説明

演算回路及び画像認識装置

【課題】 回路規模を低減する演算回路及び画像認識装置を提供する
【解決手段】 画像認識装置2は、カメラ3から撮影画像を表す画像データを入力して、入力した画像データから、車両を特徴付ける2つの特徴量x1,x2を抽出する特徴量抽出部6と、抽出した特徴量に基づいて、車両を表す画像が撮影画像内に含まれているか否かを判定する判定量Pc(wa)を演算する判定量演算部7とを備える。また判定量演算部7は、正規分布に従う乱数を発生させることにより、正規分布の累積確率を算出する回路と、一様分布に従う乱数を発生させることにより、ベイズ(Bayes)の定理に基づいた逆数演算を行う回路と、複数の入力値それぞれに応じた比率で論理1となるパルス列を生成し、生成した複数のパルス列の論理和演算をすることにより、Dempster−Shaferの結合定理に基づいて加算を行う回路とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演算回路及びこの演算回路を用いた画像認識装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車における安全運転支援やヒューマンインターフェースを実現するために、画像認識が重要となってきている。
このような画像認識において、1つの入力のみに基づいて画像認識処理を行うと、しばしば誤認識が生じる。例えば、画像からの顔認識において、肌色の領域を抽出して顔を認識する方法がある。しかしながら、この認識方法では肌色の物体を全て顔と認識するため、肌色の服や手なども顔と誤認識されることがある。また、光の加減によって影が生じて色が肌色でなくなるために、認識できないことがある。即ち画像認識するための判断基準は、不確実なものである場合が多い。
【0003】
このため、複数の入力を用いて処理した結果を総合的に判断することが、ロバスト性を向上させるために有効と考えられる。この考えに基づいて、条件の不確実さを確率を用いて処理する方法が用いられている。
【0004】
例えば、画像から顔の領域を検出するために、肌色情報,背景の情報,動きの情報の3情報のそれぞれを基に、画像に顔が含まれる確率を算出し、これら3つの確率を統合することによって、従来よりもロバストな画像認識を可能にしたものが知られている(例えば、非特許文献1参照。)。また、画像中の人物の性別を認識するために、男女別の顔と髪型の情報のそれぞれを基に、男性(または女性)である確率を算出し、これら2つの確率を統合することによって、従来よりもロバストな画像認識を可能としたものが知られている(例えば、非特許文献2参照。)。
【0005】
尚、上記非特許文献1,非特許文献2に記載の技術では、確率を統合するための演算として、ベイズ(Bayes)の定理、及びDempster−Shaferの結合定理を用いており、理論的に裏付けのある画像認識方法となっている。
【0006】
更に、入力画像内の対象物を検出するために、入力画像内における対象物の存在を支持する程度を示す支持度を正規分布から算出し、算出した複数の支持度をDempster−Shaferの結合定理を用いて統合する画像処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【非特許文献1】浅沼 克紀、外3名,「色情報と領域追跡情報を用いた人物の顔と手の領域の抽出」,電学論C,平成11年,119巻11号,p.1351−1358
【非特許文献2】今泉 聡、外5名,「複数情報の統合による人物の性別・年齢層の推定法」,信学技報,社団法人電子情報通信学会,2003年11月
【特許文献1】特開平11−15945号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで上記特許文献1の画像処理装置では、正規分布を用いた支持度の演算や、Dempster−Shaferの結合定理を用いた複数の支持度の統合演算処理が中央演算処理装置(CPU)により実行されている。
【0008】
しかしながら、このような支持度演算や統合演算では、多数の加算,減算,乗算,除算等を行う必要がある。このため、支持度演算や統合演算を高速に行うには、高速な演算性能を有するCPU、つまり高価なCPUを搭載する必要がある。このため、画像処理装置のコストの増大を招くという問題が生じる。
【0009】
そこで、画像処理装置において支持度演算や統合演算を行う部分を、回路やメモリを利用した専用の演算回路で構成して複数の演算を同時に実行させることにより、演算時間の低減を図る方法が考えられる。しかしながら、このような専用回路では、回路規模が非常に大きなものとなり、回路コストの増大を招くという問題が生じる。
【0010】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、回路規模を低減する演算回路及び画像認識装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するためになされた第1発明の演算回路では、正規乱数生成回路は、予め設定された所定値を期待値とした正規分布に従う正規分布乱数を連続して生成する。そして第1計数回路は、入力された第1入力値と、正規乱数生成回路で生成された正規分布乱数の値である生成乱数値とを比較し、この比較結果に基づいて、生成乱数値が第1入力値より大きい回数または小さい回数を計数する。
【0012】
即ち、正規乱数生成回路で生成された乱数値を横軸、生成された乱数の個数を縦軸にとると、図16に示すような、正規分布となる。そして、第1計数回路の計数値は、第1入力値から+∞まで(生成乱数値が第1入力値より大きい回数を計数する場合(図16(a)参照))の値を有する乱数の総数、または−∞から第1入力値まで(生成乱数値が第1入力値より小さい回数を計数する場合(図16(b)参照))の乱数の総数を示す。
【0013】
このため、第1発明の演算回路によれば、正規分布における第1入力値から+∞までの累積確率(生成乱数値が第1入力値より大きい回数を計数する場合)、または−∞から第1入力値までの累積確率(生成乱数値が第1入力値より小さい回数を計数する場合)を算出することができる。
【0014】
尚、従来の正規分布の累積確率を算出する回路としては、第1入力値と、この第1入力値における−∞から第1入力値までの累積確率値とを対応付けて、ROMなどの記憶領域に格納し、入力した第1入力値に応じて、この第1入力値に対応した累積確率値を記憶領域から読み出すものが考えられる。この場合、第1入力値と累積確率値の精度をそれぞれ8ビットとすると、記憶領域は65536ビットの記憶容量を必要とするため、回路規模が大きくなる。
【0015】
一方、第1発明の演算回路では、正規分布に従う乱数を発生させる回路と、2つの値を比較する回路と、計数する回路とを備えることで正規分布の累積確率を算出するための回路を構成することができる。つまり、正規分布の累積確率を算出する回路を少ない回路数で構成することができる。このため、従来の正規分布の累積確率を算出する回路よりも回路規模を小さくすることができる。
【0016】
ところで、中心極限定理により、分布が有限な乱数を多数加えると正規分布に近づくことが知られている。例えば、−Xm(Xmは正の整数)からXmまでの値をとる一様分布U(−Xm,Xm)をn個(nは正の整数)加えた値の分布は、期待値=0,分散=n・(Xm)2/3の正規分布となる。
【0017】
そこで、正規分布に従う正規分布乱数を生成するために、正規乱数生成回路は、予め設定された第1所定数値範囲内で一様乱数を連続して生成する回路である複数の第1一様乱数生成回路と、複数の第1一様乱数生成回路のそれぞれで生成された乱数の値の総和をとる加算回路とから構成されるようにするとよい。
【0018】
ところで、周知のベルヌーイ試行(即ち、成功または失敗の2種類の結果しか持たない試行)において、n回目(n=1,2,3,…)の試行で初めて成功する確率P(X=n)は、1回のベルヌーイ試行が成功となる確率(成功確率)をp、1回のベルヌーイ試行が失敗となる確率をq=(1−p)として、下式(1)で表され、幾何分布と呼ばれる。
【0019】
P(X=n)= p・qn-1 ・・・・(1)
また幾何分布をなす確率変数Xの期待値E(X)は、下式(2)で表される。
E(X)= 1/p ・・・・(2)
即ち、成功確率pのベルヌーイ試行を行い、初めて成功するまでの回数の期待値をとると、1/p(つまり、pの逆数)を求めることができる。
【0020】
例えば、成功確率pが1/2のベルヌーイ試行を行うと、1回目で初めて成功となる確率P(X=1)は1/2、2回目で初めて成功となる確率P(X=2)は1/4、3回目で初めて成功となる確率P(X=3)は1/8、・・・となり、平均するとE(X)= 1/(1/2)=2回目で初めて成功となる。
【0021】
そこで第2発明の演算回路では、第2一様乱数生成回路は、予め設定された第2所定数値範囲内で一様乱数を連続して生成する。そして第2計数回路は、入力された第2入力値と、第2一様乱数生成回路で生成された乱数の値である第2生成一様乱数値とを比較し、この比較結果に基づいて、第2入力値が第2生成一様乱数値より大きくなるまでの間に、第2一様乱数生成回路で乱数が生成された回数を計数する。
【0022】
即ち第2一様乱数生成回路では一様に乱数を生成するため、第2入力値が第2生成一様乱数値より大きくなる確率(以降、第2入力大確率と称す)は、第2入力値に比例する。そして第2計数回路では、第2入力大確率を成功確率pとしたベルヌーイ試行を行い、初めて成功するまでの回数を計数することと同様の演算を行う。従って、第2入力値が第2生成一様乱数値より大きくなるまでの間に第2一様乱数生成回路で乱数が生成された回数(以降、最終第2計数値と称す)は、第2入力大確率の逆数に相当する。つまり、第2入力大確率は第2入力値に比例するため、第2計数回路における計数値に基づいて、第2入力値の逆数を求めることができる。
【0023】
尚、従来の逆数演算回路は、除算回路を用いて実現される。この除算回路は、複数のレジスタ,減算回路及び比較回路で構成されるため、回路規模が大きくなる(例えば、川又晃著,「ディジタル回路」,日刊工業新聞社,p129−133参照、または、特開平5−73271号公報参照)。
【0024】
一方、第2発明の演算回路では、一様乱数を発生させる回路と、2つの値を比較する回路と、計数する回路とを備えることで逆数演算するための回路を構成することができる。つまり、逆数演算するための回路を少ない回路数で構成することができる。このため、従来の逆数演算回路よりも回路規模を小さくすることができる。
【0025】
尚、第2計数回路における最終第2計数値は、初めて成功するまでの回数を1回のみ計数したものである。このため、最終第2計数値を繰り返し求めてこの分布をとると、第2入力大確率の逆数を中心にばらついたものとなる。つまり最終第2計数値は、第2入力大確率の逆数を正確に反映したものとはなっていない。
【0026】
従って、第2入力大確率の逆数を精度よく求めるには、最終第2計数値の平均値を求める必要がある。
そして最終第2計数値の平均値を求めるには、最終第2計数値を繰り返し求めて、この平均値を算出する方法が容易に考えられる。
【0027】
或いは、第2入力値が第2生成一様乱数値より大きくなる回数が予め設定された所定判定値に達するまでの間に、第2一様乱数生成回路で乱数が生成された回数(以降、第2乱数生成回数と称す)を計数するようにしてもよい。
【0028】
例えば、成功確率が1/4のベルヌーイ試行を行うと、前回成功してから次に成功するまでのベルヌーイ試行回数は1,2,・・・4,5,・・・回とばらつく。しかし、500回成功するまでに行われたベルヌーイ試行回数を計数すると、初めて成功するまでの回数の期待値は4回であるため(式(2)参照)、2000回近傍の値になる。また、成功確率が1/3では1500回、成功確率が1/2では1000回となる。即ち、最終第2計数値がばらついていても、所定判定値を十分大きくすると、最終第2計数値の平均値に応じた値に第2乱数生成回数は収束する。このため、第2乱数生成回数に基づいて、第2入力大確率の逆数を精度よく求めることができる。
【0029】
そこで第3発明の演算回路では、第2一様乱数生成回路は、予め設定された第2所定数値範囲内で一様乱数を連続して生成する。そして第3計数回路は、入力された第3入力値と、第2一様乱数生成回路で生成された乱数の値である第2生成一様乱数値とを比較し、この比較結果に基づいて、第3入力値が第2生成一様乱数値より大きい回数を計数する。更に第4計数回路は、第3計数回路で計数された計数値が予め設定された所定判定値に達するまでの間に、第2一様乱数生成回路で乱数が生成された回数を計数する。
【0030】
即ち、第4計数回路で計数された計数値は、上記の第2乱数生成回数に相当する。このため第3発明の演算回路によれば、第4計数回路における計数値に基づいて、第2発明の演算回路よりも精度よく逆数演算を行うことができる。
【0031】
ところで、確率を統合する場合には、ベイズ(Bayes)の定理がよく用いられている。このベイズ(Bayes)の定理は、特徴量がxの時に認識結果がwkとなる「確からしさ」をP(wk|x)、認識結果がwkとした時に特徴量がxとなる確率をP(x|wk)、認識結果wkが現れる確率をP(wk)、特徴量xが現れる確率をP(x)として、下式(3),(4)で表される
【0032】
【数1】

【0033】
即ち、ベイズ(Bayes)の定理を用いた演算を行うためには、逆数演算を行う必要がある。
そこで、ベイズ(Bayes)の定理を用いた演算を行う第4発明の演算回路では、ベイズ(Bayes)の定理に基づいて逆数演算を行う回路が、第2発明または第3発明の演算回路で構成されるようにするとよい。
【0034】
このように構成された第4発明の演算回路によれば、第2発明または第3発明の演算回路と同様の効果を得ることができる。
またベイズ(Bayes)の定理を用いた演算を行うためには、乗算を行う必要がある。
【0035】
そこで第4発明の演算回路では、予め設定された第3所定数値範囲内で一様乱数を生成する回路である第3一様乱数生成回路を有し、入力した第4入力値に応じた回数だけ、第3一様乱数生成回路で生成された乱数によって示される値である第3生成一様乱数値と、入力した第5入力値とを比較し、この比較結果に基づいて、第3生成一様乱数値が第5入力値より大きい回数または小さい回数を計数することにより、第4入力値に第5入力値を乗算した値に相当する値を算出するように構成された乗算回路を備えるようにするとよい。
【0036】
このように構成された第4発明の演算回路では、一様乱数を発生させる回路と、2つの値を比較する回路と、計数する回路とを備えることで乗算回路を構成することができる。つまり、乗算するための回路を少ない回路数で構成することができる。このため、第4発明の演算回路の回路規模を更に小さくすることができる。
【0037】
また第5発明の演算回路では、第1パルス列生成回路は、0から1までの値で入力する第6入力値に応じた比率を第6入力値比率とし、この第6入力値比率でランダムに論理1となる第1パルス列を生成する。また第2パルス列生成回路は、0から1までの値で入力する第7入力値に応じた比率を第7入力値比率とし、この第7入力値比率でランダムに論理1となる第2パルス列を生成する。そして第1論理和回路は、第1パルス列生成回路によって生成された第1パルス列と、第2パルス列生成回路によって生成された第2パルス列とに基づいて、第1パルス列の半分の比率でランダムに論理1となるパルス列と、第2パルス列の半分の比率でランダムに論理1となるパルス列との論理和をとった第3パルス列を生成する。
【0038】
即ち、論理和演算を行う2入力の論理和回路に、確率P(x1)で論理1となる入力パルス列と、確率P(x2)で論理1となる入力パルス列とが入力した場合の、この論理和回路から出力される出力パルス列における論理1となる確率pは、下式(4)で表される。
【0039】
p=P(x1)+P(x2)−P(x1)・P(x2) ・・・・(4)
従って、第1パルス列の半分の比率で論理1となるパルス列において論理1となる確率を「P(x1)/2」、第2パルス列の半分の比率で論理1となるパルス列において論理1となる確率を「P(x2)/2」とすると、第3パルス列において論理1となる確率p3は、式(4)においてP(x1)→「P(x1)/2」,P(x2)→「P(x2)/2」と置き換えることによって、下式(5)で表される。
【0040】
p3=(P(x1)+P(x2))/2−P(x1)・P(x2)/4 ・・・・(5)
即ち、第3パルス列において論理1となる確率は、誤差「P(x1)・P(x2)/4」で、第6入力値と第7入力値とを加算した値を反映した値となる。このため、第3パルス列において論理1となる確率に基づいて、第6入力値と第7入力値との加算値を算出できる。
【0041】
このように構成された第5発明の演算回路では、入力値に応じた比率でパルス列を生成する回路と、論理和演算を行う回路とを備えることで、入力した2つの入力値の加算値を表す情報を含む信号を出力することができる。つまり、加算するための回路を少ない回路数で構成することができる。即ち第5発明の演算回路によれば、多ビットの2つの入力値を加算して、この加算値を表す情報を含む信号を多ビットで出力する一般的な従来の加算器よりも、回路規模を小さくすることができる。
【0042】
但し、第3パルス列において論理1となる確率は、誤差「P(x1)・P(x2)/4」分だけ第6入力値と第7入力値との加算値を正確に反映していない。
そこで第5発明の演算回路において、第6入力値と第7入力値とを加算した値の半分の値に応じた比率を加算値比率とするとともに、パルス列において論理1となる比率を論理1比率とし、第1パルス列生成回路によって生成された第1パルス列と、第2パルス列生成回路によって生成された第2パルス列とに基づいて、第3パルス列の論理1比率よりも、加算値比率との差が小さい論理1比率となる第4パルス列を生成する第4パルス列生成回路を備えるようにするとよい。
【0043】
このように構成された演算回路によれば、第3パルス列に基づく場合よりも、精度よく第6入力値と第7入力値との加算値を算出できる。
なお第4パルス列生成回路は、具体的には、第1パルス列生成回路によって生成された第1パルス列と、第2パルス列生成回路によって生成された第2パルス列との論理積をとった第5パルス列を生成する第1論理積回路と、第1論理和回路によって生成された第3パルス列と、第1論理積回路によって生成された第5パルス列との論理和をとったパルス列を第4パルス列として生成する第2論理和回路とから構成されるようにしてもよい。
【0044】
即ち、第1論理積回路で生成される第5パルス列は、下式(6)で表される確率p5で論理1となる。
p5=P(x1)・P(x2) ・・・・(6)
そして、第2論理和回路で生成される第4パルス列は、下式(7)で表される確率p4で論理1となる。
【0045】
p4=(P(x1)+P(x2))/2+{3−2P(x1)−2P(x2)+P(x1)・P(x2)}/4 ・・・・(7)
尚、第3パルス列の論理1比率に基づいて、第6入力値と第7入力値との加算値を算出するには、予め設定された第1所定計数期間の間に第3パルス列において論理1となった回数を計数する第5計数回路を備えるようにすればよい。また、第4パルス列の論理1比率に基づいて、第6入力値と第7入力値との加算値を算出するには、予め設定された第1所定計数期間の間に第4パルス列において論理1となった回数を計数する第6計数回路を備えるようにすればよい。
【0046】
即ち、第5計数回路または第6計数回路で計数された計数値に基づいて、第6入力値と第7入力値との加算値を求めることができる。
また第6発明の演算回路では、第6パルス列生成回路は、0から1までの値で入力する第8入力値に応じた比率を第8入力値比率とし、この第8入力値比率で論理1となる第6パルス列を生成する。また第7パルス列生成回路は、0から1までの値で入力する第9入力値に応じた比率を第9入力値比率とし、この第9入力値比率で論理1となる第7パルス列を生成する。そして第2論理積回路は、第6パルス列生成回路によって生成された第6パルス列と、第7パルス列生成回路によって生成された第7パルス列との論理積をとった第8パルス列を生成する。
【0047】
即ち、論理和演算を行う2入力の論理積回路に、確率P(x1)で論理1となる入力パルス列と、確率P(x2)で論理1となる入力パルス列とが入力した場合に、この論理積回路から出力される第8パルス列は、下式(8)で表される確率p8で論理1となる。
【0048】
p=P(x1)・P(x2) ・・・・(8)
従って、第8パルス列において論理1となる確率は、第8入力値と第9入力値とを乗算した値を反映した値となる。このため、第8パルス列において論理1となる確率に基づいて、第8入力値と第9入力値との乗算値を算出できる。
【0049】
このように構成された第6発明の演算回路では、入力値に応じた比率でパルス列を生成する回路と、論理積演算を行う回路とを備えることで、入力した2つの入力値の乗算値を表す情報を含む信号を出力することができる。つまり、乗算するための回路を少ない回路数で構成することができる。即ち第6発明の演算回路によれば、多ビットの2つの入力値を乗算して、この乗算値を表す情報を含む信号を多ビットで出力する一般的な従来の乗算器よりも、回路規模を小さくすることができる。
【0050】
尚、第8パルス列の論理1比率に基づいて、第8入力値と第9入力値との乗算値を算出するには、予め設定された第2所定計数期間の間に第8パルス列において論理1となった回数を計数する第7計数回路を備えるようにすればよい。
【0051】
即ち、第7計数回路で計数された計数値に基づいて、第8入力値と第9入力値との乗算値を求めることができる。
ところで、確率を統合する場合にはDempster−Shaferの結合定理がよく用いられている。このDempster−Shaferの結合定理は、認識対象を認識するための特徴量1の部分集合をA1i,認識対象を認識するための特徴量2の部分集合をA2j,特徴量1の部分集合A1iが現れる確率をm1(A1i),特徴量2の部分集合A2jが現れる確率をm2(A2j),統合後の確率をm(Ak)として、下式(9)で表される。
【0052】
【数2】

【0053】
なお式(9)において、「A1i ∩ A2j=Φ」は、特徴量1から考えると認識対象であると判断できるが特徴量2から考えると認識対象でないと判断できるという矛盾した確率、「A1i ∩ A2j=Ak」は、特徴量1及び特徴量2の少なくとも一方から考えて認識対象であると判断できる確率を示す。
【0054】
即ち、Dempster−Shaferの結合定理を用いた演算を行うためには、加算,逆数演算,乗算を行う必要がある。
そこで、Dempster−Shaferの結合定理を用いた演算を行う第7発明の演算回路では、Dempster−Shaferの結合定理に基づいて加算を行う回路が、第6発明の演算回路で構成されるようにするとよい。
【0055】
このように構成された第7発明の演算回路によれば、第6発明の演算回路と同様の効果を得ることができる。
またDempster−Shaferの結合定理を用いた演算を行う第7発明の演算回路では、Dempster−Shaferの結合定理に基づいて逆数演算を行う回路が、第2発明または第3発明の演算回路で構成されるようにするとよい。
【0056】
このように構成された第7発明の演算回路によれば、第2発明または第3発明の演算回路と同様の効果を得ることができる。
またDempster−Shaferの結合定理を用いた演算を行う第7発明の演算回路では、Dempster−Shaferの結合定理に基づいて乗算を行う回路が、予め設定された第3所定数値範囲内で一様乱数を生成する回路である第3一様乱数生成回路を有し、入力した第4入力値に応じた回数だけ、第3一様乱数生成回路で生成された乱数によって示される値である第3生成一様乱数値と、入力した第5入力値とを比較し、この比較結果に基づいて、第3生成一様乱数値が第5入力値より大きい回数または小さい回数を計数することにより、第4入力値に第5入力値を乗算した値に相当する値を算出するように構成されるようにするとよい。
【0057】
このように構成された第7発明の演算回路では、一様乱数を発生させる回路と、2つの値を比較する回路と、計数する回路とを備えることで乗算回路を構成することができる。このため、第7発明の演算回路の回路規模を更に小さくすることができる。
【0058】
また第8発明の画像認識装置では、特徴量抽出手段は、入力画像から、予め設定された第1所定対象物を特徴付ける複数の特徴量を抽出する。また第1分布発生手段は、複数の特徴量それぞれ毎に、この特徴量に対する、第1所定対象物を示す画像である第1所定対象物画像が入力画像内に含まれる確率の分布を正規分布で示した第1特徴量分布データを発生させるとともに、第2分布発生手段は、複数の特徴量それぞれ毎に、この特徴量に対する、第1所定対象物とは異なる第2所定対象物を示す画像である第2所定物体対象物が入力画像内に含まれる確率の分布を正規分布で示した第2特徴量分布データを発生させる。そして第1条件付き確率算出手段は、第1分布発生手段で発生させた第1特徴量分布データと、特徴量抽出手段により抽出された複数の特徴量の値とに基づいて求められ、複数の特徴量それぞれ毎に、第1所定対象物画像が入力画像内に含まれる確からしさの度合いを示す第1条件付き確率を算出するとともに、第2条件付き確率算出手段は、第2分布発生手段で発生させた第2特徴量分布データと、特徴量抽出手段により抽出された複数の特徴量の値とに基づいて求められ、複数の特徴量それぞれ毎に、第2所定対象物画像が入力画像内に含まれる確からしさの度合いを示す第2条件付き確率を算出する。更に信頼度算出手段は、ベイズ(Bayes)の定理を用いて、第1条件付き確率算出手段により算出された第1条件付き確率と、第2条件付き確率算出手段により算出された第2条件付き確率とを統合することにより求められ、第1所定対象物画像が入力画像内に含まれる確からしさの度合いを示す信頼度を、複数の特徴量毎に算出する。そして信頼度統合手段は、Dempster−Shaferの結合定理に基づき、複数の特徴量毎に算出された信頼度を統合する。
【0059】
そこで第8発明の画像認識装置では、第1分布発生手段及び第2分布発生手段の少なくとも一方は、第1発明の正規乱数生成回路で構成され、第1条件付き確率算出手段及び第2条件付き確率算出手段の少なくとも一方は、特徴量抽出手段により抽出された特徴量を第1入力値とした、第1発明の第1計数回路で構成されるようにするとよい。
【0060】
このように構成された第8発明の画像認識装置によれば、第1発明の演算回路と同様の効果を得ることができる。
また第8発明の画像認識装置では、信頼度算出手段は、ベイズ(Bayes)の定理に基づいて逆数演算を行う回路が、第2発明または第3発明の演算回路で構成されるようにするとよい。
【0061】
このように構成された第8発明の画像認識装置によれば、第2発明または第3発明の演算回路と同様の効果を得ることができる。
また第8発明の画像認識装置では、信頼度統合手段は、Dempster−Shaferの結合定理に基づいて加算を行う回路が、第6発明の演算回路で構成されるようにするとよい。
【0062】
このように構成された第8発明の画像認識装置によれば、第6発明の演算回路と同様の効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0063】
以下に本発明の実施形態について図面をもとに説明する。
図1は、本発明が適用された画像認識システム1の構成を示すブロック図である。
本実施形態の画像認識システム1は車両に搭載されており、図1に示すように、運転者がフロントウィンドウ越しに見ることができる範囲の前景を撮影し、撮影した画像を表す画像データを生成するカメラ3と、カメラ3によって生成された画像データについて画像認識処理を行う画像認識装置2とから構成される。
【0064】
これらのうち画像認識装置2は、カメラ3から撮影画像を表す画像データを入力して、入力した画像データ(以降、入力画像データとも称す)から、車両を特徴付ける2つの特徴量x1,x2(本実施形態では、例えば、大きさ(後述)と縦横比率(後述))を抽出する特徴量抽出部6と、特徴量抽出部6で抽出した特徴量に基づいて、車両を表す画像が撮影画像内に含まれているか否かを判定するための判定量(本実施形態では、後述の統合信頼度Pc(wa))を演算する判定量演算部7と、判定量演算部7で演算された判定量に基づいて、車両を表す画像が撮影画像内に含まれているか否かを判定する判定部8とから構成される。
【0065】
これらのうち特徴量抽出部6は、図13に示すように、カメラ3およびカメラ3’で撮影された画像から、ステレオ撮影の原理により、自車から等距離にあるまとまった画素の集まりを1つの物体領域として抜き出し(以降、物体領域と称す。尚、現段階では、車両候補となる画像)、この画素の総数を特徴量x1(大きさ)とする。また特徴量抽出部6は、抜き出した物体領域を構成する矩形の縦と横の長さの比(つまり、縦長L1/横長L2)を算出し、この値を特徴量x2(縦横比率)とする。
【0066】
次に判定量演算部7は、図2に示すように、特徴量x1を入力して、入力した特徴量x1に基づいて、第1車両信頼度Pt(x1),第1非車両信頼度Pf(x1)及び第1不明信頼度{Pt(x1),Pf(x1)}を出力する第1信頼度演算ブロック11と、特徴量x2を入力して、入力した特徴量x2に基づいて、第2車両信頼度Pt(x2),第2非車両信頼度Pf(x2)及び第2不明信頼度{Pt(x2),Pf(x2)}を出力する第2信頼度演算ブロック13と、第1信頼度演算ブロック11で出力された第1車両信頼度Pt(x1),第1非車両信頼度Pf(x1)及び第1不明信頼度{Pt(x1),Pf(x1)}と、第2信頼度演算ブロック13で出力された第2車両信頼度Pt(x2),第2非車両信頼度Pf(x2)及び第2不明信頼度{Pt(x2),Pf(x2)}とを入力して、これら入力した各信頼度に基づいて、統合信頼度Pc(wa)を出力する信頼度統合ブロック15とから構成される。
【0067】
尚、第1車両信頼度Pt(x1),第1非車両信頼度Pf(x1),第1不明信頼度{Pt(x1),Pf(x1)},第2車両信頼度Pt(x1),第2非車両信頼度Pf(x1),第2不明信頼度{Pt(x1),Pf(x1)}及び統合信頼度Pc(wa)については、後で詳述する。
【0068】
そして第1信頼度演算ブロック11は、図3に示すように、特徴量x1に基づいて、車両を表す画像が物体領域内に含まれる確からしさの度合いを示す第1車両条件付き確率P(x1|wa)を演算する条件付き確率演算回路21と、特徴量x1に基づいて、車両以外のもの(以降、非車両とも称す)を表す画像が物体領域内に含まれる確からしさの度合いを示す第1非車両条件付き確率P(x1|wb)を演算する条件付き確率演算回路23と、第1車両条件付き確率P(x1|wa)と第1非車両条件付き確率P(x1|wb)とに基づいて、第1車両信頼度Pt(x1),第1非車両信頼度Pf(x1)及び第1不明信頼度{Pt(x1),Pf(x1)}を演算する信頼度演算回路25と、予め設定された値を出力するレジスタ22,24とから構成される。
【0069】
そして条件付き確率演算回路21において、入力端子IN1には特徴量抽出部6から特徴量x1の値が入力されるとともに、入力端子IN2にはレジスタ22からの出力値が入力される。更に出力端子OUT1から第1車両条件付き確率P(x1|wa)の値を出力する。
【0070】
また条件付き確率演算回路23において、入力端子IN1には特徴量抽出部6から特徴量x1の値が入力されるとともに、入力端子IN2にはレジスタ24からの出力値が入力される。更に出力端子OUT1から第1非車両条件付き確率P(x1|wb)の値を出力する。
【0071】
また信頼度演算回路25において、入力端子IN3には条件付き確率演算回路21から第1車両条件付き確率P(x1|wa)の値が入力されるとともに、入力端子IN4には条件付き確率演算回路23から第1非車両条件付き確率P(x1|wb)の値が入力される。更に出力端子OUT2,OUT3,OUT4からそれぞれ第1車両信頼度Pt(x1),第1非車両信頼度Pf(x1),第1不明信頼度{Pt(x1),Pf(x1)}の値を出力する。
【0072】
またレジスタ22においては、車両を表す画像が物体領域内に含まれる確率の特徴量x1に対する分布を正規分布で示した分布の期待値wa1が予め設定されている。同様にレジスタ24においては、非車両を表す画像が物体領域内に含まれる確率の特徴量x1に対する分布を正規分布で示した分布の期待値wb1が予め設定されている。
【0073】
次に第2信頼度演算ブロック13は、特徴量x2に基づいて、車両を表す画像が物体領域内に含まれる確からしさの度合いを示す第2車両条件付き確率P(x2|wa)を演算する条件付き確率演算回路31と、特徴量x2に基づいて、非車両を表す画像が物体領域内に含まれる確からしさの度合いを示す第2非車両条件付き確率P(x2|wb)を演算する条件付き確率演算回路33と、第2車両条件付き確率P(x2|wa)と第2非車両条件付き確率P(x2|wb)とに基づいて、第2車両信頼度Pt(x2),第2非車両信頼度Pf(x2)及び第2不明信頼度{Pt(x2),Pf(x2)}を演算する信頼度演算回路35と、予め設定された値を出力するレジスタ32,34とから構成される。
【0074】
そして条件付き確率演算回路31において、入力端子IN1には特徴量抽出部6から特徴量x2の値が入力されるとともに、入力端子IN2にはレジスタ32からの出力値が入力される。更に出力端子OUT1から第2車両条件付き確率P(x2|wa)の値を出力する。
【0075】
また条件付き確率演算回路33において、入力端子IN1には特徴量抽出部6から特徴量x2の値が入力されるとともに、入力端子IN2にはレジスタ34からの出力値が入力される。更に出力端子OUT1から第2非車両条件付き確率P(x2|wb)の値を出力する。
【0076】
また信頼度演算回路35において、入力端子IN3には条件付き確率演算回路31から第2車両条件付き確率P(x2|wa)の値が入力されるとともに、入力端子IN4には条件付き確率演算回路33から第2非車両条件付き確率P(x2|wb)の値が入力される。更に出力端子OUT2,OUT3,OUT4からそれぞれ第2車両信頼度Pt(x2),第2非車両信頼度Pf(x2),第2不明信頼度{Pt(x2),Pf(x2)}の値を出力する。
【0077】
またレジスタ32においては、車両を表す画像が物体領域内に含まれる確率の特徴量x2に対する分布を正規分布で示した分布の期待値wa2が予め設定されている。同様にレジスタ34においては、非車両を表す画像が物体領域内に含まれる確率の特徴量x2に対する分布を正規分布で示した分布の期待値wb2が予め設定されている。
【0078】
次に条件付き確率演算回路21,23,31,33の構成を図4に基づいて説明する。なお図4では、条件付き確率演算回路21で代表して示している。即ち、条件付き確率演算回路23,31,33は条件付き確率演算回路21と同様の構成である。
【0079】
図4に示すように条件付き確率演算回路21は、予め設定された正規分布に従う乱数(例えば10ビット[9:0])を発生させる正規分布乱数発生回路41と、例えば8ビット[7:0]の入力端子IN2の下位ビット側に、2ビット[1:0]で0を示す値「00b」(なお、「00b」のbは2進数を示す記号である)を追加して10ビット[9:0]とするビット追加部42と、例えば8ビット[7:0]の入力端子IN3の下位ビット側に、3ビット[2:0]で0を示す値「000b」を追加して11ビット[10:0]とするビット追加部43と、正規分布乱数発生回路41から入力される乱数値(例えば10ビット[9:0])と、ビット追加部42から入力される値(例えば10ビット[9:0])を加算して、この加算値(例えば11ビット[10:0])を出力する加算器44と、加算器44から入力される値(例えば11ビット[10:0])から、ビット追加部43から入力される値(例えば10ビット[9:0])を減算して、この減算値の最上位ビット(MSB)の値(1または0)を出力する減算器45と、減算器45から1の値が入力される毎にインクリメント(1加算)し、この加算値(例えば13ビット[120:0])を出力するカウンタ46と、カウンタ46からの出力(例えば13ビット[12:0])の下位ビット側に、1ビット[0]で0を示す値「0b」を追加して例えば14ビット[13:0]とし出力端子OUT1に出力するビット追加部47とから構成される。
【0080】
これらのうち正規分布乱数発生回路41は、予め設定された所定数値範囲内(本実施形態では、例えば、−128〜+128の整数)で一様乱数(例えば8ビット[7:0])を連続して生成する一様乱数発生器である複数(本実施形態では4個)の線形シフトレジスタ(以降、LFSR(Linear Feedback Shift Register)と称す)51と、4個のLFSR51からのそれぞれで生成された乱数の値の総和をとり、この総和値(例えば10ビット[9:0])を出力する加算器53とから構成される。
【0081】
このように構成された条件付き確率演算回路21において、正規分布乱数発生回路41は、4個のLFSR51で一様に生成される乱数の総和を加算器53で取る。これにより正規分布乱数発生回路41は、期待値が0の正規分布に従う乱数(10ビット[9:0])を加算器44に出力する(図14参照)。また入力端子IN2とビット追加部42を介して10ビット[9:0]の値が加算器44に入力される。このため加算器44は、入力端子IN2に入力した値(以降、入力値Xin2とも称す)を期待値とした正規分布に従う乱数(11ビット[10:0])を減算器45に出力する。
【0082】
また減算器45には、入力端子IN1とビット追加部43とを介して(11ビット[10:0])の値が入力される。このため減算器45は、加算器44から入力された乱数が、入力端子IN1に入力した値(以降、入力値Xin1とも称す)よりも小さい場合にパルス信号を出力する。
【0083】
そしてカウンタ46では、減算器45から出力されたパルス信号の数を計数する。更にビット追加部47は、カウンタ46の計数値を2倍にした値を出力する。
従って条件付き確率演算回路21は、図14に示すように、入力値Xin2を期待値とした正規分布において、−∞から入力値Xin1までの累積確率を2倍した値を出力する(図14中の網掛け部分を参照)。
【0084】
次に信頼度演算回路25の構成を図5に基づいて説明する。図5に示すように信頼度演算回路25は、第1車両条件付き確率P(x1|wa)と第1非車両条件付き確率P(x1|wb)とに基づき乗算及び加算を行い、後述の第1車両統合条件付き確率P(wa|x1)及び第1非車両統合条件付き確率P(wb|x1)を求めるための第1演算係数P(x1)を演算する乗算・加算回路61と、第1車両条件付き確率P(x1|wa)と第1演算係数P(x1)とに基づいて乗算と逆数演算を行い、第1車両条件付き確率P(x1|wa)と第1非車両条件付き確率P(x1|wb)とを統合して、車両を表す画像が物体領域内に含まれる確率を示す第1車両統合条件付き確率P(wa|x1)を演算する乗算・逆数演算回路64と、第1非車両条件付き確率P(x1|wb)と第1演算係数P(x1)とに基づいて乗算と逆数演算を行い、第1車両条件付き確率P(x1|wa)と第1非車両条件付き確率P(x1|wb)とを統合して、非車両を表す画像が物体領域内に含まれる確率を示す第1非車両統合条件付き確率P(wb|x1)を演算する乗算・逆数演算回路65と、第1車両統合条件付き確率P(wa|x1)及び第1非車両統合条件付き確率P(wb|x1)とに基づいて、第1車両信頼度Pt(x1),第1非車両信頼度Pf(x1)及び第1不明信頼度{Pt(x1),Pf(x1)}を算出する信頼度算出回路66と、予め設定された値を出力するレジスタ62,63とから構成される。
【0085】
そして乗算・加算回路61において、入力端子IN5にはレジスタ62からの出力値が入力され、入力端子IN6には入力端子IN3を介して条件付き確率演算回路21から第1車両条件付き確率P(x1|wa)の値が入力され、入力端子IN7にはレジスタ63からの出力値が入力され、入力端子IN8には入力端子IN4を介して条件付き確率演算回路23から第1非車両条件付き確率P(x1|wb)の値が入力される。更に出力端子OUT5から第1演算係数P(x1)の値を出力する。
【0086】
また乗算・逆数演算回路64において、入力端子IN9にはレジスタ62からの出力値が入力され、入力端子IN10には入力端子IN3を介して条件付き確率演算回路21から第1車両条件付き確率P(x1|wa)の値が入力され、入力端子IN11には乗算・加算回路61から第1演算係数P(x1)の値が入力される。更に出力端子OUT6から第1車両統合条件付き確率P(wa|x1)の値を出力する。
【0087】
また乗算・逆数演算回路65において、入力端子IN9にはレジスタ63からの出力値が入力され、入力端子IN10には入力端子IN4を介して条件付き確率演算回路23から第1非車両条件付き確率P(x1|wb)の値が入力され、入力端子IN11には乗算・加算回路61から第1演算係数P(x1)の値が入力される。更に出力端子OUT6から第1非車両統合条件付き確率P(wb|x1)の値を出力する。
【0088】
また信頼度算出回路66において、入力端子IN12には乗算・逆数演算回路64から第1車両統合条件付き確率P(wa|x1)の値が入力され、入力端子IN13には乗算・逆数演算回路65から第1非車両統合条件付き確率P(wb|x1)の値が入力される。更に出力端子OUT7,OUT8,OUT9からそれぞれ第1車両信頼度Pt(x1),第1非車両信頼度Pf(x1)及び第1不明信頼度{Pt(x1),Pf(x1)}を出力する。尚、出力端子OUT7,OUT8,OUT9はそれぞれ、信頼度演算回路25の出力端子OUT2,OUT3,OUT4に接続されている。
【0089】
またレジスタ62においては、車両が出現する確率を示す固定値(以降、車両事前確率P(wa)と称す)が予め設定されている(本実施形態では、例えばP(wa)=0.2)。同様にレジスタ63においては、非車両が出現する確率を示す固定値(以降、非車両事前確率P(wb)と称す)が予め設定されている(本実施形態では、例えばP(wb)=1−P(wa)=0.8)。
【0090】
次に信頼度演算回路35の構成を図6に基づいて説明する。図6に示すように信頼度演算回路35は、第2車両条件付き確率P(x2|wa)と第2非車両条件付き確率P(x2|wb)とに基づき乗算及び加算を行い、後述の第2車両統合条件付き確率P(wa|x2)及び第2非車両統合条件付き確率P(wb|x2)を求めるための第2演算係数P(x2)を演算する乗算・加算回路71と、第2車両条件付き確率P(x2|wa)と第2演算係数P(x2)とに基づいて乗算と逆数演算を行い、第2車両条件付き確率P(x2|wa)と第2非車両条件付き確率P(x2|wb)とを統合して、車両を表す画像が物体領域内に含まれる確率を示す第2車両統合条件付き確率P(wa|x2)を演算する乗算・逆数演算回路74と、第2非車両条件付き確率P(x2|wb)と第2演算係数P(x2)とに基づいて乗算と逆数演算を行い、第2車両条件付き確率P(x2|wa)と第2非車両条件付き確率P(x2|wb)とを統合して、非車両を表す画像が物体領域内に含まれる確率を示す第2非車両統合条件付き確率P(wb|x2)を演算する乗算・逆数演算回路75と、第2車両統合条件付き確率P(wa|x2)及び第2非車両統合条件付き確率P(wb|x2)とに基づいて、第2車両信頼度Pt(x2),第2非車両信頼度Pf(x2)及び第2不明信頼度{Pt(x2),Pf(x2)}を算出する信頼度算出回路76と、予め設定された値を出力するレジスタ72,73とから構成される。
【0091】
そして乗算・加算回路71において、入力端子IN5にはレジスタ72からの出力値が入力され、入力端子IN6には入力端子IN3を介して条件付き確率演算回路31から第2車両条件付き確率P(x2|wa)の値が入力され、入力端子IN7にはレジスタ73からの出力値が入力され、入力端子IN8には入力端子IN4を介して条件付き確率演算回路33から第2非車両条件付き確率P(x2|wb)の値が入力される。更に出力端子OUT5から第2演算係数P(x2)の値を出力する。
【0092】
また乗算・逆数演算回路74において、入力端子IN9にはレジスタ72からの出力値が入力され、入力端子IN10には入力端子IN3を介して条件付き確率演算回路31から第3車両条件付き確率P(x3|wa)の値が入力され、入力端子IN11には乗算・加算回路61から第2演算係数P(x2)の値が入力される。更に出力端子OUT6から第2車両統合条件付き確率P(wa|x2)の値を出力する。
【0093】
また乗算・逆数演算回路75において、入力端子IN9にはレジスタ73からの出力値が入力され、入力端子IN10には入力端子IN3を介して条件付き確率演算回路33から第3非車両条件付き確率P(x3|wb)の値が入力され、入力端子IN11には乗算・加算回路71から第2演算係数P(x2)の値が入力される。更に出力端子OUT6から第2非車両統合条件付き確率P(wb|x2)の値を出力する。
【0094】
また信頼度算出回路76において、入力端子IN12には乗算・逆数演算回路74から第2車両統合条件付き確率P(wa|x2)の値が入力され、入力端子IN13には乗算・逆数演算回路75から第2非車両統合条件付き確率P(wb|x2)の値が入力される。更に出力端子OUT7,OUT8,OUT9からそれぞれ第2車両信頼度Pt(x2),第2非車両信頼度Pf(x2),第2不明信頼度{Pt(x2),Pf(x2)}を出力する。尚、出力端子OUT7,OUT8,OUT9はそれぞれ、信頼度演算回路35の出力端子OUT2,OUT3,OUT4に接続されている。
【0095】
またレジスタ72においては、車両事前確率P(wa)が予め設定されている(本実施形態では、例えばP(wa)=0.2)。同様にレジスタ73においては、非車両事前確率P(wb)が予め設定されている(本実施形態では、例えばP(wb)=0.8)。
【0096】
次に乗算・加算回路61,71の構成を図7(a)に基づいて説明する。なお図7(a)では、乗算・加算回路61で代表して示している。即ち、乗算・加算回路71は乗算・加算回路61と同様の構成である。
【0097】
図7(a)に示すように乗算・加算回路61は、入力端子IN14から入力した入力値と、入力端子IN15から入力した入力値とを乗算して、この乗算値を出力端子OUT10から出力する第1乗算回路81,82と、第1乗算回路81と第1乗算回路82とから入力される値を加算して、この加算値を出力する加算器83とから構成される。
【0098】
尚、第1乗算回路81の入力端子IN14,入力端子IN15はそれぞれ、乗算・加算回路61の入力端子IN5,入力端子IN6に接続され、第1乗算回路82の入力端子IN14,入力端子IN15はそれぞれ、乗算・加算回路61の入力端子IN7,入力端子IN8に接続される。また加算器83の出力は、乗算・加算回路61の出力端子OUT5から出力される。
【0099】
次に第1乗算回路81,82の構成を図7(b)に基づいて説明する。なお図7(b)では、第1乗算回路81で代表して示している。即ち、第1乗算回路82は第1乗算回路81と同様の構成である。
【0100】
図7(b)に示すように第1乗算回路81は、一方の入力端子Rに入力される値(例えば8ビット[7:0])から、他方の入力端子Lに入力される値(例えば8ビット[7:0])を減算して、この減算値の最上位ビット(MSB)の値(1または0)を出力する減算器91と、外部クロック信号を入力し(不図示)、外部クロック信号が入力される毎に、予め設定された所定数値範囲内(本実施形態では、例えば、0〜255の整数)で一様乱数(8ビット[7:0])を生成する一様乱数発生器(LFSR)92と、外部クロック信号を入力し(不図示)、外部クロック信号が入力される毎に、0→1→2→…→255→0→1→…とインクリメント(1加算)し、この加算値(例えば8ビット[7:0])を出力する基準カウンタ93と、一方の入力端子Aに入力される値(例えば8ビット[7:0])と、他方の入力端子Bに入力される値(例えば8ビット[7:0])とを比較して、両者が等しい場合にパルス信号を出力する比較器94と、入力端子D1にパルス信号が入力するとインクリメント(1加算)し、この加算値を出力するとともに、入力端子ENにパルス信号が入力すると、この時点での加算値を保持するカウンタ95とから構成される。
【0101】
そして減算器91において、入力端子Lには入力端子IN14が接続され、入力端子RにはLFSR92からの出力値が入力される。
また比較器94において、入力端子Aには入力端子IN15が接続され、入力端子Bには基準カウンタ93からの出力値が入力される。
【0102】
またカウンタ95において、入力端子D1には減算器91からの出力値が入力され、入力端子ENには比較器94からのパルス信号が入力される。更にカウンタ95の出力は、第1乗算回路81の出力端子OUT10から出力される。
【0103】
このように構成された第1乗算回路81において、減算器91には、入力端子IN14から8ビット[7:0]の値が入力されるとともに、LFSR92から一様乱数(8ビット[7:0])が入力される。このため減算器91は、LFSR92から入力された乱数が、入力端子IN14に入力した値(以降、入力値Xin14とも称す)よりも小さい場合にパルス信号を出力する。即ち減算器91は、入力値Xin14が大きくなるほど多くパルス信号を出力する。つまり、減算器91のパルス出力回数は入力値Xin14に比例する。
【0104】
また比較器94には、入力端子IN15から8ビット[7:0]の値が入力されるとともに、基準カウンタ93から外部クロック信号が入力される毎にインクリメントされる値(8ビット[7:0])が入力される。このため比較器94は、入力端子IN15に入力した値(以降、入力値Xin15とも称す)と基準カウンタ93からの入力値が等しくなった場合にパルス信号を出力する。即ち比較器94は、入力値Xin15が大きくなるほど、パルス信号を継続して出力していない期間(以降、パルス未出力継続期間と称す)が長くなる。つまり、パルス未出力継続期間は入力値Xin15に比例する。
【0105】
そしてカウンタ95は、比較器94からのパルス信号が入力されるまでの間に、減算器91から出力されたパルス信号の数を計数する。
従って、比較器94からのパルス信号が入力した時点でのカウンタ95の計数値は、入力値Xin14に入力値Xin15を乗算した値に相当する。
【0106】
次に乗算・逆数演算回路64,65,74,75の構成を図8に基づいて説明する。なお図8では、乗算・逆数演算回路64で代表して示している。即ち、乗算・逆数演算回路65,74,75は乗算・逆数演算回路64と同様の構成である。
【0107】
図8に示すように乗算・逆数演算回路64は、入力端子IN14から入力した入力値と、入力端子IN15から入力した入力値とを乗算して、この乗算値を出力端子OUT10から出力する第1乗算回路101,102と、入力端子IN16から入力した入力値の逆数を演算し、この演算値を出力端子OUT11から出力する第1逆数演算回路103とから構成される。
【0108】
そして第1乗算回路101において、入力端子IN14,IN15にはそれぞれ乗算・逆数演算回路64の入力端子IN9,IN10が接続される。
また第1乗算回路102において、入力端子IN14には第1乗算回路101の出力端子OUT10が接続され、入力端子IN15には第1逆数演算回路103の出力端子OUT11が接続される。更に第1乗算回路102の出力端子OUT10には乗算・逆数演算回路64の出力端子OUT6が接続される。
【0109】
また第1逆数演算回路103において、入力端子IN16には乗算・逆数演算回路64の入力端子IN11が接続される。
これらのうち第1乗算回路101,102は、第1乗算回路81,82と同様の構成である。
【0110】
また第1逆数演算回路103は、外部クロック信号を入力し(不図示)、外部クロック信号が入力される毎に、予め設定された所定数値範囲内(本実施形態では、例えば、0〜255の整数)で一様乱数(例えば8ビット[7:0])を生成する一様乱数発生器(LFSR)111と、一方の入力端子Rに入力される値(例えば8ビット[7:0])から、他方の入力端子Lに入力される値(例えば8ビット[7:0])を減算して、この減算値の最上位ビット(MSB)の値(1または0)を出力する減算器112と、入力端子D2にパルス信号が入力するとインクリメント(1加算)し、この加算値(例えば8ビット[7:0])を出力するカウンタ113と、一方の入力端子Aに入力される値(例えば8ビット[7:0])と、他方の入力端子Bに入力される値(例えば8ビット[7:0])とを比較して、両者が等しい場合にパルス信号を出力する比較器114と、入力端子D1にパルス信号が入力するとインクリメント(1加算)し、この加算値(例えば8ビット[7:0])を出力するとともに、入力端子ENにパルス信号が入力すると、この時点での加算値を保持するカウンタ115とから構成される。
【0111】
そして減算器112において、入力端子Lには入力端子IN16が接続され、入力端子RにはLFSR111からの出力値が入力される。
またカウンタ113において、入力端子D2には減算器112からの出力値が入力される。
【0112】
また比較器114において、入力端子Aにはカウンタ113からの出力値が入力され、入力端子Bには、10進数で255を示す値「1111_1111b」(8ビット[7:0]、bは2進数を示す記号である)が入力される。
【0113】
またカウンタ115において、入力端子D1には外部クロック信号(CLK)が入力され、入力端子ENには比較器114からのパルス信号が入力される。更にカウンタ115の出力は、第1逆数演算回路103の出力端子OUT11から出力される。
【0114】
このように構成された第1逆数演算回路103において、減算器112には、入力端子IN16から8ビット[7:0]の値が入力されるとともに、外部クロック信号(CLK)がLFSR111に入力される毎にLFSR111から一様乱数(8ビット[7:0])が入力される。このため減算器112は、LFSR111から入力された乱数が、入力端子IN16に入力した値(以降、入力値Xin16とも称す)よりも小さい場合にパルス信号を出力する。即ち減算器112は、入力値Xin16が大きくなるほど多くパルス信号を出力する。つまり、減算器112のパルス出力回数は入力値Xin16に比例する。そしてカウンタ113は、減算器112から出力されたパルス信号の数を計数して、この計数値を比較器114に出力する。
【0115】
そして比較器114には10進数で255を示す値が入力される。このため比較器114は、カウンタ113の計数値が255に等しくなるとパルス信号を出力する。
そして、カウンタ115は、比較器114からのパルス信号が入力されるまでの間に、カウンタ115に入力した外部クロック信号(CLK)の数を計数する。
【0116】
即ちカウンタ115は、入力値Xin16が一様乱数より大きくなる回数が255回に達するまでの間に、LFSR111で乱数が生成された回数を計数する。
従って第1逆数演算回路103では、入力値Xin16に比例した成功確率でベルヌーイ試行を行い、初めて成功するまでの回数の平均値をとることと同様の演算を行っている。このため、比較器114からのパルス信号が入力した時点でのカウンタ115の計数値は、入力値Xin16の逆数に相当する。
【0117】
次に信頼度算出回路66の構成を図9に基づいて説明する。
図9に示すように信頼度算出回路66は、入力端子IN17から入力した入力値に応じた比率でパルス信号を出力端子OUT12から出力するパルス変換回路121,122と、論理否定演算を行う反転ゲート123,124,129と、入力端子Cから入力した入力値と、入力端子Dから入力した入力値との論理積演算を行うANDゲート125,126,127,128と、入力端子IN20から入力したパルス信号について論理1になる比率(以降、論理1比率と称す)の逆数を演算し、この演算値を出力端子OUT14から出力する第2逆数演算回路130と、入力端子IN18から入力したパルス信号の論理1比率と、入力端子IN19から入力した入力値とを乗算して、この乗算値を出力端子OUT13から出力する第2乗算回路131,132,133とから構成される。
【0118】
そしてパルス変換回路121において、入力端子IN17には入力端子IN12が接続される。また出力端子OUT12には、ANDゲート127とANDゲート128の入力端子Cが接続されるとともに、反転ゲート123の入力端子が接続される。
【0119】
またパルス変換回路122において、入力端子IN17には入力端子IN13が接続される。また出力端子OUT12には、ANDゲート125とANDゲート128の入力端子Dが接続されるとともに、反転ゲート124の入力端子が接続される。
【0120】
また反転ゲート123の出力端子には、ANDゲート125の入力端子Cが接続され、反転ゲート124の出力端子には、ANDゲート127の入力端子Dが接続される。
またANDゲート125,126,127の出力端子にはそれぞれ、第2乗算回路131,132,133の入力端子IN18が接続される。
【0121】
またANDゲート128の出力端子には、反転ゲート129の入力端子が接続される。
また反転ゲート129の出力端子には、第2逆数演算回路130の入力端子IN20が接続される。
【0122】
また第2逆数演算回路130の出力端子OUT14には、第2乗算回路131,132,133の入力端子IN19が接続される。
また第2乗算回路131,132,133の出力端子OUT13にはそれぞれ、信頼度算出回路66の出力端子OUT7,OUT8,OUT8が接続される。
【0123】
これらのうち、まずパルス変換回路121,122の構成を図10(a)に基づいて説明する。なお図10(a)では、パルス変換回路121で代表して示している。即ち、パルス変換回路122はパルス変換回路121と同様の構成である。
【0124】
図10(a)に示すようにパルス変換回路121は、予め設定された所定数値範囲内(本実施形態では、例えば、0〜255の整数)で一様乱数(例えば8ビット[7:0])を生成する一様乱数発生器(LFSR)141と、一方の入力端子Aに入力される値(例えば8ビット[7:0])と、他方の入力端子Bに入力される値(例えば8ビット[7:0])とを比較して、入力端子Aの入力値が入力端子Bの入力値より小さい場合にパルス信号を出力する比較器142とから構成される。
【0125】
そして比較器142において、入力端子AにはLFSR141からの出力値が入力され、入力端子Bには入力端子IN17が接続される。更に比較器142の出力は、出力端子OUT12から出力される。
【0126】
このように構成されたパルス変換回路121において、比較器142には、LFSR141から一様乱数(8ビット[7:0])が入力されるとともに、入力端子IN17から8ビット[7:0]の値が入力される。このため比較器142は、LFSR141から入力された乱数が、入力端子IN17に入力した値(以降、入力値Xin17とも称す)よりも小さい場合にパルス信号を出力する。即ち比較器142は、入力値Xin17が大きくなるほど多くパルス信号を出力する。つまり比較器142は、入力値Xin17に比例した確率(以降、パルス出力回数比率とも称す)で、パルス信号を出力する。
【0127】
次に第2乗算回路131,132,133の構成を図10(b)に基づいて説明する。なお図10(b)では、第2乗算回路131で代表して示している。即ち、第2乗算回路132,133は第2乗算回路131と同様の構成である。
【0128】
図10(b)に示すように第2乗算回路131は、外部クロック信号を入力し(不図示)、外部クロック信号が入力される毎に、0→1→2→…→255→0→1→…とインクリメント(1加算)し、この加算値(例えば8ビット[7:0])を出力する基準カウンタ151と、一方の入力端子Aに入力される値(例えば8ビット[7:0])と、他方の入力端子Bに入力される値(例えば8ビット[7:0])とを比較して、両者が等しい場合にパルス信号を出力する比較器152と、入力端子D1にパルス信号が入力するとインクリメント(1加算)し、この加算値(例えば8ビット[7:0])を出力するとともに、入力端子ENにパルス信号が入力すると、この時点での加算値を保持するカウンタ153とから構成される。
【0129】
そして比較器152において、入力端子Aには入力端子IN19が接続され、入力端子Bには基準カウンタ151からの出力値が入力される。
またカウンタ153において、入力端子D1には入力端子IN18が接続され、入力端子ENには比較器152からのパルス信号が入力される。更にカウンタ153の出力は、出力端子OUT13から出力される。
【0130】
このように構成された第2乗算回路131において、比較器152には、入力端子IN19から8ビット[7:0]の値が入力されるとともに、基準カウンタ151から外部クロック信号が入力される毎にインクリメントされる値(8ビット[7:0])が入力される。このため比較器152は、入力端子IN19に入力した値(以降、入力値Xin19とも称す)と基準カウンタ151からの入力値が等しくなった場合にパルス信号を出力する。即ち比較器152は、入力値Xin19が大きくなるほど、パルス未出力継続期間が長くなる。つまり、パルス未出力継続期間は入力値Xin19に比例する。
【0131】
そしてカウンタ153は、比較器152からのパルス信号が入力されるまでの間に、入力端子IN18から入力されるパルス信号の数を計数する。
従って、比較器152からのパルス信号が入力した時点でのカウンタ153の計数値は、入力端子IN18から入力されるパルス信号のパルス出力回数比率に入力値Xin19を乗算した値に相当する。
【0132】
次に第2逆数演算回路130の構成を図10(c)に基づいて説明する。
図10(c)に示すように第2逆数演算回路130は、入力端子D2にパルス信号が入力するとインクリメント(1加算)し、この加算値(例えば8ビット[7:0])を出力するカウンタ161と、一方の入力端子Aに入力される値(例えば8ビット[7:0])と、他方の入力端子Bに入力される値(例えば8ビット[7:0])とを比較して、両者が等しい場合にパルス信号を出力する比較器162と、入力端子D1にパルス信号が入力するとインクリメント(1加算)し、この加算値を出力するとともに、入力端子ENにパルス信号が入力すると、この時点での加算値を保持するカウンタ163とから構成される。
【0133】
そしてカウンタ161において、入力端子D2には入力端子IN18が接続される。
また比較器162において、入力端子Aにはカウンタ161からの出力値が入力され、入力端子Bには、10進数で255を示す値「1111_1111b」(8ビット[7:0]、bは2進数を示す記号である)が入力される。
【0134】
またカウンタ163において、入力端子D1には外部クロック信号(CLK)が入力され、入力端子ENには比較器162からのパルス信号が入力される。更にカウンタ163の出力は、出力端子OUT14から出力される。
【0135】
このように構成された第2逆数演算回路130において、カウンタ161は、入力端子IN20から入力されるパルス信号の数を計数して、この計数値を比較器162に出力する。
【0136】
そして比較器162には10進数で255を示す値が入力される。このため比較器162は、カウンタ161の計数値が255に等しくなるとパルス信号を出力する。
そしてカウンタ163は、比較器162からのパルス信号が入力されるまでの間に、カウンタ115に入力した外部クロック信号(CLK)の数を計数する。
【0137】
従って第2逆数演算回路130では、入力端子IN20から入力されるパルス信号のパルス出力回数比率に比例した成功確率でベルヌーイ試行を行い、初めて成功するまでの回数の平均値をとることと同様の演算を行っている。このため、比較器162からのパルス信号が入力した時点でのカウンタ163の計数値は、入力端子IN20から入力されるパルス信号のパルス出力回数比率の逆数に相当する。
【0138】
次に信頼度統合ブロック15の構成を図11に基づいて説明する。
図11に示すように信頼度統合ブロック15は、入力端子IN17から入力した入力値に応じた比率でパルス信号を出力端子OUT12から出力するパルス変換回路171,172,173,174,175,176と、入力端子Cから入力した入力値と、入力端子Dから入力した入力値との論理積演算を行うANDゲート177,178,179,180,181と、入力する3つのパルス信号の論理1比率を加算して、この加算値に応じた論理1比率で論理1となるパルス信号を出力する第1加算回路182と、入力する2つのパルス信号の論理1比率を加算して、この加算値に応じた論理1比率で論理1となるパルス信号を出力する第2加算回路183と、入力端子IN21から入力したパルス信号の論理1比率を2倍にして、この値の論理1比率を有するパルス信号を出力端子OUT15から出力する数値変換回路184と、論理否定演算を行う反転ゲート185と、入力端子IN20から入力したパルス信号の論理1比率の逆数を演算し、この演算値を出力端子OUT14から出力する第2逆数演算回路186と、入力端子IN18から入力したパルス信号の論理1比率と、入力端子IN19から入力した入力値とを乗算して、この乗算値を出力端子OUT13から出力する第2乗算回路187とから構成される。
【0139】
そしてパルス変換回路171において、入力端子IN17には第1信頼度演算ブロック11から第1車両信頼度Pt(x1)が入力される。また出力端子OUT12には、ANDゲート177,178,180の入力端子Cが接続される。
【0140】
またパルス変換回路172において、入力端子IN17には第1信頼度演算ブロック11から第1非車両信頼度Pf(x1)が入力される。また出力端子OUT12には、ANDゲート181の入力端子Dが接続される。
【0141】
またパルス変換回路173において、入力端子IN17には第1信頼度演算ブロック11から第1不明信頼度{Pt(x1),Pf(x1)}が入力される。また出力端子OUT12には、ANDゲート179の入力端子Cが接続される。
【0142】
またパルス変換回路174において、入力端子IN17には第2信頼度演算ブロック13から第2車両信頼度Pt(x2)が入力される。また出力端子OUT12には、ANDゲート177,179の入力端子DとANDゲート181の入力端子Cが接続される。
【0143】
またパルス変換回路175において、入力端子IN17には第2信頼度演算ブロック13から第2非車両信頼度Pf(x2)が入力される。また出力端子OUT12には、ANDゲート180の入力端子Dが接続される。
【0144】
またパルス変換回路176において、入力端子IN17には第2信頼度演算ブロック13から第2不明信頼度{Pt(x2),Pf(x2)}が入力される。また出力端子OUT12には、ANDゲート178の入力端子Dが接続される。
【0145】
またANDゲート177,178,179の出力はそれぞれ、第1加算回路182に入力され、ANDゲート180,181の出力はそれぞれ、第2加算回路183に入力される。
【0146】
また数値変換回路184において、入力端子IN21には第2加算回路183の出力が入力される。また出力端子OUT15には、反転ゲート185の入力端子が接続される。
また第2逆数演算回路186において、入力端子IN20には反転ゲート185の出力端子が接続される。また出力端子OUT14には、第2乗算回路187の入力端子IN19が接続される。
【0147】
また第2乗算回路187において、入力端子IN18には第1加算回路182の出力が入力される。そして第2乗算回路187は、出力端子OUT13から統合信頼度Pc(wa)の値を出力する。
【0148】
これらのうちパルス変換回路171,172,173,174,175,176は、パルス変換回路121,122と同様の構成である。
また第2逆数演算回路186は第2逆数演算回路130と、第2乗算回路187は第2乗算回路131,132,133と同様の構成である。
【0149】
また第1加算回路182は、入力する3つのパルス信号それぞれについて、このパルス信号の論理1比率の半分の比率でランダムに論理1となるパルス信号を生成して、生成した3つのパルス信号の論理和をとったパルス信号を出力する論理和部182aと、論理和部182aから出力されたパルス信号の論理1比率を補正する補正部182bとから構成される。
【0150】
これらのうち論理和部182aは、入力端子Cから入力した入力値と、入力端子Dから入力した入力値との論理積演算を行うANDゲート191,192,193と、0.5の比率(つまり50%)でランダムに論理1となるパルス信号を出力する0.5パルス発生回路194と、入力端子Gから入力した入力値と、入力端子Hから入力した入力値と、入力端子Iから入力した入力値との論理和演算を行うORゲート195とから構成される。
【0151】
そしてANDゲート191において、入力端子CにはANDゲート177の出力が入力され、入力端子Dには0.5パルス発生回路194の出力が入力される。
またANDゲート192において、入力端子CにはANDゲート178の出力が入力され、入力端子Dには0.5パルス発生回路194の出力が入力される。
【0152】
またANDゲート193において、入力端子CにはANDゲート179の出力が入力され、入力端子Dには0.5パルス発生回路194の出力が入力される。
またORゲート195において、入力端子G,H,IにはそれぞれANDゲート191,192,193の出力が入力される。そして、ORゲート195の出力が論理和部182aの出力として出力される。
【0153】
次に補正部182bは、入力端子Eから入力した入力値と、入力端子Fから入力した入力値との論理和演算を行うORゲート196,197,198,200と、入力端子Jから入力した入力値と、入力端子Kから入力した入力値と、入力端子Lから入力した入力値との論理積演算を行うANDゲート199とから構成される。
【0154】
そしてORゲート196において、入力端子EにはANDゲート177の出力が入力され、入力端子FにはANDゲート178の出力が入力される。
またORゲート197において、入力端子EにはANDゲート178の出力が入力され、入力端子FにはANDゲート179の出力が入力される。
【0155】
またORゲート198において、入力端子EにはANDゲート179の出力が入力され、入力端子FにはANDゲート177の出力が入力される。
またANDゲート199において、入力端子J,K,LにはそれぞれORゲート196,197,198の出力が入力される。
【0156】
またORゲート200において、入力端子Eには論理和部182aの出力が入力され、入力端子FにはANDゲート199の出力が入力される。そして、ORゲート200の出力が補正部182b(第1加算回路182)の出力として出力される。
【0157】
次に第2加算回路183は、入力する2つのパルス信号それぞれについて、このパルス信号の論理1比率の半分の比率でランダムに論理1となるパルス信号を生成して、生成した2つのパルス信号の論理和をとったパルス信号を出力する論理和部183aと、論理和部183aから出力されたパルス信号の論理1比率を補正する補正部183bとから構成される。
【0158】
これらのうち論理和部183aは、入力端子Cから入力した入力値と、入力端子Dから入力した入力値との論理積演算を行うANDゲート201,202と、入力端子Eから入力した入力値と、入力端子Fから入力した入力値との論理和演算を行うORゲート203とから構成される。
【0159】
そしてANDゲート201において、入力端子CにはANDゲート180の出力が入力され、入力端子Dには0.5パルス発生回路194の出力が入力される。
またANDゲート202において、入力端子CにはANDゲート181の出力が入力され、入力端子Dには0.5パルス発生回路194の出力が入力される。
【0160】
またORゲート203において、入力端子E,FにはそれぞれANDゲート201,202の出力が入力される。そして、ORゲート203の出力が論理和部183aの出力として出力される。
【0161】
次に補正部183bは、入力端子Cから入力した入力値と、入力端子Dから入力した入力値との論理積演算を行うANDゲート204と、入力端子Eから入力した入力値と、入力端子Fから入力した入力値との論理和演算を行うORゲート205とから構成される。
【0162】
そしてANDゲート204において、入力端子C,DにはそれぞれANDゲート180,181の出力が入力される。
またORゲート205において、入力端子Eには論理和部183aの出力が入力され、入力端子FにはANDゲート204の出力が入力される。そして、ORゲート205の出力が補正部183b(第2加算回路183)の出力として出力される。
【0163】
次に数値変換回路184は、図12に示すように、入力端子D2にパルス信号が入力するとインクリメント(1加算)し、この加算値(例えば8ビット[7:0])を出力するとともに、予め設定された所定リセット時間毎に、この加算値をリセットする(0にする)カウンタ211と、カウンタ211のリセットされる前の値を保持するとともに、この保持した値(例えば8ビット[7:0])を出力するレジスタ212と、予め設定された所定数値範囲内(本実施形態では、例えば、0〜511の整数)で一様乱数(例えば9ビット[8:0])を生成する一様乱数発生器(LFSR)213と、1ビット[0]で0を示す値「0b」を追加して(例えば9ビット[8:0])として出力するビット追加部214と、一方の入力端子Aに入力される値(例えば9ビット[8:0])と、他方の入力端子Bに入力される値(例えば9ビット[8:0])とを比較して、入力端子Aの入力値が入力端子Bの入力値より小さい場合にパルス信号を出力する比較器215とから構成される。
【0164】
そしてカウンタ211において、入力端子D2には入力端子IN21が接続される。またレジスタ212において、入力端子にはカウンタ211の出力が入力される。またビット追加部214には、レジスタ212の出力が入力される。
【0165】
また比較器215において、入力端子Bにはビット追加部214の出力が入力され、入力端子AにはLFSR213の出力が入力される。更に比較器215の出力は、数値変換回路184の出力端子OUT15から出力される。
【0166】
このように構成された数値変換回路184において、カウンタ211は、入力端子IN21から入力されるパルス信号の数を計数して、この計数値をレジスタ212に出力する。
【0167】
そしてレジスタ212は、カウンタ211のリセットされる前の値を保持する。即ち、レジスタ212は、所定リセット時間内に入力端子IN21から入力されるパルス信号の数を保持する。更にビット追加部214は、レジスタ212に保持された値を2倍にした値を比較器215出力する。そして比較器215は、LFSR213から入力された乱数が、ビット追加部214から入力した値よりも小さい場合にパルス信号を出力する。
【0168】
即ち数値変換回路184は、入力端子IN21から入力されるパルス信号のパルス出力回数比率の2倍に相当するパルス出力回数比率でパルス信号を出力する。
このように構成された画像認識装置2では、特徴量x1及び特徴量x2が判定量演算部7に入力すると、まず条件付き確率演算回路21,23,31,33でそれぞれ第1車両条件付き確率P(x1|wa),第1非車両条件付き確率P(x1|wb),第2車両条件付き確率P(x2|wa),第2非車両条件付き確率P(x2|wb)を演算する(図3参照)。
【0169】
即ち、条件付き確率演算回路21は、期待値wa1の正規分布において、−∞から特徴量x1までの累積確率を2倍した値を第1車両条件付き確率P(x1|wa)として出力する。
【0170】
同様に条件付き確率演算回路23は、期待値wb1の正規分布において、−∞から特徴量x1までの累積確率を2倍した値を第1非車両条件付き確率P(x1|wb)として出力する。
【0171】
また条件付き確率演算回路31は、期待値wa2の正規分布において、−∞から特徴量x2までの累積確率を2倍した値を第1非車両条件付き確率P(x2|wa)として出力する。
【0172】
また条件付き確率演算回路33は、期待値wb2の正規分布において、−∞から特徴量x2までの累積確率を2倍した値を第2非車両条件付き確率P(x2|wb)として出力する。
【0173】
そして次に、信頼度演算回路25は、入力した第1車両条件付き確率P(x1|wa),第1非車両条件付き確率P(x1|wb)に基づいて、第1車両信頼度Pt(x1),第1非車両信頼度Pf(x1),第1不明信頼度{Pt(x1),Pf(x1)}を演算する(図3参照)。
【0174】
即ち図5に示すように、信頼度演算回路25内の乗算・加算回路61において、入力端子IN5,IN6,IN7,IN8にそれぞれ、車両事前確率P(wa),第1車両条件付き確率P(x1|wa),非車両事前確率P(wb),第1非車両条件付き確率P(x1|wb)が入力されることにより、下式(10)で表される値を、第1演算係数P(x1)として出力する。
【0175】
P(x1)=P(wa)・P(x1|wa)+P(wb)・P(x1|wb) ・・・(10)
また、信頼度演算回路25内の乗算・逆数演算回路64において、入力端子IN9,IN10,IN11にそれぞれ、車両事前確率P(wa),第1車両条件付き確率P(x1|wa),第1演算係数P(x1)が入力されることにより、下式(11)で表される値を第1車両統合条件付き確率P(wa|x1)として出力する。
【0176】
P(wa|x1)=P(wa)・P(x1|wa)/P(x1) ・・・(11)
また、信頼度演算回路25内の乗算・逆数演算回路65において、入力端子IN9,IN10,IN11にそれぞれ、非車両事前確率P(wb),第1非車両条件付き確率P(x1|wb),第1演算係数P(x1)が入力されることにより、下式(12)で表される値を第1非車両統合条件付き確率P(wb|x1)として出力する。
【0177】
P(wb|x1)=P(wb)・P(x1|wb)/P(x1) ・・・(12)
尚、式(10),(11),(12)から明らかなように、第1車両統合条件付き確率P(wa|x1)と第1非車両統合条件付き確率P(wb|x1)は、ベイズ(Bayes)の定理(式(3),(4)参照)に基づいて、算出されている。
【0178】
また、信頼度演算回路25内の信頼度算出回路66において、入力端子IN12,IN13にそれぞれ、第1車両統合条件付き確率P(wa|x1),第1非車両統合条件付き確率P(wb|x1)が入力されることにより、下式(13)で表される値を第1車両信頼度Pt(x1)、下式(14)で表される値を第1非車両信頼度Pf(x1)、下式(15)で表される値を第1不明信頼度{Pt(x1),Pf(x1)}として出力する。
【0179】
Pt(x1)={1−P(wa|x1)}・P(wb|x1)/{1−P(wa|x1)・P(wb|x1)} ・・・(13)
Pf(x1)={1−P(wa|x1)}・{1−P(wb|x1)}/{1−P(wa|x1)・P(wb|x1)} ・・・(14)
{Pt(x1),Pf(x1)}=P(wa|x1)・{1−P(wb|x1)}/{1−P(wa|x1)・P(wb|x1)} ・・・(15)
また信頼度演算回路35は、入力した第2車両条件付き確率P(x2|wa),第2非車両条件付き確率P(x2|wb)に基づいて、第2車両信頼度Pt(x2),第2非車両信頼度Pf(x2),第2不明信頼度{Pt(x2),Pf(x2)}を演算する(図3参照)。
【0180】
即ち図6に示すように、信頼度演算回路35内の乗算・加算回路71において、入力端子IN5,IN6,IN7,IN8にそれぞれ、車両事前確率P(wa),第2車両条件付き確率P(x2|wa),非車両事前確率P(wb),第2非車両条件付き確率P(x2|wb)が入力されることにより、下式(16)で表される値を、第2演算係数P(x2)として出力する。
【0181】
P(x2)=P(wa)・P(x2|wa)+P(wb)・P(x2|wb) ・・・(16)
また、信頼度演算回路35内の乗算・逆数演算回路74において、入力端子IN9,IN10,IN11にそれぞれ、車両事前確率P(wa),第2車両条件付き確率P(x2|wa),第2演算係数P(x2)が入力されることにより、下式(17)で表される値を第2車両統合条件付き確率P(wa|x2)として出力する。
【0182】
P(wa|x2)=P(wa)・P(x2|wa)/P(x2) ・・・(17)
また、信頼度演算回路35内の乗算・逆数演算回路75において、入力端子IN9,IN10,IN11にそれぞれ、非車両事前確率P(wb),第2非車両条件付き確率P(x2|wb),第2演算係数P(x2)が入力されることにより、下式(18)で表される値を第2非車両統合条件付き確率P(wb|x2)として出力する。
【0183】
P(wb|x2)=P(wb)・P(x2|wb)/P(x2) ・・・(18)
尚、式(16),(17),(18)から明らかなように、第2車両統合条件付き確率P(wa|x2)と第2非車両統合条件付き確率P(wb|x2)は、ベイズ(Bayes)の定理(式(3),(4)参照)に基づいて、算出されている。
【0184】
また、信頼度演算回路35内の信頼度算出回路76において、入力端子IN12,IN13にそれぞれ、第2車両統合条件付き確率P(wa|x2),第2非車両統合条件付き確率P(wb|x2)が入力されることにより、下式(19)で表される値を第2車両信頼度Pt(x2)、下式(20)で表される値を第2非車両信頼度Pf(x2)、下式(21)で表される値を第2不明信頼度{Pt(x2),Pf(x2)}として出力する。
【0185】
Pt(x2)={1−P(wa|x2)}・P(wb|x2)/{1−P(wa|x2)・P(wb|x2)} ・・・(19)
Pf(x2)={1−P(wa|x2)}・{1−P(wb|x2)}/{1−P(wa|x2)・P(wb|x2)} ・・・(20)
{Pt(x2),Pf(x2)}=P(wa|x2)・{1−P(wb|x2)}/{1−P(wa|x2)・P(wb|x2)} ・・・(21)
そして信頼度統合ブロック15は、第1車両信頼度Pt(x1),第1非車両信頼度Pf(x1),第1不明信頼度{Pt(x1),Pf(x1)},第2車両信頼度Pt(x2),第2非車両信頼度Pf(x2),第2不明信頼度{Pt(x2),Pf(x2)}に基づいて、統合信頼度Pc(wa)を演算する。
【0186】
即ち、まずパルス変換回路171,172,173,174,175,176はそれぞれ、第1車両信頼度Pt(x1),第1非車両信頼度Pf(x1),第1不明信頼度{Pt(x1),Pf(x1)},第2車両信頼度Pt(x2),第2非車両信頼度Pf(x2),第2不明信頼度{Pt(x2),Pf(x2)}の値に応じた比率でパルス信号を出力する。
【0187】
するとANDゲート177,178,179,180,181はそれぞれ、下式(22),(23),(24),(25),(26)で表される論理1比率でパルス信号を出力する。
【0188】
尚、ANDゲート177,178,179,180,181が出力するパルスの論理1比率をそれぞれ、PA,PB,PC,PD,PEと表記する。
PA = Pt(x1)・Pt(x2) ・・・(22)
PB = Pt(x1)・{Pt(x2),Pf(x2)} ・・・(23)
PC = {Pt(x1),Pf(x1)}・Pt(x2) ・・・(24)
PD = Pt(x1)・Pf(x2) ・・・(25)
PE = Pt(x2)・Pf(x1) ・・・(26)
そして更にANDゲート191,192,193と、ORゲート196,197,198と、ANDゲート201,202はそれぞれ、下式(27),(28),(29),(30),(31),(32),(33),(34)で表される論理1比率でパルス信号を出力する。
【0189】
尚、ANDゲート191,192,193と、ORゲート196,197,198と、ANDゲート201,202が出力するパルスの論理1比率をそれぞれ、P191,P192,P193,P196,P197,P198,P201,P202と表記する。
【0190】
P191 = PA/2 ・・・(27)
P192 = PB/2 ・・・(28)
P193 = PC/2 ・・・(29)
P196 = PA+PB−PA・PB ・・・(30)
P197 = PB+PC−PB・PC ・・・(31)
P198 = PA+PC−PA・PC ・・・(32)
P201 = PD/2 ・・・(33)
P202 = PE/2 ・・・(34)
こうして最終的に、第1加算回路182と第2加算回路183はそれぞれ、下式(35),(36)で表される論理1比率でパルス信号を出力する。
【0191】
尚、第1加算回路182と第2加算回路183が出力するパルス信号の論理1比率をそれぞれ、P182,P183と表記する。
【0192】
【数3】

【0193】
ここで、式(35),(36)の第2項目以降は誤差項である。
即ち、第1加算回路182は「(PA+PB+PC)/2」に相当する値を演算し、第2加算回路183は「(PD+PE)/2」に相当する値を演算する。
【0194】
そして数値変換回路184は、「(PD+PE)/2」に相当する論理1比率を有するパルス信号を入力して、(PD+PE)に相当する論理1比率を有するパルス信号を出力する。
【0195】
更に反転ゲート185は、数値変換回路184からパルス信号を入力して、「1−(PD+PE)」に相当する論理1比率を有するパルス信号を出力する。
また第2逆数演算回路186は、反転ゲート185からパルス信号を入力して、「1/{1−(PD+PE)}」に相当する値を出力する。
【0196】
そして第2乗算回路187は、第2加算回路183と第2逆数演算回路186からの出力を入力して、「(PA+PB+PC)/{1−(PD+PE)}」に相当する値を、統合信頼度Pc(wa)として出力する。
【0197】
尚、この値(つまり、「(PA+PB+PC)/{1−(PD+PE)}」)から明らかなように、統合信頼度Pc(wa)は、Dempster−Shaferの結合定理(式(9)参照)に基づいて、算出されている。
【0198】
以上説明したように、本実施形態の条件付き確率演算回路21,23,31,33では、正規分布乱数発生回路41及び加算器44は、入力値Xin2を期待値とした正規分布に従う正規分布乱数を連続して生成する。そして減算器45及びカウンタ46は、入力値Xin1と、正規分布乱数発生回路41及び加算器44で生成された正規分布乱数の値である生成乱数値とを比較し、この比較結果に基づいて、生成乱数値が入力値Xin1より小さい回数を計数する。
【0199】
このため、条件付き確率演算回路21,23,31,33によれば、−∞から入力値Xin1までの累積確率を算出することができる。
尚、従来の正規分布の累積確率を算出する回路としては、入力値Xin1と、この入力値Xin1における−∞から入力値Xin1までの累積確率値とを対応付けて、ROMなどの記憶領域に格納し、入力値Xin1に応じて、この入力値Xin1に対応した累積確率値を記憶領域から読み出すものが考えられる。この場合、入力値Xin1と累積確率値の精度をそれぞれ8ビットとすると、記憶領域の記憶容量は65536ビットとなり、回路規模が大きくなる。
【0200】
一方、条件付き確率演算回路21,23,31,33では、正規分布に従う乱数を発生させる回路と、2つの値を比較する回路と、計数する回路とを備えることで正規分布の累積確率を算出するための回路を構成することができる。つまり、正規分布の累積確率を算出する回路を少ない回路数で構成することができる。このため、従来の正規分布の累積確率を算出する回路よりも回路規模を小さくすることができる。
【0201】
また本実施形態の第1逆数演算回路103では、LFSR111は、所定数値範囲内で一様乱数を連続して生成する。そして減算器112及びカウンタ113は、入力値Xin16と、LFSR111で生成された乱数の値とを比較し、この比較結果に基づいて、入力値Xin16がLFSR111で生成された乱数の値より大きい回数を計数する。更に比較器114及びカウンタ115は、減算器112及びカウンタ113で計数された計数値が255に達するまでの間に、LFSR111で乱数が生成された回数を計数する。
【0202】
尚、従来の逆数演算回路は、除算回路を用いて実現される。この除算回路は、複数のレジスタ,減算回路及び比較回路で構成されるため、回路規模が大きくなる。一方、第1逆数演算回路103では、一様乱数を発生させる回路(LFSR111)と、2つの値を比較する回路(減算器112と比較器114)と、計数する回路(カウンタ113,カウンタ115)とを備えることで逆数演算するための回路を構成することができる。つまり、逆数演算する回路を少ない回路数で構成することができる。このため、従来の逆数演算回路よりも回路規模を小さくすることができる。
【0203】
また本実施形態の第1乗算回路81,82,101,102では、LFSR92において所定数値範囲内で一様乱数を連続して生成する。そして、入力値Xin15に応じた回数だけ、LFSR92で生成された乱数によって示される値と、入力値Xin14とを比較し、この比較結果に基づいて、LFSR92で生成された乱数によって示される値が入力値Xin14より小さい回数を計数することにより、入力値Xin15に入力値Xin14を乗算した値に相当する値を算出する。
【0204】
従って、一様乱数を発生させる回路と、2つの値を比較する回路と、計数する回路とを備えることで乗算回路を構成することができる。つまり、乗算する回路を少ない回路数で構成することができる。このため、従来の乗算回路よりも回路規模を小さくすることができる。
【0205】
また本実施形態のパルス変換回路175,176,0.5パルス発生回路194及び第2加算回路183では、パルス変換回路175は、0から1までの値で入力する第6入力値に応じた比率を第6入力値比率とし、この第6入力値比率で論理1となる第1パルス列を生成する。またパルス変換回路176は、0から1までの値で入力する第7入力値に応じた比率を第7入力値比率とし、この第7入力値比率で論理1となる第2パルス列を生成する。そして0.5パルス発生回路194及び論理和部183aは、パルス変換回路175によって生成された第1パルス列と、パルス変換回路176によって生成された第2パルス列とに基づいて、第1パルス列の半分の比率で論理1となるパルス列と、第2パルス列の半分の比率で論理1となるパルス列との論理和をとった第3パルス列を生成する。
【0206】
このように構成されたパルス変換回路175,176,0.5パルス発生回路194及び第2加算回路183では、入力値に応じた比率でパルス列を生成する回路と、論理和演算を行う回路とを備えることで、入力した2つの入力値の加算値を表す情報を含む信号を出力することができる。つまり、加算するための回路を少ない回路数で構成することができる。即ちパルス変換回路175,176,0.5パルス発生回路194及び第2加算回路183によれば、多ビットの2つの入力値を加算して、この加算値を表す情報を含む信号を多ビットで出力する一般的な従来の加算器よりも、回路規模を小さくすることができる。
【0207】
また補正部183bは、第6入力値と第7入力値とを加算した値の半分の値に応じた比率を加算値比率とするとともに、パルス列において論理1となる比率を論理1比率とし、パルス変換回路175によって生成された第1パルス列と、パルス変換回路176によって生成された第2パルス列とに基づいて、第3パルス列の論理1比率よりも、加算値比率との差が小さい論理1比率となる第4パルス列を生成する。
【0208】
このため、第3パルス列に基づく場合よりも、精度よく第6入力値と第7入力値との加算値を算出できる。
またカウンタ211及びレジスタ212によれば、所定リセット時間の間に第4パルス列において論理1となった回数を計数することにより、第6入力値と第7入力値との加算値を算出することができる。
【0209】
また本実施形態の信頼度演算回路25,35では、ベイズ(Bayes)の定理に基づいて逆数演算を行う回路が、第1逆数演算回路103で構成される。このため、従来の逆数演算回路を用いる場合よりも回路規模を小さくすることができる。
【0210】
また本実施形態の信頼度統合ブロック15では、Dempster−Shaferの結合定理に基づいて加算を行う回路が、パルス変換回路175,176,0.5パルス発生回路194及び第2加算回路183で構成される。このため、従来の加算回路を用いる場合よりも回路規模を小さくすることができる。
【0211】
また信頼度統合ブロック15では、Dempster−Shaferの結合定理に基づいて逆数演算を行う回路が、第2逆数演算回路186で構成される。このため、従来の逆数演算回路を用いる場合よりも回路規模を小さくすることができる。
【0212】
また信頼度統合ブロック15では、Dempster−Shaferの結合定理に基づいて乗算を行う回路が、第2乗算回路187で構成される。このため、従来の乗算回路を用いる場合よりも回路規模を小さくすることができる。
【0213】
以上説明した実施形態において、条件付き確率演算回路21,23,31,33は第1発明の演算回路、正規分布乱数発生回路41及び加算器44は本発明における正規乱数生成回路、減算器45及びカウンタ46は本発明における第1計数回路、LFSR51は本発明における第1一様乱数生成回路、加算器53は本発明における加算回路、LFSR51の所定数値範囲は本発明における第1所定数値範囲である。
【0214】
また第1逆数演算回路103は第3発明の演算回路、LFSR111は本発明における第2一様乱数生成回路、減算器112及びカウンタ113は本発明における第3計数回路、比較器114及びカウンタ115は本発明における第4計数回路、LFSR111の所定数値範囲は本発明における第2所定数値範囲である。
【0215】
また信頼度演算回路25,35は第4発明の演算回路、第1乗算回路81,82,101,102は本発明における乗算回路、LFSR92は本発明における第3生成一様乱数値、LFSR92の所定数値範囲は本発明における第3所定数値範囲である。
【0216】
また、パルス変換回路175,176,0.5パルス発生回路194及び第2加算回路183は第5発明の演算回路、パルス変換回路175は本発明における第1パルス列生成回路、パルス変換回路176は本発明における第2パルス列生成回路、0.5パルス発生回路194及び論理和部183aは本発明における第1論理和回路、補正部183bは本発明における第4パルス列生成回路、ANDゲート204は本発明における第1論理積回路、ORゲート205は本発明における第2論理和回路、カウンタ211及びレジスタ212は本発明における第6計数回路、所定リセット時間は本発明における第1所定計数期間である。
【0217】
また信頼度統合ブロック15は第7発明の演算回路である。
また、特徴量抽出部6は本発明における特徴量抽出手段、条件付き確率演算回路21,31の正規分布乱数発生回路41及び加算器44は本発明における第1分布発生手段、条件付き確率演算回路23,33の正規分布乱数発生回路41及び加算器44は本発明における第2分布発生手段、条件付き確率演算回路21,31は本発明における第1条件付き確率算出手段、条件付き確率演算回路23,33は本発明における第2条件付き確率算出手段、信頼度演算回路25,35は本発明における信頼度算出手段、信頼度統合ブロック15は本発明における信頼度統合手段である。
【0218】
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採ることができる。
例えば上記実施形態では、2つの特徴量x1,x2に基づいて、画像認識を行うものを示したが、3つ以上の特徴量を用いてもよい。
【0219】
また上記実施形態では、条件付き確率演算回路21は、一様乱数が入力値Xin1より小さい回数を計数したが、入力値Xin1より大きい回数を計数するようにしてもよい。
また上記実施形態では、第1加算回路182が3つの入力値を加算し、第2加算回路183が2つの入力値を加算するものを示した。しかし、加算するべき入力値の増加に応じて、4つ以上の入力値を加算するように構成してもよい。
【0220】
また上記実施形態では、論理和部183aから出力されたパルス信号の論理1比率を補正する補正部183bを備えたものを示したが、補正部183bを省略して、論理和部183aの出力を数値変換回路184に入力するようにしてもよい。この場合、カウンタ211及びレジスタ212は本発明における第5計数回路である。
【0221】
また上記実施形態では、逆数演算を行うために第1逆数演算回路103を用いたが、第1逆数演算回路103の代わりに、以下に示す第3逆数演算回路300を用いてもよい。
この第3逆数演算回路300は、図15(a)に示すように、外部クロック信号CLKを入力し、外部クロック信号CLKが入力される毎に、予め設定された所定数値範囲内(本実施形態では、例えば、0〜255の整数)で一様乱数(例えば8ビット[7:0])を生成する一様乱数発生器(LFSR)301と、一方の入力端子Rに入力される値(例えば8ビット[7:0])から、他方の入力端子Lに入力される値(例えば8ビット[7:0])を減算して、この減算値の最上位ビット(MSB)の値(1または0)を出力する減算器302と、入力端子D1にパルス信号が入力するとインクリメント(1加算)し、この加算値を出力するとともに、入力端子ENにパルス信号が入力すると、この時点での加算値を保持するカウンタ303とから構成される。
【0222】
そして減算器302において、入力端子Lには入力端子IN31が接続され、入力端子RにはLFSR301からの出力値が入力される。
またカウンタ303において、入力端子D1には外部クロック信号CLKが入力され、入力端子ENには減算器302からのパルス信号が入力される。更にカウンタ303の出力は、出力端子OUT31から出力される。
【0223】
このように構成された第3逆数演算回路300において、減算器302には、入力端子IN31から8ビット[7:0]の値が入力されるとともに、外部クロック信号CLKがLFSR301に入力される毎にLFSR301から一様乱数(8ビット[7:0])が入力される。このため減算器302は、入力端子IN31に入力した値(以降、入力値Xin31とも称す)がLFSR301から入力された乱数よりも大きい場合にパルス信号を出力する。即ち、減算器302がパルス信号を出力する確率は入力値Xin31に比例する。
【0224】
そしてカウンタ303は、減算器302からのパルス信号が入力されるまでの間に、カウンタ303に入力した外部クロック信号CLKの数を計数する。
即ちカウンタ303は、入力値Xin31が初めて一様乱数より大きくなるまでの間に、LFSR301で乱数が生成された回数を計数する。
【0225】
従って第3逆数演算回路300では、入力値Xin31に比例した成功確率でベルヌーイ試行を行い、初めて成功するまでの回数を計数することと同様の演算を行っている。このため、減算器302からのパルス信号が入力した時点でのカウンタ303の計数値は、入力値Xin31の逆数に相当する。
【0226】
このように構成された第3逆数演算回路300では、一様乱数を発生させる回路と、2つの値を比較する回路と、計数する回路とを備えることで逆数演算するための回路を構成することができる。つまり、逆数演算するための回路を少ない回路数で構成することができる。このため、従来の逆数演算回路よりも回路規模を小さくすることができる。また、第1逆数演算回路103よりも回路規模を小さくすることができる。
【0227】
尚、第3逆数演算回路300は第2発明の演算回路、LFSR301は本発明における第2一様乱数生成回路、減算器302及びカウンタ303は本発明における第2計数回路、LFSR301の所定数値範囲は本発明における第2所定数値範囲である。
【0228】
また上記実施形態では、乗算を行うために第1乗算回路101を用いたが、第1乗算回路101の代わりに、以下に示す第3乗算回路320を用いてもよい。
この第3乗算回路320は、図15(b)に示すように、入力端子IN17から入力した入力値に応じた比率でパルス信号を出力端子OUT12から出力するパルス変換回路321,322と、入力端子Cから入力した入力値と、入力端子Dから入力した入力値との論理積演算を行うANDゲート323と、入力端子D2にパルス信号が入力するとインクリメント(1加算)し、この加算値を出力するとともに、予め設定された所定リセット時間毎に、この加算値をリセットする(0にする)カウンタ324と、カウンタ324のリセットされる前の値を保持するとともに、この保持した値を出力するレジスタ325とから構成される。
【0229】
そしてパルス変換回路321において、入力端子IN17には第3乗算回路320の入力端子IN32が接続される。また出力端子OUT12には、ANDゲート323の入力端子Cが接続される。
【0230】
またパルス変換回路322において、入力端子IN17には第3乗算回路320の入力端子IN33が接続される。また出力端子OUT12には、ANDゲート323の入力端子Dが接続される。
【0231】
そしてカウンタ324において、入力端子D2にはANDゲート323の出力が入力される。
またレジスタ325において、入力端子にはカウンタ324の出力が入力される。更にレジスタ325の出力は、第3乗算回路320の出力端子OUT32から出力される。
【0232】
尚、パルス変換回路321,322は、パルス変換回路121,122と同様の構成である。
このように構成された第3乗算回路320において、ANDゲート323は、下式(37)で表される論理1比率でパルス信号を出力する。尚、パルス変換回路321,322,ANDゲート323が出力するパルスの論理1比率をそれぞれ、P321,P322,P323と表記する。
【0233】
P323 = P321・P322 ・・・(37)
またカウンタ324は、ANDゲート323から入力されるパルス信号の数を計数して、この計数値をレジスタ325に出力する。そしてレジスタ325は、カウンタ324のリセットされる前の値を保持する。即ち、カウンタ324及びレジスタ325は、ANDゲート323が所定リセット時間内にパルス信号を出力する回数を計数することにより、ANDゲート323の論理1比率を算出する。
【0234】
従って第3乗算回路320は、入力端子IN32からの入力値と入力端子IN33からの入力値との乗算値に相当する数値を出力端子OUT32から出力する。
このように構成された第3乗算回路320では、入力値に応じた比率でパルス列を生成する回路と、論理積演算を行う回路とを備えることで、入力した2つの入力値の乗算値を表す情報を含む信号を出力することができる。即ち第3乗算回路320によれば、多ビットの2つの入力値を乗算して、この乗算値を表す情報を含む信号を多ビットで出力する一般的な従来の乗算器よりも、回路規模を小さくすることができる。
【0235】
尚、第3乗算回路320は第6発明の演算回路、パルス変換回路321は本発明における第6パルス列生成回路、パルス変換回路322は本発明における第7パルス列生成回路、ANDゲート323は本発明における第2論理積回路、カウンタ324及びレジスタ325は本発明における第7計数回路、カウンタ324の所定リセット時間は本発明における第2所定計数期間である。
【図面の簡単な説明】
【0236】
【図1】画像認識システム1の構成を示すブロック図。
【図2】判定量演算部7の構成を示すブロック図。
【図3】第1信頼度演算ブロック11及び第2信頼度演算ブロック13の構成を示すブロック図。
【図4】条件付き確率演算回路21の構成を示すブロック図。
【図5】信頼度演算回路25の構成を示すブロック図。
【図6】信頼度演算回路35の構成を示すブロック図。
【図7】乗算・加算回路61及び第1乗算回路81の構成を示すブロック図。
【図8】乗算・逆数演算回路64の構成を示すブロック図。
【図9】信頼度算出回路66の構成を示すブロック図。
【図10】パルス変換回路121,第2乗算回路131及び第2逆数演算回路130の構成を示すブロック図。
【図11】信頼度統合ブロック15の構成を示すブロック図。
【図12】数値変換回路184の構成を示すブロック図。
【図13】撮影画像及び物体領域を示す図。
【図14】条件付き確率演算回路21の演算結果を説明する図。
【図15】第3逆数演算回路300と第3乗算回路320の構成を示すブロック図。
【図16】第1計数回路の計数値を説明する図。
【符号の説明】
【0237】
1…画像認識システム、2…画像認識装置、3,3’…カメラ、6…特徴量抽出部、7…判定量演算部、8…判定部、11…第1信頼度演算ブロック、13…第2信頼度演算ブロック、15…信頼度統合ブロック、21,23,31,33…条件付き確率演算回路、22,24,32,34…レジスタ、25,35…信頼度演算回路、41…正規分布乱数発生回路、42,43,47…ビット追加部、44…加算器、45…減算器、46…カウンタ、51…LFSR、53…加算器、61…乗算・加算回路、62,63…レジスタ、64,65…乗算・逆数演算回路、66…信頼度算出回路、71…乗算・加算回路、72,73…レジスタ、74,75…乗算・逆数演算回路、76…信頼度算出回路、81,82…第1乗算回路、83…加算器、91…減算器、92…LFSR、93…基準カウンタ、94…比較器、95…カウンタ、101,102…第1乗算回路、103…第1逆数演算回路、111…LFSR、112…減算器、113…カウンタ、114…比較器、115…カウンタ、121,122…パルス変換回路、123,124…反転ゲート、125,126,127,128…ANDゲート、129…反転ゲート、130…第2逆数演算回路、131,132,133…第2乗算回路、141…LFSR、142…比較器、151…基準カウンタ、152…比較器、153…カウンタ、161…カウンタ、162…比較器、163…カウンタ、171,172,173,174,175,176…パルス変換回路、177,178,179,180,181…ANDゲート、182…第1加算回路、182a…論理和部、182b…補正部、183…第2加算回路、183a…論理和部、183b…補正部、184…数値変換回路、185…反転ゲート、186…第2逆数演算回路、187…第2乗算回路、191,192,193,199,201,202,204…ANDゲート、194…パルス発生回路、195,196,197,198,200,203,205…ORゲート、211…カウンタ、212…レジスタ、213…LFSR、214…ビット追加部、215…比較器、300…第3逆数演算回路、301…LFSR、302…減算器、303…カウンタ、320…第3乗算回路、321…パルス変換回路、322…パルス変換回路、323…ANDゲート、324…カウンタ、325…レジスタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設定された所定値を期待値とした正規分布に従う乱数を正規分布乱数とし、この正規分布乱数を連続して生成する回路である正規乱数生成回路と、
入力された第1入力値と、前記正規乱数生成回路で生成された正規分布乱数の値である生成乱数値とを比較し、この比較結果に基づいて、前記生成乱数値が前記第1入力値より大きい回数または小さい回数を計数する第1計数回路と、
を備えることを特徴とする演算回路。
【請求項2】
前記正規乱数生成回路は、
予め設定された第1所定数値範囲内で一様乱数を連続して生成する回路である複数の第1一様乱数生成回路と、
前記複数の第1一様乱数生成回路のそれぞれで生成された乱数の値の総和をとる加算回路と、
から構成されることを特徴とする請求項1に記載の演算回路。
【請求項3】
予め設定された第2所定数値範囲内で一様乱数を連続して生成する回路である第2一様乱数生成回路と、
入力された第2入力値と、前記第2一様乱数生成回路で生成された乱数の値である第2生成一様乱数値とを比較し、この比較結果に基づいて、前記第2入力値が前記第2生成一様乱数値より大きくなるまでの間に、前記第2一様乱数生成回路で乱数が生成された回数を計数する第2計数回路と、
を備えることを特徴とする演算回路。
【請求項4】
予め設定された第2所定数値範囲内で一様乱数を連続して生成する回路である第2一様乱数生成回路と、
入力された第3入力値と、前記第2一様乱数生成回路で生成された乱数の値である第2生成一様乱数値とを比較し、この比較結果に基づいて、前記第3入力値が前記第2生成一様乱数値より大きい回数を計数する第3計数回路と、
前記第3計数回路で計数された計数値が予め設定された所定判定値に達するまでの間に、前記第2一様乱数生成回路で乱数が生成された回数を計数する第4計数回路と、
を備えることを特徴とする演算回路。
【請求項5】
ベイズ(Bayes)の定理を用いた演算を行う演算回路であって、
ベイズ(Bayes)の定理に基づいて逆数演算を行う回路が、請求項3または請求項4に記載の演算回路で構成される、
ことを特徴とする演算回路。
【請求項6】
予め設定された第3所定数値範囲内で一様乱数を生成する回路である第3一様乱数生成回路を有し、入力した第4入力値に応じた回数だけ、前記第3一様乱数生成回路で生成された乱数によって示される値である第3生成一様乱数値と、入力した第5入力値とを比較し、この比較結果に基づいて、前記第3生成一様乱数値が前記第5入力値より大きい回数または小さい回数を計数することにより、前記第4入力値に前記第5入力値を乗算した値に相当する値を算出するように構成された乗算回路を備える、
ことを特徴とする請求項5に記載の演算回路。
【請求項7】
0から1までの値で入力する第6入力値に応じた比率を第6入力値比率とし、この第6入力値比率でランダムに論理1となる第1パルス列を生成する第1パルス列生成回路と、
0から1までの値で入力する第7入力値に応じた比率を第7入力値比率とし、この第7入力値比率でランダムに論理1となる第2パルス列を生成する第2パルス列生成回路と、
前記第1パルス列生成回路によって生成された第1パルス列と、前記第2パルス列生成回路によって生成された第2パルス列とに基づいて、前記第1パルス列の半分の比率でランダムに論理1となるパルス列と、前記第2パルス列の半分の比率でランダムに論理1となるパルス列との論理和をとった第3パルス列を生成する第1論理和回路と、
を備えることを特徴とする演算回路。
【請求項8】
前記第6入力値と前記第7入力値とを加算した値の半分の値に応じた比率を加算値比率とするとともに、パルス列において論理1となる比率を論理1比率とし、
前記第1パルス列生成回路によって生成された第1パルス列と、前記第2パルス列生成回路によって生成された第2パルス列とに基づいて、前記第3パルス列の論理1比率よりも、前記加算値比率との差が小さい論理1比率となる第4パルス列を生成する第4パルス列生成回路を備える、
ことを特徴とする請求項7に記載の演算回路。
【請求項9】
前記第4パルス列生成回路は、
前記第1パルス列生成回路によって生成された第1パルス列と、前記第2パルス列生成回路によって生成された第2パルス列との論理積をとった第5パルス列を生成する第1論理積回路と、
前記第1論理和回路によって生成された第3パルス列と、前記第1論理積回路によって生成された第5パルス列との論理和をとったパルス列を前記第4パルス列として生成する第2論理和回路と、
から構成されることを特徴とする請求項8に記載の演算回路。
【請求項10】
予め設定された第1所定計数期間の間に前記第3パルス列において論理1となった回数を計数する第5計数回路を備える、
ことを特徴とする請求項7に記載の演算回路。
【請求項11】
予め設定された第1所定計数期間の間に前記第4パルス列において論理1となった回数を計数する第6計数回路を備える、
ことを特徴とする請求項8または請求項9に記載の演算回路。
【請求項12】
0から1までの値で入力する第8入力値に応じた比率を第8入力値比率とし、この第8入力値比率でランダムに論理1となる第6パルス列を生成する第6パルス列生成回路と、
0から1までの値で入力する第9入力値に応じた比率を第9入力値比率とし、この第9入力値比率でランダムに論理1となる第7パルス列を生成する第7パルス列生成回路と、
前記第6パルス列生成回路によって生成された第6パルス列と、前記第7パルス列生成回路によって生成された第7パルス列との論理積をとった第8パルス列を生成する第2論理積回路と、
を備えることを特徴とする演算回路。
【請求項13】
予め設定された第2所定計数期間の間に前記第8パルス列において論理1となった回数を計数する第7計数回路を備える、
ことを特徴とする請求項12に記載の演算回路。
【請求項14】
Dempster−Shaferの結合定理を用いた演算を行う演算回路であって、
Dempster−Shaferの結合定理に基づいて加算を行う回路が、請求項7〜請求項9の何れかに記載の演算回路で構成される、
ことを特徴とする演算回路。
【請求項15】
Dempster−Shaferの結合定理に基づいて逆数演算を行う回路が、請求項3または請求項4に記載の演算回路で構成される、
ことを特徴とする請求項14に記載の演算回路。
【請求項16】
Dempster−Shaferの結合定理に基づいて乗算を行う回路が、請求項6に記載の乗算回路で構成される、
ことを特徴とする請求項14または請求項15に記載の演算回路。
【請求項17】
入力画像から、予め設定された第1所定対象物を特徴付ける複数の特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、
複数の特徴量それぞれ毎に、この特徴量に対する、前記第1所定対象物を示す画像である第1所定対象物画像が前記入力画像内に含まれる確率の分布を正規分布で示した第1特徴量分布データを発生させる第1分布発生手段と、
複数の特徴量それぞれ毎に、この特徴量に対する、前記第1所定対象物とは異なる第2所定対象物を示す画像である第2所定物体対象物が前記入力画像内に含まれる確率の分布を正規分布で示した第2特徴量分布データを発生させる第2分布発生手段と、
前記第1分布発生手段で発生させた第1特徴量分布データと、前記特徴量抽出手段により抽出された複数の特徴量の値とに基づいて求められ、複数の特徴量それぞれ毎に、前記第1所定対象物画像が前記入力画像内に含まれる確からしさの度合いを示す第1条件付き確率を算出する第1条件付き確率算出手段と、
前記第2分布発生手段で発生させた第2特徴量分布データと、前記特徴量抽出手段により抽出された複数の特徴量の値とに基づいて求められ、複数の特徴量それぞれ毎に、前記第2所定対象物画像が前記入力画像内に含まれる確からしさの度合いを示す第2条件付き確率を算出する第2条件付き確率算出手段と、
ベイズ(Bayes)の定理を用いて、前記第1条件付き確率算出手段により算出された第1条件付き確率と、前記第2条件付き確率算出手段により算出された第2条件付き確率とを統合することにより求められ、前記第1所定対象物画像が前記入力画像内に含まれる確からしさの度合いを示す信頼度を、前記複数の特徴量毎に算出する信頼度算出手段と、
Dempster−Shaferの結合定理に基づき、前記複数の特徴量毎に算出された信頼度を統合する信頼度統合手段と、
を備える画像認識装置であって、
前記第1分布発生手段及び前記第2分布発生手段の少なくとも一方は、請求項1または請求項2に記載の正規乱数生成回路で構成され、
前記第1条件付き確率算出手段及び第2条件付き確率算出手段の少なくとも一方は、前記特徴量抽出手段により抽出された特徴量を前記第1入力値とした、請求項1に記載の第1計数回路で構成される、
ことを特徴とする画像認識装置。
【請求項18】
入力画像から、予め設定された第1所定対象物を特徴付ける複数の特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、
複数の特徴量それぞれ毎に、この特徴量に対する、前記第1所定対象物を示す画像である第1所定対象物画像が前記入力画像内に含まれる確率の分布を正規分布で示した第1特徴量分布データを発生させる第1分布発生手段と、
複数の特徴量それぞれ毎に、この特徴量に対する、前記第1所定対象物とは異なる第2所定対象物を示す画像である第2所定物体対象物が前記入力画像内に含まれる確率の分布を正規分布で示した第2特徴量分布データを発生させる第2分布発生手段と、
前記第1分布発生手段で発生させた第1特徴量分布データと、前記特徴量抽出手段により抽出された複数の特徴量の値とに基づいて求められ、複数の特徴量それぞれ毎に、前記第1所定対象物画像が前記入力画像内に含まれる確からしさの度合いを示す第1条件付き確率を算出する第1条件付き確率算出手段と、
前記第2分布発生手段で発生させた第2特徴量分布データと、前記特徴量抽出手段により抽出された複数の特徴量の値とに基づいて求められ、複数の特徴量それぞれ毎に、前記第2所定対象物画像が前記入力画像内に含まれる確からしさの度合いを示す第2条件付き確率を算出する第2条件付き確率算出手段と、
ベイズ(Bayes)の定理を用いて、前記第1条件付き確率算出手段により算出された第1条件付き確率と、前記第2条件付き確率算出手段により算出された第2条件付き確率とを統合することにより求められ、前記第1所定対象物画像が前記入力画像内に含まれる確からしさの度合いを示す信頼度を、前記複数の特徴量毎に算出する信頼度算出手段と、
Dempster−Shaferの結合定理に基づき、前記複数の特徴量毎に算出された信頼度を統合する信頼度統合手段と、
を備える画像認識装置であって、
前記信頼度算出手段は、
ベイズ(Bayes)の定理に基づいて逆数演算を行う回路が、請求項3または請求項4に記載の演算回路で構成される、
ことを特徴とする画像認識装置。
【請求項19】
入力画像から、予め設定された第1所定対象物を特徴付ける複数の特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、
複数の特徴量それぞれ毎に、この特徴量に対する、前記第1所定対象物を示す画像である第1所定対象物画像が前記入力画像内に含まれる確率の分布を正規分布で示した第1特徴量分布データを発生させる第1分布発生手段と、
複数の特徴量それぞれ毎に、この特徴量に対する、前記第1所定対象物とは異なる第2所定対象物を示す画像である第2所定物体対象物が前記入力画像内に含まれる確率の分布を正規分布で示した第2特徴量分布データを発生させる第2分布発生手段と、
前記第1分布発生手段で発生させた第1特徴量分布データと、前記特徴量抽出手段により抽出された複数の特徴量の値とに基づいて求められ、複数の特徴量それぞれ毎に、前記第1所定対象物画像が前記入力画像内に含まれる確からしさの度合いを示す第1条件付き確率を算出する第1条件付き確率算出手段と、
前記第2分布発生手段で発生させた第2特徴量分布データと、前記特徴量抽出手段により抽出された複数の特徴量の値とに基づいて求められ、複数の特徴量それぞれ毎に、前記第2所定対象物画像が前記入力画像内に含まれる確からしさの度合いを示す第2条件付き確率を算出する第2条件付き確率算出手段と、
ベイズ(Bayes)の定理を用いて、前記第1条件付き確率算出手段により算出された第1条件付き確率と、前記第2条件付き確率算出手段により算出された第2条件付き確率とを統合することにより求められ、前記第1所定対象物画像が前記入力画像内に含まれる確からしさの度合いを示す信頼度を、前記複数の特徴量毎に算出する信頼度算出手段と、
Dempster−Shaferの結合定理に基づき、前記複数の特徴量毎に算出された信頼度を統合する信頼度統合手段と、
を備える画像認識装置であって、
前記信頼度統合手段は、
Dempster−Shaferの結合定理に基づいて加算を行う回路が、請求項7〜請求項9の何れかに記載の演算回路で構成される、
ことを特徴とする画像認識装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図13】
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