説明

潤滑剤及び燃料用の1,3−ジチオラン−2−チオン添加剤

燃料特に炭化水素燃料および潤滑剤特に潤滑油は、1,3−ジチオラン−2−チオンから誘導される類の腐食防止、磨耗防止、疲労防止および極圧添加剤を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃料特に炭化水素燃料および潤滑剤特に潤滑油に関し、より詳しくは、かかる燃料および潤滑剤用の、1,3−ジチオラン−2−チオン類(環状トリチオカルボネート類)から誘導された腐食防止、磨耗防止、疲労防止および極圧添加剤の類に関する。
【背景技術】
【0002】
潤滑油の開発においては、それらに疲労防止特性、磨耗防止特性および極圧特性を付与する添加剤を提供するための多数の試みがなされてきた。50年以上前からジアルキルジチオ燐酸亜鉛(zinc dialkylditiophosphates)(ZDDP)は磨耗防止添加剤として配合油の中に使用されてきた。しかしながら、ジアルキルジチオ燐酸亜鉛は自動車の排気放出物の中の物質を粒状化するのに寄与する灰分を上昇させるので、規制当局は環境への亜鉛の放出を低減することを模索している。加えて、燐、すなわち、ZDDPの成分、もまた、汚染を低減するために自動車に使用されている接触転化器(catalytic converters)の実用寿命を制限することが懸念されている。エンジン使用中に形成される粒状物質および汚染を制限することは毒物学上のおよび環境上の理由から重要であるが、潤滑油の磨耗防止特性を低下させずに維持することも重要である。
【0003】
亜鉛と燐を含有する既知添加剤の上記欠点に鑑みて、亜鉛も燐も含有しない又は少なくとも実質的に減少した量でそれらを含有する潤滑油用添加剤を提供する努力がなされてきた。無亜鉛すなわち無灰で、無燐の、潤滑油用添加剤の例は、米国特許第5,512,190号明細書に開示されている2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールと不飽和モノ−、ジ−およびトリ−グリセリドの反応生成物、および米国特許第5,514,189号明細書のジアリールジチオカルバメート由来有機エーテルである。
【0004】
米国特許第5,512,190号明細書は潤滑油に磨耗防止特性を付与する添加剤を開示している。この添加剤は2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールと不飽和モノ−、ジ−およびトリ−グリセリドの混合物との反応生成物である。また、不飽和モノ−、ジ−およびトリグリセリドの混合物をジエタノールアミンと反応させて中間体反応生成物を提供しそして該中間体反応生成物を2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールと反応させることによって製造された磨耗防止特性をもつ潤滑油用添加剤も開示されている。
【0005】
米国特許第5,514,189号明細書はジアルキルジチオカルバメート由来有機エーテルが潤滑剤および燃料用の有効な磨耗防止/酸化防止添加剤であることが判明したと開示している。
【0006】
米国特許第2,440,991号明細書は炭素数16〜18のカルボン酸でS,S´ジ置換されている非環式トリチオカルボネートの用途を開示している。これら化合物は潤滑剤向けの錆止め剤としては有効でないと言われている。
【0007】
米国特許第2,498,936号明細書は極圧添加剤としての非環式トリチオカルボネートの用途を開示している。これら添加剤はトリチオカルボネートの塩とアルキルジハライドとの反応によって製造される。潤滑剤用添加剤の製造においてアルキルハライドを使用することは完成添加剤の中に存在するハロゲンの量を増大させる傾向があるので今や環境上望ましくない。
【0008】
米国特許第3,166,580号明細書は、トリチオカルボン酸アルカリ金属塩とシクロペンチルハライドからのジシクロペンチルトリチオカルボネートの製造を開示し、かつ、その得られた生成物の「減摩性添加剤(lubricating additives)」としての用途を開示している。
【0009】
米国特許第3,481,871号明細書は、メルカプタンを塩化硫黄の化合物と反応させ、得られた有機スルフェニルまたはチオスルフェニルクロリドをオレフィンと反応させ、そして最後に、その得られた生成物を含硫黄塩(金属塩)と反応させることによって生成されるオルガノ硫黄誘導体を開示している。最終生成物は潤滑油およびその他の工業用流体の中に耐荷重性添加剤(load−carrying additive)として使用されてもよい。
【0010】
米国特許第4,908,142号明細書は、潤滑油の中でそれらの極圧/磨耗防止および酸化防止の能力を向上させるのに有効であると言われているトリチオカルボン酸の塩または錯体を含有する添加剤を開示している。潤滑剤は好ましくは、潤滑粘性(lubricating viscosity)の油であり、それらは1種以上の油増粘剤によってグリース様稠度に増粘されてもよく、そして前記添加剤を約0.1〜約20重量%含有する。
【0011】
米国特許第5,084,195号および第5,300,243号の各明細書は潤滑剤または作動液向けに特定された磨耗防止添加剤としてのN−アシル−チオウレタンチオ尿素を開示している。
【0012】
米国特許第6,551,966号明細書は、
(A)潤滑剤、および
(B)少なくとも1種の、式
【0013】
【化1】

【0014】
(式中、Rは炭素原子数1〜30の炭化水素または官能化炭化水素である)
の5−アルキル−2−メルカプト−1,3,4−オキサジアゾール化合物
を含む組成物を開示している。
【0015】
ソ連特許SU1,447,818号、SU1,439,098号、SU1,425,191号、SU1,361,142号、SU1,351,924号、SU1,268,573号およびSU1,082,784号の各明細書は、潤滑剤用の多機能性添加剤としての、特に、擦り傷防止剤としての、非環式S−アルキル,S−アルキル´ジ置換トリチオカルボネートの使用を記載している。
【0016】
特公昭46−37,176号公報は潤滑剤用の非腐食性極圧添加剤としての非置換化合物1,3−ジチオラン−2−チオンの使用を開示している。
【0017】
上記の開示はそれらの全体が本明細書の中に組み入れられる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0018】
(発明の概要)
この度、5員環内に含有されたトリチオカルボネートである置換1,3−ジチオラン−2−チオンは潤滑剤に磨耗防止および腐食防止の性質を付与する潤滑剤用添加剤として有効であるということが判明した。適切に選択された置換基の存在は添加剤の、潤滑剤の中への改善された溶解性を付与することができる。これら置換1,3−ジチオラン−2−チオンはキサントゲン酸アルカリ金属塩と適切なオキシラン(エポキシド)との反応によって都合よく製造することができ、そして単独で又はジヒドロカルビルジチオ燐酸亜鉛または無灰含燐添加剤たとえば燐酸トリラウリルまたは燐酸トリフェニルとの相乗的組合せで使用できる。
【0019】
本発明は現在使用されているジアルキルジチオ燐酸亜鉛に対する部分的な又は完全な代用物として使用することができる添加剤に関する。それらはモーター油の中に典型的に見出されるその他の添加剤と組み合わせても、およびその他の無灰の磨耗防止添加剤と組み合わせても、使用できる。モーター油の中に見出される代表的な添加剤は分散剤、清浄剤、磨耗防止剤、極圧添加剤、錆止め剤、酸化防止剤、消泡剤、摩擦調節剤、粘度指数(Viscosity Index)(V.I.)向上剤、金属不動態化剤、および流動点降下剤を包含する。
【0020】
本発明の実施に使用される化合物は燃料および潤滑油用の腐食防止、疲労防止、磨耗防止および極圧添加剤として有効である置換1,3−ジチオラン−2−チオンである。
【0021】
本発明はまた、潤滑油と、機能特性改善量の少なくとも1種の置換1,3−ジチオラン−2−チオンとを含む潤滑油組成物に関する。
【0022】
本発明の目的は、単独で有効な又は他の潤滑剤用添加剤との組合せで有効な、置換1,3−ジチオラン−2−チオンの新規用途を提供することである。
【0023】
本発明の添加剤は多くの様々な潤滑油組成物の中の成分として特に有効である。添加剤は、天然および合成の潤滑油およびそれらの混合物を含めて潤滑粘性をもつ様々な油の中に含有させることができる。添加剤は、火花点火および圧縮点火内燃機関のクランク室潤滑油の中に含有させることができる。該組成物はまた、ガスエンジン潤滑剤、タービン潤滑剤、自動変速機油、ギヤー潤滑剤、圧縮機潤滑剤、金属加工用潤滑剤、作動液、およびその他の潤滑油およびグリース組成物の中にも使用できる。
【0024】
この類の疲労防止、磨耗防止および極圧添加剤は下記一般式(I)を有する1,3−ジチオラン−2−チオンである:
【0025】
【化2】

【0026】
式中、
は、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、および構造
(CHCO
(但し、
pは1〜50であり、そして
は、ヒドロカルビル、鎖置換飽和ヒドロカルビル、および鎖置換不飽和ヒドロカルビルからなる群から選ばれる)
のカルボキシアルキルからなる群から選ばれる;
、R、およびRは独立に、水素、アルキル、およびアルケニルからなる群から選ばれる;
前記アルキルおよびアルケニル基は非置換であるか、又はOH、SH、オキシラン、チイラン、または1,3−ジチオラン−2−チオンによって置換されている;
または
とRが互いに縮合して炭素原子数3〜10の環、好ましくは炭素原子数5または6の環を形成しており、それは更に、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、またはアルコキシ基によって置換されることができるし、そしてエーテルまたはエステル官能基を含有することができる。
【0027】
ここで使用されるとき、用語「ヒドロカルビル」は炭化水素ばかりでなく実質的に炭化水素の基を包含する。「実質的に炭化水素」は基の支配的には炭化水素の本性を変えないヘテロ原子置換基を含有する基を表わしている。
【0028】
ヒドロカルビル基の例は下記のものを包含する:
(A)炭化水素置換基、すなわち、脂肪族(たとえば、アルキルまたはアルケニル)、脂環式(たとえば、シクロアルキル、シクロアルケニル)置換基、芳香族置換基、芳香族−、脂肪族−および脂環式−置換芳香族置換基、など、更には、環が分子の別の部分を介して完成されている(即ち、たとえば、いずれか2つの指定置換基が一緒になって脂環式基を形成していてもよい)環式置換基;
(B)置換炭化水素置換基、すなわち、本発明の関係においては置換基の支配的には炭化水素の本性を変えない非炭化水素基を含有するそれら置換基;当業者はかかる非炭化水素基(たとえば、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、ニトロソ、スルホキシ、等々)を知っているであろう;
(C)ヘテロ原子置換基、すなわち、本発明の関連の範囲内の支配的には炭化水素の特性を有する一方で炭素以外の原子をそれ以外は炭素原子から構成されている環または鎖の中に存在して含有するだろう置換基(たとえば、アルコキシまたはアルキルチオ)。適するヘテロ原子は当業者には明らかであろうし、例えば、硫黄、酸素、窒素を包含し、そしてかかる置換基は、例えば、ピリジル、フリル、チエニル、イミダゾリル、等々。ヒドロカルビル基の中の炭素原子10個毎に、ヘテロ置換基は好ましくは約2個より多くなく、より好ましくは1個より多くなく存在するだろう。より好ましくは、かかるヘテロ原子置換基はヒドロカルビル基の中に存在しないであろう、すなわち、ヒドロカルビル基は純粋に炭化水素である。
【0029】
特に、本発明は、
(A)潤滑剤または炭化水素燃料、および
(B)少なくとも1種の、式(I)
【0030】
【化3】

【0031】
(式中、
は、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、および構造
(CHCO
(但し、
pは1〜50であり、そして
は、ヒドロカルビル、鎖置換飽和ヒドロカルビル、および鎖置換不飽和ヒドロカルビルからなる群から選ばれる)
のカルボキシアルキルからなる群から選ばれる;
、R、およびRは独立に、水素、アルキル、およびアルケニルからなる群から選ばれる;
前記アルキルおよびアルケニル基は非置換であるか、又はOH、SH、オキシラン、チイラン、または1,3−ジチオラン−2−チオンによって置換されている;
または
とRが互いに縮合して炭素原子数3〜10の環を形成しており、それは更に、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリールまたはアルコキシ基によって置換されることができるし、そしてエーテルまたはエステル官能基を含有することができる)
の1,3−ジチオラン−2−チオン、および場合によっては
(C)少なくとも1種の含燐添加剤
を含む組成物に関する。
【0032】
別の態様においては、本発明は、潤滑剤および炭化水素燃料の腐食防止特性、疲労防止特性、磨耗防止特性および極圧特性を改良する方法であって、前記潤滑剤および炭化水素燃料に、機能特性改善量の少なくとも1種の式
【0033】
【化4】

【0034】
(式中、
は、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、および構造
(CHCO
(但し、
pは1〜50であり、そして
は、ヒドロカルビル、鎖置換飽和ヒドロカルビル、および鎖置換不飽和ヒドロカルビルからなる群から選ばれる)
のカルボキシアルキルからなる群から選ばれる;
、R、およびRは独立に、水素、アルキル、およびアルケニルからなる群から選ばれる;
前記アルキルおよびアルケニル基は非置換であるか、又はOH、SH、オキシラン、チイラン、または1,3−ジチオラン−2−チオンによって置換されている;
または
とRが互いに縮合して炭素原子数3〜10の環を形成しており、それは更に、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリールまたはアルコキシ基によって置換されることができるし、そしてエーテルまたはエステル官能基を含有することができる)
の1,3−ジチオラン−2−チオンを添加することを含む前記方法に関する。
【0035】
この1,3−ジチオラン−2−チオンは本発明の組成物の中に約0.01〜約10重量%の濃度で存在する。
【0036】
(好ましい態様)
上記の通り、この類の疲労防止、磨耗防止および極圧添加剤は下記式(I)を有することができる:
【0037】
【化5】

【0038】
式中、
は、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、および構造
(CHCO
(但し、
pは1〜50であり、そして
は、ヒドロカルビル、鎖置換飽和ヒドロカルビル、および鎖置換不飽和ヒドロカルビルからなる群から選ばれる)
のカルボキシアルキルからなる群から選ばれる;
、R、およびRは独立に、水素、アルキル、およびアルケニルからなる群から選ばれる;
前記アルキルおよびアルケニル基は非置換であるか、又はOH、SH、オキシラン、チイラン、または1,3−ジチオラン−2−チオンによって置換されている;
または
とRが互いに縮合して炭素原子数3〜10の、好ましくは炭素原子数5または6の、環を形成しており、それは更に、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、またはアルコキシ基によって置換されることができるし、そしてエーテルまたはエステル官能基を含有することができる。
【0039】
好ましくは、RおよびRは独立に、下記のものからなる群から選ばれる:
(A)炭素原子数1〜50のアルキル基、それは限定されるものではないが、次のものを包含する:メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、トリアコンチル、それらの異性体、など。「異性体」によって、枝分かれアルキルおよびシクロアルキルのような部分を包含することを意図している。かかる枝分かれアルキルの例はイソプロピル、イソブチル、イソペンチル、イソヘプチル、イソオクチル、sec−ブチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピルなどを包含する。かかるシクロアルキルの例はシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチルなどを包含する。
(B)炭素原子数6〜14の、好ましくは、炭素原子数6〜10の、アリール基、たとえば、フェニルおよびナフチル。
(C)炭素原子数1〜50の、好ましくは、炭素原子数2〜12の、アルカリール(alkaryl)、アルコキシアリール、またはアルコキシアルキル基、たとえば、トリル、キシリル、ベンジル、メトキシフェニル、メトキシメチル、メトキシエチル、エトキシメチル、エトキシエチルなど。
【0040】
上記式において、Rは好ましくはヒドロカルビルである。Rの例は、限定されるものではないが、次のものを包含する:炭素原子数1〜50の直鎖または枝分れ鎖アルキルまたはアルケニル基(限定されるものではないが、次のものを包含する:メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、オレイル、ノナデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、トリアコンチル、それらの異性体、など);およびシクロアルキル基(たとえば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、およびシクロドデシル)。
【0041】
はまた、次のものであることができる:
(A)非置換フェニル;
(B)1個以上のアルキル基たとえばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、それらの異性体などで置換されているフェニル;
(C)1個以上のアルコキシ基たとえばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、ヘプトキシ、オクトキシ、ノノキシ、デコキシ、それらの異性体などで置換されているフェニル;
(D)1個以上のアルキルアミノまたはアリールアミノ基で置換されているフェニル;および
(E)ナフチル、およびアルキル置換ナフチル。
【0042】
より好ましくは、Rは、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシルおよびオクタデシルからなる群から選ばれ、そしてR、R、およびRは水素である、又はRとRはシクロペンチルまたはシクロヘキシルとして縮合している、又はRとRはエポキシ化脂肪酸エステルに由来する残基である。
【0043】
最も好ましくは、RとRはエポキシ化2−エチルヘキシルタレートエステルに由来する残基である;又は、Rはオクチル、ノニル、デシル、ウンデシルまたはドデシルであり、そしてR、R、およびRは水素である。
【0044】
本発明の実施に使用するのに特に好ましい置換された環状1,3−ジチオラン−2−チオン添加剤は下記の構造式を有するものを包含する:
【0045】
【化6】

【0046】
(式中、nは1〜約36の整数、好ましくは1〜約18の整数、最も好ましくは8〜12の整数である);
【0047】
【化7】

【0048】
(式中、Zは(CHCOであり、そして基ZCHCHRはキサントゲン酸塩とエポキシ化不飽和酸エステル(たとえばオレイン酸、リノール酸、リノレン酸またはエレオステアリン酸のエポキシ化エステル)またはエポキシ化タル油(タレート)エステルとの反応からの残基であり、タレートおよびオレエートエステルが好ましい態様であり、そして2−エチルヘキシルタレートの反応生成物が特に好ましい);
【0049】
【化8】

【0050】
(式中、qは1または2である)。
【0051】
エポキシドからの1,3−ジチオラン−2−チオンの製造は、本明細書の中に組み入れられるJ.C.S.Perkin Trans.I,(8)1975,748−754の中にOwen,L.N.他によって記述され論じられている。
【0052】
望ましい油溶性の1,3−ジチオラン−2−チオン添加剤の類は、キサントゲン酸アルカリ金属塩たとえばブチルキサントゲン酸ナトリウムとエポキシ化α−オレフィンたとえばエポキシドデカンまたはエポキシテトラデカンまたはそれらの混合物(これら化合物はアルケマ(Arkema)からビコロックス(Vikolox)(登録商標)の商標で入手可能な商品である)との反応によって製造できる。
【0053】
特に望ましい液状の油溶性1,3−ジチオラン−2−チオン添加剤は、キサントゲン酸ナトリウムとエポキシ化2−エチルヘキシルタレート(それはクロムプトン社(Crompron Corporation)からドラペックス(Drapex)(登録商標)4.4として入手可能な商品である)との反応によって製造できる。
【0054】
本発明の実施に用いられる1,3−ジチオラン−2−チオンの製造に使用するための適するエポキシドは、プロピレンオキシド、1,2−エポキシブタン、1,2−エポキシペンタン、1,2−エポキシヘプタン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシノナン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシウンデカン、1,2−エポキシドデカン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、1,2−エポキシオクタデカン、1,2−エポキシエイコサン、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、フェニルプロピレンオキシド、4−ノニルフェニルグリシダルエーテル、ブチルグリシダルエーテル、2−エチルヘキシルグリシダルエーテル、C〜C18アルキルグリシダルエーテル、グリシダルヘキサデシルエーテル、o−クレジルグリシダルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシダルエーテル、1,2−エポキシ−2−フェノキシプロパン、フルフリルグリシダルエーテル、グリシダル4−メトキシフェニルエーテル、グリシダル2−メチルフェニルエーテル、不飽和C〜C36カルボン酸のエポキシ化C〜C18エステル、特に、C12〜C20酸のエポキシ化エステル、たとえば、エポキシ化メチルタレート、エポキシ化ブチルタレート、エポキシ化2−エチルヘキシルタレート、エポキシ化オクチルタレート、およびエポキシ化メチルオレエート、エポキシ化ブチルオレエート、エポキシ化2−エチルヘキシルオレエート、エポキシ化オクチルオレエート、など;エポキシ化不飽和油、たとえば、エポキシ化大豆油、エポキシ化キャノーラ油、など、を包含する。
【0055】
本発明の1,3−ジチオラン−2−チオンの使用は潤滑剤の腐食防止特性、疲労防止特性、磨耗防止特性および極圧特性を改善する。
【0056】
本発明の置換1,3−ジチオラン−2−チオン添加剤は現在使用されているジアルキルジチオ燐酸亜鉛に対する部分的な又は完全な代用物として使用できる。現在使用されている亜鉛および燐の量を低減するためには、それら1,3−ジチオラン−2−チオンは単独で使用することもできるし、又は(1)ジヒドロカルビルジチオ燐酸亜鉛または(2)無灰含燐添加剤または(3)これら(1)と(2)の混合物と相乗的に組み合わせて使用することもできる。それらはまた、潤滑油の中に典型的に見出されるその他の添加剤および更には他の磨耗防止添加剤との組合せで使用することもできる。潤滑油の中に典型的に見出される添加剤はたとえば、分散剤、清浄剤、腐食/錆び防止剤、酸化防止剤、磨耗防止剤、消泡剤、摩擦調節剤、シール膨潤剤、抗乳化剤、VI向上剤、流動点降下剤などである。たとえば、有効な潤滑油組成物用添加剤の記述については米国特許第5,498,809号明細書を参照されたい、この特許明細書の開示はその全体が本明細書の中に組み入れられる。
【0057】
分散剤の例は、ポリイソブチレンスクシンイミド、ポリイソブチレンスクシネートエステル、マンニッヒ塩基無灰型分散剤、など、を包含する。
【0058】
清浄剤の例は、金属系および無灰系アルキルフェナート、金属系および無灰系硫化アルキルフェナート、金属系および無灰系アルキルスルホネート、金属系および無灰系アルキルサリチレート、金属系および無灰系サリゲニン誘導体、など、を包含する。
【0059】
酸化防止剤の例は、アルキル化ジフェニルアミン、N−アルキル化フェニレンジアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキル化フェニル−α−ナフチルアミン、ジメチルキノリン、トリメチルジヒドロキノリンおよびそれらから誘導されたオリゴマー組成物、ヒンダードフェノール類、アルキル化ヒドロキノン、ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル、アルキリデンビスフェノール、チオプロピオネート、金属系ジチオカルバメート、1,3,4−ジメルカプトチアジアゾールおよび誘導体、油溶性銅化合物、など、を包含する。
【0060】
次のものはかかる添加剤の例示であり、そしてクロムプトン社から商業的に入手可能である:中でも、ナウガルブ(Naugalubu)(登録商標)438、ナウガルブ438L、ナウガルブ640、ナウガルブ635、ナウガルブ680、ナウガルブAMS、ナウガルブAPAN、ナウガード(Naugard)(登録商標)PANA、ナウガルブTMQ、ナウガルブ531、ナウガルブ431、ナウガードBHT、ナウガルブ403、およびナウガルブ420。
【0061】
本発明の添加剤と組み合わせて使用できる磨耗防止添加剤の例は、オルガノ−ボレート、オルガノ−ホスフィット、オルガノ−ホスフェート、有機含硫黄化合物、硫化オレフィン、硫化脂肪酸誘導体(エステル)、塩素化パラフィン、ジアルキルジチオ燐酸亜鉛、ジアリールジチオ燐酸亜鉛、ジアルキルジチオ燐酸エステル(dialkyldithiophosphate esters)、ジアリールジチオ燐酸エステル、燐硫化炭化水素(phosphosulfurized hydrocarbons)など、を包含する。
【0062】
次のものはかかる添加剤の例示であり、そしてルブリゾル社(Lubrizol Corporation)から商業的に入手可能である:ルブリゾル677A、ルブリゾル1095、ルブリゾル1097、ルブリゾル1360、ルブリゾル1395、ルブリゾル5139、およびルブリゾル5604;およびチバ社(Ciba Corporation)から商業的に入手可能である:イルガルブ(Irgalube)353。
【0063】
摩擦調節剤の例は、脂肪族エステルおよびアミド、有機モリブデン化合物、ジアルキルジチオカルバモミン酸モリブデン、ジアルキルジチオ燐酸モリブデン、二硫化モリブデン、クラスタージアルキルジチオカルバミン酸三モリブデン、無硫黄モリブデン化合物、など、を包含する。
【0064】
次のものはモリブデン添加剤の例示であり、そしてR.T.Vanderbilt Company,Inc.から商業的に入手可能である:中でも、モリバン(Molyvan)A、モリバンL、モリバン807、モリバン856B、モリバン822、モリバン855。また、下記のものもかかる添加剤の例であり、そして旭電化工業(株)から商業的に入手可能である:中でも、サクラルブ(SAKURA−LUBE)100、サクラルブ165、サクラルブ300、サクラルブ31OG、サクラルブ321、サクラルブ474、サクラルブ600、サクラルブ700。また、下記のものもかかる添加剤の例であり、そしてアクゾノベルケミカルズ社(Akzo Nobel Chemicals GmbH)から商業的に入手可能である:中でも、ケジェン(Ketjen)−Ox 77M、ケジェン−Ox 77TS;また、クロムプトン社から商業的に入手可能である:ナウガルブ モリ(Moly)FMTM2543。
【0065】
消泡剤の例はポリシロキサンなどである。
【0066】
錆止め剤の例はポリオキシアルキレンポリオール、ベンゾトリアゾール誘導体、などである。
【0067】
VI向上剤の例はオレフィン共重合体および分散剤オレフィン共重合体などを包含する。
【0068】
流動点降下剤の例はポリメタクリレートなどである。
【0069】
上に言及した通り、適する磨耗防止組成物はジヒドロカルビルジチオ燐酸塩を含んでもよい。好ましくは、ヒドロカルビル基は平均少なくとも3個の炭素原子を含有している。特に有効なのは、ヒドロカルビル基が平均少なくとも3個の炭素原子を含有しているジヒドロカルビルジチオ燐酸少なくとも1種の金属塩である。ジヒドロカルビルジチオ燐酸塩に誘導できる酸は下記式の酸によって例示できる:
【0070】
【化9】

【0071】
式中、RとRは同一であるか又は異なっており、そしてアルキル、シクロアルキル、アラルキル、アルキルアリール、または上記基のいずれかの置換された実質的に炭化水素基の誘導体であり、そして酸の中のRおよびRは各々、平均少なくとも3個の炭素原子を有している。「実質的に炭化水素」によって意味するところは、基の炭化水素特性に実質的に影響しない、エーテル、エステル、ニトロ、ハロゲンなどのような、原子または原子団、たとえば、基部分当たり1〜4個の置換基、を含有している基である。
【0072】
適するRおよびR基の具体例は、イソプロピル、イソブチル、n−ブチル、sec−ブチル、n−ヘキシル、ヘプチル、2−エチルヘキシル、ジイソブチル、イソオクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ブチルフェニル、o,p−ジペンチルフェニル、オクチルフェニル、ポリイソブテン−(分子量約350)−置換フェニル、テトラプロピレン置換フェニル、β−オクチルブチルナフチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、クロロフェニル、o−ジクロロフェニル、ブロモフェニル、ナフテニル、2−メチルシクロヘキシル、ベンジル、クロロベンジル、クロロペンチル、ジクロロフェニル、ニトロフェニル、ジクロロデシル、キセニル、および類似の基、を包含する。炭素原子数約3〜約30のアルキル基および炭素原子数約6〜約30のアリール基が好ましい。特に好ましいRおよびR基は炭素原子数3〜12のアルキルである。
【0073】
それら燐二チオン酸(phosphorodithioic acids)は五硫化燐とアルコールまたはフェノールとの反応によって容易に得ることができる。反応は、約20℃〜200℃の温度で、4モルのアルコールまたはフェノールを1モルの五硫化燐と混合することを伴う。反応が起こると硫化水素が発生する。アルコールの混合物、フェノールの混合物、または両者の混合物、たとえば、C〜C30アルコール、C〜C30芳香族アルコール、など、の混合物が使用できる。
【0074】
燐酸塩をつくるのに有効な金属は1族金属、2族金属、アルミニウム、鉛、錫、モリブデン、マンガン、コバルト、およびニッケルを包含する。亜鉛は好ましい金属である。酸と反応できる金属化合物の例は、酸化リチウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、リチウムペンチラート、酸化ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ナトリムメチラート、ナトリウムプロピラート、ナトリウムフェノキシド、酸化カリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、カリウムメチラート、酸化銀、炭酸銀、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、マグネシウムエチラート、マグネシウムプロピラート、マグネシウムフェノキシド、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、カルシウムメチラート、カルシウムプロピラート、カルシウムペンチラート、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、亜鉛プロピラート、酸化ストロンチウム、水酸化ストロンチウム、酸化カドミウム、水酸化カドミウム、炭酸カドミウム、カドミウムエチラート、酸化バリウム、水酸化バリウム、バリウム水和物、炭酸バリウム、バリウムエチラート、バリウムペンチラート、酸化アルミニウム、アルミニウムプロピラート、酸化鉛、水酸化鉛、炭酸鉛、酸化錫、錫ブチラート、酸化コバルト、水酸化コバルト、炭酸コバルト、コバルトペンチラート、酸化ニッケル、水酸化ニッケル、炭酸ニッケル、など、を包含する。
【0075】
場合によっては、金属反応体と組み合わせて使用される特定成分、特に、カルボン酸またはカルボン酸金属塩、たとえば、少量の酢酸金属塩または酢酸、を組み込むことは、反応を促進しそして改良された生成物を生じるであろう。たとえば、必要量の酸化亜鉛と組み合わせて約5%の酢酸亜鉛を使用すると、燐二チオン酸亜鉛の形成を促進する。
【0076】
燐二チオン酸金属塩の製造は周知であり、米国特許第3,293,181号、第3,397,145号、第3,396,109号、および第3,442,804号を含めて多数の発行済み特許明細書の中に記載されており、それらの開示は本明細書の中に組み入れられる。また、その全体が本明細書の中に組み入れられる米国特許第3,637,499号明細書の中に記載されているようなジチオ燐酸化合物のアミン誘導体も磨耗防止添加剤として有効である。
【0077】
亜鉛塩は最も普通には、潤滑油の中に磨耗防止添加剤として、潤滑油組成物の全重量に基づいて0.1〜10重量%の量で、好ましくは、0.2〜2重量%の量で、使用される。それらは、既知の技法に従って、まず、通常、アルコールまたはフェノールとPとの反応によってジチオ燐酸を形成し、次いでジチオ燐酸を適切な亜鉛化合物で中和することによって、製造されてもよい。
【0078】
第一アルコールと第二アルコールの混合物を含めてアルコールの混合物が使用でき、第二アルコールは一般に改善された磨耗防止特性を付与しそして第一アルコールは熱安定性を付与する。一般に、塩基性または中性の亜鉛化合物が使用されてもよいが、酸化物、水酸化物、および炭酸塩が最も一般に使用される。市販の添加剤はしばしば、中和反応において過剰の塩基性亜鉛化合物を使用するせいで過剰の亜鉛を含有している。
【0079】
ジヒドロカルビルジチオ燐酸亜鉛(ZDDP)はジチオ燐酸のジヒドロカルビルエステルの油溶性塩であり、そして下記式によって表わすことができる:
【0080】
【化10】

【0081】
式中、n、R、およびRは先に説明した通りである。
【0082】
潤滑剤組成物
組成物は、それらがこれら添加剤を含有する場合には、代表的には、基油の中に、その中の添加剤がそれらの正常な付随機能を付与するのに有効であるような量で、ブレンドされる。かかる添加剤の代表的な有効量は表1の中に例示されている。
【0083】
【表1】

【0084】
他の添加剤を用いるときには、本発明の対象添加剤の濃厚溶液または分散物を前記他の添加剤の一つまたはそれ以上と共に含む添加剤濃厚物を調製することが、必ずしも必要ではないが、望ましいであろう(前記濃厚物は添加剤混合物を構成している場合には、ここでは、添加剤パッケージと称される)、それによって数種の添加剤が同時に基油に添加されて潤滑油組成物を形成する。基油の中への添加剤濃厚物の溶解は溶剤によって及び穏やかな加熱を伴う混合によって促進できるが、このことは必須ではない。
【0085】
濃厚物または添加剤パッケージは代表的には、添加剤パッケージを予め定められた量の基油と合わさせたときに最終配合物の中で所期濃度を提供するのに適する量の添加剤を含有するように処方されるであろう。従って、本発明の対象添加剤は他の所望の添加剤と一緒に、少量の基油または他の混和性溶剤に対して、代表的には、適切比率の添加剤約2.5〜約90重量%、好ましくは約15〜約75重量%、より好ましくは約25〜約60重量%の集合量で有効成分を含有し、残余が基油である、添加剤パッケージを形成するように、添加されることができる。最終配合物は代表的には、約1〜20重量%の添加剤パッケージを用いることができ、残余が基油である。
【0086】
ここに表示されている重量%はいずれも、添加剤の有効成分(active ingredient)(AI)含有量に基づいており、そして/または添加剤パッケージもしくは配合物の全重量(それは各添加剤のAI重量と全ての油または希釈剤の重量との和であろう)に基づいている。
【0087】
一般に、本発明の潤滑剤組成物は添加剤を約0.05〜約30重量%の範囲の濃度で含有する。油組成物の全重量に基づいて約0.1〜約10重量%に及ぶ添加剤の濃度範囲が好ましい。より好ましい濃度範囲は約0.2〜約5重量%である。添加剤の油性濃厚物は潤滑油粘度のキャリヤーまたは希釈剤の油の中に約1〜約75重量%の添加剤反応生成物を含有することができる。
【0088】
一般に、本発明の添加剤は様々な潤滑油基原料油(lubricating oil base stocks)の中で有効である。潤滑油基原料油は100℃における動粘度が約2〜約200cSt、より好ましくは約3〜約150cSt、最も好ましくは約3〜100cStである天然または合成の潤滑油基原料油画分である。潤滑油基原料油は天然潤滑油、合成潤滑油またはそれらの混合物から誘導できる。適する潤滑油基原料油は、原油の芳香族かつ極性の成分を水素化分解(溶剤抽出ではない)することによって生成された水素化分解基原料油ばかりでなく、合成ワックスおよびワックスの異性化によって得られた基原料油も包含する。天然潤滑油は、動物油たとえばラード油、植物油(たとえば、キャノーラ油、ひまし油、ひまわり油)、石油、鉱油、および石炭または頁岩由来の油を包含する。
【0089】
合成油は炭化水素油、ハロ置換炭化水素油、たとえば、重合および共重合オレフィン、ガスからフィッシャー・トロプシュ法によって製造された液体、アルキルベンゼン、ポリフェニル、アルキル化ジフェニルエーテル、アルキル化ジフェニルスルフィド、更にはそれらの誘導体、類似体、同族体、など、を包含する。合成潤滑油はまた、アルキレンオキシドポリマー、インターポリマー、コポリマー、およびそれらの誘導体(そこでは、末端ヒドロキシル基がエステル化、エーテル化、等々によって変性されている)を包含する。
【0090】
合成潤滑油のもう一つの適するクラスはジカルボン酸と様々なアルコールとのエステルを含む。合成油として有効なエステルはまた、C〜C12モノカルボン酸とポリオールおよびポリオールエーテルとから製造されたものを包含する。合成油として有効なその他のエステルは、α−オレフィンと、短鎖長または中鎖長のアルコールによってエステル化されているジカルボン酸との共重合体から製造されたものを包含する。下記のものはかかる添加剤の例示であり、そしてアクゾノベルケミカルズSpAから商業的に入手可能である:中でも、ケジェンルブ(Ketjenlubes)115、135、165、1300、2300、2700、305、445、502、522、および6300。
【0091】
珪素系の油、たとえば、ポリアルキル−、ポリアリール−、ポリアルコキシ−またはポリアリールオキシ−シロキサン油およびシリケート油は、更に別の有効なクラスの合成潤滑油を構成する。その他の合成潤滑油は、燐含有酸の液状エステル、ポリマー性テトラヒドロフラン、ポリα−オレフィン、等々、を包含する。
【0092】
潤滑油は、未精製油、精製油、再精製油、またはそれらの混合物から誘導されてもよい。未精製油は天然源または合成源(たとえば、石炭、頁岩、タールおよびビチューメン)から、更なる精製または処理を伴わずに、直接に得られる。未精製油の例は、レトルト操作から直接に得た頁岩油、蒸留から直接に得た石油オイル、またはエステル化プロセスから直接に得たエステル油を包含し、それら各々は更なる処理なしで使用される。精製油は、精製油が一つまたはそれ以上の性質を改良するために一つまたはそれ以上の精製工程で処理されたこと意外は、未精製油に似ている。適する精製技法は蒸留、水素化処理、脱蝋、溶剤抽出、酸または塩基抽出、濾過、パーコレーション、等々を包含し、それらはいずれも、当業者には周知である。再精製油は精製油を得るのに使用されたものに似たプロセスで精製油を処理することによって得られる。これら再精製油は再生または再加工された油として知られており、そしてしばしば、古い添加剤および油分解生成物を除去する技法によって更に加工される。
【0093】
ワックスの水素化異性化から誘導された潤滑油基原料油もまた、単独で使用されてもよいし、又は上記の天然および/または合成基原料油と組み合わせて使用されてもよい。かかるワックス異性化油は水素化異性化触媒上での天然または合成ワックスまたはそれらの混合物の異性化によって生成される。天然ワックスは代表的には、鉱油の溶剤脱蝋によって回収されたスラックワックス(slack waxes)であり;合成ワックスは代表的には、フィッシャー・トロプシュ法によって生成されたワックスである。得られた異性化生成物は代表的には、特異な粘度範囲を有する様々な画分を回収するために溶剤脱蝋および分留を受ける。ワックス異性化物はまた、非常に高い粘度指数、一般に、少なくとも130のVI、好ましくは少なくとも135またはそれより高いVIと、脱蝋後の、約−20℃またはそれより低い流動点とを有することを特徴とする。
【0094】
本発明の添加剤は多数の様々な潤滑油組成物の中の成分として特に有効である。添加剤は、天然および合成の潤滑油およびそれらの混合物を含めて潤滑粘性をもつ様々な油の中に含有させることができる。添加剤は火花点火および圧縮点火内燃機関向けのクランク室潤滑油の中に含有させることができる。組成物はまた、ガスエンジン潤滑剤、タービン潤滑剤、自動変速機油、ギヤー潤滑剤、圧縮機潤滑剤、金属加工用潤滑剤、作動液、およびその他の潤滑性の油およびグリース組成物の中に使用できる。
【0095】
本発明の利点および重要な特徴は以下の実施例から更に明らかになるであろう。
【0096】
実施例
下記実施例は潤滑剤用添加剤としての置換1,3−ジチオラン−2−チオンの効力を、単独で又はジアルキルジチオ燐酸亜鉛のような含燐添加剤との組合せで、立証している。加えて、それらは腐食試験において害を示さない。
【実施例】
【0097】
(実施例1)
ヘキサヒドロ−1,3−ベンゾジチオーレ−2−チオン
250mLの3口フラスコに、2.96gの水酸化ナトリウムと6mLの水を装填した。80mLの1−ブタノールを加えた後、8.9mLの二硫化炭素を加えた。この混合物を攪拌し、それから、7.50mLのシクロヘキサンオキシドを加え、そして穏やかな発熱が認められた。この混合物を攪拌しながら35〜45℃で90分間加熱し、それから、70℃に加熱しそして3時間攪拌した。この混合物を室温に一晩放置した。生成物は濾過によって回収し、水洗し、自然乾燥しそしてオーブン乾燥して11.9gの細かい鮮黄色結晶を生じた。
【0098】
(実施例2)
4−オクチル−1,3−ジチオラン−2−チオン
100mLの4口フラスコ(頭上攪拌機、苛性スクラバーへとガス抜きされる螺旋冷却器、熱電対と窒素入口をもつクライゼンヘッドを装備した)に、4.4gの50%水酸化ナトリウムと46gの1−ブタノールを装填した。4.2gの二硫化炭素を加えた後、8.6gの1,2−エポキシデカンを加えた。この反応混合物を50℃で1時間攪拌し、それから、20mLの水を加えた。有機相をキシレンに吸収させ、そして水で2回抽出させ、それから硫酸ナトリウムの上で乾燥した。混合物を濾過し、そして揮発物を回転蒸発によって除去して9.5gの黄色油状物を生じた。
【0099】
(実施例3)
4−デシル−1,3−ジチオラン−2−チオン
100mLの3口フラスコに4.45gの水酸化ナトリウムと4.60gの水を装填した。水酸化ナトリウムが溶解したら、50mLの1−ブタノールを加えた。6.8mLの二硫化炭素を20分間(26〜32℃)かけて加えた後、11.3mLの1,2−エポキシドデカンを、温度を33℃未満に維持しながら、加えた。それから、この混合物を50℃に2.6時間加熱し、それから70℃で3時間攪拌した。反応混合物を20℃に冷却してから、10mLの水を2回にわけて加えた。反応混合物をキシレンと水の中に吸収させた。水性相を除去し、そして有機物を水で3回抽出させた。揮発物を回転蒸発によって除去して12.61gの明澄黄色油状物を生じた。
【0100】
(実施例4)
4−ドデシル−1,3−ジチオラン−2−チオン
250mLの3口フラスコに、3.54gの水酸化ナトリウムと6mLの水を装填した。80mLの1−ブタノールを加えた後、4.8mLの二硫化炭素を加えた。この混合物を攪拌し、それから、7.50mLの1,2−エポキシテトラデカン(85%、工業級)を加えた。混合物を攪拌しながら50℃で30分間加熱し、それから、70℃に加熱しそして1時間攪拌した。反応混合物をキシレンに吸収させ、そして水で2回洗浄した。反応混合物を珪藻土に通して濾過し、そして揮発物を回転蒸発によって除去して、黄色結晶と若干の黄色油状物との混合物を19.5g生じた。
【0101】
(実施例5)
4−テトラデシル−1,3−ジチオラン−2−チオン
100mLの4口フラスコ(頭上攪拌機、苛性スクラバーへとガス抜きされる螺旋冷却器、熱電対と窒素入口をもつクライゼンヘッドを装備した)に、2.53gの水酸化ナトリウムと4.5mLの水を装填した。苛性ソーダが溶解したら、40mLの1−ブタノールを加えた。7.6mLの二硫化炭素を加えた後、13.7gの1,2−エポキシヘキサデカン(85%)を4回にわけて加えた。この反応混合物を50℃で2時間攪拌し、それから70℃で3時間攪拌した。反応混合物を35℃に冷却し、そして3.6mLの氷酢酸を加えた。反応混合物本体が僅かに温まり、そして10mLの水を加えた。混合物を約100mLのキシレンに吸収させ、そして水性相を除去した。有機物を水各100mLで3回抽出した。揮発物を回転蒸発によって除去して17.98gの黄色油状物を生じた。
【0102】
(実施例6−7)
エポキシ化2−エチルヘキシルタレートの1,3−ジチオラン−2−チオン誘導体
1000mLの4口フラスコに22.2gの水酸化ナトリウムと38mLの水を装填した。材料を攪拌し、それから、428.5gの1−ブタノールを加え、そして混合物を15分間攪拌した。38.1gの二硫化炭素を26℃で30分間かけて加えた。混合物を更に30分間攪拌し、それから、170.2gのドラペックス(登録商標)4.4(エポキシ化2−エチルヘキシルタレート)を45分間かけて滴加した。反応混合物を50℃で2時間攪拌し、それから70℃で3時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却し、そして酢酸の添加によってpH8にした。水を加え(100mL)、そして混合物を15分間攪拌した。反応混合物本体を分別漏斗に移し、そして水性相を除去した。キシレン(450mL)を加え、そして生成物を水各200mLで2回洗浄した。生成物を硫酸ナトリウムと硫酸マグネシウムの上で乾燥し、それから濾過した。揮発物を回転蒸発によって除去して186.6gの明澄黄色液状物を生じた。
【0103】
(実施例8−9)
エポキシ化2−エチルヘキシルタレートの1,3−ジチオラン−2−チオン誘導体
1000mLの4口フラスコ(頭上攪拌機、苛性スクラバーへとガス抜きされる螺旋冷却器、添加漏斗、熱電対/窒素入口を装備した)に、21.0gの水酸化ナトリウムと40gの水を装填した。材料を攪拌し、それから、431gの1−ブタノールを加え、そして混合物を5分間攪拌した。83.04gの二硫化炭素を29〜32℃で50分間かけて加えた。混合物を更に15分間攪拌し、それから、168.8gのドラペックス(登録商標)4.4(エポキシ化2−エチルヘキシルタレート)を24分間かけて滴加した。反応混合物を50℃に加熱し、そして50℃で2時間攪拌した。温度を70℃に上昇させ、そして反応混合物を更に3時間攪拌した。反応混合物を65℃に冷却し、そして30mLの氷酢酸を加えた。水を加えた(100mL)。混合物を40分間攪拌した。反応混合物本体を分別漏斗に移し、そして水性相を除去した。キシレン(450mL)を加え、そして生成物を水各200mLで4回洗浄した。生成物を硫酸マグネシウムの上で乾燥し、それから、ワットマン紙#4を使用したブフナー漏斗で濾過し、それから、珪藻土で濾過した。揮発物と溶剤を回転蒸発によって除去して明澄黄色液状物を生じた。
【0104】
磨耗防止の4個球試験
完全配合されたアメリカ石油協会(American Petroleum Institute(API))グループII潤滑油の中での1,3−ジチオラン−2−チオンの磨耗防止特性を、ASTM D4172試験条件下で、4個球磨耗試験(Four−Ball Wear Test)で測定した。これら実施例についての試験はFalex Variable Drive Four−Ball Wear Test Machineの上で行った。4つの球は正四面体に配置されている。下方の3つの球は潤滑剤を満たした試験カップの中に確実に締付けられており、そして上方の球はモーターで駆動されるチャックによって保持されている。上方の球は固定された下方の球に対して回転する。荷重はウエイト/レバーアームシステムを介して上向き方向に適用される。負荷は無段可変空気圧負荷システムを介してなされる。ヒーターは高い油温度での操作を可能にする。3つの固定鋼球は試験すべきサンプル10mLの中に浸漬され、そして第4の鋼球は3つの固定球の上面を「点−対−点の接触」で回転させられる。マシンは40kgの荷重および1200回転/分の回転速度で、75℃で1時間稼動される。完全配合潤滑油はモーター油(表2に掲載されている通りの様々な磨耗防止添加剤をもつ)の中に典型的に見出される添加剤の全てを含有しているばかりでなく、走行エンジン内の環境を模するのを助けるために0.5重量%のクメンヒドロペルオキシドも含有している。
【0105】
添加剤はモーター油配合物の中での有効性について試験され、そしてジアルキルジチオ燐酸亜鉛を用いた及び用いない同じ配合物と比較された。データーの検討から、これらヒドロキシエステル添加剤と含燐添加剤の組合せ使用がどちらかのタイプの添加剤の単独使用よりも性能において相乗的改善を呈することは明らかであろう。
【0106】
磨耗防止のキャメロン−プリントTE77高周波摩擦機試験
完全配合されたAPIグループII潤滑油の中での本発明の添加剤の磨耗防止特性を、キャメロン−プリント(Cameron−Plint)TE77高周波摩擦機試験で測定した。標本部分(硬度800±20kg/mmの直径6mmのAISI 52100鋼球と、RC60/0.4ミクロンの硬化研磨NSOH B01ゲージプレート)をすすぎ洗いしてから工業級ヘキサンで15分間超音波処理した。この手順をイソプロピルアルコールで繰り返えした。標本を窒素で乾燥させ、そしてTE77の中にセットした。油浴は10mLのサンプルで満たした。試験は30ヘルツの周波数、100ニュートンの負荷、2.35mmの振幅で行った。試験は室温で標本と油をもって開始する。直後に、温度を15分間かけて50℃に上昇させ、そこで15分間その状態にとどめた。それから、温度を15分間かけて100℃に上昇させ、そこで45分間その状態にとどめた。15分間かけて150℃への第三の温度上昇に続いて、150℃で15分間の最終保温を行った。試験の全体の長さは2時間であった。試験の最後に、6mm球の上の磨耗傷跡(wear scar)の直径を、Leica StereoZoom6(登録商標)立体顕微鏡とミツモト164シリーズDigimatic Headを使用して、測定した。試験された完全配合潤滑油は走行エンジン内の環境を模するのを助けるために1重量%のクメンヒドロペルオキシドを含有した。
【0107】
添加剤はモーター油配合物の中での有効性について試験され、そしてジアルキルジチオ燐酸亜鉛を用いた及び用いない同じ配合物と比較された。表2では、試験結果(磨耗傷跡の直径、mm)の数値は有効性の増大と共に減少している。
【0108】
プレート上の磨耗傷跡の最大深さも測定した。これはプロフィリメーター(plofilimeter)を使用して測定される(mm)。カッコ(#x)内の数字は平均値を求めるのに使用された反復実験の数である。
【0109】
【表2】

【0110】
鉛および銅に腐食試験
表3には、油配合物のCuおよびPb腐食度を測定するのに使用したカミングズベンチ(Cummins bench)試験の結果が示されている。カミングズベンチ試験はジーゼルエンジン油についてのAPI CH−4カテゴリーの部分である。純粋な鉛、銅、錫、および燐−ブロンズの4種の金属片(25.4mm四方)を100mLの油の中に、121℃で、空気吹き込み(5L/時)を伴って、168時間浸漬する。使用した油を金属について分析し、そして銅サンプルは変色について検査する。API CH−4の限度は使用した油の中にCuが20ppm、Pbが120ppm、Snが50ppm、そして銅正方形のASTM D130等級については最大3である。添加剤はILSAC GF−2証明書付きの完全配合SAE15−W40油の中にブレンドされた。表3の1行目には、SAE15−W40の油で、他の添加剤のトップ処理が全く無い状態で、生じたデータが存在する。置換1,3−ジチオラン−2−チオンはPb腐食に対して非常にうまくいって合格結果を生じた。
【0111】
【表3】

【0112】
本発明に横たわる原理から逸脱することなく為し得る多数の変形および変更に鑑みて、本発明に与えられる保護の範囲を理解するには請求項を参考にすべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)潤滑剤または炭化水素燃料、および
(B)少なくとも1種の、式(I)
【化1】


(式中、
は、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、および構造
(CHCO
(但し、
pは1〜50であり、そして
は、ヒドロカルビル、鎖置換飽和ヒドロカルビル、および鎖置換不飽和ヒドロカルビルからなる群から選ばれる)
のカルボキシアルキルからなる群から選ばれる;
、R、およびRは独立に、水素、アルキル、およびアルケニルからなる群から選ばれる;
前記アルキルおよびアルケニル基は非置換であるか、又はOH、SH、オキシラン、チイラン、または1,3−ジチオラン−2−チオンによって置換されている;
または
とRが互いに縮合して炭素原子数3〜10の環を形成しており、それは更に、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリールまたはアルコキシ基によって置換されることができるし、そしてエーテルまたはエステル官能基を含有することができる)
の1,3−ジチオラン−2−チオン
を含む組成物。
【請求項2】
1,3−ジチオラン−2−チオンが、キサントゲン酸アルカリ金属塩と炭素原子数8〜36のエポキシ化オレフィンとの反応によって合成される、請求項1の組成物。
【請求項3】
エポキシ化オレフィンがα−オレフィンである、請求項2の組成物。
【請求項4】
エポキシ化オレフィンがエポキシ化タレートエステルである、請求項2の組成物。
【請求項5】
更に、少なくとも1種の含燐添加剤を含む、請求項1の組成物。
【請求項6】
少なくとも1種の含燐添加剤がジヒドロカルビルジチオ燐酸塩である、請求項5の組成物。
【請求項7】
1,3−ジチオラン−2−チオンが、ヘキサヒドロ−1,3−ベンゾジチオーレ−2−チオン、4−オクチル−1,3−ジチオラン−2−チオン、4−デシル−1,3−ジチオラン−2−チオン、4−ドデシル−1,3−ジチオラン−2−チオン、4−テトラデシル−1,3−ジチオラン−2−チオン、およびエポキシ化2−エチルヘキシルタレートの1,3−ジチオラン−2−チオン誘導体からなる群から選ばれる、請求項1の組成物。
【請求項8】
4−オクチル−1,3−ジチオラン−2−チオン。
【請求項9】
4−テトラデシル−1,3−ジチオラン−2−チオン。
【請求項10】
エポキシ化2−エチルヘキシルタレートの1,3−ジチオラン−2−チオン誘導体。
【請求項11】
潤滑剤および炭化水素燃料の腐食防止特性、疲労防止特性、磨耗防止特性および極圧特性を改良する方法であって、前記潤滑剤および炭化水素燃料に、機能特性改善量の少なくとも1種の式
【化2】


(式中、
は、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、および構造
(CHCO
(但し、
pは1〜50であり、そして
は、ヒドロカルビル、鎖置換飽和ヒドロカルビル、および鎖置換不飽和ヒドロカルビルからなる群から選ばれる)
のカルボキシアルキルからなる群から選ばれる;
、R、およびRは独立に、水素、アルキル、およびアルケニルからなる群から選ばれる;
前記アルキルおよびアルケニル基は非置換であるか、又はOH、SH、オキシラン、チイラン、または1,3−ジチオラン−2−チオンによって置換されている;
または
とRが互いに縮合して炭素原子数3〜10の環を形成しており、それは更に、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリールまたはアルコキシ基によって置換されることができるし、そしてエーテルまたはエステル官能基を含有することができる)
の1,3−ジチオラン−2−チオンを添加することを含む前記方法。
【請求項12】
潤滑剤および炭化水素燃料に含燐添加剤も添加される、請求項11の方法。
【請求項13】
含燐添加剤がジヒドロカルビルジチオ燐酸塩である、請求項12の方法。
【請求項14】
1,3−ジチオラン−2−チオンが、ヘキサヒドロ−1,3−ベンゾジチオーレ−2−チオン、4−オクチル−1,3−ジチオラン−2−チオン、4−デシル−1,3−ジチオラン−2−チオン、4−ドデシル−1,3−ジチオラン−2−チオン、4−テトラデシル−1,3−ジチオラン−2−チオン、およびエポキシ化2−エチルヘキシルタレートの1,3−ジチオラン−2−チオン誘導体からなる群から選ばれる、請求項11の方法。

【公表番号】特表2008−518081(P2008−518081A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538905(P2007−538905)
【出願日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/031575
【国際公開番号】WO2006/047011
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(505365356)ケムチュア コーポレイション (50)
【Fターム(参考)】