説明

潤滑油基油およびその製造方法

【課題】本発明は、特に低動粘度を要求される用途に好適に使用できる、低い動粘度と高い粘度指数がより高い次元で両立された潤滑油基油、およびその製造方法の提供を目的とする。
【解決手段】ナロー率Nが80%以下である特定の構造を有する脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含む潤滑油基油。また、アルミナ・マグネシア複合酸化物を焼成して得られる触媒の存在下に、脂肪酸アルキルエステルに直接アルキレンオキシドを付加して脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は潤滑油基油およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
潤滑油組成物は摩擦や磨耗の低減、エネルギーの伝達、熱の冷却を目的に、軸受け部、油圧作動部や金属加工などの広い用途に用いられている。潤滑油組成物による摩擦の低減効果は油膜の厚さに依存しており、用途毎に適切な厚さの油膜を固体表面に形成することで充分な摩擦低減効果が得られる。しかし、潤滑油組成物の粘度が使用する温度によって大きく変化すると、それに伴って油膜の厚さが変化し、摩擦低減効果が安定して得られない。例えば、低温で潤滑油組成物の粘度が高くなりすぎると、均一な油膜を形成できなくなる。また高温で潤滑油組成物の粘度が低くなりすぎると、油膜が薄くなって摩擦低減効果が低下してしまう。
【0003】
このように、摩擦低減効果を安定して得るためには、潤滑油組成物における温度変化に対する粘度変化の度合いを小さくすることが必要である。温度変化に対する粘度変化の度合いは粘度指数で表され、粘度指数が高いほど温度変化に対する粘度変化の度合いが小さい。
潤滑油分野で最も一般的な基油である鉱油などの潤滑油基油は、粘度指数が低く、温度変化により油膜が大きく変化するため、そのままでは摩擦低減効果が安定して得られない。そこで、従来では、粘度指数向上剤と呼ばれるポリマーを配合するか、粘度指数の高いポリアルキレングリコール(PAG)などの基油を配合して潤滑油組成物とし、粘度指数を高めることでその品質を担保している。
【0004】
しかしながら、既存の粘度指数向上剤やPAGはそれ自身が高粘度であり、大量に配合するとその潤滑油組成物の動粘度が非常に高くなる。そのため、油圧作動油、金属加工油、グリース油、軸受け油など、特に低動粘度を要求される用途では、粘度指数向上剤やPAGの配合量に限界がある。つまり、潤滑油基油に粘度指数向上剤やPAGを配合することで、動粘度が低く、かつ粘度指数が高い潤滑油組成物を得ることは困難である。
また、粘度指数向上剤を配合した潤滑油組成物には、油成分にせん断力が加わると動粘度が低下し、潤滑油としての性能が維持できないという問題もある。
【0005】
そこで、粘度指数向上剤やPAGを配合しなくても、動粘度が低く、粘度指数が高い潤滑油基油が求められている。動粘度を低くし、かつ粘度指数を高めた潤滑油基油としては、例えば、以下に示すものが示されている。
(1)脂肪酸とアルコール(モノエーテル)とのエステル化反応により得られる、軸受け油用の潤滑油基油。
(2)オレイン酸2−ヒドロキシエチルのエステル交換により得られるオレイン酸2−ブトキシエチルなどの、スピンドルモーター用軸受け油用の潤滑油基油。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−179773号公報
【特許文献2】特開2002−206094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、前述した潤滑油基油(1)および(2)では、いまだ高い摩擦低減効果を安定して得ることが困難であり、特に低動粘度を要求される用途において、低い動粘度と高い粘度指数がより高い次元で両立された潤滑油基油が望まれている。
【0008】
本発明は、油圧作動油、金属加工油、グリース油、軸受け油など、特に低動粘度と高粘度指数を要求される用途に好適に使用できる、低い動粘度と高い粘度指数がより高い次元で両立された潤滑油基油の提供を目的とする。
また、本発明は、低い動粘度と高い粘度指数がより高い次元で両立された潤滑油基油を製造する方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。
[1]下式(1)で表される構造を有し、下式(I)で表されるナロー率Nが80%以下である脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含むことを特徴とする潤滑油基油。
【0010】
【化1】

【0011】
(ただし、式(1)中、Rは炭素数9〜19の直鎖状の一価の炭化水素基であり、Rは炭素数1〜8の直鎖状、分岐状または環状の一価の炭化水素基であり、Qは炭素数2〜4のオキシアルキレン基である。nはアルキレンオキシドの平均付加モル数を示し、3〜9である。)
【0012】
【数1】

【0013】
(ただし、式(I)中、iはアルキレンオキシドの付加モル数であり、nMAXは前記式(1)で表される脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルにおいて、質量基準で最も多い脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルのアルキレンオキシドの付加モル数である。また、Yは、前記式(1)で表される脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルにおける、アルキレンオキシドの付加モル数がiの脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの含有量(質量%)である。)
[2]前記脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルは、下式(II)で表されるナロー率Nが60%以下である、前記[1]に記載の潤滑油基油。
【0014】
【数2】

【0015】
(ただし、式(II)中、jはアルキレンオキシドの付加モル数であり、nMAXは前記式(1)で表される脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルにおいて、質量基準で最も多い脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルのアルキレンオキシドの付加モル数である。また、Yは、前記式(1)で表される脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルにおける、アルキレンオキシドの付加モル数がjの脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの含有量(質量%)である。)
[3]前記脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルは、オキシアルキレン基としてオキシプロピレン基を有する、前記[1]または[2]に記載の潤滑油基油。
[4]油圧作動油、金属加工油、グリース油または軸受け油のいずれかに用いられる、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の潤滑油基油。
[5]アルミナ・マグネシア複合酸化物を焼成して得られる触媒の存在下、下式(2)で表される脂肪酸エステルにアルキレンオキシドを反応させ、下式(1)で表される脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを得る工程を有する、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の潤滑油基油の製造方法。
【0016】
【化2】

【0017】
(ただし、式中、Rは炭素数9〜19の直鎖状の一価の炭化水素基であり、Rは炭素数1〜8の直鎖状、分岐状または環状の一価の炭化水素基であり、Qは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、nはアルキレンオキシドの平均付加モル数を示し、3〜9である。)
[6]前記のアルミナ・マグネシア複合酸化物を焼成して得られる触媒が、下式(3)で表される化合物、および下式(4)で表される化合物からなる群から選ばれる1種以上を焼成して得られる触媒である、前記[5]に記載の潤滑油基油の製造方法。
【0018】
【化3】

【0019】
(ただし、式(3)中、αは2〜18であり、βは0〜20である。また、式(4)中、xは0.1以上0.5以下であり、An−1はCO2−、SO2−、OH、Fe(CN)3−またはCHCOOのいずれかであり、γは0〜20である。)
【発明の効果】
【0020】
本発明の潤滑油基油は、低い動粘度と高い粘度指数がより高い次元で両立されている。そのため、油圧作動油、金属加工油、グリース油、軸受け油など、特に低動粘度と高粘度指数を要求される用途に好適に使用できる。
また、本発明の製造方法によれば、低い動粘度と高い粘度指数がより高い次元で両立された潤滑油基油が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の潤滑油基油は、下式(1)で表される構造を有する脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(以下、「化合物(1)」という。)を含む基油である。
【0022】
【化4】

【0023】
ただし、化合物(1)におけるRは、炭素数9〜19の直鎖状の一価の炭化水素基であり、Rは炭素数1〜8の直鎖状、分岐状または環状の一価の炭化水素基であり、Qは炭素数2〜4のオキシアルキレン基である。また、nはアルキレンオキシド(以下、「AO」という。)の平均付加モル数を示し、3〜9である。
【0024】
の炭化水素基は、飽和炭化水素基であってもよく、不飽和炭化水素基であってもよいが、潤滑油基油としての酸化安定性が良いという点から、化合物(1)のヨウ素価が100以下であることが好ましい。
の炭素数は、9〜19であり、11〜17であることが好ましく、15〜19であることがより好ましい。Rの炭素数が9以上であれば、高い粘度指数が得られ、Rの炭素数が多いほど粘度指数が高くなる。Rの炭素数が19以下であれば、特に低温領域において動粘度が大きくなりすぎることを防止できる。
化合物(1)の脂肪酸部(RCO部)に対応する脂肪酸の具体的な例としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、パーム由来C18混合脂肪酸などが挙げられる。なかでも、低温での流動性が高い潤滑油基油が得られる点から、ラウリン酸、オレイン酸、パーム由来C18混合脂肪酸が好ましく、粘度指数が優れる点で、オレイン酸、パーム由来C18混合脂肪酸がより好ましい。
【0025】
の炭化水素基は、飽和炭化水素基であってもよく、不飽和炭化水素基であってもよい。
の炭素数は、1〜8であり、1〜4が好ましい。Rの炭素数が8以下であれば、特に低温領域において動粘度が大きくなりすぎることを防止できる。
の具体的な例としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、イソブチル基、n−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基などが挙げられる。好ましくは、動粘度がより低い潤滑油が得られる点で、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基であり、更に好ましくはメチル基である。
【0026】
Qは、炭素数2〜4のAOが付加されることで形成されるオキシアルキレン基であり、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基が挙げられる。なかでも、低い動粘度と高い粘度指数を高度に両立させやすい点から、オキシエチレン基、オキシプロピレン基が好ましく、低温での流動性が良い潤滑油が得られることから、オキシプロピレン基が特に好ましい。化合物(1)におけるQは、1種のオキシアルキレン基のみであってもよく、2種以上のオキシアルキレン基が含まれていてもよい。オキシアルキレン基が2種以上である場合、それらはランダムに付加されていてもよくブロック状に付加されていてもよい。
【0027】
化合物(1)は、Qとして、オキシプロピレン基のみを有するか、オキシプロピレン基と、オキシエチレン基および/またはオキシブチレン基を混合して有することが好ましく、オキシプロピレン基のみを有するか、オキシプロピレン基とオキシエチレン基を有することがより好ましく、オキシプロピレン基のみを有することがさらに好ましい。
化合物(1)の全オキシアルキレン基におけるオキシプロピレン基の割合は、40%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましく、100%が特に好ましい。全オキシアルキレン基におけるオキシプロピレン基の割合が多いほど、化合物(1)の親水性が低くなり、吸湿性が低くなるため、水分の混入によって潤滑油基油が泡立つことを抑制しやすく、また鉱油など他の潤滑油基油との相溶性が向上する。
【0028】
AOの平均付加モル数nは、3〜9であり、3〜7が好ましい。nが3以上であれば、低い動粘度と高い粘度指数を両立させることができる。nが9以下であれば、化合物(1)の生分解性が高くなる上、生産性の点でも有利である。
【0029】
化合物(1)におけるRの炭素数とAOの平均付加モル数との関係は、低動粘度と高粘度指数を高度に両立させやすい点から、以下のようになっていることが好ましい。
(a)R=C19(炭素数9)の場合
Qがオキシプロピレン基のみであればnは3〜9が好ましい。また、Qがオキシプロピレン基およびオキシエチレン基を有し、nが9であれば、POの平均付加モル数は4モル以上が好ましい。
(b)R=C1123(炭素数11)の場合
Qがオキシプロピレン基のみであればnは3〜8が好ましい。また、Qがオキシプロピレン基およびオキシエチレン基を有し、nが9であれば、POの平均付加モル数は4〜6モルが好ましい。
(c)R=C1327(炭素数13)の場合
Qがオキシプロピレン基のみであればnは3〜8が好ましい。また、Qがオキシプロピレン基およびオキシエチレン基を有し、nが9であれば、POの平均付加モル数は4〜6モルが好ましい。
(d)R=C1531(炭素数15)の場合
Qがオキシプロピレン基のみであればnは3〜7が好ましい。また、Qがオキシプロピレン基およびオキシエチレン基を有し、nが9であれば、POの平均付加モル数は4〜5モルが好ましい。
(e)R=C1733(炭素数17)の場合
Qがオキシプロピレン基のみであればnは3〜7が好ましい。また、Qがオキシプロピレン基およびオキシエチレン基を有し、nが9であれば、POの平均付加モル数は4モルが好ましい。
(f)R=C1937(炭素数19)の場合
Qがオキシプロピレン基のみであればnは3〜6が好ましい。また、Qがオキシプロピレン基およびオキシエチレン基を有し、nが9であれば、POの平均付加モル数は4モルが好ましい。
【0030】
化合物(1)は、1種のみが単独で含まれていてもよく、2種以上が混合されていてもよい。
化合物(1)としては、低動粘度と高粘度指数をより高度に両立できる点で下記化合物(11)および化合物(12)が好ましい。
化合物(11):C17−CH=CH−C14−CO−(OC−O−CH (n=3〜7)
化合物(12):C1123−CO−(OC−O−CH (n=3〜7)
また、化合物(11)においては、n=5がより好ましい。
【0031】
本発明における化合物(1)の下式(I)で表されるナロー率Nは、80%以下であり、40〜80%が好ましく、40〜75%がより好ましく、40〜65%が特に好ましい。ナロー率Nが80%以下であれば、充分に高い粘度指数の潤滑油基油が得られ、ナロー率Nが低いほど高い粘度指数の潤滑油基油が得られやすい。また、ナロー率Nが40%以上であれば、一回のAO付加反応で容易に製造でき、製造コスト低減できる。また、臭気の発生、引火点の低下、流動性の低下などの品質低下の抑制も容易である。
【0032】
【数3】

【0033】
ただし、式(I)中、iはアルキレンオキシドの付加モル数であり、nMAXは化合物(1)において、質量基準で最も多い脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルのAOの付加モル数である。また、Yは、化合物(1)における、AOの付加モル数がiの脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの含有量(質量%)である。
なお、nMAXについては、質量基準で最も多い脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルが2種ある場合、それらのうちAOの付加モル数が多い方よりもAOの付加モル数が1つ多いものと、AOの付加モル数が少ない方よりもAOの付加モル数が1つ少ないものとを比較し、その量が多い側の脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルのAOの付加モル数をnMAXとする。例えば、i=4とi=5の脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルが等量で、かつそれらがそれぞれ質量基準で最も多い場合、i=3の脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルと、i=6の脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを比較し、i=3の脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの方が多ければnMAX=4とする。一方、i=6の脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの方が多ければnMAX=5とする。なお、化合物(1)中のnはAOの平均付加モル数であるが、化合物(1)は広い付加モル数分布を有し、n=3の場合でも、化合物(1)中には、AO付加モル数が1や2の化合物を含有する。また、n=9の場合も、AO付加モル数が10、11、12などの高付加モル体を含有する。ナロー率の算出には、これらの構造の含有率(質量%)も算入した上で行なう。すなわち、iは1以上の整数を取り得る数である。
【0034】
また、化合物(1)の下式(II)で表されるナロー率Nは、60%以下が好ましく、20〜60%がより好ましく、20〜50%がさらに好ましい。ナロー率Nが60%以下であれば、低い動粘度でより高い粘度指数の潤滑油基油が得られやすく、ナロー率Nが低いほど高い粘度指数の潤滑油基油が得られる。また、ナロー率Nが20%以上であれば、製造コストが高くなりすぎず経済性に優れ、また臭気の発生、引火点の低下、流動性の低下などの品質低下を抑制しやすい。
【0035】
【数4】

【0036】
ただし、式(II)中、jはアルキレンオキシドの付加モル数であり、nMAXは化合物(1)において、質量基準で最も多い脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルのAOの付加モル数である。また、Yは、化合物(1)における、AOの付加モル数がjの脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの含有量(質量%)である。
なお、質量基準で最も多い脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルが2種ある場合のnMAXについては、式(I)の場合と同じである。
【0037】
ナロー率NおよびNは、ガスクロマトグラフ分析により、脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの全量に対する、アルキレンオキシドの付加モル数毎の各々の脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの含有量(%)を測定し、前記式(I)および式(II)により算出することで求められる。
【0038】
本発明の潤滑油基油は、低動粘度と高粘度指数の両立を妨げない範囲内であれば、化合物(1)以外の他の成分が含まれていてもよい。
他の成分としては、例えば、鉱油、ポリαオレフィン、イソブテンなどの炭化水素油、ジオクチルセバケート(DOS)やジオクチルアジペート(DOA)、ネオペンチルジオレートなどのジエステル、トリメチロールプロパントリカプリレート、トリメチロールプロパントリオレートなどのトリエステル、ペンタエリスリトールトリカプリレートなどのポリオールエステル、コンプレックスエステル、脂肪酸アルキルエステル、菜種油や米糠油、大豆油などの植物油といった他の潤滑油基油などが挙げられる。
潤滑油基油(100質量%)における他の成分の含有量は、低動粘度と高粘度指数を両立するうえで、30質量%以下が好ましい。
【0039】
本発明の潤滑油基油の40℃における動粘度は、5〜30mm/秒が好ましく、5〜25mm/秒がより好ましく、5〜22mm/秒がさらに好ましい。40℃における動粘度が5mm/秒以上であれば、高温下において動粘度が低下して油膜が薄くなりすぎることを抑制しやすい。そのため、油膜切れが生じ、摩擦を低減しようとする金属面などの接触、磨耗などが起こることを抑制しやすい。40℃における動粘度が30mm/秒以下であれば、低摩擦損失(低トルク)で省エネとなり、潤滑油基油の持ち出しが少なく経済的である。
化合物(1)の40℃動粘度は、POの付加モル数が1モル(Mw58)増える毎に3〜5mm/秒増加すると考えられる。
【0040】
本発明の潤滑油基油の100℃における動粘度は、2〜10mm/秒が好ましく、2〜8mm/秒がより好ましく、2〜6mm/秒がさらに好ましい。100℃における動粘度が2mm/秒以上であれば、油膜が薄くなりすぎることを抑制しやすい。100℃における動粘度が10mm/秒以下であれば、低摩擦損失(低トルク)で省エネとなり、潤滑油基油の持ち出しが少なく経済的である。
【0041】
40℃および100℃における動粘度は、JIS K2283に準拠して測定される。例えば、試料をキャノンフェンスケ型動粘度管に採取し、40℃、または100℃に保持した恒温槽で30分以上保温し、該キャノンフェンスケ型動粘度管において一定高さから試料を流下させた際の時間を計測することで求められる。
【0042】
本発明の潤滑油基油の粘度指数は、180以上が好ましく、190以上がより好ましく、200以上がさらに好ましい。粘度指数が180以上であれば、温度変化による動粘度の変化が小さくなり、幅広い温度範囲で高い摩擦低減効果が安定して得られやすい。また、本発明の潤滑油基油を別の基油と混合した際の潤滑油組成物の粘度指数も向上する。さらに、粘度指数向上剤を添加する場合も、その添加量が少なくなるので、せん断による粘度低下の度合いが少なくなる。
【0043】
粘度指数はJIS K2283に準拠し、前記方法で測定した40℃および100℃の動粘度を下式(III)および下式(IV)に引用することで算出される。
粘度指数=(10−1)/0.00715+100 (III)
N=(logH−logU)/logY (IV)
ただし、前記式(III)および式(IV)における各記号は以下の意味を示す。
U:試料の40℃における動粘度(mm/秒)。
Y:試料の100℃における動粘度(mm/秒)。
H:100℃において試料と同一の動粘度をもつ、粘度指数100の石油製品の40℃における動粘度(mm/秒)。JIS K2283の付表から該当する動粘度を読み取って引用する。
N:YをHとUの比に一致させるために必要なべき数。
【0044】
本発明の潤滑油基油は、特に低動粘度で高い粘度指数が要求される用途での使用が好ましい。すなわち、潤滑部の初動時の温度が室温付近で、使用中に温度上昇が起こる用途であって、使用時の温度が主に0〜130℃の範囲であり、かつ低動粘度を要求される潤滑部への使用に適する。そのような用途としては、特に、油圧作動油、金属加工油、グリース油または軸受け油のいずれかの基油として用られることが好ましい。なかでも、油圧作動油の基油として用いられることがより好ましく、ダンパー油、ショックアブソーバー油、制震装置に封入される油などの緩衝器用油圧作動油の基油として用いられることが特に好ましい。
【0045】
油圧作動油、金属加工油、グリース油、軸受け油などの潤滑油組成物には、本発明の潤滑油基油以外に、必要に応じて、鉱油、ポリαオレフィン、イソブテンなどの炭化水素油、ジオクチルセバケート(DOS)やジオクチルアジペート(DOA)、ネオペンチルジオレートなどのジエステル、トリメチロールプロパントリカプリレート、トリメチロールプロパントリオレートなどのトリエステル、ペンタエリスリトールトリカプリレートなどのポリオールエステル、コンプレックスエステル、脂肪酸アルキルエステル、菜種油や米糠油、大豆油などの植物油といった他の潤滑油基油などが配合できる。具体的には、合成ヒンダードエステル(日油株式会社製、商品名「ユニスターH−312R」、40℃動粘度33.7mm/秒、粘度指数158)、「ユニスターH−481D」、40℃動粘度129mm/秒、粘度指数112)、PAG(株式会社ADEKA製、商品名「カーポールDL−50」、40℃動粘度50.5mm/秒、粘度指数120)など市販の潤滑油の動粘度を下げ、かつ粘度指数を改善する目的で、本発明の潤滑油基油を配合できる。
【0046】
また、必要に応じて、酸化防止剤、極圧剤、摩擦調整剤、金属不活性化剤、流動帯電防止剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、清浄分散剤、分子修復剤、乳化剤などの添加剤などを添加することも可能である。特に粘度指数向上剤を添加することで、更に高粘度指数にすることが可能である。具体的にはメタクリレート系ポリマー(三洋化成工業株式会社製、商品名「アクルーブ136」、「サンルーブ1703」)などが挙げられる。
これらの添加剤の添加量は、潤滑油組成物のコストが高くなる点から、通常50質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、特に好ましくは20質量%以下である。特に粘度指数向上剤については、添加量は0.01〜5質量%が好ましい。粘度指数向上剤を5質量%以上添加すると、潤滑油組成物の動粘度が増加しすぎるおそれがある。粘度指数向上剤の添加量が0.01質量%以下であると、粘度指数向上の効果が充分に発揮されないおそれがある。
【0047】
[潤滑油基油の製造方法]
潤滑油基油の製造方法としては、1段階の反応でナロー率N、Nがより低い化合物(1)を簡便に製造でき、低動粘度で粘度指数がより高い潤滑油基油が得られやすい点から、脂肪酸エステルにAOを直接付加して化合物(1)を得る工程を有する方法(以下、「方法(i)」という。)が好ましい。該工程により化合物(1)を得た後、必要に応じて他の成分を添加することにより、本発明の潤滑油基油が得られる。
【0048】
方法(i)において、脂肪酸エステルにAOを直接付加させる方法としては、例えば、アルミナ・マグネシア複合酸化物を焼成して得られる触媒の存在下に、下式(2)で表される脂肪酸エステル(以下、「化合物(2)」という。)にAOを高温、高圧条件で反応させる方法が挙げられる。
【0049】
【化5】

【0050】
ただし、化合物(2)におけるR、Rは化合物(1)におけるR、Rと同じである。
化合物(2)としては、カプリン酸メチル、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、ミリストレイン酸メチル、パルミチン酸メチル、パルミトレイン酸メチル、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチル、リノール酸メチル、リノレン酸メチル、パーム由来C18混合脂肪酸メチルなどが挙げられる。
【0051】
方法(i)で用いられる触媒は、下式(3)で表されるアルミナ・マグネシア複合酸化物、或いは下式(4)で表されるハイドロタルサイトを、焼成して得られる触媒(以下、「触媒(3)」、「触媒(4)」という。)が好ましい。
【0052】
【化6】

【0053】
ただし、式(3)におけるαは2〜18であり、βは0〜20である。
また、式(4)におけるxは0.1以上0.5以下であり、An−1はCO2−、SO2−、OH、Fe(CN)3−またはCHCOOのいずれかであり、γは0〜20である。
アルミナ・マグネシア複合酸化物は、公知の方法で製造でき、また市販品を用いてもよい。例えば、式(3)に該当する商品名「キョーワード300SN」、「キョーワード300AS」(協和化学工業株式会社製)や、式(4)に該当する「キョーワード500」、「キョーワード1000」(協和化学工業株式会社製)などのハイドロタルサイトを用いることができる。これらを400〜1000℃で0.5〜12時間焼成することにより本発明に適用可能な触媒を製造できる。なお、焼成温度としては、600〜950℃が主反応と副反応のバランスに優れる点で好ましい。
【0054】
アルミナ・マグネシア複合酸化物を焼成して得られる触媒において、AlとMgのモル比(Al/Mg)は、0.1/0.9〜0.5/0.5が好ましい。モル比(Al/Mg)が0.5/0.5以下であれば、副生物が生じ難い。モル比(Al/Mg)が0.1/0.9以上であれば、充分な反応性が得られやすい。また、ナロー率N、Nが低い化合物(1)が得られやすい。
【0055】
AOの直接付加の反応温度は、140〜190℃が好ましい。
また、AOの直接付加の反応圧力は、0.1〜0.7MPaが好ましい。
脂肪酸アルキルエステルにAOを付加させる、アルミナ・マグネシア複合酸化物を焼成して得られる触媒は、通常、アルカリ被毒処理を行うことで、得られる付加体におけるAOの付加モル数分布を狭くすることができる。アルカリ被毒処理とは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、炭酸カリウムなどの塩基性物質を触媒と混合し、必要に応じて脱水操作などを行って触媒表面を改質する処理である。
しかし、本発明においては、アルミナ・マグネシア複合酸化物を焼成して得られる触媒にはアルカリ被毒処理を行わないことが好ましい。これにより、ナロー率N、Nがより低い、すなわちAOの付加モル数の分布が広い化合物(1)が容易に得られる。
【0056】
方法(i)においては、化合物(2)にAOを付加させる前に、化合物(2)を含む原料(AOを含んでいないもの)の水分量を低減することが好ましい。これにより、副反応の出発物質であるOH基を低減させることで、副生物であるポリアルキレングリコール(PAG)の生成量をより少なくすることができ、不溶性であるPAGによる液外観の濁りをより効率的に抑制できる。
【0057】
化合物(2)にAOを直接付加させて得られる反応物中のPAG含有量は、0.1質量%以下が好ましく、0.01質量%未満がより好ましい。
AOの付加反応に用いる原料の水分量は、200質量ppm以下が好ましく、100質量ppm以下がより好ましく、60質量ppm以下が特に好ましい。
【0058】
原料の水分量を低減する方法は、特に限定されず、下記方法(A)〜(E)が好ましい。
(A)減圧度が0.4KPa以下の高減圧度で脱水する方法。該脱水処理の温度はできるだけ高温が好ましく、60℃以上が好ましい。
(B)160℃以上の高温で脱水処理する方法。減圧度はできるだけ低い方が好ましく、1.3KPa以下が好ましい。
(C)エタノールを添加し、水との共沸混合物を形成させた後、蒸留することで脱水する方法。蒸留温度は共沸混合物の沸点付近が好ましく、50℃〜120℃が好ましい。蒸留時の圧力は常圧が好ましい。
(D)窒素ガスによりバブリングすることで脱水する方法。温度は40〜150℃が好ましく、圧力は13.3KPa以下が好ましい。
(E)窒素ガスを圧力が0.1MPaになるまで導入し、続いて1.0KPa以下まで減圧することで、窒素ガスと共に水を除去して脱水する方法。温度は60〜150℃が好ましく、窒素ガスの導入圧力は0.2MPa以下が好ましく、減圧度は1.0KPa以下が好ましい。
原料の水分量を低減する方法としては、得られる潤滑油基油の品質への影響が少なく、比較的安価に目標水分量まで脱水が可能である点から、方法(A)、(D)および(E)がより好ましい。
【0059】
本発明の潤滑油基油の製造方法は、前記方法(i)には限定されない。例えば、アルコールにAOを付加させた後、脂肪酸とエステル化を行うか、または脂肪酸と低級アルコールとのエステルとエステル交換させて化合物(1)を得る工程を有する方法(以下、「方法(ii)」という。)を用いてもよい。該工程により化合物(1)を得た後、必要に応じて他の成分を添加することにより、本発明の潤滑油基油が得られる。
【0060】
アルコールへのAOの付加反応の触媒としては、公知の触媒が使用でき、例えば、ナトリウムメトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウムなどが挙げられる。
前記AOの付加反応の温度は、80〜190℃が好ましい。
また、前記AOの付加反応の圧力は、0.1〜0.7MPaが好ましい。
【0061】
エステル化に用いる脂肪酸としては、化合物(2)のRを水素とした脂肪酸が挙げられる。
エステル交換に用いる脂肪酸と低級アルコールのエステルとしては、例えば、化合物(2)で挙げたものなどが挙げられる。
【0062】
脂肪酸とアルコールAO付加体とのエステル化反応の触媒は特に限定されず、例えば、硫酸、p−トルエンスルホン酸(p−TS)、ベンゼンスルホン酸(BS)などの酸触媒、無機酸化物触媒であるZrO、TiO、SiO、PO、Al、ZnOなどが挙げられる。
エステル交換反応の触媒としては、例えば、リチウム、セシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、バリウム、カルシウムなどの水酸化物、炭酸水素塩、炭酸塩、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシドなどの塩基性触媒、チタン系のテトライソプロピルチタネート、テトラn−ブチルチタネート、テトラエタノールアミンチタネート、テトラステアリルチタネートなどが挙げられる。
【0063】
エステル化反応は、公知の方法で行うことができ、例えば、常温〜200℃まで段階的に昇温しながら、常圧〜0.7KPaまで段階的に減圧し、副生する水を除去することにより行うことができる。
エステル交換反応も公知の方法で行うことができ、例えば、100〜220℃に段階的に昇温しながら、常圧〜0.7KPaまで段階的に減圧し、副生するアルコール類を除去することで行うことができる。
【0064】
アルコールにAOを付加した付加体としては、付加反応後に蒸留などの精製処理により付加モル数分布を狭く、ほぼ単一付加モル数としたものが市販されている。しかし、本発明では、該付加体を、蒸留などの精製によってAOの付加モル数の分布を狭くすることなく前記エステル化またはエステル交換に用いることで、ナロー率N、Nが低い化合物(1)を得ることができる。
【0065】
以上説明した本発明の潤滑油基油は、ナロー率Nが80%以下、すなわちAOの付加モル数の分布が広い化合物(1)を用いることで、低い動粘度で、かつ高い粘度指数の潤滑油基油が得られる。加えて、ナロー率Nが60%以下にすれば、化合物(1)におけるAOの付加モル数の分布がさらに広くなり、低い動粘度で、より高い粘度指数の潤滑油基油が得られる。
【0066】
本発明のような潤滑油基油は、油圧作動油などの潤滑油組成物を製造する際、通常、鉱油などの他の基油や、種々の添加剤など他の成分が配合される。このとき、用途毎に要求される動粘度範囲や配合成分との相溶性などを考慮して、Rの炭素数やAOの平均付加モル数を設定する。従来、Rの炭素数を変えると粘度指数が大きく低下することがあった。しかし、本発明の潤滑油基油は、AOの付加モル数の分布を広くすることで、Rの炭素数を変えても高い粘度指数が確保でき、広い領域で安定した摩擦低減効果が得られる。
【実施例】
【0067】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の記載によっては限定されない。
本実施例における潤滑油基油の動粘度および粘度指数の測定方法、ならびに脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルのナロー率N、Nの測定方法を以下に示す。
[動粘度]
動粘度(単位:mm/秒)は、JIS K2283に準拠して測定した。具体的には、試料をキャノンフェンスケ型動粘度管に採取し、40℃、または100℃に保持した恒温槽で30分以上保温した。その後、該キャノンフェンスケ型動粘度管において一定高さから試料を流下させた際の時間を計測し、各温度における動粘度(単位:mm/秒)を求めた。
【0068】
[粘度指数(VI)]
粘度指数はJIS K2283に準拠し、前記方法で測定した40℃および100℃の動粘度を下式(III)および下式(IV)に引用して算出した。
粘度指数=(10−1)/0.00715+100 (III)
N=(logH−logU)/logY (IV)
ただし、前記式(III)および式(IV)中の記号は以下の意味を示す。
U:試料の40℃における動粘度(mm/秒)。
Y:試料の100℃における動粘度(mm/秒)。
H:100℃において試料と同一の動粘度をもつ、粘度指数100の石油製品の40℃における動粘度(mm/秒)。JIS K2283の付表から該当する動粘度を読み取って引用する。
N:YをHとUの比に一致させるために必要なべき数。
【0069】
[ナロー率]
試料0.5gをアセトン10gに溶解してマイクロシリンジに採取した後、該試料を下記装置に1μL注入して、アルキレンオキシドの付加モル数毎の各々の脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの含有量(%)を測定し、前記式(I)および式(II)によりナロー率N、Nを算出した。
装置;
ガスクロマトグラム:HP−5890(HP製)
検出器:水素炎イオン検出器(FID)
カラム:Ultra2(直径0.25mm×長さ25m、膜厚0.1μm)
分析条件;
注入口温度:320℃
検出器温度:320℃
カラム温度:80℃から昇温速度5℃/分で100℃まで昇温し、さらに昇温速度25℃/分で320℃まで昇温して20分間保持した。
キャリアガス:ヘリウムガス
スプリット比:50対1
スプリットベント流量:50mL/分
パージベント流量:3.5mL/分
【0070】
[未反応の脂肪酸メチルの定量]
内部標準としてラウリン酸メチル(またはオレイン酸メチル)の0.06gを、試料の2gと共にアセトン4gに溶解し、マイクロシリンジに採取した後、その2μLを下記装置に注入した。そして、ラウリン酸メチル(またはオレイン酸メチル)の濃度を変更したときのピーク面積と内部標準物質のピーク面積から検量線を作成し、試料中に含まれる未反応物の定量を行った。
未反応の脂肪酸メチルの測定の条件を以下に示す。
装置条件;
ガスクロマトグラム:GC−14A(株式会社島津製作所製)
検出器:FID
カラム:ガラス製(直径3mm×長さ1m)
充填剤:2%silicon OV−1(60/80メッシュ)
測定条件;
注入口温度:320℃
検出器温度:320℃
キャリアガス:N(50mL/分)、H(0.75kg/cm)、空気(0.5kg/cm
カラム温度:100℃から昇温速度10℃/分で230℃まで昇温し、さらに昇温速度30℃/分で320℃まで昇温して22分間保持した。
【0071】
[未反応のメタノール(メタノール−PO付加体)の定量]
カラム温度の条件を以下に示すとおりに変更し、アセトンに溶解せずに測定した以外は、前記未反応の脂肪酸メチルの定量と同様にして未反応のメタノール(メタノール−PO付加体)を定量した。
カラム温度:40℃から昇温速度10℃/分で230℃まで昇温し、さらに昇温速度30℃/分で320℃まで昇温して20分間保持した。
【0072】
[AOの平均付加モル数]
AOの平均付加モル数は、原料およびアルキレンオキシドの仕込み量(質量)の収支から算出した。ただし、AOの付加反応後に蒸留を行った場合には、以下のH−NMR分析により平均付加モル数を求めた。
H−NMR分析)
得られた化合物30mgを4mLの重クロロホルムに溶解し、H−NMR(300MHz、日本電子株式会社製、FT NMR SYSTEM JNM−LA300)にて測定した。重クロロホルムのケミカルシフトを7.30ppm基準とし、ケミカルシフト0.87ppm(脂肪酸の末端メチル)、1.13ppm〜1.15ppm(POの側鎖メチル)、3.32ppm〜3.66ppm(POのメチンとメチレン)、3.52ppm〜3.71ppm(EOのメチレン)の各ピークの積分値比率からAOの平均付加モル数を算出した。
【0073】
(白濁沈殿物量)
各実施例で得られた試料を80℃で30分加熱して均一に溶解した。その後、100mL容比色管(内径25mm×長さ200mm)に100mL採取し、20℃に冷却し、72時間経過後の白濁沈殿物の量を比色管目盛りの値で読み取った。
【0074】
(PPGの定量)
前記方法(i)の反応により副生する高分子PPG(ポリプロピレングリコール)の定量は、以下に示す方法により行った。これらの高分子量体不純物は外観不良を引き起こすこと、目的物の収率を低下させることから、ゼロに近いことが望ましい。なお、100ppm以下をtraceとした。
標準物質としてPPG10000(旭硝子株式会社製プレミノール、分子量10,000)0.25gを、高速液体クロマトグラフィー用THF(純正化学株式会社製)25mLで希釈し、濃度1%PPG溶液とした。さらにTHFにより希釈して、濃度を変えたPPG溶液を用いて検量線を作成した。
試料0.25gをTHFで25mLにメスアップし、高速液体クロマトグラムに2000μL注入し、得られたピーク高さと検量線から試料中に含まれるPPGの定量を行った。
装置条件:
高速液体クロマトグラム:PLC−561(GLサイエンス製)
検出器:RI−704(GLサイエンス製)
カラム:Diol(直径20mm×長さ250mm)
測定温度:40℃
溶媒:THF(純正化学株式会社製、高速液体クロマト用)
流速:5mL/分
【0075】
[実施例1]
4Lオートクレーブ内の窒素置換を2度行った後、メタノール(純正化学株式会社製)388gと、触媒として28%ナトリウムメトキシドを8.9gを仕込んだ。その後、90℃まで昇温し、プロピレンオキシド(PO)を2,112g(メタノール1モルに対して3.0モルに相当)を徐々に導入してPO付加反応を行った。所定量のPO導入時の圧力は0.48MPaであった。反応進行とともに圧力が低下し、2時間後に0.39MPaで一定となるまでPO付加反応を継続して行い、中間体(A1)(メタノール−3PO体)を得た。
次いで、941gの中間体(A1)を4Lオートクレーブに仕込み、さらにPO1060g(中間体(A1)の1モルに対して4モルに相当)を徐々に導入してPO付加反応を行った。所定量のPO導入時の圧力は0.49MPaあった。その圧力が反応進行とともに低下し、2時間後に0.38MPaで一定となるまでPO付加反応を継続して行った。その後、キョーワード600Sおよびキョーワード700SL(以上、協和化学工業株式会社製)を各18g(粗製物に対して1質量%)添加し、95℃で30分間攪拌して触媒の吸着処理を行い、80℃で加圧ろ過による固液分離を行うことで中間体(A2)(メタノール−7PO体)を得た。
【0076】
その後、攪拌翼付きの5L4つ口フラスコに、中間体(A2)1058gと、ラウリン酸メチル(パーム油由来の炭素数12留分由来の脂肪酸メチルエステル、商品名「パステルM12」、ライオン株式会社製)493g(中間体(A2)1モルに対して0.95モルに相当)と、炭酸水素ナトリウム7.3gを仕込み、攪拌下、常圧から1.3kPaまで段階的に減圧しながら、60℃から210℃まで昇温して、未反応のラウリン酸メチルが2%以下になるまでエステル交換反応を行い、粗製物(A3)を得た。その後、1000gの粗製物(A3)に対し、キョーワード500SH(協和化学工業株式会社製)を10g(粗製物(A3)に対し1質量%)添加し、95℃で1時間加熱して吸着処理を行った。さらに、ハイフロスーパーセル(セライト社製)10g(粗製物(A3)に対し1質量%)を添加し、均一に分散させた後、80℃で加圧ろ過を行うことで、POの平均付加モル数が7モルの化合物(1−1)(M12−7PO、R=C1123、R=CH)を得た。
【0077】
[実施例2]
実施例1で得られた中間体(A2)938gに対し、脂肪酸メチルエステルとして、ラウリン酸メチルの代わりにオレイン酸メチル(パーム油由来の炭素数18留分由来の脂肪酸メチルエステル、ヨウ素価91、商品名「パステルM182」、ライオン株式会社製)607g(中間体(A2)1モルに対して0.95モル)を使用した以外は、実施例1と同様にして、POの平均付加モル数が7モルの化合物(1−2)(M182−7PO、R=C1733、R=CH)を得た。
【0078】
[実施例3]
実施例1で得た中間体(A1)を、常圧で75℃から130℃まで段階的に昇温し、残存している未反応のメタノールおよびメタノール−1PO(PO付加モル数:1)が1質量%以下となるまで蒸留を行い、さらに段階的に0.7kPaまで減圧しながら70℃から220℃まで段階的に昇温して減圧蒸留を行って留出液を採取し、高沸点の塔底分を除去した中間体(C1)を得た。中間体(C1)におけるPOの平均付加モル数は3モルであった。
次いで、中間体(C1)857gに対し、28%ナトリウムメトキシドを6.4g添加した後、エチレンオキシド(EO)を881g(中間体(C1)1モルに対して4モルに相当)を導入してEO付加反応を行った。反応終了後、175℃から220℃まで段階的に昇温しつつ、1.3kPaまで減圧して再度蒸留を行った後、実施例1と同様の吸着処理を行って中間体(C2)(メタノール−3PO−5EO)を得た。
【0079】
その後、中間体(C2)を853g、オレイン酸メチル(商品名「パステルM182」、ライオン株式会社製)を566g(中間体(2C)1モルに対して0.95モル)用いた以外は、実施例1と同様にして、平均付加モル数が5モルのEOと平均付加モル数が3モルのPOがこの順に付加した化合物(1−3)(M182−5EO−3PO、R=C1733、R=CH)を得た。
【0080】
[実施例4]
2.5MgO・Al・βHOで表される水酸化アルミナ・マグネシア(商品名「キョーワード300SN」、協和化学工業株式会社製)を、窒素気流下、750℃で3時間焼成し、アルミナ・マグネシア複合酸化物焼成触媒(触媒(3−1)、Al/Mg(モル比)=0.44/0.56)を得た。
4Lオートクレーブに、化合物(4)としてラウリン酸メチル(商品名「パステルM12」)619gと、前記触媒(3−1)7.2gを仕込み、窒素置換を行った。次いで、原料に含まれる水分を除去するため、100℃まで昇温し、1.3kpaで1時間脱水処理を行った。脱水処理後、180℃まで昇温して、窒素により反応容器内を常圧に戻し、PO1,173g(ラウリン酸メチル1モルに対して7モルに相当)を徐々に反応容器内へ導入した。POの導入終了直後の圧力は0.34MPaであり、反応進行とともに低下し、2時間後に0.29MPaで一定となるまでPO付加反応を継続して行った。得られた粗製物(D1)1,350gにハイフロスーパーセル(セライト社製:珪藻土)20.25g(粗製物(D1)に対して1.5質量%)を添加し、均一に分散させた後、80℃で加圧ろ過を行うことで、POの平均付加モル数が7モルの化合物(1−4)(M12−7PO、R=C1123、R=CH)を得た。
【0081】
[実施例5]
ラウリン酸メチル(商品名「パステルM12」)762gに対し、PO1,031g(ラウリン酸メチル1モルに対して5モルに相当)を反応させた以外は、実施例4と同様にして、POの平均付加モル数が5モルの化合物(1−5)(M12−5PO、R=C1123、R=CH)を得た。
【0082】
[実施例6]
ラウリン酸メチル(商品名「パステルM12」)989gに対し、PO804g(ラウリン酸メチル1モルに対して3モルに相当)を反応させた以外は、実施例4と同様にして、POの平均付加モル数が3モルの化合物(1−6)(M12−3PO、R=C1123、R=CH)を得た。
【0083】
[実施例7]
脂肪酸メチルエステルとして、ラウリン酸メチルの代わりにオレイン酸メチル(商品名「パステルM182」)1031gと、触媒(3−1)7.2gを仕込み、POを662g(オレイン酸メチル1モルに対して3モルに相当)導入した以外は、実施例4と同様にしてPOの平均付加モル数が3モルの化合物(1−7)(M182−3PO、R=C1733、R=CH)を得た。
【0084】
[実施例8]
オレイン酸メチル(商品名「パステルM182」)908gに対し、POを885g(オレイン酸メチル1モルに対して5モルに相当)導入した以外は、実施例4と同様にしてPOの平均付加モル数が5モルの化合物(1−8)(M182−5PO、R=C1733、R=CH)を得た。
【0085】
[実施例9]
オレイン酸メチル(商品名「パステルM182」)758gに対し、POを1,035g(オレイン酸メチル1モルに対して7モルに相当)導入した以外は、実施例4と同様にしてPOの平均付加モル数が7モルの化合物(1−9)(M182−7PO、R=C1733、R=CH)を得た。
【0086】
[実施例10]
脂肪酸メチルエステルとして、ラウリン酸メチルの代わりにパルミチン酸メチル(商品名「パステルM16」、ライオン株式会社製)715gを用い、POを1077g(パルミチン酸メチル1モルに対して7モルに相当)導入した以外は、実施例4と同様にしてPOの平均付加モル数が7モルの化合物(1−10)(M16−7PO、R=C1531、R=CH)を得た。
【0087】
[比較例1]
5Lの四つ口フラスコに、ラウリン酸メチル(商品名「パステルM12」)1,105gと、トリプロピレングリコールメチルエーテル(MFTG、日本乳化剤株式会社製)1,032gと、TPT(トリイソプロポキシチタネート)触媒2.5gとを仕込み、窒素置換を行った。その後、窒素を1mL/分の流量で流通させながら、液温が160℃になるまで昇温してエステル交換反応を行い、反応により生成したメタノールを蒸留により除去した。メタノールを除去した後、さらに1.3kPaまで徐々に減圧しながら185℃になるまで昇温し、未反応のラウリン酸メチルとMFTGを2%以下として粗製物(F1)を得た。
次いで、粗製物(F1)1,500gに対し、キョーワード500SHを30g(粗製物(F1)に対して2質量%に相当)添加し、液温を100℃に維持しつつ1時間攪拌し、触媒の吸着処理を行った。その後、さらにろ過助剤としてハイフロスーパーセルを22.5g(粗製物(F1)に対し1.5質量%に相当)添加し、10分攪拌して均一に分散させた後、80℃で加圧ろ過を行うことでPOの平均付加モル数が3モルの化合物(1’−1)(M12−3PO、R=C1123、R=CH)を得た。
【0088】
[比較例2]
脂肪酸メチルエステルとして、ラウリン酸メチルの代わりにオレイン酸メチル(商品名「パステルM182」)1,446gを用い、MFTGの仕込量を1,032gとし、未反応のオレイン酸メチルを除去するために、0.6kPaまで徐々に減圧しながら220℃まで昇温した以外は、比較例1と同様にしてPOの平均付加モル数が3モルの化合物(1’−2)(M182−3PO、R=C1733、R=CH)を得た。
実施例および比較例で得られた化合物(1−1)〜(1−8)、(1’−1)および(1’−2)のナロー率N、Nを表1に示す。また、実施例および比較例で得られた各々の化合物を潤滑油基油として、40℃と100℃の動粘度、および粘度指数の測定した結果を表1に示す。また、表1中の製造方法は、(i)が脂肪酸アルキルエステルにAOを直接付加する方法、(ii)がアルコールにAOを付加したものと、脂肪酸アルキルエステルとでエステル交換を行う方法を意味する。
【0089】
【表1】

【0090】
表1に示すように、ナロー率Nが80%以下の化合物(1)からなる実施例1〜10の潤滑油基油は、動粘度が低く、かつ180以上の高い粘度指数が得られた。また、脂肪酸アルキルエステルにAOを直接付加する方法(方法(i))により化合物(1−4)、(1−9)を製造した実施例4および9と、エステル交換による方法(方法(ii))で同等の構造の化合物(1−1)、(1−2)を製造した実施例1および2の比較から、AOを直接付加する方法で得た化合物(1)の方がナロー率N、Nが低く、より高い粘度指数が得られることが確認された。
【0091】
一方、ナロー率Nが80%超の化合物(1’−1)からなる比較例1の潤滑油基油は、同等の構造を有する化合物(1−6)からなる実施例6の潤滑油基油に比べて粘度指数が低かった。
また、ナロー率Nが80%超の化合物(1’−2)からなる比較例2の潤滑油基油は、同等の構造を有する化合物(1−7)からなる実施例7の潤滑油基油に比べて粘度指数が低かった。
【0092】
また、直接付加法における原料に含まれる水分量の影響を検討した。
[実施例11]
ラウリン酸メチル(商品名「パステルM12」)と触媒(3−1)を仕込み、窒素置換を行った後、原料に含まれる水分量が100質量ppmになるまで脱水処理を行った以外は、実施例4と同様にしてPOの平均付加モル数が7モルの化合物(1−11)(M12−7PO、R=C1123、R=CH)を得た。
【0093】
[実施例12]
ラウリン酸メチル(商品名「パステルM12」)と触媒(3−1)を仕込み、窒素置換を行った後、脱水処理を行わなかった以外は実施例4と同様にしてPOの平均付加モル数が7モルの化合物(1−12)(M12−7PO、R=C1123、R=CH)を得た。
【0094】
[実施例13]
オレイン酸メチル(商品名「パステルM182」)と触媒(3−1)を仕込み、窒素置換を行った後、脱水処理を行わなかった以外は実施例8と同様にしてPOの平均付加モル数が5モルの化合物(1−13)(M182−5PO、R=C1733、R=CH)を得た。
実施例4、8および実施例11〜13における、原料に含まれる水分量、ならびに反応後の副生したポリプロピレングリコール(PPG)の量、および白濁沈殿物の生成量を測定した結果を表2に示す。
【0095】
【表2】

【0096】
表2に示すように、同等の構造を有する化合物(1)である実施例4、11および12において、AOを直接付加する前の原料に含まれる水分量を少なくするほど、副生物であるPPGの生成量が少なくなり、それにより白濁沈殿物量が減って液外観の濁りが効率的に抑制された。同様に、同等の構造を有する化合物(1)である実施例8および13でも、AOを直接付加する前の原料に含まれる水分量を少なくすることでPPGの生成量が少なくなり、液外観の濁りが効率的に抑制された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式(1)で表される構造を有し、下式(I)で表されるナロー率Nが80%以下である脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含むことを特徴とする潤滑油基油。
【化1】

(ただし、式(1)中、Rは炭素数9〜19の直鎖状の一価の炭化水素基であり、Rは炭素数1〜8の直鎖状、分岐状または環状の一価の炭化水素基であり、Qは炭素数2〜4のオキシアルキレン基である。nはアルキレンオキシドの平均付加モル数を示し、3〜9である。)
【数1】

(ただし、式(I)中、iはアルキレンオキシドの付加モル数であり、nMAXは前記式(1)で表される脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルにおいて、質量基準で最も多い脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルのアルキレンオキシドの付加モル数である。また、Yは、前記式(1)で表される脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルにおける、アルキレンオキシドの付加モル数がiの脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの含有量(質量%)である。)
【請求項2】
前記脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルは、下式(II)で表されるナロー率Nが60%以下である、請求項1に記載の潤滑油基油。
【数2】

(ただし、式(II)中、jはアルキレンオキシドの付加モル数であり、nMAXは前記式(1)で表される脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルにおいて、質量基準で最も多い脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルのアルキレンオキシドの付加モル数である。また、Yは、前記式(1)で表される脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルにおける、アルキレンオキシドの付加モル数がjの脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの含有量(質量%)である。)
【請求項3】
前記脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルは、オキシアルキレン基としてオキシプロピレン基を有する、請求項1または2に記載の潤滑油基油。
【請求項4】
油圧作動油、金属加工油、グリース油または軸受け油のいずれかに用いられる、請求項1〜3のいずれかに記載の潤滑油基油。
【請求項5】
アルミナ・マグネシア複合酸化物を焼成して得られる触媒の存在下、下式(2)で表される脂肪酸エステルにアルキレンオキシドを反応させ、下式(1)で表される脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを得る工程を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の潤滑油基油の製造方法。
【化2】

(ただし、式中、Rは炭素数9〜19の直鎖状の一価の炭化水素基であり、Rは炭素数1〜8の直鎖状、分岐状または環状の一価の炭化水素基であり、Qは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、nはアルキレンオキシドの平均付加モル数を示し、3〜9である。)
【請求項6】
前記のアルミナ・マグネシア複合酸化物を焼成して得られる触媒が、下式(3)で表される化合物、および下式(4)で表される化合物からなる群から選ばれる1種以上を焼成して得られる触媒である、請求項5に記載の潤滑油基油の製造方法。
【化3】

(ただし、式(3)中、αは2〜18であり、βは0〜20である。また、式(4)中、xは0.1以上0.5以下であり、An−1はCO2−、SO2−、OH、Fe(CN)3−またはCHCOOのいずれかであり、γは0〜20である。)

【公開番号】特開2011−132470(P2011−132470A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295134(P2009−295134)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】