説明

潜像の符号化方法

【課題】セキュリティを改善した潜像の符号化方法を提供する。
【解決手段】潜像を符号化する方法を開示する。この方法は、符号化すべき潜像を用意するステップを具え、この潜像は複数の潜像要素を有し、各潜像要素は、所定値の集合中の1つの値をとり、前記方法はさらに、複数の二次画像要素を有する二次パターンを用意するステップを具え、この二次パターンは、一旦潜像が符号化されるとこの潜像を復号化することができ、前記方法はさらに、前記潜像要素を前記二次画像要素に関係付けるステップと、複数の一次画像要素から成る一次パターンを形成するステップとを具え、これらの一次画像要素は、前記二次画像要素に関係付けられた前記潜像要素の視覚特性の値に応じて変位された前記二次画像要素に対応する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、オーストラリア国暫定特許出願2003903501及び2003905861に基づいて優先権を主張し、その開示を参考文献として本明細書に含める。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、潜像を符号化する方法に関するものである。本発明の好適例は、文書または証券、例えばポリマー銀行券の正当性を検証することのできるセキュリティ・デバイスの提供における用途を有する。
【0003】
(発明の背景)
銀行券のような証書の未認証の複製または改変を防止するために、銀行券中にはしばしば、コピーする者に対する抑止物としてセキュリティ・デバイスが内蔵される。このセキュリティ・デバイスは、コピーを抑制するように設計されているか、一旦コピーが行われればコピーされたことが明らかになるように設計されているかのいずれかである。利用可能な技術は多種多様であるにもかかわらず、セキュリティ・デバイスを提供するために適用可能なさらなる技術の必要性が常に存在する。
【0004】
(発明の概要)
本発明は、潜像を符号化する方法を提供し、この方法は、
a) 符号化すべき潜像を用意するステップであって、この潜像は複数の潜像要素を有し、各潜像要素は、所定値の集合中の1つの値をとる視覚特性を有するステップと;
b) 複数の二次画像要素を有する二次パターンを用意するステップであって、この二次パターンは、一旦潜像が符号化されると、この潜像を復号化することができるステップと;
c) 前記潜像要素を前記二次画像要素に関係付けるステップと;
d) 複数の一次画像要素から成る一次画像パターンを形成するステップであって、これらの一次画像要素は、前記二次画像要素に関係付けられた前記潜像要素の前記視覚特性値に応じて変位された前記二次画像要素に対応するステップと
を具えている。
【0005】
前記画像要素は一般に画素(即ち、利用可能な最小の描画要素)であるが、一部の好適例では、前記画像要素を画素より大きくすることができ、例えば各画像要素が4画素から成ることができる。
【0006】
前記視覚特性は一般に、前記画像要素の密度に関係する。即ち、潜像がグレースケール(中間調)画像であれば、前記視覚特性はグレースケール値とすることができ、潜像がカラー画像であれば、前記視覚特性は前記画像要素の色相(色合い)の彩度値とすることができる。
【0007】
前記前記視覚特性の所定値の集合中の値の数は一般に、前記二次パターンの構成に依存する。前記二次パターンは一般に、前記二次パターンを特定変位だけずらして元の画像(二次パターン)に重ねた場合に画像が消滅するように配列された画像要素の矩形のグループから成る。画像要素の各グループ内の画像要素の数は、前記所定値の集合中の値の数を制限する。
【0008】
例えば、グレースケール潜像の符号化に用いる一般的な二次パターンは、完全に不透明な複数の垂直ライン(線)から成る矩形アレイであり、各ラインはN画素分の幅であり、同じサイズ(大きさ)の完全に透明なラインによって分離されている。こうした二次パターンは、N+1個までの異なるグレースケール値を有する潜像を符号化するために用いることができる。
【0009】
1つの好適例では、前記視覚特性の値の数(S)が次式に従って決まる:
S=(WR/25.4X)+1
ここに、
Wは、前記一次パターンを印刷(プリント)する幅であり;
Rは、平方インチ当りの画像ドット数で表わしたプリンタの解像度であり、
Xは、画素数で表わした前記一次パターンの幅である。
【0010】
一部の好適例では、前記潜像要素を前記二次画像要素に関係付けるステップが、前記潜像要素を前記二次画像要素に関連付け、その後に、前記二次画像要素を、この二次画像要素に関連付けられた前記潜像要素の視覚特性の値に応じて変位させることを含む。
【0011】
他の好適例では、前記潜像要素を前記二次画像要素に関係付けるステップが、前記潜像を、前記視覚特性の各値に対応する複数のマスクに分割し、複数の変位された部分二次パターンを形成し、そして前記マスクを用いて、前記複数の変位された部分二次パターンを修正し、変位され修正された部分二次パターンを組み合わせて前記一次パターンを形成することから成る。
【0012】
一般に、前記二次パターン及び潜像は矩形であり、従って、これらの画像要素は矩形アレイに配列される。従って、画像要素を変位させることは通常、画像要素をこの矩形アレイの軸に沿って変位させることを含む。しかし、画像要素は他の形状に配列されることもできる。
【0013】
画像要素を前記アレイの水平軸に沿って変位させ、前記視覚特性にS個の異なる値が存在する1つの好適例では、前記視覚特性の第1の値を有する潜像要素に関連する前記二次画像要素は水平方向に1つの画像要素分だけ変位され、前記視覚特性の次の値を有する潜像要素に関連する前記二次画像要素は順次、次の数の画像要素分だけ変位され、これによりS番目の陰影はS個の画像要素分だけ変位される。
【0014】
しかし、任意数の異なる変位方式を用いることができる。例えば、画像要素を次式に従って変位させることができる:
変位D=(N−1)×[(S−Smin)/(SN−Smin)]
ここに、
Sは、変位に関連する視覚特性の値であり、
minは、前記視覚特性の最も低密度な値であり、
Nは、前記視覚特性の最も高密度な値である。
【0015】
一般に、本発明の方法は、原画像を画像処理して、原画像中の前記視覚特性の値の数を、潜像に必要な値の数に減らすことによって、原画像から潜像を形成することを含む。
【0016】
本発明は、複数の潜像を符号化する方法も提供し、この方法は、
a) 符号化すべき潜像を用意するステップであって、各潜像は複数の潜像要素を有し、各潜像要素は、所定値の集合中の1つの値をとる視覚特性を有するステップと;
b) 少なくとも1つの二次パターンを用意するステップであって、前記少なくとも1つの二次パターンの各々が複数の二次画像要素を有し、各二次パターンは、一旦潜像が符号化されると、前記潜像の1つ以上を復号化することができるステップと;
c) 前記潜像要素を、この潜像を復号化する前記二次パターンの二次画像要素に関係付けるステップと;
d) 複数の一次画像要素から成る一次パターンを形成するステップであって、これらの一次画像要素は、前記二次画像要素に関係付けられた前記潜像要素の視覚特性の値に応じて変位された前記二次画像要素に対応するステップと;
e) 前記一次パターンどうしを、互いに角度をなして組み合わせて、前記潜像の各々を符号化する複合一次パターンを形成するステップと
を具えている。
【0017】
本発明は、潜像を符号化する一次パターンも提供し、この一次パターンは:
複数の二次画像画像要素から成る二次パターンによって復号化可能な複数の一次画像要素から成り、前記一次画像要素は、前記二次画像要素のそれぞれに対して変位され、この変位は、前記二次画像要素のそれぞれに関係する前記潜像要素の視覚特性の値に基づいて決まる。
【0018】
本発明は、請求項29に記載の一次パターンも提供し、この一次パターンはポリマー基板上にエンボス加工(打出し、浮彫り)される。
【0019】
本発明のさらなる特徴は、以下の本発明の好適な実施例の説明より明らかになる。
【0020】
以下、本発明の好適な実施例について図面を参照しながら説明する。
【0021】
(好適な実施例の説明)
各好適な実施例では、本発明の方法を用いて、潜像を符号化した一次パターンを生成する。各場合における一次パターンは、二次パターンと符号化すべき潜像との間に確立された関係に従って二次パターンを修正することによって生成される。この二次パターンは、復号化スクリーンとしても知られている。潜像は、前記一次パターンを前記二次パターンに重ねることによって実質的に見ることができる。2つ以上の潜像を符号化する場合には、このことは複合一次パターンを形成する。
【0022】
(グレースケールの実施例)
第1及び第2の好適な実施例では、本発明の方法を用いてグレースケール画像を符号化する。これらの実施例では、どの変位を前記二次パターンに適用すべきかを決める根拠として用いる視覚特性の値の集合が、異なるグレーの陰影の集合である。
【0023】
第1及び第2の好適な実施例では、前記画像要素が画素である。本明細書では、「画素」とは、選択した再生プロセス、例えば表示スクリーン、プリンタ、等によって生成可能な最小の描画要素を参照するために用いる。
【0024】
これらの実施例では、前記二次パターンは、前記二次パターンが特定変位だけずらされて元の画像(二次パターン)に重ねられる場合には、(元の二次パターンと重ねられた二次パターンとが重複(オーバーラップ)する程度に)元の画像を隠す(侵食する)ように配列された画素の矩形のグループから成る。グループ内の各画素は、完全に不透明(黒色)であるか完全に透明(白色)であるかのいずれかである。不透明及び透明のグループは、少なくとも1つの座標に沿って、少なくともおよそ規則的に交互に並ぶ。これらのグループは「超画素」と称される。一般に、前記二次パターンは画素の矩形アレイとなる。しかし、前記二次パターンは所望形状を有することができ、例えば、前記二次パターンは星形とすることができる。
【0025】
グレースケール潜像の符号化に用いる一般的な二次パターンは、完全に不透明な複数の垂直ラインから成り、各ラインはN画素分の幅であり、同じサイズ(大きさ)の完全に透明なラインによって分離されている。こうした二次パターンは、N+1個までの異なるグレースケール値を有する潜像を符号化するために用いることができる。
【0026】
これらの各実施例では、原画像から潜像を形成する。グレースケールの実施例では、原画像は一般に、異なるグレーの陰影の画素のアレイから成る。しかし、原画像をカラー画像とし、このカラー画像に、潜像化に先立って画像処理を施してグレースケール画像を形成することもできる。原画像は、前記二次パターン及び前記一次パターンが重ねられた際には、簡略化した形では潜像として観測される。
【0027】
グレースケールの実施例では、潜像は画素の矩形ブロックから成る画像である。各ブロックは、同じグレーの陰影を有する画素から成る。異なるブロック内で使用可能なグレーの陰影の数は、潜像を表示するために必要なグレーの陰影の数である。潜像中に用いる陰影は、原画像中の陰影の集合を減らしたものである。これらの陰影は、多数の異なる方法で選定することができ、純粋な白色から純粋な黒色までにわたる。潜像中の画素のブロックは、前記超画素と同じサイズを有する必要はないが、多くの実施例では、これらのブロックは前記超画素と同じサイズである。
【0028】
潜像中で使用可能な陰影の最大数(NSは)、再生技法の解像度、及び前記二次パターン中の画素のグループの好適なサイズによって制御することができる。符号化された陰影の数は、次式を超えることができない:
S=(1+前記二次パターンの超画素中の画素数)。
【0029】
第1の好適な実施例では、前記二次パターンが、画素の矩形アレイ(または行列(マトリクス))となるように選定される。適切な二次パターンを選定した後に、この二次パターンを、次のように数学的に一次パターンに変換する:
【0030】
1. 可能な陰影の総数(NS)(即ち、選定された二次パターンが符号化可能な陰影の最大数)を、前記二次パターンの組成から選択して決定する。
当業者にとって既知の標準的な画像処理技法を用いて、原画像を処理しディジタル化して、NS個の異なるグレーの陰影を含む画像にする。この画像が潜像である。
【0031】
2. 潜像中の各画素には、画素の[p×q]行列内の位置に応じて一意的なアドレス(p,q)が割り当てられる。(潜像または二次パターンが矩形アレイでない場合には、画素の位置は任意の原点に対して定義することができ、この原点は、両座標p及びqに正の値を与えるものが好ましい。)
【0032】
3. 潜像中の各グレーの陰影をSmで表わし、ここにS1は最も淡いグレーの陰影であり、SNSは最も暗いグレーの陰影である(mは1〜NSなる整数である。)
【0033】
4. 潜像中の各画素を、S1〜SNSのうちの1つに属するものとして表わす。
【0034】
5. 二次パターン中の各画素に、当該画素の[p×q]行列内の位置に応じて、同様に一意的なアドレス(p,q)を割り当てる。
【0035】
6. ここで、潜像中の各(p,q)の画素のS1〜SNSの表示を、二次パターン中の対応する(p,q)の画素に割り当て、これにより、潜像中の画素を二次パターン中の画素に関係付ける。
【0036】
7. 二次パターン中の個別の画素の各々に対して数学的演算を実行して、当該画素を、当該画素に割り当てられたグレーの陰影(Sm)に応じて、画像軸のうちの1つに沿って移動する。この移動は、右にも左にも、あるいは上にも下にも行うことができ、あるいは両方の軸に同時に沿った移動の組合せとすることもできる。種々の変位を用いることができる。実施例に共通して、各画素を次のように変位させる:
1に対して、1画素分、
...
NSに対して、NS画素分、
あるいは一般的に、
mに対しm画素分。
【0037】
あるいはまた、例えば次式のような公式を用いることができる:
D=(NS−1)×[(S−Smin)/(Smax−Smin)]
ここに、
Dは変位(即ち、移動すべき画素数)である。
【0038】
等間隔なDの値を、表によって特定の陰影に直接割り当てることも有効な方法である。
【0039】
最も暗い陰影と最も大きいシフト(移動)との組合せは逆にすることもでき、即ち、最も明るい陰影と最も大きいシフトとの組合せも同様の結果をもたらす。
【0040】
上記公式は広大なコントラスト範囲を提供し、従って、二次パターンが一次パターンに重なった際に潜像を比較的見やすくする。他の応用では、他の公式が適切である。
【0041】
結果的な画像は一次パターンとして知られている。一次パターン中では、二次パターンの画素は、これらの画素が関係付けられている潜像の画素のグレーの陰影に応じて変位されている。
【0042】
第2の好適な実施例では、一旦、適切な二次パターンが選定されると、この二次パターンを手動で(例えば、適切なソフトウェアを実行中のコンピュータを人間が手動で操作することによって)、次のように一次パターンに変換する:
【0043】
1. 可能な陰影の総数(NS)を、二次パターンの組成から選択して決定する。
【0044】
2. 当業者にとって既知の標準的な画像処理技法を用いて、原画像を処理しディジタル化して、NS個の異なるグレーの陰影を含む画像にする。この画像が潜像である。
【0045】
3. 次に潜像をNS個のマスクに分割し、ここで各マスクは、1つのグレーの陰影に属する(即ち、S1〜SNSに属する)画素のみを含む。このことは、商業的に入手可能な画像処理プログラムにおける標準的な方法を用いて達成される。これらのマスクを形成した後に、各マスクは、潜像からの一意的な画素の組を含み、潜像のあらゆる画素が1つのマスク中のみに見出される。すべてのマスクを適正に組み合わせれば、原画像を回復することができる。
【0046】
4. 変位された部分二次パターンをマスク毎に作成し、各部分二次パターンの変位は、当該マスクに関係する潜像の画素の陰影に対応する。これらの変位された部分二次パターンをS*1〜S*NSで表わす。この変位は、右にも左にも、あるいは上にも下にもすることができ、あるいは両方の軸に同時に沿った移動の組合せとすることもできる。前記変位は、個別の画素S1〜SNSの各々に対して実行される数学的演算(アルゴリズム)によって規定される。前記変位は、S1〜SNS毎に異なる。種々の変位を用いることができる。実施例に共通して、各画素を次のように変位させる:
*1に対して、1画素分、
...
*NSに対して、NS画素分、
あるいは一般的に、
*mに対してm画素分。
【0047】
あるいはまた、例えば次式のような公式を用いることができる:
D=(NS−1)×[(S−S*min)/(S*NS−S*min)]
ここに、
Dは変位(即ち、移動すべき画素数)である。
【0048】
等間隔なDの値を、表によって特定の陰影に直接割り当てることも有効な方法である。
【0049】
最も暗い陰影と最も大きいシフト(移動)との組合せは逆にすることもでき、即ち、最も明るい陰影と最も大きいシフトとの組合せも同様の結果をもたらす。
【0050】
上記公式は広大なコントラスト範囲を提供する。他の応用では、他の公式が適切である。
【0051】
5. 前記マスクを用いて、対応する変位された部分二次パターンの複数区分を切り出し、これにより、潜像の画素を部分二次パターンに関係付ける。結果的なNS個のマスクされた部分二次パターンの画像は、変位された二次パターンの各部分である。
【0052】
6. ここで、マスクされた部分二次パターンを再結合して一次パターンにする。従って、この一次パターンは二次パターンの変位されたバージョンであり、この二次パターン中の個別の画素の変位は、潜像中の画素と二次パターン中の画素との間に確立された関係に基づく。
【0053】
(カラーの実施例)
第3及び第4の好適な実施例の方法は、符号化されたカラー画像における色彩効果を提供するのに適している。第3及び第4の実施例では、彩度レベルが、画像を符号化する基礎として用いられる視覚特性である。第1及び第2実施例と同様に、画像要素は画素である。
【0054】
第3及び第4実施例の二次パターンは、第1及び第2実施例の白黒の二次パターンを参照すれば最も良く説明することができる。カラー二次パターンは、白黒二次パターン中のブラック(黒色)画素グループを規則的に、選択した二次色相の画素に代替させて、二次パターンに二次色相の規則的なパターンを持たせることによって、白黒二次パターンから導出することができる。これらの二次色相の彩度レベルは、潜像中に見出される最大彩度レベルとして定められる。透明(ホワイト、白色)領域は、色分離技法の要求次第で、ブラックで満たすこともホワイトのままにしておくこともできる。
【0055】
これらの実施例では、二次色相は、当業者にとって既知の種々の手段によってカラー原画像から分離可能な色である。二次色相は、特定彩度(輝度)における他の二次色相と組み合わせて、主題画像の描画に必要となり得るより広範囲の色の知覚を提供する。二次色相の例は、RGBカラー方式では赤色、緑色、及び青色である。二次色相を提供するために使用可能な他のカラー方式はCYMKである。
【0056】
これらの実施例では、彩度は、原画像の個別の画素内の特定二次色相の輝度レベルである。無色が、あり得る最低の彩度であり、最高は、二次色相を再現することのできる最大輝度に相当する。彩度は、小数(即ち、無色=0で最大色相=1)またはパーセント値(即ち、無色=0%で最大色相=100%)あるいは技術関係者によって使用される他のあらゆる基準値によって表現することができる。
【0057】
第1及び第2実施例のように、潜像は一般に、原画像から形成することによって提供される。一般に、原画像は、二次色相の画素のアレイから成る画像であり、各二次色相の彩度は異なる。原画像は、二次パターンと一次パターンとを重ねた際に、簡略化形式では潜像として観測される。潜像は、原画像のディジタル化され変形されたバージョンである。
【0058】
潜像中で見ることのできる特定の二次色相の彩度レベルの数(NS)は、再生技術の解像度、及び二次パターン中の画素グループの好適なサイズによって制御される。符号化された彩度レベルの数は次式を超えることができない:
S=(1+二次パターンの超画素中の画素数)。
【0059】
第3及び第4実施例の方法は、色分離技法において用いる二次色相の数(NH)によって制御することもできる。
【0060】
第3実施例では、一旦、二次パターンを選定すると、二次パターンの一次パターンへの数学的変換において次のステップを実行する:
【0061】
1. 可能な彩度レベルの総数(NS)を、二次パターンの組成から選択して決定する。
【0062】
2. 当業者にとって既知の標準的な画像処理技法を用いて、原画像を処理しディジタル化して潜像にし、この潜像は各色相中に最大NS個の彩度レベルを含む。
【0063】
3. 潜像中の各画素を順次分析して、画素中の二次色相の彩度を特定する。
【0064】
4. 潜像中の各画素に、当該画素の[p×q]行列内の位置及び色相に応じて一意的なアドレス[(p,q)nh]を割り当てる(色相番号1に対してnh=1、色相番号2に対してnh=2、...色相番号NHに対してnh=NH)。ここでも第1の好適な実施例と同様に、特に潜像が画素の矩形アレイでなければ、座標は行列内の位置ではなく基準点に対して定義することができる。
【0065】
5. 潜像中の各彩度レベルをSmで表わし、ここにS1は最低彩度であり、SNSは最も濃い彩度である(mは1〜NSなる整数)。潜像の各画素中の二次色相は、S1〜SNSのうちの1つに属するものとして表わされ、従って画素は[(p,q)nh,Sm]でアドレス指定される。
【0066】
6. 二次パターン中の各画素に、当該画素の[p×q]行列内の位置、色相及び彩度に応じて、同様に一意的なアドレス[(p,q)nh, ns]を割り当てる。ここで、二次パターンをX個の画素ブロックに分割し(Xは整数)、各ブロックは、二次パターン中で可能な最小の反復単位を表わす。各ブロック内の画素のアドレスを、そのブロック番号xを示すように、[(p,q)nh, NS, x]のように修正する(xは1〜Xなる整数である)。
【0067】
7. ここで、潜像中の画素[(p,q)nh,Sm]に、nh及びSmのそれぞれの値にかかわらず、二次パターン中で同じp及びqの値を有する画素のブロック番号に等しいブロック番号xを割り当てる。潜像中の画素はアドレス[(p,q)nh, Sm, x]を有し、ここでxの値は、二次パターン中で同じp及びqの値を有する画素の値に等しい。こうして、潜像の画素は二次パターンの画素に関係付けられている。
【0068】
8. ここで潜像を用いて、各ブロックx内のすべての画素について、色相nh毎に平均彩度Smavを計算する。各ブロックには結果的に、各ブロックx内の色相毎の平均彩度Smを記述するための記述子{Sm1, Sm2,...Smnh}xが割り当てられる。この平均彩度は、とり得る彩度レベルのうちの1つのみをとる。Smは、その後に二次パターン中の画素の変位のさせ方を決めるために用いる彩度の値である。
【0069】
9. ここで二次パターン中の対応する各ブロックx内では、各色相nhの画素を、当該ブロックについての記述子{Sm1, Sm2,...Smnh}x中の色相レベル(Sm)に応じて、1つの画像軸に沿って変位させる。この移動は一方の軸または他方の軸のいずれかに沿って行うことができ、あるいは両方の軸に同時に沿った移動の組合せとすることができる。前の実施例と同様に、種々の変位を用いることができる。実施例に共通して、各画素を次のように変位させる:
1に対して、1画素分、
...
NSに対して、NS画素分、
あるいは一般的に、
mに対しm画素分。
【0070】
あるいはまた、例えば次式のような公式を用いることができる:
D=(NS−1)×[(S−Smin)/(Smax−Smin)]
ここに、
Dは変位(即ち、移動すべき画素数)である。
【0071】
等間隔なDの値を、表によって特定の彩度レベルに直接割り当てることも有効な方法である。
【0072】
最も濃い彩度と最も大きいシフト(移動)との組合せは逆にすることもでき、即ち、最も淡い彩度と最も大きいシフトとの組合せも同様の結果をもたらす。
【0073】
上記公式は広大なコントラスト範囲を提供する。他の応用では、他の公式が適切である。
【0074】
結果的な画像は一次パターンであり、実際には二次パターンの変位されたバージョンであり、この変位は、潜像中の画素と二次パターン中の画素との間に確立された関係に依存する。
【0075】
第4実施例では、適切な二次パターンを選定し、そして二次パターンの一次パターンへの手動変換において次のステップを実行する:
【0076】
1. 可能な彩度レベルの総数(NS)を、二次パターンの組成から選択して決定する。
【0077】
2. 標準的な画像処理技法を用いて、原画像を処理しディジタル化して潜像を提供する。
【0078】
3. そして標準的な画像処理技法を用いて、潜像を色分解して、各々の二次色相を表わす複数の色相画像にする。各色相は、原画像からの色分解として生成されたグレースケール(中間調)画像であり、グレーの陰影は特定色相の特定彩度を表わす。
【0079】
4. 各色相画像を分析して、各二次色相の最高の彩度レベルを特定する。これらの値は引き続いて、後に、変位された部分二次パターンを生成するために用いる二次色相の彩度レベルを規定するために使用し、これについては以下でさらに詳細に説明する。
【0080】
5. 標準的な画像処理技法を用いて、各色相画像のダイナミックレンジ(値の大小範囲)を、利用可能な最大限まで拡張し(この限界は使用するソフトウェアに依存して変化し得る)、そしてこのダイナミックレンジを再び拡張する前に、NS個の彩度レベルに落とす。
【0081】
6. ここで、商業的に入手可能な画像処理プログラム、例えばPhotoshop(登録商標)(Adobe Systems(登録商標)社より入手可能)を用いて、各色相画像をNS個のマスクに分割し、各マスクは1つの色相に属する(即ち、S*1〜S*NSのいずれかに属する)画素のみを含む。各マスクは、画像からの一意的な画素組を含み、あらゆる画素が1つのマスク中のみに見出される。一組の二次色相からのすべてのマスクを適正な彩度レベルで組み合わせれば、原画像が回復される。
【0082】
7. 二次パターンの色分解によってNH個の部分二次パターンを作成し、これらの部分二次パターンの各々が単一の二次色相のみを含む。
【0083】
8. マスク毎に、当該マスクの色相及び彩度に対応して変位された部分二次パターンを作成する。彩度レベルはS*1〜S*NSで表わされる。この変位は、右にも左にも、あるいは上にも下にも行うことができ、あるいは両方の軸に同時に沿った移動の組合せとすることもできる。前記変位は、個別の画素S*1〜S*NSの各々に対して実行される数学的演算(アルゴリズム)によって規定される。前記変位は、S*1〜S*NS毎に異なる。種々の変位を用いることができる。実施例に共通して、各画素を次のように変位させる:
*1に対して、1画素分、
...
*NSに対して、NS画素分、
あるいは一般的に、
*mに対してm画素分。
【0084】
あるいはまた、例えば次式のような公式を用いることができる:
D=(NS−1)×[(S−S*min)/(S*NS−S*min)]
ここに、
Dは変位(即ち、移動すべき画素数)である。
【0085】
等間隔なDの値を、表によって特定の彩度レベルに直接割り当てることも有効な方法である。
【0086】
最も濃い彩度と最も大きいシフト(移動)との組合せは逆にすることもでき、即ち、最も淡い彩度と最も大きいシフトとの組合せも同様の結果をもたらす。
【0087】
上記公式は広大なコントラスト範囲を提供する。他の応用では、他の公式が適切である。
【0088】
9. 前記マスクを用いて、対応する変位された部分二次パターンの複数区分を切り出し、これにより、潜像の画素を部分二次パターンに関係付ける。結果的なNS×NH個の変位された部分二次パターンは各々が、対応するシフトされた二次パターンの部分の集合である。
【0089】
10. ここで、変位された部分二次パターンを再結合して一次パターンを形成し、この一次パターンは二次パターンの変位されたバージョンであり、この変位は、関係が確立された潜像画素の彩度レベルに基づく。
【0090】
(代案の実施例)
本発明の以上の実施例に対して多数の変形を施すことができ、例えば、画像要素は一般に画素であるが、一部の実施例では画像要素を画素より大きくすることができ、例えば、各画像要素は2×2アレイの4画素から成るものとすることができる。
【0091】
一部の実施例では、一旦、一次パターンが形成されると、この一次パターンの一部分(または複数部分)を、二次パターンの対応する一部分(または複数部分)と交換して、より見分けにくい潜像を作成することができる。
【0092】
さらに、セキュリティの増強は、真正な銀行券のみに利用可能なカラーインクの使用、蛍光インクの使用、またはパターン化された格子(グリッド)または形状内への画像の埋込みを含むことができる。
【0093】
少なくとも第1及び第2実施例の方法は、2つ以上の潜像を1つの一次パターン内に符号化するために用いることができる。例えば、1つの一次パターンが他の一次パターンに対する二次パターンを提供すること、及びその逆である。このことは、上述した方法を用いて2つの一次パターンを形成することによって達成される。そしてこれらの一次パターンを、互いに角度をなして組み合わせ、この角度は90度(最大のコントラストを提供する)にすることができる。これらの一次パターンを、所望の角度をなして重ね合わせ、そして所望のコントラストのレベルに応じて、重なり合った画素の暗い方または明るい方のいずれかを保持する(残す)ことによって組み合わせて、複合一次パターンにする。
【0094】
ディジタル技術を用いて、3つ、4つ、5つまたはそれ以上の数の潜像を組み合わせて単一の複合一次パターンにすることが可能である。複数の潜像を組み合わせる際には、この複合一次パターンの品質及び/またはセキュリティ(安全性)を改善するために採用可能な複数の技法が存在する。採用する技法は、潜像の性質、画像の数、及び一次パターンを復号化するために同じ二次パターンを使用するか異なる二次パターンを使用するかに依存する。
【0095】
複合一次パターン中の複数の一次パターンの交差部分は多数の方法で処理することができ:例えば、AND(アンド:論理積)、OR(オア:論理和)またはXOR(イクスクルーシブ・オア:排他的論理和)、あるいは精密なしきい値に対する減算及び加算を実行することができる。さらに、これらの技法は個別に、単なる交差部分に、あるいは複合一次パターン中の特定一次パターンどうしの交差部分にも適用することができる。このことは、特定の潜像及び用途について、画像識別を最適化することを可能にする。
【0096】
こうしたプロセスの目標は、交差部分にある画素を組み合わせて、最大の隠蔽と競合する最大のコントラストを提供することにある。こうした変形を施す能力は、本発明の実施例のディジタル技術の大きな利点である。
【0097】
2つ以上の一次パターンを組み合わせる際には、異なる幅または周波数の二次パターン(以下「スクリーン」と称する)を用いることができる。例えば、第1スクリーンが4画素の幅であり、第2スクリーンが5画素の幅であり、このため、単一の複合一次パターン内に符号化された2つの異なる一次パターンを復号化するために2つの異なる二次パターンが必要である。このことは安全性が加わるという利点を有し、即ち、第1スクリーンは妥協すれば、第2スクリーンによって符号化された画像はまだ安全であることができる。さらに、異なるスクリーンを使用すれば、複合一次パターン中の異なる一次パターン間のコントラストが増加し、これらの一次パターンは互いからより容易に復号化することができる。この原理は、3つ以上の画像を同じ複合一次パターン内に符号化する場合に拡張することができる。
【0098】
2つ以上の一次パターンを、90度以外の角度をなして組み合わせる際には、これらの一次パターン自体が相互作用し、この相互作用はどんなに少なくとも、モワレ(モアレ)パターンとして現われる。より極端な場合には、画像の部分復号化が発生することがあり、このことが単一のデバイス内で発生する際には自己復号化と称される。
【0099】
例えば、3つの一次パターンを組み合わせて単一の一次パターンにする際には、必ずしもすべての一次パターンを90度をなして組み合わせることはできない。他の問題は、最初の2つの一次パターンの交差部分が固定のスクリーンを生成して、第3の一次パターンがこの交差部分に対してある位相位置を持つことである。この問題を回避するために、前記角度は、モワレ及び自己復号化を回避するように選定すべきである。
【0100】
最適なスクリーン角度の選択に寄与する要因は、ラインの幅によって規定される。2つのスクリーン(二次パターン)が直角に交差する場合には、第3のスクリーン用の明らかな第3の角度は45度であるが、ラインが同じ幅である場合のみにこのことは真である。スクリーンのラインが異なる幅である(従って、各画像を表示するために、単なる自明な回転ではなく別個のスクリーンが必要である)場合を考えれば、直角の交差は正方形でなく長方形であり、この長方形の対角線は45度以外の角度となる。良好なコントラストは、第3画像の角度が、最初の2組のラインの交差部分に生成される平行四辺形の長い方の対角線の角度と同じである際に達成され、第1の角度とは無関係である。
【0101】
このことは、第3の一次パターンが、最初の2つの画像によって残された「ホワイト(白色の)空間」に最も存在することを意味する。しかし、このことは自己復号化を生じさせる。自己復号化を回避するために、前記角度を5〜10度だけ変化させて、比較的高いコントラストを維持しつつ、自己復号化の量を低減することができる。
【0102】
他の技法を用いて一次パターンを組み合わせることができる。例として3重複合の一次パターンを用いれば、通常の8ビットのグレースケール画像には256の陰影の範囲しか存在しない。各一次パターンが0及び255(ブラック及びホワイト)の値を持つ場合には、これらの値を単純加算によって合計できる際には、陰影の範囲は3つの画像について0から765までになる。これは、標準的な画像処理ソフトウェア・パッケージでは処理不可能である。しかし、一次パターンの値を0〜85に圧縮することによって、合計された3重一次パターンは4つの陰影0、85、170、255から成る。好適に組み合わされたこの種の3重一次パターンを図17に示す。
【0103】
こうしたデバイスをオフセット印刷するものとすれば、このことは4種のインク及び4つの印刷プレートを必要とし、これら4つのプレートの位置整合を完全にしなければならず、従ってこの印刷は非常に困難である。
【0104】
しかし、標準的なフロイド−スタインバーグ(Floyd-Steinburg)ディザを用いて画像を白黒に落とし、図18に示す印刷可能な白黒の一次パターンを提供することができる。
【0105】
ディザ・プログラムを、0〜765の値を処理するようにコーディングして、白黒の画像要素を生成することができることも、当業者にとって明らかである。
【0106】
一次パターンは、現在の印刷技術の限界を押し上げれば、偽造に対する最高のセキュリティ(安全性)を与え、即ち、一次パターンは可能な最高の解像度を利用する。
【0107】
符号化される陰影の数(S)を次式のように選定すれば:
S=(WR/(25.4X))+1
ここに、
Sは、陰影の数であり、
Wは、印刷される一次パターンの意図した幅であり、
Rは、プリンタの解像度をDPI(dots per inch:インチ当りのドット数)、
Xは、画素数で表わしたディジタル一次パターンの幅である。
偽造者が一次パターンをコピーするためには、この解像度に合わせるか、この解像度を超えなければならない。
【0108】
一次パターンは陽画(ポジ)にも陰画(ネガ)にもできることは当業者にとって明らかであり、即ち、黒及び白のラインは白及び黒と同じに見える。しかし、2つ以上を組み合わせる際には、陰画の方がより良好なコントラストを提供し得る。2つの一次パターンの陽画と陰画とを、直角をなして加算することを考える:
【0109】
二重の90度の一次パターンは75%のブラック及び25%のホワイトとなり、その陰画は75%のホワイト及び25%のブラックとなる。
【0110】
より多くの一次パターンを加算すると共に、その組合せはますます暗くなる(ブラックの成分を合計する場合には)。その結果、陰画はますます明るくなる。
【0111】
従って、潜像の性質次第で、組合せプロセスの特定時点で陽画と陰画との種々の組合せをとることが望ましいことがある。例えば、3重一次パターンの最初の2つの一次パターンを組み合わせた後に、第3の一次パターンを加算する前に陰画にする。
【0112】
このプロセスには、次のいくつかの利点が存在する:
(a) 一次パターンをより複雑にし、コピーをより困難にする。
(b) 一次パターンを既存の画像に合わせることを手助けできる色調の範囲を生成することが可能である。
(c) 画像のコントラストを改善することが可能である。
一実施例では、一次パターン及び二次パターンを、一次パターン及び二次パターンを構成する要素が可視光の波長より小さく、これらのパターンが相互作用するまで目に見えないようなサイズにする。
【0113】
こうした一次及び二次パターンを生成するのに適した技法は、UV(紫外)レーザー・リソグラフィー及び電子ビーム技術を含む。
【0114】
上述したように、位相移動は右へも左へも行うことができる。好適な実施例では、右への変位は慣例に過ぎず、同じ効果を以って要素を左に移動させることもできる。このことを図16に示す。
【0115】
ここでは、要素161、164は左に移動され、要素162、163は右に移動されるが、要素161、162が同じ陰影として復号化し、要素163、164が同じ陰影として復号化する。点線の輪郭線165は、適正な画像が表示される際の復号化スクリーンの位置を示す。
【0116】
上述した右へ移動する要素と左へ移動する要素との衝突を回避するための配慮が行われるものとすれば、1つの符号化された画像内でこれら両方の要素を組み合わせることができる。衝突を回避する1つの方法は、右への移動と左への移動とを位相的に分離して、異なる要素水平行とすることである。これらの右へ移動する行と左へ移動する行とは、交互する必要も何らかの規則的なパターンに従う必要もなく、一意的なスクリーンを生成するアルゴリズム全体の一部を形成することができる。
【0117】
右及び左への位相シフトの組合せを用いることの利点は、「メダル刻印」及びエンボスの効果を低減することにあり、さもなければこうした効果があらわになり得る。このエンボス効果は、さもなければ、特定の一次パターンが復号化なしに見えることを許容してしまうことがある。従って、右及び左への移動の使用は隠蔽性を大幅に改善する。
【0118】
左及び右へのシフトの以上の説明は、垂直ラインから成る復号化スクリーンを利用するデバイス(装置)に限定されるが、水平ライン、あるいは任意角度のラインにも同じ考察が当てはまる。要素がドット(点)から成るものとすれば、適正な陰影を与えるのに移動が必要な程度に限り、これらの要素をあらゆるすべての方向に移動させることができる。同様に、前記シフトは上及び下へも行うことができる。
【0119】
前記一次パターンは必ずしも印刷する必要はない。一実施例では、電子ビームとフォトリソグラフィーとの組合せを用いてエンボスの微小構造を生成することができる。例えば、ポリマー銀行券として使用される。一般に、前記一次パターンは、エンボス加工された30ミクロン×30ミクロンの画素から成り、各画素はいくつかの(例えば3、4個の)副画素(サブピクセル)領域から成り、一次パターンにおけるこれらの副画素領域の各画素内の位置が、画像情報を符号化する手段である。エンボス(打出し)ダイ上の副画素領域は高さ20〜30ミクロンであり、この比較的大きい高さにより、これらの副画素領域はポリマー基板内に直接エンボス加工することができる。本実施例では、前記二次パターンもエンボス微小構造にすることができ、潜像情報の読出しは、2つのエンボス領域間の屈折性のモワレ干渉によって行われる。
【0120】
(好適な実施例の応用)
本発明の好適な実施例の方法は、セキュリティ・デバイス(装置)を生産するために用いることができ、これにより、チケット(券、切符)、パスポート、免許証、通貨及び郵便媒体のような品目の偽造防止能力における安全性を向上させることができる。他の有用な用途は、クレジットカード、写真認証カード、流通(有価)証券、銀行小切手、トラベラーズチェック、衣服用のラベル、薬品、アルコール、ビデオテープ等、出生証明、車両登録カード、不動産権利証書(地券)、及びビザを含むことができる。
【0121】
一般に、セキュリティ・デバイスは、以上の文書または証券(証書)の1つの内部に前記一次パターンを埋め込み、を含む形の復号化スクリーンを別個に設けることによって提供される。しかし、前記二次パターンを銀行券の一端に載せ、前記一次パターンを他端に載せて、この銀行券が偽造ではないことの検証を可能にすることができる。
【0122】
以上の実施例は、復号化スクリーンの要素の選択的な変位に基づくディジタル潜像技術を説明していることは当業者にとって明らかである。これら種々の実施例は、潜像の符号化における非常に大きな柔軟性(フレキシビリティ)を可能にし、例えば、一次パターンまたは複合一次パターンを修正または生成して、これにより、隠蔽性または潜像のコントラストを改善することができる。例えば、ディジタル技術は不規則な方向への(例えば1つの場合には左へ、次の場合には右へ)変位を可能にする。このことは、より良好な潜像の隠蔽を可能にする。同様に、最も暗い陰影と最も大きいシフト(移動)との組合せは逆にすることもでき(即ち、最も明るい陰影と最も大きいシフトとの組合せも同様の結果をもたらし)、あるいは所望すれば不規則にすることもできる。実際には、変位アルゴリズムは、広範な可能な公式のうちの1つとすることができる。この公式は、例えばコントラスト範囲を最適化するために用いることができ、従って、前記二次パターンが前記一次パターンに重なった際に潜像をより見やすくすることができる。他の応用では、他の公式が適切である。
【0123】
(例)
この例では、第2の好適な実施例の方法を用いて一次パターンを形成する。
【0124】
図1は原画像の例である。この原画像はかなり低い解像度(104×147画素)の256色画像であるが、簡単のため白黒で示している。
【0125】
そして、図1のカラー画像をグレースケール画像に落とし、そしてグレーの陰影を等化して最も大きな陰影分離を用意した。そしてこの画像を、エアロ(空中)拡散を伴う最適化メディアンカット法(減色法の一種)を用いて4つのグレーの陰影に落とした。その結果を図2に示す。
【0126】
8ビットのRGBカラースケールで見れば、この画像中の陰影は、[228R/228G/228B]、[164R/164G/164B]、[98R/98G/98B]及び[28R/28G/28B]から成る。位相変調による陰影の全範囲は、透明媒体の使用による損失を伴う50%から100%までのブラックに過ぎないので、さらなる等化は不要であると考えた。
【0127】
この画像を、要求される陰影を表わすマスクに分割した。(なお、最も明るい陰影[228R/228G/228B]は背景として働き、従ってマスクを必要としない。)
【0128】
図3aは陰影28用のマスクである。図3bは陰影98用のマスクである。図3cは陰影164用のマスクである。これらのマスクは陽画マスクであり、そのブラック領域が、各印影で満たされる領域を規定する。
【0129】
プリンタの3画素幅ずつ離間した、プリンタの3画素幅のブラックライン(黒線)の二次パターンを使用する。この二次パターンを基準として考え、プリンタの0画素分の位相シフトを最も明るい陰影に、1画素分の位相シフトを164の陰影に、2画素分の位相シフトを98の陰影に、3画素分の位相シフトを28の陰影に用いて、異なる陰影を符号化する。このことはもちろん、原画の陰影とは正確な一致を生成しないが、このことは最終的に観測される画像のコントラスト及び明るさ(ブライトネス)に影響するに過ぎない。
【0130】
これらの位相シフトを図式的に図4に示し、図4aは陰影28に関係し、図4bは陰影98に関係し、図4cは陰影164に関係し、そして図4dは陰影228に関係する。各場合において、上部のラインは二次パターンに関係し、下部のラインは変位された二次パターン(一次パターン)に関係する。
【0131】
図4に示す要求された位相差を有する4つの変位された二次パターンの組を用意した。これらを図5a〜5dに示す。ここで図5aは陰影28に関係し、図5bは陰影98に関係し、図5cは陰影164に関係し、そして図5dは陰影228に関係する。これらの部分二次パターンは元の写真のマスクの長さの18倍であり、即ち1872×2646である。前記3つのマスクも、104×147画素から1872×2646画素に拡張した。この拡張は、最終画像中の陰影を規定するために十分な画素が利用可能であることを保証するためである。本質的には、元の潜像中の各画素を18×18画素の超画素に拡張した。従って、この超画素は、通常の画素から成るラインで構成されるパターンによって陰影の形に規定することができる。
【0132】
部分二次パターンを組み合わせるために、陰影228の画像を背景として用い、その区分を次のように陰影画像で置き換えた:
【0133】
まず、陰影164のマスクを用いて、図6に示す陰影228の画像上の要求領域をホワイト(白色)で消す。図7に、図6中のボックス(四角枠)に相当する部分を詳細に示す。
【0134】
次に、陰影164用のマスクを用いて、図8に示すように陰影164のラインの画像をマスクで除去する。ここでも、(図8にボックスで示す)右目部分の詳細を図9に示す。図8に示す画像を図6の画像に加算して図10に示す画像を生成した。ここでも、図10の右目部分のクローズアップ(部分拡大)を図11に示す。
【0135】
図10に生成された画像を用いて上記プロセスを反復し、陰影164に用いたのと同じ手順を用いて陰影98の要素を加算した。
【0136】
そしてこのことを陰影98に対して反復して、図12に示す完全な潜像を生成する。ここでも、図12の細部を図13に示す。
【0137】
図14及び15には、図12及び13の画像に二次パターンを重ねた際に、潜像が元の潜像に近い形で再出現する様子を示す。
【0138】
(暫定出願中の用語)
本願の優先権主張の基になるオーストラリア国暫定特許出願2003905861の明細書では、「一次パターン」とは復号化スクリーンのことを称するために用い、「二次パターン」とは符号化された画像のことを称するために用いている。これらの用語は本明細書では、意図した意味を変えることなく逆に用いられている。これらの用語は、本願及びその優先権出願を参照する他の係属出願との一貫性のために逆にしたものである。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】第2の好適な実施例における原画像の例である。
【図2】図1の例の潜像である。
【図3】図3a、3b及び3cは、図1の例で使用するマスクである。
【図4】異なる陰影に用いる異なる変位を示す図である。
【図5】図4に対応する、変位された部分二次パターンを示す図である。
【図6】マスクされた部分二次パターンを組み合わせて潜像を形成する方法を示す図である。
【図7】マスクされた部分二次パターンを組み合わせて潜像を形成する方法を示す図である。
【図8】マスクされた部分二次パターンを組み合わせて潜像を形成する方法を示す図である。
【図9】マスクされた部分二次パターンを組み合わせて潜像を形成する方法を示す図である。
【図10】マスクされた部分二次パターンを組み合わせて潜像を形成する方法を示す図である。
【図11】マスクされた部分二次パターンを組み合わせて潜像を形成する方法を示す図である。
【図12】マスクされた部分二次パターンを組み合わせて潜像を形成する方法を示す図である。
【図13】マスクされた部分二次パターンを組み合わせて潜像を形成する方法を示す図である。
【図14】二次パターンを具えた復号化スクリーンを用いて潜像を検索する方法を示す図である。
【図15】二次パターンを具えた復号化スクリーンを用いて潜像を検索する方法を示す図である。
【図16】左及び右位相シフトを示す図である。
【図17】8つの影の一次パターンを示す図である。
【図18】図17にディザ処理を施して、影を白黒にした図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像を符号化する方法において、
a) 符号化すべき潜像を用意するステップであって、前記潜像は複数の潜像要素を有し、前記潜像要素の各々が所定値の集合中の1つの値をとる視覚特性を有するステップと;
b) 複数の二次画像要素を有する二次パターンを用意するステップであって、前記二次パターンは、一旦前記潜像が符号化されると前記潜像を復号化することができるステップと;
c) 前記潜像要素を前記二次画像要素に関係付けるステップと;
d) 複数の一次画像要素から成る一次パターンを形成するステップであって、前記一次画像要素は、前記二次画像要素に関係付けられた前記潜像要素の視覚特性の値に応じて変位された前記二次要素に対応するステップと
を具えていることを特徴とする潜像符号化方法。
【請求項2】
前記視覚特性を、一組のグレースケール値にすべく選択するステップを具えていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記視覚特性を、前記潜像要素の色合いの彩度値にすべく選択するステップを具えていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
二次パターンを特定変位だけずらして元の二次パターンに重ねた場合に画像が消滅するように配列された画像要素の矩形のグループから成る二次パターンを用意するステップを具えていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
複数の不透明な垂直ラインから成る矩形アレイで構成される二次パターンを用意するステップを具え、前記ラインの各々はN個の画像要素分の幅であり、透明なN個の画像要素分の幅の透明ラインによって分離され、これにより、前記二次パターンは、N+1個までの異なるグレースケール値を有する潜像を符号化するために使用可能であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記画像要素が画素であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記視覚特性の値の数を、前記一次パターンを印刷するために使用する印刷技法に基づいて選定することを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記視覚得性の値の数が、次式:
S=(WR/25.4X)+1
ここに、
Wは、前記一次パターンを印刷する幅であり;
Rは、平方インチ当りの画像ドット数で表わしたプリンタの解像度であり、
Xは、画素数で表わした前記一次パターンの幅である
によって決まることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記潜像要素を前記二次画像要素に関係付けるステップが、前記潜像要素を前記二次画像要素に関連付け、その後に、前記二次画像要素を、当該二次画像要素に関連付けられた前記潜像要素の視覚特性の値に応じて変位させることから成ることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記潜像要素を前記二次画像要素に関係付けるステップが、前記潜像を、前記視覚特性の各値に対応する複数のマスクに分割し、複数の変位された部分二次パターンを形成し、前記マスクを用いて前記複数の変位された部分二次パターンを修正し、変位され修正された前記部分二次パターンを組み合わせて前記一次パターンを形成することから成ることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記二次画像要素及び前記一次画像要素が略矩形のアレイの形に配列されていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記二次画像要素が、前記矩形アレイの軸に沿って変位されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記二次画像要素が前記矩形アレイの軸に沿って変位され、前記視覚特性にS個の異なる値が存在し、前記視覚特性の第1の値を有する前記潜像要素に関連する前記二次画像要素は、水平方向に1つの画像要素分だけ変位され、前記視覚特性の次の値を有する前記潜像要素に関連する前記二次画像要素は順次、次の数の画像要素分だけ変位され、これにより、S番目の陰影はS個の画像要素分だけ変位されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記二次画像要素が前記矩形アレイの軸に沿って変位され、前記視覚特性にS個の異なる値が存在し、前記視覚特性の第1の値を有する潜像要素に関連する前記二次画像要素は、次式:
変位D=(N−1)×[(S−Smin)/(SN−Smin)]
ここに、
Sは、変位に関連する視覚特性の値であり、
minは、前記視覚特性の最も低密度な値であり、
Nは、前記視覚特性の最も高密度な値である
に従って変位されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
さらに、原画像を画像処理して、前記原画像中の前記視覚特性の値の数を前記潜像に必要な値の数に減らすことによって、原画像から前記潜像を形成するステップを具えていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記二次画像要素を変位させることが、前記二次パターンの異なる部分の画像要素を異なる方向に変位させることから成ることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
複数の潜像を符号化する方法において、
a) 符号化すべき複数の潜像を用意するステップであって、各潜像は複数の潜像要素を有し、各潜像要素は、所定値の集合中の1つの値をとる視覚特性を有するステップと;
b) 少なくとも1つの二次パターンを用意するステップであって、前記少なくとも1つの二次パターンの各々が複数の二次画像要素を有し、前記二次パターンの各々は、一旦潜像が符号化されると前記潜像の1つ以上を復号化することができるステップと;
c) 前記潜像要素を、当該潜像を復号化する前記二次パターンの二次画像要素に関係付けるステップと;
d) 複数の一次画像要素から成る一次パターンを形成するステップであって、前記一次画像要素は、前記二次画像要素に関係付けられた前記潜像要素の視覚特性の値に応じて変位された前記二次画像要素に対応するステップと;
e) 前記一次パターンどうしを互いに角度をなして組み合わせて、前記潜像の各々を符号化する複合一次パターンを形成するステップと
を具えていることを特徴とする潜像符号化方法。
【請求項18】
単一の前記二次パターンがすべての前記潜像を符号化することを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記潜像毎に異なる前記二次パターンを用意することを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記異なる二次パターンが、異なる数の前記視覚特性を符号化すべく構成され、前記潜像が互いに異なる数の前記視覚特性を有することを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記一次パターンどうしを組み合わせて、前記一次パターン間に最大のコントラストを提供することを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記一次パターンどうしを組み合わせて、前記一次パターン間にコントラストを提供しつつ、自己復号化効果を回避することを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記一次パターンどうしを、前記一次パターン間に最大のコントラストをもたらす角度から5〜10度の角度をなして組み合わせることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項24】
互いに90度をなして組み合わされた2つの前記一次パターンが存在することを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項25】
3つの前記一次パターンが存在し、隣接する前記一次パターン間の角度は35〜55度の範囲であることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項26】
1つ以上の前記一次パターンを、組み合わせる前に陰画に変換することを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項27】
前記一次パターンどうしが重なる部分において、コントラストと隠蔽との組合せのために選択すべく、前記画像要素を組み合わせることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項28】
配列された画像要素の前記視覚特性を累計することによって前記一次パターンどうしを組み合わせて、組み合わされた一次パターンを得て、前記組み合わされた一次パターンをディザ処理して、白黒の複合一次パターンを得ることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項29】
潜像を符号化する一次パターンにおいて、
複数の二次画像要素から成る二次パターンによって復号化可能な複数の一次画像要素から成り、前記一次画像要素が前記二次画像要素のそれぞれに対して変位され、前記変位は、前記二次画像要素のそれぞれに関係付けられた潜像要素の視覚特性の値に基づいて決まることを特徴とする潜像符号化用一次パターン。
【請求項30】
前記視覚特性が、一組のグレースケール値であることを特徴とする請求項29に記載の一次パターン。
【請求項31】
前記視覚特性が、前記潜像要素の色合いの彩度値であることを特徴とする請求項29に記載の一次パターン。
【請求項32】
前記二次パターンが、特定変位だけずらして元の二次パターンに重ねた場合に画像が消滅するように配列された画像要素の矩形のグループから成ることを特徴とする請求項29に記載の一次パターン。
【請求項33】
前記二次パターンが、複数の不透明な垂直ラインから成る矩形アレイで構成され、前記ラインの各々はN個の画像要素分の幅であり、透明なN個の画像要素分の幅の透明ラインによって分離され、これにより、前記二次パターンは、N+1個までの異なるグレースケール値を有する潜像を符号化するために使用可能であることを特徴とする請求項29に記載の一次パターン。
【請求項34】
前記画像要素が画素であることを特徴とする請求項29に記載の一次パターン。
【請求項35】
前記視覚得性の値の数が、次式:
S=(WR/25.4X)+1
ここに、
Wは、前記一次パターンを印刷する幅であり;
Rは、平方インチ当りの画像ドット数で表わしたプリンタの解像度であり、
Xは、画素数で表わした前記一次パターンの幅である
によって決まることを特徴とする請求項34に記載の一次パターン。
【請求項36】
前記一次画像要素が略矩形のアレイの形に配列されていることを特徴とする請求項29に記載の一次パターン。
【請求項37】
前記二次画像要素が、前記矩形アレイの軸に沿って変位されることを特徴とする請求項36に記載の一次パターン。
【請求項38】
前記視覚特性にS個の異なる値が存在し、前記視覚特性の第1の値を有する潜像要素に関連する前記二次画像要素は、水平方向に1つの画像要素分だけ変位され、前記視覚特性の次の値を有する潜像要素に関連する前記二次画像要素は順次、次の数の画像要素分だけ変位され、これにより、S番目の陰影はS個の画像要素分だけ変位されることを特徴とする請求項29に記載の一次パターン。
【請求項39】
前記二次画像要素が前記矩形アレイの軸に沿って変位され、前記視覚特性にS個の異なる値が存在し、前記視覚特性の第1の値を有する潜像要素に関連する前記二次画像要素は、次式:
変位D=(N−1)×[(S−Smin)/(SN−Smin)]
ここに、
Sは、変位に関連する視覚特性の値であり、
minは、前記視覚特性の最も低密度な値であり、
Nは、前記視覚特性の最も高密度な値である
に従って変位されることを特徴とする請求項37に記載の一次パターン。
【請求項40】
前記一次パターンの異なる部分の一次画像要素が、前記二次画像パターンに対して異なる方向に変位されることを特徴とする請求項29に記載の一次パターン。
【請求項41】
セキュリティ・デバイスを構成することを特徴とする請求項29に記載の一次パターン。
【請求項42】
贈答品を構成することを特徴とする請求項29に記載の一次パターン。
【請求項43】
文書または証書の一部分を形成することを特徴とする請求項29に記載の一次パターン。
【請求項44】
前記一次パターンがポリマー基板上にエンボス加工されていることを特徴とする請求項29に記載の一次パターン。
【請求項45】
複数の潜像を符号化する複合一次パターンにおいて、
前記複合一次パターンが、重ね合わされた複数の一次パターンから成り、前記一次パターンの各々が、複数の二次画像要素から成る二次パターンによって復号化可能な複数の一次画像要素から成り、前記一次画像要素が前記二次画像要素のそれぞれに対して変位され、前記変位は、前記二次画像要素のそれぞれに関係付けられた潜像要素の視覚特性の値に基づいて決まることを特徴とする潜像符号化用複合一次パターン。
【請求項46】
同一の二次パターンが前記潜像の各々を復号化可能であることを特徴とする請求項45に記載の複合一次パターン。
【請求項47】
前記潜像の各々を復号化するために、異なる二次パターンを必要とすることを特徴とする請求項45に記載の複合一次パターン。
【請求項48】
前記異なる二次パターンが異なる数の前記視覚特性の値を符号化し、前記潜像が、互いに異なる数の前記視覚特性の値を有することを特徴とする請求項47に記載の複合一次パターン。
【請求項49】
前記一次パターンどうしが組み合わされて、前記一次パターン間に最大のコントラストが提供されることを特徴とする請求項45に記載の複合一次パターン。
【請求項50】
前記一次パターンどうしが組み合わされて、前記一次パターン間にコントラストが提供されつつ、自己復号化効果が回避されることを特徴とする請求項45に記載の複合一次パターン。
【請求項51】
前記一次パターンどうしが、前記一次パターン間に最大のコントラストをもたらす角度から5〜10度の角度をなして組み合わされることを特徴とする請求項45に記載の複合一次パターン。
【請求項52】
互いに90度をなして組み合わされた2つの前記一次パターンが存在することを特徴とする請求項45に記載の複合一次パターン。
【請求項53】
3つの前記一次パターンが存在し、隣接する前記一次パターン間の角度は35〜55度の範囲であることを特徴とする請求項45に記載の複合一次パターン。
【請求項54】
1つ以上の前記一次パターンが、組み合わされる前に陰画に変換されることを特徴とする請求項45に記載の複合一次パターン。
【請求項55】
前記一次パターンどうしが重なる部分において、コントラストと隠蔽との組合せのために選択すべく、前記画像要素が組み合わされることを特徴とする請求項45に記載の複合一次パターン。
【請求項56】
前記一次パターンどうしが、配列された画像要素の視覚特性を累計することによって組み合わされて、組み合わされた一次パターンが得られて、前記組み合わされた一次パターンがディザ処理されて白黒の複合一次パターンが得られることを特徴とする請求項45に記載の複合一次パターン。
【請求項57】
セキュリティ・デバイスを構成することを特徴とする請求項45に記載の複合一次パターン。
【請求項58】
贈答品を構成することを特徴とする請求項45に記載の複合一次パターン。
【請求項59】
文書または証書の一部分を形成することを特徴とする請求項45に記載の複合一次パターン。
【請求項60】
前記一次パターンがポリマー基板上にエンボス加工されていることを特徴とする請求項45に記載の複合一次パターン。

【図1】
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【図2】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2007−524281(P2007−524281A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517903(P2006−517903)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【国際出願番号】PCT/AU2004/000915
【国際公開番号】WO2005/002880
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(591269435)コモンウェルス サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ オーガニゼーション (23)
【氏名又は名称原語表記】COMMONWEALTH SCIENTIFIC AND INDUSTRIAL RESEARCH ORGANIZATION
【Fターム(参考)】