説明

濃度むら補正値算出方法及び画像処理方法並びに画像処理装置

【課題】経時により吐出状態が変化する不安定吐出ノズルが存在しても、当該不安定吐出ノズルの影響が排除された濃度むら補正値が求められる、濃度むら補正値算出方法及び画像処理方法並びに画像処理装置を提供する。
【解決手段】経時により吐出状態が変化する不安定吐出ノズルの情報を取得し、不安定吐出ノズルを不吐出ノズルとして設定し、不安定吐出ノズルが不吐出ノズルとして設定された後に、複数回の異なる吐出タイミングで複数のノズルから液体を吐出させて、濃度むら補正値を算出するためのテストチャートを複数形成し、複数のテストチャートをテストチャートごとに読み取り、読取データである読取階調値を取得し、複数テストチャートのそれぞれに対応する読取階調値を平均して求められる平均階調値を算出し、不安定吐出ノズル情報及び平均階調値に基づいて、ノズルごとの濃度むら補正値が算出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は濃度むら補正値算出方法及び画像処理方法並びに画像処理装置に係り、特にインクジェット方式による画像形成における濃度むら補正技術に関する。
【背景技術】
【0002】
汎用の画像形成装置として、インクジェット記録装置が知られている。インクジェット記録装置は、インクジェットヘッドに設けられて多数のノズルからインク液滴を吐出させて、記録媒体上の所望のカラー画像を形成しうる。
【0003】
インクジェット方式の画像形成では、形成された画像にノズルごとの吐出特性の違いに起因する濃度むらが発生することがある。例えば、ノズル間の加工のばらつきによって、インク吐出量の違いや、飛翔方向の違い(着弾位置の違い)等が生じ、その結果、画像を構成するドットの形成位置、ドットのサイズにばらつきが生じてしまう。
【0004】
例えば、周辺のノズルに対して飛翔方向の曲がりが生じるノズルが存在すると、当該ノズルにより形成されるドットは所定位置からずれた位置に形成されてしまう。特に、記録媒体の最大幅に対応する長さにわたって複数のノズルが並べられた構造を有するフルライン型ヘッド用いて、当該フルライン型ヘッドと記録媒体とを相対的に一回だけ走査させて記録媒体の画像形成領域の全域に画像を形成するシングルパス方式の画像形成を行う場合は、特定のノズルに飛翔方向の曲がりが発生すると、当該ノズルによって記録媒体の幅方向と直交する方向に沿って並ぶように形成されるドット群がある方向に偏ってしまい、記録媒体の幅方向におけるドット列間のピッチが不均一になってしまう。そうすると、画像の中ではすじ状の濃度むらとして視認されてしてしまう。
【0005】
このような濃度むらの発生を回避するために、予めノズルごとの吐出特性を把握し、吐出特性の違いをキャンセルするような濃度むら補正値(濃度むら補正係数)を準備しておき、該濃度むら補正値を用いて画素(ノズル)ごとの濃度値(階調値)を補正する処理が行われる。
【0006】
濃度むら補正値を算出する手法の一例として、インクジェットヘッドからインク液滴を打滴してテストチャート(テストパターン)を形成し、スキャナなどの読取装置を用いて該テストチャートを読み取り、読取結果に基づき濃度むら補正値を算出する方法が挙げられる。
【0007】
特許文献1に記載された補正値算出方法は、複数のノズル群をつなぎ合わせて用紙幅に対応する長尺のヘッドを備え、スキャナの読取可能範囲よりも大きいサイズの用紙を印刷するプリンターにおいて、スキャナが読み取り可能なサイズの用紙に補正パターンを複数回に分けて印刷して、すべてのパターンをスキャナに読み取らせて、補正値を算出するように構成されている。
【0008】
特許文献1の図9,10に示すように、スキャナに同時に読み取られなかった第2のヘッドの読取階調値(第2読取階調値と第3読取階調値)や、第3ヘッドの読取階調値(第4読取階調値と第5読取階調値)は、スキャナの読取誤差が含まれる。例えば、第2読取階調値と第3読取階調値との間には誤差X1が存在し、第4読取階調値と第5読取階調値との間には、誤差X2が存在している。
【0009】
このようなスキャナの読み取り誤差等の影響を軽減するために、同一のヘッドから異なる用紙に印刷され、同時にスキャナに読み取られなった補正用パターンの読取結果を平均値化することで、スキャナの読取誤差を軽減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−234115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、経時により吐出状態が変化してしまう不安定吐出ノズル(不良ノズル)がノズル群の中に存在すると、この不安定吐出ノズルを含むノズル群によって異なるタイミングでテストチャートを形成すると、形成のたびにテストチャートが異なるおそれがある。
【0012】
図16(a),(b)は、濃度むら補正値を算出するためのテストチャートを読み取った読取データを示しており、特許文献1の図9に図示された第2〜第4の読取階調値に対応している。
【0013】
例えば、図16(a)に示す読取データ200は、特許文献1の図9に図示された用紙P2の読取階調値に対応しており、符号200Aを付した図16(a)中左側半分(段差の高い部分)は、第2ヘッドにより形成されたテストチャートの読取データであり、符号200Bを付した右半分(段差の低い部分)は、第3ヘッドにより形成されたテストチャートの読取データである。
【0014】
また、読取データ202は、特許文献1の図9に図示された用紙P3の読取階調値に対応しており、符号202Bを付した図16(a)中左側半分(段差の低い部分)は、第3ヘッドにより形成されたテストチャートの読取データであり、符号202Cを付した右半分(段差の高い部分)は、第4ヘッドにより形成されたテストチャートの読取データである。
【0015】
読取データ200(200B)と読取データ202(202B)との平均値は、符号204を付して破線により図示されている。
【0016】
図16(b)は、不安定吐出ノズルが存在する場合の読取データを示している。例えば、第3ヘッドに不安定吐出ノズルが存在すると、読取データ202’(202B’)のように一時的な変動(大きく低下した値)が発生し、第3ヘッドの読取データの平均値204’は不安定吐出ノズルが存在しない場合の平均値204との間に誤差が生じてしまう。
【0017】
すなわち、特許文献1に記載された補正値算出方法は、第3ヘッドの読取階調値のうち、第4読取階調値が求められるテストパターンと、第5読取階調値が求められるテストパターンと、は異なるタイミングで形成されたものであり、第4読取階調値と第5読取階調値との平均値は、経時による吐出状態の変化に起因する誤差が含まれてしまうので、かかる平均値から算出された補正値は、本来得られるべき適切な補正値とは異なってしまう。
【0018】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、経時により吐出状態が変化する不安定吐出ノズルが存在しても、当該不安定吐出ノズルの影響が排除された濃度むら補正値が求められる、濃度むら補正値算出方法及び画像処理方法並びに画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために、本発明に係る濃度むら補正値算出方法は、所定の方向に沿って並べられた複数のノズルにおける、経時により吐出状態が変化する不安定吐出ノズルの情報を取得する不安定吐出ノズル情報取得工程と、前記不安定吐出ノズルを不吐出ノズルとして設定する設定工程と、前記不安定吐出ノズルが不吐出ノズルとして設定された後に、複数回の異なる吐出タイミングで前記複数のノズルから液体を吐出させて、濃度むら補正値を算出するためのテストチャートを複数形成するテストチャート形成工程と、前記形成された複数のテストチャートをテストチャートごとに読み取り、読取データである読取階調値を取得する読取工程と、前記複数テストチャートのそれぞれに対応する読取階調値を平均して求められる平均階調値を算出する平均階調値算出工程と、前記不安定吐出ノズル情報及び前記平均階調値に基づいて、ノズルごとの濃度むら補正値を算出する濃度むら補正値算出工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、経時により吐出状態が変化する不安定吐出ノズルを不吐出ノズルとし設定することで、当該不安定吐出ノズルを不吐出ノズルとして取り扱い、不安定な状態を安定化させ、異なるタイミングで同一のノズル群により形成された複数のテストチャート間における不安定吐出ノズルの吐出状態の変動の影響を抑制することができ、好ましい濃度むら補正値が算出される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る濃度むら補正値算出方法の流れを示すフローチャート
【図2】濃度むら補正値を算出するためのテストチャートの一例を示す説明図
【図3】図2に示したテストチャートの読取データ(読取階調値)を模式的に図示した説明図
【図4】不安定吐出ノズルを測定するためのテストチャートの一例を示す説明図
【図5】本発明の実施形態に係る濃度むら補正値算出方法が適用される処理部の概略構成例を示すブロック図
【図6】濃度むら補正値算出の一例を示す説明図
【図7】本発明の実施形態に係る濃度むら補正値算出方法により算出された濃度むら補正値を用いた画像処理の流れを示すフローチャート
【図8】本発明の実施形態に係る濃度むら補正方法が適用されるインクジェット記録装置の概略構成図
【図9】図8に示すインクジェット記録装置のインクジェットヘッドの他の構成例を示す概略構成図
【図10】図8,9に示すインクジェットヘッドの構造例を示す説明図
【図11】図8,9に示すインクジェット記録装置の制御系の概略構成を示すブロック図
【図12】本発明の実施形態に係る濃度むら補正値算出方法の変形例2の説明図
【図13】本発明の実施形態に係る濃度むら補正値算出方法の変形例3の説明図
【図14】本発明の実施形態に係る濃度むら補正値算出方法の変形例4の説明図
【図15】本発明の実施形態に係る濃度むら補正値算出方法における重み付け平均の説明図
【図16】従来技術の課題を説明する説明図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
【0023】
〔濃度むら補正値算出方法の概要〕
図1は、本発明の実施形態に係る濃度むら補正値算出方法の流れを示すフローチャートである。本発明の実施形態に係る濃度むら補正値算出方法は、インクジェットヘッドを用いた画像形成において、ノズルごとの吐出特性(ノズルローカリティ)の違いに起因して発生する画像の濃度むらを補正するための濃度むら補正値を算出するものである。
【0024】
なお、本例では濃度むら補正方法が適用されるインクジェット方式の画像形成として、記録媒体の最大幅(記録媒体の搬送方向と直交する方向の最大長さ)を超える長さにわたって複数のノズル配置された構造を有するフルライン型のインクジェットヘッドが用いられる形態を例に挙げる。
【0025】
当該フルライン型のインクジェットヘッドは、記録媒体の搬送方向と直交する方向(インクジェットヘッドの長手方向)について、複数のノズル群がつなぎ合わされた構造を有している。かかる構造を有するフルライン型ヘッドのノズルを記録媒体の搬送方向と直交する方向に沿って並ぶように投影した投影ノズル列は、記録媒体の搬送方向と直交する方向について等間隔に並べられている(詳細後述)。
【0026】
フルライン型のインクジェットヘッドを有するインクジェット記録装置は、記録媒体とインクジェットヘッドとを相対的に一回だけ走査させることで、記録媒体の全域にわたって画像が形成されるシングルパス方式の画像形成を行うことができる。
【0027】
図1に示すように、濃度むら補正値算出のフローが開始されると(ステップS10)、インクジェットヘッドに具備されるすべてのノズル(実際に画像形成に使用されうるすべてのノズル)について、不安定吐出ノズルであるか否かが判断される(ステップS12:不安定吐出ノズル測定工程)。
【0028】
「不安定吐出ノズル」とは、経時によって吐出状態が変化する、吐出状態が安定していないノズルを意味している。かかる不安定吐出ノズルは、正常な吐出を行う場合もありうるが、飛翔方向の異常、吐出量の異常が発生する場合もありうる。すなわち、複数回の吐出において、一回でも吐出異常(誤差の範囲を超えた異常)が発生したノズルは不安定吐出ノズルと判断される。
【0029】
ステップS12の不安定吐出ノズル測定工程の測定結果に基づいて、不安定吐出ノズル情報が生成される(ステップS14:不安定吐出ノズル情報生成工程)。
【0030】
ステップS14において作成された不安定吐出ノズル情報は、不安定吐出ノズルと判断されたノズルの位置(番号)が含まれる。不安定吐出ノズル情報は、不安定吐出ノズルの位置を特定するための情報であって、すべてのノズルについて1からの通し番号を付与してもよいし、ノズル配列における行方向の番号と列方向の番号とを組み合わせた座標でもよい。
【0031】
ステップS14において、不安定吐出ノズル情報が生成されると、不安定吐出ノズルは不吐出ノズルとして設定される(ステップS16)。不安定吐出ノズルを不吐化して不吐出ノズルとして取り扱うことで、当該不安定吐出ノズルは「吐出しない状態」に安定化させることと等価になり、吐出状態の変化による影響が排除される。
【0032】
ステップS16において不安定吐出ノズルが不吐出ノズルとして設定されると、ノズル群ごとに濃度むら補正値を算出するためのテストチャートが形成され(ステップS18:テストチャート形成工程)、読取装置(スキャナ)によってテストチャートの読み取りが実行され(ステップS20:読取工程)、テストチャートの読取データに基づいて、ノズル群ごとに読取階調値が算出(取得)される(ステップS22:読取階調値取得工程)。
【0033】
ステップS18において形成されるテストチャートは、読取装置の読取可能範囲に合わせてノズル群単位で形成される。すなわち、読取装置の読取可能範囲に対応して、一回で読み取りが可能なサイズの媒体を用いてテストチャートが形成されるので、当該媒体にインクジェットヘッドの全ノズル分のテストチャートが形成できない場合は、複数枚の媒体に分けて、全ノズル分のテストチャートが形成される。
【0034】
また、読取装置の読取誤差の軽減を図るために、同一のノズル群を用いて複数のテストチャートが形成される。この複数のテストチャートは、異なるタイミングにおいて形成されるものであり、異なる媒体に形成される。
【0035】
ステップS20におけるテストチャートの読み取りは媒体ごとに行われるので、同時に読み取られなかったテストチャートの読取結果の間に、読取装置の読取誤差が発生することがある。この読取誤差を軽減するために、同一のノズル群により形成された複数のテストチャートの読取データ(読取階調値)の平均値が算出される(ステップS24:平均階調値算出工程)。
【0036】
このように、同時に読み取られなかった同一のノズル群から形成されたテストチャートの複数の読取データを平均化することで(ノズル群ごとに複数のテストチャートの読取データを平均化することで)、読取装置の読取タイミングの違いに起因する、同時に読み取られなかった媒体間の読取誤差が軽減される。
【0037】
ステップS14において不安定吐出ノズル情報が生成(取得)され、ステップS24においてノズル群ごとの平均階調値が算出されると、不安定吐出ノズル情報及び平均階調値を用いて、濃度むら補正値が算出される(ステップS26)。
【0038】
ステップS26において算出された濃度むら補正値は、所定の記憶媒体(例えば、図5の濃度むら補正値記憶部126)に記憶され、当該濃度むら補正値算出フローは終了される(ステップS28)。
【0039】
濃度むら補正値は、ノズル位置(番号)、濃度階調値(入力階調値)に対応付けされたテーブル形式で記憶され、図7を用いて説明するインクジェット方式の画像形成に用いられる。
【0040】
(テストチャートの説明)
図2は、濃度むら補正値を算出するためのテストチャート(濃度むら補正値測定用テストチャート)の一例を示す説明図である。同図に示すインクジェットヘッド10は、4つのノズル群12(第1ノズル群12A、第2ノズル群12B、第3ノズル群12C、第4ノズル群12D)を有し、媒体幅方向(同図中左右方向)に沿って、同図における左から右に向かって第1ノズル群12Aから順に並べられた構造を有している。
【0041】
図2に黒塗りで符号14を付して図示したノズルは不安定吐出ノズルであり、第2ノズル群12Bに属している。図2には、説明の都合上、不安定吐出ノズルを1つだけ図示したが、多数の不安定吐出ノズルが含まれる場合や、複数のノズル群について不安定吐出ノズルが存在する場合もありうる。
【0042】
図2に示す第1媒体20は、第1ノズル群12A及び第2ノズル群12Bによりテストチャート30が形成される。第2媒体22は第2ノズル群12B及び第3ノズル群12Cによりテストチャート32が形成され、第3媒体24は、第3ノズル群12C及び第4ノズル群12Dによりテストチャート34が形成される。
【0043】
濃度むら補正値を算出するためのテストチャート30,32,34は、5種類の異なる濃度を有する、媒体幅方向に沿う帯状のパターンから構成される。パターン30A,32A,34Aは濃度70%のパターンであり、パターン30B,32B,34Bは濃度60%、パターン30C,32C,34Cは濃度50%、パターン30D,32D,34Dは濃度40%、パターン30E,32E,34Eは濃度30%のパターンである。
【0044】
テストチャート30の白すじ31、及びテストチャート32の白すじ33は、不安定吐出ノズル14が不吐化されているために生じるものである。このように、不安定吐出ノズル14を不吐化して不吐出ノズルと等価に取り扱うことで、テストチャート30,32の不安定吐出ノズル14に対応する位置にはパターン(ドット)が形成されない。
【0045】
テストチャート30,32,34が形成される媒体は、画像形成に使用される媒体でもよいし、専用の媒体でもよい。媒体の材質は、紙媒体が適用される。
【0046】
(読取データ(読取階調値)の処理の説明)
図3(a)は、第1媒体20に形成されるテストチャート30の読取データ(読取階調値)、及び第2媒体22に形成されるテストチャート32の読取データを模式的に図示した説明図である。
【0047】
同図に示す読取データ40は、第1媒体20に形成されるテストチャート30(図2参照)の読取データであり、図3(a)の読取データ42は、第2媒体22に形成されるテストチャート32の読取データである。
【0048】
読取データ40において、符号40Aを付した読取データ40の左半分は第1ノズル群12Aに対応し、符号40Bを付した読取データ40の右半分は第2ノズル群12Bに対応している。第2ノズル群12Bに対応する読取データ40Bには、テストチャート30(図2参照)の白すじ31に対応して、他のデータ値よりも著しく低いデータ値(最小値)が存在している。
【0049】
読取データ42において、符号42Bを付した読取データ42の左半分は第2ノズル群12Bに対応し、符号42Cを付した読取データ42の右半分は第3ノズル群12Cに対応している。第2ノズル群12Bに対応する読取データ42Bには、テストチャート32の白すじ33に対応して、他のデータ値よりも著しく低いデータ値(最小値)が存在している。
【0050】
図3(b)は、図1のステップS24(平均階調値算出工程)において算出される第2ノズル群12Bの平均階調値44が破線により図示されている。第2ノズル群12Bの平均階調値44は、読取データ40Bと読取データ42Bとの平均値として算出される。
【0051】
このように、不安定吐出ノズル14を不吐化して不吐出ノズルと等価に取り扱うことで、不安定吐出ノズル14に対応する読取データは安定した値(最小値)となり、不安定吐出ノズル14の吐出状態が変動しないので、安定した平均階調値を得ることができる。
【0052】
図3(b)に図示した平均階調値44を用いて算出された濃度むら補正値は、不吐化された不安定吐出ノズル14の影響が出てしまうので、以下に説明する、いずれかの補正処理が施される。
【0053】
図3(c),(d)は、不安定吐出ノズル情報の利用形態を模式的に図示した説明図である。図3(c)に示す不安定吐出ノズル情報の利用形態では、平均階調値44から不安定吐出ノズル14に対応するデータ(符号46を付して図示)が削除される。このように、濃度むら補正値を算出する際に不安定吐出ノズル14に対応するデータを削除することで、不吐化された不安定吐出ノズル14の影響が排除された、好ましい濃度むら補正値が算出される。
【0054】
図3(d)は、不安定吐出ノズル14に対応するデータの前後のデータ値が変更される不安定吐出ノズル情報の利用形態を示している。すなわち、不吐出ノズルの濃度補正と同様の手法を用いて平均階調値44が補正される。具体的には、平均階調値44の不安定吐出ノズル14に対応するデータ46の前後のデータ値(符号48,50付して図示)を大きくして、平均階調値44が補正される。
【0055】
(不安定吐出ノズルの測定)
次に、図1のステップS12に適用される不安定吐出ノズルの測定方法について説明する。図4は、不安定吐出ノズルを測定するためのテストチャートの一例を示す説明図である。
【0056】
同図に示すテストチャート(不安定吐出ノズル測定用テストチャート)60は、1オンNオフと呼ばれる形式のテストチャートであり、媒体搬送方向と直交する方向に、媒体搬送方向の所定の長さを有するライン(ドット列)62がNノズルピッチで並べられたドット群64を(N+1)段分有し、各段のラインは、他の段のラインに対して媒体搬送方向と直交する方向に互いにずらされて配置されている。
【0057】
すなわち、インクジェットヘッド10をNノズルおきに連続的に同時駆動させて1段分のドット群64が形成され、同時駆動させるノズルを切り換えながら(N+1)段分のドット群64‐1〜64‐(N+1)が形成される。
【0058】
このような構造を有するテストチャート60を用いた不安定吐出ノズル測定は、ドット解像度(印刷解像度)未満の読取解像度の読取(撮像)装置を使用することができる。図2に示すテストチャート60のドット解像度を1200dpiとしたときに、このドット解像度をテストチャート60の「N」で除算した値以上の読取解像度を有する読取装置を適用することができる。
【0059】
つまり、図4に図示したN=4の場合は、300dpi以上の読取解像度を有する読取装置を使用することができる。このように、ドット解像度よりも十分に小さい読取解像度を有する読取装置を使用できるように構成することで、低解像度のインラインセンサを備える装置において、不安定吐出ノズルが発見される確率を向上させることができる。
【0060】
また、図4に図示したテストチャート60は、一定時間間隔で複数回形成される。複数のテストチャート60を形成する形態は、異なる媒体を用いる形態でもよいし、同一の媒体において、位置をずらして(例えば、媒体の先端部(書き始め部)と後端部(書き終わり部)に)形成してもよい。
【0061】
テストチャート60が形成されると、CCDなどの撮像素子が具備される撮像装置によってテストチャート60が読み取られ、読取画像が取得される。なお、撮像装置の最大読取範囲がテストチャートのサイズに対応していない場合は、濃度むら補正値算出用のテストチャート30,32,34(図2参照)と同様に、ノズル群単位で複数の媒体に分割してテストチャート60を形成してもよい。
【0062】
テストチャート60の読取画像から、各ライン62の濃度と、媒体搬送方向と直交方向(ノズルの配列方向)の位置が測定される。また、前回の読取結果と比較され、濃度の差、位置の差が測定される。前回の読取結果との差が予め定められた値を超えたライン62に対応するノズルは、不安定吐出ノズルとして不安定吐出ノズル情報に追加される。
【0063】
図4では、上から2段目の左から4番目のライン66の位置が同図中左方向にずれている。符号66’を付して破線で図示したラインが前回の読取画像であるとすると、ライン66を形成したノズル14は不安定吐出ノズルと判断される。
【0064】
このようにして、一定時間間隔で定期的に不安定吐出ノズルの測定が行われ、不安定吐出ノズル情報が生成(更新)される。なお、不安定吐出ノズルの測定における一回目の測定結果に基づいて不吐出ノズルの有無を判断することも可能である。
【0065】
例えば、図4における上から2段目の左から4番目のライン66は、同図中左方向に位置がずれている。本来ライン66が形成される位置が符号66’を付して破線で図示した位置であり、これが一回目の読取結果であれば、ライン66を形成したノズル14は不吐出ノズルと判断され、不吐出ノズル情報が生成(更新)される。
【0066】
図5は、上述した濃度むら補正値算出方法を実行可能なハードウエアの概略構成を示すブロック図である。本例に示す濃度むら補正値算出方法を実行しうるハードウエアは、テストチャートを出力(形成)するテストチャート出力部102と、テストチャートを読み取るテストチャート読取部104が含まれる。
【0067】
テストチャート出力部102は、濃度むら補正値を算出する対象のインクジェットヘッドが含まれ、該インクジェットヘッドから濃度むら補正値算出用のテストチャート(図2に符号30,32,34を付して図示)、及び不安定吐出ノズル測定用のテストチャート(図4に符号60付して図示)を出力する。また、インクジェットヘッドによってテストチャートが形成される媒体が保持搬送される媒体保持搬送部が含まれる。
【0068】
テストチャート読取部104は、テストチャート出力部102によって出力された濃度むら補正値算出用のテストチャートを読み取る読取装置、及び不安定吐出ノズル測定用のテストチャートを読み取る撮像装置が含まれる。図5では、これらを包括して、一つの機能部として図示している。
【0069】
テストチャート読取部104の読取結果のうち、濃度むら補正値算出用のテストチャートの読取データは濃度むら補正値が算出されるブロックに送出され、不安定吐出ノズル測定用のテストチャートの読取データは不安定吐出ノズルが測定されるブロックへ送出される。
【0070】
不安定吐出ノズルが測定されるブロックは、不安定吐出ノズル測定用のテストチャートの読取データ(読取画像)を取得する読取データ取得部110と、読取データ取得部110によって取得された読取データに基づいて不安定吐出ノズルの有無を判断するとともに、不安定吐出ノズル情報を生成する不安定吐出ノズル情報生成部112と、読取データ取得部110によって取得された読取データに基づいて不吐出ノズルの有無を判断するとともに、不吐出ノズルの情報を生成する不吐出ノズル情報生成部114と、不安定吐出ノズル情報及び不吐出ノズル情報が記憶されるノズル情報記憶部116と、を含んで構成されている。
【0071】
また、濃度むら補正値が算出されるブロックは、濃度むら補正値算出用のテストチャートの読取データ(読取階調値)を取得する読取階調値取得部120と、同一のノズル群における複数の読取階調値の平均値として、ノズル群ごとに平均階調値を算出する平均階調値算出部122と、平均階調値及び不安定吐出ノズル情報に基づいて、濃度むら補正値を算出(生成)する濃度むら補正値算出部124と、濃度むら補正値を記憶する濃度むら補正値記憶部126と、を含んで構成されている。
【0072】
濃度むら補正値を算出するためのテストチャートが出力されるときは、予め、不安定吐出ノズル情報が生成されて記憶されており、ノズル情報記憶部116に記憶されている不安定吐出ノズル情報に基づいて、不安定吐出ノズルが不吐出ノズルとして設定され、テストチャート出力部102によって、濃度むら補正値を算出するためのテストチャートが出力される。
【0073】
なお、図5に図示したハードウエアの構成は、適宜個別のハードウエアとすることができる。例えば、テストチャート出力部102と、テストチャート読取部104と、不安定吐出ノズルが測定されるブロックと、濃度むら補正値が算出されるブロックと、をそれぞれ別々のハードウエアとしてもよいし、適宜一体構成としてもよい。
【0074】
(濃度むら補正値算出の説明)
図6は、図1のステップS26において実行される濃度むら補正値算出の一例を示す説明図であり、指令階調値に対する読取階調値の関係を示している。図6における「指令階調値」は、画像データにおける濃度値(入力値)であり、「読取階調値」は出力された画像を読取装置によって読み取った読取データの値(実際の画像における出力値)である。
【0075】
本例に示す濃度むら補正は、同一の指令階調値が入力されたときに、いずれのノズル(画素)においても一定範囲内の濃度値(出力値)となるように、指令階調値が補正される。
【0076】
図6及び以下の説明における指令階調値S、S、S、S、Sは、それぞれ図2に図示したテストチャート30,32,34の30%濃度(30E等)、40%濃度(30D等)、50%濃度(30C等)、60%濃度(30B等)、70%(30A等)濃度に対応している。
【0077】
以下の説明は、フルライン型のインクジェットヘッドを用いたシングルパス方式の画像形成が行われる形態を前提とし、黒(K)、C(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)の4色インクを用いてカラー画像を形成する形態のC(シアン)インクについて説明する。
【0078】
フルライン型のインクジェットヘッドを用いたシングルパス方式の画像形成では、各ノズルによって、記録媒体の搬送方向に沿う帯状の領域に画像(ドット列)が形成される。
【0079】
指令階調値S〜Sのそれぞれについて、各ノズルが担う記録媒体の搬送方向に沿う帯状の領域のすべての読取階調値の平均値を指令階調値の目標値と設定し、指令階調値ごとの各ノズルの読取階調値を当該目標値に近づけるように、ノズルごとに指令階調値が補正される。
【0080】
例えば、40%濃度を表す指令階調値Sにおいて、すべての帯状の領域の読取階調値の平均値Cbtを求め、この読取階調値Cbtに対応する指令階調値(実際に読取階調値Cbtとなる濃度を出力できる指令階調値)をSbtとする。
【0081】
そして、指令階調値S(Sbi)を入力したときに得られる読取階調値がCbi(<Cbt)のときに、次式(1)により、読取階調値Cbiが目標値Cbtとなる指令階調値Sbtが算出される。
【0082】
bt=Sbi+(S−S)×{(Cbt−Cbi)/(Cci−Cbi)} …(1)
一方、指令階調値S(Sbj)を入力したときに得られる読取階調値がCbj(>Cbt)のときは、次式(2)により、読取階調値Cbjが目標値Cbtとなる指令階調値Sbtが算出される。
【0083】
bt=Sbj+(S−S)×{(Cbt−Cbj)/(Cbj−Caj)} …(2)
なお、便宜上、図6及び上記式(1),(2)では、読取階調値Cbiが得られる指令階調値をSbiとし、読取階調値Cbjが得られる指令階調値をSbjと記載している。
【0084】
上記式(1)、式(2)に示す線形補間によって、読取階調値の目標値Cbtに対応する指令階調値である目標指令階調値Sbtが求められると、次式(3)によって補正値Hが求められる。
【0085】
=(Sbt−S)/S …(3)
同様にして、指令階調値S〜Sのそれぞれについて、ノズルごとに補正値H〜Hが求められる。また、C(シアン)以外の色のインクについても、同様に補正値H(H〜H)が求められる。
【0086】
このようにして求められた補正値Hは、指令階調値及びノズルに関連付けされたテーブルとして、図5に図示した濃度むら補正値記憶部126に記憶される。補正値Hのテーブルは色ごとに生成される。本例では、指令階調値として30%濃度、40%濃度、50%濃度、60%濃度、70%濃度が用いられる形態を示したが、図6に示すように指令階調値と読取階調値との関係が線形性を有していれば、指令階調値を適宜変更することも可能である。
【0087】
例えば、5つの指令階調値を0%濃度、25%濃度、50%濃度、75%濃度、100%濃度としてもよいし、指令階調値の数を5未満としてもよいし、5を超える数としてもよい。
【0088】
上記の如く構成された濃度むら補正値算出方法によれば、経時により吐出状態が変化する不安定吐出ノズルが不吐出ノズルとして設定することで、不安定吐出ノズルの吐出状態を不吐出状態に安定化させて、濃度むら補正値算出用のテストチャートが生成されるので、当該テストチャートにおける不安定吐出ノズルの吐出状態の変動の影響を抑制することができ、好ましい濃度むら補正値が算出される。
【0089】
また、不吐出ノズルと等価に取り扱われた不安定吐出ノズルに対応するテストチャートの読取データは、濃度むら補正値の算出の際に適宜補正がされるので、当該テストチャートを出力する際の不安定吐出ノズルの補正処理が不要である。
【0090】
なお、テストチャートを出力する際に、不吐出ノズル及び不吐出ノズルとして設定された不安定吐出ノズルの補正処理を施してもよい。
【0091】
〔画像処理フローの説明〕
次に、上述した濃度むら補正値算出方法により算出された濃度むら補正値を用いた画像処理について説明する。図6は、当該画像処理の流れを示すフローチャートである。
【0092】
当該画像処理フローが開始されると(ステップS100)、RGBの多階調(例えば、0〜255)の画像データが取得される(ステップS102)、RBGデータがCMY色空間より表されるCMYデータに変換される色変換処理が施されるとともに、γ処理が施される(ステップS104)。
【0093】
次に、予め生成(記憶)されている不安定吐出ノズル情報が参照され、不安定吐出ノズルは不吐出ノズルとして設定され(ステップS106)、予め算出(記憶)されている濃度むら補正値に基づき、γ処理後の画像データに対して濃度むら補正処理が施される(ステップS108)。
【0094】
その後、画素データが示す多階調の階調値が濃度むら補正値により補正される。すなわち、各画素の階調値(補正前の階調値Sin)は、その画素に対応するノズルの補正値Hに基づいて濃度むら補正処理が施される。
【0095】
補正前の階調値Sinが指令階調値のいずれかS,S,S,S,Sと同じであれば、指令階調値に対応する補正値H,H,H,H,Hをそのまま用いることができる。例えば、補正前の階調値Sin=Sとすると、補正後の階調値Soutは次式(4)により求められる。
【0096】
out=S×(1+H) …(4)
補正前の階調値Sinが指令階調値と異なる場合は、線形補間によって次式(5)により補正後の階調値Soutを算出する。次式(5)は、補正前の階調値Sinが指令階調値SとSの間であるものとする。
【0097】
out=S+(S’bt−S’at)×{(Sin−S)/(S−S)} …(5)
なお、上記式(5)において、S’btは、次式(6)により表され、S’atは、次式(7)により表される。
【0098】
S’bt=S×(1+H) …(6)
S’at=S×(1+H) …(7)
補正前の階調値Sinが指令階調値Sよりも小さい場合には、階調値0(最低階調値)と指令階調値Sの線形補間によって、補正後の階調値Soutが算出される。補正前の階調値Sinが指令階調値Sよりも大きい場合には、階調値255(最高階調値)と指令階調値Sの線形補間によって、補正後の階調値Soutが算出される。
【0099】
また、これに限らず、指令階調値とは異なる補正前の階調値Sinに対応した補正値Houtを算出し、次式(8)によって補正後の階調値Soutを算出してもよい。
【0100】
out=Sin×(1+Hout) …(8)
ステップS108において濃度むら補正処理が施された画像データは、予め生成(記憶)されている不吐出ノズル情報に基づき、不吐出ノズルに対する不吐出補正処理が施される(ステップS110)。
【0101】
不吐出補正処理は、不吐出ノズルにより形成される画素の画素値が最小値(ゼロ)に設定されるとともに、不吐出ノズルによって欠落する画素の濃度が補償されるように、不吐出ノズルの近傍の正常ノズルにより形成される画素の画素値が変更される。
【0102】
不吐出補正処理が施された画像データは、ハーフトーン(量子化)処理が施される(ステップS112)。ハーフトーン処理では、多階調の濃度データが二値又は多値のドットデータに変換される。多値の例として、大中小などのドットサイズにより四値を表現する方法や、一画素を0から四つのドットの数により構成して、ドットの数により四値を表現する方法がある。
【0103】
ステップS112においてハーフトーン処理が施され、ドットデータが生成されると、当該ドットデータに基づいて画像形成(印刷)が実行される(ステップS114)、当該画像処理が終了される(ステップS116)。
【0104】
このようにして、多階調の画像データからドットデータが生成されると、後述するヘッドドライバーによって該ドットデータに基づいてインクジェットヘッドの指令信号が生成され、該指令信号によりインクジェットヘッドが駆動されて、記録媒体上の所望のカラー画像が形成される。
【0105】
なお、ステップS110に示した不吐出補正処理は、ハーフトーン処理後に行うことも可能である。例えば、不吐出ノズルによって欠落するドット(濃度)を補償するように、不吐出ノズルの近隣のノズルに対する吐出指令信号を変更して(大きくして)、不吐出ノズルの近隣のノズルにより形成されるドットの濃度(サイズ)を変更する(大きくする)態様が可能である。
【0106】
かかる画像処理によれば、不安定吐出ノズルによる吐出状態の変動の影響が低減化された濃度むら補正値により濃度むら補正処理が施され、好ましい濃度むら補正が施された画像を得ることができる。
【0107】
〔装置構成例〕
次に、上述した濃度むら補正値算出方法、及び画像形成方法が適用される装置構成例として、KCMYの各色インクを記録媒体上に吐出させて、カラー画像を形成するインクジェット記録装置について説明する。
【0108】
(全体構成)
図8は、インクジェット記録装置160の概略構成図である。同図に示すインクジェット記録装置160は、オンデマンドタイプのインクジェット記録装置であって、記録媒体162の幅方向(図2,4の「媒体幅方向」に相当)全長Lを超える長さLにわたって、複数のノズル(図8中不図示、図10に符号168を付して図示)が所定の配置パターンに従って配置された構造を有するフルライン型のインクジェットヘッド164を具備している。
【0109】
図8に示すインクジェット記録装置160は、記録媒体162とインクジェットヘッド164とを一回だけ相対的に移動させるシングルパス方式によって、記録媒体162の画像形成領域の全域にわたって画像を形成しうる。
【0110】
図8では詳細な図示を省略するが、インクジェット記録装置160は、固定されたインクジェットヘッド164に対して記録媒体162を搬送する形態を適用してもよいし、固定された記録媒体162に対して、インクジェットヘッド164を移動させる形態を適用してもよい。
【0111】
固定されたインクジェットヘッド164に対して記録媒体162を搬送する形態では、記録媒体162の裏面(画像形成面と反対側の面)を支持するとともに、所定の姿勢に固定保持して搬送する記録媒体搬送部と、記録媒体162を該記録媒体搬送部へ送り出す給紙部と、画像形成後の記録媒体162を排出させる排紙部と、を具備して構成される。
【0112】
記録媒体162を搬送する形態の一例として、ベルト搬送、テーブル搬送、ドラム搬送などが挙げられる。また、記録媒体162を固定保持する形態の一例として、真空吸着方式、静電吸着方式、ニップ方式などが挙げられる。
【0113】
また、固定された記録媒体162に対して、インクジェットヘッド164を移動させる形態では、上記した記録媒体搬送部に代わり、記録媒体162を固定保持する記録媒体固定保持部が具備されるとともに、インクジェットヘッド164を移動させるインクジェットヘッド移動機構が具備される。
【0114】
なお、図9に示すインクジェット記録装置160’のように、KCMYの色ごとにインクジェットヘッド164K,164C,164M,164Yを備える形態も可能である。また、インク色は、KCMYに限定されず、LC(ライトシアン)、LM(ライトマゼンダ)を追加する形態や、透明インク、ホワイトインクを追加する形態も可能である。
【0115】
また、インクジェットヘッド164K,164C,164M,164Yの配置順も図9に示す形態に限定されず、適宜変更することも可能である。
【0116】
(インクジェットヘッドの構造)
図10(a)は、図8に図示したインクジェットヘッド164のノズル配列を示す平面図である。図10(a)に示すインクジェットヘッド164は、複数のヘッドモジュール(ノズル群)166(166‐1,166‐2,166‐3,166‐4)が記録媒体幅方向(図2,4の「媒体幅方向」に相当)に沿って並べられた構造を有している。
【0117】
また、各ヘッドモジュール166は、KCMYの各色に対応して、複数のノズル168が記録媒体幅方向に沿って一列に並べられたノズル列169(169K,169C,169M,169Y)を有している。すべてのヘッドモジュール166について、色ごとのノズル列169を構成するノズル168を記録媒体幅方向に並ぶように投影させた投影ノズル列を考えると、各ノズル168が記録媒体幅方向に沿って等間隔に並べられたものと等価となっている。
【0118】
なお、ノズル列169K,169C,169M,169Yの配置順は、図10(a)に示す形態に限定されず、適宜変更することが可能である。
【0119】
図9に示すインクジェットヘッド164K,164C,164M,164Yは、同様のノズル配置を適用することができるので、図10(b)では、インクジェットヘッド164K,164C,164M,164Yの一つだけを符号164を付して図示している。図10(b)に示すインクジェットヘッド164は、ヘッドモジュール166‐1,166‐2,166‐3,166‐4が千鳥状に並べられた構造を有し、すべてのノズル168を記録媒体幅方向に並ぶように投影させた投影ノズル列を考えると、各ノズル168が記録媒体幅方向に沿って等間隔に並べられたものと等価となっている。
【0120】
なお、この投影ノズル列のノズル配列方向をヘッド164のノズル配列方向と呼ぶことがある。
【0121】
なお、図10(a),(b)に図示したインクジェットヘッド164の構造や、ノズル配列は、図示の形態に限定されず、他の形態を適用することも可能である。例えば、ヘッドモジュール166内のノズル配列は、二次元配列(マトリクス配列)を適用してもよいし、ヘッドモジュール166をつなぎ合わせる形態は、各ヘッドモジュール166を一列につなぎ合わせてもよいし、上述した投影ノズル列において、隣接するノズルが異なるヘッドモジュール166に属するような形態も可能である。
【0122】
なお、二次元配列(マトリクス配列)された複数のノズルにおいて、投影ノズル列のノズル配列方向を当該複数のノズルのノズル配列方向と呼ぶことがある。
【0123】
また、図8,9に図示した装置構成は、記録媒体162の幅方向(主走査方向)に沿って短尺のインクジェットヘッドを走査させて、主走査方向について画像を形成し、主走査方向の一回の画像形成が終わると、記録媒体162を搬送方向(副走査方向)へ所定量搬送させ、次の領域への画像形成を行い、この動作を繰り返すことで記録媒体162の画像形成領域の全域にわたって画像形成を行うシリアル方式を適用することも可能である。
【0124】
シリアル方式では、一回の主走査により画像形成可能な領域について、複数回の走査により画像を形成するマルチパス方式も可能である。シリアル方式が適用されるインクジェットヘッドは、複数のノズルが副走査方向に沿って配置されるノズル群を備えるとともに、異なる色に対応するノズル群が、主走査方向に沿って並べられている。
【0125】
なお、色ごとにインクジェットヘッドを具備する形態(図9に対応する形態)では、色ごとのインクジェットヘッドは、主走査方向に沿って並べられる。かかるシリアル方式では、ノズルごとに主走査方向に沿うドット列が形成される。
【0126】
(制御系)
次に、図8に図示したインクジェット記録装置160(図9に図示したインクジェット記録装置160’)の制御系について説明する。図11は、インクジェット記録装置160(160’)の制御系の概略構成を示すブロック図である。
【0127】
インクジェット記録装置160(160’)は、通信インターフェース170、システム制御部172、搬送制御部174、画像処理部176、ヘッド駆動部178を備えるとともに、画像メモリ180、ROM182を備えている。
【0128】
通信インターフェース170は、ホストコンピュータ184から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース170は、USB(Universal Serial Bus)などのシリアルインターフェースを適用してもよいし、セントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用してもよい。通信インターフェース170は、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。
【0129】
システム制御部172は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置160の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能し、さらに、画像メモリ180及びROM182のメモリコントローラとして機能する。
【0130】
すなわち、システム制御部172は、通信インターフェース170、搬送制御部174等の各部を制御し、ホストコンピュータ184との間の通信制御、画像メモリ180及びROM182の読み書き制御等を行うとともに、上記の各部を制御する制御信号を生成する。
【0131】
ホストコンピュータ184から送出された画像データは通信インターフェース170を介してインクジェット記録装置160に取り込まれ、画像処理部176によって所定の画像処理が施される。画像処理部176は、画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号(画像)処理機能を有し、生成した印字データ(ドットデータ)をヘッド駆動部178に供給する制御部である。
【0132】
画像処理部176において所要の信号処理が施されると、該印字データに基づいて、ヘッド駆動部178を介してインクジェットヘッド164の吐出液滴量(打滴量)や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。なお、図11に示すヘッド駆動部178には、インクジェットヘッド164の駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
【0133】
搬送制御部174は、画像処理部176により生成された印字データに基づいて記録媒体162(図8,9参照)の搬送タイミング及び搬送速度を制御する。図11における搬送駆動部186は、記録媒体162を搬送する搬送機構を駆動するモータが含まれており、搬送制御部174は該モータのドライバーとして機能している。
【0134】
画像メモリ(一時記憶メモリ)180は、通信インターフェース170を介して入力された画像データを一旦格納する一時記憶手段としての機能や、ROM182に記憶されている各種プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域(例えば、画像処理部176の作業領域)としての機能を有している。画像メモリ180には、逐次読み書きが可能な揮発性メモリ(RAM)が用いられる。
【0135】
ROM182は、システム制御部172のCPUが実行するプログラムや、装置各部の制御に必要な各種データ、制御パラメータなどが格納されており、システム制御部172を通じてデータの読み書きが行われる。ROM182は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。また、外部インターフェースを備え、着脱可能な記憶媒体を用いてもよい。
【0136】
インラインセンサ188は、記録媒体162(図8参照)の搬送路上において画像(テストチャート)を読み取る撮像素子(ラインセンサ)と、該撮像素子から出力される読取信号にノズル除去や増幅、波形整形などの所定の信号処理を施す信号処理部と、を含む処理ブロックである。
【0137】
インラインセンサ188によって記録媒体162の余白等に形成されたテストチャートが読み取られ、その読取結果に基づいて各ノズルの吐出異常の有無が判断される。吐出異常が発生しているノズルは、吐出異常ノズルとして登録される。吐出異常ノズルが所定数を超えると、インクジェットヘッド164のメンテナンスが実行される。
【0138】
インラインセンサ188を備えるインクジェット記録装置160では、図5に図示した不安定吐出ノズル測定用のテストチャートを読み取るテストチャート読取部104の機能を具備することが可能である。
【0139】
すなわち、画像形成ごと、ジョブ間、所定期間ごとにインクジェットヘッド164から不安定吐出ノズル測定用のテストチャートを出力させ、インラインセンサ188によって該テストチャートを読み取り、その読取結果に基づいて不安定吐出ノズル情報や不吐出ノズル情報を定期的に更新することが可能である。
【0140】
本例に示すインクジェット記録装置160は、濃度むら補正値が記憶される濃度むら補正値記憶部190と、不安定吐出ノズル情報及び不吐出ノズル情報が記憶されるノズル情報記憶部192が具備される。画像処理部176は、濃度むら補正値記憶部190から濃度むら補正値を読み出して濃度むら補正処理を実行するとともに、ノズル情報記憶部192から不吐出ノズル情報を読み出して、不吐出ノズルの補正処理を実行する。
【0141】
濃度むら補正値は、インクジェット記録装置160の製造工程(検査工程)において算出され、濃度むら補正値記憶部190に記憶される。また、濃度むら補正値の算出に用いられる不安定吐出ノズル情報と、不吐出ノズル情報は、濃度むら補正値算出に先立って生成され、ノズル情報記憶部192に記憶される。
【0142】
装置が稼動されると、濃度むら補正値記憶部190に記憶されている濃度むら補正値と、ノズル情報記憶部192に記憶されている不安定吐出ノズル情報及び不吐出ノズル情報が読み出される。
【0143】
なお、図5の読取階調値取得部120、平均階調値算出部122、濃度むら補正値算出部124を具備する形態も可能である。例えば、インクジェットヘッド164からインクを吐出させて、図2に示す濃度むら補正値算出用のテストチャート30,32,34を形成し、外部の読取装置(例えば、汎用スキャナー)によって、濃度むら補正値算出用のテストチャート30,32,34を読み取り、外部インターフェ−スを介して当該読取データを取得するとともに、ノズル情報記憶部192から不安定吐出ノズル情報を取得し、平均階調値算出、濃度むら補正値算出、及び濃度むら補正値記憶の一連の処理を実行させることも可能である。
【0144】
メンテナンス処理部194は、インクジェットヘッド164のノズル詰まり、ノズル面(インク吐出面)の汚れを解消するための処理(メンテナンス処理)を実行するブロックである。メンテナンス処理部194は、パージの際のインク受けとなり、非印刷時のノズル面の密閉部材として機能するキャップ、ノズル面に洗浄液を付与する洗浄液付与部、ノズル面を払拭するブレード(ウエブ)などが含まれる。
【0145】
また、図示は省略するが、インクジェット記録装置160は、ユーザインターフェースとして、オペレータ(ユーザ)が各種入力を行うための入力装置と、表示部(ディスプレイ)を含んで構成される。入力装置には、キーボード、マウス、タッチパネル、ボタンなど各種形態を採用し得る。
【0146】
オペレータは、入力装置を操作することにより、印刷条件の入力、画質モードの選択、付属情報の入力・編集、情報の検索などを行うことができ、入力内容や検索結果など等の各種情報は表示部の表示を通じて確認することができる。この表示部はエラーメッセージなどの警告を表示する手段としても機能する。
【0147】
〔濃度むら補正値算出用テストチャートの変形例〕
次に、図2に図示した濃度むら補正値算出用のテストチャート30,32,34の変形例について説明する。なお、以下に説明する変形例1から変形例4では、先に説明した部分と同一又は類似する部分には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0148】
(変形例1)
変形例1では、図2に図示した第1媒体20、第2媒体22、第3媒体24に加えて、第4媒体25(不図示、説明の都合上符号を付す)に対して第1媒体20に形成されるテストチャート30と同じテストチャートが形成され、第5媒体26(不図示、説明の都合上符号を付す)に対して第2媒体22に形成されるテストチャート32と同じテストチャートが形成され、第6媒体27(不図示、説明の都合上符号を付す)に対して、第3媒体24に形成されるテストチャート34と同じテストチャートが形成される。
【0149】
この六枚の媒体を読取装置に個別に読み取らせると、第1ノズル群12Aの読取階調値と第4ノズル群12Dの読取階調値として、それぞれ2つの読取結果が得られ、第2ノズル群12Bの読取階調値と第3ノズル群12Cの読取階調値として、それぞれ4つの読取結果が得られる。
【0150】
そして、第1媒体20の読取結果、第4媒体25の読取結果のうちの、第1ノズル群12Aに対応するテストチャートの読取結果の平均値を「第1ノズル群12Aの平均階調値」として算出する。
【0151】
同様に、第1媒体20の読取結果、第2媒体22の読取結果、第4媒体25の読取結果、第5媒体26の読取結果のうちの、第2ノズル群12Bに対応するテストチャートの読取結果の平均値を「第2媒体22の平均階調値」として算出する。
【0152】
さらに、第2媒体22の読取結果、第3媒体24の読取結果、第5媒体26の読取結果、第6媒体27の読取結果のうち、第3ノズル群12Cに対応するテストチャートの読取結果の平均値を「第3ノズル群12Cの平均階調値」として算出し、第3媒体24の読取結果、第6媒体27の読取結果のうち、第4ノズル群12Dに対応するテストチャートの読取結果の平均値を「第4ノズル群12Dの平均階調値」として算出する。
【0153】
なお、平均値を算出する際に、媒体の白地の影響を受けたおそれのある読取階調値を取り除くことで、より正確な濃度むら補正値を算出できる。
【0154】
かかる態様によれば、図2に示す例と比較してデータ数が2倍となる。このように、各ノズル群にテストチャートを形成させる回数を増やすことで、得られるデータ数も多くできる。
【0155】
得られるデータ数が多くなるということは、その分だけ各媒体を読取装置で読み取った時の読取装置の読取誤差を緩和できる。例えば、第1媒体20を読取装置で読み取った時の特性が高い階調値に読み取りやすい特性であったとする。このとき、第1媒体20の読取結果しか得られずに、第1媒体20の読取結果に基づいて補正値Hを算出すると、淡く補正される度合いが高くなってしまう。
【0156】
そのため、同時に読み取られていない読取結果を複数取得し、複数の読取結果の平均値に基づいて補正値Hを算出することで、読取装置の読取誤差を緩和でき、より精度のよい濃度むら補正値が得られ、濃度むらがより解消される。
【0157】
また、変形例1に係るテストチャートは、図2に図示するテストチャート30,32,34と同様に、媒体幅方向について、媒体が一個のノズル群の長さ分だけずれて給紙され、媒体幅方向に隣り合う二個のノズル群により同じ媒体にテストチャートを形成される。
【0158】
そのため、隣り合うノズル群が対応付けられるノズルの濃度むら補正値は、同じ読取装置の読取特性が加味されて算出される。その結果、異なるノズル群により形成される画像が並んでも濃度むらが抑制される。
【0159】
また、各ノズル群の境目部分にて、それぞれ二枚の媒体の中央部にテストチャートが印刷される。すなわち、ノズル群の境目に印刷されたテストチャートの安定した読取結果を2つずつ得ることができる。その結果、異なるノズル群に形成される画像の境目が目立ち難くなり、より高画質な画像を得られる。
【0160】
その他、使用頻度の多い中央の第2ノズル群12Bや第3ノズル群12Cのデータ数を、両端の第1ノズル群12Aや第4ノズル群12Dのデータ数よりも多くでき、使用頻度の多い補正値Hをより正確に算出できる。
【0161】
(変形例2)
図12は、変形例2に係るテストチャートを示す図である。図2を用いて説明した例及び変形例1では、媒体幅方向について、媒体が一個のノズル群の長さ分だけずれて給紙される。これに対して、本例では、第1媒体20、第2媒体22、第3媒体24、及び第4媒体25が一個のノズル群の媒体幅方向の長さ未満の間隔だけずれて給紙される。ここで、各ノズル群12(第1ノズル群12A、第2ノズル群12B、第3ノズル群12C、第4ノズル群12D)の媒体幅方向の長さをDとすると、第1媒体20に対して第2媒体22は、各ノズル群12の媒体幅方向の長さの半分(D/2)だけずれて給紙され、第3媒体24に対して第4媒体25もD/2だけずれて給紙される。
【0162】
すなわち、第1ノズル群12Aと第2ノズル群12Bにより、第1媒体20にテストチャート30が形成され、第1ノズル群12Aの中央部から左側半分のノズルと、第2ノズル群12Bと、第3ノズル群12Cの中央部から右側半分のノズルにより第2媒体22にテストチャート32が形成される。
【0163】
第2ノズル群12Bの中央部から右側半分のノズルと、第3ノズル群12Cと、第4ノズル群12Dの左側半分のノズルにより、第3媒体24にテストチャート32が形成され、第3ノズル群12Cと第4ノズル群12Dにより、第4媒体25にテストチャート36が形成される。
【0164】
なお、第1ノズル群12Aの左側半分が、請求項11の「第1ノズル群」に相当し、第1ノズル群12Aの右側半分と第2ノズル群12Bが、請求項11の「第2ノズル群」に相当し、第3ノズル群12Cの左側半分が、請求項11の「第3ノズル群」に相当する。
【0165】
また、第1ノズル群12Aの右側半分と第2ノズル群12Bの左側半分が、請求項11の「一方ノズル」に相当し、第2ノズル群12Bの右側半分が、請求項11の「他方ノズル」に相当する。
【0166】
その結果、媒体幅方向の中央部、すなわち、第2ノズル群12Bと第3ノズル群12Cの境目部分のデータ数が三個と最も多くなり、媒体幅方向の左右端部になるほどデータ数が少なくなる。
【0167】
複数の読取階調値が得られた領域は、複数の読取階調値が平均値化され、平均階調値が算出される。媒体幅方向の両端部から中央部にかけてデータ数を一つずつ増やすことができ、このように、徐々にデータ数が増えるということは、徐々に補正値Hの読取結果の精度が上がる。その結果、異なる数のデータに基づいて算出された補正値Hにより補正された画像が隣り合ってもその境目が目立ち難くなる。
【0168】
また、図8に図示したインクジェット記録装置160(図9に図示したインクジェット記録装置160’)は、記録媒体幅方向の中央のノズル(ヘッドモジュール)が両端部のノズルに比べて使用頻度が高い。そのため、本例のように、媒体(記録媒体)幅方向の中央部のノズルが対応付けられる帯状の領域のデータ数が多いほど、使用頻度の高い濃度むら補正値をより正確に算出でき、高画質な画像が得られる。
【0169】
さらに、ノズル群の境目が対応付けられる領域の補正値Hをより正確に算出することで、異なるノズル群に印刷される画像の境目を目立ち難くすることができる。本例も変形例1と同様に、ノズル群の境目に印刷されたテストチャートの安定した読取結果を2つ得ることができる。
【0170】
さらにまた、変形例1では六枚の媒体20,21,22,23,24,25にテストチャートを印刷しているのに対して、本例は四枚の媒体20,21,22,24にテストチャート30,32,34,36を印刷している。
【0171】
すなわち、本例では、各媒体20,21,22,24を適宜、ノズル群の媒体幅方向の長さD以下の間隔だけずらして給紙するため、変形例1よりもテストチャートの形成枚数が少ないにも関わらず、ノズル群の境目にて形成されたテストチャートの安定した読取結果を同じ数だけ得られる。
【0172】
形成枚数が少ないと、テストチャートを形成する時間が短縮され、また、インクや媒体の消費量も削減される。ただし、本例の最大データ数3は変形例1の最大データ数4よりも少なく、媒体幅方向の両端のノズルが対応付けられる領域のデータ数も変形例1よりも少ない。
【0173】
(変形例3)
図13は、図12に図示した変形例2に係るテストチャートとは異なるテストチャートの例を示す図である。本例では、媒体幅方向の中央部のヘッド(ノズル)が対応付けられる領域において、変形例1の最大データ数4と等しいデータ数が得られるように、テストチャートが形成される。
【0174】
本例では、適宜、変形例2よりもさらに短い間隔D/3にて媒体をずらして給紙する。その結果、変形例1は六枚の媒体20,21,22,23,24,25にテストチャートを印刷しているのに対して、本例では、5枚の媒体20,22,24,25,26にテストチャート30,32,34,35,36を形成しているにも関わらず、最大データ数(4)を等しくできる。
【0175】
また、第1ノズル群12Aと第2ノズル群12Bの境目部分に対応する領域のデータ数と、第3ノズル群12Cと第4ノズル群12Dの境目部分に対応する領域のデータ数とは、変形例2と同じ「二つ」にすることができる。さらに、第2ノズル群12Bと第3ノズル群12Cの境目部分に対応する領域のデータ数は、変形例2よりも多い「三つ」にすることができる。
【0176】
変形例3では、変形例2に比べて、欲しいデータ数は等しくしながらも、テストチャートの形成時間を短縮でき、インクや媒体の消費量も削減できる。ただし、媒体幅方向の両端のノズルが対応付けられる領域のデータ数は、変形例2よりも少なくなる。
【0177】
変形例2や変形例3に示すように、テストチャートを形成する媒体の給紙位置や媒体数を変化させることで、より正確に補正値Hを算出したい領域(ノズル)のデータ数を増やすことができる。
【0178】
(変形例4)
図14(a),(b)は、変形例4に係るテストチャートの例を示す図である。本例では、図2に図示したテストチャートの形成例にて一枚の媒体にテストチャートを形成しノズル数よりも多くのノズルを用いて、一枚の媒体にテストチャートを形成する。
【0179】
すなわち、本例では、図2に示す例よりも一枚の用紙に印刷されるテストチャートが大きくなる。そのため、本例では、図2に示す例において用いた媒体のサイズ(例えば、A4サイズ)よりも大きいサイズ(例えば、B4サイズ)の媒体20’にテストチャートが形成される。
【0180】
図14(a)に示すように、第1ノズル群12Aの読取階調値と第2ノズル群12Bの読取階調値を取得するために、図2に示す例では、一枚目の第1媒体20に、第1ノズル群12Aと第2ノズル群12Bによりテストチャート30が形成される。
【0181】
これに対して、本例では、一枚目の媒体20’に、第1ノズル群12Aと第2ノズル群12Bと第3ノズル群12Cの左側端部のノズルによりテストチャート30’が形成される。
【0182】
なお、媒体20’の余白部分に近い領域の読取階調値(太線により囲まれた部分)は、媒体の白地の影響を受けて、実際の濃度よりも淡く視認されるおそれがある。そのため、図2に示す例では、第2ノズル群12Bの右側端部のノズルにより形成されたテストチャート30は、白地の影響を受けているおそれがある。
【0183】
これに対して、本例では、第1ノズル群12Aの左側端部のノズルにより形成されたテストチャート30’の読取データ40A’、及び第3ノズル群12Cの左側端部のノズルにより形成されたテストチャート30’の読取データ40C’は、白地の影響を受けているおそれがあるが、第2ノズル群12Bの右側端部のノズルにより形成されたテストチャート30’の読取データ40B’は白地の影響を受けていない安定したデータである。
【0184】
すなわち、本例のように、読取データが欲しいノズル(ここでは、第1ノズル群12Aと第2ノズル群12B)だけでなく、そのノズルの近傍のノズル(ここでは第3ノズル群12Cの左側端部のノズル)にもテストチャート30’を形成させることで、欲しいデータ(読取階調値)が媒体の白地の影響を受けてしまうことを防止できる。
【0185】
言い換えると、図14(a)に図示した読取データ40’のうちの、第1ノズル群12Aに対応する読取データ40A’と、第2ノズル群12Bに対応する読取データ40B’は使用し、第3ノズル群12Cの左側端部に対応する読取データ40C’は使用しないとする。
【0186】
図14(b)は、第2ノズル群12Bに対応する読取データ40B”と、第3ノズル群12Cに対応する読取データ40C”を取得したい時に形成されるテストチャート30”である。この場合、第1ノズル群12Aの右側端部のノズルと、第2ノズル群12Bと、第3ノズル群12Cと、第4ノズル群12Dの左側端部のノズルを用いてテストチャート30”が形成される。
【0187】
その結果、第1ノズル群12Aの右側端部のノズルと、第4ノズル群12Dの左側端部のノズルと、により形成されたテストチャート30”の読取データ40A”,40D”は白地の影響を受けているおそれがあるが、欲しい読取データである第2ノズル群12Bの読取データ40B”と、第3ノズル群12Cの読取データ40C”は、媒体の白地の影響を受けていない安定した読取結果となる。
【0188】
このように、媒体幅方向の両端のノズル群12A,12D以外のヘッドノズル群においては、読取データが欲しいノズルと、そのノズルの近傍のノズルによりテストチャートを形成させることで、欲しい読取データが媒体の白地の影響を受けてしまうことを防止でき、より正確な補正値Hを算出できる。
【0189】
また、図14(a),(b)に示すように、白地の影響を受けていない安定した読取階調値のみを取得できると、平均階調値を算出する際に、白地の影響を受けたおそれのあるデータを除く処理が無くなる。
【0190】
〔重み付け平均について〕
図15(a)〜(d)は、図2に示すテストチャートの読取結果を重み付け平均する際の重み付け係数の説明図である。上記した実施形態では、一つの領域に対して複数のテストチャートの読取データが得られた場合には、その複数の読取データの平均値(平均階調値)を算出し、その平均値に基づいて濃度むら補正値が算出される。
【0191】
そして、精度のよい濃度むら補正値を算出するために、媒体の白地の影響を受けたおそれのある読取階調値は除いて平均値を算出している(変形例4参照)。しかし、これに限らず、媒体の白地の影響を受けたおそれのある読取データは、影響度合いが少なくなるように、重み付けを変えて平均値化してもよい。そして、重み付け平均した平均階調値に基づいて、濃度むら補正値が算出される。
【0192】
図15(b)〜(d)には、重み付け平均を行う際の重み付け係数が図示されている。図15(b)は第1媒体20の読取データに対する重み付け係数が図示され、図15(c)は第2媒体22の読取データに対する重み付け係数が図示され、図15(d)は第3媒体24の読取データに対する重み付け係数が図示されている。
【0193】
まず、第1ノズル群12Aの読取階調値として、第1媒体20の読取データのみが得られる。そのため、第1ノズル群12Aにより第1媒体20に形成されたテストチャート30の読取データ(読取階調値)に対する重み付け係数は「1」となる。
【0194】
すなわち、第1ノズル群12Aが対応付けられる領域では、第1媒体20の読取データが重み付け平均された平均階調値として得られる。
【0195】
次に、第2ノズル群12Bの読取階調値として、第1媒体20の読取データと第2媒体22の読取データの2つが得られる。ただし、第2媒体22の読取データのうち、第2ノズル群12Bの左側端部のノズルに形成されたテストチャート32の読取データは、第2媒体22の白地の影響を受けているおそれがある。
【0196】
また、第2媒体22の余白と隣り合う領域の読取結果が、最も第2媒体22の白地の影響を受けているおそれがあり、第2媒体22の余白から遠い領域の読取結果ほど第2媒体22の白地の影響を受けにくくなる。
【0197】
そこで、第2ノズル群12Bの左側端部のノズルが対応する領域においては、第1媒体20の読取データに対する重み付け係数が徐々に小さくなり、第2媒体22の読取データに対する重み付け係数は徐々に大きくなるようにする。
【0198】
そうすると、重み付け平均値は、第1媒体20の読取データとそれに対応する重み付け係数との積算値と、第2媒体22の読取データとそれに対応する重み付け係数との積算値との合計値である。そのため、ある読取結果に対する重み付け係数が小さいと、重み付け平均する際に、その読取結果の影響度合いは小さくなり、逆に、ある読取結果に対する重み付け係数が大きいと、重み付け平均する際に、その読取結果の影響度合いは大きくなる。
【0199】
つまり、第2媒体22の読取データにおいて、媒体の余白に近い領域ほど、当該領域の読取データが重み付け平均の際に影響する度合いが小さくなる。こうすることで、媒体の白地の影響を受けたおそれのある読取結果は、平均階調値に加味されずに、より正確な補正値Hが算出される。
【0200】
また、第2ノズル群12Bの右側端部のノズルが対応する領域においては、第1媒体20の読取データが第1媒体20の白地の影響を受けているおそれがあるため、第1媒体20の読取データに対する重み付け係数を徐々に小さくし、逆に、第2媒体22の読取データに対する重み付け係数を徐々に大きくする。
【0201】
そして、第2ノズル群12Bの両端部以外のノズルが対応する領域においては、第1媒体20の読取データも、第2媒体22の読取データも、媒体の白地の影響を受けずに安定した読取結果であるため、第1媒体20の読取データに対する重み付け係数(=0.5)と、第2媒体22の読取データに対する重み付け係数(=0.5)が等しくなる。
【0202】
同様に、第3媒体24の読取データに対しても、媒体の余白に近い列領域の読取結果に対する重み付け係数ほど小さくなるようにする。
【0203】
このように、重み付け係数を変化させて重み付け平均を行った結果を、平均階調値として算出することで、媒体の白地の影響を受けたおそれのある読取結果をすべて取り除いて平均階調値を算出する場合に比べて、できる限り多くの領域において、異なる媒体の読取データが加味された平均階調値が算出される。
【0204】
すなわち、より多くの領域の補正値Hが、読取装置の読取誤差が緩和された読取データに基づいて算出されることになり、濃度むらが抑制される。なお、ここでは、図2に図示したテストチャート30,32,34の重み付け平均の方法を示しているが、他のテストチャートに対する読取結果に対しても重み付け平均を行ってもよい。
【0205】
以上、本発明の実施形態に係る濃度むら補正値算出方法及び画像処理方法について詳細に説明したが、上述した構成は本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
【0206】
〔付記〕
上記に詳述した発明の実施形態についての記載から把握されるとおり、本明細書は少なくとも以下に示す発明を含む多様な技術思想の開示を含んでいる。
【0207】
(発明1):所定の方向に沿って並べられた複数のノズルにおける、経時により吐出状態が変化する不安定吐出ノズルの情報を取得する不安定吐出ノズル情報取得工程と、前記不安定吐出ノズルを不吐出ノズルとして設定する設定工程と、前記不安定吐出ノズルが不吐出ノズルとして設定された後に、複数回の異なる吐出タイミングで前記複数のノズルから液体を吐出させて、濃度むら補正値を算出するためのテストチャートを複数形成するテストチャート形成工程と、前記形成された複数のテストチャートをテストチャートごとに読み取り、読取データである読取階調値を取得する読取工程と、前記複数テストチャートのそれぞれに対応する読取階調値を平均して求められる平均階調値を算出する平均階調値算出工程と、前記不安定吐出ノズル情報及び前記平均階調値に基づいて、ノズルごとの濃度むら補正値を算出する濃度むら補正値算出工程と、を含むことを特徴とする濃度むら補正値算出方法。
【0208】
発明によれば、経時により吐出状態が変化する不安定吐出ノズルを不吐出ノズルとし設定することで、当該不安定吐出ノズルを不吐出ノズルとして取り扱い、不安定な状態を安定化させ、異なるタイミングで同一のノズル群により形成された複数のテストチャート間における不安定吐出ノズルの吐出状態の変動の影響を抑制することができ、好ましい濃度むら補正値が算出される。
【0209】
(発明2):発明1に記載の濃度むら補正値算出方法において、前記複数のノズルから液体を吐出させて不安定吐出ノズルの有無を判断するための不安定吐出ノズル測定用テストチャートを形成する不安定吐出ノズル測定用テストチャート形成工程と、前記形成された前記不安定吐出ノズル測定用テストチャートを読み取る読取工程と、前記不安定吐出ノズル測定用テストチャートの読取結果に基づいて、ノズルごとに不安定吐出ノズルであるか否かを判断して不安定吐出ノズル情報を生成する不安定吐出ノズル情報生成工程と、を含むことを特徴とする。
【0210】
かかる態様において、不安定吐出ノズル測定用テストチャートの読取結果から、各ノズルについて、着弾位置のずれ、吐出液滴量のばらつきにより、不安定ノズルであるか否かが判断される。
【0211】
(発明3):発明2に記載の濃度むら補正値算出方法において、前記不安定吐出ノズル測定用テストチャート生成工程は、所定の時間間隔でされる複数回の吐出により複数の前記不安定吐出ノズル測定用テストチャートを形成し、前記不安定吐出ノズル情報生成工程は、前記複数の不安定吐出ノズル測定用テストチャートの読取結果に基づいて、ノズルごとに不安定吐出ノズルであるか否かを判断して、前記不安定吐出ノズル情報を生成することを特徴とする。
【0212】
かかる態様によれば、所定の時間間隔をおいて形成される複数の不安定吐出ノズル測定用テストチャートを用いて、複数回の不安定吐出ノズルの測定(判断)を行うことによって、各ノズルの経時による吐出状態の変化を確実に測定することができ、不安定吐出ノズルを確実に把握しうる。
【0213】
(発明4):発明1から3のいずれかに記載の濃度むら補正値算出方法において、前記濃度むら補正値算出工程は、前記読取階調値の中から不吐出ノズルとして設定された前記不安定吐出ノズルに対応する値を削除して、濃度むら補正値を算出することを特徴とする。
【0214】
かかる態様によれば、読取階調値の中から不安定吐出ノズルに対応するデータが削除されることで、不安定吐出ノズルの影響が排除された好ましい濃度むら補正値が算出される。
【0215】
また、濃度むら補正値を算出するためのテストチャートを出力する際に、不吐出ノズルとして設定された不安定吐出ノズルに対する補正処理をせずに、当該テストチャートを形成することができる。
【0216】
(発明5):発明1から3のいずれかに記載の濃度むら補正値算出方法において、前記濃度むら補正値算出工程は、前記読取階調値の中から不吐出ノズルとして設定された前記不安定吐出ノズルに対応するデータを補正するように、前記不安定吐出ノズルの近隣のノズルに対応するデータを変更して、濃度むら補正値を算出することを特徴とする。
【0217】
かかる態様によれば、濃度むら補正値を算出する際に、不吐出ノズルとして設定された不安定吐出ノズルに対する補正処理を行うことで、不安定吐出ノズルの影響が排除された好ましい濃度むら補正値が算出される。
【0218】
また、濃度むら補正値を算出するためのテストチャートを出力する際に、不吐出ノズルとして設定された不安定吐出ノズルに対する補正処理をせずに、当該テストチャートを形成することができる。
【0219】
(発明6):発明1から5のいずれかに記載の濃度むら補正値算出方法において、前記複数のノズルは、第1ノズル群、第2ノズル群及び第3ノズル群を含んで構成され、前記テストチャート形成工程は、前記第1ノズル群及び前記第2ノズル群を用いて第1テストチャートを形成するとともに、第1テストチャートを形成するタイミングと異なるタイミングで前記第2ノズル群及び前記第3ノズル群を用いて第2テストチャートを形成し、前記平均階調値算出工程は、前記読取工程により読み取られた前記第1テストチャート及び第2テストチャートの読取結果の中から、前記第1テストチャートの前記第1ノズル群により形成された部分を第1読取階調値として取得し、前記第1テストチャートの第2ノズル群により形成された部分を第2読取階調値として取得し、前記第2テストチャートの前記第2ノズル群により形成された部分を第3読取階調値として取得し、前記第2テストチャートの前記第3ノズル群により形成された部分を第4読取階調値として取得するとともに、前記平均階調値として前記第2読取階調値と前記第3読取階調値との平均値を算出し、前記濃度むら補正値算出工程は、前記平均階調値を用いて前記第2ノズル群の濃度むら補正値を算出することを特徴とする。
【0220】
かかる態様によれば、同時に読み取られなかったテストチャート間に生じる読取装置の読取誤差が低減化され、より正確な濃度むら補正値を算出することが可能となる。
【0221】
かかる態様において、前記算出された濃度むら補正値を用いて、画像データの濃度値を補正する濃度値補正工程と、補正された階調値に基づいて吐出データを作成する吐出データ作成工程と、前記吐出データに基づいて液体吐出を行う液体吐出工程と、を含む液体吐出方法を構成することも可能である。
【0222】
また、液体を吐出する複数のノズルが所定方向に並んだノズル列と媒体とを前記所定方向と交差する方向に相対移動させながら、前記交差する方向にドットが並ぶドット列を形成するドット列形成動作と、前記ノズル列と前記媒体とを前記所定方向に相対移動させる移動動作と、を交互に繰り返す液体吐出装置が、第1ドット列群と第2ドット列群とを有する第1テストパターンを媒体に形成するステップと、前記液体吐出装置が第2ドット列群と第3ドット列群とを有する第2テストパターンを媒体に形成するステップと、前記第1テストパターンをスキャナにセットし、前記第1ドット列群の読取結果を第1読取階調値として取得し、前記第2ドット列群の読取結果を第2読取階調値として取得するステップと、前記第1のテストパターンとは別に前記第2テストパターンを前記スキャナにセットし、前記第2ドット群の読取結果を第3読取階調値として取得し、前記第3ドット列群の読取結果を第4読取階調値として取得するステップと、前記第2読取階調値と前記第3読取階調値との平均値である平均階調値を算出するステップと、前記平均階調値に基づいて、前記第2のドット列群の補正値を算出するステップと、を有する補正値算出方法を構成することも可能である。
【0223】
(発明7):発明6に記載の濃度むら補正値算出方法において、前記第1ノズル群、前記第2ノズル群及び前記第3ノズル群は、所定の方向の一方側から順に並べられ、前記平均階調値算出工程は、前記第2読取階調値を取得する際に、前記第1テストチャートの第2ノズル群により形成された部分から前記第2ノズル群の前記所定方向の他方側端部に位置するノズルに対応するデータを除くとともに、前記第3読取階調値を取得する際に、前記第2テストチャートの前記第2ノズル群により形成された部分から前記第2ノズル群の前記一方側端部に位置するノズルに対応するデータを除くことを特徴とする。
【0224】
かかる態様によれば、第2ノズル群の他方側端部のノズルによって形成された第1テストチャートの読取結果と、第2ノズル群の一方側端部のノズルによって形成された第2テストチャートの読取結果は、テストチャートが形成される媒体の地の色の影響を受けたおそれがあるため、これらの読取結果を除いて平均階調値を算出することで、テストチャートの読取時の媒体に地色の影響が排除された濃度むら補正値を算出しうる。
【0225】
(発明8):発明7に記載の濃度むら補正値算出方法において、前記第2ノズル群のうち前記他方端部に位置するノズルほど、当該ノズルにより形成された前記第1テストパターンの読取結果に対する重み付けが小さくなり、前記第2ノズル群のうち前記一方側端部に位置するノズルほど、当該ノズルにより形成された第2テストパターンの読取結果に対する重み付けが小さくなるように重み付け係数を設定する重み付け係数設定工程を含み、前記平均階調値算出工程は、前記設定された重み付け係数により重み付けされた前記第2読取階調値及び第3読取階調値の平均値を平均階調値として算出することを特徴とする。
【0226】
かかる態様によれば、テストチャートを読み取る際のテストチャートが形成される媒体の地の色の影響に応じて、読取階調値に重み付けがされ、テストチャートが形成される媒体の地の色の影響が排除された好ましい濃度むら補正値を算出しうる。
【0227】
(発明9):発明7又は8に記載の濃度むら補正値算出方法において、前記テストチャート形成工程は、前記第1ノズル群、前記第2ノズル群、及び前記第3ノズル群のうち前記他方側端部により位置するノズルにより前記第1テストチャートを形成し、前記第1ノズル群のうち前記一方側端部に位置するノズル、前記第2ノズル群、及び前記第3ノズル群により前記第2テストチャートを形成することを特徴とする。
【0228】
かかる態様によれば、テストチャートを読み取る際のテストチャートが形成される媒体の地の色の影響を受けることなく、好ましい濃度むら補正値を算出しうる。
【0229】
(発明10):発明6から9のいずれかに記載の濃度むら補正値算出方法において、前記テストチャート形成工程は、前記第1テストチャートを複数形成するとともに、前記第2テストチャートを複数形成し、前記平均階調値算出工程は、前記複数の第1テストチャートの読取データに対応する複数の前記第2読取階調値を取得するとともに、前記複数の第2テストチャートの読取データに対応する複数の前記第3読取階調値を取得して、前記複数の第2の読取階調値と前記複数の第3読取階調値との平均値を前記平均読取階調値として算出し、前記濃度むら補正値算出工程は、前記複数の第1テストチャートの読取データに対応する複数の前記第1読取階調値に基づいて前記第1ノズル群の濃度むら補正値を算出し、前記平均階調値に基づいて前記第2ノズル群の濃度むら補正値を算出し、前記複数の第2テストチャートの読取データに対応する複数の前記第4読取階調値に基づいて前記第3ノズル群の濃度むら補正値を算出することを特徴とする。
【0230】
かかる態様によれば、複数のテストチャートの読取結果に基づいて、濃度むら補正値が算出されるので、読取装置の読取誤差が軽減され、より正確な濃度むら補正値を算出しうる。
【0231】
(発明11):発明7から10のいずれかに記載の濃度むら補正値算出方法において、前記テストチャート形成工程は、前記第2ノズル群のうち前記他方側に位置する他方ノズル及び前記第3ノズル群を用いて第3テストチャートを形成し、前記平均階調値算出工程は、前記第3テストチャートの読取データ値から前記他方ノズルに対応する平均階調値を算出するとともに、前記第2ノズル群のうち前記他方ノズル以外のノズルである一方ノズルに対応する平均階調値を算出し、前記濃度むら補正値算出工程は、前記第1読取階調値に基づいて前記第1ノズル群の濃度むら補正値を算出し、前記第2ノズル群のうち前記一方ノズルに対応する平均階調値に基づいて前記一方ノズルの濃度むら補正値を算出し、前記第2ノズル群のうち前記他方ノズルに対応する平均階調値に基づいて前記他方ノズルの濃度むら補正値を算出することを特徴とする。
【0232】
かかる態様によれば、所定方向の一方側から中央にかけて読取結果の数を徐々に増やすことができ、所定方向の一方側から中央にかけて徐々に濃度むら補正値の精度を上げることができる。
【0233】
(発明12):画素ごとの階調値を表す画像データを取得する画像データ取得工程と、所定の濃度むら補正値を取得する濃度むら補正値取得工程と、前記取得された補正値を用いて前記画像データの画素ごとの階調値に補正処理を施す濃度むら補正処理工程と、前記補正処理された画像データにハーフトーン処理を施すハーフトーン処理工程と、を含み、前記濃度むら補正値は、前記所定の方向に沿って並べられた複数のノズルにおける、経時により吐出状態が変化する不安定吐出ノズルの情報を取得する不安定吐出ノズル情報取得工程と、前記不安定吐出ノズルを不吐出ノズルとして設定する設定工程と、前記不安定吐出ノズルが不吐出ノズルとして設定された後に、複数回の異なる吐出タイミングで前記複数のノズルから液体を吐出させて、濃度むら補正値を算出するためのテストチャートを複数形成するテストチャート形成工程と、前記形成された複数のテストチャートをテストチャートごとに読み取る読取工程と、前記読み取られた複数テストチャートのそれぞれの読取データ値を平均して求められる平均階調値を算出する平均階調値算出工程と、前記取得された前記不安定吐出ノズル情報及び前記算出された平均階調値に基づいて、ノズルごとの濃度むら補正値を算出する濃度むら補正値算出工程と、により算出されることを特徴とする画像処理方法。
【0234】
本発明に係る画像処理方法を具現化するための装置構成として、画素ごとの階調値を表す画像データを取得する画像データ取得手段と、所定の濃度むら補正値を取得する濃度むら補正値取得手段と、前記取得された補正値を用いて前記画像データの画素ごとの階調値に補正処理を施す濃度むら補正処理手段と、前記補正処理された画像データにハーフトーン処理を施すハーフトーン処理手段と、前記所定の方向に沿って並べられた複数のノズルにおける、経時により吐出状態が変化する不安定吐出ノズルの情報を取得する不安定吐出ノズル情報取得手段と、前記不安定吐出ノズルを不吐出ノズルとして設定する設定手段と、前記不安定吐出ノズルが不吐出ノズルとして設定された後に、複数回の異なる吐出タイミングで前記複数のノズルから液体を吐出させて、濃度むら補正値を算出するためのテストチャートを複数形成するテストチャート形成手段と、前記形成された複数のテストチャートをテストチャートごとに読み取る読取手段と、前記読み取られた複数テストチャートのそれぞれの読取データ値を平均して求められる平均階調値を算出する平均階調値算出手段と、前記取得された前記不安定吐出ノズル情報及び前記算出された平均階調値に基づいて、ノズルごとの濃度むら補正値を算出する濃度むら補正値算出手段と、を備える画像処理装置があり得る。
【0235】
(発明13):発明12に記載の画像処理方法において、前記取得された不安定吐出ノズル情報に基づいて不安定吐出ノズルを設定する不安定吐出ノズル設定工程と、前記不安定吐出ノズル情報を用いて、前記不安定吐出ノズルに対する補正処理を施す不安定吐出ノズル補正処理工程を含むことを特徴とする。
【0236】
かかる態様によれば、不安定吐出ノズルに対する補正処理が施されることで、経時による吐出状態の変動の影響が排除された好ましい画像形成が実現される。
【0237】
(発明14):発明13に記載の画像処理方法において、前記複数のノズルから液体を吐出させて不安定吐出ノズルの有無を判断するための不安定吐出ノズル判断用テストチャートを形成し、前記不安定吐出ノズル判断用テストチャートを読み取り、前記不安定吐出ノズル判断用テストチャートの読取結果に基づいてノズルごとに不安定吐出ノズルであるか否かを判断して不安定吐出ノズル情報を生成する不安定吐出ノズル情報生成工程を含むことを特徴とする。
【0238】
かかる方法発明を具現化する装置構成として、前記複数のノズルから液体を吐出させて不安定吐出ノズルの有無を判断するための不安定吐出ノズル判断用テストチャートを形成するテストチャート形成手段と、前記不安定吐出ノズル判断用テストチャートを読み取る読取手段と、前記読取手段の読取結果に基づいてノズルごとに不安定吐出ノズルであるか否かを判断して不安定吐出ノズル情報を生成する不安定吐出ノズル情報生成手段と、を具備する形態がありうる。
【0239】
(発明15):所定の方向に沿って並べられた複数のノズルにおける、経時により吐出状態が変化する不安定吐出ノズルの情報を取得する不安定吐出ノズル情報取得手段と、前記不安定吐出ノズルを不吐出ノズルとして設定する設定手段と、前記不安定吐出ノズルが不吐出ノズルとして設定された後に、複数回の異なる吐出タイミングで前記複数のノズルから液体を吐出させて、濃度むら補正値を算出するためのテストチャートを複数形成するテストチャート形成手段と、前記形成された複数のテストチャートをテストチャートごとに読み取り、読取データである読取階調値を取得する読取手段と、前記複数テストチャートのそれぞれに対応する読取階調値を平均して求められる平均階調値を算出する平均階調値算出手段と、前記不安定吐出ノズル情報及び前記平均階調値に基づいて、ノズルごとの濃度むら補正値を算出する濃度むら補正値算出手段と、を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【0240】
本発明において、前記複数のノズルから液体を吐出させて不安定吐出ノズルの有無を判断するための不安定吐出ノズル測定用テストチャートを形成する不安定吐出ノズル測定用テストチャート形成手段と、前記形成された前記不安定吐出ノズル測定用テストチャートを読み取る不安定吐出ノズル測定用テストチャート読取手段と、前記不安定吐出ノズル測定用テストチャートの読取結果に基づいて、ノズルごとに不安定吐出ノズルであるか否かを判断して不安定吐出ノズル情報を生成する不安定吐出ノズル情報生成手段と、を備える態様が好ましい。
【0241】
また、前記不安定吐出ノズル測定用テストチャート生成手段は、所定の時間間隔でされる複数回の吐出により複数の前記不安定吐出ノズル測定用テストチャートを形成し、前記不安定吐出ノズル情報生成手段は、前記複数の不安定吐出ノズル測定用テストチャートの読取結果に基づいて、ノズルごとに不安定吐出ノズルであるか否かを判断して、前記不安定吐出ノズル情報を生成すること態様が好ましい。
【0242】
さらに、前記濃度むら補正値算出手段は、前記読取階調値の中から不吐出ノズルとして設定された前記不安定吐出ノズルに対応する値を削除して、濃度むら補正値を算出する態様が好ましい。
【0243】
さらにまた、前記濃度むら補正値算出手段は、前記読取階調値の中から不吐出ノズルとして設定された前記不安定吐出ノズルに対応するデータを補正するように、前記不安定吐出ノズルの近隣のノズルに対応するデータを変更して、濃度むら補正値を算出する態様が好ましい。
【符号の説明】
【0244】
10,164…インクジェットヘッド、12,166…ノズル群、14…不安定吐出ノズル、20,22,24,25,26,27,162…媒体(記録媒体)、30,32,34,35,36…テストチャート、40,40A,40B,42,42A,42B,40’,40A’,40B’40C’,40”,40A”,40B”40C”40D”…読取データ、44…平均階調値、60…テストチャート、168…ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方向に沿って並べられた複数のノズルにおける、経時により吐出状態が変化する不安定吐出ノズルの情報を取得する不安定吐出ノズル情報取得工程と、
前記不安定吐出ノズルを不吐出ノズルとして設定する設定工程と、
前記不安定吐出ノズルが不吐出ノズルとして設定された後に、複数回の異なる吐出タイミングで前記複数のノズルから液体を吐出させて、濃度むら補正値を算出するためのテストチャートを複数形成するテストチャート形成工程と、
前記形成された複数のテストチャートをテストチャートごとに読み取り、読取データである読取階調値を取得する読取工程と、
前記複数テストチャートのそれぞれに対応する読取階調値を平均して求められる平均階調値を算出する平均階調値算出工程と、
前記不安定吐出ノズル情報及び前記平均階調値に基づいて、ノズルごとの濃度むら補正値を算出する濃度むら補正値算出工程と、
を含むことを特徴とする濃度むら補正値算出方法。
【請求項2】
前記複数のノズルから液体を吐出させて不安定吐出ノズルの有無を判断するための不安定吐出ノズル測定用テストチャートを形成する不安定吐出ノズル測定用テストチャート形成工程と、
前記形成された前記不安定吐出ノズル測定用テストチャートを読み取る読取工程と、
前記不安定吐出ノズル測定用テストチャートの読取結果に基づいて、ノズルごとに不安定吐出ノズルであるか否かを判断して不安定吐出ノズル情報を生成する不安定吐出ノズル情報生成工程と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の濃度むら補正値算出方法。
【請求項3】
前記不安定吐出ノズル測定用テストチャート生成工程は、所定の時間間隔でされる複数回の吐出により複数の前記不安定吐出ノズル測定用テストチャートを形成し、
前記不安定吐出ノズル情報生成工程は、前記複数の不安定吐出ノズル測定用テストチャートの読取結果に基づいて、ノズルごとに不安定吐出ノズルであるか否かを判断して、前記不安定吐出ノズル情報を生成することを特徴とする請求項2に記載の濃度むら補正値算出方法。
【請求項4】
前記濃度むら補正値算出工程は、前記読取階調値の中から不吐出ノズルとして設定された前記不安定吐出ノズルに対応する値を削除して、濃度むら補正値を算出することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の濃度むら補正値算出方法。
【請求項5】
前記濃度むら補正値算出工程は、前記読取階調値の中から不吐出ノズルとして設定された前記不安定吐出ノズルに対応するデータを補正するように、前記不安定吐出ノズルの近隣のノズルに対応するデータを変更して、濃度むら補正値を算出することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の濃度むら補正値算出方法。
【請求項6】
前記複数のノズルは、第1ノズル群、第2ノズル群及び第3ノズル群を含んで構成され、
前記テストチャート形成工程は、前記第1ノズル群及び前記第2ノズル群を用いて第1テストチャートを形成するとともに、第1テストチャートを形成するタイミングと異なるタイミングで前記第2ノズル群及び前記第3ノズル群を用いて第2テストチャートを形成し、
前記平均階調値算出工程は、前記読取工程により読み取られた前記第1テストチャート及び第2テストチャートの読取結果の中から、前記第1テストチャートの前記第1ノズル群により形成された部分を第1読取階調値として取得し、前記第1テストチャートの第2ノズル群により形成された部分を第2読取階調値として取得し、前記第2テストチャートの前記第2ノズル群により形成された部分を第3読取階調値として取得し、前記第2テストチャートの前記第3ノズル群により形成された部分を第4読取階調値として取得するとともに、前記平均階調値として前記第2読取階調値と前記第3読取階調値との平均値を算出し、
前記濃度むら補正値算出工程は、前記平均階調値を用いて前記第2ノズル群の濃度むら補正値を算出することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の濃度むら補正値算出方法。
【請求項7】
前記第1ノズル群、前記第2ノズル群及び前記第3ノズル群は、所定の方向の一方側から順に並べられ、
前記平均階調値算出工程は、前記第2読取階調値を取得する際に、前記第1テストチャートの第2ノズル群により形成された部分から前記第2ノズル群の前記所定方向の他方側端部に位置するノズルに対応するデータを除くとともに、前記第3読取階調値を取得する際に、前記第2テストチャートの前記第2ノズル群により形成された部分から前記第2ノズル群の前記一方側端部に位置するノズルに対応するデータを除くことを特徴とする請求項6に記載の濃度むら補正値算出方法。
【請求項8】
前記第2ノズル群のうち前記他方端部に位置するノズルほど、当該ノズルにより形成された前記第1テストパターンの読取結果に対する重み付けが小さくなり、前記第2ノズル群のうち前記一方側端部に位置するノズルほど、当該ノズルにより形成された第2テストパターンの読取結果に対する重み付けが小さくなるように重み付け係数を設定する重み付け係数設定工程を含み、
前記平均階調値算出工程は、前記設定された重み付け係数により重み付けされた前記第2読取階調値及び第3読取階調値の平均値を平均階調値として算出することを特徴とする請求項7に記載の濃度むら補正値算出方法。
【請求項9】
前記テストチャート形成工程は、前記第1ノズル群、前記第2ノズル群、及び前記第3ノズル群のうち前記他方側端部により位置するノズルにより前記第1テストチャートを形成し、
前記第1ノズル群のうち前記一方側端部に位置するノズル、前記第2ノズル群、及び前記第3ノズル群により前記第2テストチャートを形成することを特徴とする請求項7又は8に記載の濃度むら補正値算出方法。
【請求項10】
前記テストチャート形成工程は、前記第1テストチャートを複数形成するとともに、前記第2テストチャートを複数形成し、
前記平均階調値算出工程は、前記複数の第1テストチャートの読取データに対応する複数の前記第2読取階調値を取得するとともに、前記複数の第2テストチャートの読取データに対応する複数の前記第3読取階調値を取得して、前記複数の第2の読取階調値と前記複数の第3読取階調値との平均値を前記平均読取階調値として算出し、
前記濃度むら補正値算出工程は、前記複数の第1テストチャートの読取データに対応する複数の前記第1読取階調値に基づいて前記第1ノズル群の濃度むら補正値を算出し、前記平均階調値に基づいて前記第2ノズル群の濃度むら補正値を算出し、前記複数の第2テストチャートの読取データに対応する複数の前記第4読取階調値に基づいて前記第3ノズル群の濃度むら補正値を算出することを特徴とする請求項6から9のいずれか1項に記載の濃度むら補正値算出方法。
【請求項11】
前記テストチャート形成工程は、前記第2ノズル群のうち前記他方側に位置する他方ノズル及び前記第3ノズル群を用いて第3テストチャートを形成し、
前記平均階調値算出工程は、前記第3テストチャートの読取データ値から前記他方ノズルに対応する平均階調値を算出するとともに、前記第2ノズル群のうち前記他方ノズル以外のノズルである一方ノズルに対応する平均階調値を算出し、
前記濃度むら補正値算出工程は、前記第1読取階調値に基づいて前記第1ノズル群の濃度むら補正値を算出し、前記第2ノズル群のうち前記一方ノズルに対応する平均階調値に基づいて前記一方ノズルの濃度むら補正値を算出し、前記第2ノズル群のうち前記他方ノズルに対応する平均階調値に基づいて前記他方ノズルの濃度むら補正値を算出することを特徴とする請求項7から10のいずれか1項に記載の濃度むら補正値算出方法。
【請求項12】
画素ごとの階調値を表す画像データを取得する画像データ取得工程と、
所定の濃度むら補正値を取得する濃度むら補正値取得工程と、
前記取得された補正値を用いて前記画像データの画素ごとの階調値に補正処理を施す濃度むら補正処理工程と、
前記補正処理された画像データにハーフトーン処理を施すハーフトーン処理工程と、
を含み、
前記濃度むら補正値は、前記所定の方向に沿って並べられた複数のノズルにおける、経時により吐出状態が変化する不安定吐出ノズルの情報を取得する不安定吐出ノズル情報取得工程と、
前記不安定吐出ノズルを不吐出ノズルとして設定する設定工程と、
前記不安定吐出ノズルが不吐出ノズルとして設定された後に、複数回の異なる吐出タイミングで前記複数のノズルから液体を吐出させて、濃度むら補正値を算出するためのテストチャートを複数形成するテストチャート形成工程と、
前記形成された複数のテストチャートをテストチャートごとに読み取る読取工程と、
前記読み取られた複数テストチャートのそれぞれの読取データ値を平均して求められる平均階調値を算出する平均階調値算出工程と、
前記取得された前記不安定吐出ノズル情報及び前記算出された平均階調値に基づいて、ノズルごとの濃度むら補正値を算出する濃度むら補正値算出工程と、により算出されることを特徴とする画像処理方法。
【請求項13】
前記取得された不安定吐出ノズル情報に基づいて不安定吐出ノズルを設定する不安定吐出ノズル設定工程と、
前記不安定吐出ノズル情報を用いて、前記不安定吐出ノズルに対する補正処理を施す不安定吐出ノズル補正処理工程を含むことを特徴とする請求項12に記載の画像処理方法。
【請求項14】
前記複数のノズルから液体を吐出させて不安定吐出ノズルの有無を判断するための不安定吐出ノズル判断用テストチャートを形成し、前記不安定吐出ノズル判断用テストチャートを読み取り、前記不安定吐出ノズル判断用テストチャートの読取結果に基づいてノズルごとに不安定吐出ノズルであるか否かを判断して不安定吐出ノズル情報を生成する不安定吐出ノズル情報生成工程を含むことを特徴とする請求項13に記載の画像処理方法。
【請求項15】
所定の方向に沿って並べられた複数のノズルにおける、経時により吐出状態が変化する不安定吐出ノズルの情報を取得する不安定吐出ノズル情報取得手段と、
前記不安定吐出ノズルを不吐出ノズルとして設定する設定手段と、
前記不安定吐出ノズルが不吐出ノズルとして設定された後に、複数回の異なる吐出タイミングで前記複数のノズルから液体を吐出させて、濃度むら補正値を算出するためのテストチャートを複数形成するテストチャート形成手段と、
前記形成された複数のテストチャートをテストチャートごとに読み取り、読取データである読取階調値を取得する読取手段と、
前記複数テストチャートのそれぞれに対応する読取階調値を平均して求められる平均階調値を算出する平均階調値算出手段と、
前記不安定吐出ノズル情報及び前記平均階調値に基づいて、ノズルごとの濃度むら補正値を算出する濃度むら補正値算出手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−135902(P2012−135902A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288410(P2010−288410)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】