外部の漏水状況管理会社15のコンピュータ16に接続されており、前記漏水センサ7a,7b,20で漏水を検知した際にその検知情報を前記コンピュータ16に送信することを特徴とする。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、漏水センサ7a,7b,20で漏水を検知した際にその漏水検知情報を報知手段10が漏水状況管理会社15のコンピュータ16に送信するので、漏水状況管理会社15が漏水を素早く知ることができ、その後の対処を迅速に行える。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、防水部またはその近傍に設けられた漏水センサと、防水部を通過した漏水を漏水センサに誘導する誘導手段と、漏水センサに接続されて、当該漏水センサで漏水を検知した際にその旨を報知する報知手段とを備えているので、防水部を通過した漏水が誘導手段によって漏水センサに誘導され、この漏水センサが検知すると、その旨を報知手段が報知するので、従来のようなファイバースコープ等のセンサを挿入することなく、点検が困難な、サッシ内部や配管内部などの漏水検査を迅速に、しかも簡単かつ確実に行うことができる。
また、誘導手段によって漏水を漏水センサに誘導するので、漏水をより確実に検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る漏水検知構造の一例を示すもので、その要部の斜視図である。
【図2】同、報知手段を含む漏水検知構造の全体を示す概略構成図である。
【図3】本発明に係る漏水検知構造の他の例を示すもので、その側断面図である。
【図4】同、平断面図である。
【図5】本発明に係る漏水検知構造の他の例を示すもので、その分解斜視図である。
【図6】本発明に係る漏水検知構造の他の例を示すもので、その側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
図1は本発明に係る漏水検知構造をサッシ枠の接合部に適用した例を示す要部の斜視図、図2は報知手段を含む漏水検知構造の全体を示す概略構成を示す図である。
【0024】
図1および図2に示すように、建物1の開口部には、サッシ枠2がはめ込まれている。サッシ枠2は、サッシ縦枠3とサッシ横枠4とを矩形枠状に組み立てることによって形成されている。
サッシ横枠4は、横枠本体4aと、この横枠本体4aの下面を支持する支持枠4bとから構成されている。そして、横枠本体4aの端面とサッシ縦枠3の下端部の側面とが互いに当接されて接合されており、この接合部に防水部5が設けられている。
この防水部5は横枠本体4aの端面とサッシ縦枠3の下端部の側面のうちの少なくともいずれか一方に止水材を塗布するかまたは止水材を貼り付けたうえで、横枠本体4aの端面とサッシ縦枠3の下端部の側面とを互いに当接して接合することによって構成されている。
また、サッシ縦枠3は建物1の開口部を形成する縦枠材6に固定されており、サッシ縦枠3の下端面は支持枠4bの端部上面に当接接合されている。
【0025】
サッシ横枠4の横枠本体4aの端部の内部には、漏水センサ7aが防水部5の直下に設けられている。漏水センサ7aは横枠本体4aの内部の底面に、横枠本体4aを横切るようにして設置されている。なお、横枠本体4aに底面がない場合は、支持枠4bの上面に漏水センサ7aを設置する。
漏水センサ7aを横枠本体4aの内部の底面に設置する場合、例えば防水部5の直下に設けるか、あるいは防水部5の直下との間に僅かな隙間をもって設置してもよい。
本例の場合、防水部5が上下に向けて設けられており、防水部5の直下に漏水センサ7aが設置されているので、この防水部5の表面5aが漏水を漏水センサ7aに誘導する誘導手段5aとなる。
【0026】
前記漏水センサ7aは、図2に示すように、報知手段10に接続されている。報知手段10は、検知器11と表示器(表示モニタ)12によって構成されている。
検知器11および表示器12にはそれぞれ漏水センサ7aが接続されている。
検知器11は、漏水センサ7aに漏水が付着した際に、この漏水センサ7aからの漏水検知信号を受信して、漏水を検知して報知するようになっている。例えば、漏水センサ7aから漏水検知信号を受信すると、検知器11に設けられたランプが点滅することによって、漏水を住人に報知するようになっている。
表示器12は、漏水センサ7aに漏水が付着した際に、この漏水センサ7aからの漏水検知信号を受信して、漏水したことを表示するようになっている。例えば、漏水センサ7aから漏水検知信号を受信すると、表示器12の画面に漏水個所を文字や図によって示すようになっている。図で示す場合、例えば、表示器12の画面に建物の間取り図と、この間取り図における漏水個所を示すようになっている。
【0027】
また、本例では、建物1に設けられた配管13a,13bの接合部に防水部14が設けられており、この防水部14の直下に漏水センサ7bが設けられている。本例の場合、防水部14が上下に向けて設けられており、この防水部14の直下に漏水センサ7bが設けられているので、この防水部14の表面14aが漏水を漏水センサ7bに誘導する誘導手段14aとなる。
前記漏水センサ7bも、漏水センサ7aと同様に、報知手段10を構成する検知器11および表示器12にそれぞれ接続されている。
【0028】
報知手段10を構成する表示器12は、インターネットNを介して、外部の漏水状況管理会社15のコンピュータ16に接続されている。
そして、表示器12は、漏水センサ7a,7bで漏水を検知した際にその漏水検知情報をコンピュータ16に送信するようになっている。
このコンピュータ16では、前記漏水検知情報を受信すると、表示画面にどの建物のどの個所に漏水があったかを表示するとともに、ランプが点滅するようになっている。
つまり、表示器12は漏水検知情報とともに、建物固有のID番号等をコンピュータ16に送信し、コンピュータ16では、ID番号によって、建物を特定するとともに、この建物の情報を記憶装置から呼び出して、表示画面にどの建物のどの個所に漏水があったかを表示するようになっている。
【0029】
本実施の形態によれば、防水部5,14を通過した漏水が誘導手段5a,14aによって漏水センサ7a,7bに誘導され、この漏水センサ7a,7bに漏水が付着して漏水を検知すると、その旨を報知手段10の検知器11および表示器12が報知するので、従来のようなファイバースコープ等のセンサを挿入することなく、点検が困難な、サッシ内部や配管内部などの漏水検査を迅速に、しかも簡単かつ確実に行うことができる。
また、誘導手段5a,14aによって漏水を漏水センサに誘導するので、漏水をより確実に検知できる。
【0030】
また、報知手段10が建物内に設けられた表示器12に漏水したことを表示するので、住人は漏水を素早く知ることができる。
さらに、漏水センサ7a,7bで漏水を検知した際にその漏水検知情報を報知手段10の表示器12が漏水状況管理会社15のコンピュータ16に送信するので、漏水状況管理会社が漏水を素早く知ることができ、その後の対処を迅速に行える。
【0031】
(第2の実施の形態)
図3および図4は、本発明に係る漏水検知構造をサッシ枠の接合部に適用した他の例を示すもので、図3は要部の側断面図、図4は同平断面図である。
本例では、前記第1の実施の形態と同様に、建物1の開口部にはめ込まれたサッシ枠2は、サッシ縦枠3とサッシ横枠4とを矩形枠状に組み立てることによって形成されている。
横枠本体4aの端面とサッシ縦枠3の下端部の側面とは互いに当接されて接合されており、この接合部に第1の実施の形態と同様にして防水部5が設けられている。
また、サッシ縦枠3は建物1の開口部を形成する縦枠材6に固定されており、サッシ縦枠3の下端面は支持枠4bの端部上面に当接接合されている。
【0032】
前記防水部5の下方には、漏水センサ20が設けられている。この漏水センサ20は第1漏水センサ部20aと第2漏水センサ部20bとによって構成されている。
サッシ横枠4を構成する横枠本体4aの下壁部および支持枠4bの上壁部には、前記防水部5の直下において水抜き穴21が形成されている。また、この水抜き穴21は図4に示すように、横枠本体4aの幅方向に所定間隔で2個形成され、さらに、サッシ縦枠3の下端の一部を切り欠くことによって形成されている。
【0033】
サッシ横枠4を構成する支持枠4b内には、サッシ枠2の内側から外側に向けて下方に傾斜する傾斜面22が設けられている。この傾斜面22は防水部5の直下から外側下方に向けて傾斜しており、この傾斜面22の上側に前記第1漏水センサ部20aが傾斜面22を横切るようにして設けられ、この第1漏水センサ部20aより下側に第2漏水センサ部20bが傾斜面22を横切るようにして設けられている。
第2漏水センサ部20bは、傾斜面22の下端部に設けられており、この部位は漏水が滞留する構造となっている。つまり、第2漏水センサ部20bが設けられた部位は、傾斜面22と支持枠4bの内壁面23a,23bとによって囲まれており、この囲まれた部分に漏水が滞留するようになっている。
また、滞留した漏水は、支持枠4bの内壁面23aを形成する壁に、図示しない栓付きの孔が形成され、栓を取り外すことによって、外部に排出できるようになっている。
【0034】
前記漏水センサ20を構成する第1漏水センサ部20aおよび第2漏水センサ部20bは、第1の実施の形態と同様に、報知手段10を構成する検知器11および表示器12にそれぞれ接続されている。
第1漏水センサ部20aが、第2漏水センサ部20bより傾斜面22の上側に設けられているので、防水部5を通過した漏水は傾斜面22を流下して第1漏水センサ部20aに達して付着し、この第1漏水センサ部20aによって滴下した漏水を検知し、この漏水検知信号を前記検知器11および表示器12によって受信するようになっている。
また、第2漏水センサ部20bが設けられた部位は漏水が滞留する構造となっているので、第1漏水センサ部20aを継続的に漏水が通ると、第2漏水センサ部20bが設けられた部位に漏水が滞留し、これを第2漏水センサ部20bが検知し、この漏水検知信号を前記検知器11および表示器12によって受信するようになっている。
また、表示器12は、インターネットNを介して、外部の漏水状況管理会社15のコンピュータ16に接続され、漏水センサ20で漏水を検知した際にその漏水検知情報をコンピュータ16に送信するようになっている。
【0035】
また、本例では、漏水センサ20によって検知した傾向(降雨条件、頻度、部位)によってメンテナンスを行う。
(i)降雨によって漏水センサ20が漏水を検知した場合
(a)通常の雨(降雨条件:20mm/h以下程度)で検知された場合、止水材など防水部材の耐用年数を迎えたものとし、交換を行う。このような検知情報は表示器12から漏水状況管理会社15のコンピュータ16に送信されることによって、漏水状況管理会社のメンテナンススタッフが行う。
(b)台風などの雨(降雨条件:30mm/h以上程度)で検知された場合、止水材などの防水部材の耐用年数ではなく、一時的なもの(一時的な雨漏れでは構造躯体は劣化しない)とし、経過観察を行う。このような検知情報は表示器12から漏水状況管理会社15のコンピュータ16に送信されることによって、漏水状況管理会社が状況を把握するに留める。
【0036】
(ii)建物の高圧洗浄によって漏水センサ20が漏水を検知した場合
前提条件として、高圧洗浄を行う際に、足場が掛かっており、高圧で水を掛けるため、現状現れていない劣化の強制再現を行う。高所作業となるため、2階以上のサッシのメンテナンス(止水材の交換)には足場が必須である。
(a)2階以上のサッシで漏水が検知された場合、足場が掛かっているため、トータルメンテナンスコストを考慮し、サッシの止水材の交換を行う。
(b)1階のサッシで漏水が検知された場合、メンテナンス(止水材の交換)には足場が不要のため、経過観察とする。
このように、適切な時期にメンテナンス(止水材の交換)を行えることにより、高額なメンテナンス費用(サッシ解体、止水材交換)を軽減できる。
【0037】
本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と同様の効果を得られる他、以下のような効果が得られる。
サッシ縦枠3とサッシ横枠4との接合部に設けられた防水部5を通過した漏水が水抜き穴21を通って傾斜面22を流下して、漏水センサ20に誘導され、この漏水センサ20が漏水を検知すると、その旨を報知手段10が報知するので、点検が困難な、サッシ内部の漏水検査を迅速に、しかも簡単かつ確実に行うことができる。
また、漏水を漏水センサ20に誘導する誘導手段が傾斜面22によって構成されているので、誘導手段を容易に形成できるとともに、重力によって漏水を漏水センサ20に確実に誘導できる。
さらに、第1漏水センサ部20aが、第2漏水センサ部20bより傾斜面22の上側に設けられているので、防水部5を通過した漏水は傾斜面22を流下して第1漏水センサ部20aに達し、この第1漏水センサ部20aによって滴下した漏水を検知できる。
また、第2漏水センサ部20bが設けられた部位は漏水が滞留する構造となっているので、第1漏水センサ部20aを継続的に漏水が通ると、第2漏水センサ部20bが設けられた部位に漏水が滞留し、これを第2漏水センサ部20bが検知する。したがって、この検知によって漏水が継続的に生じていることを検知できる。
つまり、漏水が第1漏水センサ部20aに付着した際は第1漏水センサ部20aによって漏水を検知できるが、この検知だけでは漏水が断続的なのか継続的なのかを知ることは困難であるが、第2漏水センサ部20bの周囲に漏水が滞留し、この漏水を第2漏水センサ部20bが検知することによって、漏水が継続的であるのを検知できる。
また、傾斜面22を流下する漏水はサッシ枠2の内側から外側に向かうので、この漏水をサッシ枠2の外側に容易に排出できる。
【0038】
(第3の実施の形態)
図5は本発明に係る漏水検知構造をサッシ枠の接合部に適用した具体例を示すもので、分解斜視図である。
図5に示すように、建物の開口部には、サッシ枠32がはめ込まれている。サッシ枠32は、左右のサッシ縦枠33,33と上下のサッシ横枠34,35とを矩形枠状に組み立てることによって形成されている。
下のサッシ横枠35は、レール部36の下方と側方に、それぞれサッシ横枠35の長手方向に延在する空洞部37a,37bを有している。
一方、サッシ縦枠33の下端部は、サッシ横枠35の端部にビス38によって接合されるようになっている。そして、この接合部には防水部40が設けられている。この防水部40は、サッシ縦枠33の下端部に止水材を塗布するかまたは止水材を貼り付けたうえで、サッシ横枠35の端面とサッシ縦枠33の下端部の側面とを互いに当接して接合することによって構成されている。
なお、サッシ縦枠33は建物の開口部を形成する鉄骨フレーム41に固定されており、サッシ横枠35は前記開口部を形成する鉄骨フレーム42に固定され、さらに、サッシ縦枠35の下端面は鉄骨フレーム42の端部上面に当接接合されている。
【0039】
サッシ横枠35の空洞部37a,37bの端部には、それぞれ漏水センサ43,43が挿入され、空洞部37a,37bの底面に設置されている。漏水センサ43,43の端部は前記防水部40の直下に設けられている。
本例の場合、防水部40が上下に向けて設けられており、防水部40の直下に漏水センサ43,43が設置されているので、この防水部40の表面40aが漏水を漏水センサ43,43に誘導する誘導手段40aとなる。
前記漏水センサ43,43は、当該漏水センサ43,43で漏水を検知した際にその旨を報知する図示しない報知手段に接続されているが、この報知手段の構成は、図2に示した報知手段10と同じ構成であるので、その説明を省略する。
【0040】
本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と同様に、防水部40を通過した漏水が誘導手段40aによって漏水センサ43,43に誘導され、この漏水センサ43,43に漏水が付着して漏水を検知すると、その旨を報知手段の検知器および表示器が報知するので、従来のようなファイバースコープ等のセンサを挿入することなく、点検が困難な、サッシ内部や配管内部などの漏水検査を迅速に、しかも簡単かつ確実に行うことができる。
また、誘導手段40aによって漏水を漏水センサ40に誘導するので、漏水をより確実に検知できる。
【0041】
(第4の実施の形態)
図6は本発明に係る漏水検知構造をサッシ枠の接合部に適用した具体例を示すもので、側断面図である。
図6に示すように、建物の開口部にはめ込まれたサッシ枠のうち、下のサッシ横枠45は、レール部46の下方に空洞部47を有している。
一方、サッシ縦枠の下端部は、サッシ横枠45の端部にビスによって接合されるようになっている。そして、この接合部には防水部50が設けられている。この防水部50は、サッシ縦枠の下端部に止水材を塗布するかまたは止水材を貼り付けたうえで、サッシ横枠45の端面とサッシ縦枠の下端部の側面とを互いに当接して接合することによって構成されている。
【0042】
サッシ横枠45の空洞部47の端部には、二つの漏水センサ53,53が左右に離間して挿入され、空洞部47の底面に設置されている。漏水センサ53,53の端部は前記防水部50の直下に設けられている。
本例の場合、防水部50が上下に向けて設けられており、防水部50の直下に漏水センサ53,53が設置されているので、この防水部50の表面50aが漏水を漏水センサ43,43に誘導する誘導手段50aとなる。
前記漏水センサ53,53は、当該漏水センサ53,53で漏水を検知した際にその旨を報知する図示しない報知手段に接続されているが、この報知手段の構成は、図2に示した報知手段10と同じ構成であるので、その説明を省略する。
【0043】
本実施の形態によれば、前記第1および第3の実施の形態と同様に、防水部50を通過した漏水が誘導手段50aによって漏水センサ53,53に誘導され、この漏水センサ53,53に漏水が付着して漏水を検知すると、その旨を報知手段の検知器および表示器が報知するので、従来のようなファイバースコープ等のセンサを挿入することなく、点検が困難な、サッシ内部や配管内部などの漏水検査を迅速に、しかも簡単かつ確実に行うことができる。
また、誘導手段50aによって漏水を漏水センサ53に誘導するので、漏水をより確実に検知できる。
【符号の説明】
【0044】
1 建物
2 サッシ枠
3 サッシ縦枠
4,35,45 サッシ横枠
5,14,40,50 防水部
5a,14a,40a,50a 表面(誘導手段)
7a,7b,20,43,53 漏水センサ
10 報知手段
11 検知器
12 表示器(表示モニタ)
15 漏水状況管理会社
16 コンピュータ
20a 第1漏水センサ部
20b 第2漏水センサ部
21 水抜き穴
22 傾斜面(誘導手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に設けられた防水部の漏水を検知する漏水検知構造であって、
前記防水部またはその近傍に設けられた漏水センサと、
前記防水部を通過した漏水を前記漏水センサに誘導する誘導手段と、
前記漏水センサに接続されて、当該漏水センサで漏水を検知した際にその旨を報知する報知手段とを備えたことを特徴とする漏水検知構造。
【請求項2】
前記誘導手段は、前記防水部の所定の箇所から前記漏水センサに向けて下方に傾斜する傾斜面によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の漏水検知構造。
【請求項3】
前記建物に設けられたサッシ枠のサッシ縦枠とサッシ横枠との接合部に前記防水部が設けられており、
前記防水部の下方に前記漏水センサが設けられており、
前記防水部の直下において前記サッシ枠に水抜き穴が形成され、
この水抜き穴と前記漏水センサとの間に前記傾斜面が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の漏水検知構造。
【請求項4】
前記漏水センサは、第1漏水センサ部と第2漏水センサ部とを備えており、
前記第1漏水センサ部は、前記第2漏水センサ部より前記傾斜面の上側に設けられ、
前記第2漏水センサ部が設けられた部位は漏水が滞留する構造となっていることを特徴とする請求項3に記載の漏水検知構造。
【請求項5】
前記傾斜面は前記サッシ枠内に設けられ、かつこのサッシ枠の内側から外側に向けて下方に傾斜していることを特徴とする請求項3または4に記載の漏水検知構造。
【請求項6】
前記報知手段は、前記建物内に設けられた表示モニタに漏水したことを表示することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の漏水検知構造。
【請求項7】
前記報知手段は、外部の漏水状況管理会社のコンピュータに接続されており、前記漏水センサで漏水を検知した際にその検知情報を前記コンピュータに送信することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の漏水検知構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−154706(P2012−154706A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12491(P2011−12491)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(307042385)ミサワホーム株式会社 (569)
【出願人】(504093467)トヨタホーム株式会社 (391)
【Fターム(参考)】