説明

漢方エキスを含有する医薬組成物

【課題】本発明の目的は、腸内環境(特に腸内菌叢のバランス)を改善する作用が付与又は向上されている、漢方エキスを配合した医薬組成物を提供することである。
【解決手段】漢方エキスと炭酸水素カリウム及び/又は炭酸カリウムとを併用することによって、Bacillus subtilis(natto)や腸内常在乳酸菌等の有用細菌の増殖を促進でき、腸内菌叢のバランスを改善できることが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漢方エキスを含有し、腸内環境(特に腸内菌叢のバランス)を改善できる医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な薬理効果を有する漢方エキスが知られており、症状に応じて、種々の漢方エキスが処方されている。例えば、防風通聖散は、褐色脂肪組織を活性化する作用があり、高血圧の随伴症状(どうき、肩こり、のぼせ)、肥満症、むくみ、便秘等の症状の改善に有効であることが知られており、腹部の皮下脂肪が多く、便秘がちな人に投与されている。また、温経湯は、血液循環を改善させたり、ホルモンバランスを整える作用があり、月経不順、月経困難、月経痛、更年期障害、不眠、神経症、湿疹、しもやけ、頭痛等の症状の改善に有効であることが知られており、これらの症状を有する女性に主に投与されている。更に、小青竜湯は、発汗、水分バランスの調整、気管支拡張、抗アレルギー、抗炎症等の薬理作用が知られており、鼻風邪、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、気管支ぜんそく、花粉症等の治療に使用されている。
【0003】
一方、Bacillus subtilis(natto)は、ナットウ菌、糖化菌とも呼ばれているグラム陽性稈菌であり、納豆のみならず、穀物、野菜を初めとして自然界に広く分布しており、日常的に少なからず摂取している細菌である。Bacillus subtilisは、腸内細菌叢のバランス改善効果が知られているため、家畜動物をはじめ、人間に対してもプロバイオティクスとしても摂取させることが知られている。この菌は、偏性好気性でありながらも、摂取後体内で(わずかながら)増殖することが知られており、この増殖作用を向上させることにより、腸内細菌叢のバランスの改善効果が期待できる。更に、腸内に常在している有用乳酸菌の増殖を促進することも、腸内細菌叢のバランスを改善する上で有効である。
【0004】
しかしながら、従来、漢方エキスについて、徐放性や速放性等の溶出特性を改善できる製剤についての報告はあるが(例えば、特許文献1参照)、製剤処方によって腸内菌叢のバランスを改善する技術は殆ど報告されていない。更に、大黄に含まれるrheinは、強い抗菌作用を有していることが報告されており(例えば、非特許文献1参照)、大黄を含む漢方エキス(例えば、防風通聖散)は、腸内での有用細菌の増殖促進には寧ろ不適当であると考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−60504号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】花輪壽彦、漢方診療のエッセンス増補版、第114頁、金原出版、平成15年1月25日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
防風通聖散、温経湯、小青竜湯等の内服適用される漢方エキスは、腸内細菌で代謝されて効果を発現する配糖体等の成分を含有しているため、腸内菌叢のバランスを改善する作用を同時に発揮させることができれば、漢方エキスの効能効果の向上をもたらすことが期待される。
【0008】
そこで、本発明は、腸内環境(特に腸内菌叢のバランス)を改善する作用が付与又は向上されている、漢方エキスを配合した医薬組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、漢方エキスと炭酸水素カリウムを併用することによって、Bacillus subtilisや腸内常在乳酸菌等の有用細菌の増殖を促進でき、腸内菌叢のバランスを改善できることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
【0010】
即ち、本発明は、以下の態様の医薬組成物を提供する。
項1-1. 漢方エキスと、炭酸水素カリウム及び/又は炭酸カリウムとを含有することを特徴とする、医薬組成物。
項1-2. 漢方エキスとして、防風通聖散、温経湯、及び小青竜湯からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、項1-1に記載の医薬組成物。
項1-3. 漢方エキスを30〜95重量%の配合割合で含む、項1-1又は1-2に記載の医薬組成物。
項1-4. 炭酸水素カリウム及び/又は炭酸カリウムを1〜30重量%の配合割合で含む、項1-1乃至1-3のいずれかに記載の医薬組成物。
項1-5. 内服形態で投与される、項1-1乃至1-4のいずれかに記載の医薬組成物。
項1-6. 顆粒剤又は錠剤である、項1-1乃至1-5のいずれかに記載の医薬組成物。
項1-7. 腸内菌叢の改善剤として使用される、項1-1乃至1-6のいずれかに記載の医薬組成物。
【0011】
また、本発明は、以下の態様の医薬組成物に腸内菌叢改善作用を付与又は向上させる方法を提供する。
項2-1. 漢方エキスを含む医薬組成物に炭酸水素カリウム及び/又は炭酸カリウムを配合することを特徴とする、該医薬組成物に腸内菌叢改善作用を付与又は向上させる方法。
項2-2. 漢方エキスとして、防風通聖散、温経湯、及び小青竜湯からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、項2-1に記載の方法。
項2-3. 医薬組成物中に漢方エキスを30〜95重量%の配合割合で含む、項2-1又は2-2に記載の方法。
項2-4. 炭酸水素カリウム及び/又は炭酸カリウムを1〜30重量%の配合割合で医薬組成物に配合する、項2-1乃至2-3のいずれかに記載の方法。
項2-5. 医薬組成物が内服形態で投与されるものである、項2-1乃至2-4のいずれかに記載の方法。
項2-6. 医薬組成物が顆粒剤又は錠剤である、項2-1乃至2-5のいずれかに記載の方法。
【0012】
また、本発明は、以下の態様の漢方エキスを含む医薬組成物に腸内菌叢改善作用を付与又は向上させるための剤を提供する。
項3-1. 炭酸水素カリウム及び/又は炭酸カリウムを有効成分とする、漢方エキスを含む医薬組成物に腸内菌叢改善作用を付与又は向上させるための剤。
項3-2. 漢方エキスとして、防風通聖散、温経湯、及び小青竜湯からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、項3-1に記載の剤。
項3-3. 医薬組成物中に漢方エキスが30〜95重量%の配合割合で含まれる、項3-1又は3-2に記載の剤。
項3-4. 医薬組成物に、炭酸水素カリウム及び/又は炭酸カリウムが1〜30重量%の配合割合となるように配合して使用される、項3-1乃至3-3のいずれかに記載の剤。
項3-5. 医薬組成物が内服形態で投与されるものである、項3-1乃至3-4のいずれかに記載の剤。
項3-6. 医薬組成物が顆粒剤又は錠剤である、項3-1乃至3-5のいずれかに記載の剤。
項3-7. 医薬組成物が腸内菌叢の改善剤である、項3-1乃至3-6のいずれかに記載の剤。
【0013】
また、本発明は、以下の態様の炭酸水素カリウム及び/又は炭酸カリウムの使用を提供する。
項4-1. 炭酸水素カリウム及び/又は炭酸カリウムの、漢方エキスを含む医薬組成物に腸内菌叢改善作用を付与又は向上させるための使用。
項4-2. 漢方エキスとして、防風通聖散、温経湯、及び小青竜湯からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、項4-1に記載の使用。
項4-3. 医薬組成物中に漢方エキスが30〜95重量%の配合割合で含まれる、項4-1又は4-2に記載の使用。
項4-4. 医薬組成物に、炭酸水素カリウム及び/又は炭酸カリウムが1〜30重量%の配合割合となるように配合して使用される、項4-1乃至4-3のいずれかに記載の使用。
項4-5. 医薬組成物が内服形態で投与されるものである、項4-1乃至4-4のいずれかに記載の使用。
項4-6. 医薬組成物が顆粒剤又は錠剤である、項4-1乃至4-5のいずれかに記載の使用。
【0014】
更に、本発明は、以下の態様の炭酸水素カリウム及び/又は炭酸カリウムの使用を提供する。
項5-1. 漢方エキスと、炭酸水素カリウム及び/又は炭酸カリウムとを含む医薬組成物の、腸内菌叢改善剤の製造のための使用。
項5-2. 漢方エキスとして、防風通聖散、温経湯、及び小青竜湯からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、項5-1に記載の使用。
項5-3. 医薬組成物中に漢方エキスが30〜95重量%の配合割合で含まれる、項5-1又は5-2に記載の使用。
項5-4. 医薬組成物に、炭酸水素カリウム及び/又は炭酸カリウムが1〜30重量%の配合割合となるように配合して使用される、項5-1乃至5-3のいずれかに記載の使用。
項5-5. 医薬組成物が内服形態で投与されるものである、項5-1乃至5-4のいずれかに記載の使用。
項5-6. 医薬組成物が顆粒剤又は錠剤である、項5-1乃至5-5のいずれかに記載の使用。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、漢方エキスと炭酸水素カリウム及び/又は炭酸カリウムを併用することによって、Bacillus subtilisや乳酸菌等の腸内に存在する有用細菌(所謂、善玉菌)の増殖を促進して、腸内菌叢のバランスを改善することができる。このような腸内菌叢のバランスの改善は、漢方エキスの体内動態を至適化して、ひいては漢方エキスの薬理効果を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】試験例1において、試験液(実施例1及び比較例1−5)がBacillus subtilisの増殖に及ぼす効果を評価した結果を示す図である。
【図2】試験例2において、試験液(実施例1及び比較例1−2)がBacillus subtilis (natto)の増殖に及ぼす効果を評価した結果を示す図である。
【図3】試験例3において、試験液(実施例1及び比較例1−5)がLactobacillus acidophilusの増殖に及ぼす効果を評価した結果を示す図である。
【図4】試験例4において、試験液(実施例1及び比較例1−4)がStreptococcus faecalisの増殖に及ぼす効果を評価した結果を示す図である。
【図5】試験例5において、試験液(実施例2及び比較例6−7)がBacillus subtilisの増殖に及ぼす効果を評価した結果を示す図である。
【図6】試験例6において、試験液(実施例2及び比較例6)がBacillus subtilis(natto)の増殖に及ぼす効果を評価した結果を示す図である。
【図7】試験例7において、試験液(実施例2及び比較例6)がLactobacillus acidophilusの増殖に及ぼす効果を評価した結果を示す図である。
【図8】試験例8において、試験液(実施例3及び比較例8)がBacillus subtilisの増殖に及ぼす効果を評価した結果を示す図である。
【図9】試験例9において、試験液(実施例3及び比較例8)がBacillus subtilis(natto)の増殖に及ぼす効果を評価した結果を示す図である。
【図10】試験例10において、試験液(実施例3及び比較例8−9)がLactobacillus acidophilusの増殖に及ぼす効果を評価した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
1.医薬組成物
本発明の医薬組成物は、漢方エキスを含有する。本発明に使用される漢方エキスとしては、内服投与によって使用されるものであって、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであればよく、構成する生薬の組合せやその配合比率についても特に制限されないが、例えば、「一般用漢方処方の手引き」(厚生省薬務局監修、日本製薬団体連合会漢方専門委員会編、薬業時報社(現じほう社)発行)に記載されている漢方エキスが挙げられる。より具体的には、防風通聖散、安中散、安中散加茯苓、胃風湯、胃苓湯、茵ちん蒿湯、茵ちん五苓散、温経湯、温清飲、温胆湯、延年半夏湯、黄耆建中湯、黄ごん湯、応鐘散、黄連阿膠湯、黄連解毒湯、黄連湯、乙字湯、乙字湯去大黄、化食養脾湯、かっ香正気散、葛根黄連黄ごん湯、葛根紅花湯、葛根湯、葛根湯加川きゅう辛夷、加味温胆湯、加味帰脾湯、加味解毒湯、加味逍遙散、加味逍遙散加川きゅう地黄、加味平胃散、乾姜人参半夏丸、甘草瀉心湯、甘草湯、甘麦大棗湯、帰耆建中湯、桔梗湯、帰脾湯、きゅう帰膠艾湯、きゅう帰調血飲、きゅう帰調血飲第一加減、響声破笛丸、杏蘇散、苦参湯、駆風解毒散、荊芥連翹湯、鶏肝丸、桂枝湯、桂枝加黄耆湯、桂枝加葛根湯、桂枝加厚朴杏仁湯、桂枝加芍薬生姜人参湯、桂枝加芍薬大黄湯、桂枝加芍薬湯、桂枝加朮附湯、桂枝加竜骨牡蛎湯、桂枝加苓朮附湯、桂枝人参湯、桂枝茯苓丸、桂枝茯苓丸料加よく苡仁、啓脾湯、荊防敗毒散、桂麻各半湯、鶏鳴散加茯苓、堅中湯、甲字湯、香砂平胃散、香砂養胃湯、香砂六君子湯、香蘇散、厚朴生姜半夏人参甘草湯、五虎湯、牛膝散、五積散、牛車腎気丸、呉茱萸湯、五物解毒散、五淋散、五苓散、柴陥湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、柴胡桂枝乾姜湯、柴胡桂枝湯、柴胡清肝湯、柴芍六君子湯、柴朴湯、柴苓湯、左突膏、三黄散、三黄瀉心湯、酸棗仁湯、三物黄ごん湯、滋陰降火湯、滋陰至宝湯、紫雲膏、四逆散、四君子湯、滋血潤腸湯、七物降下湯、柿蒂湯、四物湯、炙甘草湯、芍薬甘草湯、鷓鴣菜湯、蛇床子湯、十全大補湯、十味敗毒湯、潤腸湯、蒸眼一方、生姜瀉心湯、小建中湯、小柴胡湯、小柴胡湯加桔梗石膏、小承気湯、小青竜湯、小青竜湯加杏仁石膏、小青龍湯加石膏、椒梅湯、小半夏加茯苓湯、消風散、升麻葛根湯、逍遙散、四苓湯、辛夷清肺湯、秦ぎょう姜活湯、秦ぎょう防風湯、参蘇飲、神秘湯、参苓白朮散、清肌安蛔湯、清湿化痰湯、清暑益気湯、清上けん痛湯、清上防風湯、清心蓮子飲、清肺湯、折衝飲、川きゅう茶調散、千金鶏鳴散、銭氏白朮散、疎経活血湯、蘇子降気湯、大黄甘草湯、大黄牡丹皮湯、大建中湯、大柴胡湯、大柴胡湯去大黄、大半夏湯、竹茹温胆湯、治打撲一方、治頭瘡一方、治頭瘡一方去大黄、中黄膏、調胃承気湯、丁香柿蒂湯、釣藤散、猪苓湯、猪苓湯合四物湯、通導散、桃核承気湯、当帰飲子、当帰建中湯、当帰散、当帰四逆湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、当帰芍薬散、当帰湯、当帰貝母苦参丸、独活葛根湯、独活湯、二朮湯、二陳湯、女神散、人参養栄湯、人参湯、排膿散、排膿湯、麦門冬湯、八味地黄丸、半夏厚朴湯、半夏瀉心湯、半夏白朮天麻湯、白虎湯、白虎加桂枝湯、白虎加人参湯、不換金正気散、茯苓飲、茯苓飲加半夏、茯苓飲合半夏厚朴湯、茯苓沢瀉湯、伏竜肝湯、分消湯、平胃散、防已黄耆湯、防已茯苓湯、補気健中湯、補中益気湯、補肺湯、麻黄湯、麻黄附子細辛湯、麻杏甘石湯、麻杏よく甘湯、麻子仁丸、揚柏散、よく苡仁湯、抑肝散、抑肝散加陳皮半夏、立効散、六君子湯、竜胆瀉肝湯、苓姜朮甘湯、苓桂甘棗湯、苓桂朮甘湯、六味丸等のエキスが例示される。これらの漢方エキスの中でも、腸内菌叢のバランスを一層効果的に改善するという観点から、好ましくは、防風通聖散、温経湯、小青竜湯、当帰飲子、補中益気湯、十全大補湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、加味帰脾湯、牛車腎気丸、防已黄耆湯、独活葛根湯、桂枝茯苓丸料加よく苡仁、葛根湯、麻黄湯、八味地黄丸、加味逍遥散、当帰芍薬散、大黄甘草湯、芍薬甘草湯、麦門冬湯、抑肝散、釣藤散、麻子仁丸、麻黄附子細辛湯、及び牛車腎気丸;更に好ましくは防風通聖散、温経湯、及び小青竜湯が例示される。これらの漢方エキスは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0018】
上記「一般用漢方処方の手引き」には、前述する漢方エキスを構成する生薬の組合せやその配合量が規定されているが、構成する生薬やその配合比率を適宜変更した漢方エキスであっても、本発明に使用することができる。例えば、防風通聖散エキスは、防風1.2重量部、黄ごん2.0重量部、大黄1.5重量部、芒硝1.5重量部、麻黄1.2重量部、石膏2〜3重量部、白朮2.0重量部、荊芥1.2重量部、連翹1.2重量部、桔梗2.0重量部、山梔子1.2重量部、芍薬1.2重量部、当帰1.2重量部、川きゅう1.2重量部、薄荷1.2重量部、滑石3〜5重量部、生姜1.2重量部、及び甘草2.0重量部からなる混合原料の抽出物として知られているが、黄ごんを含まないもの、白朮を含まないもの、配合比率を適宜変更したもの等であってもよい。また、温経湯エキスは、半夏3〜5重量部、麦門冬3〜10重量部、当帰2〜3重量部、川きゅう2.0重量部、芍薬2.0重量部、人参2.0重量部、桂枝2.0重量部、阿膠2.0重量部、牡丹皮2.0重量部、甘草2.0重量部、乾生姜1.0重量部(生姜1〜2重量部)、及び呉茱萸1〜3重量部からなる混合原料の抽出物として知られているが、各生薬の配合比率を適宜変更したものであってもよい。更に、小青竜湯エキスは、麻黄2〜3重量部、芍薬2〜3重量部、乾姜2〜3重量部、甘草2〜3重量部、桂枝2〜3重量部、細辛2〜3重量部、五味子1.5〜3重量部、及び半夏3〜6重量部からなる混合原料の抽出物として知られているが、各生薬の配合比率を適宜変更したものであってもよい。なお、前記各混合原料から漢方エキス(混合原料の抽出物)を得るには、当該技術分野で一般的に採用されている方法で行うことができ、具体的には、水又はエタノール含量が30重量%以下の含水エタノールを抽出溶媒として用いて、前記混合原料を常温乃至高温条件下で抽出処理する方法が挙げられる。
【0019】
本発明の医薬組成物において漢方エキスの配合割合については、使用する漢方エキスの種類、製剤形態等に応じて適宜設定されるが、一例として、該医薬組成物の総量に対して、漢方エキスが30〜95重量%、好ましくは40〜90重量%、更に好ましくは50〜90重量%が例示される。
【0020】
また、本発明の医薬組成物は、炭酸水素カリウム(KHCO3)及び炭酸カリウム(K2CO3)の少なくとも1種を含有する。漢方エキスと共に、炭酸水素カリウム及び/又は炭酸カリウムを含有することによって、腸内菌叢のバランスを改善する効果を奏することが可能になる。本発明の医薬組成物では、炭酸水素カリウム及び炭酸カリウムのいずれか一方又は双方を含んでいればよいが、腸内菌叢のバランスを改善する効果を一層顕著に奏させるには、炭酸水素カリウムを含有することが望ましい。
【0021】
本発明の医薬組成物において炭酸水素カリウム及び/又は炭酸カリウムの配合割合については、使用する漢方エキスの種類、製剤形態等に応じて適宜設定されるが、一例として、該医薬組成物の総量に対して、炭酸水素カリウム及び/又は炭酸カリウムが総量で1〜30重量%、好ましくは1〜20重量%、更に好ましくは3〜10重量%が例示される。
【0022】
また、本発明の医薬組成物において、漢方エキスに対する炭酸水素カリウムの比率については、特に制限されるものではないが、腸内菌叢のバランスの改善効果を一層有効に奏させるという観点から、漢方エキスの総量100重量部当たり、炭酸水素カリウム及び/又は炭酸カリウムが総量で1〜50重量部、好ましくは2〜40重量部、更に好ましくは3〜30重量部となる範囲が例示される。
【0023】
更に、本発明の医薬組成物は、デンプン類を含有してもよい。このようにデンプン類を含有することによって、錠剤、散剤等の固形剤の成型性を向上させることが可能になる。本発明の医薬組成物に配合されるデンプン類としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば特に制限されないが、例えば、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コーンスターチ、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、部分アルファー化デンプン等が例示される。本発明の医薬組成物にデンプン類を配合する場合、その配合割合については、使用するデンプン類の種類、該医薬組成物の製剤形態等に応じて適宜設定されるが、例えば、本発明の医薬組成物の総量に対して、デンプン類が総量で1〜50重量%が例示される。
【0024】
更に、本発明の医薬組成物は、セルロース類を含有してもよい。このようにセルロース類を含有することによって、錠剤、顆粒剤等の固形剤の成型性を向上させることが可能になる。本発明の医薬組成物に配合されるセルロース類としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば特に制限されないが、例えば、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウムなどが例示される。これらの中でも、好ましくは、結晶セルロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、特に好ましくは結晶セルロースが挙げられる。これらのセルロース類は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。本発明の医薬組成物にセルロース類を配合する場合、その配合割合については、使用するセルロース類の種類、該医薬組成物の製剤形態等に応じて適宜設定されるが、例えば、本発明の医薬組成物の総量に対して、セルロースが総量で1〜50重量%が例示される。
【0025】
本発明の医薬組成物には、本発明の効果を妨げない限り、上記成分の他に、種々の薬効成分(生理活性成分、薬理活性成分、又は有効成分)を適当量含有してもよい。このような成分としては、特に制限されないが、例えば、解熱鎮痛成分(アスピリン、サリチル酸メチルなどのサリチル酸誘導体;アセトアミノフェン、サザピリン、エテンザミド、イソプロピルアンチピリン、インドメタシン、イブプロフェンなど)、鎮静催眠成分(ブロムワレリル尿素、アリルイソプロピルアセチル尿素など)、抗炎症成分(セレコキシブ、リゾチーム、アズレンスルホン酸など)、抗ヒスタミン成分(クロルフェニラミン、メキタジン、ジフェンヒドラミンなど)、抗アレルギー成分(エメダスチンなど)、去痰成分(グアヤコールスルホン酸カリウム、塩酸L−エチルシステイン、クレゾールスルホン酸カリウム、塩酸ブロムヘキシン、塩酸アンブロキソール、グアイフェネシンなど)、鎮咳成分(マオウ、ナンテンジツなどの生薬など)、気管支拡張剤(カフェインなどのキサンチン誘導体など)、副交感神経遮断剤(ベラドンナアルカロイド、ベラドンナ総アルカロイドなど)、殺菌成分(塩化セチルピリジニウム、塩化デカリニウム、塩酸クロルヘキシジンなど)、昇圧剤(塩酸フェニレフリンなど)、健胃成分(アニス実、アロエなどの生薬;カルニチンなどの副交感神経興奮剤;メトクロプラミドなどの抗ドーパミン薬;トリメブチン、メントール、グルタミン酸など)、制酸成分(炭酸マグネシウム、沈降炭酸マグネシウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、ヒスタミンH2受容体拮抗剤(シメチジンなど)、プロトンポンプ阻害剤(ランソプラゾールなど)など)、粘膜修復成分(グリチルリチン酸又はその塩など)、消化酵素(ジアスターゼ、パンクレアチン、ペプシンなど)、細胞賦活成分(レチナール、レチノールなど)、生薬成分、ビタミン類、アミノ酸類、ミネラル類などが例示される。
【0026】
本発明の医薬組成物において、上記薬効成分の配合割合は、製剤形態や用途等に応じて適宜設定されるが、例えば、医薬組成物の総量に対して0.001〜69重量%、好ましくは0.001〜30重量%、更に好ましくは0.001〜10重量%などであり得る。
【0027】
また、本発明の医薬組成物には、発明の効果を損なわない範囲であれば、その用途や形態に応じて、医薬部外品や医薬品又は食品などに使用される慣用成分、例えば、甘味剤、矯味剤、滑沢剤、結合剤、賦形剤、防腐剤、キレート剤、抗酸化剤、清涼化剤、コーティング剤、安定化剤、懸濁化剤、流動化剤、乳化剤、粘稠剤、溶解補助剤、増粘剤、緩衝剤、香料、着色剤、分散剤、吸着剤、湿潤剤、防湿剤、帯電防止剤、発泡剤、可塑剤、甘味剤、溶剤、pH調整剤、消泡剤、界面活性剤等を含有してもよく、また公知の崩壊剤を更に含有してもよい。以下に任意に配合できる慣用成分の一例を具体的に例示するが、本発明に用いられる成分はこれらに限定されるものではない。
崩壊剤:軽質無水ケイ酸など。本発明には好ましくはトウモロコシデンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸などが用いられる。
賦形剤:ブドウ糖、白糖、乳糖、果糖などの糖類、結晶セルロース、カルメロースナトリウム、リン酸水素カルシウム、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、デキストリン、βーシクロデキストリン、軽質無水ケイ酸、酸化チタン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、タルク、カオリンなど。
結合剤:メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アクリル酸系高分子、ゼラチン、アラビアゴム、プルラン、アルファー化デンプン、カンテン、トラガント、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステルなど。
滑沢剤:ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ポリオキシル、セタノール、タルク、硬化油、ショ糖脂肪酸エステル、ジメチルポリシロキサン、ミツロウ、サラシミツロウなど)
抗酸化剤:ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、トコフェロール、クエン酸など。
コーティング剤:ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタアクリレートコポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、メタアクリル酸コポリマー、セラックなど。
着色剤:食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色102号、食用黄色4号、食用黄色5号、食用青色1号、食用黄色4号金属レーキ、銅クロロフィンナトリウム、リボフラビン、ウコン抽出液、カロチン液など。
矯味剤:アスパルテーム、アスコルビン酸、ステビア、メントール、カンゾウ粗エキス、単シロップなど。
可塑剤:クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール、トリアセチン、セタノールなど。
甘味剤:ショ糖、アスパルテームなどの天然又は合成甘味剤。
香料:メントール、カンフル、ボルネオール、シンナムアルデヒドなど。
溶剤:水、エタノール、イソプロパノール、ラウリルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ラノリンアルコール、ベヘニルアルコール、2−ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノールなど。
pH調整剤:クエン酸、リンゴ酸、リン酸水素ナトリウム、リン酸二カリウムなど。
清涼化剤:l−メントール、ハッカ水など。
懸濁化剤:カオリン、カルメロースナトリウム、キサンタンガム、メチルセルロース、トラガントなど。
消泡剤:ジメチルポリシロキサン、シリコン消泡剤など。
粘稠剤:キサンタンガム、トラガント、メチルセルロース、デキストリンなど。
溶解補助剤:エタノール、ショ糖脂肪酸エステル、マクロゴールなど。
界面活性剤:ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油など。
【0028】
本発明の医薬組成物において、上記慣用成分の配合割合は、製剤形態や用途等に応じて適宜設定されるが、例えば、医薬組成物の総量に対して0.001〜69 重量%、好ましくは0.01〜59重量%が例示される。
【0029】
本発明の医薬組成物の製剤形態については、内服投与が可能であることを限度として、特に制限されない。製剤形態として、具体的には、散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤(素錠、糖衣錠、チュアブル錠、発泡錠、フィルムコーティング錠など)、グミ剤、丸剤等の固形剤;ゲル剤等の半固形剤;懸濁剤等の液剤等が挙げられる。また、本発明の医薬組成物は、上記製剤形態のものがカプセルに収容されたカプセル剤(硬カプセル剤、軟カプセル剤など)であってもよい。これらの製剤形態の中でも、好ましくは、顆粒剤、細粒剤、錠剤、及び液剤、更に好ましくは、顆粒剤、及び錠剤が例示される。本発明の医薬組成物は、その製剤形態に応じて、当該技術分野において公知の方法で製される。
【0030】
本発明の医薬組成物は、配合する漢方エキスの種類に応じて、種々の用途で使用される。例えば、漢方エキスとして防風通聖散を配合する場合であれば、肥満症、便秘、尿量減少、むくみ、のぼせ、肩こり等の症状の改善に使用することができ、更にこれらの症状を伴う高血圧症、腎臓病、糖尿病等の改善にも使用することができる。特に、本発明の医薬組成物は、防風通聖散を配合する場合には、メタボリックシンドロームの改善剤としても好適に使用される。
【0031】
また、本発明の医薬組成物は、含有する漢方エキスと炭酸水素カリウムの作用によって、Lactobacillus acidophilusStreptococcus faecalisなどの乳酸菌等の腸内の常在有用細菌や、納豆菌をはじめとするBacillus subtilis等の有用細菌の増殖を促進して、腸内菌叢のバランスを改善する作用が発揮されるので、腸内菌叢改善剤としても使用することができる。
【0032】
本発明の医薬組成物は、内服形態で投与され、その服用量については使用する漢方エキスの種類等に応じて適宜設定されるが、通常、一日あたりの服用量として、漢方エキスの重量に換算して1000〜7000mgが例示される。
【0033】
2.腸内菌叢改善作用の付与又は向上方法、腸内菌叢改善作用の付与又は向上剤、及び腸内菌叢改善剤の製造のための使用
前述するように、漢方エキスを含む医薬組成物に、炭酸水素カリウム及び/又は炭酸カリウムを配合することによって、医薬組成物に腸内菌叢のバランスを改善する作用を付与又は向上することができる。
【0034】
従って、本発明は、更に別の観点から、漢方エキスを含む医薬組成物に炭酸水素カリウム及び/又は炭酸カリウムを配合することを特徴とする、該医薬組成物に腸内菌叢改善作用を付与又は向上させる方法を提供する。
【0035】
また、本発明は、炭酸水素カリウム及び/又は炭酸カリウムを有効成分とする、漢方エキスを含む医薬組成物に腸内菌叢改善作用を付与又は向上させるための剤を提供する。
【0036】
更に、本発明は、炭酸水素カリウム及び/又は炭酸カリウムの、漢方エキスを含む医薬組成物に腸内菌叢改善作用を付与又は向上させるための使用をも提供する。
【0037】
そして更に、本発明は、漢方エキスと、炭酸水素カリウム及び/又は炭酸カリウムとを含む医薬組成物の、腸内菌叢改善剤の製造のための使用をも提供する。
【0038】
これらの方法、剤、使用において、用いられる漢方エキス、炭酸水素カリウム及び/又は炭酸カリウム、これらの配合割合や比率、その他の任意配合成分、医薬組成物の製剤形態等については、前記「1.医薬組成物」と同様である。
【実施例】
【0039】
以下に、試験例、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0040】
試験例1:防風通聖散エキスによるBacillus subtilisの増殖力試験
表1に記載の処方に従い、各成分を滅菌精製水に溶解して全量を100mLとして試験液(実施例1及び比較例1−5)を調製した。防風通聖散エキスは完全溶解しないため、濾過滅菌は行わず、無菌条件下滅菌精製水を用いて処方を作成した。
【0041】
これらの試験液がBacillus subtilisの増殖に与える影響を分析するために、以下の試験を実施した。グラム陽性稈菌であるBacillus subtilis(ATCC6633)を、約105〜106CFU/mLになるよう試験液に接種し、好気性条件下にて23℃で保管した。接種7日後の試験液をサンプリングし、カンテン平板表面塗抹法にて試験液中のBacillus subtilisの菌数を測定した。
【0042】
【表1】

【0043】
得られた結果を図1に示す。図1から明らかなように、防風通聖散エキスの単独での配合(比較例1)、炭酸水素カリウム又は炭酸水素ナトリウムの単独での配合(比較例2−3)、及び防風通聖散エキスと炭酸水素ナトリウムの併用(比較例4)では、Bacillus subtilisの接種から7日目において、菌数の増加は認められず、更に、防風通聖散エキスと酒石酸水素カリウムの併用(比較例5)では、菌数の著しい減少が認められた。これに対して、防風通聖散エキスと炭酸水素カリウムの併用(実施例1)では、明らかな菌数の増加が確認された。
【0044】
以上の結果から、防風通聖散と炭酸水素カリウムの併用は、プロバイオティクスとして摂取されているBacillus subtilisの体内での増殖促進に有効であり、腸内菌叢のバランスの改善に有効であることが明らかとなった。
【0045】
試験例2:防風通聖散エキスによるBacillus subtilis(natto)の増殖力試験
上記表1に示す試験液(実施例1及び比較例1−2)を用いて、Bacillus subtilis(natto)の増殖に与える影響を分析するために、Bacillus subtilis(natto)を使用して上記試験例1と同様の方法で試験を行った。
【0046】
得られた結果を図2に示す。この結果からも、防風通聖散と炭酸水素カリウムを併用した場合において、Bacillus subtilis(natto)の増殖が顕著に促進されることが確認された。
【0047】
以上の結果から、防風通聖散と炭酸水素カリウムの併用は納豆菌の体内での増殖促進に有効であることも明らかとなった。
【0048】
試験例3:防風通聖散エキスによる乳酸菌Lactobacillus acidophilusの増殖力試験
上記表1に示す試験液(実施例1及び比較例1−5)を用いて、腸内に常在する有用乳酸菌(グラム陰性稈菌)であるLactobacillus acidophilusの増殖に与える影響を分析するために、以下の試験を実施した。
【0049】
Lactobacillus acidophilusを、約104〜106CFU/mLになるよう試験液に接種し、嫌気性条件下にて23℃で保管した。接種3日後の試験液をサンプリングし、カンテン平板混釈法にて試験液中の菌数を測定した。
【0050】
得られた結果を図3に示す。図3から分かるように、接種3日後では、防風通聖散と炭酸水素カリウムを配合した実施例1の試験液では、菌数の顕著な増加が確認された。一方、比較例1−5では、菌数の顕著な増加は認められず、特に防風通聖散と酒石酸水素カリウムを配合した比較例5では、菌数が1.54×103CFU/mLになっており、著しく減少していた。
【0051】
この結果から、防風通聖散と炭酸水素カリウムの併用投与は、腸内の有用乳酸菌の増殖を促進して、腸内菌叢を健全な状態にするのに有用であることが確認された。
【0052】
試験例4:防風通聖散エキスによる乳酸菌Streptococcus faecalisの増殖力試験
<試験方法>
上記表1に示す試験液(実施例1及び比較例1−4)を用いて、腸内に常在する有用乳酸菌(グラム陰性稈菌)であるStreptococcus faecalisの増殖に与える影響を分析するために、以下の試験を実施した。
【0053】
Streptococcus faecalisを、約105〜106CFU/mLになるよう試験液に接種し、嫌気性条件下にて23℃で保管した。接種7及び14日後の試験液をサンプリングし、カンテン平板混釈法にて試験液中の菌数を測定した。
【0054】
得られた結果を図4に示す。図4から明らかなように、7及び14日後では、防風通聖散エキスと炭酸水素ナトリウムを配合した比較例4の試験液では菌数の増加が確認されたが、防風通聖散エキスと炭酸水素カリウムを配合した実施例1の試験液では、比較例4の試験液に比較してより顕著な菌数の増加が確認された。
【0055】
この結果からも、試験例3と同様に、防風通聖散エキスと炭酸水素カリウムの併用投与は、腸内の有用乳酸菌の増殖を促進して、腸内菌叢を健全な状態にするのに有用であることが確認された。
【0056】
<試験例1−4の総合考察>
以上の試験例1−4の結果から、防風通聖散エキスと炭酸水素カリウムの併用によって、腸内菌叢のバランス改善効果を示すBacillus subtilisの増殖を促進し、更には腸内の有用乳酸菌の増殖をも促進できることが明らかとなった。このような腸内菌叢の改善は、防風通聖散エキスの体内動態を至適化し、その結果として、その薬理効果を向上させると考えられる。一方、防風通聖散エキスと炭酸水素ナトリウムの併用では、上記のような有用細菌の増殖促進効果が認められないため、実施例1の試験液が示す腸内菌叢のバランスを改善する効果は、炭酸水素カリウムを使用した場合に示される特有のものであることも確認された。
【0057】
試験例5:温経湯エキスによるBacillus subtilisの増殖力試験
表2に記載の処方に従い、各成分を滅菌精製水に溶解して全量を100mLとして試験液(実施例2及び比較例6−7)を調製した。温経湯は完全溶解しないため、濾過滅菌は行わず、無菌条件下滅菌精製水を用いて処方を作成した。
【0058】
斯くして作成された試験液(実施例2及び比較例6−7)を用いて、試験例1と同様の方法で、Bacillus subtilisに対する増殖力試験を行なった。
【0059】
【表2】

【0060】
Bacillus subtilisの接種から3日目において菌数を測定した結果を図5に示す。図5から明らかなように、温経湯エキスを単独で配合した比較例6の試験液、及び温経湯エキスと炭酸水素ナトリウムを配合した比較例7の試験液では、菌数の増加は殆ど認められなかったが、温経湯エキスと炭酸水素カリウムを配合した実施例2の試験液では、明らかな菌数の増加が確認された。
【0061】
この結果から、温経湯エキスと炭酸水素カリウムの併用投与は、体内におけるBacillus subtilisの増殖が促進され、それによって腸内菌叢のバランスを改善できることが明らかとなった。
【0062】
試験例6:温経湯エキスによるBacillus subtilis(natto)の増殖力試験
上記表2に示す試験液(実施例2及び比較例6)を用いて、Bacillus subtilis (natto)の増殖に与える影響を分析するために、Bacillus subtilis(natto)を使用して上記試験例5と同様の方法で試験を行った。
【0063】
Bacillus sutilibsの接種から3日目において菌数を測定した結果を図6に示すに示す。この結果からも、温経湯エキスと炭酸水素カリウムを併用した場合において、Bacillus subtilis(natto)の増殖が相乗的に促進されることが確認された。
【0064】
以上の結果から、温経湯エキスと炭酸水素カリウムの併用は納豆菌の体内での増殖促進に有効であることが明らかとなった。
【0065】
試験例7:温経湯エキスによる乳酸菌Lactobacillus acidophilusの増殖力試験
上記表2に示す試験液(実施例2及び比較例6)を用いて、腸内に常在する有用乳酸菌(グラム陰性稈菌)であるLactobacillus acidophilusの増殖に与える影響を調べた。具体的な実験手法は、上記試験例3と同様である。
【0066】
Lactobacillus acidophilusの接種から3日目において菌数を測定した結果を図7に示す。図7に示されるように、温経湯エキスを単独で配合した比較例6の試験液では、菌数の増加は殆ど認められなかったが、温経湯エキスと炭酸水素カリウムを配合した実施例2の試験液では、顕著な菌数の増加が認められた。
【0067】
この結果から、温経湯エキスと炭酸水素カリウムの併用投与は、腸内の有用乳酸菌の増殖を促進して、腸内菌叢を健全な状態にするのに有用であることが確認された。
【0068】
<試験例5−7の総合考察>
以上の試験例5−7の結果から、温経湯エキスと炭酸水素カリウムを併用した場合でも、Bacillus subtilisの増殖を促進し、更には腸内の有用乳酸菌の増殖をも促進できることが明らかとなった。このような腸内菌叢の改善は、温経湯エキスの体内動態を至適化し、その結果として、その薬理効果を向上させると考えられる。一方、温経湯エキスと炭酸水素ナトリウムの併用では、上記のような有用細菌の増殖促進効果が認められなかったことから、実施例2の試験液が示す腸内菌叢のバランスを改善する効果は、炭酸水素カリウムを使用した場合に示される特有のものであることも確認された。
【0069】
試験例8:小青竜湯エキスによるBacillus subtilisの増殖力試験
表3に記載の処方に従い、各成分を滅菌精製水に溶解して全量を100mLとして試験液(実施例3及び比較例8−9)を調製した。小青竜湯エキスは完全溶解しないため、濾過滅菌は行わず、無菌条件下滅菌精製水を用いて処方を作成した。
【0070】
試験液(実施例3及び比較例8)を用いて、上記試験例1と同様の方法で、Bacillus subtilisに対する増殖力試験を行なった。
【0071】
【表3】

【0072】
Bacillus subtilisの接種から3日目において菌数を測定した結果を図8に示す。図8に示されているように、小青竜湯エキスを単独で配合した比較例8の試験液では、菌数の増加が殆ど認められなかったが、小青竜湯エキスと炭酸水素カリウムを配合した実施例3の試験液では、菌数の増加が確認された。
【0073】
この結果から、小青竜湯エキスと炭酸水素カリウムの併用投与でも、体内におけるBacillus subtilisの増殖が促進され、それによって腸内菌叢のバランスを改善できることが明らかとなった。
【0074】
試験例9:小青竜湯エキスによるBacillus subtilis(natto)の増殖力試験
上記表3に示す試験液(実施例3及び比較例8)を用いて、Bacillus subtilis (natto)の増殖に与える影響を分析するために、Bacillus subtilis(natto)を使用して上記試験例5と同様の方法で試験を行った。
【0075】
Bacillus subtilisの接種から3日目において菌数を測定した結果を図9に示すに示す。この結果からも、温経湯エキスと炭酸水素カリウムを併用した場合において、Bacillus subtilis(natto)の増殖が相乗的に促進されることが確認された。
【0076】
以上の結果から、小青竜湯エキスと炭酸水素カリウムの併用は、納豆菌の体内での増殖促進に有効であることが明らかとなった。
【0077】
試験例10:小青竜湯エキスによる乳酸菌Lactobacillus acidophilusの増殖力試験
上記表3に示す試験液(実施例3及び比較例8−9)を用いて、腸内に常在する有用乳酸菌(グラム陰性稈菌)であるLactobacillus acidophilusの増殖に与える影響を調べた。具体的な実験手法は、上記試験例3と同様である。
【0078】
Lactobacillus acidophilusの接種から3日目において菌数を測定した結果を図10に示す。図10から明らかなように、小青竜湯エキスを単独で配合した比較例8の試験液、及び小青竜湯エキスと炭酸水素ナトリウムを配合した比較例9の試験液では、菌数の増加は殆ど認められなかったのに対して、小青竜湯エキスと炭酸水素カリウムを配合した実施例3の試験液では、顕著な菌数の増加が認められた。
【0079】
この結果から、小青竜湯エキスと炭酸水素カリウムの併用投与でも、腸内の有用乳酸菌の増殖を促進して、腸内菌叢を健全な状態にする作用があることが確認された。
【0080】
<試験例8−10の総合考察>
以上の試験例8−10の結果から、小青竜湯エキスと炭酸水素カリウムの併用した場合であっても、Bacillus subtilisの増殖を促進し、更には腸内の有用乳酸菌の増殖も促進できることが確認された。このような腸内菌叢の改善効果は、小青竜湯エキスの薬理効果の向上をもたらすと考えられる。一方、小青竜湯エキスと炭酸水素ナトリウムの併用では、上記のような有用細菌の増殖促進効果が認められなかったことから、実施例3の試験液が示す腸内菌叢のバランスを改善する効果は、炭酸水素カリウムを使用した場合に示される特有のものであることも確認された。
【0081】
実施例4
下記原料をそれぞれ篩を用いて篩過し、下記配合比に基づいて秤量した後混合したものを打錠用混合末とし、これを打錠機を用いて錠剤化することにより、錠剤(1錠当たり0.48g)が製造される。
防風通聖散エキス 3000重量部
炭酸水素カリウム 250重量部
バレイショデンプン 500重量部
結晶セルロース 270重量部
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム 230重量部
ステアリン酸マグネシウム 40重量部
合計 4290重量部
【0082】
実施例5
下記配合比の原料を使用して、上記実施例4と同様の方法で錠剤(1錠当たり0.36g)が製造される。
防風通聖散エキス 3000重量部
炭酸水素カリウム 200重量部
バレイショデンプン 230重量部
結晶セルロース 500重量部
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム 300重量部
ステアリン酸マグネシウム 30重量部
合計 4260重量部
【0083】
実施例6
下記配合比の原料を使用して、上記実施例4と同様の方法で錠剤(1錠当たり0.456g)が製造される。
防風通聖散エキス 3000重量部
炭酸水素カリウム 300重量部
乳糖 500重量部
バレイショデンプン 230重量部
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム 30重量部
ステアリン酸マグネシウム 50重量部
合計 4110重量部
【0084】
実施例7
下記配合比の原料を使用して、上記実施例4と同様の方法で錠剤(1錠当たり0.38g)が製造される。
温経湯エキス 3500重量部
炭酸水素カリウム 300重量部
ラウリル硫酸ナトリウム 300重量部
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム 350重量部
ステアリン酸マグネシウム 50重量部
合計 4500重量部
【0085】
実施例8
下記配合比の原料を使用して、上記実施例4と同様の方法で錠剤(1錠当たり0.31g)が製造される。
温経湯エキス 2500重量部
炭酸水素カリウム 200重量部
バレイショデンプン 500重量部
結晶セルロース 500重量部
ステアリン酸マグネシウム 40重量部
合計 3740重量部
【0086】
実施例9
下記配合比の原料を使用して、上記実施例4と同様の方法で錠剤(1錠当たり0.45g)が製造される。
小青竜湯エキス 2500重量部
炭酸水素カリウム 200重量部
カルメロースカルシウム 500重量部
水酸化アルミニウムマグネシウム 50重量部
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム 230重量部
ステアリン酸マグネシウム 50重量部
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール 50重量部
結晶セルロース 500重量部
合計 4080重量部
【0087】
実施例10
下記配合比の原料を使用して、上記実施例4と同様の方法で錠剤(1錠当たり0.36g)が製造される。
小青竜湯エキス 3000重量部
炭酸水素カリウム 270重量部
バレイショデンプン 300重量部
乳糖 300重量部
結晶セルロース 250重量部
ステアリン酸マグネシウム 50重量部
ラウリル硫酸ナトリウム 100重量部
合計 4270重量部
【0088】
実施例11
下記配合比の原料を使用して、上記実施例4と同様の方法で錠剤(1錠当たり0.41g)が製造される。
補中益気湯エキス 2500重量部
炭酸水素カリウム 200重量部
乳糖 300重量部
結晶セルロース 250重量部
カルメロースカルシウム 200重量部
ステアリン酸マグネシウム 50重量部
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム 200重量部
合計 3700重量部
【0089】
実施例12
下記配合比の原料を使用して、錠剤(1錠当たり0.41g)が製造される。
当帰飲子エキス 3200重量部
炭酸水素カリウム 350重量部
カルメロースナトリウム 200重量部
無水ケイ酸 50重量部
クロスカルメロースナトリウム 500重量部
ステアリン酸マグネシウム 50重量部
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 100重量部
マクロゴール 100重量部
酸化チタン 50重量部
タルク 250重量部
カルナウバロウ 50重量部
三二酸化鉄 50重量部
合計 4950重量部
【0090】
実施例13
下記配合比の原料を使用して、上記実施例4と同様の方法で錠剤(1錠当たり0.46g)が製造される。
十全大補湯エキス 2300重量部
炭酸水素カリウム 200重量部
ステアリン酸マグネシウム 50重量部
カルメロースナトリウム 250重量部
結晶セルロース 500重量部
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム 270重量部
水酸化アルミニウムマグネシウム 50重量部
乳糖 500重量部
合計 4120重量部
【0091】
実施例14
下記配合比の原料を使用して、上記実施例4と同様の方法で錠剤(1錠当たり0.4g)が製造される。
柴胡加竜骨牡蛎湯エキス粉末 2000重量部
炭酸水素カリウム 150重量部
ステアリン酸マグネシウム 40重量部
カルメロースナトリウム 500重量部
結晶セルロース 270重量部
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム 230重量部
水酸化アルミニウムマグネシウム 100重量部
乳糖 300重量部
合計 3590重量部
【0092】
実施例15
下記配合比の原料を使用して、上記実施例4と同様の方法で錠剤(1錠当たり0.34g)が製造される。
加味帰脾湯エキス 2800重量部
炭酸水素カリウム 280重量部
ステアリン酸マグネシウム 50重量部
カルメロースナトリウム 300重量部
二酸化ケイ素 100重量部
結晶セルロース 500重量部
合計 4030重量部
【0093】
実施例16
下記配合比の原料を使用して、錠剤(1錠当たり0.42g)が製造される。
防已黄耆湯エキス 3200重量部
炭酸水素カリウム 300重量部
ステアリン酸マグネシウム 50重量部
二酸化ケイ素 100重量部
クロスカルメロースナトリウム 300重量部
水酸化アルミニウムマグネシウム 100重量部
結晶セルロース 500重量部
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 100重量部
マクロゴール 200重量部
酸化チタン 50重量部
タルク 100重量部
カルナウバロウ 50重量部
合計 5050重量部
【0094】
実施例17
下記配合比の原料を使用して、上記実施例4と同様の方法で錠剤(1錠当たり0.27g)が製造される。
独活葛根湯エキス 1950重量部
炭酸水素カリウム 100重量部
結晶セルロース 250重量部
カルメロースカルシウム 200重量部
クロスカルメロースナトリウム 500重量部
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム 200重量部
ステアリン酸マグネシウム 50重量部
合計 3250重量部
【0095】
実施例18
下記配合比の原料を使用して、上記実施例4と同様の方法で錠剤(1錠当たり0.32g)が製造される。
桂枝茯苓丸料加よく苡仁エキス 1830重量部
炭酸水素カリウム 250重量部
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム 100重量部
クロスカルメロースナトリウム 200重量部
結晶セルロース 300重量部
ヒプロメロース 100重量部
酸化チタン 10重量部
ステアリン酸マグネシウム 50重量部
合計 2840重量部
【0096】
実施例19
下記配合比の原料を使用して、素錠部成分をとり、一錠重量0.31gの錠剤を製し、その錠剤に剤皮部を用いて、コーティングを施すことにより、フィルムコーティング錠(一錠あたり0.33g)を得た。
(素錠部)
葛根湯エキス 2600重量部
炭酸水素カリウム 300重量部
乳糖 300重量部
バレイショデンプン 245重量部
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム 250重量部
ステアリン酸マグネシウム 50重量部
小計 3745重量部
(剤皮部)
タルク 50重量部
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 100重量部
カルナウバロウ 5重量部
小計 155重量部
合計 3900重量部
【0097】
実施例20
下記配合比の原料を使用して、上記実施例4と同様の方法で錠剤(1錠当たり0.33g)が製造される。
麻黄湯エキス 1700重量部
炭酸水素カリウム 200重量部
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム 250重量部
バレイショデンプン 300重量部
乳糖 200重量部
カルメロースナトリウム 250重量部
ステアリン酸マグネシウム 50重量部
合計 2950重量部
【0098】
実施例21
下記配合比の原料を使用して、上記実施例4と同様の方法で錠剤(1錠当たり0.38g)が製造される。
牛車腎気丸エキス 2400重量部
炭酸水素カリウム 300重量部
カルメロースカルシウム 150重量部
無水ケイ酸 200重量部
セルロース 300重量部
ステアリン酸マグネシウム 50重量部
合計 3400重量部
【0099】
実施例22
下記配合比の原料を使用して、素錠部成分をとり、一錠重量0.36gの錠剤を製し、その錠剤に剤皮部を用いて、コーティングを施すことにより、フィルムコーティング錠(一錠あたり0.38g)を得た。
(素錠部)
当帰飲子エキス 3200重量部
炭酸水素カリウム 350重量部
カルメロースナトリウム 200重量部
無水ケイ酸 50重量部
クロスカルメロースナトリウム 500重量部
ステアリン酸マグネシウム 50重量部
小計 4350重量部
(剤皮部)
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 100重量部
マクロゴール 50重量部
酸化チタン 50重量部
タルク 8重量部
カルナウバロウ 微量
三二酸化鉄 2重量部
小計 210重量部
合計 4560重量部
【0100】
実施例23
下記配合比の原料を使用して、素錠部成分をとり、一錠重量0.38gの錠剤を製し、その錠剤に剤皮部を用いて、コーティングを施すことにより、フィルムコーティング錠(一錠あたり0.39g)を得た。
(素錠部)
防已黄耆湯エキス 3200重量部
炭酸水素カリウム 300重量部
ステアリン酸マグネシウム 50重量部
二酸化ケイ素 100重量部
クロスカルメロースナトリウム 300重量部
水酸化アルミニウムマグネシウム 100重量部
結晶セルロース 500重量部
小計 4550重量部
(剤皮部)
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 100重量部
マクロゴール 30重量部
酸化チタン 30重量部
タルク 5重量部
カルナウバロウ 微量
小計 165重量部
合計 4715重量部
【0101】
実施例24
下記配合比の原料を使用して、素錠部成分をとり、一錠重量0.34gの錠剤を製し、その錠剤に剤皮部を用いて、コーティングを施すことにより、フィルムコーティング錠(一錠あたり0.37g)を得た。
(素錠部)
加味逍遥散エキス 2000重量部
炭酸水素カリウム 300重量部
結晶セルロース 115重量部
バレイショデンプン 200重量部
カルメロースカルシウム 200重量部
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム 100重量部
粉末飴 100重量部
ステアリン酸マグネシウム 50重量部
小計 3065重量部
(剤皮部)
ヒドロキシプロピルセルロース 150重量部
酸化チタン 30重量部
タルク 10重量部
カラメル 5重量部
マクロゴール 40重量部
カルナウバロウ 微量
小計 235重量部
合計 3300重量部
【0102】
実施例25−33
表4に記載の配合比の原料を使用して、上記実施例4と同様の方法で錠剤が製造される。
【0103】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
漢方エキスと、炭酸水素カリウム及び/又は炭酸カリウムとを含有することを特徴とする、医薬組成物。
【請求項2】
漢方エキスとして、防風通聖散、温経湯、及び小青竜湯からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
漢方エキスを30〜95重量%の配合割合で含む、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
内服形態で投与される、請求項1乃至3のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項5】
腸内菌叢の改善剤として使用される、請求項1乃至4のいずれかに記載の医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−42649(P2011−42649A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−166498(P2010−166498)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【出願人】(000115991)ロート製薬株式会社 (366)
【Fターム(参考)】