説明

潤滑油の配合と方法

【課題】エンジン堆積物の低減を提供する特殊な配合と方法。
【解決手段】潤滑油組成物は約5から約15のノアク揮発度を有する基油とジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物を有する。ジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物は、全第一級アルコールから得られる少なくとも約65モルパーセントのジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物を有し、ジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物は、4つの炭素原子を有するアルコールから得られるアルコキシ部分を有する約40モルパーセント以上のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載する実施形態は、より優れた潤滑油の性能を提供し、そしてエンジンの堆積物評価(レーティング)を高める具体的な配合と方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
50年以上にわたり、自動車のエンジンオイルにはジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZDDP)が配合され、それによって、磨耗、酸化、腐食が低レベルに抑えられてきた。添加剤は全くおなじみのものであって、現代のエンジンオイルのほぼどれにでも見られるものである。ZDDPは、耐磨耗、耐酸化、耐食の分野において多機能の性能を与え、エンジンオイルのメーカーやマーケティング担当者はこれを一般的な使用において最も費用効率の高い添加剤の1つとして考えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、全てのZDDPが、望まれないピストン堆積物を形成せずに、潤滑油の性能を向上させるのに効果的であるとは限らない。通常、ZDDPのエンジンオイルへの一般的な使用に関しては、第一級アルコールで作られたZDDP、第二級アルコールで作られたZDDP、第一級アルコールと第二級アルコールの混合で作られたZDDPの3つに大きく分けられる。また、全第一級アルコールZDDPと全第二級アルコールZDDPの混合も使用されてきた。第一級アルコールまたは第二級アルコールから得られるアルコキシ部分に加えて、アルコール鎖長も潤滑油の性能に影響を与える。従って、エンジン潤滑油の用途に役立つ可能性のある、様々な鎖長を有する第一級アルコールZDDPと第二級アルコールZDDPとの組み合わせの数は限りないものであろう。ZDDPの組み合わせの中には、ピストン堆積物の形成を増やすものもあり、また、低減するものもあるだろう。よって、潤滑油の性能を上げ、ピストン堆積物の形成を増やさないZDDPの組成物が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記に鑑み、本開示の一実施形態は、エンジン堆積物を低減する潤滑油組成物を提供する。潤滑油組成物は約5から約15のノアク(NOACK)揮発度を有する基油とジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物を有する。ジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物は、全第一級アルコールから得られる、少なくとも約65モルパーセントのジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物を有しており、ジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物は、4つの炭素原子を有するアルコールから得られるアルコキシ部分を有する、約40モルパーセント以上のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物を有する。
【0005】
別の実施形態では、潤滑油組成物は、約5から約15のノアク揮発度を有する基油と、5つの炭素原子を有するアルコールから得られる約15から約30モルパーセント以上のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物を持つ、ジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物を有する。
【0006】
本開示のさらなる実施形態では、内燃機関においてピストン堆積物を低減する方法を提供する。この方法には、約5から約15のノアク揮発度を有する基油を持つ潤滑油組成物とジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物を有する潤滑油組成物によるエンジンの潤滑ステップが含まれる。ジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物は、全第一級アルコールから得られる少なくとも約65モルパーセントのジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物を有し、この場合、ジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物は、4つの炭素原子を有するアルコールから得られ
るアルコキシ部分を有する約40モルパーセントを上回るジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物を有する。
【0007】
本開示の別の実施形態は、内燃機関内のエンジン堆積物の方法を提供する。この方法には、約5から約15のノアク揮発度を有する基油と、5つの炭素原子を持つアルコールから得られる約15から約30モルパーセントのジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物を持つジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物でエンジンを潤滑する方法が含まれる。
【0008】
記載する組成物と方法は、第一級アルコールから作られたZDDP化合物を十分に含まないZDDP化合物、または5つより多い炭素原子を持つアルコールから得られるアルコキシ部分のモルパーセントがより低いZDDP化合物の組み合わせよりもエンジン堆積物評価を向上させるのには、特に適切であろう。
【0009】
上述の説明と下記の詳細にわたる説明は、どちらも例示的かつ説明のためのみのものであり、開示され、そして特許請求の範囲に述べられる実施形態の説明をさらに提供することを意図するものであると理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に記載する実施形態による潤滑油組成物は、基油とジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物とを含み、ジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物は、全第一級アルコールから得られる少なくとも約65モルパーセントのジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物を含み、ジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物は、4つの炭素原子を有するアルコールから得られるアルコキシ部分を持つ、約40モルパーセント以上のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物を持つ。
【0011】
潤滑油組成物は、様々な用途での使用に適切であり、これらの用途には、エンジンオイル用途および/またはヘビーデューティー・エンジンオイル用途が含まれるが、これらに限定されない。例として、火花点火と圧縮点火内燃機関のクランクケース、自動車とトラックのエンジン、海洋と鉄道のディーゼルエンジンなどが含まれる。
【0012】
潤滑油組成物には、基油と1つ以上の適切な添加剤成分が含まれる。添加剤成分は結合して添加剤パッケージを形成し、添加剤パッケージは基油と結合する。または、代替的に、添加剤成分は基油と直接結合することもできる。
【0013】
本実施形態の使用に適した基油は、鉱油(または天然油)、合成潤滑油、植物油およびそれらの混合油などの潤滑粘度の1つ以上の油を含む。これらの基油には、自動車およびトラックのエンジン、海洋および鉄道のディーゼルエンジンなどのような、火花点火および圧縮点火内燃機関用のクランクケース潤滑油として従来使われてきたものが含まれる。適切な基油は約5から約15のノアク揮発度を持つ。別の例として、適切な基油は、約10から約15のノアク揮発度を持つ。さらなる例として、適切な基油は、約9から約13のノアク揮発度を持つ。基油は通常下記の表1に示すように、グループI、グループII、グループIII、グループIV、グループVに分類される。
【0014】
【表1】

【0015】
* グループIVの基油は、全てポリアルファオレフィンと定義される。
**グループVの基油は、グループI、II、IIIおよびIVに含まれない他の全ての基油と定義され、ガス・ツー・リキッド基油を含んでもよい。
【0016】
潤滑基油はまた、ろう状のフィードから作られた油を含む。ろう状のフィードには、例えば50重量パーセント超のn−パラフィン、そしてより好適には75重量パーセント超のn−パラフィンのような、少なくとも40重量パーセントのn−パラフィンが含まれる。ろう状のフィードは、例えば、スラックワックスなどのフィードから得られる従来の石油であってもよく、または例えば、フィッシャー・トロプシュ合成で作られたフィードなどのような、合成フィードから得ることもできる。
【0017】
合成基油の限定されない例には、ジカルボン酸、ポリグリコールおよびアルコールのアルキルエステル、ポリブテンのようなポリアルファオレフィン、アルキルベンゼン、有機リン酸エステル、ポリシリコン油およびアルキレンオキシドポリマー、インターポリマー、コポリマーとその誘導体が含まれ、その場合、末端ヒドロキシル基は、エステル化、エーテル化などによって修飾される。
【0018】
鉱基油には、動物油および植物油(例えばヒマシ油、ラード油)、液化石油および水素化精製された、溶剤処理されたまたは酸処理された、パラフィン系、ナフテン系およびパラフィン−ナフテン混合タイプの鉱潤滑油が含まれるが、これらに限定されない。石炭または頁岩から得られる潤滑粘度の油もまた有用な基油である。
【0019】
(ZDDP成分)
本明細書に開示する潤滑油組成物には、1つ以上のZDDP化合物を含むジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZDDP)組成物が含まれる。適切なZDDP化合物は、一定量の第一級アルコール、第二級アルコールおよび第一級アルコールと第二級アルコールの混合物から製造することができる。またZDDP化合物を組み合わせて、約100:0から約65:35の範囲の第一と第二のアルコキシ部分の比率を持つZDDP組成物を提供することもできる。さらなる例として、ZDDP化合物を第一と第二のアルコキシ部分のモル比率が約95:5から約70:30の範囲になるように組み合わせることもできる。
【0020】
第一級および/または第二級アルコールから作られるZDDPの選択に加え、特定のアルコキシ部分の鎖長は他の長さに比べて、エンジン堆積物を低減するのに効果的なZDDP組成物にとってより適切である。例えば、本開示によるZDDP組成物は、約3から約12の炭素原子を持つアルコールから得られるアルコキシ部分を含んでもよい。例えば、適切なZDDP組成物は、4つの炭素原子を持つ約40から約70モルパーセントのアルコール、5つの炭素原子を持つ約15から約30モルパーセントのアルコール、6つの炭
素原子を持つ約0から約30モルパーセントのアルコール、そして8つの炭素原子を持つ約5から約35モルパーセントのアルコールから得られるアルコキシ部分を有するZDDP化合物の混合物を含む。ZDDP化合物の混合物と使用する特に適切なZDDP化合物は、5つの炭素原子を持つアルコールから得られるZDDP化合物である。一実施形態では、本開示のZDDP組成物は、5つの炭素原子を持つアルコールから得られる少なくとも約15モルパーセントのZDDP化合物を含む。前述のZDDP化合物の中で、4、5または8つの炭素原子を持つアルコールは、線状またはブランチのアルコールである適切な第一級アルコールであり、6つの炭素原子を持つアルコールは、線状またはブランチのアルコールである適切な第二級アルコールである。
【0021】
ZDDP化合物の混合物に使用されるZDDP化合物の適切な選択のもう1つの基準は、ZDDP組成物中の炭素原子の平均数である。炭素原子の平均数は、下記の式を使い、各ZDDP化合物のアルコキシ部分の炭素原子の数によって求められる。
炭素原子平均数=2[(ZDDP1内のxモル%.#C)+(ZDDP2内のyモル%.#C)+(ZDDP3内のzモル%.#C)+ ...]
【0022】
本開示の目的に関して、上述の式で求められるZDDP組成物の炭素原子の平均数は、好適には少なくとも9.0である。潤滑油組成物は、潤滑油組成物に約0.01重量パーセントから約0.15重量パーセントのリンを寄与するのに十分な量のZDDP組成物を含む。リン含有成分は硫化リンを含むが、それに限定されない任意の適切なリン含有成分を含むことができる。適切な硫化リンには五硫化リンまたは三硫化四リンが含まれる。
【0023】
(任意の成分)
本明細書に記載する潤滑油組成物は、1つ以上の添加剤成分を含む。適切な添加剤成分には、分散剤、酸化防止剤(例えば抗酸化物質)、摩擦調整剤、粘度調整剤、さび止め、乳化破壊剤、流動点降下剤、消泡剤、シール膨張剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0024】
本開示による潤滑油組成物を提供するZDDP化合物とその他の添加剤の一般的で効果的な量を下記の表2に示す。表の中の全ての値は重量パーセント活性成分である。
【0025】
【表2】

【0026】
上述の添加剤のそれぞれは、使用される際、潤滑油の所望される特性を与えるために機能的で有効な量が使用される。よって、例えば、添加剤が腐食防止剤である場合、機能的で有効な腐食防止剤の量は、潤滑油に所望される腐食防止の特性を与えるのに十分な量で
ある。通常、これらの添加剤のそれぞれの濃度は、使用される際に、潤滑油組成物の重量に基づき、約20重量パーセント以下の範囲であり、そして一実施形態では、約0.001から約20重量パーセントであり、一実施形態では、潤滑油組成物の重量に基づき、約0.01から約20重量パーセントである。
【0027】
添加剤は直接潤滑油組成物に加えてもよい。しかしながら一実施形態では、添加剤パッケージは添加剤濃縮物を形成するために、鉱油、合成油、ナフサ、アルキル化(例えば、C10からC13のアルキル)ベンゼン、トルエンまたはキシレンなどの、実質的には不活性で通常は液体である有機希釈剤で希釈される。この濃縮物にはたいてい、約1から約100重量パーセントの添加剤混合物を含み、そして一実施形態では約10から約90重量パーセントの添加剤混合物を含む。
【0028】
上述に例示する組成物によるZDDP組成物の使用によって、エンジン堆積物の増加を呈さない潤滑油組成物が提供されてきた。特に本明細書に記載するZDDP組成物は、特にシークエンス(Sequence)IIIGエンジン試験によるその他のZDDP組成物と比較すると、開示した範囲やタイプに該当しないZDDP組成物によって達成されるよりも高いピストン堆積物評価を提供する。
【0029】
(例)
下記の例は、本実施形態の例示的な態様としての目的で提供するものであり、本実施形態をどんな方法であっても制限するものではない。発明的そして比較的に完全に配合された潤滑油組成物をシークエンスIIIGエンジン試験でテストし、その結果を下記の表に示す。
【0030】
【表3】

【0031】
上述の表3(サンプル4から6)に示すように、本開示による配合は、シークエンスIIIGエンジン試験の比較サンプル1から3よりもかなり高いピストン堆積物評価であった。
【0032】
本明細書の多くの箇所で、多くの米国特許と公報を参照したが、このような引用文献は全て、明示的に本明細書に組み込まれる。
【0033】
上述の実施形態は、実行する上で変更を受けやすい。従って、本実施形態は上述の特定の例示に限られることを意図されていない。上述の実施形態は、法律上の同等のものを含めて、添付の請求項の主旨および範囲に包含されるものである。
【0034】
特許権者は開示されたいずれの実施形態も公に捧げられることを意図しておらず、開示の何等かの変形や修正が本請求項の範囲に一字一句該当しなくても、それらは均等論の下
において本請求項の範囲の一部であると考えられる。
【0035】
本発明の主な特徴及び態様を挙げれば以下のとおりである。
【0036】
1.エンジン堆積物を低減する潤滑油組成物であって、
約5から約15のノアク揮発度を有する基油と、
全第一級アルコールから得られる少なくとも約65モルパーセントのジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物を含むジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物とを含み、
該ジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物は、4つの炭素原子を持つアルコールから得られるアルコキシ部分を有する約40モルパーセント超のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物を含む、潤滑油組成物。
【0037】
2.前記潤滑油組成物はエンジンオイルである、上記1.に記載の潤滑油組成物。
【0038】
3.前記潤滑油組成物はヘビーデューティ・エンジンオイルである、上記1.に記載の潤滑油組成物。
【0039】
4.前記基油は鉱油、合成油、またはそれらの混合油を含む、上記1.に記載の潤滑油組成物。
【0040】
5.前記基油は、グループI基油、グループII基油、グループIII基油、グループIV基油およびグループV基油から成るグループから選択された1つ以上のメンバーを含む、上記1.に記載の潤滑油組成物。
【0041】
6.ジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物は、5つの炭素原子を有するアルコールから得られるアルコキシ部分を持つ、約15から約30モルパーセントのジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物を含む、上記1.に記載の潤滑油組成物。
【0042】
7.前記潤滑油組成物の前記ジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物は、第二級アルコールから得られるアルコキシ部分を持つ、約30モルパーセント以下のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物をさらに含む、上記1.に記載の潤滑油組成物。
【0043】
8.前記潤滑油組成物の前記ジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物は、第二級アルコールから得られるアルコキシ部分を持つ約20モルパーセント以下のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物を含む、上記1.に記載の潤滑油組成物。
【0044】
9.前記潤滑油組成物は、前記ジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物によって与えられる約0.01重量パーセントから約0.1重量パーセントのリンを含む、上記1.に記載の潤滑油組成物。
【0045】
10.前記潤滑油組成物の前記ジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物は、第一級アルコールから得られるアルコキシ部分を持つ、95モルパーセント以上のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物を含む、上記1.に記載の潤滑油組成物。
【0046】
11.前記ジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物は、第二級アルコールから得られるアルコキシ部分を持つジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物を実質的に欠く、上記10.に記載の潤滑油組成物。
【0047】
12.前記ジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物は、約3から約12の炭素原子を有するアルコールから得られるジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物を含む、上記1.に記載の潤滑
油組成物。
【0048】
13.前記ジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物の炭素原子の平均数は少なくとも9.0である、上記1.に記載の潤滑油組成物。
【0049】
14.潤滑油組成物であって、
(a) 約5から約15のノアク揮発度を有する基油と、
(b) 5つの炭素原子を有するアルコールから得られる、約15から約30モルパーセントのジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物を含むジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物と、を有する潤滑油組成物。
【0050】
15.前記ジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物は、4つの炭素原子を有するアルコールより得られるアルコキシ部分を有する約40モルパーセント超のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物を含む、上記14.に記載の潤滑油組成物。
【0051】
16.前記ジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物は、全第一級アルコールから得られるアルコキシ部分を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物、全第二級アルコールから得られるアルコキシ部分を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物、および第一級アルコールと第二級アルコールから得られるアルコキシ部分を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物から本来構成される、前記グループから選択されたジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物を含み、ただし、前記ジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物は、4つの炭素原子を有するアルコールから得られるアルコキシ部分を有する40モルパーセント超のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物を含む、上記14.に記載の潤滑油組成物。
【0052】
17.前記ジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物の炭素原子の平均数は少なくとも9.0である、上記14.に記載の潤滑油組成物。
【0053】
18.内燃機関を運転する方法であって、
(a) 約5から約15のノアク揮発度を有する基油と、
(b) 全第一級アルコールから得られる少なくとも約65モルパーセントのジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物を含むジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物であって、該ジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物は、4つの炭素原子を有するアルコールから得られるアルコキシ部分を有する約40モルパーセント超のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物を含むジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物と、
を有する潤滑油組成物で、前記エンジンを潤滑するステップを含む方法。
【0054】
19.前記潤滑油組成物の前記ジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物は、第二級アルコールから得られるアルコキシ部分を持つ約30モルパーセント以下のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物をさらに含む、上記18.に記載の方法。
【0055】
20.前記潤滑油組成物の前記ジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物は、第一級アルコールから得られるアルコキシ部分を持つ95モルパーセント以上のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物を含む、上記18.に記載の方法。
【0056】
21.内燃機関を運転する方法であって、
(a) 約5から約15のノアク揮発度を有する基油と、
(b) 5つの炭素原子を有するアルコールから得られる約15から約30モルパーセントのジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物を含むジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物と、
を有する潤滑油組成物で、前記エンジンを潤滑するステップを含む方法。
【0057】
22.前記ジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物は、4つの炭素原子を有するアルコールより得られるアルコキシ部分を有する約40モルパーセント超のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物を含む、上記21.に記載の方法。
【0058】
23.前記ジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物は、第二級アルコールから得られるアルコキシ部分を有する約30モルパーセント以下のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物と、第一級アルコールから得られるアルコキシ部分を有する少なくとも約65モルパーセントのジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物とを有する、上記21.に記載の方法。
【0059】
24.前記ジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物の炭素原子の平均数は少なくとも9.0である、上記21.に記載の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン堆積物を低減する潤滑油組成物であって、
約5から約15のノアク揮発度を有する基油と、
全第一級アルコールから得られる少なくとも約65モルパーセントのジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物を含むジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物とを含み、
該ジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物は、4つの炭素原子を持つアルコールから得られるアルコキシ部分を有する約40モルパーセント超のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物を含む、潤滑油組成物。
【請求項2】
ジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物は、5つの炭素原子を有するアルコールから得られるアルコキシ部分を持つ、約15から約30モルパーセントのジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物を含む、請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項3】
前記潤滑油組成物の前記ジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物は、第二級アルコールから得られるアルコキシ部分を持つ、約30モルパーセント以下のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物をさらに含む、請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項4】
前記潤滑油組成物の前記ジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物は、第二級アルコールから得られるアルコキシ部分を持つ約20モルパーセント以下のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物を含む、請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項5】
前記潤滑油組成物の前記ジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物は、第一級アルコールから得られるアルコキシ部分を持つ、95モルパーセント以上のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物を含む、請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項6】
前記ジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物は、第二級アルコールから得られるアルコキシ部分を持つジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物を実質的に欠く、請求項5に記載の潤滑油組成物。
【請求項7】
潤滑油組成物であって、
(a) 約5から約15のノアク揮発度を有する基油と、
(b) 5つの炭素原子を有するアルコールから得られる、約15から約30モルパーセントのジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物を含むジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物と、を有する潤滑油組成物。
【請求項8】
前記ジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物は、全第一級アルコールから得られるアルコキシ部分を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物、全第二級アルコールから得られるアルコキシ部分を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物、および第一級アルコールと第二級アルコールから得られるアルコキシ部分を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物から本来構成される、前記グループから選択されたジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物を含み、ただし、前記ジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物は、4つの炭素原子を有するアルコールから得られるアルコキシ部分を有する40モルパーセント超のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物を含む、請求項7に記載の潤滑油組成物。
【請求項9】
内燃機関を運転する方法であって、
(a) 約5から約15のノアク揮発度を有する基油と、
(b) 全第一級アルコールから得られる少なくとも約65モルパーセントのジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物を含むジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物であって、該ジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物は、4つの炭素原子を有するアルコールから得られるアルコキ
シ部分を有する約40モルパーセント超のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物を含むジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物と、
を有する潤滑油組成物で、前記エンジンを潤滑するステップを含む方法。
【請求項10】
内燃機関を運転する方法であって、
(a) 約5から約15のノアク揮発度を有する基油と、
(b) 5つの炭素原子を有するアルコールから得られる約15から約30モルパーセントのジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物を含むジアルキルジチオリン酸亜鉛組成物と、
を有する潤滑油組成物で、前記エンジンを潤滑するステップを含む。

【公開番号】特開2010−261037(P2010−261037A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−103804(P2010−103804)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(391007091)アフトン・ケミカル・コーポレーション (123)
【氏名又は名称原語表記】Afton Chemical Corporation
【Fターム(参考)】