説明

潤滑処理された熱可塑性ポリマーを製造するための方法

潤滑処理された熱可塑性ポリマーを製造するための方法。本発明は、潤滑処理された熱可塑性ポリマー、特に潤滑処理されたポリアミドを製造するための方法に関する。より詳細には、本発明は、ポリマーの重合過程の最中に溶融状態のポリマーに潤滑剤の混合物を投入したことによる潤滑処理された熱可塑性ポリマー、特に潤滑処理されたポリアミドを製造するための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は潤滑処理された熱可塑性ポリマー、特に潤滑処理されたポリアミドを製造する方法に関する。
【0002】
本発明はより詳細には、ポリマーの重合過程の最中に溶融状態のポリマーに少なくとも1種の潤滑剤を投入したことによる、潤滑処理された熱可塑性ポリマー、特に潤滑処理されたポリアミドを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
熱可塑性ポリマー、特にポリアミドは、重要な工業及び商業の対象となるポリマーである。特に熱可塑性ポリマーアミドは、2つの異なるモノマー間の反応、又は単一のモノマーの重縮合のいずれかによって得られる。一方で、本発明は2つの異なるモノマーから誘導されるポリアミドに適用され、ポリヘキサメチレンアジパミドを最も主要なポリアミドとする。また一方で、本発明は単一モノマーから誘導されるポリアミドに適用される、ポリカプロラクタムを最も主要なポリアミドとする。
【0004】
ポリマー、特にポリアミドタイプの製造は、モノマーから出発する重縮合によって主に行われ、一般的には高温高圧でモノマーの水性溶液を加熱することによって行われる。
【0005】
従って、製造されるポリマー、特にポリアミドは、主に溶融状態で、その後は一般的に粒子状に形成される。
【0006】
その後、これらの粒子は、多数の応用に使用され、特に糸、繊維、若しくはフィラメントの製造目的、又は成形、射出成形若しくは押し出し成形による物体成形目的で使用される。これらの粒子は、プラスチック工学の分野、一般的には配合ステップの後で使用することができる。これらの粒子は、成形物体等の物体に確実に成形するために、及び配合するために、一般的に再溶融される。
【0007】
ポリアミドは、こうした成形操作中及び配合操作中に溶融した状態で操作されるが、その操作は常に容易とは限らない。実際に、ポリアミドは溶融状態で粘度が高い可能性があり、そして該ポリアミドを投入する設備の表面に部分的に接着する可能性があり、このことが問題となっている。
【0008】
前記問題点を克服するために、ポリマー、特にポリアミドに潤滑剤を添加することが知られている。
【0009】
潤滑剤を投入するための、ある方法が知られており、該方法はポリマー粒子状に潤滑剤を付着させることから成る。その後粒子は成形するために再溶融される。前記方法は複雑であり、潤滑処理されたポリマーを製造する方法において、前記粒子上に潤滑剤を付着させる補助ステップを伴い、相当なコストを発生させる。
【0010】
潤滑剤を投入する別の方法では、ポリマー粒子を再溶融させて潤滑剤を溶融ポリマー中に添加することにより、配合ステップ中に潤滑剤を投入することから成る。この方法では、ポリマーを再溶融させるステップを伴うため、複雑である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上述した欠点を示すことのない、単純で経済的な方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的のために、本発明では、潤滑処理された熱可塑性ポリマー、特に潤滑処理されたポリアミドを製造するための方法を提案し、ここで少なくとも1種の潤滑剤はポリマーの重合過程の最中に溶融した状態のポリマーに投入される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
用語「ポリマー」は、ポリマー又はプレポリマーを意味する。該用語にはモノマーは含まれない。
【0014】
例示的な意味で記述するが、本発明に関する文脈上で適切な熱可塑性(コ)ポリマーとして、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアルキレンオキサイド、ポリオキシアルキレン、ポリハロアルキレン、ポリアルキレンフタレート若しくはポリアルキレンテレフタレート、ポリフェニル若しくはポリフェニレン、ポリフェニレンオキサイド若しくはポリフェニレンスルフィド、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルハロゲン化物、ポリビニリデンハロゲン化物、ニトリルポリビニル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、アクリル酸ポリマー若しくはメタクリル酸ポリマー、ポリアクリレート若しくはポリメタクリレート、セルロース等の天然ポリマー及びそれらの誘導体、合成エラストマー等の合成ポリマー、若しくは前述したポリマー中に含まれる任意の1つのモノマーと同一の少なくとも1つのモノマーを含む熱可塑性コポリマー、及びこれら全ての(コ)ポリマーのブレンド並びに/又はアロイが挙げられる。
【0015】
他の好ましい本発明の熱可塑性ポリマーとして:脂肪族ポリアミド;半芳香族ポリアミド;及び、より一般的には、二価酸で飽和した脂肪族若しくは芳香族と、1級ジアミンで飽和した芳香族若しくは脂肪族との間での重縮合によって得られる直鎖状のポリアミド;ラクタム若しくはアミノ酸の縮合によって得られるポリアミド;又はこれらの様々なモノマーの混合物の縮合によって得られる直鎖状ポリアミド;等の半晶質若しくは非晶質のポリアミドが挙げられる。
【0016】
より具体的には、例えば、これらのコポリアミドは、ポリヘキサメチレンアジパミド、商標名AMODELの下で販売されているポリアミド等のテレフタル酸及び/若しくはイソフタル酸から得られるポリフタルアミド、又はアジピン酸、ヘキサメチレンジアミン及びカプロラクタムから得られるコポリアミドであってよい。
【0017】
熱可塑性ポリマーは、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT),ポリブチレンテレフタレート(PBT)等、並びにそれらのコポリマー及びそれらのブレンドであってよい。
【0018】
さらにより好ましくは、熱可塑性ポリマーは、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド4、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド4/6、6/10、6/12、6/36、12/12並びにコポリマー及びそれらのブレンドを含む(コ)ポリアミドのグループから選択される。
【0019】
潤滑剤は、パラフィン、脂肪酸、及び脂肪酸金属塩の混合物である。前記パラフィンは、純物質又は工業混合物の形態であってもよい。パラフィンは炭化水素油又はワックスであってもよい。パラフィンは、一般的に、飽和又は不飽和脂肪族炭化水素をベースとした化合物であってもよい。前記パラフィンは炭素原子の平均数が20〜500であることが有利であり、30〜200であることがより有利である。
【0020】
脂肪酸及び脂肪酸金属塩は飽和でもよく、又は不飽和であってよい。
【0021】
本発明に関する文脈上での適切な脂肪酸として、少なくとも16炭素原子を含む脂肪酸が挙げられる。前記脂肪酸の例として、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アルギン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチニン酸(serotinic acid)、メリシン酸、及びエイコサン酸が挙げられ、ステアリン酸が好ましい。
【0022】
脂肪酸は、6〜24の炭素原子を有する一価又は二価のカルボン酸であることが有利である。これらの酸の中で、ペラルゴン酸、マルガリン酸及びテトラデカン二酸(Dodecanedicarboxylic acid)が挙げられる。
【0023】
脂肪酸金属塩は、上述した脂肪酸の金属塩であってよい。脂肪酸金属塩の例として、ステアリン酸のアルミニウム塩、カルシウム塩、又は亜鉛塩が挙げられる。また、ジステアリン酸アルミニウム塩、トリステアリン酸アルミニウム塩も挙げられる。
【0024】
ポリマーの重量に対する潤滑剤の重量割合は、0.1〜5%であることが有利であり、0.2〜2%であることが好ましく、0.5〜1.5%であることがより好ましい。前記割合の選択は、ルーチンな試験によって容易に決定される。
【0025】
潤滑剤は様々な形態で溶融状態のポリマーに投入することができる。例えば室温で潤滑剤が液体の場合には、又は室温で溶融する場合には、液体の形態で投入することができる。
【0026】
また、潤滑剤は固体の形態、例えばマスターバッチの形態で投入することができる。
【0027】
本発明に従った潤滑剤、即ち幾つかの成分の混合物において、特定の成分は固体の形態であってよく、他の成分が液体の形態であってよい。
【0028】
潤滑剤は、溶融状態のポリマーに添加剤を投入するための当業者に知られた任意の方法に従って、溶融状態のポリアミド中に投入される。
【0029】
本発明の方法は、特に全ての種類のポリアミド又はポリアミドベースのコポリマーの製造に関する。前記方法は例えば、カプロラクタム若しくは6−アミノヘキサン酸等のラクタム若しくはアミノ酸の重合から生じるポリアミドの製造、又はジカルボン酸及びジアミンのモノマーの重合から生じるポリアミドの製造に効果的である。また、前記方法は、アジピン酸及びヘキサメチレンジアミンの縮合に特に効果的である。さらに、前記方法は、任意のポリアミドベース組成物及びポリアミドベースコポリマーの製造に適している。
【0030】
前記ポリマーはマトリックスとしてのポリマーをベースとした組成物の形態であってよく、そして、消泡剤等の添加物を含んでもよい。これらの添加物は当業者に知られている。
【0031】
更に、本発明の方法の最中に、連鎖制限剤(chain limiter)を投入してもよい。前記連鎖制限剤の例としての意味で、酢酸、安息香酸等が挙げられる。
【0032】
また組成物は、例えば二酸化チタン又はスルフィド亜鉛等のマット化剤(mattifying agents)、熱光安定剤、生物活性のある薬剤、防汚剤(anti−soiling agent)等、他の化合物を含むことができる。前記リストは網羅的なものではない。
【0033】
ジカルボン酸及びジアミンのモノマーから出発する重合は、一般的に3つのステップを含む。第一のステップは、「N salt」として知られる、水中でのカルボキシレート2アンモニウム塩の濃縮である。該ステップの後に、加圧蒸留フェーズ及び減圧フェーズを一般的に含むアミド化(酸及びアミン基の縮合)が続く。その後前記縮合は大気圧下(又は真空下)で所望の重合度になるまで継続される。この最終ステップはフィニッシングとして知られている。その後前記ポリマーは一般的には成形又は押出成形される。
【0034】
ラクタム及びアミノ酸から出発する重合、特にポリアミド6の製造は、以下のステップを含むことができる:モノマーを水と混合、及び任意でチェーンリミッターと混合するステップ;加熱ステップ;任意で加圧ステップ、その後に減圧ステップ;任意で真空フィニッシングステップ;一般的に得られた生成物の顆粒化ステップ;抽出ステップ;及び乾燥ステップ。
【0035】
ポリエステルを製造するために、重合は、混合ステップ、エステル交換又はエステル化ステップ、任意で濃縮ステップ及び真空重縮合ステップを含むことができる。
【0036】
本発明の方法の1つの特定の実施形態によれば、モノマーを含むN Salt溶液又はモノマーを含む液体が含まれる溶融フェーズ中で行われる重縮合を、該方法は含むことができ、前記反応は水平軸を有する反応器の低部位中又は筒状の装置中で低速で流れる。従って重縮合反応は、圧力が約5〜30バール、温度が約215〜300℃で行われる。その後前記反応の流れは、フラッシャー、即ち生成物の結晶化を防止するために充分な交換表面積を有する加熱された筒状装置に通すことによって、大気圧に対して非断熱的に広がる。前記操作中、材料の流れの中に含まれる残留水は蒸発させる。前記蒸気及び液体の流れはその後、気体/液体分離機中で分離することができる。フィニッシャー中で所望の程度の進行度合いが達成できるように、重縮合は大気圧又は減圧下で溶融フェーズ中で継続される。液相フィニッシング装置中の滞留時間は5分以上が好ましい。
【0037】
本発明の方法では、加圧蒸留フェーズ及び減圧フェーズを含むことが有利であり、潤滑剤は前記加圧蒸留フェーズ後に投入し、前記減圧フェーズ後に投入するのが好ましい。
【0038】
本発明の方法の1つの特定の実施形態によれば、前記方法は(フィニッシャーとしても知られている)フィニッシング装置を含むフィニッシングステップを含み、潤滑剤は前記フィニッシング装置の出口を出る前で投入される。
【0039】
減圧フェーズは、フラッシャーに通過することによって行われることが有利であり、潤滑剤はフラッシャーの入口で投入されることが有利である。
【0040】
本発明の方法の1つの好ましい実施形態によれば、潤滑剤はフィニッシング装置の入口又は出口で投入される。
【0041】
「フィニッシング装置の出口を出る前」という表現は、フィニッシング装置中に、該装置が終了する前で潤滑剤の投入が起こることを意味する。
【0042】
「フラッシャーの入口で」という表現は、本発明の意味する範囲内では、フラッシャーに通過させることによって減圧ステップが始まるところで潤滑剤の投入が起こることを意味する。
【0043】
「フィニッシング装置の入口で」という表現は、フィニッシング装置中、該装置の開始地点で、潤滑剤の投入が起こることを意味すべく理解される。
【0044】
「フィニッシング装置の出口で」という表現は、フィニッシング装置中、該装置の終了地点で、潤滑剤の投入が起こることを意味すべく理解される。
【0045】
本発明の方法を実施する際に混合手段を使用することができる。これらの手段は当業者に既知である。
【0046】
潤滑剤を投入したときは、ポリマーの再溶融ステップは行わないことが有利である。
【0047】
従って、本発明の方法は、潤滑処理されたポリマー、特に潤滑処理されたポリアミドを、簡単にかつ経済的に得ることを可能にする。実際、本発明は潤滑処理されたポリマー粒子、特に潤滑処理されたポリアミドの粒子を、粒子上に潤滑剤を付着させる補助ステップなしで得ることを特に可能にする。本発明の方法によって得られる前記ポリマー粒子は既に潤滑処理されており、そして該粒子は補助潤滑化ステップなしで、直接配合及び/又は成形することができる。該方法は著しい利点を示す。
【0048】
更に、潤滑剤は重合過程中遅く、好ましくはできる限り遅く投入するのが好ましい。このことにより、重合単位の優れた可塑性が得られる:具体的には潤滑剤を遅く添加することにより、1つの及び同一の重合単位で異なるポリマーグレード(例えば潤滑剤の有無)の大量生成を継続的に行うことが可能になる。潤滑剤を早く投入すると、生成されるポリマーのグレードが変化する最中に設備の汚染が発生し、望ましくない。最後に潤滑剤を遅く投入することによって重合過程への干渉を制限することができる。
【0049】
本発明の方法は連続でもよく又はバッチモードでもよい。本発明の方法は連続的な方法が好ましい。
【0050】
本発明の潤滑処理されたポリマー、特に本発明の潤滑処理されたポリアミドは、糸、繊維、及び/又はフィラメント、フィルム並びに溶融物体等の物体を製造するために使用することができる。潤滑処理されたポリマーは、重合後固体化及び再溶融の中間ステップなしで、直接物体へ成形することができる。また、例えば溶融した物体の製造目的又は糸、繊維、及び/若しくはフィラメントの製造目的等の、続いての最終成形のために再溶融させることを意図して、粒子状に成形することもできる。
【0051】
本発明の別の対象は、加圧蒸留フェーズ、減圧フェーズ及びフィニッシング装置を用いたフィニッシングステップを含み、潤滑剤を加圧蒸留フェーズ後フィニッシング装置出口前に投入する本発明の方法によって得られる潤滑処理された熱可塑性ポリマーである。
【0052】
本発明の潤滑処理されたポリマーは、減圧ステップ後に潤滑剤を投入する本発明の方法によって得られることが有利である。
【0053】
第一のモードによれば、本発明の潤滑処理されたポリマーは、フラッシャーへ通過させることによって減圧フェーズが行われ、及び潤滑剤がフラッシャーの入口で投入される本発明の方法によって得ることができる。
【0054】
第二のモードによれば、本発明の潤滑処理されたポリマーは、潤滑剤をフィニッシング装置の入口又は出口で投入する本発明の方法によって得ることができる。
【0055】
本発明による潤滑処理した熱可塑性ポリマーは、有利な技術特性、特に低い粘度数をもっている。90%ギ酸中5g/Lの重量を有するポリアミド溶液で、25℃での流量時間の測定に従って定義される粘度数が105〜125ml/gであることが有利である。
【0056】
本発明の他の詳細及び利点は以降の実施例の観点からより明らかになっていくであろう。
【実施例】
【0057】
試験はポリマー上で行った。
第一の試験は、90%ギ酸中5g/Lの重量を有するポリアミド溶液で、25℃での流量時間の測定に従った粘度数の測定である。第二の試験はエンドグループの、電位差分析によるmmol/kgでの濃度測定である。これらの試験は粒子から出発して行われる。
【0058】
実施例1
ナイロン塩の溶液を幾つかの水を除去するエバポレーターに投入した。従って、その後濃縮したナイロン塩の溶液を熱移動流体を用いて280℃で加熱した筒状の反応器に投入した。重縮合反応が起こり、除去すべき水をなおも含有するプレポリマーを形成した。プレポリマー及び水蒸気の混合物が形成された。その後、該水蒸気及びプレポリマーの分離が起こり及び反応が継続されるバーティカルフィニッシャーに運んだ。
【0059】
「ホワイトミネラルオイル」(CAS登録番号8042−47−5)としても知られる室温で液体のパラフィンをフィニッシャーの入口に投入した。
【0060】
フィニッシャーはPA−6,6を700kg/hの流速で稼動させた。これを撹拌し、熱移動流体で280℃で加熱した。ポリマー中液体パラフィンの混合の一部は、フィニッシャー内で行った。ギアポンプにより、液体パラフィンを含有するポリマーは、ダイブロックへ移した。ポンプ下流では、ポリアミド6,6及び該ポリアミド中に分散する潤滑剤の混合物を、液体パラフィンを有するポリマーに添加した。これらの潤滑剤はステアリン酸及びステアリン酸アルミニウムであった。
【0061】
ダイから出たロッドを冷却し、顆粒化システムを通して切断した。該顆粒は、溶融した部品、糸、又は繊維の形態への転換を意図したものである。
【0062】
得られたポリマーPA−6,6は、90%ギ酸中で、135mg/Lの粘度数であった。
【0063】
実施例2
ナイロン塩の溶液を幾つかの水を除去するエバポレーターに投入した。従って、その後濃縮したナイロン塩の溶液を熱移動流体を用いて280℃で加熱した筒状の反応器に投入した。重縮合反応が起こり、除去すべき水をなおも含有するプレポリマーを形成した。プレポリマー及び水蒸気の混合物が形成された。その後、該水蒸気及びプレポリマーの分離が起こり及び反応が継続されるバーティカルフィニッシャーに運んだ。
【0064】
「ホワイトミネラルオイル」(CAS登録番号8042−47−5)としても知られる液体のパラフィン、ステアリン酸及びステアリン酸アルミニウムを含む潤滑剤混合物をフィニッシャーの入口に投入した。
【0065】
フィニッシャーはPA−6,6を700kg/hの流速で稼動させた。これを撹拌し、熱移動流体で280℃で加熱した。ポリマー中への潤滑剤の混合の一部は、フィニッシャー内で行われた。ギアポンプにより、潤滑剤を含有するポリマーは、ダイブロックに移した。
【0066】
ダイから出たロッドを冷却し、顆粒化システムを通して切断した。該顆粒は、溶融した部品、糸、又は繊維の形態への転換を意図したものである。
【0067】
得られたポリマーPA−6,6は、90%ギ酸中で、118mg/Lの粘度数であった。
【0068】
実施例3
ナイロン塩の溶液を幾つかの水を除去するエバポレーターに投入した。従って、その後濃縮したナイロン塩の溶液を熱移動流体を用いて280℃で加熱した筒状の反応器に投入した。重縮合反応が起こり、除去すべき水をなおも含有するプレポリマーを形成した。プレポリマー及び水蒸気の混合物が形成された。その後、該水蒸気及びプレポリマーの分離が起こり及び反応が継続されるバーティカルフィニッシャーへ運んだ。
【0069】
「ホワイトミネラルオイル」(CAS登録番号8042−47−5)としても知られる液体のパラフィン、ステアリン酸及びステアリン酸アルミニウムを含む潤滑剤混合物をフィニッシャー下流に位置するギアポンプの下流に投入した。
【0070】
フィニッシャーはPA−6,6を700kg/hの流速で稼動させた。これを撹拌し、熱移動流体で280℃で加熱した。ギアポンプにより、潤滑処理されたポリマーは、ダイブロックに移した。
【0071】
ダイから出たロッドは冷却して、顆粒化システムを通して切断した。該顆粒は、溶融した部品、糸、又は繊維の形態への転換を意図したものである。
【0072】
得られたポリマーPA−6,6は、90%ギ酸中で、135mg/Lの粘度数であった。
【0073】
実施例4
ナイロン塩の溶液を幾つかの水を除去するエバポレーターに投入した。従って、その後濃縮したナイロン塩の溶液を熱移動流体を用いて250℃で加熱した筒状の反応器に投入した。重縮合反応が起こり、除去すべき水をなおも含有するプレポリマーを形成した。その後、プレポリマーはフラッシャーへ運び、280℃に加熱した。プレポリマー及び水蒸気の混合物が形成された。その後、該水蒸気及びプレポリマーの分離が起こり及び反応が継続されるホライザンタルフィニッシャーに運んだ。
【0074】
「ホワイトミネラルオイル」(CAS登録番号8042−47−5)としても知られる液体のパラフィン、ステアリン酸及びステアリン酸アルミニウムを含む潤滑剤混合物をホライザンタルフィニッシャー出口に、上部に位置している開口部を通して投入した。
【0075】
フィニッシャーはPA−6,6を900kg/hの流速で稼動させた。これを撹拌し、熱移動流体で280℃で加熱した。ポリマー中での潤滑剤混合物の分散の一部は、フィニッシャー内で行われた。ギアポンプにより、潤滑剤混合物を含むポリマーは、ダイブロックに移した。
【0076】
ダイから出たロッドは冷却して、顆粒化システムを通して切断した。該顆粒は、溶融した部品、糸、又は繊維の形態への転換を意図したものである。
【0077】
実施例5
ナイロン塩の溶液を幾つかの水を除去するエバポレーターに投入した。従って、その後濃縮したナイロン塩の溶液を熱移動流体を用いて250℃で加熱した筒状の反応器に投入した。重縮合反応が起こり、除去すべき水をなおも含有するプレポリマーを形成した。その後、プレポリマーをフラッシャーへ運び、280℃に加熱した。プレポリマー及び水蒸気の混合物が形成された。その後、該水蒸気及びプレポリマーの分離が起こり及び反応が継続されるホライザンタルフィニッシャーに運んだ。
【0078】
「ホワイトミネラルオイル」(CAS登録番号8042−47−5)としても知られる液体のパラフィン、ステアリン酸及びステアリン酸アルミニウムを含む潤滑剤混合物をフラッシャー(フィニッシャーの上流に位置する減圧装置)の上流に位置するバルブボックスを通して投入した。
【0079】
フラッシャーはPA6,6を900kg/hの流速で稼動させた。フラッシャーの下流で、潤滑処理されたプレポリマーを、縮重合の最終ステップが行われるフィニッシャーへ投入した。プレポリマー中そしてポリマー中での潤滑剤混合物の均一化はフラッシャー及びフィニッシャー中で行った。ギアポンプにより、潤滑処理されたポリマーは、ダイブロックに移した。
【0080】
ダイから出たロッドは冷却して、顆粒化システムを通して切断した。該顆粒は、溶融した部品、糸、又は繊維の形態への転換を意図したものである。
【0081】
得られたポリマーPA−6,6は、90%ギ酸中で、110mg/Lの粘度数であった。
【0082】
実施例6
ナイロン塩の溶液を幾つかの水を除去するエバポレーターに投入した。その後濃縮したナイロン塩の溶液をバッチモードで稼働する反応器に移した。そして、以下3つのステップに分けられる圧力プロファイルに従って、熱移動流体を用いて徐々に280℃まで加熱した:定圧(蒸留水との反応)、減圧、大気圧(反応の終わり)。重縮合反応が反応器中で起こった。
【0083】
反応器上部に位置するハッチを通して、「ホワイトミネラルオイル」(CAS登録番号8042−47−5)としても知られる液体のパラフィン、ステアリン酸及びステアリン酸アルミニウムを含む潤滑剤混合物を、大気圧でフィニッシングステップの開始時に投入した。反応器は撹拌しながら、PA−6,6を500kgでのバッチで稼働させた。反応器中の潤滑剤の混合物の均一化は撹拌によって行った。フィニッシングステップ後、潤滑処理されたポリマーはダイブロックを経由して押し出した。
【0084】
ダイから出たロッドは冷却して、顆粒化システムを通して切断した。該顆粒は、溶融した部品、糸、又は繊維の形態への転換を意図したものである。
【0085】
得られたポリマーPA−6,6は、90%ギ酸中で、123mg/Lの粘度数であった。
【0086】
実施例7
ナイロン塩の溶液を幾つかの水を除去するエバポレーターに投入した。従って、その後濃縮したナイロン塩の溶液を熱移動流体を用いて250℃で加熱した筒状の反応器に投入した。重縮合反応が起こり、除去すべき水をなおも含有するプレポリマーを形成した。その後、プレポリマーはフラッシャーへ運び、280℃に加熱した。プレポリマー及び水蒸気の混合物が形成された。その後、該水蒸気及びプレポリマーの分離が起こり及び反応が継続されるホライザンタルフィニッシャーに運んだ。
【0087】
「ホワイトミネラルオイル」(CAS登録番号8042−47−5)としても知られる液体のパラフィン、ステアリン酸及びステアリン酸アルミニウムを含む潤滑剤混合物を、フィニッシング装置の入口にあるホライザンタルフィニッシャー上部に位置する開口部を通して投入した。
【0088】
フラッシャーはPA−6,6を900kg/hの流速で稼動させた。フラッシャーの下流で、潤滑処理されたプレポリマーを、縮重合の最終ステップが行われるフィニッシャーへ投入した。プレポリマー中そしてポリマー中での潤滑剤混合物の均一化はフラッシャー及びフィニッシャー中で行った。ギアポンプにより、潤滑処理されたポリマーは、ダイブロックに移した。
【0089】
ダイから出たロッドは冷却して、顆粒化システムを通して切断した。該顆粒は、溶融した部品、糸、又は繊維の形態への転換を意図したものである。
【0090】
得られたポリマーPA−6,6は、90%ギ酸中で、118mg/Lの粘度数であった。そして電位差分析によって測定されるアミンエンドグループ(AEG)及びカルボキシルエンドグループ(CEG)は、それぞれ35及び95mmol/kgであった。
【0091】
実施例8
ナイロン塩の溶液を幾つかの水を除去するエバポレーターに投入した。従って、その後濃縮したナイロン塩の溶液を熱移動流体を用いて250℃で加熱した筒状の反応器に投入した。重縮合反応が起こり、除去すべき水をなおも含有するプレポリマーを形成した。その後、プレポリマーはフラッシャーへ運び、280℃に加熱した。プレポリマー及び水蒸気の混合物が形成された。その後、該水蒸気及びプレポリマーの分離が起こり及び反応が継続されるホライザンタルフィニッシャーに運んだ。
【0092】
「ホワイトミネラルオイル」(CAS登録番号8042−47−5)としても知られる液体のパラフィン、ステアリン酸及びステアリン酸アルミニウムを含む潤滑剤混合物を、(フィニッシャー後の)ポリマー出口パイプの内部にアクセスできるバルブを通して投入した。
【0093】
フラッシャーはPA6,6を900kg/hの流速で稼動させた。フラッシャーの下流で、潤滑処理されたプレポリマーを、縮重合の最終ステップが行われるフィニッシャーへ投入した。プレポリマー中そしてポリマー中の潤滑剤混合物の均一化はフラッシャー及びフィニッシャー中で行った。ギアポンプにより、潤滑処理されたポリマーは、ダイブロックに移した。
【0094】
ダイから出たロッドは冷却して、顆粒化システムを通して切断した。該顆粒は、溶融した部品、糸、又は繊維の形態への転換を意図したものである。
【0095】
得られたポリマーPA−6,6は、90%ギ酸中で、130mg/Lの粘度数であった。そして電位差分析によって測定されるアミンエンドグループ(AEG)及びカルボキシルエンドグループ(CEG)は、それぞれ34及び87mmol/kgであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑処理された熱可塑性ポリマーを製造するための方法であって、少なくとも1種の潤滑剤をポリマー重合過程の最中、溶融状態のポリマーに投入し、前記潤滑剤がパラフィン、脂肪酸及び脂肪酸金属塩の混合物であることを特徴とする、該方法。
【請求項2】
前記熱可塑性ポリマーがポリアミドであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記パラフィンの炭素原子の平均数が20〜500、有利には30〜200であることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記潤滑剤が前記ポリマー重量に対して、0.1〜5重量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記方法が加圧蒸留フェーズ及び減圧フェーズを含み、前記潤滑剤が該加圧蒸留ステップ後に投入されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記方法がフィニッシング装置を含むフィニッシングステップを含み、前記潤滑剤が該フィニッシング装置の出口を出る前で投入されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記潤滑剤が前記減圧ステップ後に投入されることを特徴とする請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
減圧フェーズがフラッシャーを通過することによって行われ、前記潤滑剤が該フラッシャーの入口で投入されることを特徴とする請求項5又は6に記載の方法。
【請求項9】
前記潤滑剤がフィニッシング装置の入口又は出口で投入されることを特徴とする請求項6項に記載の方法。
【請求項10】
前記潤滑剤投入時に、前記ポリマーが再溶融ステップを経ていないことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
請求項6に記載の方法によって得ることができる潤滑処理された熱可塑性ポリマー。
【請求項12】
前記潤滑剤が前記減圧ステップ後に投入されることを特徴とする請求項11に記載の潤滑処理された熱可塑性ポリマー。
【請求項13】
減圧フェーズがフラッシャーを通過することによって行われ、前記潤滑剤が該フラッシャーの入口で投入されることを特徴とする、請求項11に記載の潤滑処理された熱可塑性ポリマー。
【請求項14】
前記潤滑剤が前記フィニッシング装置の入口又は出口で投入されることを特徴とする、請求項11に記載の潤滑処理された熱可塑性ポリマー。

【公表番号】特表2012−512931(P2012−512931A)
【公表日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541627(P2011−541627)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【国際出願番号】PCT/IB2009/007716
【国際公開番号】WO2010/070409
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(509221319)ロディア・ポリアミダ・エ・エスペシアリダデス・リミターダ (9)
【氏名又は名称原語表記】RHODIA POLIAMIDA E ESPECIALIDADES LTDA
【住所又は居所原語表記】Av.Maria Coelho Aguiar,215,Bloco B−1 andar,Parte 1−Jardim Sao Luiz,Sao Paulo−SP BRAZIL
【Fターム(参考)】