説明

潤滑油用添加剤、潤滑油組成物及びグリース組成物

【解決課題】少ない添加量で摩擦係数低減効果を発揮する潤滑剤用添加剤並びにこれを含有する潤滑剤組成物及びグリース組成物を提供すること。
【解決手段】陽イオン基及び陰イオンを有する棒状液晶化合物であることを特徴とする潤滑油用添加剤。該潤滑油添加剤を含有することを特徴とする潤滑油組成物。該潤滑油添加剤を含有することを特徴とするグリース組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑油用添加剤並びにこの潤滑油用添加剤を含有する潤滑油組成物及びグリース組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
潤滑油組成物の添加剤として液晶を使用することは、従来から研究されている。例えば、特許文献1には、相対運動可能な機械コンポ−ネントのボデイの間に導入したサ−モトロピツク液晶体等を相転移させることにより、二つの固体ボデイ間に働く摩擦力を簡単に変える方法、特許文献2には、基油と液晶とからなる潤滑油組成物に、摩擦調整剤を添加した潤滑油組成物、特許文献3には、液晶化合物と弗素油を含有することを特徴とする潤滑油組成物、特許文献4には基油と有機モリブデン化合物と液晶とを含有する潤滑油組成物等が開示されている。そして、特許文献1〜4には、潤滑油組成物に、液晶化合物を添加することにより、摩擦係数を低減することが出来る旨が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特表平2−503326号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開平6−128582号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】特開平7−82582号公報(特許請求の範囲)
【特許文献4】特開2004−182855号公報(特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1〜4では、液晶化合物の含有量を、潤滑油組成物中1%以上、好ましくは10%以上にしなければ、実用上効果的な摩擦係数低減効果が得られない。ところが、液晶化合物は、非常に高価であるのに対し、潤滑油組成物は一般に安価であるので、潤滑油組成物に、高価な添加剤を1%以上と多量に添加したのでは、採算が取れない。そのため、液晶化合物を含有する潤滑油組成物は、実用化に到っていないのが実情である。また、これまでにイオン性の液晶化合物を添加した潤滑油組成物の例はない。
【0005】
従って、本発明は、少ない添加量で摩擦係数低減効果を発揮する潤滑油用添加剤並びにこれを含有する潤滑油組成物及びグリース組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記従来技術における課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、(1)陽イオン基及び陰イオンを有する棒状液晶化合物は、イオンの「+」及び「−」の部分を末端に持っているので、この部分が、金属との界面に特異的に配位し易く、また、陽イオン基及び陰イオンを有する棒状液晶化合物は、偏光顕微鏡下で、強力な垂直配列によるスメクチック液晶相を形成し、暗視野となることが観察される。このような特性により、金属界面に、陽イオン基及び陰イオンを有する棒状液晶化合物のイオンの「+」及び「−」の部分が結合し、陽イオン基及び陰イオンを有する棒状液晶化合物が、垂直に配向する分子間配列が形成され、従来とは異なる金属界面特性が発現すること、(2)そのため、陽イオン基及び陰イオンを有する棒状液晶化合物は、極めて少量の添加量でも、実用上有効的な摩擦低減効果を発揮することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明(1)は、陽イオン基及び陰イオンを有する棒状液晶化合物であることを特徴とする潤滑油用添加剤を提供するものである。
【0008】
また、本発明(2)は、前記陽イオン基が、ピリジニウム基又はアンモニウム基であることを特徴とする前記本発明(1)記載の潤滑油用添加剤を提供するものである。
【0009】
また、本発明(3)は、前記棒状液晶化合物が、下記一般式(6):
【0010】
【化1】

【0011】
(一般式(6)中、R及びRは、アルキル基、アルコキシ基、又は下記一般式(4):
【0012】
【化2】

【0013】
(一般式(4)中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、Zは、−(CH−、−(CH−O−、−CO−O−(CH−、−CO−O−(CH−O−、−C−CH−O−又は−CO−を示す。Z中、mは、1〜30の整数である。)
で表される不飽和結合を有する基を示し、Xは、ハロゲン原子を示す。)
で表される4−(1,3−ジオキサ−2−イル)ピリジニウム塩型棒状液晶化合物であることを特徴とする前記本発明(1)又は(2)いずれか記載の潤滑油用添加剤を提供するものである。
【0014】
また、本発明(4)は、前記一般式(6)中のR及びRが、アルキル基であることを特徴とする前記本発明(3)記載の潤滑油用添加剤を提供するものである。
【0015】
また、本発明(5)は、前記一般式(6)中のRが、炭素数8〜22のアルキル基であり、且つRが、炭素数1〜4のアルキル基であることを特徴とする前記本発明(4)記載の潤滑油用添加剤を提供するものである。
【0016】
また、本発明(6)は、前記本発明(1)〜(5)いずれかの潤滑油用添加剤を含有することを特徴とする潤滑油組成物を提供するものである。
【0017】
また、本発明(7)は、前記潤滑油用添加剤の含有量が、0.0001〜0.1質量%であることを特徴とする前記本発明(6)記載の潤滑油組成物を提供するものである。
【0018】
また、本発明(8)は、前記本発明(1)〜(5)いずれか記載の潤滑油用添加剤を含有することを特徴とするグリース組成物を提供するものである。
【0019】
また、本発明(9)は、前記潤滑油用添加剤の含有量が、0.0001〜0.1質量%であることを特徴とする前記本発明(8)記載のグリース組成物を提供するものである。
【0020】
また、本発明(10)は、前記本発明(6)又は(7)いずれかの潤滑油組成物と、増稠剤とからなることを特徴とするグリース組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明の潤滑油用添加剤によれば、少ない添加量で摩擦係数を低減することができる。また、本発明の潤滑油用添加剤は、イオン性の液晶化合物なので、該添加剤を潤滑油組成物に添加することにより、潤滑油組成物の沸点を上昇させ、蒸発を抑制する効果や凝固点を降下させる効果も期待できる。また、この潤滑油用添加剤を含有する潤滑油組成物又はグリース組成物は、例えば、無段変速機油、手動又は自動変速機油、エンジン油、ギヤ油やパワーステアリング油等の車両用潤滑油、内燃機関用潤滑油の他、工作機械用潤滑油等、コンピューターのハードディスク、テープ、カード等の情報記録媒体、携帯電話等の精密機器用モータあるいは摺動部の潤滑油組成物又はグリース組成物として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の潤滑油用添加剤は、陽イオン基及び陰イオンを有する棒状液晶化合物である。つまり、本発明の潤滑油用添加剤は、棒状液晶化合物であって且つその棒状液晶化合物の分子中に、陽イオン基及び陰イオンを有する。
【0023】
本発明の潤滑油用添加剤に係る棒状液晶化合物は、液晶状態を形成する化合物であり、温度変化により、固体→液晶→液体へと変化する化合物である(以下、このような化合物を液晶化合物と記載する。)。このような、温度変化により、固体→液晶→液体へと変化する液晶化合物は、サーモトロピック液晶とも呼ばれている。なお、液晶とは、異方性液体のことで、流動性を持ち且つ光学的に異方性で複屈折を示す、液体と結晶の中間にある状態のものである。
【0024】
また、液晶状態を形成することができる液晶化合物には、概ね、カラミティック液晶と呼ばれる棒状の分子形状を有する化合物と、ディスコチック液晶と呼ばれる円盤状の分子形状を有する化合物とがあるが、これらのうち、本発明の潤滑油用添加剤に係る棒状液晶化合物は、カラミティック液晶と呼ばれる棒状の分子形状を有する液晶化合物を指す。
【0025】
また、本発明の潤滑油用添加剤に係る棒状液晶化合物は、ネマティック液晶及びスメクチック液晶のいずれでもよい。
【0026】
本発明の潤滑油用添加剤に係る棒状液晶化合物は、1つの分子内に、陽イオン基と、その陽イオン基の対陰イオンを有する。具体的には、本発明の潤滑油用添加剤に係る棒状液晶化合物は、分子中に、陽イオン基が結合しており、陰イオンがその陽イオンとイオン結合をしている塩である。
【0027】
本発明の潤滑油用添加剤に係る陽イオン基としては、特に制限されず、例えば、スルホニウム基、ホスホニウム基、アンモニウム基、セレノニウム基、アルソニウム基、スチボニウム基、スタンノニウム基、ヨードニウム基、複素環窒素4級塩基が挙げられ、複素環窒素4級塩基としては、ピリジニウム基、イミダゾーリウム基、チオゾーリウム基、オキサゾーリウム基、ピラジニウム基、ピリミジニウム基等が挙げられる。かかる複素環窒素4級塩基は、酸素原子、イオウ原子等のヘテロ原子で置換されていてもよく、更に環が形成されていてもよい。これらのうち、ピリジニウム基又はアンモニウム基が好ましい。また、本発明の潤滑油用添加剤に係る陽イオン基の価数は、特に制限されないが、1価が好ましい。つまり、本発明の潤滑油用添加剤に係る棒状液晶化合物としては、ピリジニウム塩又はアンモニウム塩が好ましい。
【0028】
本発明の潤滑油用添加剤に係る陰イオンとしては、特に制限されず、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等のハロゲンイオン、有機酸の陰イオン、無機酸の陰イオン等が挙げられる。有機酸のイオンの具体的な例としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、イソ酪酸、ピバル酸、イソ吉草酸、イソカプロン酸、2−エチル酪酸、3,3−ジメチル酪酸、イソカプリル酸、2−エチルヘキサン酸、イソカプリン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、3−ブテン酸、ペンテン酸、ヘキセン酸、ヘプテン酸、オクテン酸、ノネン酸、デセン酸、ウンデセン酸、ドデセン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、エライジン酸、2−メチルクロトン酸、3−メチルクロトン酸、チグリン酸、シナモン酸、シクロプロパンカルボン酸、シクロブタンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、トリクロロ酢酸、トリブロモ酢酸、トリフルオロ酢酸、フェニル酢酸、グリコール酸、乳酸等の脂肪族モノカルボン酸;蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、リンゴ酸、グルタミン酸、酒石酸、クエン酸等の脂肪族多価カルボン酸;安息香酸、トルイル酸、エチル安息香酸、プロピル安息香酸、ブチル安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、アニス酸、エトキシ安息香酸、プロポキシ安息香酸、ブトキシ安息香酸、アミノ安息香酸、N,N−ジメチルアミノ安息香酸、ニトロ安息香酸、フルオロ安息香酸、レゾルシン酸、ケイ皮酸等の芳香族モノカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の芳香族多価カルボン酸;フェノール、o−フェニルフェノール、p−アミノフェノール、p−ニトロフェノール、カテコール、レゾルシン、β−ナフトール、2−クロロフェノール等の石炭酸類等の陰イオンが挙げられる。無機酸の陰イオンの具体的な例としては、硫酸、亜硫酸、アミド硫酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、過塩素酸、過沃素酸、オルト過沃素酸、過マンガン酸、硝酸、亜硝酸、燐酸、亜燐酸、次亜燐酸、砒酸、亜砒酸、ホウ酸、ホウフッ化水素酸、六フッ化燐酸、六フッ化アンチモン酸、六フッ化砒酸、クロム酸、塩酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、セレン酸、亜セレン酸、シアン酸、チオシアン酸、テルル酸、亜テルル酸、珪酸、けいフッ化水素酸、ヘキサフルオロ珪酸、ポリ燐酸、メタ燐酸、モリブデン酸等の陰イオンが挙げられる。これらのうち、塩素イオン、臭素イオン又はヨウ素イオンが好ましい。また、本発明の潤滑油用添加剤に係る陰イオンの価数は、陽イオン基の価数と同じか、それより小さい。
【0029】
本発明の潤滑油用添加剤に係る棒状液晶化合物のうち、好ましい棒状液晶化合物としては、下記一般式(1):
【0030】
【化3】

【0031】
で表されるピリジニウム塩型棒状液晶化合物、下記一般式(2):
【0032】
【化4】

【0033】
で表されるピリジニウム塩型棒状液晶化合物、又は下記一般式(3):
【0034】
【化5】

【0035】
で表されるアンモニウム塩型棒状液晶化合物である。
【0036】
前記一般式(1)、前記一般式(2)及び前記一般式(3)中、R及びRは、アルキル基、アルコキシ基、又は下記一般式(4):
【0037】
【化6】

【0038】
で表される不飽和結合を有する基である。また、R及びRは、同一の基であっても、異なる基であってもよい。
【0039】
及びRに係るアルキル基は、直鎖状又は分岐状のアルキル基である。そして、R及びRに係るアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜30、特に好ましくは1〜22である。R及びRに係るアルキル基としては、具体的にはメチル基、エチル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
【0040】
及びRに係るアルコキシ基は、直鎖状又は分岐状のアルコキシ基である。そして、R及びRに係るアルコキシ基は、好ましくは下記一般式(5):
(2p+1)O− (5)
で表され、pが1〜30の整数であるアルコキシ基であり、特に好ましくはpが1〜22の整数であるアルコキシ基である。
【0041】
及びRに係る前記一般式(4)中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、Zは、−(CH−、−(CH−O−、−CO−O−(CH−、−CO−O−(CH−O−、−C−CH−O−又は−CO−を示す。Z中、mは、1〜30の整数であり、好ましくは1〜22の整数である。
【0042】
前記一般式(1)、前記一般式(2)及び前記一般式(3)中、Aは、下記式(A−1)〜(A−14):
【0043】
【化7】

【0044】
(式(A−14)中、tは1〜5の整数である。)
で表される2価の基を示す。
【0045】
前記一般式(2)及び前記一般式(3)中、Bは、下記式(B−1)〜(B−11):
【0046】
【化8】

【0047】
で表される2価の基を示す。
【0048】
前記一般式(2)及び前記一般式(3)中、nは0〜20の整数を示す。前記一般式(3)中、R、R及びRは、炭素数1〜10のアルキル基を示す。前記一般式(1)、前記一般式(2)及び前記一般式(3)中、Xはハロゲンイオンであり、特に好ましくは塩素イオン、臭素イオン又はヨウ素イオンである。
【0049】
本発明の潤滑油用添加剤に係る棒状液晶化合物のうち、特に好ましい棒状液晶化合物は、前記一般式(1)で表されるピリジニウム塩型棒状液晶化合物中、Aが前記式(A−3)で表される2価の基であるピリジニウム塩型棒状液晶化合物、すなわち、下記一般式(6):
【0050】
【化9】

【0051】
で表される4−(1,3−ジオキサ−2−イル)ピリジニウム塩型棒状液晶化合物である。以下、前記一般式(6)で表される4−(1,3−ジオキサ−2−イル)ピリジニウム塩型棒状液晶化合物を、前記一般式(6)で表されるピリジニウム塩型棒状液晶化合物とも記載する。
【0052】
前記一般式(6)中、R及びRは、アルキル基、アルコキシ基、又は前記一般式(4)で表される不飽和結合を有する基を示す。また、R及びRは、同一の基であっても、異なる基であってもよい。
【0053】
及びRに係るアルキル基は、直鎖状又は分岐状のアルキル基である。R及びRに係るアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜30、特に好ましくは1〜22である。R及びRに係るアルキル基としては、具体的にはメチル基、エチル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。また、R及びRに係るアルコキシ基は、直鎖状又は分岐状のアルコキシ基であり、好ましくは前記一般式(5)で表され且つpが1〜30の整数であるアルコキシ基であり、特に好ましくは前記一般式(5)で表され且つpが1〜22の整数であるアルコキシ基である。また、R及びRに係る前記一般式(4)で表される不飽和結合を有する基は、R及びRに係る前記一般式(4)で表される不飽和結合を有する基と同様である。
【0054】
前記一般式(6)中、Xはハロゲンイオンであり、好ましくは塩素イオン、臭素イオン又はヨウ素イオンである。
【0055】
そして、前記一般式(6)で表されるピリジニウム塩型棒状液晶化合物のうち、摩擦係数低減効果に優れる点で、Rがアルキル基である前記一般式(6)で表されるピリジニウム塩型棒状液晶化合物が好ましく、Rが炭素数1〜30のアルキル基である前記一般式(6)で表されるピリジニウム塩型棒状液晶化合物が特に好ましく、Rが炭素数5〜22のアルキル基である前記一般式(6)で表されるピリジニウム塩型棒状液晶化合物が更に好ましく、Rが炭素数8〜22のアルキル基であり且つRが炭素数1〜4のアルキル基である前記一般式(6)で表されるピリジニウム塩型棒状液晶化合物がより好ましい。
【0056】
本発明の潤滑油用添加剤に係る棒状液晶化合物は、1種単独であっても、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0057】
前記一般式(6)で表されるピリジニウム塩型棒状液晶化合物は、例えば、下記反応式(7)に従って合成される。
【0058】
【化10】

【0059】
先ず、マロン酸エステル(8)と、ハロゲン化物(9)とを反応させて、R導入マロネイト(10)を得、得られたR導入マロネイト(10)を、LiAlHで還元して、R導入1,3−プロパンジオール(11)を得る。次いで、R導入1,3−プロパンジオール(11)と、ピリジン−4−アルデヒド(12)とを反応させ、R導入4−(1,3−ジオキサ−2−イル)ピリジン(13)を得る。次いで、R導入4−(1,3−ジオキサ−2−イル)ピリジン(13)と、ハロゲン化物(14)とを反応させて、前記一般式(6)で表されるピリジニウム塩型棒状液晶化合物を得る(例えば、特開平10−53585号公報、特開2000−86723号公報、特開2000−86656号公報、「Liquid Crystals」,1999,Vol.26,No.10,1425−1428参照。)。なお、前記反応式(7)中、R、R及びXは、前記一般式(6)中のR、R及びXに相当し、Yは、ハロゲン原子を示す。
【0060】
また、前記一般式(1)で表されるピリジニウム塩型棒状液晶化合物は、下記反応式(15)に示すように、ピリジン化合物(16)と、ハロゲン化物(17)とを反応させることにより得られる。なお、下記反応式(15)中、R、R、X及びAは、前記一般式(1)中のR、R、X及びAに相当する。
【0061】
【化11】

【0062】
また、前記一般式(2)で表されるピリジニウム塩型棒状液晶化合物は、下記反応式(18)に示すように、ハロゲン化物(19)と、ピリジン化合物(20)とを反応させることにより得られる。なお、下記反応式(18)中、R、R、X、A、B及びnは、前記一般式(2)中のR、R、X、A、B及びnに相当する。
【0063】
【化12】

【0064】
また、前記一般式(3)で表されるアンモニウム塩型棒状液晶化合物は、下記反応式(21)に示すように、ハロゲン化物(19)と、三級アミン化合物(22)とを反応させることにより得られる。なお、下記反応式(21)中、R、R、R、R、X、A、B及びnは、前記一般式(3)中のR、R、R、R、X、A、B及びnに相当する。
【0065】
【化13】

【0066】
なお、上記反応式(15)、(18)及び(21)の反応は公知であり、例えば、国際公開WO2004/085398号パンフレット、国際公開WO2004/085380号パンフレット等に記載されている。
【0067】
本発明の潤滑油組成物は、本発明の潤滑油用添加剤、すなわち、陽イオン基及び陰イオンを有する棒状液晶化合物を含有する。
【0068】
本発明の潤滑油組成物は、潤滑油基材に、本発明の潤滑油用添加剤、すなわち、陽イオン基及び陰イオンを有する棒状液晶化合物、及び必要に応じて添加される各種添加剤を添加して製造される。つまり、本発明の潤滑油組成物は、潤滑油基材及び添加剤からなり、本発明の潤滑油用添加剤を必須の添加剤として含有する。
【0069】
本発明の潤滑油組成物に含有される本発明の潤滑油用添加剤は、1種単独であっても、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0070】
本発明の潤滑油組成物において、本発明の潤滑油用添加剤が添加される潤滑油基材は、鉱油、合成油又はこれらの混合物からなる潤滑油基油であり、また、本発明の潤滑油組成物が水性の潤滑油組成物の場合は、水が潤滑油基材として使用される。
【0071】
これらの潤滑油基油としては、特に制限されず、潤滑油組成物の基油として通常使用されているものであればよく、鉱油系、合成系を問わない。鉱油系潤滑油基油としては、例えば、原油を常圧蒸留および減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製処理等を適宜組み合わせて精製したパラフィン系、ナフテン系、又はこれらの混合系炭化水素油等の油が挙げられる。また、合成系潤滑油基油としては、例えば、ポリα−オレフィン、ジエステル、ポリオールエステル、トリメリット酸エステル等のポリエステル、リン酸エステル、アルキルベンゼン及びアルキルナフタレン、ポリオキシアルキレングリコール、シリコーン油、フッ素油、アルキルフェニルエーテル油、アルキルビフェニル油、ポリフェニルエーテル油等が挙げられる。
【0072】
合成系潤滑油基油に係るポリα−オレフィンは、炭素数2〜14、好ましくは4〜12の範囲の、分岐を有する或いは分岐を有しないオレフィン炭化水素から選択された、任意の1種の単独重合体又は2種以上の共重合である。合成系潤滑油基油に係るポリα−オレフィンは、平均分子量100〜約2000、好ましくは200〜約1000のオリゴマーであり、特に水素化によって不飽和結合が除去されたものが好ましい。好ましいポリα−オレフィンとしては、例えば、ポリブテン、α−オレフィンオリゴマー、エチレン・α−オレフィンオリゴマー、1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー等である。ポリブテンとしては、例えば、イソブテンを主体とし、ブテン−1、及びブテン−2の単量体混合物を共重合させて得られるものが好ましい。また、α−オレフィンオリゴマーとしては、炭化水素の熱分解又は低級オレフィンの3量化〜6量化により得られる炭素数6〜12のα−オレフィン混合物を共重合したものが挙げられる。また、デセンのごとき単独モノマーから得られるオリゴマーも好適である。
【0073】
ポリα−オレフィンオリゴマーは、塩化アルミニウム、フッ化硼素等のフリーデルクラフト型触媒、チーグラー触媒及び酸化クロム等の酸化物触媒等を使用して製造される。また、ポリα−オレフィンオリゴマーの水素化は、反応生成物から触媒を除去した後、加温、加圧下において、例えばニッケル−モリブデン/アルミナのような水素化触媒と接触させることにより行われる。
【0074】
合成系潤滑油基油に係るジエステルとしては、炭素数4〜14の脂肪族二塩基酸あるいは芳香族二塩基酸と炭素数4〜14の脂肪族アルコールとを反応させて得られるものがある。このようなジエステルとしては、例えばジオクチルアジペート、ジ−(1−エチルプロピル)アジペート、ジ−(3−メチルブチル)アジペート、ジ−(1,3−ジメチルブチル)アジペート、ジ−(2−エチルブチル)アジペート、ジ−(2−エチルヘキシル)アジペート、ジ−(イソオクチル)アジペート、ジ−(イソノニル)アジペート、ジ−(3,5,5トリメチルヘキシル)アジペート、ジ−(イソデシル)アジペート、ジ−(ウンデシル)アジペート、ジ−(トリデシル)アジペート、ジ−(イソテトラデシル)アジペート、ジ−(2、2、4−トリメチルペンチル)アジペート、ジ−〔混合(2−エチルヘキシル、イソノニル)〕アジペート、ジ−(1−エチルプロピル)アゼレート、ジ−(2−エチルブチル)アゼレート、ジ−(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジ−(イソオクチル)アゼレート、ジ−(イソノニル)アゼレート、ジ−(3,5,5トリメチルヘキシル)アゼレート、ジ−(イソデシル)アゼレート、ジ−(トリデシル)アゼレート、ジ−〔混合(2−エチルヘキシル、イソノニル)〕アゼレート、ジ−〔混合(2−エチルヘキシル、デシル)〕アゼレート、ジ−〔混合(2−エチルヘキシル、イソデシル)〕アゼレート、ジ−〔混合(2−エチルヘキシル、2−プロピルヘプチル)〕アゼレート、ジ−〔混合(2−エチルヘキシル、デシル)〕アゼレート、ジ−(n−ブチル)セバケート、ジ−(イソブチル)セバケート、ジ−(1−エチルプロピル)セバケート、ジ−(3−メチルブチル)セバケート、ジ−(1,3−ジメチルブチル)セバケート、ジ−(2−エチルブチル)セバケート、ジ−(2−エチルヘキシル)セバケート、ジ−〔2−(2’−エチルブトキシ)エチル〕セバケート、ジ−(2,2,4−トリメチルペンチル)セバケート、ジ−(イソノニル)セバケート、ジ−(3,5,5トリメチルヘキシル)セバケート、ジ−(イソデシル)セバケート、ジ−(イソウンデシル)セバケート、ジ−(トリデシル)セバケート、ジ−(イソテトラデシル)セバケート、ジ−〔混合(2−エチルヘキシル、イソノニル)〕セバケート、ジ−(2−エチルヘキシル)グルタレート、ジ−(イソウンデシル)グルタレート及びジ−(イソテトラデシル)グルタレート、ジ−n−ブチルフタレート、ジ−n−ヘキシルフタレート、ジ−n−ヘプチルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジイソノニルフタレート、オクチルデシルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレート等が挙げられる。
【0075】
合成系潤滑油基油に係るポリオールエステルとしては、炭素数5〜9のネオペンチルポリオール、例えば、ネオペンチルグリコール(以下、ネオペンチルグリコールを、NPGとも記載する。)、トリメチロールプロパン(以下、トリメチロールプロパンを、TMPとも記載する。)又はペンタエリスリトール(以下、ペンタエリスリトールを、PEとも記載する。)等と炭素数4〜18の有機酸とを反応させて得られる。このようなポリオールエステルの具体例としては、NPG・ジ−(ヘプタノエート)、NPG・ジ−(2ーエチルブチレート)、NPG・ジ−(シクロヘキサノエート)、NPG・ジ−(ヘプタノエート)、NPG・ジ−(イソヘプタノエート)、NPG・ジ−(オクタノエート)、NPG・ジ−(2−エチルヘキサノエート)、NPG・ジ−(イソオクタノエート)、NPG・ジ−(イソノナノエート)、NPG・ジ−(イソデカノエート)、NPG・ジ−{混合(ヘキサノエート,ヘプタノエート)}、NPG・ジ−{混合(ヘキサノエート,オクタノエート)}、NPG・ジ−{混合(ヘキサノエート,ノナノエート)}、NPG・ジ−{混合(ヘプタノエート,オクタノエート)}、NPG・ジ−{混合(ヘプタノエート,ノナノエート)}、NPG・ジ−{混合(ヘプタノエート,イソオクタノエート)}、NPG・ジ−{混合(ヘプタノエート,イソノナノエート)}、NPG・ジ−{混合(イソオクタノエート,イソノナノエート)}、NPG・ジ−{混合(ブタノエート,トリデカノエート)}、NPG・ジ−{混合(ブタノエート,テトラデカノエート)}、NPG・ジ−{混合(ブタノエート,ヘキサデカノエート)}、NPG・ジ−{混合(ブタノエート,オクタデカノエート)}、NPG・ジ−{混合(ヘキサノエート,イソオクタノエート,イソノナノエート)}、NPG・ジ−{混合(ヘキサノエート,イソオクタノエート,イソデカノエート)}、NPG・ジ−{混合(ヘプタノエート,イソオクタノエート,イソノナノエート)}、NPG・ジ−{混合(ヘプタノエート,イソオクタノエート,イソデカノエート)}、NPG・ジ−{混合(オクタノエート,イソノナノエート,イソデカノエート)}、TMP・トリ−(ペンタノエート)、TMP・トリ−(ヘキサノエート)、TMP・トリ−(ヘプタノエート)、TMP・トリ−(オクタノエート)、TMP・トリ−(ノナノエート)、TMP・トリ−(イソペンタノエート)、TMP・トリ−(2−エチルブチレート)、TMP・トリ−(イソペンタノエート)、TMP・トリ−(イソオクタノエート)、TMP・トリ−(2−エチルヘキサノエート)、TMP・トリ−(イソノナノエート)、TMP・トリ−(イソデカノエート)、TMP・トリ−〔混合(ブチレート、オクタデカノエート)〕、TMP・トリ−〔混合(ヘキサノエート、ヘキサデカノエート)〕、TMP・トリ−〔混合(ヘプタノエート、トリデカノエート)〕、TMP・トリ−〔混合(オクタノエート、デカノエート)〕、TMP・トリ−〔混合(オクタノエート、ノナノエート)〕、TMP・トリ−〔混合(ブチレート、ヘプタノエート、オクタデカノエート)〕、TMP・トリ−〔混合(ペンタノエート、ヘプタノエート、トリデカノエート)〕、TMP・トリ−〔混合(ヘキサノエート、ヘプタノエート、オクタノエート)〕、TMP・トリノナノエート、TMP・トリ−〔混合(ヘプタノエート、ノナノエート)〕、TMP・トリ−〔混合(ヘプタノエート、オクタノエート、ノナノエート)〕、又、PE・テトラ(ペンタノエート)、PE・テトラ(ヘキサノエート)、PE・テトラ(イソペンタノエート)、PE・テトラ(2−エチルブチレート)、PE・テトラ(ヘプタノエート)、PE・テトラ(イソヘプタノエート)、PE・テトラ(イソオクタノエート)、PE・テトラ(2−エチルヘキサノエート)、PE・テトラ(ノナノエート)、PE・テトラ(イソノナノエート)及びPEと炭素数4〜9の直鎖状又は分岐状カルボン酸の混合物とのエステル等である。
【0076】
また、合成系潤滑油基油に係るポリオールエステルとしては、NPG、TMP及びPE以外のネオペンチルポリオール、例えば、2−メチル−2−プロピルプロパン−1,3−ジオール、2,2−ジエチルプロパンジオール、トリメチロールエタン及びトリメチロールヘキサンと有機酸単独、又は混合したポリオールエステル等も挙げられる。
【0077】
合成系潤滑油基油に係るリン酸エステルとしては、トリクレジルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、プロピルフェニルジフェニルフォスフェート、ジプロピルフェニルフェニルフォスフェート、トリプロピルフォスフェート、ジブチルフェニルフェニルフォスフェート、ブチルフェニルジフェニルフォスフェート、トリブチルフェニルフォスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)フォスフェート、トリアルキルフェニルフォスフェート、アルキルフェニルフェニルフォスフェート等が挙げられる。
【0078】
合成系潤滑油基油に係るアルキルベンゼン又はアルキルナフタレンは、分岐又は直鎖のα−オレフィンとベンゼン、トルエン又はナフタレン等の芳香族炭化水素をフッ化水素、硫酸、塩化アルミニウム等の触媒を用いてアルキル化して得られ、主としてジアルキル化芳香族炭化水素を含む油である。アルキル基としては、主として炭素数12のもので直鎖又は分岐のいずれのものもこれに属する。
【0079】
合成系潤滑油基油に係るポリオキシアルキレングリコールとしては、アルキレン基の炭素数が2〜5、好ましくは2〜3の直鎖状又は分岐状アルキレンオキシドの開環重合体である。アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、或いはそれらの混合物、好ましくはプロピレンオキシドであり、好ましくはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールを挙げることができ、分子量範囲100〜2000のもの、好ましくは200〜1000のものである。分子の両端がアルキル基のもの、片端がアルキル基で片端がヒドロキシル基のもの、両端ともヒドロキシル基のものが含まれる。このアルキル基は、通常炭素数が1 〜18の範囲のものである。
【0080】
本発明で用いられる潤滑油基油は、2種以上の鉱油系潤滑油基油又は合成油系潤滑油基油の混合物であって差し支えなく、鉱油系潤滑油基油と合成油系潤滑油基油の混合物であっても差し支えない。そして、上記混合物における2種以上の潤滑油基油の混合比は、任意に選ぶことができる。本発明の潤滑油組成物に係る潤滑油基油には、粘度に関して特別な限定条件はないが、通常は40℃における動粘度が1〜1000mm2/sの範囲にあることが好ましく、5〜800mm2/sの範囲にあることがより好ましい。
【0081】
本発明の潤滑剤組成物中、本発明の潤滑油用添加剤の含有量は、0.0001〜0.1質量%、好ましくは0.0008〜0.08質量%である。本発明の潤滑剤組成物中、本発明の潤滑油用添加剤の含有量が、0.0001質量%未満だと、添加効果が小さく実用的な摩擦係数のものが得られにくくなり、また、0.1質量%を超えると返って摩擦係数が高くなる傾向がある。
【0082】
本発明の潤滑油組成物は、更に、本発明の潤滑油用添加剤の他に、必要に応じて、例えば、磨耗防止剤、極圧剤、油性剤等の摩擦調整剤、あるいは、その他添加剤を含有することができる。
【0083】
極圧剤及び磨耗防止剤としては、例えば、硫黄系化合物、リン系化合物、モリブデン系化合物等が挙げられる。
【0084】
極圧剤及び磨耗防止剤に係る硫黄系化合物としては、例えば、ジスルフィド類、硫化オレフィン類、硫化油脂類が挙げられる。より具体的には、極圧剤及び磨耗防止剤に係る硫黄系化合物としては、一般式(RO)P=S (式中、Rはアルキル基、アリル基、フェニル基を示し、同一又は異種でもよい)で示される化合物(例えば、トリアルキルフォスフォロチオネート、トリフェニルフォスフォロチオネート、アルキルジアリルフォスフォロチオネート等);一般式 R−Sx−R10(式中、xは1〜8の整数、R及びR10は、炭素数4〜12のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基を示す。)で表される硫化オレフィン(例えば、ジイソブチルジサルファイド、ジオクチルポリサルファイド、ジ−t−ノニルポリサルファイド、ジ−t−ブチルポリサルファイド、ジベンジルポリサルファイド、ジフェニルサルファイド、ジフェニルジサルファイド);ポリイソブチレン又はテルペン類等のオレフィン類を硫黄等の硫化剤で硫化した硫化オレフィン類;スルファライズドスパームオイル及びスルファライズドジペンテン等の硫化油脂類;キサンチックジサルファイド等のチオカーボネート類;一級アルキルジチオリン酸亜鉛、二級アルキルジチオリン酸亜鉛、アルキル−アリルジチオリン酸亜鉛、アリルジチオリン酸亜鉛等のジチオリン酸亜鉛系添加剤等が挙げられる。
【0085】
極圧剤及び磨耗防止剤に係るリン系化合物としては、例えば、リン酸モノエステル類、リン酸ジエステル類、リン酸トリエステル類、亜リン酸モノエステル類、亜リン酸ジエステル類、亜リン酸トリエステル類、及びこれらのエステル類とアミン類、アルカノールアミン類との塩等が挙げられる。極圧剤及び磨耗防止剤に係るリン系化合物の具体例としては、例えば、ベンジルジフェニルフォスフェート、アリルジフェニルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、エチルジフェニルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、ジブチルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、ジクレジルフェニルフォスフェート、エチルフェニルジフェニルフォスフェート、ジエチルフェニルフェニルフォスフェート、プロピルフェニルジフェニルフォスフェート、ジプロピルフェニルフェニルフォスフェート、トリエチルフェニルフォスフェート、トリプロピルフェニルフォスフェート、ブチルフェニルジフェニルフォスフェート、ジブチルフェニルフェニルフォスフェート、トリブチルフェニルフォスフェート等のリン酸エステル、トリイソプロピル亜リン酸エステル、ジイソプロピル亜リン酸エステル等の亜リン酸エステル、ヘキサメチルフォスフォリックトリアミド、n−ブチル−n−ジオクチルホスフィネート、ジ−n−ブチルヘキシルホスホネート、アミンジブチルホスホネート、ジブチルホスホロアミデート等を挙げることができる。
【0086】
極圧剤及び磨耗防止剤に係るモリブデン系化合物としては、例えば、無機モリブデン化合物、有機モリブデン化合物が挙げられる。極圧剤及び磨耗防止剤に係る無機モリブデン化合物の具体例としては、例えばモリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、モリブデン酸リチウム、モリブデン酸マグネシウム、モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸銅、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸バリウム等のモリブデン酸金属塩、二硫化モリブデン塩等が挙げられる。極圧剤及び磨耗防止剤に係る有機モリブデン化合物の具体例としては、例えばジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン(MoDTC)、ジアルキルジチオリン酸モリブデン(MoDTP)モリブデン酸アミン塩等が挙げられるが、ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデンが好ましい。ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデンとしては、例えばジブチルジチオカルバミン酸硫化モリブデン、ジペンチルジチオカルバミン酸硫化モリブデン、ジヘキシルジチオカルバミン酸硫化モリブデン、ジヘプチルジチオカルバミン酸硫化モリブデン、ジオクチルジチオカルバミン酸硫化モリブデン、ジノニルジチオカルバミン酸硫化モリブデン、ジデシルジチオカルバミン酸硫化モリブデン、ジウンデシルジチオカルバミン酸硫化モリブデン、ジドデシルジチオカルバミン酸モリブデン、ジトリデシルジチオカルバミン酸モリブデン、ジブチルジチオカルバミン酸硫化オキシモリブデン、ジペンチルジチオカルバミン酸硫化オキシモリブデン、ジヘキシルジチオカルバミン酸硫化オキシモリブデン、ジヘプチルジチオカルバミン酸硫化オキシモリブデン、ジオクチルジチオカルバミン酸硫化オキシモリブデン、ジノニルジチオカルバミン酸硫化オキシモリブデン、ジデシルジチオカルバミン酸硫化オキシモリブデン、ジウンデシルジチオカルバミン酸硫化オキシモリブデン、ジドデシルジチオカルバミン酸硫化オキシモリブデン、及びジトリデシルジチオカルバミン酸硫化オキシモリブデン等が挙げられる。
また、上記の硫黄系、ジチオリン酸亜鉛系、リン系化合物、モリブデン系化合物等は、単独で使用されてもよく、二種以上組み合わせて添加されてもよい。
【0087】
油性剤としては、脂肪族モノカルボン酸、例えばカプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等が挙げられ、また、脂肪族ジカルボン酸としてはアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、テトラデカン二酸、その他炭素数15〜30の脂肪族ジカルボン酸、及びこれら脂肪族(ジ)カルボン酸のエステル、脂肪族アルコール、脂肪族アミン、脂肪族アミン塩、脂肪酸アミド等が挙げられる。
【0088】
これらの油性剤は、1種単独又は2種以上の混合のいずれで使用されてもよい。油性剤は、機械的摩擦部表面に吸着し、単に、摩擦・磨耗性を改善しうるのみでなく、本発明の潤滑油用添加剤と協同して潤滑性をより向上させることができる。
【0089】
本発明の潤滑油組成物は、更に、慣用の潤滑油用の添加剤、例えば、酸化防止剤、金属系清浄剤、無灰分散剤、錆止め剤、腐食防止剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、ゴム膨潤剤、消泡剤、着色剤等の添加剤を含有することができ、これらの添加剤は1種単独であっても、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0090】
酸化防止剤としては、フェノール系化合物やアミン系化合物など、潤滑油に一般的に使用されているものであれば、いずれのものであってもよく、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールなどのアルキルフェノール類、メチレン−4,4−ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)などのビスフェノール類、フェニル−α−ナフチルアミンなどのナフチルアミン類、ジアルキルジフェニルアミン類、ジ−2−エチルヘキシルジチオリン酸亜鉛などのジアルキルジチオリン酸亜鉛類、フェノチアジン類等が挙げられる。
【0091】
金属系清浄剤としては、例えば、アルカリ土類金属スルフォネート、アルカリ土類金属フェネート、アルカリ土類金属サリチレート、アルカリ土類金属ホスフォネート等が挙げられる。
【0092】
無灰分散剤としては、例えば、アルケニルコハク酸イミド、ベンジルアミン、アルキルポリアミン、又はそのこれらのホウ素化合物や硫黄化合物による変性品、アルケニルコハク酸エステル等が挙げられる。
【0093】
錆止め剤としては、例えば、アルケニルコハク酸、アルケニルコハク酸エステル、多価アルコールエステル、石油スルフォネート、ジノニルナフタレンスルフォネート等が挙げられる。
【0094】
腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、チアジアゾール系、イミダゾール系の化合物等が挙げられる。
【0095】
粘度指数向上剤としては、非分散型粘度指数向上剤や分散型粘度指数向上剤が使用でき、具体的には、ポリメタクリレート類や、エチレン−プロピレン共重合体、ポリイソブチレン、ポリスチレン、スチレン−ジエン共重合体等のオレフィンコポリマー類等が挙げられる。
【0096】
流動点降下剤としては、例えば、使用する潤滑油基油に適合するポリメタクリレート系のポリマーなどが使用できる。
【0097】
消泡剤としては、例えば、ジメチルシリコーンやフルオロシリコーンなどのシリコーン類が挙げられる。
【0098】
これらの慣用の潤滑油用の添加剤、例えば、酸化防止剤、金属系清浄剤、無灰分散剤、錆止め剤、腐食防止剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、ゴム膨潤剤、消泡剤、着色剤等の添加剤の添加量は任意であるが、通常、潤滑油組成物全量に対して、消泡剤の含有量は0.0005〜1質量%、粘度指数向上剤の含有量は1〜30質量%、腐食防止剤の含有量は0.005〜1質量%、その他の添加剤の含有量は、それぞれ0.1〜15質量%程度である。
【0099】
本発明のグリース組成物は、本発明の潤滑油用添加剤、すなわち、陽イオン基及び陰イオンを有する棒状液晶化合物を含有する。
【0100】
そして、本発明のグリース組成物は、本発明の潤滑油組成物、すなわち、陽イオン基及び陰イオンを有する棒状液晶化合物を含有する潤滑油組成物と、増稠剤とを混合することにより製造される。つまり、本発明のグリース組成物は、本発明の潤滑油用添加剤を含有する潤滑油組成物と、増稠剤とからなる。
【0101】
本発明のグリース組成物に係る増稠剤としては、特に制限されず、通常のグリース組成物に使用される増稠剤であればよい。
【0102】
本発明のグリース組成物では、本発明の潤滑油組成物に係る潤滑油基油に、増稠剤を配合したものが、基グリースとして使用される。本発明のグリース組成物に係る増稠剤としては、例えば、石鹸系又はコンプレックス石鹸系増稠剤、テレフタラメート系増稠剤、ウレア系増稠剤、ポリテトラフルオロエチレン、フルオロ化エチレン―プロピレン共重合体等の有機非石鹸系増稠剤、無機非石鹸系増稠剤等が挙げられる。これらの増稠剤は1種単独でもよく、あるいは、2種以上の組み合わせでもよい。増稠剤の量は特に限定されるものではないが、潤滑油基油と増稠剤からなる基グリースに対して、通常好ましくは3〜40質量%、より好ましくは5〜20質量%である。本発明のグリース組成物に係る基グリースの稠度は、特に限定されないが、通常100〜500程度である。
【0103】
本発明の潤滑油用添加剤が、従来の液晶化合物に比べ、少ない添加量で、摩擦係数低減効果を発揮するのは、例えば、後述する実施例2で得られたピリジニウム塩型棒状液晶化合物を、潤滑油組成物に添加した場合を例にとると、図1に示すように、潤滑油組成物中のピリジニウム塩型棒状液晶化合物が、摩擦係数の増加の一つの因子となる金属表面の凹凸部へ積極的に作用し、棒状液晶化合物分子が、金属表面に対して規則的に、垂直配向した皮膜が、効率的に形成され、境界潤滑剤領域での摩擦係数を、効率的に低減するものと考えられる。
【0104】
以下、本発明を実施例により説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0105】
(実施例1)
<ジエチル−2−アルキルマロネイトの合成(第一工程)>
下記の反応式により、ジエチル−2−アルキルマロネイト(10a)を合成した。
【0106】
【化14】

【0107】
(式中、Rは、n−C15(実施例1)又はn−C1021(実施例2)を示す。)
500ml三角フラスコに150mlのエタノールを入れ、金属ナトリウム(0.3mol)を溶解後、ジエチルマロン酸(8a)(0.3mol)を加え、冷却後、アルキルブロマイド(9a)(0.3mol)を加えた。エチレングリコール浴中30℃で18時間還流した。溶媒を減圧除去後、ジエチルエーテル(300ml)を加え、分液漏斗中で、冷希塩酸300ml(塩酸:水=30ml:300ml)、続いて冷蒸留水100mlで洗浄した。エーテル層を得た後、水層を、ジエチルエーテル100mlを加えて再抽出した。分液によって得たジエチルエーテル溶液は無水硫酸ナトリウムで約1日脱水した。ろ過し、ジエチルエーテルを減圧除去後、残渣を減圧蒸留してジエチル−2−アルキルマロネイト(10a)を得た。
【0108】
<2−アルキル1,3−プロパンジオールの合成(第二工程)>
下記の反応式により、2−アルキル1,3−プロパンジオール(11a)を合成した。
【0109】
【化15】

【0110】
(式中、Rは、n−C15(実施例1)又はn−C1021(実施例2)を示す。)
500mlの三つ口丸底フラスコに100mlのジエチルエーテルを入れ、リチウムアルミニウムハイドライドを(2倍量mol数)入れ、そこに、氷冷しながら第一工程で得られたジエチル−2−アルキルマロネイト(10a)(0.23mol)をジエチルエーテル100mlに溶解させた溶液を、滴下漏斗でゆっくり滴下した。その後、エチレングリコール浴中で40℃で、4時間還流した。反応後、氷冷下で酢酸エチル(0.3mol)をジエチルエーテル100mlに溶解させた溶液を、滴下漏斗でゆっくりと滴下した。次に飽和アンモニウム水溶液50mlを、滴下漏斗で一滴ずつゆっくりと加えた。その後、フラスコをジエチルエーテルで満たし、室温(25℃)で3時間撹拌した。ろ過し、残渣を300mlのジエチルエーテルに溶かし24時間撹拌した。ジエチルエーテルに無水硫酸ナトリウムを加え、約1日脱水した後、ジエチルエーテルを減圧除去し、残渣として2−アルキル1,3−プロパンジオール(11a)を得た。
【0111】
<4−(5−アルキル−1,3−ジオキサ−2−イル)ピリジンの合成(第三工程)>
下記の反応により、4−(5−アルキル−1,3−ジオキサ−2−イル)ピリジン(13a)を合成した。
【0112】
【化16】

【0113】
(式中、Rは、n−C15(実施例1)又はn−C1021(実施例2)を示す。)
反応装置として、ディーン−スターク−トラップ(Dean−Stark−Trap)を用いた。100ml三角フラスコに、ベンゼン60ml及び第二工程で得られた2−アルキル1,3−プロパンジオール(11a)(0.03mol)を入れ、更に、ピリジン−4−アルデヒド(等mol数)を溶解した。次いで、p−トルエンスルホン酸を10g加えpH1以下にする。pHを確認後、三角フラスコに、ディーン−スターク−トラップを取り付け、シリコーン浴中で135℃〜140℃で5時間還流した。冷却後、ジエチルエーテル(300ml)に溶解し、炭酸ナトリウム水溶液(30g/300ml)で洗浄し、水溶液が塩基性であることを確かめた後、蒸留水(100ml)で洗浄し、ジエチルエーテル層を得た。その後、ジエチルエーテル層を、無水硫酸ナトリウムで約1日脱水した。ろ過し、ジエチルエーテルを減圧除去し残渣を得た。シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーで、初めにヘキサン300mlを流し、次いで、ベンゼン300mlを流して分離した。目的物はベンゼン溶媒中に溶出した。これを溶媒除去した後、特級ヘキサンで3〜4回再結晶して精製し、4−(5−アルキル−1,3−ジオキサ−2−イル)ピリジン(13a)を得た。
【0114】
<N−アルキル−4−(5−アルキル−1,3−ジオキサ−2−イル)ピリジニウムブロマイドの合成(第四工程)>
下記の反応により、N−アルキル−4−(5−アルキル−1,3−ジオキサ−2−イル)ピリジニウムブロマイド(6a)を合成した。
【0115】
【化17】

【0116】
(式中、Rは、n−C15(実施例1)又はn−C1021(実施例2)を示し、Rは、C(実施例1、実施例2)を示す。)
200ml三つ口丸底フラスコ中で、特級アセトニトリル30mlに、第三工程で得られた4−(5−アルキル−1,3−ジオキサ−2−イル)ピリジン(13a)(0.0017mol)と、エチルブロマイド(10倍mol)とを溶解させ、窒素気流下でシリコーン浴中で100℃で24時間還流した。アセトニトリルを減圧除去し、ヘキサン30ml、ジエチルエーテル30mlの混合溶液で再沈澱させ、約一日攪拌洗浄し、不溶物を得た後、真空乾燥し、N−アルキル−4−(5−アルキル−1,3−ジオキサ−2−イル)ピリジニウムブロマイド(6a)を得た。得られたN−アルキル−4−(5−アルキル−1,3−ジオキサ−2−イル)ピリジニウムブロマイド(6a)のH−NMR及びIR分析結果を表1に、相転移温度の測定結果を表2に示す。
【0117】
【表1】

【0118】
【表2】

【0119】
(実施例3〜4及び比較例1)
セバシン酸2−エチルヘキシルエステルに、添加剤として、実施例1又は実施例2で得たN−アルキル−4−(5−アルキル−1,3−ジオキサ−2−イル)ピリジニウムブロマイド(6a)を、表3に示す添加量で添加して、潤滑油組成物を得た。なお、N−アルキル−4−(5−アルキル−1,3−ジオキサ−2−イル)ピリジニウムブロマイド(6a)を添加しない、セバシン酸2−エチルヘキシルエステルのみを比較例1とした。
【0120】
【表3】

【0121】
<摩擦係数の評価>
ボールオンプレートの往復摺動試験器に、真ちゅうの無電解ニッケルめっき板を置き、実施例3〜4及び比較例1の潤滑油組成物2滴を滴下した状態で、下記条件による往復摺動し、摩擦係数を測定した。その結果を図2に示す。
試験サンプル:無電解ニッケルめっき板
摩擦速度:10mm/sec
摩擦時間:30分間
往復ストローク:5mm
摩擦相手材:JIS SUJ2球 直径4.8mm
荷重:100g
【0122】
本発明の潤滑油用添加剤を添加した潤滑油組成物(実施例3〜4)は、無添加のもの(比較例1)より、摩擦係数が低くなっていることが分かる。つまり、本発明の潤滑油用添加剤は、摩擦係数低減効果を発揮することがわかる。更に、Rのアルキル鎖が長い方が、特に摩擦係数低減効果が高いことが分かる(実施例3と実施例4の比較)。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】金属表面界面での本発明の潤滑油用添加剤の存在状態を示す図である。
【図2】実施例3、実施例4及び比較例1の摩擦係数の経時変化を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽イオン基及び陰イオンを有する棒状液晶化合物であることを特徴とする潤滑油用添加剤。
【請求項2】
前記陽イオン基が、ピリジニウム基又はアンモニウム基であることを特徴とする請求項1記載の潤滑油用添加剤。
【請求項3】
前記棒状液晶化合物が、下記一般式(6):
【化1】


(一般式(6)中、R及びRは、アルキル基、アルコキシ基、又は下記一般式(4):
【化2】


(一般式(4)中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、Zは、−(CH−、−(CH−O−、−CO−O−(CH−、−CO−O−(CH−O−、−C−CH−O−又は−CO−を示す。Z中、mは、1〜30の整数である。)
で表される不飽和結合を有する基を示し、Xは、ハロゲン原子を示す。)
で表される4−(1,3−ジオキサ−2−イル)ピリジニウム塩型棒状液晶化合物であることを特徴とする請求項1又は2いずれか1項記載の潤滑油用添加剤。
【請求項4】
前記一般式(6)中のR及びRが、アルキル基であることを特徴とする請求項3記載の潤滑油用添加剤。
【請求項5】
前記一般式(6)中のRが、炭素数8〜22のアルキル基であり、且つRが、炭素数1〜4のアルキル基であることを特徴とする請求項4記載の潤滑油用添加剤。
【請求項6】
請求項1〜5いずれか1項記載の潤滑油用添加剤を含有することを特徴とする潤滑油組成物。
【請求項7】
前記潤滑油用添加剤の含有量が、0.0001〜0.1質量%であることを特徴とする請求項6記載の潤滑油組成物。
【請求項8】
請求項1〜5いずれか1項記載の潤滑油用添加剤を含有することを特徴とするグリース組成物。
【請求項9】
前記潤滑油用添加剤の含有量が、0.0001〜0.1質量%であることを特徴とする請求項8記載のグリース組成物。
【請求項10】
請求項6又は7いずれか1項記載の潤滑油組成物と、増稠剤とからなることを特徴とするグリース組成物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−69318(P2008−69318A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−251096(P2006−251096)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(304023994)国立大学法人山梨大学 (223)
【出願人】(501358002)株式会社バルビス (6)
【出願人】(000230593)日本化学工業株式会社 (296)
【Fターム(参考)】