説明

潤滑剤および磁気記憶装置

【課題】 本発明は磁気記憶装置用の潤滑剤に関し、より詳細には塗布面への吸着力が強く潤滑性能の高い潤滑剤とその潤滑剤を塗布した磁気記憶装置に関するものである。
【解決手段】 本発明の潤滑剤は、式1で表される弗素ポリマを含有する。
−O−(RO)l(RO)m(RO)n(RO)o(R)p−R ・・・(1)
(式1において、RはC1〜C10のパーフロロアルキル基、Rは3つ以上の極性基および/または炭素−炭素によるπ結合を持つ有機基を示す。またR、R、R、RはそれぞれC1〜C4のパーフロロアルキレン基、RはC1〜C10のパーフロロアルキレン基またはアルキレン基を示し、またl、m、n、o、pはそれぞれ0または正の整数を示すが、同時に0になることはない)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は磁気記憶装置用の潤滑剤に関し、より詳細には塗布面への吸着力が強く潤滑性能の高い潤滑剤とその潤滑剤を塗布した磁気記憶装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
磁気記憶装置においては、記録変換素子(本発明では単に磁気ヘッドともいう)を備えたヘッドスライダが、磁気記録媒体であるハードディスク上を浮上しながら情報の読み書きを行う。磁気ヘッドと、ハードディスク上で磁気情報を記録(書き込み)または再生(読み取り)するための磁性層との距離は磁気スペーシングと呼ばれ、磁気スペーシングが狭いほど記録密度が向上する。
【0003】
一方、情報の転送速度を上げるためにはハードディスクの回転数を高くする必要がある。近年の記録密度と転送速度の向上に伴い低浮上化、高速回転化が進み、現在、磁気ヘッドの浮上高さは10nm程度であり、回転数は数Kから15K回転/分(rpm)程度となっている。
【0004】
磁気記憶装置においては、装置の信頼性を高めるため、一般にハードディスク上やヘッドスライダ上に潤滑剤がおおよそ1〜2nmの厚さで塗布されている。この潤滑剤は一般に表面自由エネルギーの低いパーフロロポリエーテルが用いられており、磁気ヘッドがハードディスクに接触する際に摩耗を減らし、障害の発生を防止している。
【0005】
潤滑剤の膜厚はヘッド浮上高さの10%程度となっていることから、磁気スペーシングに対して、無視できない厚さになっており、記録密度を向上させるには潤滑剤の膜厚を薄くし、磁気スペーシングを低減することが重要となってきている(例えば、非特許文献1)。
【0006】
現状の潤滑剤の塗布膜厚は分子一層程度であるが、分子の途中の部分が被塗布面の表面から離れることがあるため、実際には高い位置にあり磁気ヘッドに接触し得る分子も存在する。また離れた潤滑剤が凝集したり磁気ヘッドに移着して、浮上性や摺動特性を悪化させる問題がある。
【0007】
一般に潤滑剤は末端に極性基を持っており、例えば代表的な潤滑剤であるフォンブリンZDOL、Z−TETRAOL(商品名、ソルベイソレクシス社)では、両端の末端基に水酸基が各々一つ若しくは二つ導入されている。この潤滑剤の場合、両端が磁気記録媒体(より詳細には磁気記録媒体の保護膜)に吸着した状態が理想であるが、片側もしくは両側の吸着が外れると、フリーとなった吸着基が磁気ヘッド側に吸着したり、あるいはこの吸着基が核となって潤滑剤の凝集体を形成し、浮上性や摺動特性を阻害する。
【0008】
図4は、上記の潤滑剤の吸着を説明する模式図であり、磁気記録媒体10とその磁気記録媒体10上を浮上する磁気ヘッドのスライダ20とを示し、磁気記録媒体10の表面に塗布された潤滑剤の分子を主鎖1と末端基2で示している。図4(a)は、両末端基を持つ潤滑剤の例で、末端基が外れてスライダ20に吸着したり、磁気記録媒体10上にあっても両方の末端基が外れた分子が、一つの末端基が外れてフリーとなった箇所に吸着して凝集する様子を示している。図4(b)は、片末端基を持つ潤滑剤の例で、同様に磁気記録媒体10の吸着が外れてスライダ20に移って吸着している。
【0009】
これを解決するために、片側のみに吸着基を配置することが知られている(例えば、非特許文献2)。この潤滑剤は、分子の片側のみが吸着した状態で安定であり、もう一方に吸着基がないため、従来の潤滑剤のようにフリーとなった吸着基がヘッド側に吸着したり、あるいはこの吸着基が核となって潤滑剤の凝集体を形成することはない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】X. Ma et al、 “Contribution of lubricant thickness to head-media spacing、” IEEE Trans. Magn. Vol.37、pp1824-1826
【非特許文献2】Y.Sakane et al、 “Effect of modecularstructure of PFPE lubricant on interaction at HDI in near-contact operation、” IEEE Trans. Magn. Vol.42、pp2501-2503
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来知られている片末端潤滑剤は、片側ゆえに磁気ヘッドや磁気記録媒体の保護膜であるDLC(ダイヤモンドライクカーボン)への吸着力が弱いという問題があった。吸着力が弱いために、例えば潤滑剤塗布後のベーク処理やドライブ内の熱などで吸着部分が脱離して膜が減ってしまったり、これに伴って潤滑性能の不安定性が問題となっいた。また熱アシスト記録技術では、従来の片末端潤滑剤は殆どが熱によって脱離してしまうという問題がある。
【0012】
本発明は、塗布面への吸着力が強く潤滑性能の高い潤滑剤と、その潤滑剤を塗布した磁気記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様によれば、下記の一般式で表される弗素ポリマを含んでなる磁気記憶装置用潤滑剤が提供される。
【0014】
−O−(RO)l(RO)m(RO)n(RO)o(R)p−R ・・・(1)
(この式中、RはC1〜C10のパーフロロアルキル基、Rは3つ以上の極性基および/または炭素−炭素によるπ結合を持つ有機基を示す。またR、R、R、RはそれぞれC1〜C4のパーフロロアルキレン基、RはC1〜C10のパーフロロアルキレン基またはアルキレン基を示し、またl、m、n、o、pはそれぞれ0または正の整数を示すが、同時に0になることはない)
上記に示すように、Rが3つ以上の極性基を持つので、磁気記録媒体に塗布した場合に高い吸着力を示す。
【発明の効果】
【0015】
開示の潤滑剤は高い吸着力を有し、吸着部分の脱離を減少させ、これに伴う潤滑性能の安定性を向上させることができる。また、信頼性の高いDFH(Dynamic Flying Height)制御方式の磁気記憶装置や熱アシスト記録、コンタクト記録方式の高記録密度磁気記憶装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の潤滑剤の吸着の様子を示す模式図である。
【図2】本発明の潤滑剤を塗布した磁気記録媒体と磁気ヘッド例である。
【図3】本発明による潤滑剤を塗布した磁気ヘッドと磁気記録媒体を搭載した磁気記憶装置の構成例である。
【図4】従来の潤滑剤の吸着の様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に本発明の実施例を詳述する。なお、数平均分子量および一分子あたりの数平均ヒドロキシ基数はNMR(Nuclear Magnetic Resonance:核磁気共鳴)で測定した。
(実施例その1:潤滑剤の合成1)
市販の潤滑剤DemnumSA(商品名、ダイキン工業社製、水酸基数1個)100gとグリシドール(商品名、関東化学製)とを、有機溶媒(アセトン)に溶解または懸濁または乳濁させ、よく撹拌した。その後、溶媒の沸点よりやや高い温度に保ち10分程度加熱した。更に、できる限り少量の水に水酸化ナトリウム0.11moLを溶解した水溶液を15分かけて滴下し、滴下終了時から6時間加熱還流した。その後エバポレーターでアセトンを蒸発させ、トリフルオロ酢酸25gと水250mLとを加えて水酸化ナトリウムを中和し、70℃で3時間撹拌した。沈殿物を回収し80℃の水で洗浄した。このようにして、式(3)で表される含フッ素ポリマー(未精製品)を得た。
【0018】
更に、二酸化炭素の超臨界流体を用いて、温度と圧力とを変化させながら上記沈殿物を溶解、精製することで、数平均分子量2200、分散度1.25、一分子あたりの数平均水酸基数3個の第1の潤滑剤を得た。
【0019】
CF3CFCFO-(CFCFCFO)m−CFCFCHCH(OH)
CHOCHCH(OH)CHOCH ・・・(3)
上記のように、式(1)のRが3つ以上の極性基を持つ有機基よりなる例として、下記の化学式(2)で示される三つの水酸基を有する官能基としており、この場合、上記のように容易な合成法により高い吸着力を付与することができ、好ましく用いることができる。
【0020】
−CHOCHCH(OH)CHOCHCH(OH)CHOH ・・・(2)
ここで、高い水素結合力を示す水酸基が三つ導入されておりかつそれぞれが媒体表面と水素結合力で吸着することにより、仮にこのうち一つまたは二つの水酸基が何らかの外乱で外れたとしても潤滑剤分子は基板に吸着し続け、フリー層となって障害を引き起こすことを抑制できる。
(実施例その2:潤滑剤の合成2)
還流塔、窒素バブリング管、撹拌棒、滴下ロートを取り付けた四つ口のフラスコに、市販の潤滑剤DemnumSA(商品名、ダイキン工業社製、水酸基数1個)を等量の1、1−ジクロロ−2、2、3、3、3−ペンタフルオロプロパンと1、3−ジクロロ−1、1、2、2、3−ペシタフルオロプロパンとの混合溶液(AK−225、商品名、旭硝子社製)で希釈して入れ、末端水酸基に対して3倍モルの脱水ピリジンを加え、50℃で窒素バブリングしながら撹拌し、滴下ロートから末端水酸基の3倍モルのクロロメチルフェニルエチルジメチルクロロシランを2倍量のAK−225で希釈して滴下し、滴下後70℃の温度で4時間撹拌してシリル化反応を行った。
【0021】
次に、反応溶液が中性になるまで水洗し、更に酢酸ブチルで2回洗浄した後にロータリーエバポレータで溶媒成分を蒸発させ、0.1μmのメンブランフィルタで濾過を行った。
【0022】
NMRにて組成分折を行って、パーフロロポリエーテルの水酸基の98%がシリル化されていることを確認した。
【0023】
更に、二酸化炭素の超臨界流体を用いて、温度と圧力とを変化させながら、上記沈殿物を溶解、精製することで、数平均分子量2300、分散度1.26のクロロメチルフェニルエチル基を有する第2の潤滑剤を得た。またUVスペクトルを測定したところ、波長254nmにおける光吸収を確認した。
【0024】
CF3CFCFO-(CFCFCFO)m−CFCFCHOSi
(CHCHCHPhCHCl ・・・(4)
式(1)のRが炭素-炭素によるπ結合を持つ有機基よりなる例としては、アルケニル基、アリール基、ハロゲン化アリール基のうちのいずれかより成る有機基を好ましく用いることができる。
【0025】
また、この合成例1、2を含め、本願潤滑剤は、数平均分子量が500〜5000、分子量分散度が1.05〜1.5であり、かつ300℃における熱重量減少率が50%以下であることが好ましい。これは磁気記憶装置の様々な使用環境と耐用年数、および低浮上化のトレンドを考慮した値である。分子量がこれより小さいと分子間の相互作用が小さくなるため蒸発しやすくなり、大きいと分子が磁気ヘッドの浮上時に接触しやすくなり、安定な浮上を阻害する。分散度はこれより小さいと温度や湿度による潤滑剤の粘度その他の特性変化が急峻に変化しすぎるため浮上性のマージンが狭くなり、また大きいと小さい分子量成分の蒸発や大きい分子量成分の浮上の阻害が顕著に生じる。また耐熱性については、先の通常の磁気記憶装置よりも厳しい耐熱性が要求される熱アシスト記録のマージンを考慮すると、瞬間的な高温に何度も潤滑剤が晒されることになるので、経験的な目安として280℃における熱重量減少率が30%以上になると厳しくなる。
【0026】
なお、上記の潤滑剤は、実際に磁気記憶装置に使用する際に接触する面である磁気記録媒体と磁気ヘッド、あるいは磁気記録媒体または磁気ヘッドの最表面に潤滑膜を形成することで浮上性を改善でき、磁気記憶装置の信頼性を高めることができる。特に磁気記録媒体および磁気ヘッドの双方の最表面に塗布されると信頼性を高める効果が大きく、好ましい。
(実施例その3:潤滑剤の熱特性)
市販の潤滑剤、実施例その1、実施例その2の潤滑剤をそれぞれ熱分析に掛け、300℃における熱重量減少を調べた結果、市販の潤滑剤が95%であったのに対し、実施例その1、実施例その2の潤滑剤とも30%以下であることを確認した。
(実施例その4:潤滑剤のタッチダウン特性)
市販の潤滑剤、実施例その1、実施例その2の潤滑剤をそれぞれ磁気記録媒体と磁気ヘッドとに各々8オングストロームの膜厚でコーティングした。その後市販の潤滑剤と実施例その1の潤滑剤は120℃でベーク処理を行い、実施例その2の潤滑剤は波長254nmの水銀ランプで照射処理を行った。それぞれの潤滑剤の磁気記録媒体/磁気ヘッドのペアでDFHの機構を用いて磁気ヘッドを制御し、タッチダウン/テイクオフヒステリシスを測定した。その結果、ヒステリシスの大きさは市販潤滑剤>>実施例その1、の潤滑剤≧実施例その2の潤滑剤となり、実施例その1と実施例その2の潤滑剤における浮上マージンが市販潤滑剤より高いことを確認した。
【0027】
このように、潤滑剤を塗布後にR基に吸収する波長の光を照射し、R基と塗布面の元素、即ちDLCの炭素との間に共有結合を形成すると、結合力が高くなる。上記の場合、R基がクロロメチルフェニルエチル基であるので波長254nmの紫外線を照射することで共有結合を形成したが、R基がビニル基やアリル基の場合は172nmの波長光を照射することで好ましく共有結合を形成できる。
【0028】
また潤滑剤の膜厚をここでは磁気記録媒体と磁気ヘッドとにそれぞれ8オングストロームに合わせて1.6nmとなるようにしたが、一般的には0.5〜2.0nmであることが好ましい(磁気記録媒体と磁気ヘッドの双方に塗布した場合ではその和、あるいは磁気記録媒体または磁気ヘッドのいずれかに塗布した場合はその塗布膜厚)。これより薄いと潤滑剤が膜でなく島状に存在するようになるため接触した際に潤滑剤が十分な潤滑効果を発現できなくなり、また厚いと余分な膜厚部分が無駄にヘッド-媒体間に存在することになり、磁気スペーシングを阻害するため好ましくない。
【0029】
本発明の潤滑剤の吸着の状態を従来例で説明した図4と同様の模式図を図1に示す。本発明の潤滑剤は3つの水酸基を有する片末端基の潤滑剤であり、磁気記録媒体10上に堅固に吸着している。
(実施例その4:磁気記憶装置への適用)
本発明の潤滑剤を塗布した磁気記録媒体および磁気ヘッドを磁気記憶装置に搭載した例を説明する。図2は潤滑剤を塗布した磁気記録媒体10と磁気ヘッド23とを模式的に示した断面図で、図3は図2に示した磁気記録媒体10と磁気ヘッド23を搭載した磁気記憶装置100の内部構造を模式的に示した斜視図である。
【0030】
まず図2において、磁気記録媒体10は基板11上に下地層12、磁性層13、保護層14および潤滑層15を形成している。それぞれの材料は、例えば下地層12はCrまたはCrを主成分とする非磁性金属材料であり、磁性層13はCo系合金、保護層14はDLC、潤滑層15は前述した実施例その2の潤滑剤である。
【0031】
磁気ヘッド23はヘッドスライダ20上に形成され、ヘッドスライダ20の磁気記録媒体10に対向する浮上面に保護層21、潤滑層22を形成している。保護層21は例えばDLCであり、潤滑層22は実施例その2の潤滑剤である。潤滑層15と潤滑層22とを合わせた膜厚は1.6nmで、潤滑剤塗布後に波長254nmの紫外線の照射を行っている。
【0032】
図3は磁気記憶装置100の筐体の上部カバーを外して全体の構造が見えるように示している。図2で説明した磁気記録媒体10はスピンドルモータ(図示せず)の回転軸60に固定され、このスピンドルモータによって回転する。また、ヘッドスライダ20はサスペンション30の先端部に取り付けられ(より詳細には、サスペンション30の先端部のジンバル(図示せず)に固定される)、サスペンション30の他端はヘッドアーム40に取り付けられている。なお、ヘッドアーム40は、磁気記憶装置100のベースプレートに回転可能に支持されるアクチエータ50に取り付けられている。
【0033】
磁気記録媒体10がスピンドルモータによって回転されると、この回転に伴って空気流が発生し、ヘッドスライダ20はこの空気流により磁気記録媒体10上を浮上する。磁気ヘッド23が非アクセス時に待機しているランプ70から磁気記録媒体10上に最初に浮上する際には前述したDFH制御を行っている。また、浮上中における浮上量の制御は圧電アクチュエータや熱アクチュエータ等を用いて制御される。磁気記録媒体10上の磁気ヘッド23の位置制御はアクチエータ50の回転角の制御によってなされる。
【0034】
本潤滑剤は、上記に示したように磁気記録媒体と磁気ヘッドとの隙間(即ち、磁気スペーシング)を制御する機構を有し、且つ磁気記録媒体と磁気ヘッドとが非静止の状態で接触する機構を有する磁気記憶装置で用いると、最もその効果を示すことができる
また、ここでは磁気ヘッド23が磁気記録媒体10上を浮上して記録情報の読み又は書きを行う例を示したが、磁気ヘッド23が磁気記録媒体10に接した状態で読み又は書きを行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 主鎖
2 末端基
10 磁気記録媒体
11 基板
12 下地層
13 磁性層
14 保護層
15 潤滑層
20 スライダ
21 保護層
22 潤滑層
23 磁気ヘッド
30 サスペンション
40 位置決め機構
50 回転機構
60 回転軸
70 ランプ
100 磁気記憶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1で表される弗素ポリマを含む潤滑剤。
−O−(RO)l(RO)m(RO)n(RO)o(R)p−R ・・・(1)
(式1において、RはC1〜C10のパーフロロアルキル基、Rは3つ以上の極性基および/または炭素−炭素によるπ結合を持つ有機基を示す。またR、R、R、RはそれぞれC1〜C4のパーフロロアルキレン基、RはC1〜C10のパーフロロアルキレン基またはアルキレン基を示し、またl、m、n、o、pはそれぞれ0または正の整数を示すが、同時に0になることはない)
【請求項2】
前記Rが式(2)で示されることを特徴とする請求項1に記載の潤滑剤。
−CHOCHCH(OH)CHOCHCH(OH)CHOH ・・・(2)
【請求項3】
前記Rがハロゲン化アリール基を含む有機基を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の潤滑剤。
【請求項4】
数平均分子量が500〜5000、分子量分散度が1.05〜1.5であり、且つ300℃における熱重量減少率が50%以下である
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の潤滑剤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の潤滑剤を磁気記録媒体および/または磁気ヘッドの表面に塗布した
ことを特徴とする磁気記憶装置。
【請求項6】
前記潤滑剤を塗布後に前記R基に吸収する波長の光を照射し、該R基と塗布した面との元素に共有結合を形成する
ことを特徴とする請求項5に記載の磁気記憶装置。
【請求項7】
前記磁気記録媒体および/または前記磁気ヘッドに塗布した前記潤滑剤の膜厚の和が0.5〜2.0nmである
ことを特徴とする請求項5に記載の磁気記憶装置。
【請求項8】
前記磁気記録媒体と前記磁気ヘッドとの間隙を制御する機構を備え、且つ該磁気記録媒体と該磁気ヘッドとが非静止の状態で接触する機構を備える
ことを特徴とする請求項5乃至請求項7に記載の磁気記憶装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−168450(P2010−168450A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−11368(P2009−11368)
【出願日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【出願人】(309033264)東芝ストレージデバイス株式会社 (255)
【Fターム(参考)】