説明

演算回路

【課題】 ナノメートル領域に配置した量子ドット間に特有な光物理現象を見出し、光の回折限界に支配されることなく和演算や積和演算を始めとした演算処理等を行うことができる演算回路を提供する。
【解決手段】 入力信号に対応した互いに異なる周波数の信号光がそれぞれ供給され、当該供給された信号光の周波数に応じてそれぞれ励起子がエネルギー準位に励起されるようにサイズを互いに異ならせた複数の量子ドット12からなる入力側量子ドットグループ20と、各エネルギー準位との共鳴に応じて入力側量子ドットグループ20を構成する各量子ドット12から励起子が注入される共鳴エネルギー準位を有し、当該共鳴エネルギー準位から放出されたエネルギーに応じて各信号光より長波長の出力光を出力信号として生成する出力側の量子ドット13とを基板11上に形成させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にナノスケールの光通信ネットワーク、光計測等の分野に適用される量子ドットを用いた演算回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の半導体微細加工技術の発展により、量子力学的効果が顕著に現れるサイズまでに微細な構造をもつ半導体素子が実現されている(例えば、非特許文献1参照。)。この量子力学的効果を利用した半導体素子として、例えばHBT(Hetero-junction Bipolar Transistor)や量子井戸レーザ等が実用化されている。また量子力学的効果を利用し、単一電子を制御することにより電子の粒子性を極限まで利用するナノスケールの量子ドットが注目されている。
【0003】
量子ドットは、上述した半導体微細加工技術を用いることにより、励起子に三次元的な量子閉じ込めを与えるほど微細なポテンシャルの箱を形成したものである。この励起子の閉じ込め系を利用し、量子ドット内のキャリアのエネルギー準位が離散的になり、状態密度がデルタ関数的に尖鋭化する。この量子ドットにおける尖鋭化した状態間における光の吸収を利用する単一電子メモリや、量子ドットを出入りする単一電子をON/OFF動作させる単一電子トランジスタが既に研究されており、単一電子のナノスケール操作が実現化されつつある。
【0004】
【非特許文献1】M.Ohtsu,K.Kobayashi,T.Kawazoe,S.Sangu,T.Yatsui,IEEE J.Sel.Top.Quant.Electron.,to be published Vol8.No4 2002July-Aug,P839-P862
【非特許文献2】M.J.O'Mahony, D. Simeonidou, D. K. Hunter, A.Tzanakaki, IEEE Commn.Mag.39,128(2001)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、将来の大容量情報処理への要求に応えるべく、光の回折限界に支配されることなく演算処理、情報処理、遅延処理等を行うことができるナノスケールの演算回路、遅延回路等の実現が望まれている。
【0006】
しかしながら、かかるナノスケールの回路を電子デバイスで実現化しようとした場合、量子的なゆらぎが生じてしまうという問題点があり、また光デバイスで実現しようとした場合には、やはり光の回折限界により微小化が制限されてしまうという問題点がある。例えば、主要データを電気領域に変換せずに処理することができる光パケットスイッチング(例えば、非特許文献2参照。)も提案されている。しかしながら、かかるスイッチング技術については、解決しなければならない様々な課題が存在する。例えばパケットのヘッダーとの照合演算に特定の導波路デバイスを多数実装しなければならず、必要な固体デバイスの規模が大きく集積性に難がある。
【0007】
また、入力信号(コンテント)がメモリシステムに入力され、これにマッチするメモリ内アドレスが返されるコンテントアドレッサブルメモリ(Content Addressable Memory(CAM))が特に近年において提案されており、Routing、Translation Look―Aside Bufffer(TLB)、Image Processing、Data Compression(LZW)等に応用されている。
【0008】
かかるCAM機構の実現には、複数ビットのデータ全体についての評価機構が重要になるが、MOSトランジスタ等による既存の電子回路では、消費電力が大きくなり実現が困難になるという問題がある。またこれを実現するための光学的手段として、Position sensitive diode (PSD)により光電流加算する手法や、受光素子アレイを用いて電気領域へ変換した上でプロセッサ上で大域的演算する手法が提案されているが何れも集積性に難がある。
【0009】
また、かかるCAM機構における光学的なデータのマッチング機構として、光領域符号分割多重を用いる方式があるが、各符号に対して個別に導波路デバイスを準備する必要があり、これも集積性に難がある。
【0010】
更に、量子デバイスでCAM機構を実現化しようとした場合には、コヒーレンス性において長期に亘る信頼性を確保することが困難になるという問題点がある。このため、実用的なナノスケールの回路自体が未だ案出されていないのが現状である。
【0011】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、ナノメートル領域に配置した量子ドット間に特有な光物理現象を見出し、光の回折限界に支配されることなく和演算や積和演算を始めとした演算処理等を行うことができる演算回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上述した課題を解決するために、入力信号に対応した互いに異なる周波数の信号光がそれぞれ供給され、当該供給された信号光の周波数に応じてそれぞれ励起子がエネルギー準位に励起されるようにサイズを互いに異ならせた複数の量子ドットからなる入力側量子ドットグループと、各エネルギー準位との共鳴に応じて入力側量子ドットグループを構成する各量子ドットから基板を介して励起子が注入される共鳴エネルギー準位を有し、当該共鳴エネルギー準位から放出されたエネルギーに応じて各信号光より長波長の出力光を出力信号として生成する出力側の量子ドットとを基板上に形成させた演算回路を発明した。
【0013】
即ち、本発明に係る演算回路は、複数の入力信号の和として表される出力信号を生成する演算回路において、誘電性の基板と、入力信号に対応した互いに異なる周波数の信号光がそれぞれ供給され、当該供給された信号光の周波数に応じてそれぞれ励起子がエネルギー準位に励起されるようにサイズを互いに異ならせた複数の量子ドットを基板上に形成させた入力側量子ドットグループと、各エネルギー準位との共鳴に応じて入力側量子ドットグループを構成する各量子ドットから基板を介して励起子が注入される共鳴エネルギー準位を有し、当該共鳴エネルギー準位から放出されたエネルギーに応じて各信号光より長波長の出力光を出力信号として生成する出力側の量子ドットとを備える。
【0014】
即ち、本発明に係る演算回路は、複数の入力信号の積和として表される出力信号を生成する演算回路において、誘電性の基板と、入力信号に対応した第1の信号光並びに第2の信号光がそれぞれ供給され、当該 供給された第1の信号光に応じて励起子が励起される第1のエネルギー準位を有する第1の量子ドットと、第1のエネルギー準位と同準位の第2のエネルギー準位を有し、供給される第2の信号光に応じて当該第2のエネルギー準位に励起子が励起される第2の量子ドットと、第1,第2のエネルギー準位よりも低準位の第3のエネルギー準位を有する第3の量子ドットからなり、第3の量子ドットを介して第1の量子ドット並びに第2の量子ドットが互いに対称となるように基板上に形成されている複数の入力側量子ドットグループと、第3の量子ドットにおける第3のエネルギー準位との共鳴に応じて各入力側量子ドットグループから励起子が注入される共鳴エネルギー準位を有し、当該共鳴エネルギー準位から放出されたエネルギーに応じて出力信号としての出力光を生成する出力側の量子ドットとを備える。
【0015】
即ち、本発明に係る演算回路は、デジタル化された入力信号に対する参照信号の積和として表される出力信号を生成する演算回路において、誘電性の基板と、入力信号の各ビットに対応した第1の信号光がそれぞれ供給されるとともに、当該各ビットと積算するための参照信号の各ビットに対応した第2の信号光がそれぞれ供給され、当該供給された第1の信号光に応じて励起子が励起される第1のエネルギー準位を有する第1の量子ドットと、第1のエネルギー準位と同準位の第2のエネルギー準位を有し、供給される第2の信号光に応じて当該第2のエネルギー準位に励起子が励起される第2の量子ドットと、第1,第2のエネルギー準位よりも低準位の第3のエネルギー準位を有する第3の量子ドットからなり、第3の量子ドットを介して第1の量子ドット並びに第2の量子ドットが互いに対称となるように基板上に形成されている複数の入力側量子ドットグループと、第3の量子ドットにおける第3のエネルギー準位との共鳴に応じて各入力側量子ドットグループから励起子が注入される共鳴エネルギー準位を有し、当該共鳴エネルギー準位から放出されたエネルギーに応じて出力信号としての出力光を生成する出力側の量子ドットとを備える。
【0016】
即ち、本発明に係る演算回路は、デジタル化された入力信号の各参照信号に対する類似度を求める演算回路において、入力信号と、互いに異なる参照信号がそれぞれ供給される複数の演算処理手段と、各演算処理手段から出力される出力信号に基づいて類似度を識別する類似度識別手段を備え、各演算処理手段は、誘電性の基板と、入力信号の各ビットに対応した第1の信号光がそれぞれ供給されるとともに、当該各ビットと積算するための参照信号の各ビットに対応した第2の信号光がそれぞれ供給され、当該供給された第1の信号光に応じて励起子が励起される第1のエネルギー準位を有する第1の量子ドットと、第1のエネルギー準位と同準位の第2のエネルギー準位を有し、供給される第2の信号光に応じて当該第2のエネルギー準位に励起子が励起される第2の量子ドットと、第1,第2のエネルギー準位よりも低準位の第3のエネルギー準位を有する第3の量子ドットからなり、第3の量子ドットを介して第1の量子ドット並びに第2の量子ドットが互いに対称となるように基板上に形成されている複数の入力側量子ドットグループと、第3の量子ドットにおける第3のエネルギー準位との共鳴に応じて各入力側量子ドットグループから励起子が注入される共鳴エネルギー準位を有し、当該共鳴エネルギー準位から放出されたエネルギーに応じて出力信号としての出力光を生成する出力側の量子ドットとを備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、ナノメートル領域に配置した量子ドット間に特有な光物理現象を見出しつつ、入力信号に対応した互いに異なる周波数の信号光がそれぞれ供給され、当該供給された信号光の周波数に応じてそれぞれ励起子がエネルギー準位に励起されるようにサイズを互いに異ならせた複数の量子ドットからなる入力側量子ドットグループと、各エネルギー準位との共鳴に応じて入力側量子ドットグループを構成する各量子ドットから基板を介して励起子が注入される共鳴エネルギー準位を有し、当該共鳴エネルギー準位から放出されたエネルギーに応じて各信号光より長波長の出力光を出力信号として生成する出力側の量子ドットとを基板上に形成させる。
【0018】
これにより、本発明では、光の回折限界に支配されることなく演算処理を行うことができるナノスケールの回路を提供することが可能となり、将来の大容量情報処理への要求に応えることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
先ず、本発明を適用した量子ドットによる演算回路1について説明をする。演算回路1は、複数の入力信号の和として表される出力信号を生成する演算回路であって、例えば図1に示すように、例えばNaCl、KCl又はCaF等の導電性材料により構成される基板11と、基板11の表面上において形成されている1つの出力側の第2の量子ドット13と、当該第2の量子ドット13の周囲において離散的に形成されている複数の第1の量子ドット12からなる量子ドットグループ20とを備えている。以下の説明においては、量子ドットグループ20が2つの第1の量子ドット12a,12bにより構成される場合を例に挙げて説明をする。
【0021】
量子ドットグループ20を構成する各量子ドット12a,12b、並びに第2の量子ドット13は、励起子を三次元的に閉じ込めることにより形成される離散的なエネルギー準位に基づき、単一電子(励起子)を制御する。この量子ドット12,13間において、励起子の閉じ込め系により、量子ドット内のキャリアのエネルギー準位が離散的になり、状態密度をデルタ関数的に尖鋭化させることができる。
【0022】
この量子ドットグループ20を構成する各量子ドット12a,12bには、近接場光としての信号光がそれぞれ独立に供給される。ここで第1の量子ドット12aに供給される近接場光を信号光Aとし、第1の量子ドット12bに供給される近接場光を信号光Bとする。これら信号光A, 信号光Bは、基板11に形成されたプラズモン導波路31、32を介してそれぞれ各量子ドット12a,12bに供給されるが、かかる場合に限定されるものではなく、例えば各量子ドット12a,12bに近接された図示しない近接場光プローブを介して供給されるようにしてもよい。
【0023】
第2の量子ドット13は、第1の量子ドット12a、或いは第1の量子ドット12bから注入される励起子に応じて出力光を生成する。第2の量子ドット13の周囲には、生成した出力光を伝搬させて外部出力するためのプラズモン導波路33が設けられている。
【0024】
即ち、この演算回路1では、第1の量子ドット12a,12bに対して、信号光A,信号光Bがそれぞれ独立に供給される。第2の量子ドット13は、量子ドットグループ20を構成する量子ドット12a,12bへ供給された信号光A,Bに応じて、出力光を生成する。
【0025】
ちなみに、各量子ドット12,13は、CuCl、GaN又はZnO等の材料系からなる。ちなみに、各量子ドット12,13を構成する材料系がCuClである場合に、これらは立方体として構成され、また各量子ドット12,13を構成する材料系がGaNやZnOである場合に、これらは球形或いは円盤形として構成される。
【0026】
これら各量子ドット12,13は以下のブリッジマン法を用いることにより、基板11上に形成させることができる。各量子ドット12,13を構成する材料系として上記CuClを用いる場合において、先ずCuClの粉末と、NaClの粉末を混合して約800℃の温度で融解する。次に、上下方向に温度勾配が施された炉内へ上記融解した混合粉末をつり下げ、数mm/hの速度で炉内を上下移動させることにより、混合粉末内部に温度勾配を作り出して序々に結晶化させてゆく。そして約200℃程度の温度で数分から数10分間熱処理をすると、CuClの量子ドット12,13を包含したNaCl結晶を作製することができる。ちなみに、このブリッジマン法では、熱処理温度や熱処理時間を変えることにより、生成する量子ドット12,13のサイズを自在に制御することもでき、これらを100nm以下の領域に並べて形成させることも可能となる。
【0027】
なお、これら各量子ドット12,13は、更に分子エピタキシー(MBE)成長法に基づいて基板11上に作製してもよいし、また近接場光CVDを利用して量子ドットの形成位置を精度よく制御してもよい。
【0028】
各量子ドット12,13における量子閉じ込め準位E(nx,ny,nz)は、粒子の質量をmとし、また量子ドットの辺長をLとしたときに、以下の式(1)により定義される。
E(nx,ny,nz)=h2/8π2m(π/L)2(nx2+ny2+nz2)・・・・・(1)
この式(1)に基づき、各量子ドット12,13のE(nx,ny,nz)を計算する。ここで量子ドット12aと、量子ドット12bと、量子ドット13との辺長比が、およそ1:√2:2であるとき、図2に示すように、第1の量子ドット12aにおける量子準位が(1,1,1)であるときのE(111)と、第2の量子ドット13における量子準位が(2,2,2)であるときのE(222)とが等しくなる。また第1の量子ドット12bにおける量子準位が(1,1,1)であるときのE(111)と、第2の量子ドット13における量子準位が(2,1,1)であるときのE(211)とが等しくなる。即ち、第1の量子ドット12aの量子準位(1,1,1)、第1の量子ドット12bの量子準位(1,1,1)は、第2の量子ドット13における各量子準位(2,2,2), (2,1,1)と、それぞれ励起子の励起エネルギー準位が共鳴する関係にある。実際これらの間で共鳴を起こさせるためには、第1の量子ドット12aにおける量子準位(1,1,1)に対応する波長λ1の信号光A、第1の量子ドット12bにおける量子準位(1,1,1)に対応する波長λ2の信号光Bをそれぞれ供給することにより、かかる量子準位へ励起子を励起させることができる。
【0029】
仮に波長λ1の信号光Aを供給することにより、第1の量子ドット12aにおける量子準位(1,1,1)へ励起子を励起させた場合には、かかる量子準位(1,1,1)と第2の量子ドット13における量子準位(2,2,2)との間で共鳴が生じる。その結果、第1の量子ドット12aにおける量子準位(1,1,1)に存在する励起子が、第2の量子ドット13の量子準位(2,2,2)へ移動し、さらに第2の量子ドット13の量子準位(1,1,1)へ移動する。この結果、見かけ上第1の量子ドット12aから第2の量子ドット13へ励起子が移動することになる。そして、この第2の量子ドット13の量子準位(1,1,1)へ移動した励起子は、そこから発光する。この第2の量子ドット13の下位の量子準位(1,1,1)からの発光は、出力信号としての出力光として取り出されることになるが、その波長λ3は、信号光の波長λ1、λ2と比較していきおい長くなる。これは、第2の量子ドット13のサイズが、各量子ドット12a,12bと比較して大きいからである。従って、この波長λ3の出力光のみを選択的に検出することで、他の波長成分が混ざることなく、出力光の光強度を正確に測ることも可能となる。
【0030】
即ち、基板11上において辺長比が互いに異なる各量子ドット12,13を形成させることにより、(1)式に基づく量子準位をほぼ等しくすることができ、これらの間で共鳴を起こさせることにより、体積の小さい量子ドット12から体積の大きい量子ドット13へ励起子を注入することができる。換言すれば、量子ドット間で体積(サイズ)を互いに異ならせることにより、これらの間で励起子を伝送することができる。
【0031】
このため、かかる励起子の伝送原理を利用して、体積の小さい第1の量子ドット12a,12bに応じた信号光A,Bを供給することにより、それぞれの量子準位に励起子を励起させ、これを体積の大きい第2の量子ドット13へ伝送する。第2の量子ドット13では、かかる伝送された励起子を下位準位へ放出することにより出力光を生成し、これを出力信号として外部へ送信する。
【0032】
ちなみに、この第2の量子ドット13からの出力光の光強度は、第2の量子ドット13における下位準位への励起子の放出量に支配され、かかる励起子の放出量は量子ドット12a,12bから伝送される励起子の量に依存する。即ち、全ての第1の量子ドット12a,12bに信号光A,Bがそれぞれ供給された場合には、その分励起される励起子の量は多くなり、第2の量子ドット13へ伝送される励起子の量も多くなるところ、これらの放出に基づく出力光の光強度は大きくなる。これに対して、全ての第1の量子ドット12a,12bに信号光A,Bがそれぞれ供給されなかった場合には、その分励起される励起子の量は少なくなり、第2の量子ドット13へ伝送される励起子の量も少なくなるところ、これらの放出に基づく出力光の光強度は小さくなる。これは、信号光A,Bの各量子ドット12a,12bに対する供給状態を制御することにより、出力光の光強度を変化させることができることを意味している。
【0033】
かかる出力光の供給状態に対する出力光の光強度の関係については、図3に示すポピュレーションの時間変化のシミュレーション結果より説明することもできる。図3(a)では、仮に第1の量子ドット12aの量子準位(1,1,1)と、第2の量子ドット13の量子準位(2,2,2)の双方において励起子が存在していたときに(2励起子系)、第2の量子ドット13における量子準位(1,1,1)へ励起子が移動した状態のポピュレーションを実線で示してあり、また、かかる第2の量子ドット13における量子準位(1,1,1)へ励起子が遷移することなく、上方準位としての量子準位(2,2,2)に留まっている状態のポピュレーションを破線で示してある。
【0034】
この破線で示されるポピュレーションが振動している理由としては、仮に第2の量子ドット13における上方準位としての量子準位(2,2,2)が励起子により占有されているときには、パウリの排他律により第1の量子ドット12aからの励起子の流入が制限されることになる。かかる場合には、この量子準位(2,2,2)が空くことになるまで、第1の量子ドット12aと第2の量子ドット13との間で励起子が行き来する、いわゆる章動(nutation)が繰り返されることになり、これがポピュレーションの振動という形で現われることになる。ちなみに、この章動が生じた場合においても、最終的には第2の量子ドット13における下方準位としての量子準位(1,1,1)へ励起子は移動することになる。
【0035】
また、図3(b)では、上述した2励起子系に加え、初期状態において第2の量子ドット13のみに励起子が存在しているいわゆる1励起子系のそれぞれについて、第2の量子ドット13における下方準位としての量子準位(1,1,1)の時間変化を示している。物理的には、第2の量子ドット13における量子準位(1,1,1)への励起子の遷移に付随して生成される出力光を時間積分した結果が出力信号となる。これは、図3(b)に示すポピュレーションの時間積分に相当する。実際にこのポピュレーションを0〜5nsオーダで積分すると、2励起子系と1励起子系の出力信号の比は、約1.86:1となることが分かる。これは、第2の量子ドット13との第1の量子ドット12との間で行き来する励起子の数が増えるにつれて、出力光の光強度は大きくなることを示している。
【0036】
図4,5は、かかる第2の量子ドット13からの出力光の光強度変化についての実験結果を示している。図4(a)に示すように、サイズ比が約1:3:4である3つの第1の量子ドット12c,12d,12eを第2の量子ドット13の周囲に離散的に形成させた場合に、これら第1の量子ドット12cにおける励起子をそれぞれ励起可能な波長λ(=325nm)の信号光Cのみを照射すると、励起された励起子は、第2の量子ドット13へ移動し、そこから波長λ(=384nm)の出力光が出射される。この出力光の光強度は、図4(b)に示すように、波長λ(=384nm)に対応したフォトンエネルギーW1におけるピーク強度として表される。
【0037】
同様に第1の量子ドット12dにおける励起子をそれぞれ励起可能な波長λ(=376nm)の信号光Dのみを照射すると、これに応じた第2の量子ドット13からの出力光の光強度は、図4(b)に示すように、波長λ(=384nm)に対応したフォトンエネルギーW1におけるピーク強度として表される。同様に第1の量子ドット12eにおける励起子をそれぞれ励起可能な波長λ(=381.3nm)の信号光Eのみを照射すると、これに応じた第2の量子ドット13からの出力光の光強度は、図4(b)に示すように、波長λ(=384nm)に対応したフォトンエネルギーW1におけるピーク強度として表される。
【0038】
この図4(b)の実験結果から分かるように、信号光C,D,Eのうち何れか1つを照射した場合には、出力光の光強度はほぼ同等になる。即ち、供給された信号光の数が1つである場合には、かかる信号光の波長の如何を問わず一定レベルの光強度からなる出力光を出射することができることを意味している。
【0039】
これに対して、第1の量子ドット12に対して、信号光Cのみに加えて信号光Eの2つを同時に供給した場合には、それぞれ第1の量子ドット12c,12eにおいて励起された励起子は第2の量子ドット13へ移動し、そこから波長λ(=384nm)の出力光が出射されることになるが、この出力光の光強度は、図5に示すように、供給される信号光の数が1つである場合と比較して約2倍となる。
【0040】
同様に、第1の量子ドット12に対して、信号光Cのみに加えて信号光D,Eの3つを同時に供給した場合には、それぞれ第1の量子ドット12c,12d,12eにおいて励起された励起子は第2の量子ドット13へ移動し、そこから波長λ(=384nm)の出力光が出射されることになるが、この出力光の光強度は、図5に示すように、供給される信号光の数が1つである場合と比較して約3倍となる。
【0041】
かかる場合において、近接場プローブを走査することにより、第1の量子ドット12から第2の量子ドット13への集光の様子を空間域で評価すると、図6に示すような強度プロファイルが得られる。即ち、近接場によって波長より微細のエリアに光信号が集められている様子が分かる。
【0042】
これらの実験結果から分かるように、供給された信号光の数に応じて出力光の光強度はほぼ線形に増加していくことになる。これは、出力光の光強度は、供給される信号光の数を加算した和として表されることを示唆しており、これを出力信号として取り出すことができれば、演算回路1を信号光の数を和算するいわゆる和算回路として動作させることも可能となる。
【0043】
また、演算回路1に供給される信号光をデジタル信号の各ビットを表すものとした場合に、各信号光が供給されている状態をHレベルとし、各信号光が供給されていない状態いない状態をLレベルとした場合に、供給されている信号光の数に応じて出力光の光強度が増加することから、これを識別することによりHレベルの信号光の数をカウントすることができる。
【0044】
かかる場合において、図1に示すように信号光A,Bの各第1の量子ドット12a,12bに対する供給をカウントすべきデジタル信号と連動させることにより、これに応じた光強度からなる出力信号としての出力光を生成する。例えば、2進数で表わされる2ビットのデジタル信号(a,a)につき、A0=a+a(a〜aは、1か0の何れかの値を取る)を求める場合には、aの値を信号光Aで規定し、aの値を信号光Bで規定する。
【0045】
ここでaの値が1である場合には、波長λ1の信号光Aを供給する(Hレベルとする)。これに対して、aの値が0である場合には、かかる波長λ1の信号光Aの供給を停止する(Lレベルとする)。信号光Aが供給された第1の量子ドット12内では、量子準位(1,1,1)へ励起子が励起されるところ、当該励起子が第2の量子ドット13の量子準位(2,2,2)へ移動し、さらにその下位準位へ遷移することにより発光するため、出力光として出力信号の光強度に寄与することになる。これに対して、信号光Aが供給されなかった第1の量子ドット11内では、量子準位(1,1,1)へ励起子が励起されることはないため、励起子が第2の量子ドット13の量子準位(2,2,2)へ移動することがなく、これが出力光としての出力信号の光強度に寄与することはなくなる。
【0046】
同様に、aの値が1である場合には、波長λ2の信号光Bを供給する。これに対して、aの値が0である場合には、かかる波長λ2の信号光Bの供給を停止する。周波数λ2の信号光Bが供給された第1の量子ドット12内では、量子準位(1,1,1)へ励起子が励起されるところ、当該励起子が第2の量子ドット13の量子準位(2,1,1)へ移動し、さらにその下位準位へ遷移することにより発光するため、出力光としての出力信号の光強度に寄与することになる。これに対して、信号光Bが供給されなかった第1の量子ドット12内では、量子準位(1,1,1)へ励起子が励起されることはないため、励起子が第2の量子ドット13の量子準位(2,1,1)へ移動することがなく、これが出力光としての出力信号の光強度に寄与することはなくなる。
【0047】
例えばa=0,a=0で表されるデジタル信号(2進法表記として00)につきA0を求める場合には、何れの第1の量子ドット12に対して信号光が供給されることがなくなり、第2の量子ドット13へ伝送される励起子の量も最も少なくなり、これらの放出に基づく出力光の光強度L0は、最小になる。
【0048】
これに対して、a=0,a=1で表されるデジタル信号(2進法表記として10)につきA0を求める場合には、第1の量子ドット12aのみに信号光Aが供給されることになり、第2の量子ドット13へ伝送される励起子の量が増加するため、これらの放出に基づく出力光の光強度L1も増加することになる。
【0049】
また、a=1,a=1で表されるデジタル信号(2進法表記として11)につきA0を求める場合には、第1の量子ドット12aに信号光Aが供給され、また第1の量子ドット12bに信号光Bが供給されることになり、第2の量子ドット13へ伝送される励起子の量は、a=0,a=1で表されるデジタル信号の場合と比較して増加するため、これらの放出に基づく出力光の光強度L2もL1の2倍近くになる。
【0050】
即ち、これら出力光の光強度に対する供給される信号数の関係を事前に調査しておくことにより、出力光の光強度を識別するのみにで、デジタル信号の各ビットにおけるHレベルの数を和算した結果を得ることができる。
【0051】
このように、本発明を適用した演算回路1では、和算すべきデジタル信号の各ビットに対応した互いに異なる波長の信号光が供給され、当該供給された信号光に応じてそれぞれ励起子が励起される複数の第1の量子ドット12と、これらの量子準位から励起子が注入される共鳴エネルギー準位を有する第2の量子ドット13を基板上に形成させている。
【0052】
このため、和算すべきデジタル信号のビットに対応した信号光の供給状態を制御することにより、第1の量子ドット12から第2の量子ドット13へ流れ込むエネルギーの合計を制御することができ、放出される出力信号としての出力光の光強度がこれに支配されることから、供給される信号数をカウントした、換言すればデジタル信号のビット1の合計を表した和算回路を実現することができる。仮に入力可能なデジタル信号のビット数がN存在する場合には、この演算回路1により以下の(2)式により表されるA0を求めることも可能となる。
【0053】
【数1】

【0054】
特に本発明を適用した演算回路1では、光の回折限界に支配されることなく、ナノメータサイズの量子ドット間で和算を行うことができ、これを用いることにより、高機能光デバイスをナノ寸法で実現することも可能となる。
【0055】
なお、本発明は、上述の如き複数の入力信号の和を求める和算回路としての演算回路1に限定されるものではなく、例えば、複数の入力信号の積和として表される出力信号を生成する演算回路2に適用してもよい。
【0056】
この演算回路2において、上述した演算回路1と同一の構成、要素については、同一の番号を付すことによりここでの説明を省略する。
【0057】
演算回路2は、例えば図7に示すように、例えばNaCl、KCl又はCaF等の導電性材料により構成される基板11と、基板11の表面上において形成されている1つの出力側の第2の量子ドット13と、当該第2の量子ドット13の周囲において離散的に形成されている複数の第1の量子ドット12からなる量子ドットグループ20とを備えている。以下の説明においては、量子ドットグループ20が2つの第1の量子ドット12a,12bにより構成される場合を例に挙げて説明をする。
【0058】
第1の量子ドット12aの近傍には、第3の量子ドット16a、第4の量子ドット17aの2つが形成されており、また第1の量子ドット12bの近傍には、第3の量子ドット16b、第4の量子ドット17bの2つが形成されている。これら第3の量子ドット16、第4の量子ドット17を以下演算部10と総称する。
【0059】
演算部10を構成する各量子ドット16,17は、励起子を三次元的に閉じ込めることにより形成される離散的なエネルギー準位に基づき、単一電子(励起子)を制御する。この量子ドット16,17間において、励起子の閉じ込め系により、量子ドット内のキャリアのエネルギー準位が離散的になり、状態密度をデルタ関数的に尖鋭化させることができる。
【0060】
この演算部10を構成する各量子ドット16,17には、近接場光としての信号光がそれぞれ独立に供給される。ここで、第3の量子ドット16aに供給される近接場光を信号光SA1とし、第4の量子ドット17aに供給される近接場光を信号光SA2とする。第3の量子ドット16bに供給される近接場光を信号光SB1とし、第4の量子ドット17bに供給される近接場光を信号光SB2とする。これら信号光SA1, 信号光SA2は、基板11に形成されたプラズモン導波路41、42を介してそれぞれ各量子ドット16a,17aに供給され、信号光SB1, 信号光SB2は、基板11に形成されたプラズモン導波路43、44を介してそれぞれ各量子ドット16b,17bに供給されることになるが、かかる場合に限定されるものではなく、例えば各量子ドット16,17に近接された図示しない近接場光プローブを介して供給されるようにしてもよい。
【0061】
即ち、この演算回路2では、第3の量子ドット16a,16b及び/又は第4の量子ドット17a,17bに対して、信号光SA1, 信号光SB1,信号光SA2,信号光SB2がそれぞれ独立に供給される。第1の量子ドット12a,12bは、演算部10を構成する量子ドット16,17へ供給された信号光SA1,信号光SB1,信号光SA2,信号光SB2に応じて、励起子を第2の量子ドット13へ移動させる。
【0062】
ここで、第1の量子ドット12aとその近傍に形成された第3の量子ドット16a、第4の量子ドット17aに着目した場合に、信号光SA1,SA2が供給されている状態をHレベルとし、信号光SA1,SA2が供給されていない状態をLレベルとすれば、演算回路2は、信号光SA1,SA2に応じて励起子の移動をON/OFFすることにより、Hレベルの信号値、Lレベルの信号値を論理演算するための回路として機能することになる。
【0063】
ちなみに、量子ドット16,17は、CuCl、GaN又はZnO等の材料系からなり、作製方法についても、ブリッジマン法や分子エピタキシー(MBE)成長法等に基づくことになる。
【0064】
第3の量子ドット16並びに第4の量子ドット17は、互いに近接場光によりコヒーレントに結合するような位置関係になるように、基板11上に形成される。このとき、第3の量子ドット16並びに第4の量子ドット17は、第1の量子ドット12を介して対称となるように基板11上に形成される。このとき、図8に示すように、第1の量子ドット12を頂点として第3の量子ドット16と第4の量子ドット17との間で二等辺三角形が形成されるようにしてもよい。
【0065】
次に、本発明を適用した演算回路2の動作につき説明をする。この演算回路2は、基板上11に形成された量子ドット12,13,16,17間に生じる特有の光物理現象に基づいて、積和演算素子として動作する。かかる場合においては、第1の量子ドット12と量子ドット16,17との間ではAND演算素子として機能し、第1の量子ドット12と、第2の量子ドット13との間では和算演算素子として機能することになる。
【0066】
図9は、各量子ドット12,16,17を構成する材料系がCuClである場合のエネルギ図を示している。上述の式(1)に基づき、各量子ドット12,16,17のE(nx,ny,nz)を計算する。このとき、第3の量子ドット16と第4の量子ドット17の辺長比を、およそ1:1としたとき、第3の量子ドット16における量子準位が(1,1,1)であるときのE(111)と、第4の量子ドット17における量子準位が(1,1,1)であるときのE(111)とが等しくなる。すなわち、第3の量子ドット16の量子準位(1,1,1)と、第4の量子ドット17の量子準位(1,1,1)は、励起子の励起エネルギー準位が共鳴する関係にある。実際これらの間で共鳴を起こさせるために、第1の量子ドット16における量子準位(1,1,1)に対応する波長をもつ光を、信号光SAとして供給し、或いは、第4の量子ドット17における量子準位(1,1,1)に対応する波長をもつ光を、信号光SA2として供給する必要がある。
【0067】
かかる共鳴が生じる場合に、第3の量子ドット16に存在する量子準位(1,1,1)に存在する励起子が、第4の量子ドット17における量子準位(1,1,1)へ移動し、また第4の量子ドット17の量子準位(1,1,1)に存在する励起子が、第3の量子ドット16における量子準位(1,1,1)へ移動するが、量子ドット16,17間において励起子がコヒーレントに結合して、見かけ上1つの励起モードが形成される。
【0068】
即ち、この演算回路2は、辺長比がそれぞれ1:1であるほぼ同一の形状、サイズからなる各量子ドット16,17を基板11上に設けることにより、状態密度関数がほぼ等しくなる量子準位を作り出すことができ、これらの間で共鳴効果を起こさせることにより、互いの量子準位(1,1,1)間において1つの励起モードを形成させることができる。
【0069】
図9は、第1の量子ドット12aとその近傍に形成された第3の量子ドット16a、第4の量子ドット17aに着目した場合に、第3の量子ドット16aに信号光SA1が供給され、また第4の量子ドット17aに信号光SA2が供給された結果、基底準位から2hのエネルギー差を有する励起エネルギー準位Pへ2つの励起子が励起された状態(2励起子状態)を示している。かかる状態を初期状態としたとき、何れか一の励起子が第1の量子ドット12aへ注入された結果、第3の量子ドット16a,第4の量子ドット17a間において1つの励起子が存在し、また第1の量子ドット12aに1つの励起子が存在する場合を終状態という。
【0070】
この終状態において、演算部10を構成する第3の量子ドット16a,第4の量子ドット17a間で1つの励起子のみが励起された状態となるため、近接場光結合の強さUに応じてエネルギーが分離する。この分離されたエネルギーの高準位側をエネルギー準位Sとし、低準位側をエネルギー準位Aとし、さらに第1の量子ドット12aにつき基底準位からhのエネルギー差がある場合に、エネルギー準位Sと基底準位とのエネルギー差は、h+h+Uとなる。
【0071】
ここで初期状態における励起エネルギー準位Pが、終状態におけるエネルギー準位Sと等しくなる場合に共鳴が生じるため、共鳴の条件は、h+h+U=2hで表される。ここで、かかる共鳴の条件式を整理すると、Δh=h−h=−Uとなり、第1の量子ドット12aにおける量子準位(エネルギー準位S)をhより近接場光結合の強さU分だけ低く調整することにより、上記共鳴効果を得ることが可能となる。
【0072】
第1の量子ドット12aにおける量子準位Sに注入された励起子は、下位のエネルギー準位へ放出される。ちなみに、かかる下位のエネルギー準位を上述した第2の量子ドット13における一の量子準位と共鳴する関係にあれば、この放出された励起子を信号光Aとして第2の量子ドット13へと移動させることが可能になる。
【0073】
なお、エネルギー準位Aと、励起エネルギー準位Pとは、上述したメカニズムにより互いに禁制となるため共鳴することはない。
【0074】
即ち、本発明を適用した演算回路1は、第3の量子ドット16又は第4の量子ドット17の双方に信号光が供給された場合、換言すれば量子ドット16,17にそれぞれHレベルの信号が供給された場合には、上述した共鳴効果により励起子が放出され、これが第2の量子ドット13へと移動する。これは、第1の量子ドット12に対してHレベルの入力信号が供給されたことに相当する。
【0075】
これに対して、第3の量子ドット16又は第4の量子ドット17の何れに対しても信号光が供給されなかった場合、また第3の量子ドット16又は第4の量子ドット17の何れか一方のみに信号光が供給された場合には、上述した共鳴も起こらず、励起子の放出も起こらないことから、これが第2の量子ドット13へと移動することもなくなる。これは、第4の量子ドット17に対してLレベルの入力信号が供給されたことに相当する。
【0076】
このため、本発明を適用した演算回路2における演算部10並びに第1の量子ドット12は、第3の量子ドット16並びに第4の量子ドット17に対して、それぞれ(H,H)の信号が供給された場合には、Hレベルの信号を出力し、(H,L)、(L,H)、(L,L)の信号が供給された場合には、Lレベルの信号を出力する、いわゆるAND演算素子として作用することになる。
【0077】
なお本発明を適用した演算回路2は、あくまで第1の量子ドット12を介して第3の量子ドット16並びに第4の量子ドット17が互いに対称となるように形成されている、いわゆる対称な系であることが前提となる。このような対称な系において、1励起子状態である場合のポピュレーションを計算すると、図10(a)に示すように、各量子ドット16,17に対して第1の量子ドット12が正に階調された場合(Δh=+U)に、演算部10から第1の量子ドット12へ共鳴的なエネルギーの移動が生じることが分かる。ちなみに、かかる場合におけるポピュレーションは、確率0.5まで上昇することになる。
【0078】
また、2励起子状態である場合のポピュレーションは、図10(b)に示すように、各量子ドット16,17に対して第1の量子ドット12が負に階調された場合(Δh=−U)に、演算部10から第1の量子ドット12へ共鳴的なエネルギーの移動が生じることが分かる。かかる場合におけるポピュレーションは、確率1.0付近まで上昇することになる。
【0079】
なお、上述した実施の形態では、第1の量子ドット12における量子準位(励起エネルギー準位S)をhより近接場光結合の強さU分だけ低く調整する場合を例にとり説明をしたが、これに限定されるものではなく、励起エネルギー準位をhよりも低準位であれば、上述とほぼ同様の効果を得ることが可能となる。
【0080】
また、このAND演算素子として作用する演算部10を構成する2つの量子ドット16、17並びに1つの第1の量子ドット12を単位として、これを第2の量子ドット13の周囲に離散的に形成することにより、AND演算素子から出力されたHレベルの信号光の数をカウントした出力信号としての出力光を生成することができる。
【0081】
例えば、信号光SA1,SA2の信号レベルが(L,L)であり、信号光SB1,SB2の信号レベルが(H,L)である場合には、第2の量子ドット13へ伝送される励起子の量も最も少なくなり、これらの放出に基づく出力光の光強度L0は、最小になる。
【0082】
これに対して、信号光SA1,SA2の信号レベルが(H,H)であり、信号光SB1,SB2の信号レベルが(H,L)である場合には、第2の量子ドット13へ伝送される励起子は、第1の量子ドット12aのみからとなり、これらの放出に基づく出力光の光強度L1も増加することになる。
【0083】
これに対して、信号光SA1,SA2の信号レベルが(H,H)であり、信号光SB1,SB2の信号レベルが(H,H)である場合には、第2の量子ドット13へ伝送される励起子は、第1の量子ドット12a並びに第1の量子ドット12bからとなり、これらの放出に基づく出力光の光強度L2もL1の2倍近くになる。
【0084】
即ち、これら出力光の光強度に対する供給される信号数の関係を事前に調査しておくことにより、出力光の光強度を識別するのみにで、信号光の論理和の数を和算した結果を得ることができる。特に、本発明を適用した演算回路2においては、光の回折限界に支配されることなく、ナノメータサイズの量子ドット間で積和演算を行うことができ、これを用いることにより、高機能光デバイスをナノ寸法で実現することも可能となる。
【0085】
ちなみに、本発明を適用した演算回路2では、図11に示すように、Nビットの情報として表される入力信号a〜aに対して、予め用意したN個のエレメントとしての参照信号b〜bが同じか否かを判別するいわゆるマッチング演算を行うこともできる。かかる場合には、以下の(3)式に示すように、入力信号に対して参照信号をビット毎に掛け算し、求めた積の総和Y0を求める。
【0086】
【数2】

【0087】
この求めた積の総和Y0が、参照信号として示されるエレメントに対してどのくらい類似しているかを識別することによりマッチング演算が実現されることになる。
【0088】
以下のマッチング演算例の説明においては、2つの内部変数を定義する。信号レベルがHである場合の論理1は(10)とし、また信号レベルがLである場合の論理0は(01)で表現するものとする。このとき、4ビットの入力信号(1010)は、上記の情報表現により図12に示すようにa=(10011001)と表現されることになる。他方、参照信号を(1010)とした場合には、同様の情報表現によりb=(10011001)となる。
【0089】
ここで各ビットにつき積演算を行うと、結果は図12に示すようにa・b=(10011001)となる。この得られた8ビットにつき、和演算を行うと4になる。これは入力信号のビット数と等しいため、入力信号と参照信号がマッチしていることを判定することができる。
【0090】
同様に、4ビットの入力信号が(1110)であるときには、上記の情報表現により図13に示すようにa=(10101001)と表現されることになる。この入力信号に対して参照信号bを掛け算すると、図13に示すように、a・b=(10001001)となる。この得られた8ビットにつき、和演算を行うと3になる。これは入力信号のビット数と異なるため、入力信号と参照信号がマッチしていないことを判定することができる。
【0091】
さらにこの参照信号は、いわゆる任意ビット(Dont’Care)を含むテーブルデータとして表し、これと入力信号をマッチングさせるようにしてもよい。例えば図14に示すように、任意ビットを(11)で表現する場合に、この任意ビットとの積演算は、論理1に対しても、論理0に対しても1となる。
【0092】
例えば図14に示すように、任意ビット*を含むテーブルデータ(1*10)は、上記の情報表現においてb=(10111001)で表されるが、これに対して4ビットの入力信号(1110)(上記の情報表現によりa=(10101001)と表現される)を掛け算するとa・b=(10101001)となる。この得られた8ビットにつき和演算を行うと4になる。
【0093】
同様に4ビットの入力信号(1010)(上記の情報表現によりa=(10011001)と表現される)を掛け算するとa・b=(10011001)となる。この得られた8ビットにつき和演算を行うと4になる。
【0094】
即ち、4ビットの入力信号が(1110)であっても、(1010)であっても積和演算の結果は4となる。
【0095】
このような任意ビットを設けることは、Longest Prefix Match判定が求められるインターネットのルーティングにおいて重要な役割を果たすことになる。
【0096】
本発明を適用した演算回路2により上述のマッチング演算を行う場合には、4ビットの入力信号を供給することができるように、AND演算素子として作用する第3の量子ドット16、第4の量子ドット17並びに第1の量子ドット12を1単位として、これを基板11上において4単位分形成させる。そして、4ビットの入力信号の論理1、論理0に応じて、信号レベルをH又はLに切り替え、これを演算部10の第3の量子ドット16へ供給する。また予め設定された4ビットの参照信号につき、論理1、論理0又は任意ビットに応じて信号レベルを切り替え、これを演算部の第4の量子ドット17へ供給する。その結果、第2の量子ドット13からの出力信号としての出力光の光強度から、式(3)に基づいて演算された論理積の総和を得ることが可能となる。
【0097】
ちなみに、本発明を適用した演算回路2では、Nビットの情報として表される入力信号aは2ビットで表現する場合には、例えば図15に示すように、第iビットは(ai,0、ai,1)と表現されることになり、これに対応させる参照信号も第iビットは(bi,0、bi,1)と表現されることになる。このときのAND演算素子においては、ai,0・bi,0とai,1・bi,1が演算され、最終的には、以下の式(4)に示すような積和演算結果Z0が出力信号として得られることになる。
【0098】
【数3】

【0099】
かかる場合にはNビットの入力信号に対して、予め用意したN個のエレメントとしての参照信号b〜bを供給するため、全部で2N個の信号を演算部10へ供給することになるが、かかる場合に限定されるものではなく、例えば図16に示すように、デジタル化された入力信号を複数に分割するとともに、分割した入力信号を互いに時間間隔をおいて演算部10へ供給するようにしてもよい。
【0100】
かかる場合において、先ず入力信号のビットをa1,0〜aN,0と、a1,1〜aN,1の2つに分割する。この分割した入力信号のうち、a1,0〜aN,0を時刻t=0において演算部10へ供給するとともに、これに対する参照信号b1,0〜bN,0を同時に供給する。その結果、出力信号は、各ビットの積とその総和が式(5)に基づいて求められる。
【0101】
次に時刻t=Δtにおいて、この分割した入力信号のうちa1,1〜aN,1を演算部10へ供給するとともに、これに対する参照信号b1,1〜bN,1を同時に供給する。その結果、出力信号は、各ビットの積とその総和が式(6)に基づいて求められる。
【0102】
最後にこれら出力信号を足すことにより、入力信号の全ビットに対する参照信号の積和演算結果を得ることができる。この積和演算結果は、上述の(4)式により定義することができる。
【0103】
このように分割したNビットの入力信号につき時間間隔をおいて演算部10へ供給することにより、実質的にはN個の信号を入力するだけでその積和演算を行うことも可能となる。
【0104】
なお、本発明を適用した演算回路2は、例えば図17に示すような、いわゆるコンテンドアドレッサブルメモリに適用することも可能である。
【0105】
例えば、入力情報Aがシステム内に入力された場合に、当該入力情報Aがメモリ内に格納されているデータB〜Bのうち何れに最も類似するかを識別する。そして最も類似するデータB〜Bのアドレスを返すことにより、これを入力情報Aに対するマッチングアドレスとすることが可能となる。
【0106】
また、本発明を適用した演算回路2は、さらに図18に示すようなマッチング機構3に応用することも可能となる。
【0107】
このマッチング機構3においては、上述の信号レベルHを示す“p”と、信号レベルLを示す“0”で表される光符号分割多重化された信号D1の符号列が入力された場合には、これをマッチング時に参照する参照信号Jの数に応じて複製する。仮に参照信号の数がN個存在する場合には、この信号D1につきN個複製する。
【0108】
次に、上述の演算回路2により、複製した信号D1と、各参照信号J〜Jとの間で積和演算を行う。かかる場合には、信号D1を構成する各符号とこれに対応する参照信号の符号とを量子ドット16,17に供給することによりマッチング処理を行う。ちなみに、1の参照信号Jと、信号D1との間の積和演算に対して、1の演算回路2が必要となるため、参照信号の数がN個存在する場合には、演算回路2もN個必要となる。 このマッチング機構3においては、得られた積和演算結果より、信号D1と最も類似度の高い参照信号Jを識別することができ、これを図示しない表示面を介して出力することで処理を終了する。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明を適用した量子ドットによる演算回路の構成を示す図である。
【図2】本発明を適用した量子ドットによる演算回路における量子ドットのエネルギー準位につき説明するための図である。
【図3】ポピュレーションの時間変化のシミュレーション結果につき示す図である。
【図4】第2の量子ドットからの出力光の光強度変化についての実験結果を示す図である。
【図5】第2の量子ドットからの出力光の光強度変化についての実験結果を示す他の図である。
【図6】第1の量子ドットから第2の量子ドットへの集光の様子を空間域で評価した結果を示す図である。
【図7】積和演算処理を行うことが可能な量子ドットによる演算回路の構成を示す図である。
【図8】演算回路において、基板上に形成された量子ドットの位置関係につき説明するための図である。
【図9】対称な系におけるダイナミクスを示す図である。
【図10】各励起子状態におけるポピュレーションの経時的な変化を示す図である。
【図11】Nビットの情報として表される入力信号a〜aに対してマッチング演算を行う例を示す図である。
【図12】aを(10011001)とした場合におけるマッチング演算例を示す図である。
【図13】aを(10101001)とした場合におけるマッチング演算例を示す図である。
【図14】任意ビットを設ける場合におけるマッチング演算例を示す図である。
【図15】Nビットの情報として表される入力信号aは2ビットで表現する場合につき説明するための図である。
【図16】デジタル化された入力信号を複数に分割するとともに、分割した入力信号を互いに時間間隔をおいて演算部へ供給する例につき説明するための図である。
【図17】本発明を適用した演算回路をいわゆるコンテンドアドレッサブルメモリに適用する例につき説明するための図である。
【図18】本発明を適用した演算回路をマッチング機構に応用する例につき説明するための図である。
【符号の説明】
【0110】
1,2 演算回路、3 マッチング機構、11 基板、12 第1の量子ドット、13 第2の量子ドット、16 第3の量子ドット、17 第4の量子ドット、20 量子ドットグループ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の入力信号の和として表される出力信号を生成する演算回路において、
誘電性の基板と、
上記入力信号に対応した互いに異なる周波数の信号光がそれぞれ供給され、当該供給された信号光の周波数に応じてそれぞれ励起子がエネルギー準位に励起されるようにサイズを互いに異ならせた複数の量子ドットを上記基板上に形成させた入力側量子ドットグループと、
上記各エネルギー準位との共鳴に応じて上記入力側量子ドットグループを構成する各量子ドットから上記基板を介して励起子が注入される共鳴エネルギー準位を有し、当該共鳴エネルギー準位から放出されたエネルギーに応じて上記各信号光より長波長の出力光を上記出力信号として生成する出力側の量子ドットとを備えること
を特徴とする演算回路。
【請求項2】
上記出力側の量子ドットは、上記入力側量子ドットグループを構成する量子ドットより大体積で形成されてなること
を特徴とする請求項1記載の演算回路。
【請求項3】
複数の入力信号の積和として表される出力信号を生成する演算回路において、
誘電性の基板と、
上記入力信号に対応した第1の信号光並びに第2の信号光がそれぞれ供給され、当該 供給された第1の信号光に応じて励起子が励起される第1のエネルギー準位を有する第1の量子ドットと、上記第1のエネルギー準位と同準位の第2のエネルギー準位を有し、供給される第2の信号光に応じて当該第2のエネルギー準位に励起子が励起される第2の量子ドットと、上記第1,第2のエネルギー準位よりも低準位の第3のエネルギー準位を有する第3の量子ドットからなり、上記第3の量子ドットを介して上記第1の量子ドット並びに第2の量子ドットが互いに対称となるように上記基板上に形成されている複数の入力側量子ドットグループと、
上記第3の量子ドットにおける第3のエネルギー準位との共鳴に応じて上記各入力側量子ドットグループから励起子が注入される共鳴エネルギー準位を有し、当該共鳴エネルギー準位から放出されたエネルギーに応じて上記出力信号としての出力光を生成する出力側の量子ドットとを備えること
を特徴とする演算回路。
【請求項4】
上記出力側の量子ドットは、上記入力側量子ドットグループを構成する第3の量子ドットより大体積で形成されてなること
を特徴とする請求項3記載の演算回路。
【請求項5】
デジタル化された入力信号に対する参照信号の積和として表される出力信号を生成する演算回路において、
誘電性の基板と、
上記入力信号の各ビットに対応した第1の信号光がそれぞれ供給されるとともに、当該各ビットと積算するための参照信号の各ビットに対応した第2の信号光がそれぞれ供給され、当該供給された第1の信号光に応じて励起子が励起される第1のエネルギー準位を有する第1の量子ドットと、上記第1のエネルギー準位と同準位の第2のエネルギー準位を有し、供給される第2の信号光に応じて当該第2のエネルギー準位に励起子が励起される第2の量子ドットと、上記第1,第2のエネルギー準位よりも低準位の第3のエネルギー準位を有する第3の量子ドットからなり、上記第3の量子ドットを介して上記第1の量子ドット並びに第2の量子ドットが互いに対称となるように上記基板上に形成されている複数の入力側量子ドットグループと、
上記第3の量子ドットにおける第3のエネルギー準位との共鳴に応じて上記各入力側量子ドットグループから励起子が注入される共鳴エネルギー準位を有し、当該共鳴エネルギー準位から放出されたエネルギーに応じて上記出力信号としての出力光を生成する出力側の量子ドットとを備えること
を特徴とする演算回路。
【請求項6】
上記出力側の量子ドットは、上記入力側量子ドットグループを構成する第3の量子ドットより大体積で形成されてなること
を特徴とする請求項5記載の演算回路。
【請求項7】
上記デジタル化された入力信号を複数に分割するとともに、分割した入力信号を互いに時間間隔をおいて上記入力側量子ドットグループに供給する分割手段と、
上記出力側量子ドットから上記時間間隔をおいて出力される出力信号を加算する加算手段とをさらに備えること
を特徴とする請求項5記載の演算回路。
【請求項8】
デジタル化された入力信号の各参照信号に対する類似度を求める演算回路において、
上記入力信号と、互いに異なる参照信号がそれぞれ供給される複数の演算処理手段と、
上記各演算処理手段から出力される出力信号に基づいて上記類似度を識別する類似度識別手段を備え、
上記各演算処理手段は、
誘電性の基板と、
上記入力信号の各ビットに対応した第1の信号光がそれぞれ供給されるとともに、当該各ビットと積算するための参照信号の各ビットに対応した第2の信号光がそれぞれ供給され、当該供給された第1の信号光に応じて励起子が励起される第1のエネルギー準位を有する第1の量子ドットと、上記第1のエネルギー準位と同準位の第2のエネルギー準位を有し、供給される第2の信号光に応じて当該第2のエネルギー準位に励起子が励起される第2の量子ドットと、上記第1,第2のエネルギー準位よりも低準位の第3のエネルギー準位を有する第3の量子ドットからなり、上記第3の量子ドットを介して上記第1の量子ドット並びに第2の量子ドットが互いに対称となるように上記基板上に形成されている複数の入力側量子ドットグループと、
上記第3の量子ドットにおける第3のエネルギー準位との共鳴に応じて上記各入力側量子ドットグループから励起子が注入される共鳴エネルギー準位を有し、当該共鳴エネルギー準位から放出されたエネルギーに応じて上記出力信号としての出力光を生成する出力側の量子ドットとを備えること
を特徴とする演算回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−23505(P2006−23505A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−201048(P2004−201048)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成16年3月8日 社団法人電子情報通信学会発行の「EiC電子情報通信学会2004年総合大会講演論文集」に発表
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【出願人】(301022471)独立行政法人情報通信研究機構 (1,071)
【Fターム(参考)】